7.刺客
『翌日_宿屋』
ガチャリ バタン
少女「!!?母ぁーーー!!」シュタタ ピョン
中年の女「…」ガシ
戦士「よっ!!」ビシ
学者「あ…ど…どうも」ペコリ
女オーク「こんにちは…ミライも挨拶して?」ペコリ
剣士「あぁ…は…初めまして」ペコ
中年の女「ん?ミライ?…君の名前かな?」クンクン
剣士「うん…珍しい名かな?」ハテ?
中年の女「もしかして…虫使い?」ジロジロ
剣士「え?虫?いや…嫌いじゃ無いけど…どうして?」
中年の女「ふふ…人違いだったみたいね…」---まさかね---
戦士「リカ…あぁいや…フィン・イッシュに向かう件はどうなって…」
中年の女「…」ペシ!!
戦士「あたっ…」
中年の女「余計な事は話さないで」
戦士「ハハ…済まん」
中年の女「先ず例の物は?」スタ
女オーク「え?…わ…私?」タジ
少女「母ぁ!!色々事情有る…もう一人の男持ってくる」
中年の女「3人と聞いて居たけれど…変更が有ったの?」
少女「母ちょっと内緒の話し…向こうで」シュタタ
ヒソヒソ… ヒソヒソ…
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『数分後』
スタスタ…
中年の女「事情は理解したわ…ただこちらも慈善事業では無いから…船を担保に頂くわ」
学者「ええと…どういう話になってるか分からんのですが…」
中年の女「例の物が手に入らない場合…船を頂く…お分かり?」
剣士「フィン・イッシュに行くと言う話は?」
中年の女「そこまでは約束する」
戦士「君達良かったね…まだ旅は続く様だ」
中年の女「リコル!あなたは少しおしゃべりだと聞いたわ?」
戦士「あいたたた…まぁこいつらは信用出来る…俺の目に狂いは無い」
中年の女「ふーん…」チラリ
剣士「ハハ…」タジ
中年の女「まぁ良いわ…とりあえず船を見たいから案内して」
戦士「外を出歩いて良いらしい…良かったじゃ無いか」
学者「ちっとマズイ事が起きてるんすよ…」
中年の女「聞いたわ?…でも大丈夫…仲間は他にも居るから」
学者「おぉ…そうなんすね?」
中年の女「試しに露店で買い物でもして様子を伺いましょう」
剣士「買い物!!?欲しい物いっぱい有るんだ」
学者「俺っちも薬とか色々入手したかったんすよ」
中年の女「では物資調達後に船へ向かうと言う事で…付いて居らっしゃい」スタ
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『露店』
ワイワイ ガヤガヤ
シン・リーン産のハチミツ酒!!安いよ~!!
寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!錬金の材料各種揃ってまっせぇ!!
金属繊維は如何ですか?金属糸もありますぜ~~?
少女「父ぃ!!新鮮な生肉ある!!骨付きだ…」
戦士「ほら少し金貨あげるから好きに買っておいで…」チャリン
少女「うぉぉー!!」シュタタ
学者「俺っちも薬仕入れて来やすね」スタ
剣士「姉さん!!僕金床が欲しい…それから細工用の工具」
女オーク「ウフフ…お金が足りれば…」
剣士「少し大きめの炉も欲しいなぁ…」アレモ コレモ
戦士「ミライ君は重たい物が欲しいんだねぇ…」
剣士「運ぶの大変かな?」
戦士「まぁ手ぶらだから手伝ってあげよう…」
ワイワイ ガヤガヤ
大麻草!!大麻草有るよぉ!!
フィン・イッシュ直産の野菜…他じゃ中々買えない物ばかりだよ?買ってけ~い
お客さんお客さん…こりゃ時計っていう物でね?ホラ…機械仕掛けで時間を刻むんすよ…
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『広場のベンチ』
ワイワイ ガヤガヤ
剣士「ゲスさん!!炉とフイゴがすごい安かったんだけどアレが相場なの?」
学者「あぁぁアレは旧式の気球から回収した中古品っすね…今は使う人が居らんですよ」
剣士「そうなんだ?あの炉を使えば簡単な金属の精錬が出来る」
学者「船を燃やさん様に頼みやすぜ?」
剣士「うん!なんか使うの楽しみだなぁ…」ワクワク
学者「今までの炉は小さすぎやしたかね?」
剣士「そうだね…魚一匹焼くのにも苦労してたから」
スタスタ
女オーク「食べ物を買って来たわ…」
学者「おぉ?パンじゃないっすか…」
女オーク「少し食べておいしかったから…」
学者「食べて良いっすか?」
女オーク「どうぞ…」
学者「これチーズとワインがすごく合うんすよ…向こうの大陸の食べ物っす」パク モグ
剣士「僕も食べる…」パク
女オーク「どう?」
剣士「おいしい!!レーションの味がする…」モグモグ
女オーク「レーションよりも安いの…そして大きい」
学者「レーションは戦闘食なんで高いだけっすね…味はパンの方が良いっすよ」モグ
剣士「姉さんも食べてよ」ムシャ
女オーク「じゃぁ一つ…」パク モグ
剣士「なんか買い物しながら食べるの楽しいね」
ピョン クルクル シュタ
剣士「うわっ!!何処から飛んで…」キョロ
中年の女「買い物は済んだ様ね?見回った感じ怪しい人は見当たらない…」
学者「そら良かったっす」
中年の女「そろそろ船へ案内して」
学者「分かりやした…こっちっす」スタ
中年の女「リコルーー!!行くわよ!!」スタ
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『キャラック船』
ザブン ギシギシ
中年の女「思ったより大きな船に乗って来たのね…」
戦士「なかなか味のある船だろう?」
中年の女「小型のスクーナーあたりを想定していたのよ…少し計画を変更しなくては…」
戦士「少しくらい話してくれないか?」
中年の女「…」チラ
戦士「まぁ…無理なら良い」
中年の女「ここは話を聞かれる事も無さそうだから良いわ…」
戦士「お!?」
中年の女「他にもフィン・イッシュ行きの商船を用意しているの…この船は囮の予定だった」
戦士「囮?」
中年の女「沈没させて海に消える…そういうシナリオ」
戦士「俺達は他の船に乗る予定だったと?」
中年の女「そう…私達家族はその船に乗る予定」
戦士「おい!それは話が違うじゃないか…」
中年の女「だからあなたには話さなかった…ギルドに依頼が来て居るのはあの3人からだけでは無いの」
戦士「まさか敵側からも…」
中年の女「敵と言うのは何処を想定して?」
戦士「う…」
中年の女「まっとうな依頼主…機動隊よ…極秘情報を盗んだニーナという傭兵の処理…これがどういう意味か分かって?」
戦士「待てあいつらは信用出来る…考え直せ」
中年の女「フフでも事情が変わった…もうニーナという傭兵は処理されたのよ…でも何故か生きている…面白いわ」
戦士「リッカはその傭兵とは別人だ」
中年の女「知ってる…私はリッカを処理しろと言う依頼は受けて居ない…だから計画変更なのよ」
戦士「ふぅぅ頼むぞリカオン…俺は友を裏切るのは許せん」
中年の女「友人?あなたの友人になるにしては若すぎると思うけれど?」
戦士「その…なんだ…気が合うというだけではダメか?」
中年の女「まぁ良いわ…今回の件で密書が入手出来なくても彼女を保護する事で何が起こるのか楽しみになって来た」
戦士「もう想像は出来る…電脳化した者のあぶり出しになるだろう」
中年の女「あなたは出来るだけ関わらない様に…」
戦士「剣一本でどうにかなるなぞ思って居ない…ただ友人は守る」
中年の女「そうよ…あなたは守っているだけで良い」
中年の女「どうも宿屋よりこの船の方が安全そうね」
戦士「そうだな…」キョロ
中年の女「私は荷の入れ替え指示と…少し情報のリークをして来るから船からは降りないで居て貰える?」
戦士「分かった…」
中年の女「出来るだけ早く戻る様にするわ…」
中年の女「あ…そうそう…盗賊ギルドの仲間はあなた達が思うより沢山居るから下手に動いて邪魔しない様に」
戦士「大人しくして居る…違うな…大人しくさせて置く」
中年の女「フフ…じゃぁ行って来るわ」シュタタ
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『船首楼』
ガサゴソ ゴトン
学者「炉は此処で良いっすか?」
剣士「おけおけ!小さな炉は船尾楼の方に移そう」
学者「金床は何処に置きやすか?」
剣士「やっぱり炉の直ぐ近くが良いなぁ…レイアウトは後で僕がやるからその辺に置いといて」
学者「なんか本当…作業場になっちまいやしたね?」
剣士「もう早く作り物したくてウズウズしてるんだ…これで好みの工具が自由に作れる」
学者「工具が作りたかったんすね…」
スタスタ
戦士「妻と話して来たんだが…」
学者「お?何か聞き出せやしたか?」
戦士「どうも宿屋に居るよりこっちの方が安全だから此処に居ろと…」
剣士「本当!!?」
戦士「まぁ食べ物も買って来たし良いと思う」
剣士「こっちの方が静かだし落ち着くよ」
戦士「これから荷の出し入れがあるから静かにはならないだろうけどね…ハハ」
学者「まぁ部屋に籠っているよりは太陽に当たれるんで良いかも知れやせんね」
剣士「よーし!!姉さん!!要らない鉄くず溶かして精錬したい…教えて?」
女オーク「こんな小さな炉で?」
剣士「フイゴで温度上げられるんだ!!試してみようよ!!」
戦士「ハハ退屈はしない様だ…私はデッキで休んで居るから何か有ったら呼んでくれ」スタ
学者「じゃぁ俺っちはロボの手入れでもやりますかねぇ…」
ロボ「ピポポ…」クルリン
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『夕方』
カーン カンカン
女オーク「この炉では錬鉄を熱して叩く位しか純度を上げる方法が無い様ね…」
剣士「効率悪いけど…ちょっとでも鋼鉄が出来るならこれでも仕方ない」
女オーク「火花が飛ぶから何か敷物をしないと火事になってしまうわよ?」
剣士「あぁそうだね…敷物かぁ…」
学者「流石に船の上で鉄の精錬はちっと厳しく無いすか?」
剣士「レンガか何かが欲しいなぁ…」」
学者「鉄板で囲ったらどうっすかね?」
剣士「そんなに材料無いよ…」
学者「ほんじゃ金属繊維とかどうっすか?露店で売っていやしたよ?」
剣士「お!?金属繊維ねぇ…敷物じゃ無くても他に色々使えそうだ…」
学者「あの女の人帰って来たら又露店に連れて行って貰いやしょう」
剣士「そうだね…よし!鉄の精錬は諦めて…宝箱とか作って見ようかな」
学者「良いっすねぇ…この船入れ物が全然無いんで荷物が整理できんすよ」
剣士「うん…武器保管するラックとかも欲しいね…色々作んなきゃなぁ…」
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『夜_甲板』
ターン!!
学者「ん!!?銃声…これ近いっすね…」ダダ
剣士「どこだろう?」キョロ
学者「音からして火薬を使った銃っす」
スタスタ
戦士「船からは降りない様に…」
学者「何処から撃ったか分かりやせんでしたか?」
戦士「さぁ?横になっていたものだから…」
少女「火薬の匂い…あっち…でも気にするな」ユビサシ
剣士「気にするなって…気になっちゃうよ」キョロ
学者「あぁぁ…向こうの船の監視台にうっすら煙が見えやす…あれっすね」ユビサシ
戦士「…」---どうやら何か始まって居る様だ---
学者「どっか狙撃したっぽいっす…」
少女「気にするな…それよりミライが作った宝箱…貰って良いか?」
剣士「お?気に入った?」
少女「お前何でも作る…母に言っておく」
剣士「アハ…嬉しいなぁ」
学者「俺っちも欲しいっす」
剣士「おけおけ!皆の分作るよ」
戦士「ふむ…作り物の材料を少し融通してもらおうか」
剣士「それ助かるなぁ…もう木材も鉄も残り少ないんだ」
戦士「私からも妻に言っておく」
剣士「やったね!!」
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『翌日』
ドタドタ
降ろせぇ!!木箱は4人一組で運んで行くんだ!!
硫黄と硝石は船底の方だ!
学者「なーんか…これ危ない物運ぶ感じっすね…」
剣士「危ない?」
学者「あのは木箱の中は多分重装射撃砲の部品っすよ…運んだ先で組み立てるんす」
戦士「中身を見て居ないのに良く分かるねぇ」
学者「いやいや戦場にはあの木箱で運んで来るんす…組み立てた事あるんす」
戦士「では海賊に奪われてしまっては大変だ…」
学者「本当そうっすよ…護衛無しでこんな物運んで良いんすかね…」
戦士「この船以外に護衛する船も行くのでは?」シラー
学者「だったら良いんすが…」
剣士「なんか木材と比べて荷が重そうだから荷室ガラガラになりそうだ」
学者「そうっすね…」
剣士「食材とか邪魔だったんだよ…荷室に置けると助かる」
学者「リコルさんの奥さんは軍の関係と繋がり有るんすね…普通じゃ手に入らん物っすよ」
戦士「ハハ…私はあまりその辺の事を知らないんだよ」
学者「な~んか…昨夜の銃声といい…キナ臭い感じっす」
シュタタ スタ
中年の女「遅くなったわ…順調に荷入れが進んで居る様ね」
戦士「忙しいのかい?」
中年の女「仕事は粗方終わりね…ふぅ…少し休むわ…」
学者「すんません…又露店に物資調達行きたいんすが…」
中年の女「あぁ…私は少し休むからリコル!あなたが付いてあげなさい」
戦士「お?もう良いのか?」
中年の女「フフ…昨夜いろいろ有ってね?あちらの方は忙しい様よ?」
学者「ああ!!昨夜の銃声っすね?」
中年の女「聞こえて居た様ね…リコル?露店は良いけど…傭兵ギルドの方へは近づかない方が良いわ…気が立って居るから」
戦士「相変わらず説明不足だが…まぁ良い…露店へ行く許可は出た様だ…どうする?」
学者「行きやす!!」
剣士「行く!!」
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『街道』
ザワザワ ヒソヒソ
おい聞いたか?鼻無しの傭兵団の奴らがお手柄だってよ
ん?昨夜の騒ぎでか?
なんでも機械化した奴らを捕らえたらしい
また威張り散らして来そうだな?
剣士「ねぇ今の噂話って…ロストノーズの事だよね?」
学者「そうっすね…なんか街中でやり合ってるっぽいっすね」
剣士「良くある事なの?」
学者「あいつら揉め事ばっかり起こすんで珍しい話じゃ無いっすよ…街中でやってるってのが気になるんすが…」
剣士「リコルさんの奥さんが言ってたのってきっとこの事だね」
学者「関わるとロクな事にならんっすよ…ロストノーズはそういう傭兵団なもんで」
少女「父ぃー!!」シュタタ
戦士「んん?どうした?」
少女「何処かでアランの匂いする」
学者「お!!兄貴帰って来やしたね?」
戦士「宿屋から出てしまったからな…船まで来るだろうか…」
学者「居ないの分かったら探しに来るんじゃないっすかね?」
少女「注意して探してみる…」クンクン
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『傭兵ギルド裏路地』
スタスタ
受付の叔母さん「なんだいこんな所に呼び出して…あたしゃ忙しいんだよ」
盗賊「…」ギロリ
受付の叔母さん「何か言いたい事でもあるんかいね?」
盗賊「…」ダダ グイ
受付の叔母さん「あ痛たた…あんたこんな事して良いと思って…」
盗賊「フン!どうやら電脳化はしていない様だな…」グイ ドン
受付の叔母さん「なんだいニーナちゃんの事かい?」
盗賊「なんでニーナが味方の砲弾でやられた事をお前が知って居るかって事だ…そんな情報は軍から簡単に漏れん筈だ」
受付の叔母さん「それは聞いた話だよ」
盗賊「誰にだ?」ズイ
受付の叔母さん「あんたを尋ねに来た人さ…昨夜何処かに連れて行かれた様だけどねぇ…」
盗賊「それとこの令状は何だ?お前ニーナが手配されてる事知ってて情報ベラベラしゃべっただろう」パサ
受付の叔母さん「そ…それは情報開示令出されちゃ仕方なかったのさ」
盗賊「つまりお前はどうしてニーナが殺されたのか知ってた訳だ」
受付の叔母さん「殺されるなんて思って無かったさ…気の毒に…」
盗賊「黙れ…身内を庇えないギルドなんざクソくらえだ」ドン
受付の叔母さん「うぐぅ…」ズザザ
盗賊「ニーナに戦地への招集令が掛かった時も分かってた筈だ…お前がニーナを戦地に行かせたんだぞ?」
受付の叔母さん「…」
カサ…
盗賊「!!?」スゥ…
受付の叔母さん「え!!…消え…」キョロ
スゥ…
謎の女「!!?」ギク
盗賊「誰だお前?さっきから監視してただろう…」チャキ
謎の女「う…」タラリ
盗賊「俺は機嫌が悪い…このまま首切って体とおさらばさせても良いんだぜ?」
ターン! ターン!
盗賊「ぐはぁ!!クソがぁ!!」ズブリ ジョキン!
謎の女「ゲフッ…ゴポゴポ」ガクリ ドピュー
受付の叔母さん「ひ…ひぃ…」タジ
謎の女「ゴボゴボ…」ドクドク ビクビク
盗賊「くっそコイツ!!」ザクザク
受付の叔母さん「あ…あんた…やり過ぎだよぅ…もう首が繋がって居ないじゃないか…」ガクガク
盗賊「うるせぇ!!こいつが何者なのか黙って見てろ!!」ザクザク ドピュ
謎の女の首「…」グチャ
盗賊「見つけたぜゴルァ!!こいつが機械に操られてる証拠だ!!」ブチブチ
受付の叔母さん「頭に機械が…」ガクブル
シュタタ シュタタ
少女「見つけたぞ!!」
学者「あ…兄貴ぃ!!」ダダ
盗賊「ゲス!!良い所に来た…こいつは電脳化した奴だ…死体このままにしとくと騒ぎになっちまう…処理手伝え!」グイ
学者「あいやいや…こりゃえらいこっちゃじゃ無いっすか…」タジ
少女「アラン!お前も血が出てるぞ…」ジュルリ
盗賊「俺は後で…ん?」ガク
学者「ちょちょちょ…!!兄貴も撃たれてるじゃ無いっすか…」
盗賊「ぅぅ…何だ?足が動か無ぇ…」ヨロ
学者「マズイっすマズイっす…背中にこぶし大の穴が空いてるっすよ」
少女「ゲス!お前何とかしろ」
学者「兄貴!!応急処置するんで横になって下せぇ…ミライ君!!兄貴の上着をナイフで切って脱がして下せぇ」ゴソゴソ
剣士「え…あ…うん!」イソイソ
少女「マズいな…騒ぎに気付いてもう直ぐ人が来るぞ」クンクン
学者「これ今動かせないっす…」ゴソゴソ
盗賊「そ…その首切った女の死体を…何処かに隠せ…ゲフッ」ボタボタ
学者「兄貴…喋らんで下せぇ」ヌイヌイ
少女「急いで母呼ぶ…待ってろ」ガブリ
戦士「お…おいまさか…」
少女「この死体持って行くぞ…」ムクムク
女オーク「ええ!!?ウェアウルフ…」タジ
子ウェアウルフ「待ってろ…ぐるる」シュタタ シュタタ
盗賊「あ…あいつ…」ヒック ブルブル
学者「マズイっすね…死戦期呼吸出初めてるじゃ無いっすか…」ヌイヌイ
戦士「ここに人が立ち入らない様に私が止めて来る…ゲス君はそのまま治療を」ダダ
剣士「姉さん…これ…」
女オーク「ダメ…力を使ってはダメ…」フリフリ
剣士「このまま死んじゃいそうだ…」
盗賊「…」パクパク
---声が出無ぇ---
---俺はこんな所じゃまだ死ね無ぇ---
---まだ神の手を超えて無ぇんだから---
---たった2発撃たれただけで死ぬ訳に行か無ぇ---
『遠くの声』
腹側から切開して傷つついた臓器を縫合していきやす…
出て来る血を管で吸い取ってそっちの容器に移して行って下せぇ
固まった血は薄めた食塩水で洗い流しやす
あれ?さっきこの血管切れてた筈なんすが…何かやりやした?
見間違いっすかねぇ…バイパス処置しなくて良さそうなんでこのままゆっくり血を流して行きやす
オークの血で上手い事縫った場所が回復してくれれば良いんすが…
よしよし上手い事四肢に血が回って居やすね…次の処置に行きやす…
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『夢』
タタタターン! ドドーン!! パラパラ
僕「おい!!大丈夫か!?」
男「ぁぁぁぁ…目が見え無ぇ…げふげふっ…げほぉ!!」ボタボタ
姉「瓦礫から掘り出すんだ!!」ガッサ
男「上手い事瓦礫で塞がった様だな…ハァハァ」
僕「姉御…手…手が無い…」プルプル
男「おい小僧…何処だ?こっちへ来い」
僕「今腕を縛って血を止める…」ダダ
男「おい良く聞け…俺の装備品を持ってお前等は逃げろ…地上に出て何とか逃げ延びろハァハァ」
僕「逃げるって…何処に!?そこら中機械だらけだ」
男「俺の左手に小さな石を握っていた筈だ…そいつを使えば消える事が出来る」
姉「これだ!!有った!!」ダダ
男「小僧!装備品は全部お前にやる…だから必ず生き延びろ…分かったな?」
シャカシャカ…
姉「マズイ…裏手に回られ始めてる…」キョロ
男「俺はもう手遅れだ…早く行け…ここでお別れだ」
僕「ダメだ!!置いて行けない!」ガサガサ
男「もう手も足も感覚が無い…構わず行け」
姉「くぅぅ…い…行くよ」グイ
僕「姉御…」
男「おい忘れてるぞ?俺の腰にミスリルダガーと銃がある…それを使って身を守れ」
僕「ダガー…銃…あ…有った」ガチャ
タタタターン
姉「来たぁ!!くぅぅ…」
僕「こ…このぉ!!」ギリ
小型の機械「ピピピ…」シャカシャカ
僕「来るなぁぁぁ!!」ダーン! ジャラジャラ
ドーン!!
小型の機械「…」プシューーー ドタリ
男「や…やれば出来るじゃ無ぇか…さっさと行け」グター
姉「行くぞ!!囲まれる…」グイ
僕「くぅぅぅ…」タッタッタ
タッタッタ…
---まだ俺はその男を超えていない---
---まだ死ぬ訳に行か無ぇ---
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