表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/102

84.裏の裏は表



『分解清掃』



カチャカチャ ゴシゴシ



賢者「バヨネッタの整備はミライ君がやっていましたよ?」


女ハンター「私が使う物だから一応全部点検してるだけよ」カチャカチャ


賢者「持って居た装備品は全部使えそうですか?」


女ハンター「少し錆が出ているけど整備すれば大丈夫そう…油は自由に使って良いわね?」


賢者「どうぞ…」


女ハンター「イッコは少し筋肉が付いた様ね?」


賢者「はい…船では毎日体力仕事だったので」


女ハンター「銃の扱いは?」


賢者「射撃は得意ですけれど整備はミライ君任せでした」


女ハンター「得意と言うのはどの程度?」


賢者「私は目が良いので300メートル程度なら裸眼で精度よく狙えます…望遠鏡は苦手です」


女ハンター「裸眼で300…バヨネッタ使うのに丁度良さそう…」


賢者「カゲミさんはラスさんを真似て狙撃をやって居ました…500~800メートルくらいだそうです」


女ハンター「それって船の上での話よね?」


賢者「はい…」


女ハンター「私も揺れてる船の上ならその程度だから狙撃は2人体制で行けそうね…中距離はイッコがカバーする」


賢者「ええと…どういう想定をして居るのでしょう?」


女ハンター「相手に銃器がある以上もう接近戦になんかならない…狙撃が一番重要よ」


賢者「銃器を使う場合補給が重要に思いますけど…どうですか?」


女ハンター「その通りね…つまりバヨネッタの残弾次第」


賢者「では相手に補給が無いと想定してバヨネッタをどの程度持って居ると思いますか?」


女ハンター「え?…何が言いたいの?」


賢者「私は銃器を使った撃ち合い以外の注意をした方が良いと思っています…具体的言いますと…キマイラ…」


女ハンター「ハッ!!まさか他にも…」


賢者「ラスさんはシケ・タ町に突然現れたキマイラの事を知って居るのですね」


女ハンター「それは魔術師達も知って居るから多分何か対策を打ってる筈…いや…でも…」


賢者「海賊王には伝わって居ませんね…イレギュラーは敵に渡った銃器以外にもあるのです」


女ハンター「まさかとは思うけれど…シン・リーンの女王がアランに戦車を使わせようとして居るのって…捨て駒に使う気?」


賢者「重ねて言いますと…シン・リーンの女王が眠り姫を救い出したい本当の理由…その器を手に入れたいとは考えられませんか?」


女ハンター「ちょ…魔王がそうさせてると言いたいの?それじゃ何も信用出来ないじゃない」


賢者「私は塔の魔女が言いたい事はそう言う事なのだと解釈しました…私達に判断を委ねられたのだと思います」


女ハンター「私達の判断で…」



闇商人「ハハハハ…それじゃ決まらないね」



女ハンター「隅でブツブツ言ってると思ったら…妙案が有るなら聞きたいわ」


闇商人「裏の裏を考える必要が有るのさ…」


女ハンター「勿体ぶらないで…」


闇商人「こっちにはバレンシュタインというカードが有る…彼は完全に天然で魔王のまの字も無い」


女ハンター「どうするつもり?」


闇商人「裏の裏は表さ…正面突破だよ…今すぐにね」


女ハンター「20日待たないと言う事?」


闇商人「話はこうだよ…」



カイネさんには僕達が此処に隠れて居るという手紙を渡したんだ


その情報は傍に居るシン・リーンの女王の耳にも入る…どうせその内カイネさんは会いに来るだろうね


でも探すのに結構な時間が掛かる…それまで僕達は此処に居る事になってる訳さ…


それからラスが目を覚ましたのなら千里眼を使ってカイネさんにだけは僕達の行方が分かる筈だ


その後どうするだろう?シン・リーンの女王に報告するだろうか?



女ハンター「判断を委ね返す…と言う事?」


闇商人「それもある…そしてもう一つ…僕達はバレンシュタインという良いカードを一枚持ってる」


女ハンター「どういう意味?」


闇商人「彼は完全に天然ボケで魔王のまの字も無い判断が出来るんだ…言い換えれば魔王の影響を全く受けない…行き先は彼が決めるんだ」


女ハンター「それじゃ何も作戦が立てられないじゃない」


闇商人「それが狙いだよ…僕達が相手にとってのイレギュラーになるのさ」


女ハンター「それは逃走したのと同じ…」


闇商人「いや…バレンさんは絶対に逃げない…必ず前に進む」


賢者「カゲミさん…具体的にどうするか教えて下さい」



計算からするとミルクちゃんもミライ君も今日中に戻って来る筈さ


ミライ君の気球は荷物が少なければ僕達の船まで2日以内に到着する


まずミルクちゃんとフーガ君…そしてミファは一度船に戻る…ミライ君とリッカも一緒だね


その後船をエルフの森南部の河口まで移動させて海賊王と合流さ…ミライ君が居れば無理矢理押し通せる


そこに行く目的は戦車で移動する僕達の退路確保と海賊王へ状況の報告だね


そして残りの僕達は荷物を全部戦車に乗せて…あとはバレンさん任せ



女ハンター「昏睡してるアランとゲスは?」


闇商人「連結してるトロッコにでも突っ込んどけば良いさ…多少揺らしてあげた方が目を覚ましやすいじゃない?」


女ハンター「ふむ…行き先が確定して居ないだけでそう悪い作戦じゃ無さそう」


闇商人「ミファとフーガ君は今まで聞いた話をミライ君にしっかり伝える大事な仕事があるからよろしく頼むね」


少女「ウルフィの事忘れてるよ?」


闇商人「おっとそうだった…ウルフィには斥候役して貰えると助かるなぁ」


賢者「私が妖精さんにお願いして伝えて貰います」


闇商人「そうだね…じゃぁ善は急げだ…荷物をまとめて外に運び出そう」




『洞窟の外』



シュタタ シュタタ ピョン シュタタ



闇商人「あれ?走り回ってるのってウルフィ?」


戦士「あぁカゲミ殿…どうやら私が掘った塹壕の様子を見回って居る様だ」


闇商人「ミルクちゃんは?」


戦士「私は見て居ないがウルフィの様子からして近くには居そうだがね?」


闇商人「まぁ良いや…ちょっと急遽予定変更して戦車が戻って来たら直ぐに移動しようと思う」


戦士「ハハハ私は地獄耳でね…全部聞こえて居たよ」


闇商人「それなら話が早い」


戦士「行先は私が決めて良いのだね?」


闇商人「うん…指揮もお願いする」


戦士「任せたまえ…この森は私の庭なのだ」


闇商人「そう言うと思ったよ…あ!!一応行き先は僕達に言わないで」


戦士「それは魔王に悟られたくないと言う解釈で良いのかな?」


闇商人「まぁ一応ね…僕達を動かしてるのは魔王かも知れないと言うのを覚えておいて欲しい」


戦士「一つ私が知って居る事を教えておいてあげよう」


闇商人「何だろう?」


戦士「魔王は光の魔方陣などの魔除けを持つ者を避けるのだよ」


闇商人「あああああ!!!そうか!!ミスリル銀もそうだ…」


戦士「参考になったかね?」


闇商人「ちょっと待って…なんで避けるんだ?」


戦士「音だったり光だったりするのでは無いだろうか?私は良く知らない」


闇商人「そういえば僕達全員ミスリル銀の武器を持ってるじゃないか」


戦士「この草薙の剣も刀身にミスリル銀がこしらえて有るようだね…お陰で良く切れる」スラーン


闇商人「もう一度考え直す…対象をもう少し絞れそうだ」


戦士「ハハハハ…では私は荷物でも運ぶとしよう」


闇商人「なるほどそうか…」



魔除けと言えば聖水やエリクサーもそれに当たる…賢者の石も同じだ…


つまりオークやエルフが魔王の影響を受けにくいのは体内でエリクサー循環が有るからだ


…と言う事は古代人にも影響が無い筈


純度の高い銀も魔除け効果がある…だからフィン・イッシュに居る人は魔王の影響が少ない


そう考えるとやっぱり何か起こしそうなのはシン・リーンだな…




『戦車の帰還』



ガコンガコン ドスドス ウィーン プシュー



戦士「ハハハこれは中々に汚れたね…雨が降ったせいでドロまみれになった様だ…」



ガチャリ ギギー



剣士「ふぅ…どうしたの?荷物を全部外に出して?」ヒョコ


闇商人「ちょっと予定変更さ…連結してるトロッコに荷を入れて移動するんだ」


剣士「ええ!?アランさんは目を覚ましたのかな?」


闇商人「寝たきりだよ…トロッコに突っ込んで目が覚めるのを待つ」


剣士「ええと…誰が戦車に乗るの?」


闇商人「僕とイッコ…バレンさんとラスの4人…アランとゲスはトロッコに突っ込む」


剣士「じゃぁ残りは気球で移動する感じかな?」


闇商人「一旦船に戻って欲しいのさ…詳しい話はミファが知ってるから聞いておいて」


剣士「おけおけ」


闇商人「皆を気球に乗せた後エリクサーの樽も一つ乗せられるかい?」


剣士「体重が軽いから大丈夫だね」


闇商人「じゃあ気球の方は最低限の荷物で頼むよ」


剣士「バヨネッタを一つ持って行っても良い?それが無いとちょっと危ないと思う」


闇商人「こっちにはあと2つ有るし問題無いかな」


剣士「よーし!じゃぁ荷物を入れてしまおう!」


闇商人「トロッコの方は余裕ありそう?」


剣士「大丈夫!まだまだ一杯入るよ」


闇商人「さぁ!日が暮れる前に移動してしまおう!」





『西へ…』



ドスドスドス



闇商人「ええと…このまま行くと森を出る感じだよ…ね?もしかしてフィン・イッシュに向かってるのかな?ハハ…」アセ


戦士「ハハハハ行き先は秘密にしておく約束では無かったかね?」


闇商人「まぁ…約束は約束さ…任せる」


女ハンター「どうも戦闘にはなら無さそうね…私は寝るわ」ゴロン


戦士「では少しだけヒントを言わせて貰おう…」



その昔にね…シャ・バクダから首の無い巨大な魔物をセントラルまで運び入れた事が有るらしい


確かリリスと言ったか…戦車を使わないと運び込めなかった様だ


運んだのは特殊生物兵器部隊という組織でね…時の王と呼ばれたルーシェンバッハ卿が動かして居たのだ


私とは組織が違うからその搬入口には行った事が無い…だが話は聞いて居る



闇商人「それってつまりセントラルに繋がってるトンネルだと言う事かな?」


戦士「繋がって居るのはセントラルだけでは無い様に思う…実は当時公爵と呼ばれたエトワイマー卿もその通路を使って居た様なのだ」


闇商人「フフ…なんだ良い突破口が有るじゃ無いか」


戦士「安全だとは言えないのだがね…恐らく特殊生物兵器部隊が作り出した魔物の巣窟になって居ると思う」


女ハンター「ちょっとまさかキマイラに突撃するつもりじゃ無いでしょうね?」


戦士「その可能性も考えて居てくれたまえ…ただもう20年も30年も昔の話だ…どれほど残って居るのか…」


闇商人「その搬入口はどれくらいで辿り着く?」


戦士「そう遠くは無いとだけ言って置こう…私は陸軍だからそういう要衝の場所はおよそ熟知して居るつもりだ」


闇商人「約束だから質問するのも野暮な話か…」


戦士「そもそもなのだが…森の中は大きな断崖と川で東西が隔てられていて戦車では向こうへ行くことが出来ないのだよ」


闇商人「そうだったのか…何も知らず行ってしまう所だったね」


戦士「まぁ迂回すれば良いのだけどね…その場合南極圏近くまで南下しなければならない」


女ハンター「ところでキマイラの様な魔物と遭遇した場合どうするつもり?」


戦士「コレだよ…」スラリ


闇商人「草薙の剣…石化を狙う?」


戦士「私だけ戦車を降りて接近を挑む…切りつけた後にダッシュで逃げる…完璧な作戦では無いかね?」


闇商人「いや…良い作戦なんだけど…何て言うのかな…セコイ」


戦士「勝てば官軍なんとやらだよ…そんな事よりもセントラルが残した負の遺産をどうにか処分したいのだ」


女ハンター「負の遺産とは作り出した魔物の事?キマイラとか…」


戦士「うむ…出来る事ならすべてこの草薙の剣で石化させてしまいたい…森に毒を撒き散らかすなど以ての外だ」


女ハンター「フフ…ど正論で正面突破…裏の裏は表と言う訳ね」




『画面に投影された地図』



ピピピ



闇商人「これって周辺の地図…だよね?」


戦士「この機能があるお陰で私は周辺の地理に詳しいのだ」


闇商人「この円は視認範囲かな?こっちの赤い点で表示されてるのは?」ユビサシ


戦士「それは戦車の最大射程だよ…点で表示されて居るのは動物か何かだね」


闇商人「凄いな…それじゃ20キロ向こうの軍隊とかでも丸見えじゃ無いか」


戦士「弟の戦車はもっと射程が長いらしい…最大射程は100キロ近い…当てたと言う話は聞かんがね」


闇商人「この機能は森の中でも?」


戦士「残念ながら視界の悪い場所では機能しない」


闇商人「向かってる先は地図で言うココかな?」ユビサシ


戦士「察しが良いね…何だと思うかね?」


闇商人「なんだろう?この形は遺跡か何か?」


戦士「まぁ30年前の遺跡と言っても良いかも知れないね…そこは荒野にあった採石場の跡地なのだよ」


闇商人「へぇ…」


戦士「セントラルの建屋に使われて居た石は殆どその採石場で掘削された物だね…その利権はルーシェンバッハ卿だった筈…」


闇商人「筈?」


戦士「私は軍人だったからその手の話に疎いのだ…いつまで採石場が稼働して居たのかも知らない」


闇商人「まぁ…なんとなく分かって来た…掘削された石を運ぶのにトンネルの中にトロッコか何か有る訳だ」


戦士「そういう物を当時の特殊生物兵器部隊が占有していたと言う訳なのだ」


闇商人「なるほどね…赤い点が見当たらないと言う事は無人と見て良さそう?」


戦士「リザードマンは変温動物で検知しない様だから気は抜けないね…一応戦闘の準備はしておいた方が良い」


闇商人「リザードマンねぇ…銃器を使うのは勿体無いな」


戦士「むやみに倒す必要も無いから襲って来ない限り無視でも良い」




『採石場跡地』



ドスドスドス



闇商人「うわ…人骨が沢山有るじゃ無いか…」キョロ


戦士「やはり当時のまま放棄された様だ…装備類を見る限りセントラルの兵隊に間違いない」


闇商人「どうしてこんなに?」


戦士「リリスの捕獲時に相当な被害が出たと聞いた…恐らくそのまま放置されたのだよ」


闇商人「こんなんじゃ誰も近づかないな…呪いか何かだと思ってしまう」


戦士「さて…此処まで来たのは良いが搬入口は何処に有るのか…」キョロ


闇商人「やっぱり最下層だよね…」


戦士「そう思うのだが…見当たらないねぇ…」キョロ



賢者「ふぁぁ~あ」ノビー



闇商人「イッコおはよう…そろそろ夜が明けるかな…」


賢者「ここは?」キョロ


闇商人「目的地に到着したんだ」


賢者「夜通し移動して居たのですか?」


闇商人「まぁね…」


賢者「ちょっと…おしっこがしたいのですけれど…」


戦士「あぁ…ここは縦穴になって居て風も吹かなさそうだし戦車を止めて少し休憩をしようか」


闇商人「そうだね…アランとゲスもトロッコの中でどうなってるのか確認しないとね」


戦士「最下部まで降りて安全な場所を探そう」




『焚火』



メラメラ パチ



賢者「この肉はトナカイですね…直火焼きで良いですか?」


戦士「私は肉を食さ無いから気にせず食べてくれたまえ」


闇商人「やっとまともな肉を食べられそうだ…楽しみだよ」ジュルリ



女ハンター「アラン!!起きてアラン!!」ペシペシ



闇商人「どう?目覚めそうに無い?」


女ハンター「ダメね…呼吸はしているから大丈夫だとは思うけれど…」


賢者「レーションを溶かしたスープを作りますのでアランさんとゲスさんに飲ませて下さい」


女ハンター「そうね…エリクサーはどうするの?」


賢者「一滴点眼で十分です」


女ハンター「わかったわ…やっておく」ゴソゴソ


戦士「しかし何処にも搬入口が見当たらないのだが…」キョロ


闇商人「これはハズレ…かな?」


戦士「ううむ…白骨の数からして間違いないとは思うのだがね…」


闇商人「あぁそうか…」


女ハンター「例の狭間と言うので隠して居るのでは?」


闇商人「イッコ!妖精は何か知らないかな?」


賢者「今は居ませんね…狭間からは遠い様です」


闇商人「…と言う事は狭間で隠してる訳でも無さそうだ」


女ハンター「じゃぁ壁面が崩れて埋まってしまったとか?」


戦士「どうも崩れた形跡が何処にも見当たらない…私が少し見回って来るから君達は此処を離れない様に」


女ハンター「カゲミ!これを装備しておいて」ポイ


闇商人「おっと…」ガチャリ


女ハンター「アサルトライフル…弾倉は24発の通常弾…イッコも!」ポイ


闇商人「射程は?」


女ハンター「有効射程300…射程の長いクロスボウだと思って良いわ…リザードマンなら十分でしょう?」




『1時間後…』



メラメラ パチ モクモク



戦士「戻ったよ…食事は済んだかね?」


闇商人「まぁね…もう満腹さ」ゲフー


戦士「その辺を見回って来たのだがやはり搬入口の様な物は見当たらなかった…休憩が済んだら少し移動してみよう」


賢者「あのぅ…焚火の煙を見て下さい」ユビサシ


闇商人「んん?何か変?」


賢者「少し流れて行って居ますよね?」


闇商人「そういえば…この縦穴の中に風が吹き込んで居るのかな?」


女ハンター「イッコ良い所に気が付いたわね…確かに煙は一方向にしか流れてない…」


賢者「何処かから風が吹き込んで居無いか調べて見ませんか?」


闇商人「ええと…方角的にあっちか…」フリムキ


女ハンター「丁度湯が沸いて居るからそれを持って行けば煙代わりに使えるわ」


闇商人「お?イイね…寒いから湯気が出るか…ちょっと風の出元を探して来るよ」


賢者「ご一緒します」スック




『石の壁』



モクモク ユラ~



闇商人「アレ?おかしい!!もしかしてこの壁…」スカ


賢者「あ…」


闇商人「なんだこの壁…触れない」スカ


賢者「こんな隠し方があるのですね…足元に穴が有るかも知れないので不用意に近づかない方が良いかと…」


闇商人「おっとっと…そうか…」


賢者「石を投げ込んでみます」ヒョイ



ポイ カラカラ



闇商人「おおお!!向こう側がありそうだ!!」


賢者「これ見えてない部分に入るのが怖いですね…頭とかぶつけそうです」


闇商人「トロッコの中にロープは有ったっけ?」


賢者「見て来ます!」スタタ




『しばらくして…』



ドタドタ



戦士「搬入口を見つけた様だね?」


闇商人「多分この壁の中…手とか足は入れられるけど怖くて入れないんだ」


戦士「私がロープを持っておくからカゲミ殿を放り投げれば良いかね?」グイグイ ギュゥ


闇商人「いやちょっと待って…何かにぶつかったから怪我をする」


戦士「ハハハ私が冗談を言うとでも?」


闇商人「待った待った!!自分で行くさ…ロープしっかり持ってて」ソローリ


賢者「どうですか?」


闇商人「何も見えない…真っ暗だ」


賢者「落ちないのであればゆっくり戦車で進んだ方が良さそうですね」


闇商人「なんだ此処!!外の光も見えなくなる…どういう仕組みなんだ?」


女ハンター「幻影では?」


賢者「あ…ホム島の近くに幻影が見える海域があります」


闇商人「まぁ良いや…とりあえず穴に落ちる様な事は無さそうだから戦車で中に入って見よう」




『戦車』



ドスドスドス ウィーン ガシャコン



戦士「ではゆっくり進めるから周囲を良く見ていてくれたまえ」



ドスン ドスン ドスン ドスン



女ハンター「熱探知で少しだけ陰影が見えるわ…少し左に寄って!ぶつかりそう」ピピ


闇商人「こんな状態で進み続けるのは厳しくないかい?」


女ハンター「アーカイブの中に迷い込んだよりも随分マシよ」


戦士「これは一般の人が見つけたとしても入ろうとは思わないね」


女ハンター「熱探知以外に地形を表示できる機能は無いの?」


戦士「有るかも知れないが使った事が無いから分からないよ」


女ハンター「ええと…コレが照度の設定で…コレが視野角…熱探知はこっちで…」ピピ ピ


闇商人「待った待った…少し見えて来た…照度の感度上げて」


女ハンター「あまり感度を上げるとノイズが酷いのだけれど…」ピピ


闇商人「見える見える…あれ?もしかしてキラーマシンが居る?2体…」


女ハンター「本当ね…動いて無さそう」


闇商人「なるほど…トロッコ動かすのに使ってたな?」


女ハンター「武器類が回収出来るかも知れない…コバルト製で結構良い武器を持ってる筈」


闇商人「ちょっと見て行こうか」




『放置されたキラーマシン』



ガチャガチャ



闇商人「こっちはダメだな…もう動かせそうに無いよ」


女ハンター「同じく…重クロスボウも錆びて使い物にならない」


闇商人「これ随分使い込まれたキラーマシンだね…射出ナイフも引っかかってたのが一つだけ」


女ハンター「収穫はコバルトの剣だけね…本体はもうジャンク品以下だけどどうする?」


闇商人「要らないなぁ…コバルトの剣も何に使うか思い付かない」


戦士「私が使おう!!大きさも重さも丁度良さそうだ」


闇商人「草薙の剣と両刀使い?」


戦士「何かおかしいかね?」


闇商人「いや…まぁ良いけど邪魔になりそうだなと思ってさ」


戦士「コバルト製の剣にはちょっとした秘密が有るのだよ」


闇商人「へぇ…錆びないだけじゃないんだ?」


戦士「実はだね?電気を増幅する効果が有って雷の魔石と併用すると鉄を簡単に溶断出来るのだよ」


闇商人「そんな話聞いた事無いな…」


戦士「まぁ溶断と言っても鉄の鎧を切り裂くぐらいだがね」


闇商人「雷の魔石を持ってるよ…試しにキラーマシンでも切ってみてよ」


戦士「私を疑っているのかね?…貸してみたまえ」


闇商人「うん…」スッ


戦士「本当は柄の中に仕込むのだが…とりあえず持ち方を工夫して…」ゴソゴソ



ブン!! スパーーーー ビシビシ!



闇商人「おお!!スゴイ!!」アゼン


女ハンター「それって大砲とかの鉄も溶断出来るの?」


戦士「やって見た事は無いが魔石の仕込み具合によっては可能なのかも知れないね…因みに下手に使うと自分が感電するよ」


闇商人「鉄の鎧を着こんだ魔物って想像出来ないんだけどさ…」


戦士「ハハハ確かに居ないねぇ…だがこれで大型の魔物ともどうにか戦う事が出来るのだ」


闇商人「そんなスゴイ効果があるのをどうして今まで知らなかったんだろう?」


戦士「軍事機密だよ…コバルト製の武器は無駄に装飾されて貴族が持つ武器と言う位置付けになったのもそう言う経緯があるのだよ」



スタタタ



賢者「カゲミさん!」


闇商人「ん?」クルリ


賢者「トロッコの車輪に付けてある木製のソリが傷んでて修理するか外した方が良いかと…」


戦士「おおそういえばそうだったね…地下通路を進むなら車輪の方が良さそうだ…私が外してあげよう」








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ