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55.不穏な動き


『一方…スクーナーでは』



ガコン ギシギシ



航海士「到着や!!荷を下ろすでぇ!!」ドドド


学者「また物資運んで来やした?」


剣士「うん!!降ろすの手伝って貰える?」


学者「それは良いんすがちっと心配事がっすね…」


剣士「え!?何か有った?」


学者「沖の方を見て下せぇ…多分ガレオン船っす」


剣士「あーー本当だ…でも遠いね」


学者「望遠鏡を持って居やせんか?」


剣士「ゴッツさん!!沖の方のガレオン船って望遠鏡で見える?」


航海士「なんやとう!!?」ゴソゴソ


学者「見えやすかね?」


航海士「えらい重装備なガレオン船やなぁ…2層甲板に大砲をようさん積んどるわ」


剣士「あれ?もしかしてフィン・イッシュ女王が乗るなんちゃって幽霊船かなぁ?」


学者「やっぱそうっすか…どうもバレンシュタインさんがゴタゴタしてると思いやしたよ」


剣士「又こっちに来てたの?」


学者「青い顔して走り回って居やしたね」


剣士「ふむふむ…やっぱり何か有るんだな…」


学者「兄貴の方はどうっすか?」


剣士「地下でゾンビと戦ってるみたい」


学者「手に入れたっていう戦車はどうなりやした?」


剣士「動かすのに苦労してるみたいだよ…どうにかするとは言ってたけど」


学者「俺っちも見たいっすねぇ…」


剣士「もう向こうに物資が無いから明日は行かないよ?」


学者「あらら残念…」


剣士「簡易療養所の方はもう良いの?」


学者「食料配布されてみんな元気が出て来てるっすよ」


剣士「あーーーそうそう武器を持って来たんだ…オークとドワーフに配って貰って良いかな?」


学者「あれ?人間には配らんのですか?」


剣士「うーん…敵が紛れてるかも知れないと思うとね…オークとドワーフは信用出来る」


学者「そういう事っすか…」


剣士「銀製の武器で重たいから使いこなすのもオークかドワーフの方が良い」


学者「そういやお前達は誰だとか根掘り葉掘り聞いて来る人も居やしたねぇ…」


剣士「その人はまだ居る?」


学者「何処行ったかもう分からんすよ」


剣士「ちょっと用心しとこうかな…」


学者「とりあえず荷を下ろしやしょうか」


剣士「うん!!」




『キャラック船_船尾楼』



ガチャリ バタン!



剣士「はぁぁ疲れた…」ドター


魔法使い「あ…ミライ君無事に戻って来たんだ…」


剣士「今日も沢山物資を運んで来たよ…体の調子は?」


魔法使い「手術で出血して血が足りない…2~3日は安静にしてろって」


剣士「そっかぁ…今姉さんが樽湯を沸かしてくれてるんだけど湯に浸かれそうにない?」


魔法使い「血でベタベタに汚れてるから洗い流したい…」


剣士「立てないなら手伝ってあげるよ?」


魔法使い「ええ!?そんな樽湯まで一緒には…」


剣士「あぁそうか…僕が手伝うと姉さんに怒られそうだ…」


魔法使い「大丈夫…何とか出来るから」


剣士「ロイドさん何処に行っちゃったんだろう?」


魔法使い「ミファとフーガ君に槍を教えに船を降りて行った…金貨2枚で取引したみたい」


剣士「ええ!?子供から金貨を巻き上げてる?」


魔法使い「その金貨は私への借金返済に回る…私はミファにお小遣いで金貨2枚あげる…」


剣士「アハハなんだそういう事か…ロイドさんってそういうの分かんないのかな?」


魔法使い「あの人は凄く単純…上手く話せば何でも言う事聞くの」


剣士「なんか幸せな人だなぁ…」


魔法使い「約束は絶対守る主義みたいだからある意味信用して良い」


青年「その通りだよ…ロイドは女にだらしないだけで男相手には信用できるよ」


剣士「イクラシアさん…樽湯が有るんだけど湯に浸かる?」


青年「浸かりたい…手伝って貰えるかい?」


剣士「うん!!」


青年「この船は本当に安心して過ごせるなぁ…」


剣士「皆のお陰だよ」




『樽湯』



チャプン モクモク



青年「ミライ君…君にちょっとお願いが有るんだけど…」


剣士「んん?何かな?」


青年「船にミルクちゃんと言う狼の子が乗って居るよね?」


剣士「うん…何か話が聞けたのかな?」


青年「いや…独り言を聞いただけなんだけど…どうもお父さんを食べて自分だけ生き残った様なんだ」


剣士「ええ!?」


青年「自分のお腹の中に居るお父さんに話しかけて居るのを聞いたんだよ…もう他の肉を食べないってね」


剣士「それで何も食べないで…」


青年「なんか事情は分かる気がする…お父さんは自分を食べさせてミルクちゃんを逃がしたんだ」


剣士「何も食べないで生きてなんか行けない」


青年「そう…だからミライ君にどうにか出来ないかと思ってね」


剣士「豆だ…ミルクちゃんは豆が好きなんだ」


青年「豆かぁ…季節が悪いねぇ…」


剣士「どんぐりは沢山あるけど食べてくれるかなぁ…」


青年「それでも無いよりはマシだね…」


剣士「待てよ待てよ…ウェアウルフは血肉を食べないと意識を保てないと聞いた…」


青年「あ…それはエリクサーを与える事で解決できるらしい」


剣士「ゲスさんがエリクサーを作ってるんだ…ちょっと言っておくよ」


青年「ミライ君なら解決してくれると思った」


剣士「ちょっと荷の中にナッツとか無いか探して来る」


青年「僕は一人でどうにか出来るから行って来て」


剣士「うん!!ゴメンね!!」シュタタ




『夜』



ヴヴヴヴヴ 



ゾンビ「ガァァァァ…ギギギ…」ズルズル


槍戦士「ええい!なんだってゾンビが出て来る様になりやがった!!」ダダ ブスリ


航海士「俺等は銀の武器やないでゾンビ倒すのはおまんがやれぇ!!」


槍戦士「ほんなら倒したゾンビの処理は任せる!!」ヒュンヒュン スパー


航海士「それは任せとき!!ガッツ!!ゾンビを細かく解体して燃やすど!!」


船大工「がってん!!」ドドド



バッサ バッサ



ドラゴン「ギャオーーーース!」ボボボボボボボ


槍戦士「うほーーーあんなん食らったら生きとれんわ…」アゼン


学者「あいやいや…なんかドラゴンまで飛び回ってえらい事になって居やすね…」


槍戦士「山手側から降りて来るゾンビが絶えん…ゲスも戦えるか?」


学者「そのつもりで来やした…ミスリルダガーなんすが…」


槍戦士「十分だ!!造船所と簡易療養所に近付けさせるな」


学者「分かって居やすよ」


槍戦士「しかし…銀の武器がそこそこ出回ってギリなんとか戦えてるな…」


学者「そーっすね」


槍戦士「こんだけ俺等頑張ってフィン・イッシュから何か貰えんかな?」


学者「もしかしたら金塊どっさり貰えるかもしれやせんぜ?ウヒヒヒ」


槍戦士「おおおおおお!!みなぎって来たぞ!!やっと少しナニが復活してきた所だ!!」


学者「稼いで女を買いまくりやしょう!!」


槍戦士「おお!!話が分かるな!?俺とは穴兄弟になれそうだ!!」


学者「アハ…」---何ちゅー単純な人なんでしょう---




『翌日_簡易療養所』



ウトウト フラ



学者「うわととと…あぶねえあぶねぇ…」


魔法使い「ゲスさん…少し仮眠を…」フラ


学者「あら?マイさん立てるんすか?」


魔法使い「動き回らなければ大丈夫…」


学者「じゃぁちっとお願いして良いっすか?2時間ぐらい仮眠取りやす」


魔法使い「はい…訪ねて来た人に回復魔法をすれば?」


学者「とりあえずそれで良いっす…あとポーションを一口だけ与えてさっさと返してくれれば良いっす」


魔法使い「ロイドは何処に?」


学者「ゴッツさんとガッツさん連れてゾンビ退治に行ったままっすよ」


魔法使い「そう…」


学者「もうそこら中で煙上がっとるじゃないすか?あれ全部ゾンビ燃やしてるんす」


魔法使い「なんか戦い詰めで皆消耗してしまいそう…」


学者「そーっすね…民兵はそこら辺のコントロールが出来んので長期戦になると怪我人が増えやすね」


魔法使い「じゃぁゲスさんも早く休息を…」


学者「そうしやす…もうそこで横になりやすね…」ドター ゴロン


魔法使い「ガーゴイルの次はゾンビの大群…次は何が来るのか…」



シュタタ スタ



侍「御免…こちらにファルクリード殿の御子息が居ると聞いて参った…某はフィン・イッシュの者でござる」


魔法使い「え…」


侍「突然で済まぬ…女王が謁見を求めているでござる」


魔法使い「ええと…今は外に出て居まして…」


侍「左様か…では待たせて貰って構わぬか?」


魔法使い「はぁ…良いですけどいつ戻るのか分からないけど…」


侍「ううむ…では書状を書く故に渡しておいて貰いたい」


魔法使い「それなら出来るかも…」


侍「では…」スラスラ カキカキ



うえーん えーん ふぎゃぁぁ



侍「むう?童の泣き声…」キョロ


魔法使い「あぁ…あのキャラック船に孤児達を避難させて居るのです」


侍「そうであったか…お主達の働きぶりはバレンシュタイン殿から聞いているでござるよ」


魔法使い「そうですか…」


侍「さて…書状を確かに預けたでござる」パサ


魔法使い「はい…渡しておきます」


侍「では…御免…」シュタタ




『しばらく後…』



ヨタヨタ ドタドタ



槍戦士「うあぁぁやっと休める…」ドター


魔法使い「ロイド…怪我は?」


槍戦士「ゴッツもガッツもそれなりに怪我してるから回復魔法くれぇ」


魔法使い「ええ?結構な怪我を…回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー


航海士「おお済まんなぁ…シーサーのゾンビが居ったもんでなぁ」


槍戦士「普通のゾンビを狩るより戦利品が良いもんだからよ…ホレ」ドサドサ


魔法使い「牙と爪…」


槍戦士「これでちっとは借金が返せるだろう」


魔法使い「誰に売る気?」


槍戦士「ぐぁぁ…ここじゃ売れんか…ちぃ」


魔法使い「今日はこれで休憩?」


槍戦士「おう!何処からか侍やら妖術師がゾンビ狩りに加わってな…ちっと楽になった」


魔法使い「妖術師?」


槍戦士「なんか影を操ってゾンビを速攻仕留めるんだ」


航海士「フィン・イッシュの忍びの者達や…何処に隠れとったか知らんが盛り返して行けそうな感じやな」


槍戦士「そういう訳で俺らはちょいと休憩だ…マイの膝は空いてるか?」


魔法使い「私はゲスさんの代わりで忙しい」


槍戦士「ぐぁぁぁ俺も癒せっての…まぁ良い!ミファで我慢しとく!!」


魔法使い「ミファに近付く前に湯で汚れを落として行って…返り血を浴びてる」


槍戦士「ヤベエヤベエ…放置すると病気に掛かっちまうな…」


航海士「湯に入る前に海水で汚れを落とさんとアカンでぇ!!」


槍戦士「おおぅ…先に冷水か…こりゃナニが縮み上がっちまうな…」ブル


魔法使い「汚いから早く行って!!」


槍戦士「へいへい…」ヨタヨタ




『キャラック船』



ザブン ギシ



剣士「ロイドさん!!今船尾楼空いてるから休んで!!」


槍戦士「おろ?ミファまで槍を持って…まさかミファが戦うつもりか?」


少女「私も船を守る!!」スチャ


槍戦士「だはは船にまでゾンビは上がって来んぞ」


剣士「まぁまぁ…槍を持ってる人が一人うろついてるだけで悪い人も近寄り難いだろうさ」


槍戦士「おお攻めて来るのはゾンビだけじゃ無えか…」


剣士「食料を一杯配ってるから悪い人に目を付けられてるかも知れないからね」


槍戦士「この船にゃクロスボウが沢山乗ってたろう…持たせるならそっちのが効果高いぞ」


剣士「お!?そうだったね…」


槍戦士「ガキが使っても大人が使うのと変わらんからな…むしろガキが持ってる方が怖いわ」


剣士「ミファ?戦えそうな子供達にクロスボウを持たせようか」


少女「うん!!わかった!!」


槍戦士「おいおい下手に撃ったら死人が出るぞ?」


少女「私が言う事聞かせる…大丈夫!」


槍戦士「てかよう?それ程警戒が必要か?」


剣士「フィン・イッシュの城を占拠してた敵が一部投降してこっちに来たらしいんだ」


槍戦士「ほう?それで戦う連中が増えたってか?」


剣士「詳しく分からない…でも避難民を装って直ぐそこに敵が居るのかも知れないよ」


槍戦士「おいおいそんな話聞いて俺は休めんぞ…」


剣士「休める内に休んでおいて…なんかその内ゴタゴタが起きそうな気がする」


航海士「船に勝手に乗り込む知らん奴はクロスボウ撃ってもかまんでぇ!?海のルールや」


槍戦士「こりゃ怖くてこの船には近付けんな…」


航海士「俺のスクーナーもクロスボウの射程範囲やで問答無用でクロスボウ撃ってええで?」


少女「分かった!!知らない人は近付けさせない!!」


航海士「こりゃ頼もしいわいガハハハ」




『スクーナー』



ザブン ギシ…



男「お~い…誰も居無えのか~?…っと」キョロ



バシュン! グサ!



男「ぐあ!!」ヨロ


男「ど…どっから撃って…」



バシュン! バシュン! グサ! グサ!



男「ぐえぇぇ…ま…待て…撃つな…」


槍戦士「ごらああああああ!!」ドドド


男「た…助けてくえぇ…」ヨロ


槍戦士「テメエ!!何だって勝手に船に乗ってんだゴラァ!!」スチャ


男「誰の船なのか確かめに…」


槍戦士「奪う為の下見だろうがゴルァ!!」


男「そ…そんなつもりは…」



ドタドタ



学者「あいやいや…だから船に近付くなって言ったじゃないすか!!」


槍戦士「おいゲス!!こりゃどういう事よ?」


学者「なんか色々聞き込みしてたんすが追い返したんすよ」


槍戦士「泥棒確定だ…ぶっ殺すぞ」スチャ


男「まままま…待て…勝手に船に乗り込んで悪かった…勘弁してくれ…」


学者「ロイドさん…ここは一つこれで懲りて貰うという事で引き取って貰いやしょう」


槍戦士「こういう奴は次仲間連れて又来るぞ?」


男「そんな事はし無え…俺は只持ち主が誰なのか探りに…」


学者「持ち主が誰か分かったら何か有るんすかね?」ジロ


男「い…いや…仲間の船に似てたもんだから…」


学者「とりあえず応急処置だけするんで帰って貰えやせんかね?ゴタゴタは御免なんす」


男「わ…分かった…」


槍戦士「おいゲス!!良いのかこんな怪しい奴を野放しにして…」


学者「今争いごとしてる場合じゃ無いっすよ…日が暮れると又ゾンビが闇に紛れて町まで到達するんで…」ゴソゴソ


男「あぁぁ済まなかった…もう近付か無え…」


学者「次何か有ったら応急処置も無いと思って下せぇ」


男「悪かった…」




『簡易療養所』



ドヤドヤ…


お姉ちゃん可愛いねぇ…赤毛って事は向こうの大陸の出身かい?


頼むぅ…こっちも癒してくれぇ…



魔法使い「回復魔法!」ボワー


魔法使い「ふぅ…」


学者「予測した通りやっぱ怪我人増えていやすね…」


魔法使い「結構良い装備の人が怪我をしてる」


学者「良い所に気が付きやしたね…多分城を占拠してた側の人達っすよ」


魔法使い「なんか違う目的で此処に来てる気がして…」


学者「ちっと人質にならん様に注意して下せぇ…賊はそういう手段が得意なもんで」


魔法使い「良いの?回復魔法で癒してしまって居るけど…」


学者「平等に皆の療養所にしてる手前断ると厄介毎になりそうっすよね…なんかやり難くなりやしたねぇ…」


魔法使い「療養所に武器の持ち込みは禁止にしてみては?」


学者「お?それ良いかもっすね…持ち込む場合はお金取る様にすりゃちっと稼げやすね…」


魔法使い「張り紙出して来る」スック


学者「お願いしやす」





『夕方_療養所の外』



ギャァァァ バッサ バッサ



槍戦士「あぁ…又ガーゴイルが飛び回ってんな…」ウンザリ


魔法使い「そろそろ私は船に戻るから…守備はよろしく」スタ


槍戦士「怪我したら回復よろしくな?」


魔法使い「今日は程ほどに?」


槍戦士「んあ?どういう事よ…」


魔法使い「あれ?聞いて居ない?」


槍戦士「誰によ?」


魔法使い「あぁ…ロイドは槍を持って居るから療養所に入れて居なかったのか…」


槍戦士「何かするんか?」


魔法使い「今日はミライ君とリッカさんが療養所で怪我人を装って待機してるの」


槍戦士「ほう?ゾンビが襲って来るのに備えてんだな?」


魔法使い「それも有るけれど…どうも船を奪いに来る賊をまとめて退治するらしい」


槍戦士「なぬ!?」


魔法使い「ミライ君がそういう相談をしている悪い人の話を聞いたみたい」


槍戦士「じゃぁ俺はなんで戦力から省かれてんだ?」


魔法使い「槍を使って殺してしまうから…ミライ君とリッカは木槌を使って全員捕らえるつもり」


槍戦士「ほほーう…面白そうだ…ガチのリッカが見られるか…」


魔法使い「ロイドはいつも通りガーゴイルとゾンビに警戒して居れば良い」


槍戦士「ゴッツとガッツは?」


魔法使い「隠れてる…ワザと不用心に見せかけて居るのね」


槍戦士「こりゃ見ものだな…」


魔法使い「多分療養所で横になってる男の人はみんな賊だと思う…帰れと言っても理由を付けて帰らないし…」


槍戦士「厄介な奴らに目を付けられちまったなぁ…」


魔法使い「動き出すのは深夜だと思うからそのつもりで居て」


槍戦士「わかった…万が一の時は俺も突っ込むぞ?」


魔法使い「アテにしてる…じゃぁ船に戻るから…」スタ




『深夜』



スラーン チャキリ


ちょちょちょ…だから武器は持ち来んじゃダメって言ってたじゃないすか!!


黙れ子わっぱが!!今から此処は俺達が使わせて貰う…お前等!!行くぞぉ!!


ぐはははは…あの赤毛の女…船に乗った筈だなぁ!?



学者「あららら…やっぱそう来やすよねぇ…」


賊1「大人しくしてりゃ命は盗らねぇ…医者は船に必要だからなぁ?」


学者「やっぱ狙われてたっすか…」


賊2「おうおう!!昼間は世話になったなぁ?」ニチャー


学者「次ぎ何か有ったら応急処置はしないと言った筈なんすが…もう知りやせんよ?」


賊2「この数を見て偉そうな事言えんのか?15対1だ…」



ゴスン!! ゴロゴロ…



賊2「ぐへぇ…」ピク


賊1「何ぃ!!武器の持ち込みはダメだと…」


剣士「木槌の制限は無かったよ…」ブン ボカ


賊1「うがぁ…」ゴロゴロ ドターン


剣士「姉さん!!暴れてオッケー!!」


女オーク「フン!!」ブン ブン ドカーン!!



ぐぁぁぁぁ!!


この野郎!!舐めた真似しやがって!!


ぎゃぁぁぁ…!!



ドドドドド


航海士「俺等も木槌で参戦や!!誰一人逃がしたらアカンでぇ!!」ドドド ブン!


船大工「がってん!!」ブン ゴスン!!





『キャラック船』



ザブン ギシギシ



槍戦士「船に乗り込まれるかも知れんと思って見に来たが…こりゃリッカが圧倒的過ぎるな…」


魔法使い「心配で船に戻って?」


槍戦士「ゾンビ退治であんま仕事が無いもんだからな…」


魔法使い「今晩は大丈夫そう…ミファとフーガ君も寒いから船の中に入って」


少女「待って…誰か来る…」



パシュン! シュルシュル



魔法使い「え!!?何今の音は…」


槍戦士「マズい!!機動隊だ…上だ上!!」ダダ



ターン! ターン!



槍戦士「ぐぁ!!」ボタボタ


魔法使い「え…」ブシュー



シュルシュル スタ



謎の男「この船は今から私の物だ…」


魔法使い「か…回復魔法!」ボワー


謎の男「無駄だ…死ね」スラーン チャキ



ターン ターン ターン ターン



少年「はぁはぁ…」ガクガク


謎の男「な…何!?子供が…4連デリンジャーだ…と?」ガク


魔法使い「フーガ君!!隠れ…て…」


槍戦士「ミ…ミファ…俺の槍を使え…」ポイ


謎の男「ゲフッ…やらせるか…」ヨロ


少女「うわぁぁぁぁ!!」ダダ ブスリ!!


槍戦士「そうだ…突きは急所を絶対に外すな…げふっ…」ビチャー


謎の男「ば…馬鹿な…」ドタリ


槍戦士「そいつを…海に投げ捨てろ…爆発するぞ…はぁはぁ」


少年「うおぉぉぉ!!」グイ


少女「フーガ!!」ダダ


少年「この人…軽い…イケる」ポイ



ボチャーン ブクブク



魔法使い「はぁはぁ…ロイド!!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー


槍戦士「マイ…自分を先に回復しろ!!」


魔法使い「回復魔法は自分に効果があまり…無い…」クター


槍戦士「ええいクソ!!ゲスを呼んで来る!!」ダダ




『船尾楼』



ゴソゴソ チク


ちっとリッカさんの血を多めに輸血しやすね


これ防弾装備身に付けて無かったらアウトでしたねぇ…なんとか回復の角で止血出来やしたよ



槍戦士「おいおい撃たれたのは心臓の位置だよな?」


学者「運が良かったのかマイさんは臓器の位置が普通の人の反対っすね」


槍戦士「ふぅぅそうだったのか…」


学者「とりあえず一命は取り留めたんで安心して下せぇ」


槍戦士「俺とした事が…リッカの戦い振り見て完全に油断してたわ」


学者「船に乗り込んで来たのは機動隊の奴で間違い無いっすか?」


槍戦士「ワイヤー機動を身に付けていた…それから2連のデリンジャー…コレだ」ゴトリ


学者「2連っすか…45口径…そら防弾装備抜けますわ…」


槍戦士「あいつ海に落ちて行ったんだが…」


学者「他の人に装備拾われると色々問題起こるんで回収して来て下せぇ」


槍戦士「真冬の海に潜るとか死ねと言ってるのと同じだぞ…」


学者「樽湯を沸かして貰うんで頼みやすよ」


槍戦士「ええいクソ!!他に出来る奴が居無えか…」


学者「そういう事っす…海に潜って呼吸出来るアイテムも貸すんで頼んます」スッ


槍戦士「しゃぁ無え行って来る…こいつを咥えりゃ呼吸出来るんだな?」


学者「使って試して下せぇ…多分海の中の方が暖かいんで割とラクっすよ?」


槍戦士「湯を頼むぞ!!」ダダ




『明け方_簡易療養所』



トンテンカン トンテンカン



航海士「杭を打って来たで?…こいつら吊るしとけばええな?」


剣士「うん!!そのまま裸の状態で良いよ」


航海士「凍えて死に寄るかも知れんで?」


剣士「太陽登って来るから大丈夫だよ」


航海士「ミライは意外と鬼やなぁ…」


剣士「ゲスさんがちゃんと警告はしたって言ってたさ…それでも来たんだからね」



タッタッタ



学者「こっちの方はどうっすか?」


剣士「あ!!ゲスさん!!マイさんは大丈夫?」


学者「なんとか無事っす…それで身ぐるみ剥いでどんな感じっすか?」


剣士「凄い金貨持ってたよ…全部で300枚くらいかなぁ…」


学者「ウホホ儲かりやしたねぇ」


剣士「装備品も結構良い物身に付けてた…金属繊維のインナーとか欲しかったんだ」


学者「山訳っすよ山分け…こりゃ兄貴とか居なかったんで配分相当大きいっすね」


航海士「俺等も貰って良えんやな?」


学者「当たり前じゃないすか…こういうのは均等分けが原則っす」


剣士「今から全員杭に吊るそうと思ってたんだけど良かったよね?」


学者「問題無いっす…ちっと見せしめやらんと又襲って来るんで」


航海士「みんな骨折れとると思うんだが…」


学者「ほんなん放置っすよ…なんなら立てんぐらいにもっと折っても良いっすね」


航海士「ウハハおまんも鬼やなぁ?」


学者「兄貴だったら体の一部切り取っちまうんで俺っちは優しいもんすよ」


剣士「手に入れた武器類はオークとドワーフに配っちゃって良いよね?」


学者「良い武器は無かったっすか?」


剣士「全部銀製の結構良い武器…装備品も少し直して配っちゃおうかな~」


学者「まぁ任せやす…金貨はもう配っといて下せぇ」


剣士「おっけ~!!」



『吊るし刑』



ザワザワ


あいつ等船を盗もうとして返り討ちに合ったらしいぞ


おお!!あの顔に見覚えが…そうだ宿屋を占拠した奴らだ…



兵隊「引きずり降ろして事情を聞き出しておくんだ!!」


新兵「ハッ!!」スタ


学者「ちょちょちょ…そいつら昨夜船に押し入って来ようとした連中なんで勝手に引きずり降ろさんで下せぇ」


兵隊「刑の執行は民兵が勝手にやって良い物では無い」


学者「何言ってるんすか…あんた等がちゃんと治安維持せんからこんなんなっとるんすよ」


兵隊「むむ…立て付くつもりか?」


学者「正論言ってるだけっすね」


兵隊「吊るし刑がふさわしいかはこちらが判断する」


学者「じゃぁ殺せば良かったって事っすかね?なんなら今からやりやすぜ?」


兵隊「お前も連行されたい様だな…」


学者「俺っち何もしてないじゃないすか…何で連行されるんすか…何の権利すかね?」


兵隊「言わせておけば…ぐぬぬ…兎に角公衆の目に付く形での吊るし刑は問題がある…撤収させる」


学者「そーっすか…知りやせんぜ?俺等何も協力しなくなりやすからね」


兵隊「何だと?」


学者「簡易療養所は今すぐ撤収しやす…それが俺っち達の安全確保なんで…」


兵隊「…」


学者「二言は無し…良いっすね」スタ




『キャラック船』



ドタドタ


荷はとりあえず甲板に積んで下せぇ


布は貴重品やで雨ざらしはアカンでぇ!!



剣士「療養所を勝手に撤収しちゃって良いのかな…」


学者「機動隊が絡んでる事が分かったんであのまま続けても危ないだけっす」


剣士「アランさん達はどうするの?」


学者「船は少し沖に待機させやすよ…今は安全が優先っす」


槍戦士「それが良い…マイもまだ目を覚まさんしな」


剣士「食料も撤収すると又皆飢えちゃわないかなぁ…」


学者「他の船がポツポツ戻って来てるみたいなんで大丈夫っすよ…」


剣士「あの人たちを吊るすのはやり過ぎだったかもなぁ…」


学者「あれで抑止力になると思ったんすがねぇ…兵隊に連行されて行って悪者になっちまうのはこっちな気がしやす」


剣士「一般の人も昨夜の事は見ていたと思うけどなぁ…」


学者「深夜だったんで見て居るのは少数っすよ…逆にこっちが身ぐるみ剥いでウハウハしてる所も見られてるっすよね」


剣士「う~ん…仕方ないかぁ…」


学者「みんな戦い詰めだったんでここらで少し休みやしょう…俺っちもあんま寝てないもんすからね」


槍戦士「スクーナーの方はどうする?」


学者「とりあえずゴッツさん達が乗るんでしょうね?本当は他の船乗りを集めたかったみたいなんすが…」


剣士「この船は僕と姉さんが居れば動かせるから問題無いよ」


学者「そーっすね…まぁちっと陸から離れるだけなんで兄貴が戻るまで待機しやしょう」


剣士「ところで機動隊の装備は?」


槍戦士「回収出来たのはワイヤー機動の装置と弾丸が6発だけだ」


学者「船に落として行ったのも有りやすぜ?2連装デリンジャーとククリナイフっす」


剣士「バヨネッタは?」


学者「持って無かったんで戦闘員じゃ無かったんだと思いやす…多分工作員っすね」


剣士「ワイヤー機動の装置を見て見たいなぁ…」


槍戦士「船首楼で乾かして居るぞ」


剣士「お!?」


学者「ミライ君!!とりあえず早く荷を積んで沖に出るのを優先しやしょう」


剣士「あ…そうだった…急いで撤収しよう!!」シュタタ




『1時間後…』



ガラガラガラ



槍戦士「碇上げたぞぉ!!」


剣士「おっけ~!!一枚縦帆開くね~~」バサバサ



グググググ ユラ~



剣士「ミファ舵お願い!!50メートルくらい沖に上手く誘導して~!!」


少女「がってん!!」グルグル



シュタタタ スタ



侍「待たれ~い!!」


剣士「あ…」


侍「先立ての書状の件!!お忘れか!!?」


剣士「書状?」


侍「療養所に居られた女性の方に書状をお渡ししたのだが…」


学者「何の事っすかね?その人は昨夜の襲撃で負傷して昏睡してるんす!!」


侍「何ですと!!?」


学者「此処に居ると危ない様なんで退避する事にしやした…残念ですがバレンシュタインさんにそう伝えて下せぇ」


侍「これは一大事…いづこへ行かれる?」


学者「沖で待機しやすよ…追手が掛かる様ならこっちも反撃するんでそのつもりで居て下せぇ」


侍「いやはや話が拗れてしまった様だ…」


学者「済まんのですが誰も信用出来んのです…話は以上っす!!」


侍「使いを出す故にどうか話を聞いてくだされ」


学者「話は以上っす!!」


侍「むぅぅ…女王様に報告せねば…御免!!」シュタタタ




『50メートル沖』



ガラガラガラ



槍戦士「碇降ろしたぞぉぉ!!」


剣士「なんか…元居た桟橋に人が集まってるね…」


学者「あの中の誰が悪い人なのか分からんので沖に出て正解っすよ」


剣士「この距離なら話声が聞こえる…」


学者「何を話して居やす?」


剣士「なんか揉めてる…誰が療養所を襲った主犯なのかとか…そういう話」


学者「主犯…機動隊の奴じゃ無いって事すかね?」


剣士「う~ん…分からないけど…どうもフィン・イッシュの中も対立してる人達が居そう…」


学者「あららら…まぁ何処の国も同じっすね…」


剣士「聞いた感じバレンシュタインさんの率いる正規軍とさっきの侍さん達とは確執がありそう…そういう揉め事だよ」


学者「う~ん…忍び一族は後からひょっこり出て来たのも関係してるかも知れんすねぇ…」


剣士「忍び一族?」


学者「さっきの侍さんは忍び一族っすよ…フィン・イッシュ女王を囲って居るのがその一族っす」


剣士「へぇ?」


学者「バレンシュタインさんが率いて居るのは自称正規軍なんすが立場的に上級民兵みたいな感じっすね」


剣士「ややこしいなぁ…」


学者「政治の事はあんま首突っ込まん方が良いっすよ…誰が敵か味方か分からんくなりやす」


剣士「バレンシュタインさんは良い人だったのになぁ…」


学者「あの侍さんも多分良い人なんすよ…でも立場が違うんで噛み合わん事も有るんすよね」


剣士「まぁ良いや!ちょっと僕ワイヤー機動の装置がどんな物か見たいからちょっと船首楼に籠るね」


学者「もし同じ物が作れるなら作って欲しいっすね」


剣士「おけおけ!!今物資が沢山あるから出来るならやって見る」


学者「お願いしやす!」






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