53.奇襲
『簡易療養所』
ヨタヨタ
盗賊「おいゴラ!ゲス!!マイは何処行ったか知らんか?」
学者「お!?兄貴もう体は良いんすか?」
盗賊「酒飲んで寝たらスッキリした…ほんでマイは何処よ?」
学者「この時間はロイドさんと何処かで休んでるっすよ…昼には起きて来るんで待ってて下せぇ」
盗賊「てか今日の干潮狙って異形の魔物狩りに行く事知ってんだろうな?」
学者「兄貴!!シィィィィィ!!」
盗賊「んん?」
学者「下手な事口にすると敵に察知されやすぜ?」キョロ
盗賊「なんだどう言う事よ?」
学者「兄貴が寝てる間に不審なスクーナー拿捕したんす…避難民に紛れて敵と繋がってる奴が居るかもしれんのです」ヒソ
盗賊「ほーん…」
学者「カゲミさんの予測だと盗賊ギルドが敵側に寝返ってるんじゃないかと…」
盗賊「なるほど…そりゃ動き辛いな」
学者「ここは一応孤児を預かってる療養所なんであんま疑われて居ないと思うんすがそろそろ目を付けられそうっす」
盗賊「こっちも守らにゃイカンか…ミライとリッカが要になりそうだな…」
学者「ガッツさんとゴッツさんも小銃持ってるんで余程大丈夫だとは思いやすがね?」
盗賊「まぁアレだ…俺が特攻しても2~3日で帰って来るつもりでは居る」
学者「帰って来ないと困りやすよ…食料も底を尽きそうなんで」
盗賊「食料の保管してある区画は分かってる…俺が何とかしてやる」
スタスタ スチャ
大柄な男「話し中失礼…カゲミ殿は何処へ?」
学者「おろろ?バレンシュタイんさんじゃ無いっすか…カゲミさんは今仮眠中っすね」
大柄な男「そうだったか…頼まれごとを持って…んん?」ジロ
盗賊「んあ?」
大柄な男「貴殿はまさか…まさかまさかまさかぁぁ!!」ズダダ
盗賊「おっと!なんだコイツ!!」タジ
大柄な男「ファルクリード殿では?…いやいや若すぎる…しかし何故…貴殿は誰だ!?」ズイ
盗賊「おいおいなんだこの親父は!!」
学者「兄貴…その人旧セントラルの王様っすよ…フィン・イッシュに亡命した身の筈っス」
盗賊「なんだと?王様がこんな所うろついてんのか?」
大柄な男「いやはや間違いない…貴殿はファルクリード殿だな?20年近くずっと探して居たのだ…」
盗賊「悪いが俺はアランクリードという名だ…ファルクリードは俺の親父になる」
大柄な男「なんと…ご子息であったか…アイリーン殿やアイラ殿とご一緒では?」
盗賊「何処行ってもその話になんな…完全に別行動で俺らも行方を追ってる」
大柄な男「そうであったか…失礼…私は今紹介が合った様にバレンシュタイという恥ずかしい名を持って居る」
大柄の男「フィン・イッシュに居候の身で正規兵と称した私兵の長だ」
盗賊「おう!見てたぜ?正規兵とやらの戦い振りをよ?」
大柄な男「恥ずかしながら苦戦を強いられて居て国を守るに至っていない」
盗賊「今戦ってんのが私兵か…」
大柄な男「してアランクリード殿…カゲミ殿より城周辺の地下見取り図を書いてくれと依頼が有ったのだが…」
盗賊「おおお!!見取り図!!それが有ると助かる」
大柄な男「どういう用件で見取り図が入用なのか聞いて居無いのだ…もし良ければお聞かせ願いたい」
盗賊「そら言えんな…何処で話が漏れちまうか分からんしそもそもお前を信用して良いかも分からん」
大柄な男「察するに地下から奇襲を?」ギロリ
盗賊「言えん…ただまぁ正規兵の邪魔にならん様にだけは約束出来る」
大柄な男「ふむ…察したぞ…我々は我々の判断で動いても良いと言う事か…」
盗賊「そう解釈してくれれば良い…とりあえずまず食料調達だ…そこまで上手く行きゃ共同ってのも考えても良い」
大柄な男「よし…ここは作戦を練り直すとする…では失礼!!」ドドド
盗賊「マテマテマテ!!お前見取り図持って来たんだろ…置いて行けよ」
大柄な男「おお!!私とした事が…すっかり用件を忘れていたハッハッハ…」スッ
盗賊「こりゃまた雑な見取り図だな…」バサ
大柄な男「私の知る限りの情報なのだ…見取り図など初めて書いたから見にくいのはご勘弁」
盗賊「まぁ無いよりは随分助かる…使わせて貰うぜ?」
大柄な男「うむ!!ではご機嫌用!!」ドドドドドド
学者「…」ポカーン
盗賊「おい…あれは本当に王様なんか?」
学者「いやぁぁ…なんか凄い心配になっちまう王様っすね…天然っちゅうか…凄い馬鹿っぽいのが染み出てるっす」
盗賊「なんかアイツ気に入ったぞ…ウソを全く感じ無え」
学者「正規兵の指揮をしてるって言ってたんすが…アレで大丈夫なんすかね?」
盗賊「戦い振りはガチだぞ?兵隊はちゃんと隊列組んでドラゴンとも上手く連携してる様に見えた」
学者「ほんじゃ優秀な部下が一杯居るんすね…」
盗賊「アイツは多分そういう奴が集まるカリスマみたいな物持ってんだ…俺もなんか一目で気に入ったわ」
学者「変わった人っすねぇ…」
『キャラック船_船尾楼』
すぅ…すゃ…zzz
闇商人「ううん…」パチ
賢者「すぅ…」zzz
青年「おはようカゲミ…」
闇商人「あぁぁイクラシアか…今昼ぐらいかな?」キョロ
青年「そうだよ…君達2人はいつもそうやって一緒に寝るのかい?」
闇商人「最近はそうだね」
青年「なんか姉妹みたいだ…」
闇商人「一緒の毛皮に包まって居ると暖かくて気持ち良いんだ」
青年「羨ましいな…僕もその毛皮に入りたい」
闇商人「残念ながらそんなスペースは無い…ところで足の様子は?」
青年「指の切断は免れたみたいだよ…黒さが抜けて行ってる」
闇商人「やっぱり回復力が良いのかな?」
青年「どうだろう?…でも僕にオークの血が流れているのかも知れないのは日誌を見て少し分かった」
闇商人「やっぱりね…」
青年「結局僕の母親は貴族の中で性玩具扱い…その相手の中にハーフオークが居たと言うだけの話だ」
闇商人「知りたく無かった情報だったか…」
青年「もう気にして居無いよ…それよりも光る夜の真相とか沢山の事実が分かって面白い日誌だったよ」
闇商人「そう思って貰って良かった」
青年「システムによるガーディアン機能での自己防衛…古代人じゃなきゃこんな事実は分からない」
闇商人「そのシステムはその時に停止した筈なんだけどね…どうして今又システムからロールバックされるのか…」
青年「それ少し解釈が違う…停止したのはシステムの一部だよ」
闇商人「んん?どう言う意味?」
青年「システムは概念的な物だよ…その下のコントロール域にある機械の部分が停止したんだ」
闇商人「概念…それはこの世界の倫理的な物?」
青年「その筈…それが何処に有るのかが分からない…カイネさんなら少し知って居るのかも知れないなぁ…」
闇商人「概念が何処に有るのか…か…ううむ」
賢者「ううん…」ノビー
闇商人「あ…イッコおはよう」
賢者「おはようございます…」モゾモゾ
青年「あ…ごめん隠れなくても良いんだ」
賢者「い…いえ…」モゾ
闇商人「イッコ?樽湯が沸いているかも知れないから見に行こうか?」
賢者「はい!行きます!」
青年「湯も一緒に?」
闇商人「ハハ…背中を流すだけさ…まぁ湯を沸かしてくれて居れば…だけどね?」
青年「2人は仲良しだねぇ…」
『甲板』
アーデモナイ コーデモナイ
ライフル弾はとりあえず100発…バヨネッタは私とカゲミの分も合わせて400発
ガトリングの弾は大体1000発…異形の魔物に接近してガトリングぶっぱで一体当たり20発使う想定だ
手榴弾は各自3つづつ持て…予備は20個
女ハンター「重装荷車に私とカゲミが乗って安全圏を作れば良いのね?」
盗賊「そうなる…俺はお前達の援護貰いながら一気に接敵して近距離からガトリング撃つ」
盗賊「俺にタゲが集まるから狙撃で他の敵を牽制してくれれば良い」
盗賊「攻撃貰って怪我したら速攻戻って来るからマイが俺を回復するんだ」
盗賊「イッコは妖精使って敵を眠らせた後は後方の守備…矢くらいなら盾で何とか出来るな?」
闇商人「後方から敵が来るってどういう状況?」
盗賊「地下通路は入り組んでて良く分からんから回り込まれる事も一応警戒する」
闇商人「一方向だけを狙撃する訳では無いか…」
盗賊「異形の魔物が使って来るのは弓矢だ…バヨネッタなら撃ち負ける様な事は無いだろう」
闇商人「1発2発の矢を防ぐのに盾か…」
盗賊「まぁそんなど真ん中行く気も無いから安心しろ…とりあえず防弾装備は確実に身に付けておけ」
剣士「アランさん!!そろそろ干潮で排水口に入れる…」
盗賊「おう!!決戦だ…行くぞ!!」ギラリ
剣士「荷はもう双胴船に積んで有るから直ぐ行けるよ」
盗賊「2~3日で戻るからその間に荷車を何台か作っといてくれ」
剣士「うん!!食料を運ぶ為だね?」
盗賊「そうだ…食料を手に入れてから大反撃の始まりよ…民兵が戦える武器類も頼むな?」
剣士「おけおけ!!」
盗賊「おっし!!皆殺しに行くぞ!!異形の魔物は一匹残らず駆逐だ!!」
『双胴船』
バサバサ ユラユラ
盗賊「ううむ…俺以外全員女だってのがなぁ…」
闇商人「何言ってるんだ…僕は男だよ」
盗賊「そんならもうちっと体を鍛えろや」
闇商人「あと3年待って…アランと同じくらいの回復力にはなる筈だから」
盗賊「んあ?どういう事よ?」
闇商人「僕もリッカの髄液を移植して貰った…」
盗賊「いやそうじゃ無くてな…筋肉だ筋肉!!そんな細い体じゃ一発食らってアウトだろ」
女ハンター「カゲミは私と同じ様にスナイパーになるの」
盗賊「ほーん…まぁそれならそれでも良いが…女ばっかだと俺が不安でよう…女の血は見たく無えのよ」
闇商人「何度も言うけれど僕は男だよ」
盗賊「へいへい…まぁスナイパー2人居れば割と強いわな…」
女ハンター「カゲミ?髄液を移植して貰ったって…いつの話?」
闇商人「昨日だね…」
女ハンター「それで体調は大丈夫?」
闇商人「何も感じない…ゲスが言うにはハーフオークの血で不調になるのは今まで見た事無いらしい」
女ハンター「それなら私も…」
盗賊「ラスはもう何回もリッカの血を輸血してんだろ」
女ハンター「え!?じゃぁ気を失っている間に…」
盗賊「マイもこの間干からびた時にリッカの血を輸血されてるから全員リッカには世話になってる訳だ」
魔法使い「干からびたって…」
盗賊「ゾンビ化の病気が治ったのもリッカの血のお陰だな…まぁ感謝しとけ」
闇商人「ふむ…やっぱりハーフオークは凄いな…」
盗賊「出血にはそう強く無いから怪我はしない様に頼む」
『地下排水口』
ザザー ズズズ
盗賊「おーし!重装荷車あんな?荷を移すの手伝ってくれ…」ヨッコラ
闇商人「ええと…全部重たそうだな…」タジ
盗賊「重い物は何回かに分けて運べば良い!!男ならちっと働け」
闇商人「あぁゴメン…3年掛かる…」
盗賊「くぁぁクソ!!結局俺一人か…」
女ハンター「私のライフルは重装荷車に固定する…ライフルの弾はその近くに…」ヨッコラ ドサ
闇商人「ライフルの弾が重いね…よいしょ!!」
女ハンター「100発も有るから…」ゴソゴソ
盗賊「こりゃ一層上に荷上げすんの結構大変だな…」
女ハンター「何処で上に上がるつもり?」
盗賊「2キロ程行ったら上がれるタラップがある…そこで上に上がってロープで引き上げるつもりだ」
女ハンター「そこからが本番ね…」
盗賊「ちゃっちゃとそこまで行くぞ!」
『2キロ先』
ヨイショ!! ヨイショ!!
盗賊「ぬぁぁぁクソ重い…」ハァハァ
闇商人「もう少しで重装荷車に手が届く」
盗賊「うらぁぁ!!」グイ
闇商人「おけおけ!!皆手を貸して!!」グイ
盗賊「そのまま引っ張り上げてくれぇ!!」
グイ ドサーー
盗賊「はぁぁぁ…戦う前にこんな消耗しちまって…」
女ハンター「ちょっと早いけどここで30分くらい休憩しましょ」
盗賊「だな?」
女ハンター「私はこの通路の向こうを監視しておく」
盗賊「頼む…」
闇商人「イッコ…少しづつ重装荷車に荷を積もうか」ヨイショ
賢者「はい…」ヨイショ
魔法使い「明かりは?」
盗賊「明かりは無しだ…向こうに悟られちまう」
魔法使い「足元も見えないのに皆どうして行動できるの?」
盗賊「マイは暗視ゴーグル持って無かったな…俺とラスとカゲミは暗視ゴーグルあんのよ」
魔法使い「片目に装着してるのは銃を撃つ為の物じゃ無かったんだ…」
賢者「私は目が良いのでそのままでも見えます」
魔法使い「私だけ見えないのじゃ戦闘で足を引っ張ってしまう…」
盗賊「マイは回復役だから気にすんな…あと安全圏確保出来たら少しの明かりは用意する」
魔法使い「あぁ良かった…」
女ハンター「気にしなくてもその内目が慣れて少し見えて来る筈…小さな虫が光るから…」
盗賊「その通りだ…向こうの大陸の戦場じゃこれが普通なのよ…真っ暗な中で機械が銃を撃って来る」
魔法使い「あ…本当だ…星空を見ているみたいに…」
盗賊「何か有るとそいつが動く…そういう風に敵を察知するんだ」
女ハンター「この先10キロくらいはクリア…今は安全」
盗賊「ふぅぅ…ちっと体力回復で軽く飲むな?」グビ プハァ
『30分後…』
ガタゴト ゴトゴト
女ハンター「アラン?この真っ直ぐの地下通路でこっちの方まで異形の魔物が来ない理由は知ってる?」
盗賊「さぁな?ここは夜になるとレイスが出るからかも知れん」
女ハンター「レイス…」
盗賊「俺らは魔除け効果の物を沢山持ってるから大丈夫だ」
女ハンター「黒曜石だったら異形の魔物も持ってる筈…」
闇商人「僕はこう思うな…彼らは泳げないんだ…彼等からしたらこの通路は行き止まりなのさ」
盗賊「ほう…泳げんか…」
闇商人「ドワーフと一緒で水に浮けないんだよ」
盗賊「どんだけ居るのか分からんが水攻めで一掃出来るかも知れん訳か…」
闇商人「船を使わないのもそういう理由な気がする…溺れたら終わり」
盗賊「今いま水攻め出来る様な妙案は思い付かん…だが体が重いってのは行動制限させられるかもしれん」
闇商人「んん?どういう事かな?」
盗賊「俺等がロープ使って登れる場所を異形の魔物は登れんって事だ…タラップか何か無い所は移動出来んのだ」
闇商人「なるほど…つまり移動してる場所の推測ができる…」
盗賊「こりゃあの王様が書いたしょぼい見取り図も役に立つかもしれんわ」
闇商人「ハハ…確かに出来の良い見取り図では無かった…もう一度見直してみようか」
ゴソゴソ バサ
闇商人「ふむ…王族が退避する通路に使ってただけ有って追手が掛かり難い様になってる様だね」
盗賊「確かに…なるほどタラップがある所だけと考えると相当移動の場所が限られる…こりゃ使える」
『地下通路の先…』
ゴトゴト ゴトゴト
女ハンター「2キロ先に敵が見える…多分6体」
盗賊「気付いた素振りは無えな?」
女ハンター「今私達が風下…まだ気付いてない…どうするの?」
盗賊「行くに決まってんだろ…このまま1キロまで近付く」
女ハンター「6体居るのに突っ込む気?」
盗賊「奇襲だ…ガトリングぶっぱで行ける…向こうは何してる?」
女ハンター「連結したトロッコに何かの荷を積んでる…全部形の違う異形の魔物…」
盗賊「トロッコ?ほんなん俺は見て無えぞ…」
女ハンター「鉄製のトロッコだから身を隠されると戦い辛い…」
闇商人「フィン・イッシュは銀鉱山があるからトロッコが有ってもおかしくない」
盗賊「いや線路が無えからトロッコが動かせん筈だが…」
女ハンター「でもトロッコに間違いない…」
盗賊「まぁ良い…トロッコに身を隠されるような状況だったらこっちで狙撃してくれ」
女ハンター「本当に突っ込む気ね?」
盗賊「丁度その辺に城へ続く通路があんのよ…どっちにしても殲滅せんと何も行動出来ん」
盗賊「ラスはライフルで狙撃に専念してくれ…マイとイッコはこのままゆっくり重装荷車押して来い」
盗賊「カゲミは万が一に備えてバヨネッタ準備しとけ…開戦の合図は俺のガトリングだ…いいな?」
闇商人「ムリしない様に頼むよ」
盗賊「おし!俺が先行する…ラスの射程に入ったらガトリングぶっぱで行くからそのつもりでな?」
女ハンター「ふぅ…なんか…汗が出て来た」
盗賊「じゃ行くな!?」スゥ…
賢者「妖精さんに睡眠をお願いするのはいつですか?」
闇商人「寝てしまう人が急に出ると異形の魔物に察知されてしまうんだよ…ここはアランに従おう」
賢者「分かりました…」
『10分後…』
ゴトゴト ゴトゴト
女ハンター「射程入った…まだ動きなし…重装荷車はこのまま近付いて行って」
賢者「はい…」
闇商人「トロッコの向こうにある大きな物は?」
女ハンター「多分戦車…砲身が向こうを向いてる…アレを使って荷を運ぶつもりだったみたい…」
闇商人「そういう事か…食料を運ぶ気だな?」
女ハンター「あ!!光った…」
ダダダダダダダダン! ダダダダダダダダダン!
闇商人「うわ…音が響く…」
女ハンター「これは異常を察知して一気に異形の魔物が出て来そう」チャキリ
カカン カン カン!!
賢者「ここまで弾が飛んで来ています…マイさん流れ弾に当たらない様に重装荷車の影へ…」
魔法使い「これは壁に反射して?」キョロ
闇商人「マイ!頭引っ込めて!!」
ダダダダダダダダン! ダダダダダダダダダン!
女ハンター「凄い…ガトリングで異形の魔物がバラバラに…」
ドーン パラパラ
闇商人「トロッコが有るから身を隠しながら手榴弾も使えてるか…逆に有利だ!!」
女ハンター「奥から新手…狙撃する」ターン!!
女ハンター「ヒット!…イケる!!制圧出来そう…」ガチャリ
スゥ…
闇商人「うわっ!!アランか…ビックリした…」
盗賊「マイ!!回復頼む!!」
魔法使い「は…はい!!回復魔法!」ボワー
盗賊「ガトリングの弾が跳ね返って来て俺も自爆気味よ…防弾装備着てて良かったわ」
女ハンター「新手が奥から出て来てる…」ターン! ガチャリ
盗賊「そうか…このまま前進しろ…トロッコ周辺の6体は倒した…荷を全部奪うぞ」
女ハンター「もしかして戦車も奪える?」
盗賊「上手く行きゃな?とにかく近付いて来る新手を狙撃で近付けさせんな」
女ハンター「分かった…」ターン! ガチャリ
盗賊「トロッコと戦車を遮蔽物に使えるからそこまで重装荷車進めろ…俺はもっかいガトリングぶっぱしてくる」スゥ…
『連結トロッコ』
ターン! ダダダダダダン!!
盗賊「はぁはぁ…マイ!!回復頼む!!」
魔法使い「回復魔法!」ボワー
盗賊「ふぅ…おっし!ここで陣張るぞ!!」
女ハンター「私は重装荷車から敵を寄せない様に狙撃して居れば良い?」
盗賊「ライフルは弾が勿体無え…もう少し寄せても良いからバヨネッタ使え」
女ハンター「じゃぁカゲミも狙撃に動いて!」
闇商人「やっと出番か…」チャキリ
盗賊「マイ!!その辺に転がってる異形の魔物を魔法で焼き殺してくれ…放っとくといつ復活するか分からん」
魔法使い「復活?」
盗賊「そいつら回復魔法を使う奴も居るんだ…その辺に魔石も転がってるから集めてくれ」
魔法使い「分かった…」スタタ
女ハンター「敵はライフル嫌がって物陰に隠れてる…」
盗賊「だろうな?ちょい休憩したら俺が裏回って処理してやる」
闇商人「戦車はどうする?」
盗賊「アレは囮だ…あいつを奪われたく無いだろうから出て来た所をヤルのよ」
闇商人「なるほど…」
魔法使い「火炎魔法!」ボボボボ
盗賊「うはは一気に明るくなったな…どんどん燃やせぇ!!」
闇商人「これ…異常に気付いて城から人が降りて来るんじゃ無いか?」
盗賊「だな?そろそろイッコの出番だ…イッコ行けるか?」
賢者「はい…城の方で待機されて居る方に気持ち良く寝て頂きます」
魔法使い「死体を燃やすのに何か燃える物が欲しい…」
盗賊「トロッコに石炭が積んで有った…そいつを使え」
闇商人「おお!!荷物満載か…」
盗賊「銀鉱山からそのまんま持って来たんだろう…しかし戦車に連結して運ぶとはな…」
闇商人「つまりこの通路は向こうに繋がってると言う事だ」
盗賊「敵さんがこれからどう出て来るか見ものだな?面白くなって来た…」
女ハンター「アラン?ここで陣を張って持久戦のつもり?」
盗賊「いや…向こうも有る程度集まって対策してくる筈だ…そこでまたガトリングぶっぱだ」
女ハンター「敵の数も分からないのに…」
盗賊「これからだ…」
闇商人「ゾンビの大群が来たらどうする?」
盗賊「それは無え…ゾンビは段差を超えられないからここまで大量には来ない…異形の魔物が来るしか無い訳だ」ギラリ
闇商人「なるほど…ちゃんと考えて居たか…」
盗賊「ここで物資が手に入ったのは想定外だ…こいつを運び出したいが…さてどうする…」
賢者「あの…妖精さんにお願いしてミライ君とリッカさんを呼んで貰う事は出来ます」
盗賊「なぬ!?」
賢者「昼間の安全な内に食料だけでも運び出して貰うのはどうでしょう?」
盗賊「ふむ…そりゃ良い案だな」
闇商人「ちょっと荷を確認するよ」
盗賊「どっから矢が飛んで来るか分からんから気を付けろよ?」
『2時間後…』
スゥ…
盗賊「戻ったぞ…こっちの様子はどうだ?」
女ハンター「動きなし…物陰に隠れたまま…そっちは?」
盗賊「こっから側道入って城に抜ける通路は鉄柵に鍵を掛けて来た…城から降りて来るには解錠が必要だ」
闇商人「じゃぁ囲まれる事は無いね?」
盗賊「あとは一層下の排水口から回って来られる可能性はある」
闇商人「あぁぁ良くないね…」
女ハンター「手榴弾があるから罠を張れる…それが爆発するのを聞いて対処すれば間に合う」
盗賊「よしそれで行こう…ラスは一人で罠起きに行けるか?」
女ハンター「大丈夫…1時間頂戴」
盗賊「おし行って来い…カゲミは見張り頼むな?」
闇商人「分かった…」
盗賊「さて…敵さんはそろそろ集まってると思うんだが…動きが無いとなるとなぁ…」
闇商人「陸で戦闘してる異形の魔物に伝令が行くのはどれくらい掛かると思う?」
盗賊「行って戻って2時間ぐらいだろう…いやもうちょい掛かるか…」
闇商人「数が良く分からないんだけど…急に魔法とか使われたりしないだろうね?」
盗賊「魔法の射程はそんな長く無いと思ったが?」
魔法使い「あ…」
盗賊「お?何か有るか?」
魔法使い「魔法自体の射程はそんなに長く無いけれど物理現象は遠くに到達する…」
闇商人「風に乗せて炎を遠くまで運ぶ…みたいな?」
魔法使い「炎は直ぐに消えてしまうけれど毒霧とかなら…」
盗賊「俺等風下だな…」
闇商人「毒霧ねぇ…確かに有効そうだけどこの状況をひっくり返すだけの攻撃には思えない」
盗賊「確かに…」
闇商人「僕なら重装射撃砲とか長射程の武器を撃ちまくって占拠し返すんだけど…」
盗賊「それの移送に手間取ってるのかもな?」
闇商人「戦車の中に砲弾とか残って無いか見て見たかい?」
盗賊「いやまだだ…ちっと見て来るか?」
闇商人「そうだね…向こうはまだこちらに来る気配が無いから今のうちに整えよう」




