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82.赤備え


『昏睡』



ゴソゴソ



闇商人「どう?そっちは?」


賢者「はい…揺すっても全然反応がありません」


闇商人「一応血行不良にならないように定期的に体の向きを変えて置こう」グイ


盗賊「…」zzz


学者「…」zzz


女ハンター「…」zzz


戦士「…」zzz


闇商人「何処にも異常は無さそうなのに目を覚まさないのはやっぱりおかしいな…」


女オーク「レイスに魂を狩られてしまった人は丁度こんな風になってしまうわ」


闇商人「知ってるさ…僕達じゃどうにも出来ないな…」


賢者「妖精さんにお願いして見ましょうか?」


闇商人「そうだね…」---そうだ確か---



---心が夢幻に行ってしまった場合---


---自分で目覚める事が出来ないと何かに記してあったな---


---もしこの世界が夢幻だった場合---


---確かに僕は元の自分にどうやって戻れるか分からない---


---そもそも夢を見てると気付くことが出来ないんだ---


---きっとマルコさんはそれに気付いたんだ---


---もう少しで追い付けそうだ---



ヴヴヴヴヴヴ ガァァァァ



女オーク「ハッ!!」キョロ


闇商人「この唸り声は…何処かにゾンビが居るな…」キョロ


女オーク「ちょっと洞窟の外を見回して来る!!」ダダ


賢者「カゲミさん…戦闘になるかも知れないので私が作った骨の装備品を身に付けて下さい」ガサリ


闇商人「そうだね…君もしっかり身を守れる様に」ゴソゴソ


賢者「はい…」ゴソゴソ





『洞窟の外』



シトシト シトシト



闇商人「雨は小降りになってるか…」キョロ


女オーク「ゾンビを見つけたわ…武装しているから近付かない様に」


闇商人「こっちに来る気配は?」


女オーク「今の所彷徨って要るだけに思う…雨が降って燃やせないから関わらない方が良い」


闇商人「この洞窟の入り口まで登って来られるかな?」


女オーク「分からない…でも一応入り口を塞ぐ事は考えた方が良さそう」


闇商人「扉ね…」


女オーク「破壊の剣で倒木から木材を切り出せるけれど…扉を作れる?」


闇商人「木組みか…よし!やってみよう」


賢者「私はロープの代わりになる植物のツタを集めておきます」


闇商人「頼むよ…」





『木組みの柵』



グイグイ ギュゥ



闇商人「これは扉と言うよりも柵だな…ふぅ」


女オーク「ゾンビの侵入を防げるのならそれで良いのよ…イッコ!?ゾンビの様子は?」


賢者「全部で6体ですね…錆びた鉄の鎧で武装しています…武器も錆びた鉄ですね」


闇商人「何処かの兵隊だったんだろうね」


賢者「周囲に動物があまり居ない原因はゾンビのせいでは無いでしょうか?」


闇商人「かも知れない…いや待てよ?…もしかしてゾンビ化の病気か?」


賢者「燃やして拡散するのを防いだ方が良い様に思われます」


闇商人「そうは言っても濡れた木材はそう簡単に燃えないし…」


賢者「洞窟の中に運んで例の暖かい石で乾かしましょう」


闇商人「そうだね…一応準備しておこう…石炭も残り少なかったし」





『焚火』



メラメラ パチ



闇商人「洞窟の入り口は冷えるからやっぱり火が必要だね…」スリスリ


女オーク「イエティの毛皮が暖かいからそんなに苦でも無いわ」


闇商人「ゾンビは此処まで上がって来る気配無い?」


女オーク「今の所は…でも数が増えると中には上がって来るのも居る筈」


闇商人「もしかして数が増えてる?」


女オーク「増えては居ないけれど…来るときは一気に来るのを経験したことが有るから心配」


闇商人「あぁ…シン・リーンの旧港町の時だっけか」


女オーク「そう…イエティとか大型の動物もゾンビになってて大変だった」


闇商人「ゾンビについて僕なりの考察が有るんだけど聞いてくれるかい?」


女オーク「何?」


闇商人「もう30年も昔の話になるんだけどね…」



その当時100日の闇と言われる厄災が有ったのは知ってるよね?


世界の人口はこの厄災で7割も減ってしまったらしい…


その死因の殆どがレイスによって魂を狩られたからなんだ


それで犠牲になった人達が何処へ行ったのか?


全部火葬されたのか?



闇商人「実は誰もその真相を知らないのさ…」


女オーク「何が言いたいの?」


闇商人「噂では当時の貴族達によって魔石を作る材料にされたという説がある」


女オーク「…」ジロリ


闇商人「でもそれだと市場で流通してる数が合わない…そもそも魔石はウラン結晶を使ってエネルギー充填出来るんだ」


女オーク「まさか全部ゾンビにされてると言いたい?」


闇商人「ビンゴ…」


女オーク「…」


闇商人「その当時犠牲になった人々をタダ同然でかき集めた貴族がルーデウスなんじゃないかと思った」


女オーク「そんなに沢山の人々を何処に隠して?」


闇商人「麻薬密売ルートから搬入されたのさ…行き先はエルフの森南部…まだその当時貴族達は力を持ってたんだ」


女オーク「じゃぁルーデウスが持って居る隠し玉はゾンビの大群と言う事ね」


闇商人「確証は無い…只の予測だけどね」


女オーク「当時犠牲になった人達の数ってどのくらい?」


闇商人「うーん…正直わからない…人口比で言うと数千万としか言えないね」


女オーク「数千万…想像出来ない」


闇商人「まぁ世界の人口比で言うとその位の犠牲者なんだ…その内どの位行方不明なのかももう分からないね」


闇商人「ゲスの言葉を借りると…チェスでの勝敗は歩兵をどれだけ使うかで決まるらしい」


女オーク「ゾンビが歩兵…」


闇商人「ルーデウスを追い詰めてる様に見えて…その実チェックメイト寸前なのはこっち側なのかも知れない」


闇商人「そうならない様に…裏の裏を考える必要がありそうだよ」




『洞窟の中』



イソイソ…


ゆっくり飲んで下さい…



少女「むぐ…むぐ…」ゴクリ


賢者「全身の骨が折れて居る様なので暫く安静です…あまり動かない様に…」


少女「ミルク…は?」


賢者「今は狩りに出て居ます…元気なので心配しなくて良いですよ?」


少女「良かったぁ…」



スタスタ



闇商人「あれ?」


賢者「カゲミさん…ミファが目を覚ましました」


闇商人「おおお!!それは良かった…記憶は確かかい?」


賢者「目を覚ましたばかりなので混乱しているかと…」


少女「そこで寝てるのはアラン?うぅぅ…いたたた」


闇商人「無理して話さなくても良い…色々あったけど無事にアランを救出したんだよ」


少女「救出?」


闇商人「まぁ無事だから安心して体を休めるが良いさ」


賢者「ところで外の方はどうなって居るのでしょう?」


闇商人「リッカが見張っててくれてる…今の所ゾンビが這い上がって来る事は無さそうだよ」


賢者「妖精さんにお願いして眠って貰いましょうか?」


闇商人「ええ!?ゾンビ相手ににそんな事が出来るのかい?」


賢者「母からマルコさんの眠り方を聞いた事があります…妖精さんに眠らせてもらえば不死者でも眠るのだとか」


闇商人「それはスゴイ事じゃ無いか…ちょっと試してみてよ」


賢者「でもその後浄化してあげないといつまでもゾンビとして彷徨ってしまいますね」


闇商人「浄化…どうやるんだろう?」


賢者「確か光の魔方陣を使ってお祈りをするんだったと思います…」


闇商人「あ!!ラスが身に付けてたペンダントは光の魔方陣だ…それが使える」


賢者「ではその魔方陣を使って私がお祈りしてみましょうか?」


闇商人「お祈りって何に対して?」


賢者「分かりません…冥福をお祈りするだけではダメでしょうか?」


闇商人「まぁ兎に角やって見ようか…上手く行かないなら寝てる間にこのミスリルのニードルダガーを心臓に刺すだけさ」スチャ


賢者「うまく浄化出来るのを祈りましょう」


闇商人「うん…」---浄化---



---浄化というのは一体どういう行為なんだ?---


---天国が無くなったというなら浄化されて一体何処に行くと言うんだ?---


---そもそもゾンビはどうして動いてる?---


---いろいろ辻褄が合わない…もしかしてそれら全部がこの世界の不都合な記憶になって居無いか?---





『浄化』



苦しみの日々は終わりました…どうかその苦しみから解き放たれ…あなたの魂が鎮まりますように



賢者「…」人


闇商人「…」---その魂の行き先が無いと言うのがこの世界の現状なのさ---


闇商人「…」---魔術師達が危惧して居たのはこういう事だったんだ---


闇商人「…」---シン・リーンの言い分が正しかった訳だ---



女オーク「カゲミ?…呆けて居ないで穴を掘るの手伝って貰える?」


闇商人「ん…あぁゴメン…手伝うよ」


女オーク「これ…木製のスコップだけど土を掻き出して行って欲しい」ポイ


闇商人「ハハ…穴掘りって結構重労働だよね」ザック ザック


女オーク「体を動かして居れば寒さは気にならないから頑張って」


闇商人「それにしてもこのゾンビ達…」


女オーク「何か?」


闇商人「武装している物が随分傷んでる…きっと戦争で亡くなった兵隊だね」


女オーク「武器はまだ使えそうだけど回収する?」


闇商人「使えると言ってもなぁ…墓標代わりに突き立てておくぐらいしか思いつかない」


女オーク「ではそうしましょう」


闇商人「でもこんな武器を持ったゾンビが居るなら盾とか準備しとかないと怪我してしまうね」


賢者「骨がまだ余って居るので盾も作って準備しておきます」


女オーク「シカの頭蓋骨があれば盾替わりに出来るわ」


賢者「分かりました…やってみます」





『穴掘り』



ザック ザック



闇商人「はぁ…はぁ…もう腕が上がらない」フラ


女オーク「そろそろ終わりにしましょう…私の肩に乗って上に登れる?」


闇商人「うん…2メートルは掘ったね…こんなに深い穴が必要だったかな?」


女オーク「ゾンビは増える…経験ではね」


闇商人「なるほど…登るよ?よいしょ!!」ピョン


女オーク「私はこのまま!!」



ピョン クルクル シュタ



闇商人「おお!!身軽だ…」アゼン


女オーク「良い運動だったわ」ボキボキ ノビー


闇商人「さて…ゾンビを穴に放り込めば埋葬完了かな?」


女オーク「私がやっておくからカゲミは休憩してて良いわ」


闇商人「そうも言ってられない…ちょっと思い出した事も有ってね」


女オーク「何かする気?」


闇商人「只のゾンビ除けさ…確かゾンビは目で敵を察知するんじゃ無い筈なんだ」


女オーク「目は見えて無いと言う事?」


闇商人「そう…音を追って来ると言うのを何かの書物で読んだ事が有る」


女オーク「じゃぁ森の中で彷徨ってるのって…」


闇商人「枝同士ぶつかって色んな音が出るよね…そういうのを沢山作ればゾンビ除けになると思ったんだ」


女オーク「そういえば…思い当たる事もある…」トーイメ


闇商人「鳴子って言ったっけな…フィン・イッシュでは良く見かける奴だよ」


女オーク「じゃぁ枝に乾いた骨を吊るせば良いわね」


闇商人「そうだね…僕は仕掛けを作ってくるからゾンビの処理はお願いする…行って来るよ」タッタッタ




『翌日』



カランカラン…



賢者「遠くから聞こえる乾いた骨の音は少し心地が良いですね」ユッタリ


闇商人「そうかい?」


賢者「こういう音に誘われて妖精さんが集まって来たりします」


闇商人「なるほど…偶然にも魔除けとかになって居るのかも知れないな…」



ううん…



戦士「んん?ここは…」ムクリ


闇商人「あ!!起き上がった…」


賢者「あの…お体の具合は?」スタタ


戦士「カゲミ殿とイッコ殿…か?私はどうして…」ハテ?


闇商人「兎に角目を覚まして良かったよ…ずっと昏睡してたのさ…記憶の方はどう?」


戦士「私は乾燥キノコを探す為に…いやおかしいな…宿屋に居た筈なのになぜこのような洞窟に…」キョロ


闇商人「…」---やっぱりそうか…全部夢だと感じるんだ---


賢者「落ち着きましょう…何も食されて居ない様ですので何か食べてから頭を整理しましょう」


戦士「済まない…混乱してしまって居る…そうだ乾燥キノコだ…私の乾燥キノコは何処に?」


闇商人「乾燥キノコ?」


戦士「私は乾燥キノコの入った袋を抱えて…まさかそれは眠りキノコだったのか?」


闇商人「ええと…」アセ


賢者「乾燥キノコでしたら余って居ます…これでよろしいですか?」スッ


戦士「おおおおソレだ…私の乾燥キノコは無事だったか」ホッ


賢者「どうぞ…」


戦士「ううむ…この香り…記憶が蘇って来る…キノコが乾燥して行く過程をサクラと一緒に真似て見た事がある」クンクン


闇商人「いや…あの…何の記憶を思い出してるんだろう…」タジ


戦士「食べるのが勿体無いが…ここはひと思いに」ガブリ モグ


闇商人「ハハ…なんていうか…これが天然って言うのかな…ハハハ」


戦士「口の中の水分がすべて吸われて行くのを感じる…そうだこのまま膨らむまで噛み続けるのだ」モグモグ


賢者「あの…カゲミさん…大丈夫なのでしょうか?」アセ


闇商人「まぁしばらくやらせておくだね…寝ぐせも酷い事になってるから直してあげてよ」


賢者「そ…そうですね…」




『しばらくして…』



カクカク シカジカ…



戦士「…と言う訳なのだよ」


闇商人「その後の記憶は?」


戦士「いつの間に眠ってしまったのか分からないのだが…カラカラと懐かしい音が聞こえると思ったら目が覚めた…分かるかね?」


闇商人「んん?骨の乾いた音の事かな?」


戦士「おお…骨が鳴る音だったのか…もう記憶に無いが子供の頃に聞いた事のある懐かしい音だ」


闇商人「なるほど…」---多分骨を吊るすのはオークの風習---


戦士「アラン殿とは逸れてしまって居たからこうして合流出来て居るなら安心した」


戦士「そうだ…私が持っていた剣は何処に?」


闇商人「ちゃんと保管してあるよ…バレンシュタイン卿が持つにしては随分小さな剣に思うけど?」


戦士「バレンで良い…シュタインの名は恥ずかしくて省いて欲しい…」


闇商人「分かったよ…」


賢者「剣をお持ちしました」スチャ


戦士「この剣は草薙の剣と言ってあるべき場所はフィン・イッシュなのだよ…私がかの地を踏む為の口実の一つだから失いたくない」


闇商人「あ…言い忘れてたけどバレンさんはフィン・イッシュで既に英雄扱いだよ?」


戦士「んん?何もして居ないが?」


闇商人「異形の魔物を退け隣国からの侵略に一人で立ち向かったと言う事になってる」


戦士「それではいつ帰っても良いと言う事なのかね?」


闇商人「ちょっとややこしいんだけど…ウ・クバ領はフィン・イッシュと併合して領地をバレンさんに与えられてるんだ」


戦士「アナール卿はどの様な扱いに?」


闇商人「忍び一族によって投獄されてる…例の離れ小島だね」


戦士「そうか…命は救われたか」


闇商人「それでバレンさんの私兵は全員ウ・クバ砦で主の帰還を待ってる」


戦士「ふむ…ついこの間食料調達に行ったのだが…それから月日が流れてしまったか…」


闇商人「と言ってもまだ1年ちょっとだよ…異形の魔物の追い込みはあと一歩という感じだね」


戦士「ルーデウス…そうだルーデウスはどうなって?」


闇商人「情報が無い…僕はずっと海に出てるから陸の情報に疎いと言うのも有る」


戦士「大体情勢は把握した…ところで今居る場所はどの辺りになるのかね?」


闇商人「ええと…シケ・タ町から南東に100キロくらいの森の中…かな?」


戦士「私の庭だね…このような洞窟はいくつもあるのだよ」


闇商人「土地勘があるのなら動きやすい…これからどうしようか迷ってた所なんだ」


戦士「少し私もその辺を見回ってみよう…」




『洞窟の入り口』



メラメラ パチ



女オーク「すゃ…」ウツラ ウツラ


闇商人「リッカ!交代に来たよ」


女オーク「ハッ!!」パチ


闇商人「寒いでしょ?洞窟の中で休んで良い」


女オーク「あ…その王様…起きたのね?」ギロリ


戦士「これは私とした事が…挨拶が遅れてしまった様だ…」キリッ


女オーク「そんな事は良いの…」ジロジロ


戦士「ハハハ中々厳しい見張りの様だね…君が居れば皆安心だ」


女オーク「…」シラー


闇商人「リッカちょっと…」グイ


女オーク「何?」


闇商人「どうやらアーカイブでの記憶は無いみたいだよ…今は兄妹だと言うのは伏せた方が良さそう」


戦士「んん?誰と兄妹なのかね?」


闇商人「あぁ…こっちの話…気にしないで良い」


女オーク「その話本当?」


闇商人「本人は夢だと思ってる…というか夢を何も覚えてない」


戦士「私の夢は世界を正す事だ!!前だけを見て前進するのみ!!」ビシ


女オーク「ちょっと…あの寝ぐせどうにかならないの?」ヒソ


闇商人「なかなか頑固な髪の毛でね…まぁ本人は気にして無いから良いさ」



おおおおコレは!!赤備えの兵装では無いか…何故此処に…


いやしかしこの武器は精鋭兵に送られる武器では無い…どう言うことなのだ?



戦士「カゲミ殿!!そこに放置されて居る兵装は如何に?」


闇商人「ゾンビが身に付けて居た装備類だよ…その口ぶりからして見覚えある感じかな?」


戦士「ゾンビとなって彷徨っていると…まさか未だに国を守り続けて…」


闇商人「少し離れに穴を掘って埋葬してる…まだ埋めて無いから確認してみるかい?」


戦士「どこだ?案内して欲しい」キョロ


女オーク「…」ポカーン


闇商人「リッカ?僕が案内してくるから君は休んでて良いよ」


女オーク「わ…わかったわ」


戦士「こっちだな?」ドドドドド


闇商人「なーんか調子狂うね…あの人」


女オーク「あまり関わりたくないから私は横になって来るわ…」スタ


闇商人「ハハ…」




『埋葬穴』



…こうなってしまっては誰が誰なのか見分けが付かないな


赤備えの部隊がここまで下がって居ると言う事は…やはりレイスから逃れようと此処まで…


レイスに有効な武器を探して手持ちの武器を変えたのか



闇商人「やっぱり100日の闇の犠牲者かな?」


戦士「間違いないだろう…赤備えの精鋭達とはよく訓練を勤しんだのだよ…精鋭中の精鋭なのだ」


闇商人「装備を赤く染めてる理由は?」


戦士「ウルフを始め多くの魔物は赤と緑の見分けが付かないのだ…森に紛れるなら赤備えが有効なのだよ」


闇商人「もしかしてエルフも?」


戦士「それは分からないが矢を受ける頻度が減るのは間違いない」


闇商人「なるほどね…森の中の迷彩色だと言う訳か」


戦士「私達からは良く目立つから味方の誤射を防いて居るというのもある」


闇商人「持って居る武器が違うと言うのは?」


戦士「精鋭兵に与えられるのはコバルト製の武器で錆びる事が無い…しかしレイス相手には無力だったのだろう」


闇商人「じゃぁ一級品の武器を持ったゾンビもまだ彷徨ってるかも知れない訳か」


戦士「他にもまだ居ると?」


闇商人「まぁ…リッカの勘だね…ゾンビは大体100とか200とか…そういう単位を相手にして来たからさ」


戦士「リッカとは先ほどの体格の良い女性の事であろうか?」


闇商人「あぁ…あまり面識が無かったかな?僕達の主力戦士さ」


戦士「ふむ…只者では無いと感じたがやはりそうであったか…何か同じ匂いを感じると思ったのだ」


闇商人「あまりそう言うのは本人に言わない方が良いと思うよ…機嫌を損ない兼ねないからね…ハハ」アセ


戦士「言動には気を付けるから安心してくれたまえ」キリッ



モサモサ ビヨヨーン



闇商人「と…とりあえずその寝ぐせをどうにかしない?どうも会話の内容より揺れ動く寝ぐせが気になってしまう」


戦士「おぉこれは私とした事が…ヘアが乱れてしまって居たか…なかなか強情な毛髪で申し訳ない」ビヨヨーン


闇商人「…」アゼン



---完全に天然だな---


---すべての行動がなんかいろいろ台無しになる空気を持ってる---


---そして全く悪意を感じない…不思議な人だ---




『整地』



どらどらどらどらどらぁ!!ガッサ ガッサ



闇商人「…」ポカーン


女オーク「ねぇ…これどう言う事?」


闇商人「いや…バレンさんが塹壕を掘り出してね…襲撃に備えるとか言ってるんだけどどうも勘違いして居そうだ」


女オーク「塹壕が必要な敵ってどういう想定?」


闇商人「多分異形の魔物の想定なんだろうけどね…まぁ丁度ゾンビ除けにもなるから放置してるんだ」


女オーク「なんか想像していた人と随分違う…」


闇商人「ん?どんな想像をしてたのかな?」


女オーク「王様だと聞いていたからそういう感じなのだろうと…」


闇商人「あの感じは自分で動いて周りを引き込んで行くタイプだね…すごい無駄も多そうだけどね…脳筋っていう奴さ」


女オーク「なんだか可愛らしい…」


闇商人「んん?目を覗かれた怒りは納まったかな?」


女オーク「それとこれとは別だけど…あの行動は好き」


闇商人「じゃぁ君も手伝って来たら?」


女オーク「無駄に思うから止めて置く」


闇商人「ハハ確かにそうだよね…んん?アレ?」


女オーク「え?」


闇商人「気球が見える…もしかしたらミライ君が戻って来るかも知れない」


女オーク「あ…本当ね…食材が増えるともう少し良い物が作れるわ」


闇商人「これでしばらく安定かな…食事が楽しみだ」




『貨物用気球』



フワフワ ドッスン



剣士「姉さ~ん!!」ノシ


女オーク「予定通りね?心配したわ?」


剣士「やっぱり高高度飛べると移動が早いよ…荷物降ろし手伝って!」


女オーク「あら?石炭と硫黄も?」ガサリ


剣士「一応一通り必要な物は持って来たさ…小麦は2袋…レーションはちょっとしか無い」


闇商人「僕も荷物を運ぶよ」


剣士「カゲミさん!マイさん達が船に戻って来てたよ」


闇商人「あぁぁその件か…どうやらカイネさんはこっちに来てるらしいね」


剣士「んん?その話分からないんだけどシン・リーンで宿泊先が無くて仕方なく戻って来たって」


闇商人「どういう事だろう?」


剣士「冒険者で溢れかえってるんだってさ…野宿になってしまって流れ矢が危ないとか言ってた」


闇商人「流れ矢?シン・リーンの中で戦闘が起きてる?」


剣士「ドラゴンライダーだよ…空から矢が降って来るらしい」


闇商人「つまり冒険者の中にエルフ達の敵が紛れ込んでる訳か…」


女オーク「イッコが聞いて来た話と一致するわね」


剣士「とりあえず船の方は大丈夫だから安心して…ドワーフの海賊達も順調に作戦進んでるみたい」


闇商人「う~ん…銃器を使われてどんでん返し食らわなければ良いんだけど…」


剣士「ところでアランさんは目を覚ました?」


闇商人「残念ながら目を覚ましたのはバレンさんだけだね」


剣士「そっかぁ…話を聞きたかったんだけどなぁ…」


闇商人「バレンさんに聞いた感じだとアーカイブでの出来事は記憶して居ない様だよ」


剣士「え!!?どう言う事?」


闇商人「夢を見てた様に感じてるみたいだ…思い出せないと言ってる」


女オーク「それは個人差がある様に思うわ…あの人は多分脳の中に筋肉が入ってる」


闇商人「確かに…頭の回るラスとかが期待出来そうだね」


剣士「ええと…どうしようかなぁ…ウラン結晶を持って来たから戦車を早く移動させたいんだ」


闇商人「そんなに急がなくても良いと思うけど?」


剣士「食料は戦車の方に有るのを見越して運んで来た食料は控えめなのさ」


闇商人「もしかして肉を持って来て無い?」


剣士「うん…干し肉は少ししか無い」


闇商人「ハハ…まぁとりあえず荷物を運んで考えるのはその後にしよう」


剣士「そうだね…よーし!!運ぶぞ!!」ヨッコラ




『荷物整理』



ガサゴソ ガサゴソ


石炭…硫黄…硝石…砂鉄もあるか


油が樽で一つ…これで燃料には困らないな



剣士「はい!!これは姉さんの両手剣…置き忘れて行ったでしょ」チャキリ


女オーク「フフ大事に保管して置いたのよ」スチャ


剣士「バヨネッタの弾はそれで全部…500発くらい有ると思う」


闇商人「ガトリングで使うと一気に無くなるから大事に使おう…というかミライ君はどういう想定で居るのかな?」


剣士「あんまり考えて居ないけど…この間のキマイラみたいな魔物が居るのを考えると準備は必要に思った」


闇商人「なるほどね…それで爆弾の材料も多めなのか…」


剣士「プラズマの銃は船の守備に使うから持って来て無い」


闇商人「食材は小麦2袋あるから…これで1カ月は飢える事無いな…あとは干し肉とナツメ…干物もあるね…」ゴソゴソ


剣士「アランさん用にと思ってお酒も持って来たんだけどなぁ」


闇商人「まぁリッカのポーション代わりだと思えば良いさ」


剣士「あれからずっと目を覚まさないのっておかしいよね?」


闇商人「うん…どうやって起こせば良いかさっぱり分からない」


剣士「バレンさんはどうして?」


闇商人「骨がカラカラ鳴る音を聞いて目を覚ましたと言うけどね…それならアランも条件は一緒なんだ」


剣士「音…そういえば姉さんの声で目覚めた気もするな…」


闇商人「んん?アーカイブからの目覚め方かい?」


剣士「所縁のある音とか声は聞こえた様な気がする…」トーイメ


闇商人「何度も声は掛けたんだけどね…所縁が無いとダメなのかな?」


剣士「姉さんはアーカイブからどうやって目を覚ましたの?」


女オーク「ウルフィの遠吠えが聞こえた様に思うわ」


闇商人「ちょっと待った…ウルフィにはバレンさんの血を輸血したらしい…もしかして血の繋がり?」


女オーク「それならアランさんに私の血を何度も輸血している筈」


闇商人「輸血と血縁関係は少し違うか…う~ん…」


剣士「まぁ色々試してみようよ」


闇商人「そうだね…所縁のある音か…何があるかな…」







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