81.どこかの洞窟で
『ミファとフーガ』
フキフキ サラサラ
少女「…」クター
闇商人「ふむ…大分良さそうだな…」
女オーク「容体は?」ジロ
闇商人「うん…火傷痕が砂になって来ててホムンクルスの体だと完全に元に戻るかも知れない」
女オーク「それは良かった」
闇商人「僕の火傷痕はどうなっちゃうかなぁ…」スリスリ
女オーク「2人ともあれからずっと目を覚ましていないのね?」
闇商人「うん…痛みとか苦痛から逃れる本能的な反応なのかもね…僕みたいに目を覚ましてると痛みがね…」イテテ
女オーク「私は今体調が良いから輸血してあげても良いけれど…」
闇商人「あぁ…フーガ君は失血気味だから輸血してあげた方が良いと思うね…でも素人の僕がやって失敗するのが怖いなぁ」
女オーク「確かにそうね…ゲスさんが目を覚ました後の方が良さそう」
闇商人「うん…やっぱりダメだなぁ僕は…肝心な時に何も出来ない…」
女オーク「カゲミさんも火傷がひどい様だから無理はしない様に」
闇商人「僕もリッカの血を輸血した筈なのにどうしてこんなに弱いんだろう?」
女オーク「弱虫だからね」
闇商人「ハハ…はっきり言うね」
女オーク「でもその方が長生きすると思う…私はそれで良いと思うわ」
『シケ・タ自治領』
ガヤガヤ…
おら早く木材運べぇぇ!!鞭打たれんと言う事聞けんのかぁ!?
おい止めとけ…魔術師が睨み聞かせてんぞ?
ちぃぃこのゴタゴタしてる時に魔術師のヤロウ何もし無えくせに幅利かせやがって…
狼女「…」シュタタ
女盗賊「おい!!」
狼女「ん?」クルリ
女盗賊「やっと見つけた…他の人は何処行った?」
狼女「ああああ!!オマエー!!又何かする気だな?噛むぞ!?」
女盗賊「こんな人だかりで又ウェアウルフに変身する気?」フフン
狼女「フン!!小者に構ってる暇無い!!どっか行け!!」
女盗賊「ロストノーズの行方は知りたくない?」
狼女「むむ!!」
女盗賊「金貨2枚…」
狼女「持って無い…それにお前の情報は大した事無いの分かってる」
女盗賊「盗賊ギルドが持ってる情報だとしたら?」
狼女「どういうつもりだ?裏切ったシルヴァの派閥とミルクは敵だぞ」
女盗賊「そこら辺詳しく分からないけれど盗賊ギルドは何処に対しても中立の立場」
狼女「そんな事分かってる…個人的にシルヴァの派閥とは敵だと言ってる…噛まれたく無いならどっか行け」
女盗賊「やっぱり子供とは取引にならないか…他の人は何処へ?」
狼女「…」ジロリ
女盗賊「まぁ良い…後を付ければ済む話だし」
狼女「どっか行けと言ってるだろう」
『露店』
ガヤガヤ…
ほら嬢ちゃん…こんなにチーズ買って持てるんか?
あー分かった分かった…袋に詰めてやるからナイフをチラつかせるのは止めてくれぇ
店主「ったくガキのクセにエライ危なそうな武器持ってんな…」ゴソゴソ
狼女「黙れ…怪我したいか?」
店主「へいへい…釣りだ」ジャラリ
狼女「魔術師が怖いか?」
店主「やっぱ嬢ちゃんの姿に化けた魔術師…だよなぁ?」
狼女「そうだ…変身してるのはバラすなよ?」
店主「噂じゃ100人以上魔術師が集まってるって聞くが本当か?」
狼女「…」ジロリ
店主「ウハハ言える訳無えか…まぁチーズなら沢山有るから他の魔術師にも勧めておいてくれぇ」
狼女「…」
---魔術師のお陰で治安が良くなってる様だな---
---でもどこに潜んでるか分からんから破壊の剣を置いて来て正解だ---
---フーガが持ってたアサルトナイフでも結構脅しが利く---
ヒソヒソ…
ほらあそこのボロ切れ着て荷物背負ってる子…
何ぃ!?どう見ても普通に見えるが間違い無いのか?
間違い無い…手配書の人と一緒に行動してた
狼女「ちっ」---あの女!やっぱり痛めつけないとダメだ!---
シュタタ ピョン クルクル
狼女「オマエーーーー!!」グサ!
女盗賊「え…」タジ
狼女「痛い目見んと分からん様だな!!今度は何処切り落とす!!?」
女盗賊「ちょ…血が…血ぃぃぃぃ!!」ドクドク ドピュ
狼女「首だ!!」スパ
女盗賊「いぎゃぁぁぁぁ!!」ブシュー
魔術師「回復魔法!」ボワー
狼女「なっ!!魔術師か…」タジ
魔術師「睡眠魔法!」モクモク
狼女「マズい…」シュタタタ フラ
ザワザワ ザワザワ
なんだなんだ!?乱闘か!?
おい誰か血を流してるぞ!!
魔術師「騒ぐな!!この場は私が収める!!」
女盗賊「ひぃぃぃぃ…」ガクブル
魔術師「落ち着け…傷口は直に閉じるから死ぬ事は無い…そこで倒れている子供には何人も触れるな!!」
狼女「むにゃ…」ゴロン
ヒソヒソ ヒソヒソ
ありゃ親の仇か何かで刺されたんだぞ…刺した子供はボロ切れ着てる
おぉ!あの子はさっき見たぞ…やけにギラ付いた目をしてたんだがやっぱそう言う事か
やられた方は誰だ?
あの感じは人狩りか借金取りだな?どうせ親族を奴隷にされたに違い無え
魔術師が居たら親の仇も討てんってか…クソがぁ
『とある建屋』
所持していた物はアサルトナイフと袋詰めの食料…そして銀貨が20枚ほど…
身に付けて居るボロ切れに隠れて居ますが尻尾があります…ウェアウルフの子供に間違いありません
男「情報元の女はどうしましたか?」
魔術師「大量出血でショック死の恐れがある為療養中です…一応身柄を確保しています」
男「両名顔を会わさぬ様に配慮してください」
魔術師「承知…」
魔女「女王様…どうやらこの子の耳に良からぬ会話の内容が聞こえて居た様ですね」
男「そうですね…要らぬ不信感を持たれてしまったかも知れません」
魔術師「申し訳なく…」
男「下がって良いです…元の任へ戻りなさい」
魔術師「御意…」スタ
男「さて…アランクリードと共に行動していたらしいのですが…どうしましょうね…」
魔女「この子に事情を話さない事には不信感を払拭出来ませんね」
男「カイネはこの子に見覚えは?」
魔女「ありません…関連が有るとすれば…盗賊ギルドのリカオン」
男「こうしましょうか…ある程度事情を話した後に光の方陣を与えて返しましょう」
魔女「それは私に千里眼を使えと?」
男「そうです…下手にこの子へ事情を聞き出そうとすると返って不信感をつのらせてしまうかも知れません」
魔女「お言葉ですが…本当にアランと共に行動していたなら光の方陣を持たせる意味を知って居るかも知れません」
男「ふむ…それも逆効果になる可能性がありますか…」
魔女「ここは素直に手紙を渡すのが良いかと」
男「どういった内容の?」
魔女「私個人…カイネが何処に居るのか記した手紙です」
男「カイネ個人…知って居る人にだけ分かると言う事ですね」
魔女「はい…そういうアプローチで無ければアランの仲間は身を隠したままに思われます」
男「分かりました…ここは穏便に行きましょう」
魔女「この子とは私が会話しますので女王様はシン・リーン女王である事は伏せておいてください」
男「フフ…他の魔術師にも不信感を持たれないように言い聞かせておきます」
魔女「よろしくお願いします…」
『何処かの洞窟では…』
イエティの毛皮でしっかり保温して暖めて…呼吸はどう?
浅い呼吸だけど大丈夫…血色も良くなって来た
闇商人「とりあえずこれで一安心…かな?」フゥ
賢者「体の内部がどの程度傷んで居るか分からないので気は抜けません」
闇商人「そうだ…フーガ君の賢者の石も借りよう」
剣士「ねぇ…身に付けて居る物を脱がした方が良いじゃ無いかな?エリクサーで濡れてて暖まり難いと思う」
賢者「そうですね…脱がして乾かしておきましょう」ゴソゴソ
闇商人「ミファとフーガ君も目を覚まさないし心配だなぁ…」
剣士「もしかしてアランさん達も中々目を覚まさないのかな?」
闇商人「何て言うのかな…生気が無いと言うか…魂が抜けたみたいだ…」
ドスドスドス
剣士「あ…姉さん戻って来たね」
女オーク「イッコ?」
賢者「はい…何でしょう?」
女オーク「ミルクちゃんの帰りが遅い…何処に行ったのか妖精に聞いて貰える?」
賢者「分かりました…外でお話して来ますのでラスさんの着替えをお願いしても良いですか?」
女オーク「分かったわ」
剣士「もう外は暗いよね?」
女オーク「真っ暗…ウルフィが居るから大丈夫だとは思うけれど…やっぱり心配」
『深夜』
カリ モグモグ
剣士「やっぱり食料がどんぐりと木の芽だけじゃみんなお腹減っちゃうよね?」モグモグ
闇商人「ま…まぁ…僕はどんぐりもあまり食べる気しないけどね」
剣士「戦車の方には凍ってたけど肉とか有ったんだよ…明日取りに行こうかなぁ」
女オーク「え!?またおかしな空間に行ってしまうかも知れないわ」
剣士「うーん…ウラン結晶さえあれば乗って此処まで戻れるのになぁ…」
闇商人「船に戻ればアランのウラン結晶を保管してある…最速で行ってどの位掛かる?」
剣士「この間の感じからしたら往復で4~5日かな?」
闇商人「しばらく体力回復で此処に居るなら食料は補給したいかな」
剣士「あ!!僕一人ならもっと高高度飛べるかもしれない…それならもう少し早いかも」
闇商人「じゃぁ3日で見積もったとして…」
グゥゥ キュルル
賢者「あ…すみません…お腹が鳴ってしまいました」
闇商人「ミファとフーガ君もあれから何も食べて無いからこのままだと衰弱しちゃうね」
賢者「一応エリクサーを与えてるので最低限のエネルギーにはなって居るかと…」
剣士「よし決めた!!今すぐ船に戻って食料とウラン結晶取って来る…姉さんは此処を守ってて?」
女オーク「仕方ないわね」
闇商人「悪いね…僕も明日から動いてシカとか探してみる」
剣士「他の気球対策で一つバヨネッタ借りて行くね」
闇商人「うん…気を付けて」
『翌朝』
ガサゴソ…
ええと…バヨネッタが2つと…これはラスのリボルバーか…弾丸は20発くらい有るな
あ…手榴弾が結構ある…それからアランのラッパ銃…これは危なくて使えない
賢者「荷物の整理ですか?」
闇商人「まぁね…そうそうアランの持ち物に何かの杖が有ったんだけど…これ何だか分かる?」
賢者「分かりません」
闇商人「杖なんか持ってたっけなぁ?」フリフリ
賢者「あ…危ないです…下手に使うと何か起きるかも知れないので…」
闇商人「あぁそうだね…これは薪にならないように分けて保管しないとダメだな」
ドスドス
女オーク「木の芽を蒸かして来たわ…あとレーションを溶かしたスープ」
闇商人「ありがとう…もうお腹ペコペコだったんだ」
賢者「スープはミファとフーガ君に飲ませましょう」
闇商人「そうだね…僕は木の芽を頂こうかな」パク モグ
女オーク「どう?」
闇商人「苦い…まぁでも…木の根を食べるより随分良い」モグモグ
女オーク「樹液なら少し採れると思うけれど…食べてみる?」
闇商人「う~ん…木の芽で良いや」
女オーク「私が持って居たレーションはそのスープで最後だから今日は他の食材を探さないといけない」
闇商人「シカとかイノシシは居そうかな?」
女オーク「一度も見て居ないけれど…罠を仕掛ければもしかすると…」
闇商人「罠か…作る材料が何も無いな…せめてロープでも有れば良いんだけど」
賢者「森の中で自給するのは結構厳しいですね…」
闇商人「雪が積もってる所も有るし動物達は温かい所に移動してしまったのかもね」
女オーク「じゃぁやっぱり木の芽か木の実を探すのが一番良さそう」
闇商人「せめてキノコでも有ればなぁ…」
---そうだよ…ギャングに居た頃はキノコが一番の御馳走だった---
女オーク「ところでイッコ?ミルクちゃんの行方は?」
賢者「妖精さんに聞いてみたのですが何処かで寝て居ると言って居ました」
女オーク「そう…無事なら良いのよ」ホッ
闇商人「ハハ…夜だったら寝てて問題無いね」
賢者「今起きたとすると今日中に戻って来るかも知れませんね」
闇商人「そうだと良い…まぁでも…ミルクちゃんの買い出しをアテにばっかりして居られないから僕も何か食材を探して来るよ」
女オーク「一人で?」
闇商人「うん…リッカは此処を守ってて?…イッコは皆の面倒見をお願い」
賢者「分かりました…」
闇商人「じゃぁお腹も少し落ち着いたしちょっと出かけて来る」スタ
『昼過ぎ』
ザザー ビチャビチャ
女オーク「あ…カゲミ…」
闇商人「ぅぅぅぅ寒い…」ブルブル
女オーク「急に雨が降って来て大変だったじゃない?」
闇商人「ツイてない…こんな冷たい雨に打たれて凍えてしまうかと思った…ぅぅぅぅ」ブルブル
女オーク「早く洞窟の中へ…」
闇商人「一応木の芽だけ少し持って帰った…ちょっと持ってくれる?」
女オーク「分かったわ…少し石炭を燃やして暖を取りましょう」
闇商人「出来れば湯に浸かりたい」
女オーク「残念だけど石炭も余裕が無い…生木を燃やしたら洞窟の中が燻されてしまう」
闇商人「仕方ないか…兎に角少し暖まる…」フラフラ
『太陽の石』
ポカポカ
闇商人「あぁぁぁぁ助かったぁぁぁ」
賢者「薬草を煎じたスープが有りますけど飲みますか?」
闇商人「欲しい…暖かい物が飲みたい」
賢者「はい…ご用意します」
闇商人「薬草って…どうしたの?」
女オーク「私が摘んで来たの…苦いけれど煎じてお茶代わりに出来るの」
賢者「どうぞ…暖まって下さい」
闇商人「ありがとう…」ズズズ ゴクリ
女オーク「どう?」
闇商人「これは美味しい…苦いけどね」
女オーク「良かった…フフ」
闇商人「あぁぁでも本当…生き返る感じがする…」ズズズ
女オーク「衣類は乾かさなくても良い?」
闇商人「ちょっと今はこのままで良い…脱いでちょっとの風にも当たりたくない位冷えてる」
賢者「もうボロ切れも泥で汚れてしまって何処かの山賊よりも酷いですね」
闇商人「ハハ…そうだね…このまま町に行ったら浮浪者に見られるさ」
女オーク「この冷たい雨じゃ今日もミルクちゃん帰って来ない気がする…」
賢者「あ…ご安心ください…ウルフィと一緒に居る様ですので直に帰って来るかと」
闇商人「お!?じゃぁ木の芽以外を食べられるかも知れないな」
女オーク「ミルクちゃんは沢山の荷物は持てないから期待し過ぎはダメよ」
闇商人「まぁそうだね…」
少年「ぅぅぅ…」ムクリ
賢者「あ!!フーガ君!!」スタタ
少年「こ…こは?」キョロ
賢者「安全な場所なので大丈夫…体の具合はどうですか?」
少年「喉渇いてる…水…欲しい」
賢者「はい!今すぐ!」
闇商人「目を覚まして良かった」
少年「ミファは?」
闇商人「大丈夫…死ぬ事は無いから安心して良いよ」
少年「あれ?アランも寝て…る?」
闇商人「君達が寝てる間に色々有ってね…みんな無事だから心配しなくて良い」
少年「そっか…」ドター
少年「いててて…」
賢者「水を…」クイ
少年「むぐ…」ゴクゴク
賢者「火傷が酷いので暫く安静です…喉が渇くのはそのせいなので水が欲しくなったら言ってください」
少年「うん…」
『夕方』
ピチョン ポタ
闇商人「ミルクちゃん戻って来ないねぇ…暗くなって来たし…」」グゥ キュルル
賢者「暗いのでアランさんが持って居た蝋燭に火を点けますね」チッチ ユラユラ
闇商人「そういえばこの洞窟って奥の方まで行ってみた?」
賢者「私は見に行ってませんがミライ君が言うには骨が落ちて居ると言ってました」
闇商人「それだけ?」
賢者「行き止まりだそうです…ウルフィの隠れ家だったみたいですよ?」
闇商人「そういう事か」
女オーク「骨が必要なら採って来てあげるわ?」
闇商人「骨も砕いて溶かせばまぁ一応食料か…ていうか何の骨なんだろう…」
賢者「では今度は私が食材を探して来ます」スック
闇商人「洞窟の奥は暗いから無理しなくて良いよ」
賢者「アランさんが持ってたライトが有りますので大丈夫です」
闇商人「じゃぁ僕も少し体を動かして暖めようかな…後を付いて行くよ」
『洞窟の奥』
スタスタ ガラガラ
闇商人「おっと…なんだ骨が一杯有るじゃ無いか」
賢者「ええと…この形状は殆どシカですね…硬い骨だけ残されていたみたいです」
闇商人「ミライ君ならこれで防具作るとか言い出しそうだね」
賢者「良い事思いつきました…破壊の剣があるので上手に加工出来そうです」
闇商人「もしかして君が作る?」
賢者「布と毛皮は余って居るので作れると思います…丁度良さそうな骨もいっぱい有りますので…」
闇商人「まずはちょっと腹ごしらえをしたいけどね」
賢者「食用にするなら長時間煮込む必要があるので今の石炭では不足しますね」
闇商人「そうか…他に何か食べられそうな物は無いかなぁ…」キョロ
賢者「諦めましょう…骨を持って帰るので持てるだけお願いします」
闇商人「仕方ない…木の芽でガマンするさ」
『リッカの料理』
グツグツ ポコ
闇商人「お!!?何だこの匂い…」
女オーク「あ…ミルクちゃんが戻って来たわ」
闇商人「おおお!!でも見当たらない…」キョロ
女オーク「追っ手が居ないか確認しに行くって」
闇商人「追っ手?」
女オーク「なんか魔術師に狙われて居るんだとか」
闇商人「どうしてミルクちゃんを狙うんだろうね?」
女オーク「さぁ?でもウルフィと一緒だからきっと大丈夫よ」
闇商人「それでどんな食材を入手してきたかな?」
女オーク「チーズが沢山と豆類ね…パンは濡れてしまって居るからスープにしてるの」
闇商人「チーズか!!イイネ」
女オーク「これでもう2~3日は持ちそう…乾燥キノコもあるから当分はスープに困らないし」
賢者「カゲミさん…食事までもうひと頑張り荷物を運びましょう」
闇商人「え…あぁぁ…分かったよ」
賢者「私は作り物するので骨を拾って来てください」
闇商人「ハハ…よし…行って来る」スタ
『骨の装備品』
ガサゴソ ヌイヌイ
女オーク「なかなか器用に作るのね?」
賢者「ホム島では装備品を作るお手伝いもやった事あるのです」
女オーク「オークは殆ど骨の装備品ね」
賢者「そうですね…軽くて以外に強度も高いし良いと思います」
女オーク「只それを身に付けてると蛮族と言われてしまうのが…」
賢者「ボロ切れだけよりも随分良い様に思いますけど?」
シュタタタタ
狼女「ふぅ…走り疲れたぞ」ドター
女オーク「温かい豆入りのスープが出来たわ…居る?」
狼女「豆を沢山頼む」
女オーク「はいどうぞ」
狼女「うむ…アランはまだ目を覚まさんか?」パク モグ
女オーク「見ての通りね」
狼女「マズいな…魔術師が此処まで追って来たら逃げられんぞ」
賢者「どうして魔術師に追われて?」
狼女「ロストノーズに間違えられた女が居ただろう…あの女が魔術師に密告したんだ」
賢者「密告?逆恨みと言う事なのですか?」
狼女「ミルクとアランが一緒に居るのを見られてるのだ…アランに超高額な懸賞金が掛かって居るだろう?」
賢者「あ…そういえば一億金貨の手配書を何処かで…」
狼女「そしてアランはあの女の鼻を削いだから仕返しするつもりなんだ」
ヨタヨタ
闇商人「はぁはぁ…聞こえたぞ?」ガラガラ ドサー
狼女「おおカゲミ!動けるようになったか」
闇商人「ええと…ミチルだったっけ?」
狼女「名前なんか覚えてない」
闇商人「アランはね?次魔術師が関わって来たら今度は敵対すると言い切ったんだよ…シン・リーンの女王に対してね」
狼女「なんだと?」
闇商人「だから魔術師は簡単に僕達に関わろうとしない筈さ」
狼女「それは追って来ないと言う事か?」
闇商人「多分追って来ない…僕達を掴まえても何も利が無い…むしろ敵対されてお宝ごっそり盗まれるリスクが有る訳さ」
狼女「シン・リーンのお宝って何だ?」
闇商人「さぁ?でもまぁ一億金貨の価値のある泥棒だという認識はある筈だからね…わざわざ敵には回さない筈さ」
狼女「じゃぁ任せる…ちょっと疲れたから寝る」ゴロン
闇商人「僕はお腹が空いた…スープにチーズ入れて食べたい」
女オーク「そう言うと思って用意しておいたわ…どうぞ」
闇商人「あぁぁぁやっと…」パク モグモグ
女オーク「どう?」
闇商人「おいしい…いやぁぁぁチーズって素晴らしいな…」モグモグ
『翌日』
…町の方に100人以上の魔術師が隠れて居るらしいぞ
そんなに来て何の用事なんだろうね?
盗賊ギルドの方もやっぱり魔術師と繋がって居そうだ
他のウルフ達から何か話は聞けて無いのかな?
銃器だ…森の中で銃器を使われるから敵に近寄れんらしい
闇商人「やっぱりそんな事になってるかぁ…異形の魔物が銃器を使うのはマズいなぁ」
狼女「あの女はロストノーズの行方の事を言ってたから銃器を使ってるのはロストノーズかも知れんぞ?」
闇商人「んん?どうしてそんな事になってるんだ?」
賢者「あの…エルフさん達は徐々に人間が敵に回って来て居ると言ってました」
闇商人「じゃぁロストノーズはエルフを捉えるとかそう言う目的があるのだろうか?」
賢者「話に古代人達がどうなったのか出て来ませんよね?」
闇商人「あああああ!!そうか…何処に行ったか分からない古代人はエルフ側に行った…それなら辻褄が合う」
賢者「やはりロストノーズは古代人を倒す為に動いて居て結果的に異形の魔物と同調していそうですね」
狼女「あ!!そうだ忘れてた」
闇商人「他に何かある?」
狼女「ミルクの事を助けてくれた叔母さんから手紙を貰ったんだ」
闇商人「手紙?」
狼女「チチとハハに渡せと言われて読んでみたけど何の事かわからん…カイネって誰だ?」
闇商人「ええ!?ちょっと見せて貰って良い?」
狼女「これだ!」パサ
”拝啓
”盛夏の候、皆々様にはますますご清栄の御事とお喜び申し上げます
”小生の方もいたって壮健、無事消光いたしておりますので、他事ながらご放心ください
”さて、ご息女もいよいよ大きくなりましたね
”ついこの間お誕生だと思っておりましたのに
”この様に大きく育った姿を見て、お二人のお喜びのご様子が目に浮かびます
”つきましては、何かお祝いの品をといろいろ考えてみましたが、ご連絡先もわからず
”まことに僅少で恐縮なのですが、干しキノコを持たせる事にしました
”特にご子息のミライ君は大好物だったかと存じます
”同郷の味を楽しんで頂けることを心から願っています
”カイネより
闇商人「…これは…僕達宛ての手紙だ…カイネさんが近くに来てると言う事だ」
狼女「カゲミの知り合いか?」
闇商人「知り合いも何も塔の魔女になったアランのお母さんだよ…ミルクちゃんのお母さんの親友でもある」
狼女「むむ!!?じゃぁミルクの事分かってて助けたか…」
闇商人「他に何か言って無かったかな?」
狼女「怪我して無いかとかそんな事だけだ」
闇商人「これは一度会いに行かないとダメだな…イクラシアとも入れ違ってる事になる」トーイメ
狼女「町まで結構遠いぞ…カゲミに走れるか?」
闇商人「ええと…気球が無いと厳しい距離だね」
賢者「お返事の手紙を書いてこちらへ来て貰えば良いのでは無いですか?」
闇商人「そうだな…カイネさんなら信用出来る…ミルクちゃん手紙を届けてくれるかい?」
狼女「シカを探しながらで良いなら行って来るぞ」
闇商人「あぁそうだ…シカは近くに居ないのかな?」
狼女「なかなか見つからんのだ…ウルフィが何も食べて無いから狩りに行かんとダメだ」
闇商人「まぁ手紙を書くからお願いするよ…出来ればシカ肉のお土産も欲しいし」
狼女「任せろ!!」




