83.世界の秘密
『作戦』
…僕の気球を使えばト・アル町まで1日足らずで行ける
今の季節を逃すともう気球を使って行くのは難しいと思う…球皮に着氷して直ぐに飛べなくなるから…
それで戦車を動かせるのはバレンさんしか居ない…
一緒に行って僕が戦車のウラン結晶を交換するから…その後はバレンさんに自力で戻って来て貰う
剣士「大体現地の気温はマイナス10~20℃くらい…これ以上下がると僕の気球じゃ飛べない」
女オーク「もし又あの空間に行ってしまったら?」
剣士「最後はウルフィ頼みになっちゃうかな…でも僕は結構自信がある」
女オーク「ダメよそんな危ない事」
剣士「じゃぁ僕と姉さんで行く?」
女オーク「そっちの方が余程安心できる…気球は戦車にロープで結ぶ」
剣士「なるほど…それでも良いか…姉さんに戦車動かせるかい?」
女オーク「進むか戻るかぐらい分かるわ…行き先は気球を見ながら進めば良い」
剣士「待てよ?気球をロープで結ぶなら僕も戦車の中で良いじゃ無いか…森の中を進まなければ良い話だ」
女オーク「それならもっと安心」
闇商人「上手く行きそうかい?」
剣士「大丈夫!自信ある!今度こそ肉を持って帰るよ」
闇商人「期待大だね」
剣士「一応バヨネッタを一つ借りて行くね」
闇商人「あれ?もう行く?」
剣士「気球の中ならしっかり休めるんだよ…あまり留まって居ても無駄なだけさ」
闇商人「フフ…」---やっぱりアイリーンの血が流れてるか---
剣士「じゃぁ姉さん!早く行こう!!」グイ
女オーク「ちょっと…そんな慌てて手を引っ張らなくても…」ヨロ
『夜_鍛錬』
どるぁぁぁ!! ガン! ガン! ゴン! バシッ!
戦士「はぁはぁ…もう一度!!ふんがぁぁぁぁ!!」ダダ
闇商人「…」ジーーー
スタスタ
賢者「カゲミさん…バレンさんはまだやって居るのですか?」
闇商人「見てごらん?バレンさんの体から湯気が立ち昇って空に舞って行く」
賢者「はい…」
闇商人「君にはあれが妖精に見えて居るのかな?」
賢者「え?」キョロ
闇商人「ゾンビになった兵隊達と一緒にやった鍛錬だそうだよ…バレンさんなりの死者への弔いなんだ」
賢者「そうだったのですね」
闇商人「整地するのも訓練だったのだとか…」
賢者「もうずっと動きっぱなしですよね」
闇商人「それだけ想いが深かったと言う事だろうね…なんていうか…鎮魂の力をすごく感じる…見て居て美しい」
賢者「鎮魂…祈りとは違う手段で沈めて居ると言う事なのですね」
闇商人「僕も見習わないとな…」
賢者「カゲミさんもあの鍛錬を?」
闇商人「うん…丸太を吊るして木の棒で打ち付ける…なんか僕もやらなきゃっていう気持ちを奮い立たせるのがバレンさんの力だ」
賢者「では私もお付き合いします」
闇商人「僕だって負けないぞ…」---僕はもっと執念深い---
---目標達成するまで喰らい付き続けるのが僕さ---
---僕はマルコさんの意思を引き継ぐんだ---
---やってやる---
戦士「カゲミ殿とイッコ殿も一緒にやるかね!?ハハハハハハ」
『翌朝』
イタタタタ…うぅぅぅ…
闇商人「体が冷えたら全身筋肉痛だ…イタタタタ…」ノソノソ
賢者「カゲミさん!!起きましたね?」スタタ
闇商人「んん?そんなに慌ててどうしたんだい?」
賢者「ラスさんが目を覚ましました…紙とペンを持って居ませんか?」
闇商人「僕は持って居ないけど…ゲスの荷物の中に有った気がする」
賢者「分かりました」スタタ
闇商人「今話せるのかな?」ヨッコラ
女ハンター「ブツブツ…」ブツブツ
賢者「ラスさん!紙とペンをお持ちしました…」パサ
女ハンター「は…早く…」スラスラ カキカキ
闇商人「ええと…どういう状況なんだろう?」
賢者「妖精の声を聞いて目を覚ました様です…混乱している様ですが大事な事を何かに記したいと…」
闇商人「夢の記憶があると言う事か…それは楽しみだね」
女ハンター「ちょっと静かにして…気が散る」スラスラ
闇商人「おっとこれはしばらくそっとしておいた方が良さそうだ…」
賢者「カゲミさん水場の方へ…湯を沸かしてあるので包帯の巻替えと体を少し拭いてあげます」
闇商人「そうだね…少し匂う様になって来たか…」クンクン
『水場』
ジャブジャブ フキフキ
賢者「傷みますか?」フキフキ
闇商人「まぁね?背中の方はどうなってる?」
賢者「変色してゾンビの様に…でも皮膚の再生は進んでいる様ですので直に全部剥け代わると思います」
闇商人「まぁ僕はミルクちゃんと比較して大した事無いさ」
賢者「アザが残ってしまいそうです」
闇商人「そんなのどうでも良いよ…アランなんか全身傷だらけなんだしね」
賢者「私が気にしてしまうと言いますか…気になってエッチな事も控えめに…」
闇商人「シーーーッ聞こえてしまう」ヒソ
賢者「すみません…」
闇商人「石炭と油に余裕がありそうだから湯を沸かす余裕が出て来たね?」
賢者「はい…ですが今度は飲料水が不足してしまいそうです」
闇商人「あぁぁぁ洞窟の中に滴ってくる水じゃ足りないか…」
スタスタ
女ハンター「何かヒソヒソと良からぬ事をして居るのではと見に来たら…」
賢者「あ…ラスさん…」
女ハンター「随分な火傷の様ね…」ジロリ
闇商人「記憶の書き取りは終わったのかい?」
女ハンター「紙が足りない…他に羊皮紙とか無いの?」
闇商人「ええと…木炭があるから洞窟の壁面を使うのはどう?」
女ハンター「それでも良いわ」
闇商人「洞窟は奥の方まで続いてるから自由に使って良いさ」
女ハンター「道具類は自由に使わせて貰うわ…私の邪魔はし無い様に」
闇商人「分かってるさ」
女ハンター「じゃ…私は奥の方に居るからしばらく一人にさせて」
スタスタ
闇商人「…」チラリ
賢者「では肝油を塗って行きます」
闇商人「チャンスだよ?」
賢者「え?」
闇商人「少しだけシテあげる」
賢者「そんな…」モジモジ
闇商人「君の事は分かってる…吸ってあげる」
賢者「あの…あ…」クネ
『しばらくして…』
はぁぁ…
賢者「久しぶりだったのであっという間に絶頂してしまいました…」シンナリ
闇商人「連続3回…いつも通りだねフフ」
賢者「満足しました」クター
闇商人「僕の包帯はどうなるかな?」
賢者「あ…今すぐに…」アセアセ
闇商人「衣服に擦れないようにだけで良いから軽くね」
賢者「はい…」
闇商人「ミルクちゃんとフーガ君は寝っぱなしだけど大丈夫?」
賢者「痛む様なので妖精さんと夢の中で遊んでもらっています」
闇商人「そういう事か…」
賢者「フーガ君の方はそろそろ動けそうですね…お手伝い出来るか聞いて見ます」
闇商人「あとアランとゲスが目を覚ませば行動かな…」
賢者「どうされるのですか?」
闇商人「僕の希望は北上してシャ・バクダを目指したいんだけど…一応相談しないとね」
賢者「森になったと言われるマルコさんに会いに行くのですね?」
闇商人「まぁね…でもそれは僕の只の希望なんだ…アランの目的の方が優先度は高い」
賢者「今度は一緒に行動されるのですよね?」
闇商人「う~ん…どうなるかなぁ…」
ドスドスドス
戦士「カゲミ殿!!」
闇商人「んん?」クルリ
戦士「あぁ済まない…裸だとは知らず…」
闇商人「どうしたのかな?」
戦士「少しマズい事になっている様だ…私が昨夜大きな音を出したせいか魔物が集まって来て居るのだ」
闇商人「ええ!?魔物ってゾンビの事かい?」
戦士「それだけでは無い…ビホルダーやローパーと言った特殊生物兵器部隊が作り出した魔物も混ざっている様なのだ」
闇商人「き…聞いた事無い魔物だ…」
戦士「その昔セントラル地下で研究していた魔物が這い出して来て居る…これで分かるかね?」
闇商人「バレンさんが慌てるという事はかなり良くない状況と考えて良い?」
戦士「そう言わざるを得ない…傷を負うと毒を撒き散らかす性質を持って居る…焼かない事には処理できないのだ」
闇商人「毒…僕達は皆オークの血を輸血してるから毒に耐性を持ってる筈だよ」
戦士「私達が守るのは一般の民や動物達…そして森だ」
闇商人「あぁ…まいったね…手が出せない訳か」
戦士「ひとまずこの洞窟に近付く魔物だけは処理する必要がある」
闇商人「もう洞窟を狙って来てると思って良いのかな?」
戦士「今の所私が掘った塹壕に偶然阻まれては居るが気を抜けない状況なのだ」
闇商人「仕方ない…迎撃の準備しようか」スック
戦士「おっと…胸のふくらみが…」
闇商人「イッコ!急いで包帯を!!」
賢者「はい!!」
『洞窟の入り口』
ヴヴヴヴヴヴ ガァァァァ
戦士「見えるかね?ゾンビは2体…その向こうに一つ目のビホルダー」
闇商人「アレか…」
戦士「私は接近職だから近付く魔物を足止めする位にしか役に立たない…倒すのはカゲミ殿かイッコ殿の銃器頼りになる」
闇商人「一つ目の奴は結構大きいな…狙撃で倒せるのだろうか?」
戦士「動きを封じれば私が切り刻んで来ても良いが…」
闇商人「それで行こう…僕達は援護射撃の方が良さそうだ」
戦士「むぅ…仕方あるまい」
闇商人「そうだ…バレンさんの持ってる草薙の剣…特効が何なのか知ってる?」
戦士「いや…伝説の剣だと言うぐらいしか知らない」
闇商人「その剣の特効は石化だった筈…メデューサの首を落としたのがその剣だよ」
戦士「なんと!?」
闇商人「つまり毒を撒き散らかす前に石化を狙えると言う事さ」
戦士「フハハハハハハハ…それを早く言って欲しかった…私は今こそ伝説になるのだな?」ズイ
闇商人「いや…ちょっと待って」アセ
戦士「今まさに世界を毒から救うのだ!!私の行く先にあるのは未来のみ!!どらぁぁぁぁぁ」ドドドドド
闇商人「いやだから…あああああー行っちゃった」
賢者「ええと…作戦はどうなったのでしょう?」
闇商人「もう援護するしかない…イッコは裸眼で狙撃出来そう?」
賢者「やってみます…」チャキリ
闇商人「あまり遠くは狙わなくて良い…この場合撃つのは100メートル以内だよ」
どらどらどらどらぁぁ!! ザクリ! スパ!! ブシュー
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『数分後…』
ドドドドドド
闇商人「逃げ帰って来た様だね…困った人だ…」
戦士「はぁはぁ…全然石化しないでは無いか…どうなって居る?」ドタドタ
闇商人「ええと…話は最後まで聞いて欲しい…徐々に石化して少しづつ遅くなるんだ」
戦士「これは私とした事が…功を焦って労多しだったか…」
闇商人「まぁでも一撃づつ斬撃を入れて来た様だから直に石化する筈…どのくらいの時間が掛かるのか見物だね」
戦士「どうも私は突出してしまうクセがある…慎重にならなければいけない様だ」
賢者「怪我はありませんか?」スタタ
戦士「あぁこのくら…!!ムム!!」ガバッ
シュン! ストン!!
賢者「え…」タジ
戦士「左斜め上30°射手!!私の盾の影に!!」ズザザ
シュン! シュン! ストン!! ストン!!
闇商人「見つけたイッコ!!距離100メートル異形だ!!応射!!」チャキリ ターン!
賢者「はい!!」チャキリ ターン!
闇商人「当たったな?足の付け根狙って!!」ターン! ターン!
賢者「弓を落とした…」ターン! ターン!
闇商人「よしよし全部当たってる…バレンさん止めに行って!!」
戦士「イッコ殿!!この盾で身を守るのだ!行って来る!!」ドドドドドドド
賢者「カゲミさん…私の盾の影に」スチャ
闇商人「うん!!僕達は索敵だ…イッコも探して!」
賢者「はい…」
闇商人「これは…音を聞きつけて異形の魔物がここを確認しに来たんだな?」キョロ
賢者「その様ですね…安全では無くなりそうです」
闇商人「くそう…もう少しゆっくり回復したかったのに」
賢者「あ…バレンさんが暴れて異形の魔物をバラバラに…」
闇商人「望遠鏡で見えてる…向こうは人間の皮を身に付けてるんだ…そんなの見たら許せなくなるよ…」
『火葬』
メラメラ パチ
戦士「不甲斐ない…何人もの子供の顔の皮膚を身に付けて居た物だから逆上してしまった…」
闇商人「僕も望遠鏡で覗いて目を疑ったよ…許せないね」
戦士「これは戦利品の魔石…4つ所持していたが使うかね?」パラパラ
闇商人「助かる…」
戦士「カゲミ殿…異形の魔物は何故この様な事をするのだと思うかね?」
闇商人「人間の絶滅かな?…強引に絶滅させようとしているとか?」
戦士「いやそれでは人間の皮を身に付ける理由になって居ない…わざわざ生皮を剥いで身に付ける理由…」
闇商人「分かったよ…恐怖や憎悪で支配する為だね…ルーデウスは王として覇道を突き進んでるのさ」
戦士「こんな風になりたく無ければ従え…と言う意思表示だと言う訳か」
闇商人「もう一つ…兄が嫌がる事をする事で復讐してるんだ」
戦士「では私にも原因が有ると言う事か…」トーイメ
闇商人「こんな所で滅入ってたらキリが無い…次の事を考えよう」
戦士「その通り…私は前に前に進むのだ」ゴゴゴゴゴ
闇商人「石化した魔物は塹壕に突き落としていけば良いかな?」
戦士「そうだね…しかしそれは私がやろう」
闇商人「じゃぁ僕は警戒でもしておこうかな」
戦士「それには及ばぬ…何か有れば呼びに行くから体を休めてくれたまえ」
闇商人「そうかい?じゃぁ…」スタ
『洞窟の中』
ヒョコヒョコ イテテ
闇商人「お?フーガ君動いて大丈夫?」
少年「俺ミファの看病するんだ…」
少女「フーガ背中痒い」
少年「今行く…」ヒョコヒョコ
賢者「石焼パンを作りました…チーズと一緒にどうぞ」
闇商人「ありがとう…ラスはまだ上がって来ない?」
女ハンター「何か用?」ジャブ
闇商人「あぁ水場で体を洗ってたか…見えなかったよ」
女ハンター「外の戦闘は落ち着いた様ね?」
闇商人「異形の魔物が1体と毒を撒き散らす魔物が数体さ…どうにかなったよ」
女ハンター「異形の魔物相手にバヨネッタ使うのは少し勿体無いわね…オーバーキルになったのでは?」
闇商人「ええ?まぁ6発くらい当てたね…」
女ハンター「麻痺毒に弱いみたいだから覚えておいて…一発で仕留められる可能性がある」
闇商人「あぁ…それでゲスの持ち物に毒が有ったのか」
女ハンター「カゲミ?食事を食べながらで良いけれど…洞窟の奥に行って私が記した物を見て来て頂戴…そして記憶して」
闇商人「興味あるね…見て来る」
女ハンター「これライト」ポイ
闇商人「おととと…」パス
女ハンター「イッコも余裕があったら見て来て」
賢者「はい…分かりました」
『1時間後…』
ダダダ ドタドタ
闇商人「ラス!!あの情報…衛星を乗せたミサイルの打ち上げはあと20日後?」
女ハンター「私が認識して居る日付にズレが無ければその筈…もしかしたら1日くらいズレて居るかも知れない」
闇商人「これって海賊王の作戦ともリンクしてるよね?」
女ハンター「そうよ…一般には何も知らされる事無く進んで居る作戦…勿論古代人も絡んでる」
闇商人「そうか…それで海賊王は大量のウラン結晶を運ぶのか…」
女ハンター「打ち上げが無事に終われば第一段階が終了…その後第二段階に進むのだけれどどんな内容なのか知らされて居ない」
闇商人「どうやってそんな情報を知ったの?」
女ハンター「千里眼と言うのかしら?カイネさんの目を覗く事でシン・リーンの女王が私を利用して来たという事」
闇商人「意味が分からないな…カイネさんは魔女の塔に幽閉されている立場だったのでは?」
女ハンター「カイネさんが私の目を通じてアランの動向を見守っていたの…そしてアーカイブという空間に堕ちてしまった事を知った」
そして私は逆に偶然持たされていた光の魔方陣のお陰でカイネさんの目を覗く事が出来た
始めはただ観察するだけだと思って居たら…カイネさんが就寝している間に動かせる事に気付いたの…
私は知り得る情報を書物に書き残しアーカイブから脱出する手助けをカイネさんから得ようとした
カイネさんは行動を起こしたわ?アランを救出する為に…
闇商人「すごい…まさにマルコさんが書き残した自分を操る第三者の事じゃ無いか…マルコさんの説が正しかったんだ」
女ハンター「話を続けるわ…」
カイネさんが始めに相談した相手はシン・リーンの女王…
その会話の中で眠り姫となったシン・リーンの魔女ルイーダがアーカイブに堕ちて居る事が分かって来た
女王は私達と同じ様にアーカイブへ堕ちたルイーダを救う為に行動を始める
そしてカイネさんの目を通じて居る私に対してコンタクトを取り始めたの
闇商人「待って待って…衛星を打ち上げる作戦との関連がいまいちよく分からない」
女ハンター「それはシン・リーン女王のすぐ傍にいたカイネさんの耳に入って来る情報を私がまとめただけ」
闇商人「あぁぁ話の本筋とは違うのか…」
女ハンター「先に結論を言うと魔女ルイーダがアーカイブから戻って来ない原因…それはルイーダ本人が魔王の器だからなのよ」
闇商人「待った待った…分からない…なんで急に魔王が…」
女ハンター「アーカイブでは基本的に世界中の誰の目でも覗ける…私を動かして居るのは魔王だという可能性もあるのよ」
闇商人「いやそんな…それじゃ何も防げない」
女ハンター「20年前に神を最後に消し去ったのは誰だと思う?」
闇商人「本人達しか知り得ない…もしかして魔女ルイーダが神を消し去った?」
女ハンター「正解…どうしてだと思う?」
闇商人「まさかルイーダを操って居たのは魔王だったと言うオチなのかい?」
女ハンター「正解…それに気付いたルイーダは自らを封印した…伝説で伝えられている様に次の世代の魔王になるのをルイーダ一人で防いで居るのよ」
闇商人「それってカイネさんは知ってるんだよね?」
女ハンター「勿論…カイネさん自身もすぐ傍に居るシン・リーンの女王を操って居るのが魔王なのかも知れないと言うのも考えてる」
闇商人「今の話からするとどうやっても魔王を防げないじゃないか…アーカイブを無くすぐらいしか思いつかない」
女ハンター「だからルーデウスは精霊樹のアーカイブを破壊したいのでは無いの?」
闇商人「え!?」
女ハンター「魔女ルイーダから聞いたわ…光る夜の時…エルフの森にあったアーカイブを管理して居た精霊の伴侶が殺された」
闇商人「…」
女ハンター「ルーデウスが持って居た破壊の剣でその時すべて壊されてしまったのよ…だからこの次元におかしな事が起きてる」
闇商人「待って待って…良く分からない…そうやってルーデウスを正当化しないで欲しい」
女ハンター「話が急すぎたわね…でもゆっくり考えて見て」
闇商人「魔王の件はとりあえず置いておこう…衛星の打ち上げと言うのは?」
女ハンター「そうね…まず目の前の事ね…」
話が長くなるから結論から言うわ…衛星を打ち上げる目的は世界中に点在するアーカイブとの同期をはかる為
何故今打ち上げるのかと言うと20年前まで稼働していた衛星は月に投下されて無くなってしまったから
その影響でアーカイブ同士が持って居る時間がズレてしまう事が起きてる…これが原因で世界はとても不安定
女ハンター「これは海賊王の主張なの」
闇商人「そんな事何も聞かされて無い…」
女ハンター「言い方が悪かったわね…行方不明となっている海賊王の娘2人の主張を海賊王が代弁してる」
闇商人「分かり難いなぁ…20年前の勇者達の言い分な訳ね」
女ハンター「恐らく古代人とは密接な関係にあって今まで水面下で暗躍していたと思われる…多分機動隊の中に居たのだと思うわ」
闇商人「まぁなんとなくそんな気はしてたさ…それで?」
衛星を搭載したミサイルが有る場所はこの場所から割と近い…エルフの森南部と言われる場所…そこに巨大な基地が有るらしいわ
其処に通じるすべての地下通路を封鎖してシン・リーンの魔術師は地上から…地下からは機動隊が潜入
そしてそこに運ばれる物は海賊王の娘が持つ光の石と言う物と…解読王が持つ大量のウラン結晶…
闇商人「僕達が関わる余地は無さそうだね…」
女ハンター「残念だけどそういう訳に行かなさそうと言うのが私が言いたい事なの」
闇商人「僕達も加わらないといけない?」
女ハンター「イレギュラーになりそうなのが銃器を持った異形の魔物達…魔術師も機動隊も駆逐される危険が出て来た訳」
闇商人「戦車の出番と言う事か…」
女ハンター「正解…ふぅぅぅぅ…とりあえずカイネさんからのメッセージはおよそ伝えた筈…やっと気が抜ける」
闇商人「ええと…どういう事だろう?」
女ハンター「カイネさん自身は魔術師の監視下にあって思う様に発言出来ないのよ…だから私が代弁しているの」
闇商人「なるほど…塔の魔女から僕達への啓示だと言う訳か…」
女ハンター「そう解釈して貰って良いわ」
闇商人「ところでアランはこの話分かってるのかな?」
女ハンター「当然…アランとゲスは今ルイーダを救い出す術を探して居るわ…多分それがこの世界の次の扉に思う」
闇商人「扉…」
女ハンター「ゲートウェイ…夢幻の扉と言うらしいわ…そこの鍵を開けて魔法を盗んで来ると言ってた」
闇商人「魔法を盗むってどういう事だろう?」
女ハンター「良く分からない…魔法を使える設定を盗んじまえば良いだろうみたいな事を言ってたから…」
闇商人「今2人が目を覚まさないのはやる事が有るからなのかな?」
女ハンター「それも分からない…私は妖精に呼ばれた気がして気が付いたら横になってたわ」
闇商人「まぁ…アランが目を覚まさない事にはなぁ…」
女ハンター「まだもう少し時間が有るからゆっくり考えて見て」
闇商人「そうだね…」ブツブツ
それにしても…魔王が何処にでも存在すると言うのは厄介だな
僕の行動は魔王が操って居る結果なのかも知れないと言う事だ
マテマテ良く考えろ…魔法を盗むって…どうしてそういう考えに行きつく?
もし魔法が無くなったら…
一番困るのはもしかして魔王なのか?
いや…そうだな…魔王が人間を操るとして強力な魔法が無ければ只の人間じゃ無いか
分かって来たぞ…2000年前に人間は魔王に対抗する為に魔法を発達させてきた
それはそもそも魔王が仕掛けた罠だったんだ
強力な魔法を使える人間を生み出しそれを乗っ取る形で影響力を得たんだ
それに気付いた英雄のルーシェンバッハは魔法を封じる為に国を捨てた…
でも今の今まで魔法は捨て切れず残り続けて来た歴史だ
それを今完全に無くそうと言うのがアランがやろうとしてる事なんだ
その秘密がアーカイブに有る訳か…




