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54.戦車拿捕


『戦車』



ギギギ ガタン!!



盗賊「ほーう?こっから戦車の中に入るのか…」


闇商人「これは…動かし方が分からないな…」キョロ


盗賊「動力も何なのかさっぱりだ…」ゴソゴソ


闇商人「一応これも古代の兵器の部類になるんだろうか?」


盗賊「あんま繊細な作りじゃ無さそうだが…こういうのはゲスが詳しいんだ…俺にゃさっぱり分からん」


闇商人「砲弾はどれだろう?」


盗賊「有るには有るが…4発しか乗って無えな…てか砲身をどうやって動かすか分からんから敵を狙えんぞ」


闇商人「残念…」


盗賊「動かん事には只のくそデカイ鉄の入れ物だ…しかし図体の割に随分狭い…」ガサゴソ


闇商人「今僕達の手の内に有るからこの戦車はどうにかして手に入れたいね」


盗賊「敵さんは俺らにこれを使われるぐらいならぶっ壊しに来るだろうな?」


闇商人「僕が言いたいのはソレさ…地下通路の向こうから大砲を撃って来る気がする」


盗賊「おし…こいつを囮に使うのは止めてこいつを守る作戦に切り替えるか」


闇商人「重装荷車をこっちまで移動させよう…ラスの狙撃で1キロ向こうまでは大砲を並べられない」


盗賊「いや…向こうも重装射撃砲を用意してたらライフルの弾でも鉄板に跳ね返される」


闇商人「あああ良くないね…そのまま近寄って来られるか…」


盗賊「まぁそうなったら俺が裏回ってガトリングぶっぱするんだがな?ヌハハハ」



タッタッタ



女ハンター「アラン!!」


盗賊「おお?罠の設置終わったんか?」


女ハンター「一つ下の排水口にも鉄柵が有って急ぎで鍵を掛けて欲しい!」


盗賊「どういう事だ?」


女ハンター「鉄柵が空きっぱなしだからそこに鍵を掛けてしまえば排水口から回って裏を取られる事が無くなる」


盗賊「そういう事か…」


闇商人「それは鍵を閉めた方が良いね…」


盗賊「うし!!行って来るわ…戦車を守る作戦に変えたからラスは通路の向こう側見張っててくれ」


女ハンター「分かった…早く行って!!」


盗賊「おう!!」スゥ…




『重装荷車』



モクモク ゲホッ ゲホゲホ



女ハンター「カゲミ!!床に伏せて!!まだ床なら煙に巻かれない」


闇商人「ゲフゲフ…魔法じゃ無くて煙で燻しに来たか…」スタ


女ハンター「もう視界200メートルくらいしか見通せない…」


闇商人「狙撃を封じに来たか…でも条件は向こうも一緒だ」



シュン! カン!!



賢者「もう矢が届く範囲にまで来ている様です…」


女ハンター「盾で防いだ?イッコは矢が見えて?」


賢者「私も見えませんが音でなんとなく…」



シュン! カン!!



賢者「分かります…ゲホゲホ」タジ


闇商人「どこだ!?見え無いぞ!?」キョロ


魔法使い「風魔法を使えばもしかすると煙を少し追い払えるかも…」


女ハンター「やって!!」


魔法使い「風魔法!」



ヒュゥゥゥ



女ハンター「見えた!!カゲミもバヨネッタ撃って!!」ターン


闇商人「2体か…」ターン



シュン! シュン! カン! グサ!



魔法使い「痛いっ!!」ガク


賢者「ごめんなさい…2本同時は庇い切れない…」


魔法使い「か…回復魔法!」ボワー



ダダダダダダダダン! ダダダダダダダダン!



盗賊「うらぁ!!2匹ゲット!!」


女ハンター「アラン!!」


盗賊「ラス援護しろ!!ちょい向こうに何匹か…」



ドーン!! ドカーン!!



盗賊「ぐぁ!!」ゴロゴロ


闇商人「ダメだ大砲を撃たれてる…戦車の影に隠れて!!」


盗賊「ええいクソ!!」ダダ


女ハンター「慌てないで旧式の大砲!!射手を狙える!!」ターン


盗賊「300メートルって所か…よし!!ガトリングぶっぱで火力押しする!!」


女ハンター「やって!!大砲撃たせないで!!」


盗賊「どらぁぁぁ!!」



ダダダダダダダダン! ダダダダダダダダン!



女ハンター「カゲミも狙撃して!!」ターン


闇商人「こ…これが戦場か…」ブルブル



ダダダダダダダダン! ダダダダダダダダン!




『旧式の大砲』



ガタゴト ガタゴト



闇商人「アラン!!突出し過ぎだ!!戦車まで引こう!!」


女ハンター「そうよ!マイも負傷して重装荷車押すの厳しい」


盗賊「分かってる…だが見て見ろ…」



異形の魔物「うげぇぇ…お…お前達は一体…」グター



盗賊「まだ生きて居やがるか…くたばれクソが!!」ダダダダン!!


異形の魔物「ゴブゥ…」ドピュー ベチャベチャ


盗賊「こいつらが身に付けてる物は人間の皮だ…生きた人間から剥ぎ取った生皮を身に付けて居やがる…」


闇商人「う…」


盗賊「許せると思うか?」ギラリ


女ハンター「…」


盗賊「マイ!!休んでる暇無え!!全部燃やせ!!」


魔法使い「う…うん…火炎魔法!」ボボボボ


盗賊「旧式の大砲4つは引き上げるぞ…俺が戦車の所まで持って行くからしばらく此処を維持しろ」スタ


女ハンター「分かった…見張って置く」


闇商人「どうして人間の生皮なんか身に付けて…うげぇ」ゲロゲロ


魔法使い「シン・リーンの旧港町に来てた異形の魔物も人間を着てた…」


闇商人「着る?」


魔法使い「多分同化して行くんじゃ無いかと…」


闇商人「まさかそんな方法で強くなる?」


魔法使い「焼くのに燃料が足りないので石炭を持って…」ガク


闇商人「あぁぁマイは少し休んで…僕が取って来る」


魔法使い「ゴメン…なんか矢で撃たれた場所が良く無かったかも知れない」


賢者「黒曜石の矢尻が体に残って居たりしませんか?」


魔法使い「多分残って居る気がする…足に痺れが出る様になった」


賢者「良く無いですね…ポーションを飲んで休みましょう」


闇商人「石炭は僕が運ぶから無理はしないで…行って来る」タッタッタ




『戦車』



ヨッコラ ドサー



盗賊「マイは戦車の中で横になってろ…ここなら矢が飛んで来る事も無え」


魔法使い「ゴメン…足を引っ張ってしまって…」


盗賊「お前は回復役だから十分だ…とりあえず一回寝て休め」


魔法使い「そんな簡単に眠れないけど…」


賢者「妖精さんにお願いしましょうか?4時間くらいはぐっすり眠れる筈です」


盗賊「休めるならやって見ろ…」


魔法使い「良いの?」


盗賊「敵さんは全部で20体近くやられた上に大砲まで奪われてんだ…もうそう簡単に攻めては来ん」


闇商人「僕もそう思う…次来るとしたら僕達の火力以上の何かを揃えてからだよ」


盗賊「4時間じゃ揃えられんな?」


魔法使い「じゃぁお願いする…」


賢者「分かりました…」


盗賊「ラスとカゲミも交代しながら休め」


女ハンター「私はまだ大丈夫…あまり働いてない」


闇商人「僕もだな…」


盗賊「ほんじゃこうするか…4時間ごとに交代で一人妖精に眠らせてもらう」


闇商人「良いね…それで行こう」


盗賊「ほんでミライとリッカには妖精で連絡行ってるんか?」


賢者「はい…既に妖精さんにお願いしています」


盗賊「じゃぁしばらく現状維持だ…」


闇商人「そろそろ城の方で寝た人が起きて異常に気付くかも知れないね」


盗賊「ああああ…どうすっかな…」


闇商人「鉄柵って他にも無いのかい?」


盗賊「ちっと探索する必要が有るんだが…まぁ俺一人で行ってみるかぁ…」


闇商人「確かこの地下通路から上層って結構な迷路だったよね?」


盗賊「まぁな?地下墓地から入ると半日は迷う感じだ…レイスも出るから素人はそう簡単に降りては来ん」


女ハンター「もし降りて来られても戦車も大砲も奪われているのにそう簡単に攻め入って来ないと思う」


闇商人「そうだね…落ち着いて待って少しづつ異形の魔物を減らせれば地上での戦いもこちらに有利だ」


盗賊「あの王様はどう行動するだろうな?」


闇商人「行動する前に腹ごしらえが必要に思うよ…ここにある食料を運ぶのが重要さ」


盗賊「ミライとリッカ待ちか…その間ここを維持するしか無えな」


闇商人「大砲も手に入ったし随分ラクになったと思う」


盗賊「あの旧式の大砲は連射出来んぞ?4台準備しておいて1発づつしか撃てんと思っとけ」


闇商人「ふむ…逆に言うとそんな大砲しか用意できないくらい異形の魔物側も物資が不足してるんだ」


女ハンター「その通り…しばらく攻めて来ない」


盗賊「てかその間にどうにかして戦車動かせる様にしたいな」


賢者「あ…この戦車を動かすには鍵が必要な様です…ホム島の研究所と同じ様な感じだと思われます」


盗賊「鍵…てことは俺が倒した奴らの誰かが持ってたかもな…」


闇商人「ちょっと燃やした痕を探してみようか?」


盗賊「頼むわ…俺はちょい上の方を探索して鉄柵あったら鍵掛けて来るわ」


闇商人「うん…頼むよ」




『フィン・イッシュ城_玉座』



ドタドタ


おい起きろ!!寝て居る場合じゃ無いぞ!!


んぁぁ…何だ?何が起こった?


異形の王様がご立腹だ…反乱が起きて居るらしい


何ぃ!?誰だこんな大事な時に…



ヒタヒタ… ベチャ…



異形の王「おやおや僕の玉座に座って居眠りして居たのかな?」ギロリ


髭男爵の弟「あ…あぁ済まん…連日の疲れが出ていた様だ…」タジ


異形の王「そんな口の利き方で良いのかい?痛い目を見ないと分からないかなぁ?」


髭男爵の弟「すす…済まない…玉座は空ける…」ズザザ


異形の王「まぁ良いさ…ところで鼻無しの連中はどうなってる?」


髭男爵の弟「奴らは例の電脳化一族を片付けに行く予定だと言った筈だが?」


異形の王「じゃぁどうして此処の地下で鼻無しの女が反乱を起こして居るのかな?説明してよ…」


髭男爵の弟「ど…どういう事だ?」


異形の王「何度も言わせないでくれよ…鼻無しの女が僕の戦車を奪った理由を説明してくれと言ってるんだ」


髭男爵の弟「そんなバカな…」


異形の王「バカだのアホだのそんな事はどうでも良い!…説明しろと言ってるんだぁぁ!!」ブン!



ガラガラ ガチャーーーン!!



髭男爵の弟「おおお…お…落ち着いてくれルーデウス…」


異形の王「呼び捨てで呼ぶなと何度言わせる…様を付けろ様を!!」ギロ


髭男爵の弟「ルル…ルーデウス様…落ち着きを…」


異形の王「鼻無しの連中が持つ銃器で僕の選りすぐりの部下がみんなやられたんだぞ…どう責任を取る?」


髭男爵の弟「いやそんな筈は無い…奴らは電脳化一族を倒す為だけに…」


異形の王「ふぅ…ふぅ…君を殺した所で何か変わる訳でも無いから生かしておくさ…でももう手段は選ばないぞ」


髭男爵の弟「まま…待ってくれ…この国をゾンビだらけにしてしまっては旨味が無くなる」


髭男爵の弟「只でさえ皆殺しが過ぎて女一人居やしないんだ…」


異形の王「何処に犬神が隠れているか分からないから仕方ないだろう…そもそも君がちゃんと犬神を集め無いのが悪い」


異形の王「まぁ元はと言えば皆セントラルを裏切った民だ…僕を裏切った者の命なぞ何の価値も無い」


髭男爵の弟「少し時間をくれ…鼻無しの連中が地下に居るのなら説得する!」


異形の王「もうその手は食わない…結局君は兄者の軍を退けられないじゃないか」


髭男爵の弟「折角ここまで兵糧攻めが効いているのに…」


異形の王「ゾンビが邪魔になるなら自分で処理すれば良いだろうさ…犬神を粗方始末した今僕はもう精霊樹を奪いに行く」


髭男爵の弟「フィン・イッシュはどうする?」


異形の王「兄者を跪かせたら僕はもうこんな国要らない…君が王にでもなれば良い」


髭男爵の弟「そ…その言葉…偽りは無いな?」


異形の王「この大陸の王は僕だ…そこは履き違えるな…そして此処に有ると言われる八尺瓊勾玉も僕の物だ」


髭男爵の弟「ぐぬぬ…」


異形の王「なんだいその目は…イライラするなぁ…君も生皮を剥がされたいか?」ズイ


髭男爵の弟「い…いや…」


異形の王「分かったらさっさと兄者を僕の前で跪かせろ!ゾンビの大群が居れば簡単だろう?」


髭男爵の弟「串刺しのウェアウルフもゾンビに?」


異形の王「当たり前じゃないか…犬神も僕に下った…エルフと渡り合える貴重な戦力だよ」


髭男爵の弟「ウェアウルフのゾンビなんか俺達じゃどうにも出来ない」


異形の王「それは僕の知った事じゃないよ…僕は兄者が居無くなればそれで良い…」


異形の王「その後エルフ達を退け精霊樹を奪えればこの大陸は僕の物だ…誰が生きようが死のうが僕はどうでも良い」


髭男爵の弟「それでは電脳化一族の意のままに…」


異形の王「それもどうでも良い…鼻無しの連中が僕に協力する立場じゃ無いなら僕は電脳化一族と一緒に歩むさ」


髭男爵の弟「奴らこそ世界を征服するつもりで…」


異形の王「僕がそれを利用するのに文句を言う気かな?」


髭男爵の弟「い…いや…どこかで奴らを始末しないとルーデウス…様も危険が…」


異形の王「そんなのとうの昔に手を打ってるんだ…残念だけど真の王になるのは僕だよ」


髭男爵の弟「…」---とうの昔?---


異形の王「君はそんな事知らなくても良い…兎に角さっさと兄者を引きずり出せば良いんだ…早く行けえええええええええええ!!」


髭男爵の弟「…」---この狂ったクソガキは俺の計画をすべてぶち壊しにしてしまう---



---それならいっそのこと始末してしまいたい---


---寝返ってしまうか?---


---それなら立場を保証されてフィン・イッシュに汲み入る事も出来るかも知れない---


---そうだ女を皆殺しにされてしまうぐらいなら寝返った方が旨味に在り付ける---


---ルーデウス…お前の好きにはさせんぞ---



髭男爵の弟「…」ギリリ スタスタ




『半日後_地下通路』



ズルズル ヨロ…



魔法使い「痛たたたた…」フラ


盗賊「おおう…こりゃ寝て悪化しちまったか…」


女ハンター「戦闘の興奮状態が冷めたからね…一旦戻ってゲスに手術して貰った方が良い」


盗賊「まぁしょうが無えな…」


女ハンター「私達は戦車に籠ってしまえば安全な様だからマイが居なくても大丈夫よ」


魔法使い「ごめんなさい…」シュン



シュタタタ



剣士「アランさん!!トロッコ2台運べそうだよ」


盗賊「おお2台行けるか!!」


剣士「緩い下りだからね…動き出してしまえば僕と姉さんで動かせる」


盗賊「そうか…悪いがマイも乗せてってくれぇ…黒曜石の矢を受けちまって障害が出とる」


剣士「おけおけ!!明日はゴッツさんとガッツさんも連れて来るからトロッコ4台運べると思う」


盗賊「そりゃ良い!!船の方は大丈夫だな?」


剣士「うん!!ロイドさんが居てくれてるからね?」


盗賊「アイツはフラフラしないで船守ってるんか?」


剣士「ミファにちょっかい出してるけど多分大丈夫だよ」


盗賊「8歳の子供にちょっかいなぁ…」


剣士「逆にミファに使われてる様だけどね?見せる代わりに掃除させるとか…」


盗賊「ぐは…」


剣士「じゃぁマイさん!!行こうか!!背負ってあげる」


魔法使い「あ…ありがとう…」ヨロ


盗賊「まぁ頼むな?」




『戦車内部』



ギギー ガチャン!



盗賊「ふぅ…入り口の蓋を閉めちまえばかなり安全そうだな…」


女ハンター「大砲を何発も当てられない限り大丈夫…」


盗賊「こいつを動かせりゃ言う事無いんだが…」


女ハンター「起きたら又鍵を探すとカゲミが言ってた」


盗賊「やっぱ暗いからなかなか見つからんか」


女ハンター「この戦車を動かせたとしてどうするつもり?」


盗賊「言っただろ…異形の魔物を一匹残らず駆逐だ」


女ハンター「どれだけ居るか分からないのに?」


盗賊「言い方変える…やられた奴らの無念が晴れるまでだ…どうすりゃ晴れる?」


女ハンター「やり残した事を誰かが継ぐ…」


盗賊「…」


女ハンター「何か言いなさいよ」


盗賊「お前は割と深い事を言うな…」


女ハンター「リコルさんやリカオンさんがやり残した事は?」


盗賊「生きて残りの人生楽しむ事…それから電脳化の奴らが何をしようとしてるのか突き止める事…」


女ハンター「フィン・イッシュで殺された人達は?」


盗賊「営み…生きる事…まぁ色々あるわな?」


女ハンター「じゃぁそういう事…異形の魔物を倒すのは反対しない…でもそれが目的じゃない」


盗賊「わーったわーった…ちっと頭冷やす」


女ハンター「でも今回の件で電脳化の者達と異形の魔物がどういう風に手を組んでるのか見えて来た」


盗賊「うむ…」


女ハンター「そこに没落貴族のアナールも加わって今回の騒動になってるのも分かった…ルーデウスの事も…」


盗賊「何も知らんでフィン・イッシュ女王が騙されて居そうな事もな?」


女ハンター「それはまだ確定じゃない…こうなる事を事前に知って逃した可能性もある」


盗賊「何にせよ情報が足りんのだ…盗賊ギルドもアテに出来んしなぁ…」


女ハンター「これ以上関わるのはミライ君もリッカも…イッコだって命に危険が及ぶと思う」


盗賊「うむ…」


女ハンター「異形の魔物を追うと言うのなら真面目に人選しないといけないと思う…」


盗賊「へいへい…後の事はもうちょい考えとく」


女ハンター「そうして…」


盗賊「悪いがお前は常に俺と一緒だ…分かったな?」


女ハンター「…」ジロリ


盗賊「その顔はオーケーという顔だ…まぁ頼むわ相棒!」





『戦車のスペック』



アーデモナイ コーデモナイ


この戦車は多分地下通路を行き来する為に特別に改造された戦車だと思う…


砲身が短いのは狭い地下通路で回転できるようにする為…犠牲になったのは高精度の射撃…


多分重装射撃砲ほどの命中精度は無いと思われる


足回りがキャタピラでは無く鉄の8輪になって居るのも不整地を行くのでは無く地下通路を走る様に改造された物



盗賊「地下通路でのみ運用できる戦車って事か…」


女ハンター「そもそもキャタピラじゃ無いから地上に出ても走れないと思う」


盗賊「まぁ地下限定なんだろうがこいつを使って向こう側に行けるのはデカイ」


女ハンター「砲弾は割と小さくて60ミリ…多分これも入手しやすい砲弾のサイズにスペックダウンしてる」


盗賊「地下じゃそれで十分なんだろ」


女ハンター「砲弾も4発しか無いから私達が使うとしたらその砲身を利用してライフルで狙撃に使った方が良い」


盗賊「25口径に更にスペックダウンか…」


女ハンター「でも高精度で1キロくらいの射撃が可能…ガトリングと合わせればかなりの高火力になれる」


盗賊「乗れるのは4人って所か…物資入れたらかなりキツキツだ…」


女ハンター「トロッコが引っ張れるなら物資はそっちでも…」


賢者「あの…この戦車は多分古代の技術を使って居そうなので特殊な事が出来るかも知れないです」


女ハンター「特殊?向こうの大陸ではこういう型の戦車は機械化兵団側に有るけれど…」


賢者「型式にもよりますが操作部のパネルがホム島の研究室と同じなので高機能だと思われます」


盗賊「ほーん…例えばどんなだ?」


賢者「戦闘の事は分かりません…すみません」


女ハンター「もしかしたら熱感知とかそう言うのが有るのかも知れない…」


盗賊「てかよ?そんな高度な機械なら勝手に動き出したりとか危ないんじゃ無いのか?」


賢者「通信の機能だけ外せば良いのだと思います…ホム島の端末がそうでした」


盗賊「ほーん…」


女ハンター「機械の通信機能だけ外す…そんな事出来るのは知識のある古代人くらいしか出来ない…」


盗賊「やっぱ異形の魔物の後ろで糸引いてそうだ…人間と見分けが付かんってのが厄介過ぎる…」


女ハンター「髪の色…」


盗賊「おぉそうだったか…イッコ!!ミライ達に一応その件を連絡出来るか?」


賢者「はい…妖精さんにお願いして伝えて貰います」




『連結トロッコ』



ガサゴソ ガサゴソ



盗賊「ええいクソ!ガトリングの弾に弾かれて鍵はどっかぶっ飛んでったかもなぁ…」ゴソゴソ


賢者「ア…アランさん…燃え残った異形の魔物の一部が動いて居ます…」タジ


盗賊「うお!!ゾ…ゾンビ化してんのか?」



捥げた腕「…」ピク バタバタ



盗賊「クソ!全部燃やせってか…」


賢者「私のピッケルで動かなくなるでしょうか?」


盗賊「やってみろ…」


賢者「はい…」スチャ ブン!



グサリ!!



捥げた腕「…」ピク ピクピク


盗賊「そいつを燃えてる石炭の中に放り込んでおけ」


賢者「はい…」スタタ


盗賊「こりゃやっぱ次はゾンビで来るな…」



タッタッタ



闇商人「イッコ!!」


賢者「あ…カゲミさん…起きたのですね」


闇商人「次はイッコが休むんだ…ラスはまだ良いと言ってる」


賢者「分かりました…」


盗賊「てかカゲミ!!鍵はどこら辺まで探したんだ?」


闇商人「暗くて全部良く探せていないよ…火の光があればもう少しちゃんと探せる」


盗賊「どうやら異形の魔物がゾンビ化してる様でな…見つけ次第燃やして明かりにしろ」


闇商人「そうかい…」


盗賊「お前はミスリルのニードルダガー持ってたな?そいつで止め刺して死体を燃やしながら鍵探せ」


闇商人「分かった…」


盗賊「しかしえらく死体がバラバラに吹っ飛んだもんだから鍵探すのも大変だわ…」キョロ


闇商人「ついでに魔石もチラチラ落ちてるから回収しないとね」


盗賊「だな?手分けして探すぞ」




『戦車』



ガチャリ ギギギ



賢者「カゲミさんと交代しました…少し仮眠を取ります」


女ハンター「入って…」


賢者「はい…」ヨッコラ


女ハンター「2キロ先で又異形の魔物が集まり始めてる…」


賢者「何か企んで居そうですか?」


女ハンター「何処から連れて来てるのか…スケルトンも居るからこっちの弾切れ狙いね」


賢者「私は寝て居る場合では無さそうですね」


女ハンター「まだ大丈夫そう…多分数を揃えて居るんだと思うから」


賢者「妖精さんにお願いすると4時間は目を覚ましませんが…」


女ハンター「休める内に休んで…敵が動き出すと休めなくなってしまう」


賢者「分かりました…では横になります…」ドター


女ハンター「…」---2キロ向こう…こっちの射程を読まれてる…だったら---



チャキリ ターン!



女ハンター「よし当たった…集まって居る所に打ち込めば少々狙いが外れても当たる…」


賢者「ど…どうしたのですか?」ガバ


女ハンター「気にしないで…敵にこっちの射程距離を悟られたく無いから牽制して居るだけ」



ドタドタ



盗賊「なんだ今のは!!敵か!?」ダダ


女ハンター「2キロ向こうにスケルトンが集まり始めてるの…牽制でバヨネッタ当てた」


盗賊「スケルトン…弾がすり抜けるだろう」


女ハンター「当たったのは異形の魔物…そこら辺に集まり始めてるから牽制で当てたの」


盗賊「スケルトン相手なら接近で倒せる」


女ハンター「武器を持って居るのが何体も来たら?」


盗賊「ううむ…それはちと厳しいな」


女ハンター「そうやってこっちに弾を消費させる作戦なのよ…ムン・バイでも同じ作戦で危なかった」


盗賊「ゾンビじゃ無くてスケルトンが来るってか…」


女ハンター「強くは無いけれど斬撃が効き難い分少し厄介」


盗賊「大砲撃つにしても連射が効かんからなぁ…」


女ハンター「大砲の火薬が有ったわね?それを20メートル間隔で設置してきて…重装荷車に乗せて行けるでしょう?」


盗賊「そら良いが小分けする容器が無え」


女ハンター「どうにかして…このまま数を揃えて押し込まれてはムダに弾を消費する事になる」


盗賊「ええいクソ!燃え残った人間の生皮乾かして袋にすっか…」


女ハンター「反吐が出そう…」


盗賊「しゃー無えだろう…他に何も無えんだから…」




『燃える死体』



メラメラ ボゥ…



盗賊「こんな物使う事になるとはな…」ヌイヌイ


闇商人「言葉が無いよ…そのまま燃やしてしまえば良いのに…」


盗賊「おっし…こいつに火薬詰めて即席の爆弾だ…ちっと設置してくるわ」スック


闇商人「皮はまだ必要になるかな?」


盗賊「燃え残ってる分は火に炙って乾かしといてくれ…」


闇商人「おえっ…ぅぅぅ」


盗賊「生皮剥がされた死体を見ん分だけマシなんだぞ?」


闇商人「う…うん…」



ガサガサ チュー



盗賊「む!!ネズミ?」


闇商人「うわぁ!なんだコイツ…」タジ


盗賊「おいおいゾンビ化したネズミか?」


闇商人「襲ってくるぞ…」


盗賊「ネズミぐらい自分で何とかしろぉ」


闇商人「また忙しくなるな…」スチャ


盗賊「かまれん様にな?んじゃ俺は行って来る」ダダ


闇商人「ネズミ一匹で驚いてる場合じゃ無いか…僕に倒せるか…」タジ



ネズミゾンビ「チュー!!」ガサガサ



闇商人「このぉ!!」ダダ ブスリ


ネズミゾンビ「キュゥゥ…」ピクピク


闇商人「増えて来そうだ…注意しよう」ポイ





『恐らく深夜』



チュチュー ガサガサ



盗賊「ああぁクソ!えらいネズミの数が増えて来たじゃ無えか…」タジ


女ハンター「ネズミゾンビを向かわせてこっちを消耗させる狙い!!私は狙撃で目が離せないからどうにかして」


盗賊「カゲミ!!火を背にして戦え!!」


闇商人「分かってる!ハァハァ…」


盗賊「これじゃ満足に鍵を探せんな‥」キョロ


女ハンター「あ!!動き出した…犬?小動物がこっちに向かって来る」


盗賊「小動物のゾンビだな…」


女ハンター「速度がバラバラ…折角爆弾を設置したのにまとめて始末できない…」


盗賊「慌てて爆発させんな…小動物のゾンビならまだ何とかなる」


賢者「接近戦なら私も役に立てます」スタタ


盗賊「おうおう怪我すんなよ?」


女ハンター「荷に油は無いの?」


盗賊「見て無え」


女ハンター「油を撒いて一気に焼くのもダメな様ね…」


賢者「砂銀が有りました…どうにか使えませんか?」


盗賊「ゾンビ相手に砂銀か…悪くないがどうやって使う?」


女ハンター「ハッ!!あなた…ラッパ銃を持っていたでしょう?」


盗賊「おお!!親父の形見か…火薬はある…砂銀をどうやって撃ち出す?…銅貨の間に砂銀を仕込めば行けるか…」


女ハンター「やって!!」


盗賊「弾込めにちと時間が掛かるからイッコとカゲミでどうにか敵を引き付けてくれ」


闇商人「イッコ!!盾は君に任せる…僕は一体ずつニードルダガーで仕留めて行く」


賢者「はい!!お任せください」スチャ




『ゾンビ襲来』



ガウルル ドドドド



闇商人「来たぞイッコ!!」


賢者「は…はい!!」スチャ


盗賊「来い来いうらぁ!!」チャキリ



ズドーン!! パラパラパラ



ウルフゾンビ「ギャヒーン…」ピクピク


盗賊「おっしゃぁ!!次の弾込めまで凌げな!?」カチャカチャ


闇商人「砂銀を使った散弾…凄いな一気に倒せる…」


女ハンター「遠方でスケルトンも10体程動き出した…こっちは私が爆弾を狙撃して仕留める」


盗賊「カゲミ!!手が空いてんなら倒れたウルフゾンビを火の中に突っ込んどけ!!」


闇商人「あぁ分かった!!」ダダ


盗賊「石炭はたらふく有るからどんどん使え!!」


闇商人「ネズミはまだチョロチョロしてるな…」


盗賊「ちっこいのは自分でどうにかしろぉ」


闇商人「あ…壁に光が…」


賢者「それはガトリングの弾ですね…」


闇商人「まてよ?鍵をいくら探しても見つからないのは壁に引っ掛かってたりしないか?」


盗賊「その可能性はある…大体バラバラになった死体は壁まで吹っ飛ぶ」


闇商人「そういう事か…壁際を全然探して居なかったよ…」


盗賊「てか今はゾンビ退治だ…次のが来るぞ!!」


闇商人「そうだね…ここを乗り切ろう!」




『1時間後』



ターン!! ドドーン!!



女ハンター「よし!!スケルトンは撃滅…」


賢者「私達の作戦勝ちですね」ニコ


女ハンター「向こうも爆弾を設置されてると言う事まで頭が回らなかったみたい」



ズドーン!! パラパラパラ



盗賊「ウハハこの散弾銃めちゃくちゃ使えるわ…銅貨2枚と砂銀でゾンビ一掃出来る」


女ハンター「これで向こうも並みのゾンビじゃ近付けない事が分かったと思う」


盗賊「だな?またしばらく攻めて来んぞ」


女ハンター「もう遠くで側道に隠れてしまって何をしてるのか伺えないから次は要注意」


盗賊「落ち着いたら後で見に行くわ」


女ハンター「ミライ君達が来てトロッコを運び終えるまでは無理をしないで」


盗賊「わーってる!!」


闇商人「イッコ!!ネズミ退治は君に任せる!!僕は鍵を探す!!」


賢者「はい…お任せください」スタタ


盗賊「しかしまぁウルフまでゾンビにして使って来るか…デカいのが来ないだけマシだが…」


女ハンター「シーサーとか大型のゾンビが来てしまったら爆弾じゃ倒し切れないで押し切られると思う」


盗賊「その場合はガトリングぶっぱで殲滅だ」


女ハンター「向こうの狙いはソレなのだから弾は無駄撃ちしない方が良い」


盗賊「シーサーぐらいデカけりゃ今度こそ大砲だ…寄せりゃ当たるだろ」


女ハンター「当てても倒せないでしょう?ゾンビなのだし…」


盗賊「おぉ忘れてた…大砲に意味無えな…」


女ハンター「そのラッパ銃の弾込めを早くする工夫をして」


盗賊「こいつが頼りになるか…」




『恐らく明け方』



シュタタタ



剣士「アランさ~ん!!」


盗賊「おおミライ!!待ってたんだ!!」


剣士「こっちは戦闘が有ったみたいだね…燃えてるの全部ゾンビ?」


盗賊「まぁな?…そっちはどうよ?」


剣士「エルフとドラゴンが町に降りて来る様になって様子が変わったよ」


盗賊「ほう?」


剣士「凄い大きなエルフでさ…姉さんが子供みたいに見えるさ」


盗賊「なんで又エルフとドラゴンが来る様になったんだろうな?」


剣士「分からない…でも町に居る人はエルフを見て元気になってる」


盗賊「そら下半身が元気になってんじゃ無いのか?」


剣士「アハハそうかもね」


盗賊「マイの様子はどうよ?」


剣士「ゲスさんに治療して貰って休んでる…なんか腰骨の近くに黒曜石の矢尻が残ってたみたい」


盗賊「そうか…無事ならまぁ良い」


剣士「昨日持って帰った食料を配ったらバレンシュタインさんがアランさんに会いたいって言ってたよ」


盗賊「此処に来てる事は知ってると思うんだが…」


剣士「なんかね…色々有るみたいな事言ってたな…」


盗賊「ちっと奪った戦車が動かせんもんだから放置も出来なくてなぁ…」


剣士「向こうに運んだトロッコは引っ張ってこっちに持って来れないからどうにか動かして欲しいよ」


盗賊「やっぱ輸送用で使いたいか…」


剣士「うん…とりあえず今日は4つトロッコ持って行くよ?」


盗賊「頼む…てかリッカはどうした?」


剣士「僕だけ走って先に来たんだ…もうすぐゴッツさんとガッツさんも一緒に来る筈」


盗賊「そうか…石炭と砂銀はこっちで使う分降ろすぞ」


剣士「うん!!代わりに持って帰れる物何か無い?」


盗賊「スケルトンが落とした武器なら拾いに行きゃ有るな…持って来るか?」


剣士「武器があると助かる!!戦える人が増える!!」


盗賊「重装荷車に乗せてこっち持って来るわ」


剣士「おっけー!!トロッコ移動させる準備しておくね!!」


盗賊「おう!!」




『重装荷車』



ガタゴト ガタゴト



盗賊「武器を拾って来たぞ!!ちっと痛んでるが全部銀製の武器だ!」ガラガラ


航海士「えらい派手にやっとるようやなぁ?」


盗賊「おう!!」


航海士「戦車を入手したと聞いて興味有ったんやが又ごっつい鉄の塊やな」


盗賊「こいつのお陰で異形の魔物を凌いでるんだ…向こうも中々賢くて昨夜は一体も倒せてない」


航海士「ほうか?とりあえずトロッコはこれで全部運べるでいつまでも此処に居らんでも良えんやが…」


盗賊「折角奪った戦車を放置は出来んぞ」


航海士「動かんのやろ?」


盗賊「今はな?こいつを動かせりゃ向こうに運んだトロッコをもう一回此処まで戻せるからどうにか動かしたい」


剣士「アランさん!!僕達もう移動するよ!!」


盗賊「おうそうか!!ゲスによろしく言っといてくれ」


剣士「おけおけ!!ゴッツさん行こうか!!」


航海士「トロッコは連結したまま運ぶんか?」


剣士「うん!!一回動き出したら緩い下りだからそんなに大変じゃない」


航海士「結構な重さやで動かせるんかいな…」


剣士「ゴッツさんとガッツさんは後ろから押して!僕と姉さんは前から引っ張る!!」


航海士「ガッツ!!力仕事やぁ!!」


船大工「がってん!!」ドドド


剣士「じゃぁアランさん!!行くね?」ノシ


盗賊「おう気を付けてな?」




『戦車内部』



すぅ… すゃ… zzz



盗賊「ラスはやっと寝たか…」


闇商人「アランはまだ一睡もしていないじゃないか…」


盗賊「気が張ってる時は眠らんでも問題無え」


闇商人「じゃぁ鍵を探してよ…僕は地下通路の向こうを見張らなきゃいけない…」


盗賊「やっぱガトリングの弾と一緒にどっか飛んでったか…」


賢者「あの…戦車の中は良く探したのでしょうか?」


盗賊「おっと!?」


闇商人「あれ?まさか…」


賢者「多分このくらいの大きさの四角い板に溝が掘ってある形の物です」スッ


盗賊「マテマテもしかしてコレか?」スッ


賢者「あ…」


闇商人「えええ!?アランが持ってた?」


盗賊「これが鍵!?」


賢者「多分そうです…古代のカギはこの様な形で現代の鍵とは違った形をしています」


盗賊「なんだ俺はてっきり異形の魔物が身に付けてるアクセサリーか何かだと思ってたわ」


闇商人「それ何処に有ったの?」


盗賊「皮紐が付いてんだろ…そいつが戦車の中でぶら下がってた」


闇商人「ああ確かにペンダントみたいだね…」


賢者「それを貸して頂けますか?」


盗賊「おう!!どうやって使う?」


賢者「鍵の溝に合わせて押し込みます」グイ カチャ



ブーン ピピッ



盗賊「おおお!!動くか!!」


闇商人「古代文字が現れた…なんだコレ…」


盗賊「こりゃ驚きだ…外が透けて見えるじゃ無えか…どうなってる!?」キョロ


賢者「このパネルに外部の映像が写されて居るのです…光源の感度も自在の様ですね」スッ


闇商人「おおスゴイ!!全部見える!!」


賢者「今扱い方を調べて居ます…」ピ ピピ


闇商人「パネルで操作するのかい?」


賢者「いえ…パネルで設定した後に特定のモーションで動かす様です」


闇商人「モーション?分からないな…」


賢者「指の形ですとか…声ですとか…設定により自在な様です…声は古代語なので難しいと思われます」


盗賊「なるほど…ほんで何か特殊な事は出来そうか?」


賢者「装着可能な兵器を一つも搭載していない様ですね…あ!火炎放射が使える様です」ピピ


盗賊「おおおそりゃ良い!」


賢者「至近距離で10メートル程しか効果がありませんが唯一使える武器です」


闇商人「戦車に籠ったまま火炎放射が使えるならそれで良さそうだ」


盗賊「エネルギーは何使ってる?」


賢者「ウラン結晶だと思われます…どの程度消費して行くのかは使ってみない事には分かりません」


闇商人「戦車の移動は?」


賢者「今は8輪のモードが選択されて居てキャタピラの仕様にも換装出来る様になっています」


闇商人「なるほど…」


賢者「移動する時は少し変形して蜘蛛の様に歩行するのが今の8輪モードです」


盗賊「この戦車が歩くってか…」


闇商人「動かせる?」


賢者「やってみて良いですか?」


盗賊「折角動かせるんだ…やってみろ」


賢者「では…」スッ



ブーン ゴトン! ゴトゴト



盗賊「おお進み始めた…」


闇商人「思ったより揺れない…」


賢者「はい…8輪が独立して衝撃を吸収しています」


盗賊「こりゃバケモノ兵器を手に入れたかもな…」


闇商人「速度は馬車と同じくらいか…」キョロ


賢者「試運転で少し地下通路を見回っても良いですか?」


盗賊「あんま調子に乗って大砲で撃たれたりすんなよ?」


賢者「はい…注意します」




『地下通路』



ゴトゴト ウィーン



闇商人「今元居た場所から4キロ来た地点だ…異形の魔物は戦車が動いてるのを察知して逃げたね…」


盗賊「やっぱ何か準備していた様だな?」


闇商人「だね?重装備なトロッコを用意して攻めて来る予定だったみたいだ」


盗賊「トロッコをゾンビに引かせるってか?」


闇商人「もうそんな手しか残って居無いのさ…折角だからその辺のゾンビを掃除して行こう」


賢者「火炎放射ですか?」


盗賊「そうだ…使って見ろ」


賢者「分かりました…」スッ



ボボボボボボボ



盗賊「うほー!!そのまま移動して焼き払っちまえ」


賢者「はい…」


闇商人「これはゾンビ相手だと圧倒的だな…」アゼン



チュドーーーン!!



賢者「近くの火薬に引火してしまった様です」


闇商人「戦車が傷むかも知れないから少し離れようか…」


賢者「はい…」


盗賊「火薬用意してたって事はトロッコごと突っ込んで爆発させるつもりだったな?」


闇商人「そんな感じだね…でも火薬だけだとビクともしないよ…鉄も一緒に破裂させないと」


盗賊「こりゃ戦車一基で地下は制圧出来そうだ」


闇商人「ここから上層の入り組んだ場所には行けないから全部の制圧は無理だよ」


盗賊「ふむ…そっちに逃げてるか…」


賢者「あの…ゾンビの中にウェアウルフが混ざって居ます…」


盗賊「何ぃ!?」


闇商人「ウェアウルフもゾンビにさせられてるのか…」


盗賊「マジか…」


闇商人「リカオンって見分け付く?」


盗賊「毛皮も剥がれちまって全部同じに見えるんだ…クソう!ゾンビになって使われちまってるってか…」


闇商人「それを言うとリコルさんもだよね…」


盗賊「ぐぬぬ!!許せんな異形の魔物共は…」ギリ


闇商人「今も結局倒せていない…賢いね異形の魔物は…」


盗賊「裏を掻いてガトリングぶっぱするしか無えな…イッコ!!地下通路の見取り図作るからそのへん走り回れ」


賢者「はい…」


闇商人「どうする気だい?」


盗賊「俺が単騎でどっかに潜んで待ち伏せすんのよ…そういう場所を探す」


闇商人「危ない作戦だなぁ…」


盗賊「重装荷車が余ってるからそいつを上手く使う…良い場所が有れば良いが…」





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