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71.アーカイブ


『謎の画面群』



スタスタ



女ハンター「アランこの画面って…もしかして誰かの眼が映っているんじゃ?」キョロ


盗賊「なんかそんな感じだな…ううむ…」


女ハンター「これと似たような画面をホムコさんに見せてもらった」


盗賊「こりゃ全部誰かの記憶かも知れん…そう考えるともしかして俺ら死んだんか?」


女ハンター「死んだ?」


盗賊「言い方おかしいか…いつの間に大穴に落ちちまってよ…ほんで今居るのが死後の世界ってやつだ」


女ハンター「ハッ!!死んだ本人は死んだ事に気が付かないと聞いたことがある…」


盗賊「それだそれ!死んだ事を気付かせる為に線香を絶やさず焚いて臭い責めしたりするらしい…確かフィン・イッシュの文化だ」


女ハンター「匂いもこの空間で何か変化を起こす鍵の様なものなのかも知れない…」


盗賊「てか急にこんなことになっちまってやり残したこと沢山あり過ぎるんだが…」


女ハンタ「まだ死んだと確定した訳じゃない」


盗賊「まぁそうなんだがよ…てか死んだ感じ全然せんな」


女ハンター「どこかに見たことのある風景とか映ってない?」キョロ


盗賊「ううむ…どの画面見てもなんかよく分からん…どこなんだコリャ?」


女ハンター「どの時代なのか推定も出来ない…過去の記憶?それとも今?」



声「そこに見えておるのは現在じゃ…過去の記憶は今見ることが出来ぬ」



盗賊「おっと!?誰だ?」クルリ


声「主らにはわらわの姿は見えぬじゃろう…かく言うわらわも主らの姿ははっきり見えて居らんのじゃが…」


女ハンター「アラン?空間に少しだけ影が見える気がする」ユビサシ



ユラユラ…



声「ほう?主には魔の才があった様じゃのぅ」


盗賊「俺にゃよく見えんが…話ぶりからして婆さんか?」


声「どうでも良い事じゃ」


盗賊「ところで聞きたいことがあんだがよ…この空間は一体なんなんだ?」


声「説明しても直ぐに忘れるじゃろうから語りとうない…面倒じゃ」


女ハンター「メモ書きに残すと言ったら?」


声「賢いやり方じゃな…ううむ…まぁ良い…この空間はアーカイブという空間じゃ…魔術用語でキャラセレとも言われておる」


盗賊「ヌハハもう何言ってるか分からんわ」


声「どう説明すれば分かり良いかのう…深淵と言われて理解出来るじゃろうか?」


盗賊「それも分からん」


声「うぬぬ…魔王が住んでおった場所なのじゃがそれでも分からぬか…」


女ハンター「死んだ後の世界?」


声「生きているという定義が何かにもよるのじゃが…そういう表現が分かりやすいかのぅ…」


盗賊「魔王が住んでたってどういう事よ?」


声「主らと同じようにここから人の眼を通じて世界を覗き見ておったのじゃぞ?…」


女ハンター「覗き見る?」


声「そうじゃ…この空間では覗き見る以外に何も出来る事がないのじゃ…主らもそうするしか無いのじゃぞ?」


女ハンター「覗き見て何を?」


声「傍観するだけじゃな…次第に自我が無くなって行き同化していくじゃろう」


声「主らはご先祖様が背後に居る…という状態を理解出来るかえ?」


盗賊「おっと!!それは理解出来る」


声「つまりそういう事じゃ…次に傍観する誰かの眼を選ぶ場所じゃと思って良い」


女ハンター「なんか…全てを理解した気がする…ここは意識だけの世界で今言った事は輪廻転生…」


声「ふむ…宗教によってはそういう表現もあるらしいのぅ」


盗賊「あのよ?俺らこの空間から出て元に戻りたいんだがよ?どうすりゃ良いか教えてくれ」


声「主らがどの様に器と魂が別れてしまったのか分からぬ故になんとも言えぬ」


声「元の自分の眼を探してみる事じゃな」


盗賊「ほほーう…なるほど自分の眼に戻る訳な?」


声「さて話はここまでじゃ」


女ハンター「あの!!最期に…」


声「んん?」


女ハンター「お婆さんはどうして元の自分を探さないのか気になって…」


声「元の器の在処は分かっておるが理由があって戻れんのじゃ…じゃからこうやって彷徨っておる」


女ハンター「戻れない事もある…のね」


声「器が深海に沈んでおったり破壊されておればもう戻れぬ故に諦める事じゃ…誰かの眼を覗いて同化して行けば良い」


女ハンター「その場合今の記憶は?」


声「答えるのが面倒じゃな…主の記憶は主の体の中じゃ…つまり今の主では無くなる」


女ハンター「理解した…ありがとう」


声「ふむ…頭の回転も速い様じゃで主は良い魔術師になったであろうのぅ…ではさらばじゃ…」


声「直に記憶が無うなるで同じ問にはもう答えぬからのぅ」


女ハンター「ハッ!!忘れ無いうちにメモ書きを…」カキカキ スラスラ


盗賊「おいラス!とりあえずだ…離れ離れにならないように一緒に元の眼を探すか…」


女ハンター「…」キョロキョロ


盗賊「いくつあんだろうな?」アーングリ


女ハンター「手の届かないところにある画像はどうやって見れば良いと思う?」


盗賊「さぁな?どっかに階段でも有るんじゃ無えか?まぁ一つづつ覗いていくぞ」ヨタヨタ




『誰かの映像』



ジーーーー



盗賊「おらゲス!!何見入ってんのよ?」スタ


学者「兄貴ぃ!!これ見てくだせぇ」


盗賊「んん?見知った風景でも映ってるんか?」


学者「いやいやそこじゃなくて…蹲ってる影が見えやせんか?」


盗賊「なぬ?」


女ハンター「あ!!そういえば画面の前で誰かが蹲ってる様に見える…」


学者「そうなんすよ…よく見たらなんかそこらじゅうに居やす」


女ハンター「もしかして私達も相手から見たら影に見えてるのかも知れない…」


学者「話しかけても反応無いんすよね…」


盗賊「んな事はどうでも良く無えか?」


学者「さっき同じ様な影の婆さんに話しかけられたんすよ…他にも話せる影が居るのかと思ってですね…」


女ハンター「私達も誰かに話しかけられた」


学者「そーっすか…なんか影に話を聞いた方が色々早いと思ったんすがねぇ…」


盗賊「その影の婆さんは変ななまり無かったか?」


学者「昔の人ってみんなそんな感じなんじゃ無いんすか?」


女ハンター「何か言ってた?」


学者「魔術書の使い方をちょろっと教えてくれたぐらいっす」


盗賊「ほーん…役に立ちそうか?」


学者「声に出して詠唱する他にルーン文字を指でなぞっても術を発動させる事が出来るらしいっす」


女ハンター「それ何か試してみた?」


学者「やってみたんすが殆どの魔法は触媒が必要みたいっすね…」


学者「影の婆さんはそんな事も知らん奴は魔術書を持つ資格が無いとか言ってどっか行っちゃいやしたよ」


女ハンター「触媒…マイが集めてた物って…」


盗賊「銀とか硫黄だな…銅もあるぞ?」


学者「それで使ってたのって炎の魔法とか雷っすよね…夢から覚める魔法の触媒なんか分からんすよ?」


女ハンター「知識無いまま使ったら爆発したりしそう…」


盗賊「ううむ…魔法じゃ解決策無しか…探し物を見つける魔法とかどっかで聞いた事あんだけどなぁ…」


女ハンター「探し物?それってカイネさんが言ってた千里眼と言う魔法では?」


盗賊「んん?そんな事言ってたか?」


女ハンター「ハッ!!もしかして…私の眼を通じてカイネさんがこの様子を見ているのかも知れない」


学者「おっとっと…どういう仕組みなんすかね?」


女ハンター「これ…」ゴソゴソ



チャラリ プラプラ



女ハンター「魔法陣のペンダント」


女ハンター「これを持っている人の眼を覗くことが出来ると言ってた」


学者「ちっと見せてくだせぇ」


女ハンター「何かわかる?」


学者「魔術書にも似たような魔法陣が記されてるんすよ…」ペラペラ


学者「あったあった…これ光の魔法陣っすね…光の魔法は触媒の代わりに魔法陣が必要なんすね…ふむふむ」


盗賊「光の魔法ってあんま聞いた事無いんだが…何が出来るんよ?」


学者「単純に灯りを灯すとか…悪霊退散とか…あんま危なさそうな魔法は書かれて無いっす」


盗賊「なんか微妙だな…ほんで千里眼ってのは探し物見つかる魔法じゃ無えのか?」


学者「千里眼の事は何も書いて無いんすが…察するに他人の目を通じて探し物が出来るっていう程度なんじゃ無いすか?」


盗賊「ぐはぁ…俺は出口を探したい訳よ…全然意味無えわ」


女ハンター「でもどうしてこのペンダントを持つ私の眼を覗く事が出来るようになるのか?」


盗賊「ほんなん知識の無い俺らが考えても答えは出ん!考えるだけ無駄だ」


学者「いやいやどうせ兄貴も他人の眼を覗くなんか興味無いっすよね?」


盗賊「ぬははバレバレか」


学者「俺っちも垢の他人の目なんかマジ興味ないっす…どうせ覗くなら知ってる人っすよ」


盗賊「まぁそうだ…」


学者「ほんじゃちっと考えやしょう…知った人の眼を覗くためには何らかの法則が有るんだと思いやす」


女ハンター「何だろう?カイネさんとの共通点はこのペンダントだけ…どうしてそれで覗く事が出来るのか?」


学者「目印になってるのかもっすね?」


学者「例えばそれと同じペンダントを持つ人ってそう沢山いる訳じゃ無いじゃないすか」


女ハンター「そういえば…100人の中から一人を探すのは簡単そう」


学者「このクソ沢山ある画像はそう言う風に分類分けが可能なのかも知れんす」


女ハンター「もしかしてミスリル銀の鈴を鳴らしたのってそう言う分類分けの結果だったり?」


学者「お?ちょちょちょ…ミスリル銀の鈴に縁のある画像が近くに集まった…おおお!!それ面白い仮説っすね」


盗賊「別の音を鳴らしてみっか?」


学者「何か良い分類分け出来そうな物ありやす?」


盗賊「そう言われるとあんま特徴的な物持って無えわ…縁のありそうな物…なんも持って無えぞ?」ゴソゴソ


女ハンター「分類分けって音以外にもありそう…ちょっと色々試してみる」


学者「そーっすね…俺っちも色々試すんで邪魔にならん様にちっと離れやす」




『数時間後?』



フラフラ ヨタヨタ



盗賊「うぇ〜い…なんか良い画像発見でもしたかぁ?」


戦士「アラン殿か…少し聞きたいのだが…」


盗賊「んん?」


戦士「この画像を見てアラン殿は普通に見えているだろうか?」


盗賊「ちっと視点が狭いがまぁ…こんなもんじゃ無いか?なんでよ?」


戦士「ふむ…どうも私は普通の人間とは見ている世界が違った様だ」


盗賊「なぬ?」


戦士「多分種族の差なんだろうねぇ…こういう見え方の違いがサクラと些細なすれ違いを起こしていた様にも思う」


盗賊「ほーん…そういやイッコもえらい遠くが見えてた様だったな…」


戦士「やはり同族を探して見るのがストレスを溜めないで済みそうだと思ったよ」


盗賊「オークは絶対数が少ねぇから探すの大変かもな?」


戦士「アラン殿はまだ知った人物の眼を見付けられていないのかね?」


盗賊「てか視点って自分が見えんだろ?誰の眼なのかさっぱり分からんのよ」


戦士「ハハハ鏡が無いと判別出来ない訳か」


盗賊「例えばよ?元の俺が森を彷徨ってたとするだろ?その視点が自分の物なのかも分からんのだ」


戦士「ふむ…探すのは相当難儀しそうだね…匂いでも感じる事ができれば断定出来るのだがね」


盗賊「俺は犬じゃ無えから匂いで自分を嗅ぎ分けるとか無理だわ…ん?」


戦士「んん?」


盗賊「そうか…匂いで分類とかってもの有りだな…そう考えると血でも分類出来そうだ」


戦士「血縁の事をいってるのかね?」


盗賊「おう…そんな感じで血縁だけの画像を集められんかなと思ってよ…」


戦士「ふむ…血縁では無いが縁というのは物に宿るという事を知っているかね?」


盗賊「物?」


戦士「例えば私が手に入れた草薙の剣…これは明らかにフィン・イッシュとの縁を繋いでいる物なのだよ」


盗賊「ほう?」


戦士「それから婚姻する場合は指輪を交換するね?それも縁を保つ意味がある」


盗賊「なるほど…誰かに物を渡すことで縁が繋がる訳か…」


戦士「どのくらいの期間持続するのか分からないが贈り物とはそういう魔法だよ」


盗賊「俺が誰かに何かやったとかあんま憶えてないんだが…ミファ…ミファには俺から何も渡して無えな」


戦士「まぁ時間に余裕はありそうだからゆっくり思い出すのだね」


盗賊「いや待て…ミスリル銀の鈴を渡してる」


戦士「むむ…それはもしかして…」


盗賊「そうか!!見え方が俺らと違うから関係無えと思ってスルーしたかも知れん…ちょいもっかい探してくるわ」ダダ




『少女の眼』



タッタッタ



学者「兄貴ぃぃぃ!!どうしたんすか?なんか発見しやした?」


盗賊「おおゲスか!!この画像は多分ミファの見てる光景だ」


学者「ええ?なんでそれが分かったんすか?」


盗賊「ミスリル銀の鈴を俺が鳴らしただろ…ミファに同じ物を渡してんのよ」


学者「ちょちょ…それが分類させる条件なんすか?」


盗賊「バレン曰く贈り物に縁が宿るらしい」


学者「てことはラスさんのペンダントも同じ理屈で…」


盗賊「お前誰かに何か渡して無えか?」


学者「ええ?そんな事言われてもっすねぇ…ええと…う〜ん」


盗賊「小僧の手に賢者の石握らせて包帯を巻いただろ」


学者「包帯?そんなもんに縁が宿りやすかね?」


盗賊「ダメもとで包帯を試してみろ」


学者「いやぁぁぁ俺っちが包帯巻いた人は数えきらんのですが…」



タッタッタ



女ハンター「今の話…ハァハァ」


盗賊「おう!ラス!!お前も誰かに何か渡してないか?」


女ハンター「逆!カイネさんにペンダントを貰って同じ物をカイネさんも持ってる筈」


盗賊「お袋か…まぁ知り合いなら誰でも良い…なんかそれで試してみろ」


女ハンター「どうすれば?」


盗賊「指で弾いて音鳴らすとか振ってみるとかだ」


女ハンター「やってみる…」ゴソゴソ



リーーーン



学者「うお!!画像の並びが変わり初めて…」アゼン


盗賊「ビンゴだな?」


女ハンター「これ一つづつ確認していってどれかがカイネさんの見てる光景だと言うことね」


盗賊「多分そうだ…ちょい探してみろ」


女ハンター「分かった」タッタッタ


学者「こんな分類方法があったんすね…俺っちも包帯を試してみやす」



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『シン・リーン城_玉座』



お連れしました


お久しゅうございます…お変わり無い様で…


ルイーダの所在について手掛かりを得たと聞きました…ルイーダは無事なのですね?


無事という表現が正しいのかは分かりませんが救出する術は残っていると信じています


いずこに?


深淵に落ちている様です


如何にしてそれを知ったのですか?


これを…


書簡?


はい…その書簡は私が書いた物ですが私に書いた記憶がない…つまり啓示です


信用するに値しませんね…しかし…


こうして女王様にお伺いを立てに来た理由はルイーダ達を救いに行かせて頂きたい…


そういうお願いをしに参りました


深淵まで行くと?


はい…深淵に通づる穴は旧セントラル領のト・アル町にある様です


危険過ぎますね…


私の子らも又深淵に落ちてしまった様です


どういう事ですか?


恐らく深淵にてルイーダと接触を果たし…何らかの方法で私へメッセージを送ったのだと思われます


あなたの子ら…カイネの子らと聞いて誰のことを指すのか分かりません


ファルクリードの意思を継ぐ者がまだ残っています…名はアランクリード…私の子です


フフフフ…例の…


例の?


分かりました…この件は私が主導で対処しましょう


ありがとうございます


但し…あなたが先頭を行くのは許可出来ません…少し後方で見守る形になりますがそれでよろしい?


それはどういう意味で?


あなたを失う訳には行かないのです…不明となった勇者達との最後の接点なのですから…


分かりました…ただご理解頂きたいのは母として子を救いに行きたい衝動が働くかも知れない…


そうならない様に慎重に事を運びましょう



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