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97.夢の記憶

『一方…シン・リーン近隣の村』



ザワザワ ガヤガヤ


えらいこった…銀の杭をもっと集めて来るんじゃぁ


女子供は建屋の中に入っとれええ!!牛も牛舎から出したらあかんぞぉ!!



盗賊「ラス!芋を貰って来た…食っとけ」


女ハンター「アランは食べた?」


盗賊「一口な?ほんでシン・リーンの様子はどうよ?」


女ハンター「例の崩れた外壁の所でどうにかゾンビの侵入を防いでる…でもそろそろ抜かれそう…」


盗賊「やっぱ死んだ異形の魔物がゾンビになって攻めて来てんのか?」


女ハンター「まだ数は増えてない…一気に来られると多分ダメね」


盗賊「ええいクソ…異形を狙い撃ちしたは良いがゾンビになっちまうんじゃ弾が無駄だったな…」


女ハンター「ライフル弾はもう残り10発も無い…あとはバヨネッタに頼るしか…」


盗賊「こっちも20発残ってるかどうかって所だ…プラズマが使えるんだがゾンビ相手じゃ撃つだけ無駄だな…」


女ハンター「大型のゾンビだけどうにか処理して」


盗賊「分かってんだがよ…肝心のルーデウスの戦車が来た時にプラズマが使えんて事にはなりたく無くてよ…」


女ハンター「魔石の予備は無いの?」


盗賊「こいつは燃費悪くてな…予備の魔石はもう使っちまったんだ」


女ハンター「やっぱり…こちらの残弾と魔石を消費させるつもりの様ね」


盗賊「しゃぁ無え…ゲームチャンジャー待ちだ…それまで乗り切るしか無え」


女ハンター「私達の戦車が来るとしたらあと3日くらい?」


盗賊「分からん…そろそろミルクが到着したぐらいじゃ無いか?」


女ハンター「向こうの戦車だけどうにか処理出来ればもう少し時間稼ぎ出来そうなのだけれど…」


盗賊「もう砲弾も撃って来なくなったからな…何処に潜んでるか全く分からん」


女ハンター「あ…外壁で何か動きがある…」


盗賊「おっと?」


女ハンター「外壁の上に登ってる兵隊が引き上げて行く…どうして…」


盗賊「ちょっくら走って見に行って来るわ…ラスは此処で監視しててくれ」


女ハンター「分かったわ…1時間で戻って」


盗賊「へいへい!ほんじゃ行ってくんな?」スタ




『1時間後…』



ヒソヒソ ヒソヒソ


あそこの牛車に隠れてる女が居るやろ…あそこで蹲って何しとるんや?


町から逃げて来たんじゃろうが他に行く所が無いんじゃなかろうか?


いや…そうやない…いつまでも蹲っとるのがあやしいと言っとるんや…あの牛車の中に何が乗っとるのかも分からん


ほんならおまいさんが事情を聞きに行けばええじゃろう



女ハンター「ちぃ…」---面倒な事になりそう---


村人「お~い!!そこで何しとるんやぁ!!」



タッタッタ



女ハンター「何?ここに居ちゃダメなの?」ギロリ


村人「うお!!なんやお前…手配されとる鼻無しの者やな?」タジ


女ハンター「悪いけど私は関係無い」


村人「それからなんやへなげな武器を持っとる様やな…それは銃器っちゅうもんやないんか?」スチャ


女ハンター「他人にそんな簡単に槍を向けて良いの?」


村人「俺は身を守っとるんや!大人しく出て来るんや」


女ハンター「なんで?私は何もしてない」


村人「生意気な女やなぁ!俺の言う事が聞けんのんか?」


女ハンター「私をどうする気?」


村人「いちいち口答えすなぁ!!」ブン



バシッ!!



女ハンター「痛っ!!」


村人「早う出て来い!」スチャ


女ハンター「女だと思って強気に出て居るのね…私に構わないで」ギロ


村人「痛い目見んと分からん様やな!出て来いゴルァ!!」ブン



ビシ!! バシ!!



女ハンター「くぅぅ…」


爺「なんじゃなんじゃ…どないなっとるんじゃぁ!止めんか!!」


村人「ふぅ…ふぅ…この女が言う事を聞かんで口答えばかりするもんやから躾けとるんや」


女ハンター「私は何も…してない…」タラー


爺「血が出とるじゃろう…無抵抗な相手に武器を振るったのがバレたら牢屋行きじゃぞ」


村人「いいや…こいつは手配されとる鼻無しの一味に間違いない!銃器まで持っとる!」


女ハンター「私は関係無い…」


村人「まだ口答えするんかぁ!!」



スゥ…



盗賊「おっと…穏やかじゃ無えな…」


村人「うお!!ま…魔術師か?」タジ


爺「こここ…こらたまげた…」ドテ


盗賊「一方的に無抵抗な女をぶちのめすたぁ…けしからんな…」


村人「いや…こいつは手配中の鼻無しの者や!捕らえたのは俺や!」


盗賊「ほーん…それで?何か悪さでもしてたんか?」グイ


村人「あだだだだ…鼻を摘まむな!!」



ジョキリ!!



村人「ぐあぁぁぁ!!」ブシュー ボタボタ


盗賊「ほらよ…ジジイ」ポイ


爺「うわわ…は…鼻…」ワタワタ


盗賊「悪いが今は牢屋に入れられなくてな…それで勘弁してやる」


村人「この野郎…お前も鼻無しの仲間…」


盗賊「んん?まだ何か言い掛かりを付ける気か?次は耳を剃っちまうぞ?」スチャ


村人「ぐぬぬぬ…」


盗賊「俺等はゾンビ退治の作戦行動中な訳よ…邪魔する様ならお寝んねしてもらうがそれでも構わんか?」


爺「おい!!鼻の手当てをするで建屋に入るんじゃ」グイ


盗賊「ここに居ちゃ目障りな様だから俺等移動するわ…精々ゾンビに襲われん様に気を付けるこった」


爺「魔術師が居らんくなるんかいのう?」


盗賊「変に騒がれちゃ作戦行動に支障が出るんだ…現に相方が怪我しちまってんだろ…じゃぁな?」ノシ




『牛車』



ウモモモモー ガタゴト ガタゴト



盗賊「どうだ?止血出来そうか?」


女ハンター「槍の先端が腕に引っかかって…少し深い…つつつ」


盗賊「とりあえず血が止まるまで圧迫しとけ…後で俺が処置してやる」


女ハンター「何処に移動するつもり?」


盗賊「少し高台に行く…どうやらシン・リーンは籠城する作戦に切り替えた様だ」


女ハンター「どういう事?外壁での守備は諦めた?」


盗賊「うむ…城壁の内側に市民を誘導してんのよ…城の壁はまだ無事だからな」


女ハンター「その方が被害少なさそうね」


盗賊「砲弾を撃ち込まれなきゃこれで1カ月以上耐えられると思う…まぁ割と指揮系は機能してそうだな」


女ハンター「良かった…これで少し休めそうね」


盗賊「俺の予想ではな?城の壁ぶっ壊すのに戦車が至近距離まで近寄ってくるように思う」


女ハンター「確かに…残りの砲弾が少ない事を考えると確実に当てるのに外壁の内側まで入って来そう…」


盗賊「多分それを狙っての籠城作戦だ…シン・リーンは俺らが外で各個撃破してるのをアテにしてるって事だ」


女ハンター「もしかしてあの衛兵隊長の采配…」


盗賊「かもな?」


女ハンター「ゆっくり休んでる訳にも行かなさそう」


盗賊「まぁそう言うのもあって高台に移動したい訳よ」


女ハンター「じゃぁシン・リーンを挟んで向こう側の山手ね」


盗賊「ううむ…敵も同じ事考えてゾンビの大群で山手側を押さえに来た場合どうするかって事なんだが…」


女ハンター「…」


盗賊「何か妙案思い浮かばんか?」


女ハンター「そのワイヤー装置使って木の上にこの荷車を乗せられない?」


盗賊「おっと?そんな手があるか…それならわざわざ高台じゃ無くても良さそうだな…」


女ハンター「どこかで沢山ロープを入手出来ない?」


盗賊「なるほど…蜘蛛の巣みたいにする訳か…ちっと探しながら行くか…」


女ハンター「ねぇ…さっきの村の人が後を付けて来てるみたいなのだけれど…」


盗賊「放っとけ…こっちは牛車で移動してんだ…徒歩じゃその内疲れて諦めるだろう」


女ハンター「魔物に襲われて恐怖を抱えてるのは分かるけど…やっぱり腹立たしい…」グググ


盗賊「まぁ辛抱しろ…人間の腹の中っちゃあんなもんだ…お前は良く耐えた」


女ハンター「もっと慰めて…痛いし…血が止まらないし…」


盗賊「わーった…ちっと手綱だけ持ってくれ…処置してやる」


女ハンター「痛くしないで」




『応急処置』



ヌリヌリ マキマキ



女ハンター「傷口にハチミツ?」


盗賊「知らんかっただろう?痛みが直ぐに引くんだ…抗菌作用もある…火傷にも効くらしいぜ?」


女ハンター「どうしてハチミツなんか持ち歩いて…」


盗賊「安かったから買っといただけだ…何かと使えるもんでな」


女ハンター「なんか…虫も居る様な気がするのだけれど…そのニョロニョロした小さな虫は何よ!」ゾゾゾ


盗賊「待て待て動くな…このままで良いんだ…この虫が傷を癒すらしい」


女ハンター「らしいって…誰かの受け売りだと言う訳?」


盗賊「情報元はルイーダの婆さんだ…俺等に魔力が無い代わりに虫をどうやって呼ぶのか教わった訳よ」


女ハンター「それがハチミツなの?」


盗賊「まぁな?他にも色々聞いたぞ?どうやらアラクネーはミツバチと恋人関係らしくてな?ハチミツ与えるとなつくらしい」


女ハンター「恋人…」


盗賊「ほんでミツバチ殺すとアラクネーに襲われるんだとよ…まぁ兎に角ミツバチは大事にしろって話だ」


女ハンター「アラクネーがなつくってどういう状態な訳?」


盗賊「ほんなん知らんわ…試してみっか?」


女ハンター「怖くて近付けない」


盗賊「ヌハハまぁそうだ…虫の中じゃ最強だとかいう話もあるもんな」


女ハンター「ふぅん…とりあえずハチミツを持って居ればアラクネーと出くわしてもどうにかなる可能性は有ると言う事ね」


盗賊「そういうこった…小瓶で2つ買って有るからお前も持っとけ」


女ハンター「頂く…」


盗賊「さて…手綱引くの代わるわ」


女ハンター「後ろ…あの男まだ後を付けて来てるみたいだけど…」


盗賊「何がしたいのか良く分からんな…そんな良い荷が有る訳でも無えのに」


女ハンター「追って来ると言う事は勝てる見込みの有る隠し玉を持って居ると言う事…」


盗賊「アイツ何も持ってる様な感じは無かったけどなぁ…まぁ一応望遠鏡で監視しといてくれ」


女ハンター「分かった…」スチャ


盗賊「しかし根に持たれちまったか…面倒くせぇ奴だ…」


女ハンター「あれ?おかしい…鼻が付いてる…どうして…」


盗賊「な…んだと?」


女ハンター「ちょっと!これマズい現象かもしれない…次元が調和して無い…」


盗賊「マジか!!まさかト・アルの町と同じ事起こってるってか!?」


女ハンター「腕の傷!!もう痛く無い…」


盗賊「さっきの事は無かった事になっちまってんのか?」


女ハンター「紙とペンを持って無い?」


盗賊「無え…お前ダガー持ってんだろ!何か書き記すなら荷車の板にでも彫りこんどけ」


女ハンター「ちょっとロープを探すのと合わせて紙とペンもどうにかして調達して!」


盗賊「へいへい!ちっと後ろの奴引き離すから揺れるぞ?」パシン



ウモモモモモー ゴトゴト




『ぼろい風車の製粉所』



ゴソゴソ



盗賊「おーし!ロープゲットだ!!」ドサ


女ハンター「早くして…場所が目立つ」


盗賊「誰か近付いて来そうか?」


女ハンター「遠くで見てる人は居る」


盗賊「もうちょい待ってくれ…結構床に小麦が散らばってるから集めて行きたい」ゴソゴソ


女ハンター「5分!」


盗賊「そんな慌てんでも小麦はもう収穫した後だから誰も来んだろう」


女ハンター「風車動かすのでは無くて避難先と言う意味で誰か来そう」


盗賊「そういう事か…ドロボーしてるのバレると色々厄介か…」


女ハンター「紙とペンはありそう?」


盗賊「無え!」ゴソゴソ ドタドタ


女ハンター「布で良いからどうにかして!」


盗賊「布か…そういや小麦入れる袋が積んで有ったな」


女ハンター「早く!あと3分!」


盗賊「人使いが荒えな…」ドタドタ


女ハンター「2分!」




『逃走』



ウモモモモモーー ゴトゴト



盗賊「ヌハハ牛のエサ用で牧草も上手い事入手出来て良かったわ…大漁大漁!」


女ハンター「お気楽ね…次元がおかしな事になって居るかも知れないのに」


盗賊「もう俺等寝ちまってたりしてな?」


女ハンター「魔法が無くなればすべて解決とか言う話はどうなったの?」


盗賊「ルイーダの婆さんはリブートが必要だとか言ってたろ…忘れたんか?」


女ハンター「私はその話を聞いてない」


盗賊「そうか…」


女ハンター「そのリブートって言うのは?」


盗賊「はっきり言って良く分からん…世界を再起動するみたいな事らしいが…ミライをホムコの所へ向かわせたのはソレが理由だ」


女ハンター「ホムコさんが何か知ってる?」


盗賊「てか俺の親父が機動隊の奴らから謎の機械を盗んで来てたのよ…そいつを俺が預かってたんだ」


女ハンター「ちょっと話が飛んで良く分からない」


盗賊「その昔機動隊は世界をリブートさせようとしてたらしい…親父はそれを世界の破滅だと解釈しててな?そいつを盗んで来てたんだ」


女ハンター「じゃぁそのリブートさせる為の機械をホムコさんに見せに行った…と言う事ね?」


盗賊「うむ…今世界を握ってるのはミライだって訳よ」


女ハンター「理解した…リブートさせればこの現象は収まる…そう言う事ね」


盗賊「さぁな?親父は世界を消し去って破滅する事だと思ってた様だが…どうなるのかマジで分からん」


女ハンター「再起動…それってもしかしてロールバック?」


盗賊「それも分からん…もうちっとその辺の話をルイーダの婆さんに聞けておけば良かったと思う」


女ハンター「じゃぁ後知って居そうなのはホムコさんだと言う事ね…」


盗賊「てか謎の機械だから聞く相手はホムコしか居らんわな…もしかするとホムコがリブートさせるのかも知れん」


女ハンター「ねぇ…そのリブートが世界の再起動だったとして…私達はどうなると思ってるの?」


盗賊「記憶になる…」


女ハンター「ちょ…ちょっと!それで良いの?」ギロリ


盗賊「記憶を思い出したら元通り…てな風に上手く行かんか?」


女ハンター「誰がその記憶を思い出すの?」


盗賊「…」


女ハンター「それってつまり…私達の記憶のすべてが精霊のオーブになると言う事では無いの?」


盗賊「…」


女ハンター「私達の未来はどこにあるの?私達は何の為に…」


盗賊「まぁ次の世界に行くって言う事だ…お前は俺に世界の扉を開けろと言っただろ…多分そういう事なんだ」


女ハンター「そんな…そんな事望んでない…」ワナワナ


盗賊「次の世界に生まれて来たらどうにかして記憶を思い出せ…多分それが夢幻なんだ」


女ハンター「この世界は…全部…夢?」


盗賊「さぁな?まぁ…あんま考え込んで立ち止まるな…目の前の問題を解決するのに精一杯だろう?」


女ハンター「…」


盗賊「それで良いんだよ…俺はそん時に隣にお前が居りゃ満足だ」



---満足した記憶---


---それで良いんじゃ無えか?---


---だってそうだろう?---


---俺らの人生なんかあっという間に終わっちまうんだ---


---キノコ食って満足してりゃそれでも良いと思った事あるだろう---


---一緒に居れば満足…そんな終わり方でも十分幸せに思う---




『夢』



ザブン ギシギシ


ごるぁ!!誰だ明かりつけっ放しなのはぁ!!消しておけタワケェ!!


いや…それはアナールが勝手に…


だったら気を利かせてお前が消すんだろうが!!おい見張りぃ!!向こうに気付かれて無えだろうな!?



私「わ…分かんない…」ボソ


海賊「しっかり見張っとけ!!」


私「はい…」ビクビク


海賊「ったくどいつもこいつも…」ブツブツ



ヒラヒラ クルクル



妖精「なんかうるさいから皆眠らせて置こうか?」パタパタ


私「でも…あの船が動き出したら直ぐに追い掛けないと…」


妖精「また案内してあげるから直ぐに見つけられるさ」


私「それなら…」


妖精「ちちんぷいぷいの!ぷい!!おっけー!!これで落ち着いて探せるよ?」


私「うん…」


妖精「それで見つかった?探してる人…」


私「居ない…」


妖精「あれれれ?おかしいなぁ…いつもお酒飲んで騒いでる筈なのになぁ」


私「夢の話だから…顔を思い出せなくて…誰が誰なのか…」


妖精「神様の手の人だよね?僕知ってるよ…あの船に乗ってる人といつも一緒なんだ…怖い顔で直ぐに分かるよ」


私「もう少し探してみる…」


妖精「ねぇねぇ…僕にもその望遠鏡を見せてよぅ」


私「うん…覗いてみて?」


妖精「やったね!」ヒラヒラ


私「どう?見える?」


妖精「おおおおスゴイ!!すぐそこにおっぱいが…」ヒョイ ヒョイ


私「その人居そう?」


妖精「僕はおっぱいしか興味無い…探すのは君の仕事だよ」


私「あそこまで飛んで行ける?」


妖精「お?この望遠鏡の中に入れるの?」


私「ええと…向こうの船に行ってその人が居るか居ないか見て来れない?」


妖精「う~ん…呼ばれてないからなぁ」


私「呼ばれないとダメなんだ…」


妖精「この望遠鏡の中に入れば直ぐに届きそうだよね?」


私「うん…」


妖精「君はおっぱいが小さいなぁ…悪い男の人に吸われて小っちゃくなっちゃったのかなぁ?」


私「いや…これは元から…」


妖精「僕も吸って良い?」


私「大きくなったら良いよ」


妖精「やったぁ!!約束だよ?」


私「うん…約束…大きくなったら…」


妖精「よーし!元気出て来たぞぉ!!ちょっと月まで飛んで見るね!」


私「今から?」


妖精「もう少しで届きそうなんだ」


私「又呼んだら来てくれる?」


妖精「約束したからいつでも飛んで来るよ」


私「じゃぁ私はもう少し望遠鏡を覗いてるから」


妖精「おっけー!!探してる人絶対見つかるよ」


私「うん…」


妖精「行くぞぉぉ!!」ヒラヒラ パタパタ


私「私も夢を探さないと…」



---あそこに夢の人が居る筈---


---あそこに行けば会える---


---会えばきっと夢を思い出す---




『深夜_荷車の中』



ガバッ キョロ



女ハンター「ア…ラン?」


盗賊「お?起きたな?…妖精の夢でも見てたんか?なんか寝言言ってたぞ?」


女ハンター「夢…」ボーゼン


盗賊「お前を起こさん様に荷車を吊り上げるのはしんどかったわ」



ギシギシ



女ハンター「え…あぁ…そうだったわね」キョロ


盗賊「蜘蛛の巣みたいにするつもりがミノムシみたいになっちまった…まぁ無事に吊り上げられたからこれで良いわ」ギシ


女ハンター「現在地が分からない…シン・リーンの外壁は目視出来そう?」


盗賊「木が邪魔だが一応見える…距離1キロって所か…ここで見張って戦車待ちだ…しばらく休憩だな」


女ハンター「ゾンビの様子は?」


盗賊「静かなもんだ…シン・リーンの方で煙が上がってるんだが…多分ゾンビを燃やしてる感じだな」


女ハンター「そう…次元の調和におかしな感じは?」


盗賊「良く分からん…記憶もおかしい感じはせんけど…自覚出来んからもう諦めとる」


女ハンター「暇なら一応今起こってる事を少しでも何かに書き残して」


盗賊「へいへい…」


女ハンター「私はちょっと今見た夢の整理をするから放って置いて」


盗賊「ほんじゃ次俺が仮眠するな?」


女ハンター「分かったわ…」


盗賊「しかしえらく疲れた…支え手が無いと倍以上の力を使うもんだからよ」


女ハンター「じゃぁ早く横になって」


盗賊「おう!2時間で起こしてくれ」ゴロン


女ハンター「…」---夢で思い出した事がある---



---私が幽霊船を追いかけたのは---


---私の夢を探して居たんだった---


---夢の中の誰かを探してた---


---まさか私は夢でこの現実を既に見て居る?---


---もしかして世界は既に何度もロールバックして居るの?---


---それを夢という形で認知して居るのなら---


---今やっと思い出した事になる---


---私はその時…夢を思い出してどうしたかったのだろう---


---良く見る悪夢は大事な人を失う夢---


---誰なのか覚えて居ない---


---まさか…アラン?---


---お願い…夢を思い出して---


『朝靄』



バサバサ ウモモー ドドドド



女ハンター「…」---動物達が騒がしい---


女ハンター「…」---鳥が鳴く時間の筈なのに…何処かへ行ってしまった---


女ハンター「アラン…アラン?起きて」ユサユサ


盗賊「んが?」


女ハンター「何か起きてそう…森の様子がおかしい…」キョロ


盗賊「んぁぁ…結構寝た感じがすんな…どんくらい寝てた?」ノビー


女ハンター「もう直ぐ夜明け…何かおかしな感じがするから警戒して」


盗賊「マジか…」ムクリ


女ハンター「靄が掛かってて遠くが見えない」



ドドドーン バサバサ



盗賊「おっと…こりゃ…」


女ハンター「砲弾の音では無さそう…シン・リーンじゃなくて森の方角」


盗賊「火薬の類の爆発音でも無えな…」キョロ



ズドドドーン グラグラ



女ハンター「地響き…」


盗賊「おいおい…又何か別の魔物が居るんじゃ無いだろうな?」


女ハンター「もう弾切れで戦えない…撤収する手段を考えて」


盗賊「マテマテ…まだ何が起きてるのか分からん…とりあえず此処は安全だから下手に動かん方が良い」



ズドドドドーン ビュゥゥ バサバサバサ



女ハンター「風!?どうして…」


盗賊「こりゃ何かでかい物が崩れる音だな…割と近いぞ…」


女ハンター「霧で向こうが見えない…」イラ


盗賊「待て…お袋からダイダラボッチっていう魔物の話を聞いた事が有る…森に居る魔物だ…」


女ハンター「どうしてそんなのが急に現れる?」


盗賊「ほんなん知るか」



ズドドドドドーン ドサドサ ドサドサ



盗賊「どわっ!!なんだなんだぁ!!上から降って来たんか!?」


女ハンター「ゾ…ゾンビよ!!いきなり何体も上から降って…」



ゾンビ共「ヴヴヴヴヴヴ…ガガ…」ヨタヨタ



盗賊「おいおいマジか!!そんなんアリか!?」


女ハンター「これ…一気にシン・リーンがゾンビで埋め尽くされてしまう…」ボーゼン


盗賊「一気に攻めて来たな…」


女ハンター「見えた!!ゾンビが折り重なって触手みたいに伸びて…」


盗賊「向かってる先はシン・リーン方面だけか…ようし…」


女ハンター「どうするの?」


盗賊「どうするもこうするも…この数のゾンビは俺等じゃムリだ…静観するしか無え」


女ハンター「逃げないの?」


盗賊「まだだ…俺らの戦車が来りゃひっくり返せる」


女ハンター「まだ2~3日掛かる筈でしょう?」


盗賊「とりあえず俺等には見向きもして無え…シン・リーンが2~3日耐えりゃ良い訳だ」


女ハンター「耐えられると思えない…この様子だと1000体は軽く超えてると思う」


盗賊「火だ…どんなに沢山居てもゾンビは火に突っ込んで来んし建屋の中の階段は進めん…扉を自分で開ける事も無い」


盗賊「ふむ…なるほどな…ゾンビだとドラゴン相手に手も足も出んからシン・リーンを狙うしか無かった訳か」


盗賊「残念だがシン・リーンを落としても宝具は一つも残って無え…ルーデウスは此処で手詰まりだ」


女ハンター「そんな都合の良い事ばかり考えて居て良いの?」


盗賊「あと一歩…奴の戦車さえ封じちまえばチェックメイトだ…近くに居る筈だから監視続けろ」



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