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64.オム・スクの町


『雪の積もった林』



ザック ザック スススーー



盗賊「あんま雪は深く無えな?」


戦士「ツンドラ気候で降雪量が少ないのだよ」


学者「フィン・イッシュは雪凄かったんすけどねぇ」キョロ


戦士「海が近いし山も有るからねぇ…」


女ハンター「前方…林が切れて下りになってる…町が見えて来始めた」


戦士「おお!!」


女ハンター「川の傍…オム・スクの町で間違い無さそう?」


戦士「大きな橋とゲートが有る筈」


女ハンター「有る!!結構大きな町…」


盗賊「こりゃ期待出来るかもな…」


戦士「気を付けて欲しいのがオム・スクの町には昔から盗賊ギルドが有ってね…問題が起きない様にして欲しい」


盗賊「おっと?どういう事だ?」


戦士「今いま敵か味方か判別がつかない…変に目を付けられるといけないと言う事だよ」


学者「リカオンさんとは関係無い感じっすかね?」


戦士「さぁ?私には分からない…関わらない方が良いと言う事だ」


盗賊「ふむ…リカオンを裏切ってるという立場かも知れんな…」


女ハンター「各地に潜入してる仲間が居ると言って居たのは…此処の事?」


盗賊「かもな?」


戦士「私も顔が知られて居る様に思う…だからイエティの毛皮は脱げないねぇ…」


学者「バレンさん…フード状にするならちょい細工が必要っす」


戦士「ゲス殿に出来るかね?」


盗賊「どうせ頭から被った方が防寒になるだろうから皆の分を細工してくれぇ」


学者「分かりやした…ちっと借りやすぜ?」




『オム・スクの町_門』



ドタドタ



門番「止まれ~い!!お前達何処から来た!!?」


盗賊「ぁぁぁ俺等ハンターだ…荷を見てくれぇ…」


門番「イ…イエティか?」タジ


盗賊「もう毛皮剥いじまったが…俺等だけじゃ処分出来なくてな?」


門番「ふむ…まぁ良い入れ!!」


盗賊「なんだって警戒してんだ?」


門番「ウルフの襲撃が絶えんのだ…肉を狙って襲って来るから早くそれを隠すんだ」


盗賊「へいへい…何処に行きゃ処分出来る?」


門番「市場で相談してくれ…入って正面右手だ」


盗賊「おう!!あんがとよ!!」




『市場』



ザワザワ


おい…でかいイエティ狩って来た奴が居るぞ


貴重な肝油が手に入るじゃ無いか



盗賊「おうおう皆こっち見てんじゃ無えか…」


戦士「これでは目立ってしまう…私は人目を避けたいが…」


盗賊「ラス!!バレンと一緒に宿探して来てくれんか?」


女ハンター「分かった…一泊?」


盗賊「とりあえずな?」


女ハンター「宿取れたらこっちに探しに来るから羅針盤とか必要な物探しておいて」


盗賊「おお…そうだったな…俺は銅貨しか持って無いんだが…」


学者「俺っち持ってるんで出しときやすよ」


盗賊「そうか…ほんじゃ頼むわ」


学者「いやぁぁ市場で買い物するの久しぶりっすねぇ…」


盗賊「ここで必要な物揃えるぞ」


学者「そーっすね…物資偏っていやしたからねぇ…」


盗賊「とりあえずクソ重いイエティの処分だ」


学者「へいへい…その辺で話してきやすね?」スタ




『一時間後』



タッタッタ



女ハンター「居た居た…アラン!!宿が有ったわ」


盗賊「おお良かったな?」


女ハンター「2部屋借りられた…物資の調達はどんな感じ?」


盗賊「金貨があんま流通して無くてな…物々交換になったが樽一杯分の油と交換出来た」


女ハンター「戦車の整備に必要だとゲスが言ってた」


盗賊「だな?まぁ儲けもんよ」


女ハンター「羅針盤の方は?」


盗賊「有るには有ったが又ショボイ物でよ…ほれ?」


女ハンター「ふむ…一応北と南は分かりそうね」


盗賊「極点に近いせいかあんまアテにならんわ」


女ハンター「無いよりマシ…それでゲスは?」


盗賊「例の如く錬金術の材料を探してる」


女ハンター「そう…少し待つ必要が有りそうね」


盗賊「しかし思ったより人が出てるな…」


女ハンター「聞いた話だけど南にあるノ・ヴォから冬の間は人がこっちに来るらしい」


盗賊「ほ~ん…こっちに住めば良いのにな?」


女ハンター「私もそう思うけれど住んで居る人にとっては墓とかが有るならそう簡単に移住も出来ないと思う」


盗賊「墓が足引っ張るってか…」



学者「兄貴ぃぃ!!」タッタ



盗賊「おお物資調達は終わったか?」


学者「なんか俺っちが要らん宝石で物々交換してるのが気に入らんのが居るみたいっす」


盗賊「目立っちまってるか…」


学者「そーっすね…なんかやられる前に引き上げた方が良いと思いやした」


盗賊「まぁ良い!!宿が取れたから一旦落ち着けるぞ」


学者「そうしやしょう」


女ハンター「こっち…付いて来て」スタ




『宿屋』



ガチャリ バタン!!



盗賊「入手した油の樽はここに置いとくぞ~」ヨッコラ ドスン


学者「いやぁ…目を付けられると色々面倒くさいっすねぇ…」


盗賊「仕方無えな?不用意に宝石なんか出したら物資の相場も変わっちまうだろ」


学者「安かったんでつい買っちゃったんすよ」


盗賊「何を買ったんだ?」


学者「毒っす毒…どうも異形の魔物は毒に弱いらしいっす」


女ハンター「え!?どういう事?」


学者「この町は異形の魔物と敵対みたいっすよ?対抗で毒使って戦ってるみたいなんす」


盗賊「ほほーう…良い情報入手したじゃ無えか」


学者「異形の魔物は回復魔法使いやすよね?でも毒の効果は消せんらしいんすよ…なんで麻痺毒とかメチャ有効っす」


女ハンター「銃器じゃ毒を使いにくい…」


学者「弾丸にちょろっと付いてるだけでも効果あると思いやすぜ?」


盗賊「毒は慎重に使わんと俺らも危ないんだが…」


学者「いやいやオークの血の効果を思い出して下せぇ」


女ハンター「ハッ!!毒に耐性…」


学者「そういう事っす」


戦士「フフフ…因みに何の毒を買ったのかね?」


学者「出血毒っすね…ヘビの毒っすよ…解毒せんと体が壊死していきやす」


盗賊「出血なんか回復魔法で速攻止血されると思うが?」


学者「それがどっこい…出血毒は血液を凝固させる効果を持ってるんで筋肉が速攻壊死して行くんす」


盗賊「ほーん…」


学者「効果絶大だと思いやすぜ?そんなん使ってるんで異形の魔物は此処に近寄らんのですね」


女ハンター「それで意外とこの町に人が集まって居るのね」


戦士「集まる理由は他にも有るのだよ…例えばここは夏の内に菜種が収獲出来て油を作る事が出来る…」


戦士「その他にもいくらか穀物が収獲出来るから冬を越せるだけの食料備蓄も有る筈」


学者「内政が良い結果かも知れんすね?」


戦士「そうだねぇ…アナール卿の領地とは随分と違う様だ」


盗賊「ちっと盗賊ギルドが幅を利かせて居そうなのがアレだがな…」


戦士「何か問題でも起きてしまったかね?」


学者「宝石と物々交換で取引したのが気に入らなかった連中が居たみたいっす」


戦士「ふむ…なるほど…」


学者「何か分かりやす?」


戦士「宝石は他に使い道が無いからね…市場に物が出回らなくなる原因を作ってしまった様だね」


盗賊「ほう?使える物で交換する分には問題無かった訳か…」


戦士「そういう事だよ…それを監視して修正させるのが盗賊ギルドの役目だったりするのだよ」


学者「勉強になりやしたわ…使える物…使える物…う~ん…何も持って無いっすよ」


戦士「じゃぁあまり市場を荒らさない方が良さそうだねぇ」


学者「ちっと控えときやす」


戦士「話は変わるが湯が有る様だから水浴びをして来てはどうだい?」


女ハンター「あ…私行って来る」


学者「俺っちも湯に浸かって休みたいっすね…ラスさんの後に行きやすよ」


戦士「今日は久しぶりにベッドで休めるから疲れを取ろうでは無いか」


学者「そーっすね…早いんすがちっと休みやしょう」


女ハンター「じゃぁちょっと行って来る」スタ




『夕方_2人部屋』



ふぅ…



盗賊「お前積極的になってきたな?」


女ハンター「悪い?」ジロ


盗賊「いや…そのままで良い」


女ハンター「私は自分が主導権握って無いとイケないの…ちゃんと約束は守って」


盗賊「わーったわーった…」



アオ~~ン ワオーーーーン



女ハンター「ウルフの遠吠え…」キョロ


盗賊「おっと…こりゃ何か始まりそうだな…」


女ハンター「関わるつもり?」


盗賊「いや…そんなつもりは無えな…ウルフは裏切られた仕返ししようとしてんだろ」


女ハンター「正解…」


盗賊「ウルフがどんだけ居るか知らんが…敵になっちまってんだと色々と厄介だろうなぁ…」


女ハンター「盗賊ギルドの資金繰りが悪かったのはもしかするとウルフにも何らかの配分が有ったからなのかも」


盗賊「ふむ…そうかも知れん」


女ハンター「でも私達には関係の無い話…高みの見物よ」


盗賊「だがちと気になるな…盗賊ギルドにハブられたのは分かるがやられた相手は異形の魔物だ…仕返しする相手が違う」


女ハンター「確かにそうね…ウルフならそこら辺も分かって居そう…」


盗賊「どっかに異形の魔物が潜んでるか…裏で糸引いてる古代人を狙ってるか…」


女ハンター「情報が足りない…もう止して…今日は休むと決めたのだから」


盗賊「そうだな?…2ラウンド目行くか?」


女ハンター「次は忘れ物しないで」


盗賊「おぉキスな?お前がしてくりゃ忘れる事も無いんだがな…」


女ハンター「全部私に任せっきりのつもり?」ジロ


盗賊「おぉ済まん済まん…忘れんから気を悪くすんな」




『深夜_窓際』



ヒソヒソ…


囲まれてる…狙いはトナカイじゃ無さそうだ


橋向こうも同時に襲撃されてるらしい…こっちは囮の可能性が高い


どうする?向こうに応援行くのか?トナカイも守らんと春から厳しくなるぞ


クソう!動けんか…ウルフがこれほど纏まって動くとは…



盗賊「…」---ふむ…単純な復讐では無い感じか---


盗賊「…」---狙いは橋向こう---


盗賊「…」---何が有るのか調べに行ってみたいが---



女ハンター「すぅ…すゃ…」zzz



盗賊「…」---勝手に出て行くとヘソ曲げちまうなぁ---


盗賊「…」---まぁ関わらんと決めたから放置するか---


盗賊「…」---それにしても…コイツもこんな顔して寝るのな---


盗賊「…」---安心しきってるか---


盗賊「…」ナデナデ



女ハンター「すぅ…」zzz



盗賊「…」---こりゃ起こすだけで機嫌損ねそうだ---


盗賊「…」---寝るか---




『翌朝』



ドタドタ ガチャリ



学者「兄貴ぃ!!起きやした!?」


盗賊「おいおいノックぐらいしろぉ」ゴソゴソ


女ハンター「…」シラー


学者「さーせん!!もう行く準備殆ど出来てそうっすね?」


盗賊「ほんで何慌ててんのよ?」


学者「昨夜の夜ウルフの襲撃でゴタゴタしとったじゃないすか?」


盗賊「なんか情報掴んだんだな?」


学者「大した情報じゃ無いんすがこっちの被害は人間一人…ウルフは6匹退治したそうっす」


盗賊「ほーん…」


学者「ほんでやられた人間は頭が破裂したそうっす…意味分かりやすよね?」


盗賊「やっぱそういう感じか…」


学者「あらら?想定内っすか?」


盗賊「一応な?だが俺らは休息すると決めたから動かんかったんだ」


学者「そうだったんすね…これからどうしやす?」


盗賊「戦車に戻るぞ…この町にはあんま用が無い…俺らが追ってんのは異形の魔物だ」


学者「そうっすね…混乱してる間にササーーっと引き上げた方が良さそうっすね」


盗賊「そっちは行く準備出来てんのか?」


学者「あと荷物運ぶだけっすね…兄貴とラスさんが良ければもう行けやすぜ?」


盗賊「ラス!行けるか?」


女ハンター「当然…」


学者「ほんじゃ荷物運び出しやすね」


盗賊「おう!!ソリん所行けば良いな?」


学者「へい!!待ってて下せぇ」ダダ




『ソリ』



ヨッコラ ドスン



戦士「待たせたかね?」


盗賊「いや…バレンも吸うか?」スパー モクモク


戦士「私はそういうのを控えて居るから結構…」


学者「兄貴ぃ!!俺っち頂きやす」


盗賊「大麻は男のたしなみだぞ?ホラ」ポイ


学者「あざーっす!!」チッチ スパー フゥゥゥ


女ハンター「本当…どこかの悪党3人組みたい…」シラー


盗賊「ヌハハこれぐらいが怪しまれんで良いのよ」スパー フゥ


学者「ほんじゃ行きやすか!!」


盗賊「おう!!帰りは登りだからゲスも引っ張れな?」


学者「へいへい…行きやしょう!!」グイ スススーー




『門』



ドタドタ



門番「おぉ!!お前達かぁ…今度は何を狩りに行く?」


盗賊「ウルフ退治だな」


門番「そうか!それは助かる…次戻った時は顔パスにしてやるから沢山狩ってこい」


盗賊「昨夜の襲撃で誰か死んだようだが…何か知らんか?」


門番「亡くなったのは橋向こうに居た花売りだそうだ…若い娘だったんだがなぁ…」


盗賊「ほーん…雪の中花売りか…買う奴なんか居ないだろう?」


門番「若い娘が売って居る物は買う者も居る…という事だハッハッハ」


盗賊「なるほどな?」


門番「まぁ気を付けて行って来い!」


盗賊「おう!!又な?」ノシ



グイ ススススー



女ハンター「アラン今の話…」


盗賊「うむ…上手い事諜報員をやって居た訳だ」


学者「花売りとか盲点っすね」


盗賊「気を付けろって事よ…売ってる花の種類で暗号を交換してるとかな?」


女ハンター「ハッ…そういえば花売りは割と多い…」


盗賊「全部が全部そうとは限らん…コブラ酒みたいな暗号がどうせ有るんだ」


女ハンター「アラン?今度花売りを見かけたらホムンクルスの石化を回避する方法を教えてみては?」


学者「お!?それ良い案っすね」


女ハンター「手紙を渡すとか…」


盗賊「ふむ…下手にバラ撒くより効果的か‥」


学者「医術の専門的な事も有るんで俺っち手紙用意しときやすね?」


盗賊「頼むわぁ…やっぱゲスはゲスだなぁヌハハハ」



『廃城』



ザック ザック



女ハンター「見て!!足跡…多分ウルフ」キョロ


盗賊「イエティの血の匂い嗅ぎつけられたか…」


女ハンター「どうする?結構数が居そう…」


盗賊「お前獣除けでアラクネーの牙を持ってんだろ」


女ハンター「襲っては来ない?」


盗賊「祈れ…ウルフごときに銃使うのもアホらしい」


学者「何処に潜んでるか全然分からんすね…」キョロ


盗賊「気にしないで行くぞ…」




『瓦礫に埋まった鉄の扉』



ヒョコ ヒョコ ウロウロ



学者「おろろ?」


盗賊「おいおい…お前…ウルフィか?」


子ウルフ「クゥ~ン…」ドタリ


学者「あらら…これ出血毒貰ってそうっすね…」


盗賊「ゲス!手当出来るか?」


学者「うむむ…血液凝固してて硬くなって居やすね」サワサワ


盗賊「なんとかしろぉ!!」


学者「凝固した血液は切開して取り出す必要がありやす…血が足りんくなるんで…バレンさんの血を輸血してみやしょう」


戦士「んん?ウルフに私の血を?」


学者「賭けっす…血液凝固の解毒材なんか持って無いんでバレンさんの血で代用しやす…ちっと腕出して下せぇ」


盗賊「何でも良いから死なせるな!」


学者「へいへい…兄貴ぃ!!急ぎで湯を沸かして欲しいっす」


盗賊「おう!!」


学者「いやぁ…ウルフの手術なんかやった事無いんで俺っちに出来やすかねぇ…」ゴソゴソ


女ハンター「ねぇアラン…書簡が落ちてる…」パサ


盗賊「おっとおっと?見せろ…」


女ハンター「古代文字…ウルフィはこれを私達に渡す為に来たんだわ」


盗賊「これはリカオンが追ってた古代人の秘密かもな…エネルギー移送する場所とか…」


女ハンター「大事な物に間違い無さそう」


盗賊「おっし!俺が預かる」


学者「兄貴!!湯を早くして下せぇ!!」


盗賊「おぉ悪い悪い…直ぐ用意するわ」ドタドタ




『1時間後…』



スタスタ



女ハンター「もう他のウルフの気配は無い…ウルフィの事を任せたと言う事?」


盗賊「かもな?」


学者「今放置は出来んすよ?」


盗賊「連れて行くしか無いだろう…ミルクにも会わせてやらんとイカン」


女ハンター「いつまでも此処に居る訳にも行かないから移動しましょう」


盗賊「だな?ウルフィの事はゲスに任せる…俺らは荷を運ぶわ」


学者「お願いしやす…てかちっと戦車の整備もして行きたいっすね」


盗賊「ふむ…とりあえず戦車な?」


女ハンター「3人は鉄の扉から先に居りて行って」


盗賊「んん?お前はどうする?」


女ハンター「私は鉄の扉を瓦礫で隠して元通りにする…後で穴から戻るから心配しないで」


盗賊「なるほど…痕跡消すのは大事な事だな」


女ハンター「じゃぁ早く行って!!」


盗賊「おう!!バレン!!油の樽を頼む!!」スタ




『戦車』



ガチャガチャ ゴソゴソ



盗賊「結構油使うのな?」


学者「随分長い事油差して無いんで可動部から金属粉出て居やすよ…」ガサゴソ


盗賊「壊れちまいそうか?」


学者「そら分からんすが良い状態では無かったっすね」


盗賊「この戦車は足回りぶっ壊れたら致命的だな…」


学者「そう思いやす」


戦士「今日はここでもう一泊して行く予定かね?」


学者「ウルフィをあんま動かさん方が良いんでそうしたいっすねぇ」


盗賊「まぁここも安全だから良いか」


学者「バレンさん…ベッドから木材を集めがてら使えそうな布も回収してくれやせんか?」


戦士「ハハハ任せたまえ…」ノソリ


盗賊「ウルフィの寝床か…」


学者「トロッコの中にちょっとした寝床っすよ」


盗賊「放っといたら俺のトナカイみんな食われちまいそうだ」


学者「ウルフィが食う分なんか知れてるっす…」



シュルシュル スタ



盗賊「ラス!!無事だったか…」


女ハンター「これ…」ガサリ


盗賊「お?キラーポッドか?」


女ハンター「穴の中で引っかかってて一つしか取れなかった…分解して使えるバヨネッタの弾を回収して」


盗賊「もうグズグズだな…」


学者「まだ動いた事無いキラーポッドなら弾が多めに残ってるかも知れやせんね」


女ハンター「そういう事…」


盗賊「樹脂も回収だな?」ガサゴソ


学者「後で使いやすい様に形整えておいて貰えると助かるっす」


盗賊「へいへい…」




『焚火』



メラメラ パチ



学者「ううん…ウルフにオークの血は効かんのかも知れんすねぇ…」


子ウルフ「…」クター


盗賊「生き血を飲ませるとかの方が良かったのかもな?」


学者「もう自分で咀嚼もせんので下手に飲ませると肺に入っちまったりするんすよね…」


女ハンター「あ!!そうだ…少しだけど私エリクサーを持ってた」


学者「おおおおお!!それ効果高そうっす!!」


女ハンター「これ…」スッ


学者「一滴で良いんで口の中に…」グイ


子ウルフ「…」アーングリ


女ハンター「…」ポタ


学者「これで様子見やしょう…ウルフの血の代替は何が良いんすかねぇ…」ブツブツ


盗賊「やっぱ生肉とか骨じゃ無えか?」ガブ モグモグ


学者「骨っすか…兄貴の食い残しで良いんで砕いて食わして見やしょうか…」


盗賊「こんなもんで良けりゃいくらでもやるわ」ムシャ




『数時間後』



ガチャガチャ



学者「よーし!!こんなもんすね!!」ペシン


盗賊「お?終わったか?」


学者「へい!!足回りだけなんすが可動部は全部油差し終わりやした…これでしばらく大丈夫っす」


盗賊「ほんじゃ移動すっか!!」スック


学者「ウルフィの様子はどうっすか?」


女ハンター「体温が上がって来てるみたい」ナデナデ


学者「しばらく戦車の中で一緒の方が良さそうっすね」


女ハンター「私が膝に乗せて置く…暖かくて気持ちが良い」


学者「お願いしやす…じゃぁ兄貴!!行きやしょう」


盗賊「おう!!忘れ物無えな?…ほんじゃ戦車で扉を押し開いてくれ…俺がトロッコの金具を外す」


学者「分かりやした…」



『戦車』



ウィーン ゴトゴト



盗賊「油を差して何も変わった感じが無いが…」キョロ


学者「そーっすねぇ…音とかもうちょい静かになると思ってたんすがねぇ…」


戦士「もともと遮音性が高いから分からないのかも知れないね?」


学者「そういやあちこち見てて気づいたんすがこの戦車他にも武器を搭載出来るアタッチメントある様なんすが…」


戦士「あぁ知っているとも…ミサイルとか盾とか色々な物に付け替えが可能なのだよ」


学者「それ何処に有るんすか?」


戦士「エルフの森南部の基地に有った筈だね…あとセントラルの地下にも盾を外したままの筈…」


盗賊「戦車で盾が必要な状況ってどんなだ?」


戦士「私は不要に思って外させたが…プラズマ兵器だったか…それを逸らす目的が有るらしい」


学者「おおお!!戦車本体に当たらん様に誘導させる訳っすね?」


戦士「その様な物を見た事が無かったから当時は不要に思ったのだよ…左右の視界が悪くなってしまうからね」


戦士「あと面白いのが…海に浮かぶ事の出来る装置もそこに取り付ける事が出来る様だ」


盗賊「水陸両用ってか…」


戦士「古代ではそういう戦術を使って居たのだろうね…海から上陸させる為にね」


学者「どんなんなのか見て見たいっすよ」


戦士「出来ればすべて破壊して貰いたい…この世界には不要に思う…必要なのは兵器では無いよ」


盗賊「同感だ…そんな物よりも変装グッズの方が余程良い」


戦士「ハッハッハ…今度一緒にバニーにでもなるかね?」


盗賊「みんなぶち壊した後にな?」


戦士「それは楽しみだねぇ…ハッハッハ」



---もしかしたら機動隊が機械をぶち壊しまくってる理由は同じなのかもな---


---中央制御端末とやらですべての機械を停止させる---


---それが何処に有るのかも分からんが…話はみんな繋がってるかも知れん---


---古代人の中でも思惑の違う奴らがそれぞれ動いてんだ---


---敵を見誤らん様にせんとな---







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