90.小さな機械の行方
『キャラック船_船尾楼』
ガチャリ バタン! ドタドタ
盗賊「おい!イクラシア!お前遺跡とか歴史の事に詳しいだろう!?」
青年「ど…どうしたんだろう急に」タジ
盗賊「呪いの事とか片っ端から調べろ…遺跡の呪いも無いもかも全部だ」
青年「魔法の事はどうなる?」
盗賊「魔法はもうどうでも良い…無くなった物を調べるだけ無駄だ…呪いに切り替えろ」
青年「いや…まぁ僕の専門分野ではあるんだけど…又急だね…書物が足りない」
盗賊「おいゲス!!イクラシア連れて書物を買いあさりに行け…資金はコレだ」ザラザラ
学者「おろろ?宝石全部貰っちゃって良い感じっすか?」
盗賊「ほんで俺は探し物に出かける…じゃぁな」
ガチャリ バタン!
青年「え…ええと…どういう話になってるんだろう?」
学者「酒場に行ったら魔術師に出会ったんすよ…ほんで呪いは魔法じゃないって警告されたんす」
青年「呪い…呪術の事かな?」
学者「分からんのですが兄貴はそれを聞いて顔色替えやした…何か感付いたんだと思いやす」
青年「でも確かに呪いは超古代から存在する魔法みたいなものだ…」
学者「わざわざ魔術師から警告されるってどういう事なんでしょうね?」
青年「その魔術師と話しても構わないんだろうか?」
学者「う~ん…どうしやしょうねぇ…一応ミスリル銀の何かを身に付けて行きやしょうか」
青年「それは魔王に対する警戒?」
学者「そーっす…魔王が誰の目を盗んでるか分からんので一応の警戒っす」
青年「わかった…発言には気を付けるよ」
学者「ほんじゃ書物探しがてら酒場に寄って行きやしょう」
青年「ええと…僕の杖はどこに置いたかな…」ゴソゴソ
ガチャリ バタン!
魔法使い「アランは戻ってる?」キョロ
学者「いやぁ…どっか行っちゃって行き先分からんすね…何か用がありやした?」
魔法使い「酒場のマスターが謝罪しておいてくれって…何か有ったの?」
学者「あのマスターは魔術師なんすよ」
魔法使い「そういう事ね…色々質問されておかしいなと思った」
学者「ほんで兄貴に対して呪いは魔法じゃないという警告をしたんす」
魔法使い「それ私も言われた」
学者「兄貴は警告と言われて顔色替えやした…マイさんは理由とか分かりやせんか?」
魔法使い「呪い…呪術はまだ使えると言う意思表示?」
学者「んんん…何か違いそうっすねぇ…」
青年「そういえばオークは呪符を使って強化したりするよね?」
学者「知って居やすよ…いや待てよ?」トーイメ
機動隊がヒュー・ストン攻略に拘ってる理由がソレだと兄貴は言ってやしたね
でも大穴に落ちて攻略出来んかったもんで先にアーカイブの時間を同期させようとした
つまり機動隊は初めからオークの呪術を無くそうとしてる可能性があるという事っすね
青年「ゲスさん…準備出来たよ」ヨタヨタ
学者「あぁ…さーせん…肩を貸しやすよ」
青年「大丈夫…杖が有れば自分で歩けるから」
学者「転ばんでくだせぇよ?」
『居室』
ペリペリ…
闇商人「いたたたた…ふぅぅぅぅ」
女ハンター「大分膿の量が減って来たみたい…包帯の巻替えはもう少し間隔を置いても良さそう」
闇商人「それはありがたい…張り付いた包帯を剥がすのが苦痛でさ…」
女ハンター「消毒は自分でやって」
闇商人「うん…ありがとう」フキフキ
女ハンター「私は少し外を歩いて来るから後はカゲミとイッコに任せたわ」
闇商人「僕も包帯を巻き終わったら外に出て見ようかな…イッコはどうする?」
賢者「私は樽湯に浸かって休んでおきます…ミファさんの看護もありますし」
闇商人「何かお土産で欲しい物有るかな?」
賢者「装備品が欲しいです…金属糸などの丈夫な素材で…」
闇商人「確かにそうだね…平服で行動するからこんな火傷してしまったりするんだ」
賢者「はい…もう痛いのは嫌です」
女ハンター「フフ…今頃言っても遅いけど…私は先に行くわ?ごゆっくり?」スタ
賢者「カゲミさん」
闇商人「ん?」
賢者「船尾楼の方で話してる声が聞こえて居ましたが…カゲミさんは何か行動されますか?」
闇商人「呪いかぁ…僕は少し違う解釈をしてるんだよ」
賢者「…と言いますと?」
闇商人「呪いの正体はアーカイブその物だと思ってる」
賢者「やっぱりそうですか…」
闇商人「誰の目も覗けるなんていう仕組みが在って良い訳が無い…しかも誰かを操れるなんて論外だ」
賢者「アランさんはその辺を理解して居ると思いますか?」
闇商人「多分分かってるよ…そういう勘は鋭いから」
賢者「ではもう一度…カゲミさんはどう行動されますか?」
闇商人「厳しい追及をするね?僕を誘導しようとしているのかな?」
賢者「いえ…もう私達はこの仕組みに従うしかない様に思うので無駄死にに至る行動は避けて欲しいと思っています」
闇商人「あぁ心配しなくても君はこの仕組みに組み込まれて居ないと思う」
賢者「え?どういう事でしょう?」
闇商人「ズバリ…ドワーフ一族も完全にこの仕組みの外側だよ…だから魔王の影響を受けない」
闇商人「加えて言うとオークもエルフも輪廻の仕組みが違う」
賢者「呪われて居るのは人間だけと言う事でしょうか?」
闇商人「そうだね…だからかつての精霊は人間と他種族の交配を推進した…純血の人間を無くそうとしたんだ」
賢者「ちょっと待ってください…バレンさんは誰かの目を覗くことが出来たのでは?」
闇商人「ハハ同じ種族は覗けるのかもね…でも他の種族は見え方が違うから覗けないと言うのが答えだと思う」
賢者「ハッ!!目が違う…」
闇商人「そういう事…今までの傾向からして魔王が覗く事の出来る目は人間に限られる様に思う」
賢者「ルーデウスは魔王に侵されて居ない…という事でしょうか?」
闇商人「答えを言ってしまおうかな…」
賢者「はい…」
闇商人「幻惑の杖で誰かに命令されたんだよ…」
賢者「まさかルイーダ?」
闇商人「さぁね?最後に幻惑の杖を持って居たのはルイーダだった筈…でも真相は分からない」
賢者「その話からすると幻惑の杖を破壊してしまえば良さそうに思います」
闇商人「僕にそれが出来ると思う?」
賢者「いえ…」
闇商人「やっぱり鍵を握ってるのはアランさ…僕はアランをサポートする位でしか役に立たない」
賢者「呪いの話から少し逸れてしまいましたね…アーカイブはどうすれば良いと思いますか?」
闇商人「僕はそれもかつての精霊が既に手を打ってると思ってる」
賢者「キノコの件ですね?」
闇商人「問題はそれがいつ起きるか…それまで生き残ると言う選択しか無いと思うんだ」
賢者「ではカゲミさんは命を大事に行動してください」
闇商人「分かって居るさ」
僕はマルコさんの様に事実を後世へ残すという事もやって行かなければならない
まだまだ死ねないよ
『市場』
ワイワイ ガヤガヤ
ほら装備品安いよ~冒険に出るなら必需品だぁ!!
毛皮は要らんかね~寒くなると値上がりするから今の内が買い時だよ~
闇商人「…」---どうやら包帯でグルグル巻きの僕は隠者に見える様だ---
闇商人「…」---誰も目を合わせようとしない---
闇商人「…」---それはそれで都合が良いか---
闇商人「…」---薬と膿の匂いがキツイのかも知れないな---
闇商人「…」---いつになったら水浴びが出来るだろう---
学者「おろろ?カゲミさん出歩いてるじゃないすか?」
闇商人「あ…ゲスか…イクラは何処に?」キョロ
学者「書店の方で唸って居やすね…待ってるのが長いんで俺っちは市場の見回りっすよ」
闇商人「そうか…僕も見に行ってみようかな」
学者「あんま良さそうな書物も無いんで期待出来やせんぜ?」
闇商人「良い書物を探すならハジ・マリ聖堂の書庫だね…イクラシアは考古学者の身分証があるから入れて貰えるかもしれない」
学者「遠いじゃないすか」
闇商人「まぁしばらく滞在するんだからマイとロイドを護衛に付けて見に行かせるのも良いさ」
学者「ふむ…兄貴が本気モードに入ってるみたいなんでそうしやすかねぇ…気球で行けば1日掛からんすもんね」
闇商人「アランの行先は?」
学者「分からんす」
闇商人「まぁ良いや」
学者「書店に行くなら俺っちがその荷物を船まで運んどきやしょうか?」
闇商人「お?助かるなぁ…金属繊維の装備品が安いから買っておいたんだ」
学者「アハ…それドワーフ達が売った奴っすね」
闇商人「そうだね…どうも売れ残ってるみたいだよ」
学者「あと魔石がどういう訳か安いんで高騰する前に買い占めた方が良い様に思いやす」
闇商人「それは僕も考えてた…どうして半額近い相場で取引されてるのかも気になる」
学者「資金はどうっすか?」
闇商人「海賊王に半分くらい物資を持って行かれてキツイかな…まぁやり繰りするしか無いね」
学者「俺っちがポーションで荒稼ぎする予定なんで見てて下せぇヌフフフフ」
闇商人「じゃぁ困った時はゲスに相談しようかな」
学者「ほんじゃ装備品を運んどきやすね」ヨッコラ
闇商人「頼むよ…僕は後からイクラシアと一緒に船に戻る」
学者「分かりやした」ノシ
『キャラック船』
アーデモナイ コーデモナイ
…いえ私は幻惑の杖の事をあまり良く知らないのです
では魔術書に記されて居る事だけでも良いので教えて貰えぬか?
はい…先ほどから申しておりますように…
学者「戻りやしたぁぁ!!」
戦士「おお!!ゲシュタルト殿…良い所に戻られた」ドドド
学者「どうかしやした?」ハテ?
戦士「不謹慎な話なのだが…弟のルーデウスを救う事が出来るかも知れないのだよ」
学者「ちょい待ちちょい待ち…なんで救うとか言う話になっちゃってるんすかね?」
賢者「私とカゲミさんが会話して居たのですが…ルーデウスは幻惑の杖で操られて居るのでは無いかと…」
学者「あらあら?又新説が出て来やしたね?」
戦士「思い当たる事も有るのだよ…弟はかつての公爵には逆らえなかったのだ…幻惑されていたとすると辻褄も合う」
学者「言っちゃ悪いんすが今更救うってのもちっと厳しいと思いやすが…」
戦士「罪が消える訳では無い事は分かって居る…ただ幻惑されて居ると言うならせめて目を覚まさせてやりたい」
学者「そういう事っすか…」
戦士「私にとってただ一人残された大事な弟…どうしても見捨てたくない…分かって下さるか?」
学者「ええと…バレンさんちっと勘違いしてるかも知れやせんが…血の繋がりはありやせんぜ?」
戦士「共に幼少を過ごした繋がりはある…貴族達の中で辛い立場に置かれても支え合って来た繋がりもある…私は一生忘れない」
学者「こりゃ兄貴入れて話した方が良さそうっすね…」
盗賊「聞いてるぜ?」
戦士「おおアラン殿!見張り台の上に居られたか」
学者「兄貴そんな所で何やってるんすか」
盗賊「望遠鏡で魔術師を観察してた所でバレンがイッコに詰め寄ってるから聞き耳立ててた訳よ」
学者「まぁ聞いてたんなら話が早いっすね」
盗賊「幻惑の杖ってのをどうにかすんのは賛成だ…それでルーデウスが救われるってんならそれも良いだろう」
盗賊「だがな?犯した罪の償いは避けて通れん…そんだけだ」
賢者「あのぅ…アーカイブの存在を知った今…罪の償いとはどういう意味を持ちますか?」
盗賊「こりゃ痛い質問が帰って来たな…」
学者「この世界は地獄っすね…こっから逃れる手段が神様だった訳っす…それが無くなったのが現状っすね」
盗賊「ちっとこの話は考えさせてくれぇ…一旦お預けだ」---クソう---
---量子転移とかいう魔法で膨れ上がった魔王を消し去るのは必要な処置だった訳か---
---魔法さえ無くなればすべて解決するなんざ考えが甘過ぎだった---
---多分機動隊が世界をリセットさせたい理由はコレだな---
---どうすりゃ良い?---
『見張り台』
ドタドタ
ゲシュタルト殿…幻惑の杖がどの様な形をしているか記した書物は無かろうか?
魔術書に記しちゃ居るんすがあんま詳しくわかりやせんぜ?
持って居るなら拝見させて頂きたい…それからその効果について知って居る事も伺いたい
とりあえず居室行きやしょうか…俺っちの本棚に入れて有りやすんで
いやいや済まないね…早速拝見させて頂こう ドタドタ
盗賊「…」---バレンの奴食い下がってんな---
盗賊「…」---たった一人残された弟を救いたいってか---
盗賊「…」---気持ちは分からんでも無いが…救い様が無えぞ---
盗賊「…」---しかしまぁ…あいつ等も孤児みたいな環境だったって訳か---
盗賊「…」---誰からも愛されず心が歪んじまってルーデウスみたいのが育っちまった---
盗賊「…」---この歪んだ世界の中じゃ魔王が生まれるのは防げんのかも知れんな---
盗賊「…」---嫌な世界だぜ全く…---
『数日後…キャラック船甲板』
ピョン スタ!
学者「兄貴ぃ!!此処ん所見張り台に上がったり降りたり何やってるんすか?」
盗賊「んあ?俺の船が戻って来無えか気になってな…後は周囲の監視だ」
学者「あと一人でコソコソ何かやって居やすよね?俺っちにも教えて下せぇよ」
盗賊「秘密だ…誰がお前の目を覗いてるか分からんからな」
学者「魔王はミスリル銀を避けるとかじゃ無かったですかね?俺っちミスリルダガー持っていやすぜ?」
盗賊「そらいつの時代の魔王の話なんだ?」ギロリ
学者「ええ!?」
盗賊「俺はそんな迷信を信じちゃ居無え」
学者「そんな事言ったら兄貴の目だって誰かに覗かれてるかも知れやせんぜ?」
盗賊「うるせぇ黙れ!それが分かってたら秘密を見ない様にする工夫も出来るだろうが!」
学者「おお?そういう事っすか…」
盗賊「まぁ俺の事は気にすんな…それよかイエティ狩りでも何でも良いから資金調達しろ」
学者「ポーションが結構儲かって居やすがダメっすか?」
盗賊「魔石を全部買い占めろ…これから入用になる筈だ」
学者「全部っすか…カゲミさんと相談しやすかねぇ…」
盗賊「…」
---隠れ家に出入りする俺とラスの目を覗いて誰か調べに来るかも知れんとは思って居たが---
---そうそう他人の目を見て何か行動起こす事も出来んか---
---まぁそもそも他人の目を覗いても自由に動かせる訳じゃ無えしな---
学者「そういや兄貴!呪いの件でちっと面白い事発見しやしたぜ?」
盗賊「お?言ってみろ」
学者「言霊って分かりやす?」
盗賊「分からん…呪いの言葉か何かか?」
学者「それも有るんすが要するに発した言葉どおりの結果を表す力の事を言うんす」
盗賊「ほーん…ほんで?」
学者「それも呪いの一種なんすよ…まぁ暗示みたいなもんなんすが兄貴の発する言葉はそういう力を持って居るかも知れやせん」
盗賊「そんな自覚は無いけどな?」
学者「ええとですね…なんでそんな不思議な事が起きるか考えて見やしょう」
盗賊「んな暇無えよ」
学者「ズバリ言いやすよ?」
盗賊「もったいぶんな!ちゃっちゃと言えや」
学者「アーカイブの中に居るのは悪い人間ばかりじゃ無いって事っス…兄貴の協力者も居るっちゅう事なんすよ」
盗賊「おっと…まさかそいつらが言霊の正体だってか?」
学者「守護霊が居るとか良く言うじゃないすか…ほんで兄貴は色んな人から輸血されて居やすよね?」
盗賊「ほーーー縁が在る訳か…」
学者「そういう事っす…もしかしたら死んだ姉御も兄貴の目を覗いてるかも知れやせんぜ?」
盗賊「ゲスお前…カゲミ張りに良い事気付く様になったな?」
学者「ウヒヒヒこれのお陰かも知れやせんねぇ…ウヒヒヒヒ」スッ
盗賊「おお!そりゃルーシェンなんとかの遺産だったか…知力の指輪だっけか…」
学者「兄貴は命の指輪の筈なんで更にしぶとくなってるかもっすね」
盗賊「そうか…それでラスは一人で何か試してんだな?」
学者「ラスさんもなんかコソコソしてるんすが何処行っちゃったんすかね?」
盗賊「さぁな?偏差がおかしいとか言ってブツブツ言っとったわ…それを言うとバレンもやたら力仕事をやる様になった」
学者「なんか微妙だと思ってたんすがマジもんのユニークアイテムっすね」
『船首楼_作業台』
グリグリ ギュゥゥゥ
剣士「よし!!こんなもんかな…姉さんの両手剣に雷の魔石を仕込んでみた」
女オーク「これで雷魔法が使える?」
剣士「空から落ちて来る訳じゃ無いよ?先端からビビビーっと出る感じ」
女オーク「どうやって使えば?」
剣士「柄の飾り石になってる魔石を強く握り込むのさ…握り具合で威力を調整出来るから試してみて」
女オーク「広い場所の方が良さそうね…」
剣士「そうだね…あとバレンさんのコバルトの剣も魔石を仕込んだから渡して来て欲しいな」
女オーク「一緒に試そうとか言われそう…」
剣士「あーバレンさんの剣の方は刃にミスリルを使って無いから雷が出せないんだよ」
女オーク「効果が違うと言う事?」
剣士「うん…金属に電気が放電して溶断する感じだよ…メタル切りって言えば良いのかな?」
女オーク「じゃぁ一緒に試す必要も無さそうね」
剣士「ハハ…そんなに一緒が嫌なのかな?」
女オーク「嫌と言うか面倒くさい…いちいち張り合って来るから」
剣士「じゃぁ剣の名前も別の方が良いなぁ…う~ん…」
女オーク「名前は別に良いわ」
剣士「ダメだよ僕のこだわりなんだから…ええと姉さんの剣は雷神の剣で…バレンさんは雷電の剣にしようか」
女オーク「似た様な物じゃない…フフまぁ良いわ」
剣士「マイさん用の槍も作りたいけどコバルトが無いと増幅効果が無いんだよなぁ…」
女オーク「あ…カゲミさんが何処で拾って来たのかコバルト製のナイフを持ってた気がするわ」
剣士「お!?ナイフなら大きさ的にスピアヘッドで丁度良いかも知れない…ミスリルと組み合わせて作れば行けそう」
女オーク「ついでに聞いて来てあげるわ」
剣士「おけおけ!よーし!もう柄を作ってしまおう!」
『蒸気船』
ドタドタ
桟橋を挟んでミライの船の反対側につけや!!
がってーーーん!! ドタドタ
盗賊「やっと俺の船の到着か…おいガッツ!!そっちに何人乗ってる!?」
航海士「俺等合わせて6人や!しばらく世話んなるで?」
盗賊「そうも言っとれん…ガッツとゴッツにゃ又運んで欲しい物があるんだ」
航海士「何を運ぶんよ?」
盗賊「まぁ詳しい話はミライから聞いてくれ…とりあえず残りのドワーフ4人はこっちの船に乗り移ってくれ」
航海士「怪我して今はあまり働けんが良いんか?」
盗賊「そら構わん…丁度ベッドが空き始めた所だ」
シュタタタ
剣士「ガッツさ~ん!!」
航海士「ミライかぁ!!無事そうで何よりやぁ!!」
剣士「ドラゴンの骨はどうなったかなぁ?」
航海士「ガハハ残念やがお頭が全部持って行ったわ!運んで来たのは壊れた魔導砲だけやな」
剣士「なぁ~んだ…加工したかったのになぁ…」ショボン
航海士「それよりアランが何か荷物を運んでくれ言うとるんやがどういう事や?」
剣士「名も無き島までちょっとね…その船だとどのくらい掛かりそうかな?」
航海士「浅瀬を迂回せんで行けるで10日前後やと思うで?」
剣士「おけおけ!じゃぁ荷を積み替えようかな」
航海士「マテマテ直ぐに行くんか?」
剣士「ダメ?」
航海士「夏の間は島に居る連中も物資が届くのを楽しみにしとるやろ…色々仕入れて行った方がええ!」
剣士「大丈夫大丈夫!小麦もシカ肉ももう仕入れて有るから」
航海士「子供がようさん居ったろう…羊皮紙とかインクもあったほうがええで?」
盗賊「ほう?ほんじゃ子供向けに俺が物資調達行って来るわ」
航海士「この船はあまり沢山荷物を詰める船やないでほどほどにな?」
盗賊「そうそうミライ!!例の小型ボイラーに使ってるウラン結晶を回収しといてくれ」
剣士「おけおけ!任せて!!」
航海士「ボイラー使えんのなら暖を取るのに木材か石炭を乗せなイカンのやが…」
剣士「外輪が邪魔だから解体して燃やしてしまおう」
航海士「ほんなら早い所外して乾かさな…ゴッツ!!解体やぁ!!」
船大工「がってーーーん!!」ドタドタ
『外輪解体中』
ギコギコ バキバキ
盗賊「土産もん仕入れて来たぜ?何処置いときゃ良い?」
航海士「適当に甲板に並べとけばええで?」
盗賊「甲板が散らかり放題なんだが…」
航海士「要らん鉄くずは降ろしといてくれえ」
盗賊「へいへい…てか俺の船だって事分かってるよな?」
航海士「外輪無くなってスッキリしたやろーガハハハ」
盗賊「まぁ貰いもんだから良いっちゃ良いんだが…」
航海士「この船はなぁ…楼が無いやろ?これからこういう船が主流になっていくで?」
盗賊「俺はがっちりした船首楼と船尾楼のあるキャラック船が好みだ」
航海士「それやと大砲の取り回しが融通利かんやろ…甲板は広くて段差が無い方が使いやすいんや」
盗賊「ほーん…」
航海士「マストが2本しか無いけどな?外輪外した分かなり速度乗る筈や」
盗賊「こいつは普通のスクーナーより使い勝手良いんか?」
航海士「帆装で言うたらこいつもスクーナーなんやが最近ではフリゲート船言われる様になって来た」
盗賊「特徴が良く分からん」
航海士「軽くて速いの一言やな…荷室はアクセス悪いで甲板に山積みになってまうのが悪い所や」
盗賊「それで甲板がゴチャゴチャだってか」
航海士「どうせ海に出たら暇になるんやから後で片付ければええ!」
盗賊「ヌハハまぁそうだな?…ほんじゃ土産もん此処置いとくぜ?」ドサ
航海士「鉄屑降ろすの忘れんなや?」
盗賊「こりゃ又…マジで要らんゴミが出ちまったか…」ガチャガチャ
航海士「それも資源やで捨てたらイカンで?」
盗賊「へーい…」
『キャラック船_甲板』
ヒソヒソ
じゃぁ頼んだな?ホムコにはよろしく言っといてくれ
うん!プラズマの銃は1つ大砲の代わりに持って行くね?
おう!気を付けて行って来い
剣士「よーし!姉さん向こうの船に乗って!」
女オーク「わかったわ」ドタドタ
学者「俺っちにはなーんも教えてくれないんすね…」シラー
盗賊「荷を運んでる…それじゃダメか?」
学者「てか何で兄貴は行かないんすか?」
盗賊「俺はホムコに樽4つ分のエリクサーを借りっぱなしで顔合わせが出来んのだ」
学者「あたたた…切実な問題っすね…」
盗賊「さて…次は俺等なんだが…マイ達が乗ってった気球が戻って来ん事には動けんな…」
学者「そろそろ戻って来ると思いやすぜ?てかどういう予定なんすか?」
盗賊「まずはマイが戻って来たら様子を聞きたい…そっから考え直す」
学者「考え直すって言うと?」
盗賊「戦車を使うかどうかだ」
学者「やっぱシン・リーンに向かう感じで考えて居やす?」
盗賊「まぁ情報次第だな…此処に居てもあんま良い情報が聞けんもんだからよ…動きにくい訳だ」
学者「確かにそーっすね」
盗賊「気球がありゃシン・リーンまで一週間も掛からんから情報仕入れにも行きたい」
学者「動けんカゲミさんとイッコさんは置いて行く感じっすね?」
盗賊「お前もな?」
学者「えええええ!?」
盗賊「ミファも動けんのだからゲスはみんな回復するまで面倒を見ろ」
学者「じゃやっぱ1カ月近く足止めっすね…」
盗賊「最初からそう言ってんだろ…俺はピンピンしてるもんだから情報集めでちっと動くだけだ」
学者「まさか一人じゃ無いっすよね?」
盗賊「今考えてんのはバレンとミルクだ…まぁまだ確定じゃ無え」
学者「そういやミルクちゃんも此処ん所出かけっぱなしなんすがウルフィは見つかって無いって事っすよね?」
盗賊「妖精と会話しながらコンタクトしてるだろうから大丈夫だと思うがな?」
学者「あーーなるへそ…」




