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58.4人行く



『キャラック船_甲板』



ザブン ギシ



学者「兄貴戻って来やしたね?やっぱ船内は落ち着かんっすか?」


盗賊「おう…荷室はガキ共が占拠してて何処も休まらんわ」


学者「俺っちも追い出された感じっすよ…まぁこの即席テントで休めるんで横になって下せぇ」


盗賊「ラスは何処ったのよ?」


学者「見張り台に上がっていやす」


盗賊「おお!そこに居たか」


女ハンター「…」ジロリ


盗賊「そんな寒い所に上がって無いでこっち来い」


女ハンター「遠くのガレオン船に動きがありそう…」


盗賊「んん?俺らに関係しそうか?」


女ハンター「気付かなかったけれど気球が行き来してるの」


盗賊「ほーん…」


女ハンター「真上からこちらを観察されてる事も頭に入れて置いて」


盗賊「俺等何もしてないけどな?」


女ハンター「ミライ君が排水口を行き来してるでしょう?もうバレて居ると思う」


学者「バレンシュタインさんにも排水口使ってる事知られてる筈なんで別に良いんじゃ無いっすか?」


盗賊「ふむ…この船が襲撃されたのはそう言うのも有るのかもな…」


女ハンター「多分逆よ…私達が排水口から異形の魔物を奇襲して戦況をひっくり返して居るから泳がされてる…」


盗賊「確かにそういう見方もあるか」


女ハンター「船が襲撃されたのはその抵抗勢力…まだフィン・イッシュの中に潜んで居るのよ」


学者「あ…だからガレオン船は沖で停船したままなのかも知れやせんね?」


女ハンター「そう…自由に行動出来ない様に隔離してる」


盗賊「内側の敵のあぶり出しって訳か…なるほど色々読めて来た」


学者「バレンシュタインさんは何処行っちゃったんすかね?」


盗賊「それも聞いて来たぞ…国家反逆の疑いで牢屋に入れられてんだとよ」


学者「えええ!?なんでそんなんなってるんすか…」


盗賊「今話してやっからラスも降りて来い」


女ハンター「気になる話ね…降りるからちゃんと聞かせて」スルスル シュタ


盗賊「寒かっただろ?とりあえず温まるぞ…来い」グイ


女ハンター「…」ジロリ


学者「あいやいや…兄貴とラスさんが仲良くしてるの俺っちは目が痛いっすよ」


盗賊「うるせぇ!慣れろ」


女ハンター「ゲスの目の前で恥ずかしいんだけど…」


盗賊「お前も慣れろ…体が冷え冷えじゃ無えか」ファサ


学者「良いっすねぇ…いつも2人で毛皮に包まって…俺っちは相手が居ないんすよね…」


盗賊「娼館にスゲエのが居たぞ?」


学者「うお!!マジすか…」


盗賊「もうかなりのババアだが筋肉モリモリでな?」


学者「うほーーーかなりマニアックな感じっすね…興味ありやすよ」


盗賊「そいつが驚きなのよ…まさかのフィン・イッシュ女王だ」


学者「ちょちょちょ…女王が娼館で?」


盗賊「こいつは土産だ…吸って良いぞ」ポイ


学者「大麻じゃ無いっすか…」


盗賊「それも女王から頂いた物だ…ほんでイッコも大人の趣向品をいくつか持って帰って来てる」


学者「マジすか…どういう女王なんすか…」


盗賊「何でも有りの破天荒な女王みたいだな…多分そういう遊びも知り尽くしてる感じだ」


学者「めっちゃ俺っちにドストライクっすね…」


盗賊「上手く指名出来りゃ女王とヤレるかも知れんぞ?」


学者「ウヒヒヒヒヒ…」


女ハンター「ちょっと何の話をしてるのよ…」シラー


盗賊「おお悪りい悪りい…まずバレンシュタインが捕らわれになった経緯なんだが…」




『10分後…』



カクカク シカジカ…


…と言う訳で明後日の引き潮を狙って離れ小島にある灯台の地下まで救出に行くつもりだ



女ハンター「アナールとシルヴァも其処に?」


盗賊「いや…俺はバラバラに隔離されてると思ってる」


学者「話を合わさん様にしてるでしょうから当然っすね」


盗賊「シルヴァの居場所は多分沖で停船してるガレオン船だな…女王は居場所を知って居る様な口振りだった」


女ハンター「さっき私が言った様に上空から気球で監視されて居そうな事は忘れないで」


盗賊「分かってる…行動するなら夜中だ…真っ暗な海を上空から監視も出来ん筈だ」


学者「バレンシュタインさんを救出した後はそのまま戦車で出撃する感じになりやすか?」


盗賊「そのつもりだが…何かあるか?」


学者「俺っちも行くならちっとポーション作る為の材料を持って行かんと兄貴の消費量じゃすぐ無くなっちまいやす」


盗賊「そら困るな…」


学者「どっかで補給出来れば良いんすが…」


盗賊「まぁあの地下通路が何処まで繋がってんのか正直分からんのよ」


女ハンター「アナールはフィン・イッシュまでどうやって来たの?」


盗賊「おぉそういやそうだな…フィン・イッシュのお隣さんか…地下が繋がってるかもな」


女ハンター「地理が分からないから明日にでも地図か何か探してみて」


盗賊「分かった…ちょい休んだら夜中に泥棒行ってみるわ」




『翌朝』



ザブン ヒラヒラ…



盗賊「ぉぉぉ冷えると思ったら又雪がチラついてるか…」スタ


学者「あれ?夜中居ないと思たらいつの間に兄貴戻っとるじゃないすか」


盗賊「んあ?樽湯の小部屋が誰も使ってなかったもんだからそこで寝てたわ…あそこは温かくて快適だ」


学者「兄貴戻って来ると思って甲板で待って居やしたよ」


盗賊「そら済まんかったな?」


学者「ほんで地図とか手に入れやしたかね?」


盗賊「おう!!宿屋行ったら簡単に手に入ったわ」


学者「ちっと見せて下せぇ…」ドタドタ


盗賊「フィン・イッシュのお隣さんはウ・クバ領と言うらしい…そこにアナールの砦がある」


学者「なんか小国が一杯っすね…」


盗賊「全部旧セントラル没落貴族の領地だな」


学者「これ小国がそれぞれどんな関係なのか知りたくなりやすよ」


盗賊「そら誰かに聞かんと分からんわ…てか地上を行くつもりは無いぞ?」


学者「戦車じゃ地上行けんっすか?」


盗賊「地下通路からどうやって上がるのかも分からん…向こうの大陸と同じで相当深い」


学者「沿岸部なら出られる気もするんすがね」


盗賊「戦車の足回りも陸を行く様にはなって無さそうだ」


学者「あれ?俺っちがムン・バイで見た戦車はキャタピラだったんすが…」


盗賊「マジか…てことは相手側にもう一台戦車が有るかも知れんのか」


学者「車輪が付いてる高機動型なんすね?」


盗賊「8輪だな…蜘蛛みたいに歩く感じで割と早いがキャタピラの様に頑丈かどうか分からん」


学者「早く見て見たいっすわ…メチャ興味ありやす」


盗賊「明日見れるから楽しみにしとけ」


学者「キラーポッドも蜘蛛みたいに歩くじゃないすか」


盗賊「そうだな?」


学者「ほんでちょっとだけ飛びやすよね?」


盗賊「戦車はクソ重いぞ?下手に飛ぶと着地して足回りぶっ壊れそうだ」


学者「8輪のメリットってそういう高機動だと思うんすよね」


盗賊「ほんじゃトロッコなんか引っ張らせちゃイカンなぁ」


学者「任意で外して盾代わりに使うとか熱いっす!!なんか楽しみっすねぇ…」




『見張り台』



ホッ ホッ シュタ



女ハンター「何しに来たの?」ジロ


盗賊「お前の様子見に来んのに理由が居るか?」


女ハンター「寒い…」ブル


盗賊「だろうと思ったわ…オラ!」ファサ


盗賊「ほんで…ガレオン船の様子見てたんだろ?何か動き有りそうか?」


女ハンター「見ようと思って見張り台に上がったけど雪が降って見えない」


盗賊「じゃぁサッサと降りりゃ良いだろ」


女ハンター「あなたが来るのを待ってた…これは理由になる?」


盗賊「ヌハハ本当素直じゃ無えな」


女ハンター「読唇術で兵隊の口の動きを見て居るのよ」


盗賊「そうか…何か分かったか?」


女ハンター「バレンシュタインさんが牢に入れられて居る事は公になって居なさそう」


盗賊「ほう…士気下がるのを避けてんだ」


女ハンター「兵隊の中では絶対的な支持があるみたい…公になると反乱が起きてしまいそう」


盗賊「なるほどな?忍びからすりゃ扱い難い存在って訳か…」


女ハンター「脱獄させて行方不明にさせるなら残された兵隊に何か伝言を残した方が良さそう」


盗賊「ふむ…分かった…俺に考えがある」


女ハンター「何?」


盗賊「夢だ…妖精を使って夢の伝言をさせる事をイッコなら出来る筈だ」


女ハンター「それって盗賊ギルドが使ってた伝令…」


盗賊「兵隊達にとってのカリスマが健在だと知らしめる事と…英雄が動き始めたと言う希望を見せる効果がある」


女ハンター「面白い…」


盗賊「俺もちっと調子こいて女王にバレンシュタインを英雄にしてやるとか言っちまったんだ…まぁその一歩目だな」


女ハンター「誰かを英雄にする…やっぱりあなたは神の手なのね…」


盗賊「おっとぉ?どうした?」


女ハンター「次の扉を開いて居るのはあなただと言って居るの…その手に持って居る鍵は…多分私達の事」


盗賊「面白れぇ事言うな…俺が持ってる鍵か…おーし!!何でも開けてやるぞ」ギラリ


女ハンター「寒い…」


盗賊「んあ?」


女ハンター「抱いて…」


盗賊「おお…お前の鍵はそうやって開けるか」ギュゥ


女ハンター「私の鍵はもう開いてしまった…だからもう無くさない様に」


盗賊「わーったわーった」




『船尾楼』



アーデモナイ コーデモナイ


昼過ぎには引き潮でミライとリッカが荷を積み終わって戻って来る筈だ…


ほんで次の引き潮は明日の早朝で時間が短い…そこを狙って行動する…


双胴船を動かすのはカゲミだ…イッコは離れ小島の灯台に居る奴らを妖精にお願いして眠らせてくれ


小島に到着したら俺だけ単独でバレンシュタインを脱獄させる


ほんでそのまま排水口に直行だ…その時点で早朝…



闇商人「船を出発するのは深夜になりそうかな?」


盗賊「そうなるな…」


闇商人「天候が少し心配だね…又大雪が降りそうだ」


女ハンター「その方が都合が良い…今回は誰にも見られないで行動したいから」


闇商人「風だよ…大雪の時は風が吹かない…双胴船を手漕ぎで動かすのは結構大変だ」


盗賊「確かにそうだな…少し早めに出るか…」


学者「荷は自分で持てるだけしか持って行けん感じっすかね?」


盗賊「排水口を2キロ程歩く事になるから出来るだけ荷物は少ない方が良いな」


学者「うへぇ…ミライ君にお願いしとけば良かったっす」


盗賊「俺はバレンシュタインを背負う事になりそうだから何も持って行けんぞ」


槍戦士「なぁ…質問なんだが…この船はこれからどうする?」


闇商人「しばらくゴールドラッシュ島とフィン・イッシュを往復する感じになりそうかな」


槍戦士「おお…やっと動く気になったか」


闇商人「その後はまだ未定だけどイクラシアが遺跡の調査をしたいと言うならそれも考えてあげる」


槍戦士「とりあえず俺は金が稼げん事にはずっとマイに頭が上がらん訳だ」


闇商人「今までの分で一人当たり金貨50枚は渡せるよ…もっと稼ぎたいならこの船に乗って居た方が良いと思う」


槍戦士「なんだと!!?」


闇商人「フィン・イッシュで商人ギルドを承認して貰えたのさ…取り引きは僕の所に集まる筈なんだ」


盗賊「カゲミ!!俺が持ってるウラン結晶をお前に預ける…俺も船が欲しいから上手い事稼いでくれ」


闇商人「任せて…この船より良い船を調達してあげるさ」


槍戦士「おいおいどういう話なんだ?」


闇商人「娼館を買い上げるくらいの金が入る予定がある…これで理解出来るかい?」


槍戦士「マイ!!やっと借金の返済が出来そうだぞ!!」


魔法使い「借金は金貨60枚…50枚返してもらって残り金貨10枚ね」ジロ


槍戦士「ええい!もうちょいか」


盗賊「これからはカゲミかミライが行き先を決める感じになる…俺らは戦車に乗って行くから此処で一旦お別れだ」


闇商人「アラン…その後どうやって合流を?」


盗賊「しばらくフィン・イッシュには帰って来れんだろう…只俺にはシン・リーンの旧港町に隠れ家が有ってな」


闇商人「そこが集合場所かい?」


盗賊「ううむ…正直何とも言えん…まぁ冬が終わって春ぐらいになりゃ状況も落ち着いてんじゃ無えか?」


闇商人「春か…どっちにしてもイッコを一度ホム島に還す必要もあるな…」


盗賊「船には孤児も沢山乗ってるからお前等は兎に角安全に過ごせ」


闇商人「分かってるさ…でも春ぐらいにはシン・リーンの旧港町の方へ行ける様に調整してみる」


盗賊「あぁ覚えとくわ」


闇商人「連れない返事だなぁ…ここまで一緒に旅をして来たのに…」


盗賊「言っとくがこっから先は常に死と隣り合わせの戦場だ…経験の無い奴を連れて行く訳にはイカン」


闇商人「…なんか…死にに行く様な物言いだね」


盗賊「そんな気は無え…だが国を一つ滅ぼしに行こうってんだからそれぐらいの覚悟はな?」


闇商人「国か…セントラルの亡霊…」


盗賊「おーし!!ほんじゃ夜に備えて荷物の準備と休憩しとけよ?」




『昼過ぎ』



ドタドタ ドタドタ



剣士「ぁぁぁぁ寒かった…」ガチガチ


盗賊「おお予定通り戻ったな…大変だったろう?」


剣士「まぁね…ちょっと篝火に当たらさせて居らう」スリスリ


盗賊「リッカは例の如く樽湯か?」


剣士「そうだよ…」


盗賊「どうせなら一緒に入ってくりゃ良いのによ」


剣士「僕は良いけど姉さんが嫌がるんだ…ゆっくり浸かりたいみたいだから」


盗賊「しっかり温まって今日はもう休んどけ」


剣士「そうさせて貰う…けっこう荷を運ぶの大変だったんだ」


盗賊「双胴船で運んでも2キロは徒歩で運ばにゃならんからな…」


剣士「弾薬が重たくてね…」


盗賊「んん?ライフル弾だけだろ?」


剣士「通常の弾も船に乗せてると邪魔になるだけだから運んだよ」


盗賊「短銃はあんま使わんのだが…」


剣士「ラスさんに聞いたよ…火炎放射の射程が短いから中距離の牽制で使えるとライフル弾の消費が抑えられるって」


盗賊「中距離で短銃は当たらん」


剣士「大丈夫…使わないアサルトライフルだっけ?それを普通の弾で撃てるように少し改造したから」


盗賊「ほーん…有効射程はどんくらいだ?」


剣士「撃って無いから分からないなぁ…弾丸の火薬の量からして300メートルくらいは飛ぶらしいけど」


盗賊「まぁちょい射程の長いクロスボウみたいなもんか…」


剣士「そうそう…弾倉が24発だからクロスボウよりも連射が効く」


盗賊「弾丸は全部持って行ったんか?」


剣士「半分くらい…一気に運ぶのは無理」


盗賊「まだ残ってんならこの船でも使えるようにすると良い」


剣士「うん…あ!!忘れないうちに…コレ」スチャ


盗賊「おおワイヤー機動の装置な」


剣士「これが無いと戦車のある所まで登れないからさ」


盗賊「おっし俺が預かる…ミライはもうしばらくあの排水口には近付くな」


剣士「え!?どうして?」


盗賊「フィン・イッシュの忍びが目を光らせてんだ…変に怪しまれると船に危険が及ぶかもしれん」


剣士「そうなんだ…」


盗賊「当面は大人しく子作りにでも励め」


剣士「アハ…恥ずかしいなぁ」




『夜_双胴船』



ザブン ギシ



闇商人「乗って!!」


学者「へいへい…」ピョン


女ハンター「…」スタ


盗賊「ぁぁぁミファに泣かれちまった…」スタ


闇商人「じゃぁ無事に帰って来ないとダメだね」


盗賊「そうだな…」


学者「仕方ないっすよ…ガチの戦闘に連れては行けんすからね」


盗賊「俺等何回も前線に出てるから普通とちっとズレてんのかもな…」


女ハンター「今頃それを言うの?」


学者「兄貴…銃器で武装して平気な顔して出て行くのは普通の人じゃ分からん事っすよ」


盗賊「まぁ良い!行くぞ!!カゲミ…船を出せ」


闇商人「風が弱いから遅いけど…」バサ



スイーー チャプ



盗賊「こりゃ手漕ぎのアシストも要りそうだ」


闇商人「漕いで貰って良いかい?」


盗賊「仕方無えな…」ザブザブ


女ハンター「靄が掛かって心配したけれど…一応灯台の光は見える…」


学者「こんだけ見通し悪いと気球からでも双胴船は見えんでしょうね?」


盗賊「イッコ!そろそろ妖精にお願いして離れ小島の灯台にいる奴らを眠らせてくれんか?」


賢者「分かりました…」


盗賊「それからフィン・イッシュの正規軍に見せる夢の件も頼むな?」


賢者「はい…お任せください…数日は同じ夢を見られる様にお願いしておきます」


学者「そういやホムンクルスの石化を防ぐ方法を同じ様に夢で伝えるとか出来んすかね?」


闇商人「あぁそれイッコと話したんだけどさ…どうやら古代人は妖精の声を聞くことが出来ないらしい」


学者「ええ?そうなんすか?」


賢者「妖精の声を聞くことが出来るのはorc遺伝子によって特定の受容体が感受する事に寄るんです」


学者「ちょちょちょ…その話詳しく知りたいっす」


賢者「ホム島に戻ればマルコさんの研究された資料が残って居ます」


学者「俺っちが妖精の声聞こえないのはorc遺伝子が足りんって事っすね?」


賢者「orc遺伝子が足りないと言い切る事は出来ませんが受容体の活性化が弱い結果…聞こえないという事だと思います」


学者「活性化…そういう方法が何か有るって事っすね」


賢者「マルコさんの資料によれば祈りがそれに当たるそうです」


学者「祈りによって聞こえて来た声…神じゃないすか」


賢者「そう解釈する人も居る様ですね」


学者「そういやマイさんが声がどうのこうの言って居やしたね…」


賢者「声?」


学者「もしかするとイッコさん…世界中の人に夢を見せられたりしやす?」


賢者「残念ながら私の知って居る人や見た事のある場所じゃないと妖精さんに上手く説明出来ません」


学者「つまり世界中冒険すれば夢を見せられるって事っすよね」


賢者「そうだと思います…皆さんと一緒に島を出る事を許された理由の一つだと思っています」


学者「夢を操れるって凄い事っすよ…それで声が届くんすから」


闇商人「イッコに何をさせるつもりかな?」


学者「いやそんなやましい事は考えて居やせん…只その力は神になりうる力だと思いやした」


闇商人「きっとホムコさんはそういうつもりでイッコを旅立たせてる様に思う」


学者「こりゃイッコさんを死ぬ気で守らんとダメっすよ」


闇商人「分かって居るさ…イッコが僕が守るよ」




『離れ小島』



ザザー ズズズ



盗賊「他の船が何処にも見当たらんな?」


女ハンター「この島への移動手段は気球だと言う事よ」


盗賊「こりゃいつ気球が戻って来るか分からんな…」


女ハンター「急いで…気球に見つかったらマズい事になってしまう」


盗賊「分かった…速攻行って来るから待ってろ」



スゥ…



学者「お!?兄貴が本気モードに入りやした」


女ハンター「ちょっと上空を監視しておく」スタ


闇商人「気球を見つけたとしてどうする?撃ち落とす訳にもいかないと思うけど…」


女ハンター「そうね…どうしよう?」


賢者「ええと…大雪が降って居る時に気球が上空を飛ぶのは難しいと思われます」


女ハンター「どういう理屈?」


賢者「球皮への着氷です…一度着氷してしまうとその上にどんどん雪が積もりますので落下する危険性があります」


学者「そういやハジ・マリの町で借りた気球も着氷で全然高度上がらんかったっすね」


女ハンター「ふぅ…少し安心した」


闇商人「それより双胴船にも雪が積もって来てる…払い落とすの手伝って欲しい」バッサ





『10分後…』



スゥ…



盗賊「戻ったぜ…うぉらぁ!!」ドサー


戦士「ぐぅ…すぅ…」zzz


盗賊「ぁぁぁこいつクソ重いわ…リッカ並みだぞ…」


闇商人「薄着一枚か…凍えてしまうな…」


盗賊「そりゃ後だ…船出すぞ!!」


闇商人「う…うん!!」


盗賊「押すぞ?」グイ ズズズ



ザブン ユラ~



盗賊「ゲス!!そいつが凍えん様にどうにか処置しろ…俺は船漕ぐのに手が離せん」ザブザブ


学者「あいやいや…毛皮持って来て無いっすね…」


盗賊「オラ!!俺のマント被せておけ」ファサ


女ハンター「牢の方はどうだったの?」


盗賊「看守は2人…上階に他の奴も居たかも知れんが見に行って無え」


女ハンター「書置きは?」


盗賊「バッチリだ…計画通りよ」


闇商人「アラン?バレンシュタインさんはリッカ並みに重いと言ったよね?」


盗賊「そうだクソ重い…人間じゃ無えぞコイツ」


闇商人「そういう事か…だから離れ小島で隔離なんだ…」


盗賊「泳いで逃げられんってか」


女ハンター「それだと協力者が居ると悟られてしまう」


闇商人「そうだね…僕達が勘繰られない様にしないといけない」


盗賊「まぁ泳げたとしてこの寒い中脱獄するってなったらどっちにしても協力者が居ると疑うだろ」


闇商人「それもそうか…とりあえず普段通りにして居れば良いよね」


盗賊「フィン・イッシュ内部がゴタツクかも知れんから巻き込まれん様にな?」


闇商人「引き潮の時間は早朝だったよね?」


盗賊「4時ぐらいの筈だ…冬だからどうせ真っ暗よ」


闇商人「まだ時間が結構あるなぁ…」


盗賊「上手く行き過ぎたもんだから時間余っちまったな?」


闇商人「その間寒さを凌ぐのがね…」ブル


盗賊「二人一組で毛皮で包まれ…カゲミはイッコで良いな?俺はラス…ゲスはバレンシュタイン」


学者「あたたた…なんで俺っちだけおっさんと抱き合う感じなんすかねぇ」


盗賊「リッカの体はクソ暖かいらしい…バレンシュタインもそうかも知れん」


学者「そういう問題じゃ無いんすが…トホホ」




『早朝_排水口』



ザブザブ



盗賊「おお…マスト外したら手漕ぎでギリ入れるわ」ザブザブ


闇商人「1時間くらい早めに入れたかな?」


盗賊「雪を被らんで済む分大分マシだろ」


闇商人「アラン達を降ろしたら直ぐに引き返して良いね?」


盗賊「そうしろ…暗い内に船に戻れ」


闇商人「体が冷え切って樽湯が恋しいよ」


盗賊「そら結構…こっちはこれからいつ水浴び出来るかも分からん」



ザザー ズズズ



盗賊「おーし!降りて良いぞ」


女ハンター「先行する…」シュタタ


盗賊「こっからクソ重いの背負って2キロ歩くのしんどいわ…」ヨッコラ


戦士「むが…すぅ…」zzz


学者「俺っちがラスさんの荷物も運ぶ感じっすかね?」ゴソゴソ


盗賊「それしか無いわな?」ヨタヨタ


闇商人「じゃぁアラン!僕達は戻るよ…無事を祈ってる」


盗賊「おう!!ミファを頼むな?」


闇商人「イッコ?寒いけどもう少しガマンして」


賢者「はい…早く戻って樽湯へ…」


盗賊「じゃぁ又な?」ノシ



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