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91.内部抗争


『気球』



フワフワ


オーライス オーライス ちょっと右っす左っす



学者「いやぁぁ浮かんでる戦車の筏も気球の発着に丁度良いじゃないっすか!」


盗賊「これで荷を運んでる様にしか見えんてか…うまく偽装したな?」



青年「おーーーい!!小舟を出してぇぇぇ」



盗賊「おお!ちっと待ってろぉ!!」ドタドタ


青年「マイが怪我をしてるんだぁ!手当が必要だよ!!」


盗賊「何ぃ!?何があった!?」


青年「話は後だよ早くぅぅ!!」




『救急処置』



ゴソゴソ マキマキ



魔法使い「いたたた…」


学者「これ獣か何かに食われそうになったんすかね?そこら中引き裂かれた感じなんすが…」テキパキ


青年「相手は人間なんだよ…裸の狂った人間がうろついてるんだ」


盗賊「なんだそら?グールが居るってか?」


青年「いや…話によると罪人が魔法で家畜に姿を変えられてたのが戻ってしまったらしい」


盗賊「魔法が解けちまったってか…」


青年「なんか凄い数の野党になってしまってるみたい…」


学者「ほんじゃマイさんは知らんで近付いて襲われた感じっすかね?」


魔法使い「物陰から急に…槍も奪われてしまった…」


盗賊「凄い数とか言われても具体的にどのくらい危険なのか良く分からんのだが…相手は裸なんだろ?」


槍戦士「ちょいと洒落にならん様だぞ?罪人てことは元々それなりの悪党だった訳だからな?」


盗賊「ほんじゃ略奪が始まっちまう…」


学者「こっちじゃ全然見ないのはやっぱ寒いからっすかね?」


盗賊「そこそこ温く無いと家畜が凍死するからこの辺じゃ育てられそうに無いな?」


青年「南の方はもっとひどい事になってる気がするよ」


盗賊「おいおいそんな大量に罪人を家畜に変えてたって言うのか?」


学者「兄貴…これかなり鬼畜な事っすよ…人間に共食いさせてたって事っす」


盗賊「…」---死刑を回避して魔王が膨れ上がるのを防いでたって言う見方もある---


学者「他の冒険者とかは何やってるんすか?」


魔法使い「先に武器を使った方が衛兵に捕らわれてしまうから見て見ぬ振り」


盗賊「ぐはぁ…じゃぁ衛兵とか魔術師は何やってんのよ」


青年「野党を追いかけ回してはいるけどバラバラだよ…追いはぎに遭った人とかが捕らえられてたりもするんだ」


盗賊「そりゃ大混乱だわな」


学者「こっちにも来るかも知れんので一応備えときやしょうか」




『呪いの調べ』



…やっぱり呪いは超古代から存在していたみたいだよ


確認できる資料で一番古いのが約2万年~3万年前かな…


カイネさんの調べでは多神教として繁栄したメソポタミア文明辺りから人間が知恵を持ったらしい


当時の神々は呪いを操る事で人間を支配した…


でもそののち神々は人間の手によって次々と滅ぼされてしまう


面白い記述がその当時の神々は宇宙の何処かから箱舟に乗って地球に降り立ったと言う事


僕が思うにその時にアーカイブが作られた様に思う


輪廻の仕組みに人間を組み込む事で知識の伝搬が促進されたんだ…書物を残す様になったのもこの頃からだ


それがいわゆる聖書に記されて居る知恵の実と言われる物で…人間が知識を持ち始めた理由だよ


その象徴がエデンの園にあると言われる知恵の実が生る木…多分精霊樹の事だね


それで…メソポタミア文明は多神教だったんだけど、それぞれの神は互いに争って居た


言い換えるとアーカイブを通じて人間を操る事でそれぞれの神同士が戦って居たんだね


ここまで言って呪いが何なのか分かって来たかな?



盗賊「まぁ薄々そうだろうとは思って居たが…アーカイブそのものが呪いの仕組みだって訳な?」


青年「多分そう…アーカイブの存在を知らない人間にとっては色んな悪い事が呪いに見えてたんだよ」


盗賊「おいカゲミー!!黙って聞いてないでお前の意見も言ってみろ」


闇商人「まぁ驚きは無いね…同じ様に思ってたからさ」フフ


盗賊「いつものビックリ解釈は無いんか?」


闇商人「僕が答えを言って良いんだろうか?イクラの面目を潰してしまわないかい?」


青年「そんな事気にしなくて良い」


闇商人「じゃぁズバリ…その仕組みを200年ぐらい前の精霊が変えようとしたんだ…」


青年「どんな風に?」


闇商人「生まれ変わる先を植物か虫にするのさ…そういう選択しか出来ない仕組みに変えようとした」


青年「エルフみたいにか…それはそれで良さそうだね…」


闇商人「でもね?事件が起きる…」



精霊が守ろうとしていた人間達が拒絶し始めたんだ…


魔王の影響では無く…人間自体がその仕組みを拒んだんだよ


どうしてだろうね?



闇商人「フフ…」ニヤリ


青年「精霊を裏切った理由…何だろう?」


闇商人「アラン!君は分かるかい?」


盗賊「愛だ…愛が伝搬しなくなるのを嫌がったからだ…それしか考えられん」


闇商人「ハハさすがだね…正解だよ」



時の王と呼ばれたルーシェ王と精霊シルフの愛が終わった原因もこれが理由だね


なぜなら当時の精霊シルフは人間が紡いで来た愛の重さを理解出来なかったのさ…人工の機械で出来た脳だったからね


だからアーカイブの仕組みを変える事を推し進めた…いや…その様に人間を誘導してきた


でも人間はそれと同時に愛を失う事に気付いたんだ



盗賊「つまりこういう事だ…愛が勝つか…怨念が勝つか…そういう戦いがアーカイブを通じて起きてる」


闇商人「今の所…怨念が優勢…なんでだか分かる?」


盗賊「おっと?そういやなんで悪い奴ばっかり目立つんだろうな?」


闇商人「20年前まで居たとされる神だよ…善良で優秀な魂を集めて居たらしい…天国に行くとかいう理由でね?」


盗賊「なるほど…良い者の絶対数が減ってた訳か…」


闇商人「勇者達はその仕組みを神と一緒に消し去った…それが今だね…やっと魔王と対等に戦える土壌になった訳さ」


学者「ちっと口挟みやす…神のやってた事の逆で悪い者の絶対数ってどうにかして減らせやせんか?」


闇商人「それをやってたのがかつての勇者なんだよ…集めた魔王を消し去るんだ」


学者「いやいや他に方法は無いのかって話なんす」


闇商人「他に…そうだ…そういえば重力炉で魔石に変えられた魔王がエド・モント要衝に運ばれたとかなんとか…」


学者「ちょちょちょ…なんなんすかその話?」


闇商人「20年前の話さ…それも当時の勇者達が消し去ったみたいだよ」


学者「兄貴…海賊王が持ってた重力炉が機動隊の手に渡った理由ってコレじゃないすか?」


盗賊「その可能性はありそうだ…それは置いといてどうもアーカイブがこのままだってのもイカン気がする訳よ」


学者「管理人っすよ管理人!ホムコさんにお願い出来やせんかね?」


闇商人「ああああああ!!そうか…もう管理人は居るんだ」


学者「どういう事っすか?」


闇商人「シャ・バクダの精霊樹だよ…僕が今言った話は少し違うな…ちゃんと管理されたアーカイブに移れば良いだけの話なんだ」


盗賊「どうやって移るのよ?」


闇商人「もう移ってる…もう一つ別の世界が既にあるんだよ…問題はどうやって調和して行くかなんだ…そうか…」ブツブツ


学者「あらら…独り言始まっちまいやしたね?」


盗賊「まぁとりあえずイクラは引き続き呪い関連の調べを続けてくれ」


青年「分かってるさ…今の話で思う所も色々出て来たしね」




『甲板』



スタスタ…



盗賊「おお何処行ってたんだよ…待ってたんだ」


女ハンター「なんかロストノーズに手配書が回ってるから私も隠れながら行動しなきゃいけないのよ…なんか用?」


盗賊「気球が戻ってきたもんでちっと情報集めにシン・リーンまで行こうと思ってな」


女ハンター「戦車は動かさない?」


盗賊「目立つもんだからな…誰が敵に回っちまうか分からんもんだから気球で行動の方が後々良いと思った」


女ハンター「メンバーは?」


盗賊「バレンを考えてたんだがどうも重すぎだ…お前とミルク連れて行こうと思ってる…ミルクは何処行ったか知らんか?」


女ハンター「夜行動してるから昼間の内は戦車の中で寝てる筈…」


盗賊「なんだ戦車の中に居たんか…通りで見つからんわ」


女ハンター「静かで寝心地が良いのよ…それで?もう行くの?」


盗賊「お前が良ければちゃっちゃと移動したい」


女ハンター「分かったわ…私はライフル持って行くからアランはバヨネッタを持って行って…ミルクちゃんはプラズマが良さそう」


盗賊「おう!準備する」




『船尾楼』



ガチャリ バタン



盗賊「おうバレン居たな?ちっと頼みがある」


戦士「んん?この私に出来る事で有れば何でも…」ズイ


盗賊「船をシン・リーン北にある新しい港町まで移動させて欲しいんだ…今満足に帆を開けるのはバレンしか居無え」


学者「兄貴?ミライ君にはその話伝わっていやすかね?」


盗賊「いや伝わっとらん…イッコに頼んで妖精でどうにか連絡させてくれ」


学者「あらら?まぁ良いんすがどういう方針転換っすか?」


盗賊「此処に居ても物資の買い入れがいまいちな様だからな?木材が全然買い進まんだろ?」


学者「そーっすね…あんま金儲けも出来る町じゃ無いっすね」


盗賊「ほんで俺はシン・リーンで軽く情報仕入れてから合流すっから船を移動させておいて欲しい訳だ」


戦士「船を動かすのは殆ど経験が無いのだが問題無いのだろうか?」


盗賊「負傷したドワーフが4人乗ってるだろ…コツを聞きながら上手い事やってくれぇ」


学者「まぁ大丈夫っすよ…ドワーフ4人も全然動けん訳じゃ無いもんで力仕事だけバレンさんがやれば問題無いっす」


盗賊「ほんじゃ俺とラスは早速気球で移動すんな?ミルクも連れて行くぜ?」


学者「分かりやした…海に居れば野党も心配ないんで安心っすわ」




『気球』



フワフワ シュゴーーーー



狼女「むにゃーー気持ち良く寝てた所なのに無理矢理起こすな」グター


盗賊「ウルフ達から何か情報聞けて無いのか?」


狼女「前と変わらん…敵が銃器を持ってるから危ないと言ってる」


盗賊「んん?前からってどういう事よ?」


狼女「そうかアランは知らんかったか…多分ロストノーズが銃器を持って敵側に居るぞ」


女ハンター「それで手配書が出回ってる?」


狼女「良く分からん…森の中は多分ゴチャゴチャだ」


女ハンター「銃器と言っても弾薬がどの程度あるかに寄るわね…船や気球と違って徒歩だと沢山は持てない」


盗賊「俺等ライフル弾はあとどんくらい残ってる?」


女ハンター「もう100発も無いわ…ミライ君に作ってもらうか何処かで仕入れないと…」


盗賊「こっちの大陸じゃ仕入れるのムリだな…バヨネッタの弾ですら中々無い」


女ハンター「そうそう…動き出した謎の機械の事だけれど」


盗賊「なんか知ってんのか?」


女ハンター「ドロイドって聞いた事ある?」


盗賊「そらもっと大型の奴だろ」


女ハンター「種類が色々有るらしいのよ…大型の奴はワーカードロイド」


盗賊「ほんじゃあのちっこいやつは何て言うんだ?」


女ハンター「バトルドロイド…」


盗賊「なんでお前そんな事知ってんのよ?」


女ハンター「前線で狙撃の担当だったから…通信で色々聞こえて来ただけ」


盗賊「ほーん…俺はあんま知らんのだがやっぱヤバイ奴か?」


女ハンター「キラーポッドと大した変わらないけれど今言った様に色んな種類が有るらしいから…」


盗賊「他のも動いてるかも知れんって事か…」


女ハンター「私達が持ってる戦車もドロイドの一種だから突然動き出すのにも注意した方が良い」


盗賊「なるほど…なんか分かって来たぞ?人が乗って操作するタイプがワーカードロイドだな?」


女ハンター「それは知らない…」


盗賊「自律で動くのがバトルドロイドだ…ほんで局地戦様にいろんな種類が有る訳だ…こりゃ森には近付けんな…」


女ハンター「もう行く予定は無いでしょう?」


盗賊「まぁな?機械は守備範囲あって遠くまで移動して来んから近付かなきゃ良い」


狼女「ふむ…それはウルフ達に伝えた方が良いな…何処かで一回下ろしてくれ」


盗賊「へいへい…もうちょい待ってろ」





『数日後_商隊の上空』



フワフワ シュゴーーー



女ハンター「馬車が4台…傭騎兵も一応護衛に付いて居るわね」


盗賊「馬車の後方で歩いてる裸の奴らは奴隷にされちまった様だな…」


女ハンター「当然ね…下手な武装で商隊を襲って返り討ちに遭ったのよ」


盗賊「シン・リーンで奴隷連れ回して良いんか?」


女ハンター「さぁ?衛兵に引き渡すつもりなのでは?」


盗賊「しかしまぁ随分と肥えた野党だ…たらふくエサ食ってたのかも知れん」


女ハンター「どういう理由で家畜に変身させられていたのか気にならない?」


盗賊「それなりの悪党じゃ無えかと言う事なんだが…」


女ハンター「言論統制の結果だったとしたら?」


盗賊「従わない奴は家畜にしてたってか…やり方がゲスいな」


女ハンター「本人たちがどう証言するか分からないけれど…王権がひっくり返ってしまいそう」


盗賊「俺等にゃ関係無いぞ…そもそも魔法がクソくらえだ…魔法の国なんか無くなっちまえば良い」


狼女「ミルクがウルフになってしまうのは魔法じゃ無いのか?何も変わらんぞ?」


女ハンター「それはライカンスロープ症という病気の一種」


狼女「病気ならエリクサー飲んでどうして治らん?」


盗賊「呪いなのかもな?アーカイブのシステムにそういう設定が有るんだろう」


女ハンター「治癒したいの?」


狼女「ハハは治療の方法も探してたぞ…シン・リーンの魔術師がそれを邪魔してたみたいだ」


盗賊「おっと?また新しい情報が出て来たな?」


狼女「新しく発見された古代遺跡だ…シン・リーンの魔術師が研究してて立ち入り出来なかったらしい」


盗賊「そりゃ何処よ?」


狼女「カイロだったと思う…スエ・ズー海峡の近くだ」


盗賊「おおお!?そういや幽霊船もどきの立ち寄り場所の一つだったか…」


女ハンター「そこにも何か隠されて居そうね…もう一つのアーカイブとか…」


盗賊「よーし!!今度お宝探しに行ってみっか?」


狼女「絶対だぞ?」


盗賊「まぁルーデウスの件がひと段落した後な?」---なるほど---



---それぞれのアーカイブに要らん設定が有りそうだって訳か---


---こりゃやる事が尽きんわ---




『シン・リーン上空』



フワフワ



女ハンター「気球発着場にそのまま降ろしても?」


盗賊「そうだな…この気球は他のと変わらんから置かせて貰えるんじゃ無えか?」


女ハンター「返却用の書類なんか持って居ないけれど…」


盗賊「ちっと金掛かっちまうかも知れんが他の場所に置いとくと不便になっちまう」


女ハンター「仕方ないわね…」


盗賊「金はどんくらい持ってる?」


女ハンター「金貨20枚弱」


盗賊「あんま余裕は無いか…てかどうせ宿にも入れんだろうから寝泊まりは気球だ」


女ハンター「水浴びだけは何処かでさせてもらう」


盗賊「へいへい…」


狼女「アラン!なんか揉め事の声が聞こえるぞ…城の方だ」


盗賊「早速情報が入って来そうだな?何を揉めてる?」


狼女「誰かが魔法を返還しろと騒いでるな」


女ハンター「魔術師?」


狼女「分からん…もう少し聞いておく」


盗賊「こりゃ魔法が使えなくなった原因を知らんもんだから国のせいにしてんじゃ無えのか?」


狼女「なんかそんな感じだ…ふむふむ…シン・リーンは黄金も何処かに隠してるみたいだな」


盗賊「そりゃサルベージしてたからたんまり持っとるわ」


狼女「それも返還しろと騒いで大衆を扇動しようとしてるぞ」


女ハンター「見えた…あそこね?」ユビサシ


盗賊「どれどれ…クーデター首謀者の顔でも拝んでおくか…」


女ハンター「黒い法衣みたいのを着込んでる人達…シン・リーンでは魔術師と分かる恰好は禁止されて居たのでは?」


盗賊「どうなんだろうな?」


女ハンター「城に居る側の人はみんな金属製の鎧で武装してる…なんか様子が違う…」


盗賊「こりゃ面白い情報がわんさか有りそうだ…気球降りたら俺は現場行ってみるわ」


狼女「ミルクも行くぞ」


女ハンター「じゃぁ私は宿屋で水浴びして軽く酒場とかで話を聞いて来るわ」


盗賊「集合は気球な?」


女ハンター「日暮れ前に一度戻って来て」





『城門前』



ザワザワ ガヤガヤ


女王と話をさせろぉ!!玉座に座って居たのは一体誰なんだぁ!!


黙れ黙れーい!!これ以上騒ぎ立てをするならば切るぞ!!


ぐぬぬ魔術師共め…時空を先に動ける事を理由に我らへ接近戦を強要しようと言うか…魔法の制限を止めさせろぉ!!


黙れ黙れ黙れ黙れーーい!!魔導士は何人たりともこの門は潜らせん!!射手!!構え!!



盗賊「おうおう…こりゃ流れ矢に当たるかも知れん…ミルク!背に隠れろ」


狼女「分かってる…」ピョン ガシ



衛兵隊長「撃てぇぇぇ!!」



シュン シュン シュン シュン!!



盗賊「危ねぇ!!マジで撃ちやがった…」タジ


狼女「これは城に近付ける感じじゃ無いな…」


盗賊「どうやら魔導士が城を追い出された感じか?」


狼女「多分そうだ…城の方で指揮を取ってるのはシン・リーンの姫みたいだぞ?」


盗賊「もしかしてルイーダが目覚めたか?」


狼女「それは分からん…3人居る内の一人だ」


盗賊「てか姫が兵隊を指揮るってのもおかしな話だ…普通は近衛兵とかなんだが…」


狼女「兵隊の指揮は誰だか分からん…金属製の鎧を集めて戦闘に備えさせてるのが姫だと言う事だ」


盗賊「なるほど…」


狼女「城の中の方はあまり混乱した声は聞こえん…騒いで居るのは追い出された魔導士だけみたいだ」


盗賊「この感じだと国がひっくり返る事態にはなりそうに無えわ」


狼女「でもそこら中で文句の声が聞こえるぞ…」


盗賊「どんな文句だ?」


狼女「騙されてたとかそんなのばっかりだ…女に変身してたのが男だったとかが多いな」


盗賊「ぐはぁ…しょぼい文句だこと…」


狼女「そうでもない…元に戻す為に色々作戦建ててる話も聞こえる」


盗賊「何かよう…俺はここにゾンビが大量に来てる想定をしてたんだが…そういう噂は無いんか?」


狼女「ここでは聞こえんな…場所を変えるぞ」




『露店』



ワイワイ ガヤガヤ


おい!魔石が何処にも売って無いぞ…杖類も全部売り切れだぁ…どうする?


スプリガン狩りで入手するしか無いな…代わりに毒消しを入手して行こう



盗賊「儲け儲け…使い終わった魔石がえらい高値で売れたわ」ジャラリ


狼女「腹が減ったぞ…豆買ってくれ」


盗賊「おお好きなだけ買ってこい…金貨2枚で足りるな?」チャリン



タッタッタ



女ハンター「アラン!!」


盗賊「おお?」


女ハンター「探す手間が省けたみたい…一緒に行動した方が良さそう」


盗賊「水浴びは済んだか?」


女ハンター「人が一杯で軽く汗を拭いただけ」


盗賊「なんか情報聞けてるか?」


女ハンター「魔物討伐作戦で沢山の高ランカー冒険者が惨敗して戻って来て居るらしいわ」


盗賊「まだ始まっても無いだろう」


女ハンター「我先にと先行したのだと思う…足並み揃って無いからしっぺ返し食らいそう」


盗賊「どういう作戦なのか良く知らんのだが…」


女ハンター「多方面からの囲い込みね…魔法が無くなってしまったと考えると囲い込みも難しいと思う」


盗賊「ゾンビの情報は無いか?」


女ハンター「それは聞いてない…いつもの奴でゾンビが来るとしたらこちらが消耗した後ね」


盗賊「まぁ大量に来たとしても外壁をよじ登ってまで入って来ることは無いか」


女ハンター「そうね…結構外壁がしっかりしてるから攻められにくいと思うわ」


狼女「アラン!また悪い噂が聞こえて来た…気球が危ないぞ」


盗賊「おっと?誰か盗もうとしてるんか?」


女ハンター「盗んでも推進する装置は私が持ってるから何処にも行けない筈」


狼女「違う…多分追い出された魔導士達が空の安全を確保する為だ…小さな気球を使って城に乗り込むみたいだ」


盗賊「こりゃ内部紛争に俺等巻き込まれちまうな…」


女ハンター「一旦離れた方が良さそうね」


盗賊「クソう!酒場行こうと思ってたんだがな…」


狼女「急いで戻るぞ…もう動き始めてる」




『気球発着場』



ゴタゴタ


私達が先に借りる予定だったのよ…ほらコレが契約書


済まないが緊急事態なのだ…多めに返金するから今回は引き下がって貰いたい


ちょっと荷物の置き場に困る!勝手な事しないで!



盗賊「こりゃまたゴタゴタしてる様で…」キョロ


女ハンター「アラン!私達の気球の方にも誰か行ってる…急いで」タッタッタ


盗賊「ヌハハあいつら必死だな…」


女ハンター「いたたた…走るとまだ足が傷むから先に行って」


盗賊「そうか…ちっとビビらせてくんな?」





『気球』



タッタッタ



盗賊「ようよう…俺の気球に何かしようって気じゃ無いだろうな?」スラーン チャキ


魔導士1「むむ!!私達を相手に武器を抜いてどうなるか分かって居るのか?」タジ


盗賊「ほんなん知った事か!さっさと降りろ泥棒ヤロウ!」


魔導士2「おい!この気球はどうやって推進させる?」ゴソゴソ


盗賊「俺の言った事を聞いて居ないのか?」


魔導士1「緊急事態だ…後で返金するから引き下がってくれ」


盗賊「どうも話が通じん様だ…」グイ



ボキボキ ギュゥゥ



魔導士1「ぐあぁぁぁ…き…貴様こんな事をして…」


魔導士2「おい止めろ!!」ダダ


盗賊「おっと!?痛い目を見んと分からんか…」スパ


魔導士1「や…止めろ!」ボタボタ


魔導士2「血…」タジ


盗賊「今切ったのは静脈だが放置しとくと死ぬ…さぁどうすんだ?」


魔導時1「分かった…手を放してくれ」


盗賊「俺が手を放したら次はお前が襲って来るよな?」ギロリ


魔導士2「う…」


盗賊「下がれ!」


魔導士2「分かった…その手を放して早く止血を!」タジ


盗賊「始めから引き下がって置けば怪我なんぞせんで済んだだろうにな?」グイ ポイ


魔導士1「うぐぅ…」ゴロゴロ


魔導士2「おい大丈夫か!!」ダダ


盗賊「得意の魔法で癒してみたらどうよ?」


魔導士1「貴様それを知って!」


魔導士2「おい止めて置け…どうせこの気球には推進装置が無いから自由に飛べなかった…ここは引き上げよう」



タッタッタ



女ハンター「アラン!ちょっと…荒らげる真似は止して!」


魔導士1「くぅ…2人…いや3人か…」


狼女「アラン!こいつらの仲間がこっちに来そうだぞ」シュタタ


盗賊「こりゃさっさと逃げちまった方が良さそうだな?」


女ハンター「もう!!早く乗って!!」


盗賊「…と言う事だ…その傷は早く処置せんとマジで死ぬぞ?じゃぁな?」ダダ





『上空』



フワフワ フワフワ



女ハンター「ふぅ…弓の射程圏外」


盗賊「追って来る感じは無さそうだな?」


女ハンター「どうしてもっと穏便に解決出来ないの?」


盗賊「ちっと試してみたくなってな…まぁそこそこ戦える体にはなってた…並みの戦士って感じか」


女ハンター「魔導士の実力を試したと言う事?」


盗賊「そうだ…反乱がどう収まるのかの判断材料だな」


女ハンター「じゃぁどうなるの?」


盗賊「人数次第だろうな?一気に城を急襲すりゃお姫さんぐらいは拉致出来るかもな?」


女ハンター「それが狙いなのね…」


狼女「…」クンクン キョロ


盗賊「お?ミルク…何か感付いたか?」


狼女「この感じ…何か来る」


女ハンター「下から気球は上がって来てない」


狼女「違う!上だ!小さな気球が来るぞ!」



スゥ…



盗賊「どわっ!!」ドテ


女ハンター「え!!?いきなり横に…」


盗賊「クソが!!反則技で接近して来たな?撃ち落としてやる!!」


狼女「待てアラン!向こうで何か相談してる」


女ハンター「アラン落ち着いて…向こうは弓を持って無さそう」


盗賊「こっちに手は出せんってか?」


女ハンター「このまま上昇を続けてやり過ごした方が穏便…様子を見て」


盗賊「お見合いか…向こうは2人乗りだな…」


狼女「なんか何処かに向かって通信してる声が聞こえる…ふむふむ…」


盗賊「なんて言ってんのよ?」


狼女「ラスが持ってたライフルがバレてるみたいだ…奪うかどうか相談してる」


女ハンター「あ…しまった…砲身がはみ出してるの忘れてた」



スゥ…



盗賊「消えた…」---狭間を上手く使ってる訳か---


狼女「声も消えた…城攻めを優先するみたいだ」


盗賊「ライフル持ちに下手に関わると損耗しちまう…まぁ妥当な判断だな」


女ハンター「この後どうする?」


盗賊「俺なら日が落ちてから城攻めだな…しばらく高見の見物だ」


女ハンター「じゃぁ私は望遠で観察しておくから気球の操作はお願い」


盗賊「分かった…適当に周遊しとくわ」



ここまで読んで頂きありがとうございます

ダラダラと趣味で書き綴って居た物語を一気にアップロードしましたが

今まで書いた文章はここまでなので今後はアップロード頻度が減るのでご報告

作者本人は物語をどう収束させていくとか殆ど考えずいつの間にこんなに長くなってしまいました

非常に読み難いですがご勘弁下さい

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