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51.考古学者の卵



『路地裏』



ズルズル ハァハァ…



青年「空腹で…力が入らない…木箱に入れるか…うぬぬぬ」ガタガタ ドターン


青年「あ痛たたた…くそう!!雪じゃお腹は膨れないか…」ドター


闇商人「居た!!あそこだ!!」タッタ


青年「んん?」ムクリ


槍戦士「おおおおおイクラ!!無事だったかぁ!!」ダダ


青年「え!!?ロ…ロイド!?」キョロ


槍戦士「おいおいどうした!?所持品は無いのか?」


青年「あぁぁ助かった…死ぬかと思ったよ」


槍戦士「おい!!荷物はどうした?」


青年「奪われてしまった…僕はここまで泳いで来たんだよ」


槍戦士「何ぃ!?」


青年「一緒に行動してた海賊達が他の海賊に襲われてしまってね…なんとか僕は海に逃れたんだ」


槍戦士「お前こんな所まで泳いで来るとか有り得んのだが…」


青年「襲われたのはそぐそこの近海さ…泳ぐのは陸で歩くよりもよっぽど進むんだ」


槍戦士「とにかく無事で良かった」ホッ


青年「ロイドの方は今どうして居るのかな?もうこの木箱で過ごすのは寒すぎて…」



スタスタ



闇商人「やあ…久しぶりだね」


青年「え…そ…その声はカゲミ…」


闇商人「君を探して居たんだ」


青年「まさか僕を捕まえに…」タジ


槍戦士「イクラ!!どうやらこいつは例の追っ手とは違うらしい」


青年「ふぅ…驚いた…ロイドと一緒に行動してるんだね?」


闇商人「そうなるかな…ロイド!!いつまでイクラシアを床に這い蹲らせてつもりなんだ?」


槍戦士「おぉ悪い悪い…背に乗れ…連れて行ってやる」グイ


青年「助かる…木箱に身を隠すのも苦労してた所さ」


槍戦士「怪我はして居無いか?」


青年「怪我は無いけど凍傷がね…足に感覚が無いからどの程度やられてるか自覚出来ない」


闇商人「急いで船に戻ろうか…湯に浸かれる」


青年「船?カゲミの船なのかな?」


闇商人「僕の物では無いけれど…僕達の…という言い方が良いかな」


青年「へぇ…やっぱりスゴイなカゲミは…」


闇商人「やっぱり?」チラリ


青年「何か気になったかな?カゲミはやっぱり僕の理想だと言いたかった」


闇商人「その話は止めよう…」


青年「カゲミに言っておかなきゃいけない事が有ってね…僕は結婚したよ」


闇商人「えええええ!?だ…誰と!?」


青年「ん?その反応は…どう捉えれば良いんだろう?まだカゲミと付き合える可能性が残って居たという事かな?」


闇商人「それは違う…僕は君に興味が無い」


青年「そうハッキリ言ってしまわれると又振られた気分になってしまうな」


槍戦士「んん?お前等もしかして恋人同士だったんか?」


闇商人「違う!!イクラシアが勝手にそう言ってるだけだ」


青年「昔の事だからもう良いか…僕はハーフオークのユミルと結婚をしたよ…子供も一人生まれた」


闇商人「そ…そうだったのか…いつの間にそういう関係になって居たのか…」ボーゼン


青年「カゲミの方は?」


闇商人「いや…僕は…あぁぁクソう!宛てが外れたな…」イラ


青年「宛て?何だろう?」ハテ?


闇商人「君にホムコさんの娘を紹介しようと思っていたのさ…」


青年「ええ!?それはもしかして完全なホムンクルスの…」


闇商人「ズバリ聞く!君は古代人から色々聞いて居るね?君がホムンクルスと人間のハーフだと言う事も…」


青年「さすがカゲミ…僕より先にそれを知って居たか…」


闇商人「昔から知って居た訳じゃ無いから誤解はしないで欲しい…ただ君はホムンクルスの繁殖に極めて重要な存在だ」


青年「うん…聞いたよ…そして僕は古代人から逃れて自分の足で問題の解決に動き始めた所さ」


闇商人「問題の解決?ロールバックの事かい?」


青年「そこまで知って居るのなら話が早いね…ロールバックを防ぐのは難しい…だからこの世界をバックアップさせるんだ」


闇商人「それとホムンクルスの繁殖とどういう因果関係がある?」


青年「ホムンクルス自体が記憶を遺伝子に閉じ込めて居るんだよ…それ自体がバックアップになり得ると信じてる」


闇商人「何だって?」


青年「古代人達はホムンクルスが石化しない術を探す一方で世界を保存させる手段も探して居るんだ」


闇商人「目的が2つ…だから色々分からなくなってたか…」


青年「僕の事を陰から支えて来て居たのは貴族のギンジャール家に入り込んだ古代人達だった」


闇商人「それは僕も知って居た」


青年「彼等はホムンクルスを繁殖させてこの世界を存続させようとしてる…記憶として遺伝子に残す為にね」


青年「その為に賢者の石が必要だったし…賢者の石の力を必要としない僕が重要な存在なのも理解出来た」


青年「その活動とは違う動きも有って代表するのが機動隊なんだ…彼らは集中端末のシステムを変更するのが狙い」


青年「それで世界に起こるロールバックを防ごうとしてる」


闇商人「ロールバックを防ぐ事とバックアップさせる事はそもそも狙いが違うのか…」


青年「僕はその両者とも手段が間違ってると思ってるんだ…人は輪廻転生を通じて次の世代に魂を送れる」


闇商人「いや待ってイクラシア…それはロールバックの事だ…輪廻転生した先が元に戻った世界…」


青年「カゲミがそこまで知って居る事に驚きだよ…やっぱり僕と一緒に歩むべきだったのに…」


闇商人「カイネさんに会ったよ…シン・リーンで塔の魔女として時の番人になったそうだ」


青年「カイネさんが生きて…」ボーゼン


闇商人「まず君はカイネさんに会うべきだ…そして意見を聞くが良い」


青年「やる事が増えてしまったな…」


闇商人「こんな寒い所で話すのも口がなかなか回らなくなる…とりあえず僕達の船に行こう」


青年「ありがとう…それから多分世界を保存してると思われる純粋なホムンクルスにも会っておきたい」


闇商人「うん…紹介してあげる…」---なんか嫌な予感が頭をよぎった---



---ホムンクルスが世界を保存する役を持って居る---


---まさかホムコを犠牲にしてオーブにされるなんて事は無いだろうな?---


---そんなバカな事があるか…ホムコはまだ20年も生きて来て居ない---


---20年に満たないような記憶を保存して何になる---





『夕方_簡易療養所』



ギャァァァ バッサ バッサ



闇商人「またガーゴイルが空を飛び始めたな…」


槍戦士「アレの退治は俺とマイに任せておけ」クンクン


闇商人「君はイクラシアと合流した後どうするつもりだった?」


槍戦士「俺はイクラの雇われだ…イクラが船に乗ってるなら俺もそれに従う」


闇商人「男に対しては律儀な様だ…」ジロリ


槍戦士「女をイカせるのも律儀だぞ?フハハハ」


闇商人「気色が悪い…ワザワザ僕の匂いを嗅ぎに来ないで欲しい」


槍戦士「はぁぁぁナニが回復すりゃぁなぁ…ちょいと見回ってくるわ」ヨタヨタ



スタタタ



賢者「カゲミさん!!食事を持って来ました」


闇商人「あぁありがとう…」


賢者「どうぞ…」スッ


闇商人「どうだい?イクラシアと話してみたかい?」


賢者「はい…素敵な方でしたが何故か高揚しませんでした…」


闇商人「今更だけど…君にイクラシアを紹介する前に彼には先約が有った様だ…期待させてしまってゴメン」


賢者「いえ…私の方こそカゲミさんに不要な気遣いをさせてしまって…」


闇商人「また良い人を君に探してあげるよ」


賢者「あの…もう良いです…」


闇商人「んん?そっか…ホムコさんの言い付けではイクラシアの子なら産んでも良いという事だったか…」


賢者「そうでは無くて…カゲミさんに他の方を紹介すると言われたく無いです」


闇商人「え?」


賢者「カゲミさんに言って欲しい言葉は…もっと違います」


闇商人「どういう事だろう?」


賢者「始めはカゲミさんを同じ女性だと思っていましたが…今では男性だと思っています」


闇商人「それは初めから言ってるよ」


賢者「ですから私はイクラシアさんでは無くカゲミさんを好きになってしまったのです」


闇商人「いや…それは君の為に良く無いと…」


賢者「私は素敵な男性と出会うのが夢でした…出来れば運命的に…でも思い返せば運命的に出会って居ました」


闇商人「それってもしかして…」


賢者「母からずっとマルコさんの話を聞かされて憧れて居ました…私にもそんな人が現れたのです」


闇商人「ぼ…僕?」


賢者「はい…もう他の男性を思い浮かべて妄想する事も無くなりました…いつもカゲミさんの事を考えています」


闇商人「君はそれで良いのか?」


賢者「もう止まりません…こんなに私を理解してくれる人が他に現れるとも思えません」


闇商人「ええと…困ったな…」


賢者「正直に私の気持ちを話しておきます…」



母から聞いて居るのはホムンクルスの血を引く人間との間なら子供を作っても良いと言われて居ました


でもそれは私だけじゃ無くて母も同じですし…島に残って居る2人の妹たちでも良いのです


私達は成人になった後は老化しないので母も私もまったく同じ条件です…子を産むのは母でも良いのです


そして私は考えました…私は老いないのにカゲミさんは直ぐに老いて行く…


だから今の時間も大切に過ごしたい…私が誰かの子を産むとしてもカゲミさんとの関係が終わった後でも良い


ですから出来るだけカゲミさんと一緒に過ごしたいと本当に思っています



闇商人「これは又変わった告白を聞いてしまったな…」タジ


賢者「イケない関係だとはもう思って居ません…カゲミさんはもう私の恋人です」


闇商人「すごく心が動いてしまう…僕はこれで良いのか?」


賢者「カゲミさん…お願いがあります」


闇商人「んん?何だい?」


賢者「カゲミさんとキスがしたいです」


闇商人「いやいやここじゃダメだ」


賢者「今まで一度もキスをして居ません…エッチな事が終わった後にキスがしたいのにカゲミさんはしてくれません」


闇商人「それは君の大事な部分を吸った口だと嫌がると思って…」


賢者「カゲミさんが口にした物は何でも受け入れられます…」


闇商人「でも今はダメだよ…他の人に見られる」


賢者「今では無くても良いです…でもキスを忘れないで欲しい…」


闇商人「分かった…君の気持は良く分かった…君は本当に直球勝負だな…」


賢者「はい…私の想いを伝えたらスッキリしました」


闇商人「そうかそれで君は僕が一人で行動するのを心配してソワソワしていたか…」


賢者「何か有ったらと思うと落ち着かなくなります…もうこの気持ちは収まりません」


闇商人「これから出来るだけ君を傍に置く様にするさ」


賢者「お願いします…」


闇商人「君は僕に誰かを紹介されたく無かったか…ゴメンよ気付けなくて」


賢者「今私が解決しました…カゲミさんに言って欲しい言葉は君を誰にも渡さないと言って欲しいです」


闇商人「よし…君は僕の一部だ…誰にも勝手に触らせない…これで良いかい?」


賢者「はぁぁぁそういう言葉を言って欲しかったです」ウットリ


闇商人「僕からしても初めてのちゃんとした恋人になる…なんか変な気分だよ」


賢者「変?」


闇商人「君に良い恋人を紹介しようとしてたのに自分がそうなってしまったと思ったらね」


賢者「カゲミさんは私とイクラシアさんがエッチな事をして居たら心がザワ付きませんか?」


闇商人「イクラシアか…ザワ付かないと言えば嘘になってしまう…正直に言うと…」


賢者「はい…正直に言って下さい」


闇商人「君が快楽で昇天している姿を誰にも見せたくないとは思っていたよ…只君の体は君の物だから…」


賢者「今は違います…私はカゲミさんの一部です…そしてカゲミさんも私の一部…」


闇商人「ありがとう…君にそう言って貰えて僕も少し自信が付いた」


賢者「あぁキスがしたい…そうすればもっと分かり合えると思うのに…」ムズムズ


闇商人「今は我慢だよ…2人きりになったら必ずしてあげる」


賢者「はい…楽しみに待って居ます」




『木組みの風呂』



トンテンカン トンテンカン


沸かした湯を足して行って!!


これ熱湯よ?


良いんだ…木材が冷えてるからどうせすぐに冷める




航海士「ミライ!囲いはこんなもんでええか?」


剣士「今日はそれで良いかな…天井は明日作ろう」


学者「ミライ君出来やしたかね?」スタ


剣士「もう少し!!今沢山湯を沸かしてる所なんだ」


学者「怪我したオークが湯に浸かれると回復力が倍なんすよね…」


剣士「船の樽湯より少し大きい程度だから何人も一緒には入れないよ?」


学者「大丈夫っす…湯に案内するのはオークだけなもんで」


剣士「ええ!?ドワーフも多いから入れてあげれば良いじゃない」


学者「ダメっすね…オークが優先っす…他の人に湯を占拠されてオークの回復遅くしちゃうんじゃ意味無いっす」


剣士「みんな寒いのに不憫だなぁ…」


学者「それより血が足りん方が深刻っすよ…湯の用意が済んだら船から酒も降ろしといて下せぇ」


剣士「うん姉さんにお願いしておく」


学者「あと出来たらで良いんすが双胴船動かして海藻を取って来て欲しいっす」


剣士「あぁ…姉さんも又食べたいと言ってたな…」


学者「オークの回復力がここで活かされやす…オークさえ元気なら戦線は大丈夫っす」


剣士「うん!!後で行って来る」


学者「頼みやすぜ?」




『夜_キャラック船』



シクシク シクシク


おかぁちゃ~ん うえ~ん



闇商人「ふぅ…僕達は何処で仮眠取れるだろう?」キョロ


女ハンター「あ…イッコとカゲミ…」


闇商人「少し仮眠を取ろうと思ってね…昨日から一睡もしていないから」


女ハンター「船底も荷室も孤児達で一杯…船尾楼なら少し横になれる」


闇商人「そうかい…2時間くらい仮眠を貰う」


女ハンター「今樽湯があるけど浸かって行ったら?」


闇商人「え!?湯が有るのか…」


女ハンター「イクラシアさんを温めるのに使った…私もさっき浸かった所」


闇商人「イクラシアは何処で休んでる?」


女ハンター「船尾楼…どうも凍傷の疑いが有るからゲスから安静にしていろって」


闇商人「みんな大変だな…」


女ハンター「ねぇ…アランはまだ帰って居ないの?」


闇商人「うん…でもアランは心配無いよ」


女ハンター「望遠鏡で何処を探しても見当たらないから…」


闇商人「物資調達をどうにかすると言って出て行ったきりだな…」


女ハンター「もしかして一人で旧市街の方へ?」


闇商人「さぁ?」


女ハンター「又血だらけになって帰って来るかも知れない…」


闇商人「行き先が分からないんじゃこっちも動けないよ」


女ハンター「もう!!何か言ってくれれば良いのに…」イラ


闇商人「アランが一人で行動する時は何か目的を持ってる時だよ…収穫を持って帰ってくるから我慢して待つんだ」


女ハンター「そうね…」


闇商人「じゃぁ湯に浸かって少し休む…イッコ行こうか」スタ


賢者「はい…」スタ




『樽湯』



モクモク…



闇商人「なんか僕達だけこんな事して不謹慎だね…」フキフキ


賢者「満足しました…よく眠れそうです」フキフキ


闇商人「キスをすると頭の中が空になる…こんな意思交換が出来ると思って居なかった」


賢者「はい…もっとして欲しいです」


闇商人「なんかどんどん君を好きになって行くな…」


賢者「私もです…」ウットリ


闇商人「時間がもっと欲しいね…早く仮眠取って休まないと…」


賢者「それも楽しみです…カゲミさんと一緒に寝て一緒に起きる…」


闇商人「あんまり余韻に浸っても居られないから早く行こう」


賢者「はい…暖かい内に寝ましょう」


闇商人「行こうか…」スタ




『明け方_簡易療養所』



ぐぅ…すぴーzzz



盗賊「おいゲス!起きろ!」ペシペシ


学者「ふんが!?」パチ キョロ


盗賊「こっちは安定してそうだな?」


学者「兄貴!今戻った所っすか?」


盗賊「まぁな?」


学者「何処行ってたんすか…ラスさんが心配して探し回って居やすよ」


盗賊「おぉそら後が怖ええな…てかそれよりだ…城の方まで行ってたんだがエライ事だな」


学者「どんなんなってるんすか?」


盗賊「そこら中で死体が串刺しになって晒されてる…敵は正気じゃ無えぞ」


学者「うはぁ…見たくないっすね」


盗賊「一応こっち側の海から地下通路使って城まではどうにか行ける…地下は例の異形の魔物が占拠してるが…」


学者「そんな中一人で行ったんすか…」


盗賊「俺にゃ裏技があるもんでな?…ほんで城を占拠してんのが他所の国の人間だ…どうやら八尺瓊勾玉ってのを探してる」


学者「八尺瓊勾玉…聞いた事無い物っすよ」


盗賊「俺は有る…それを持って居る奴がこの大陸の王になるそうだ…それがフィン・イッシュに有るらしい」


学者「それで侵略してきてるんすかね?」


盗賊「かもな?だがそいつが見つからんもんだから仲間割れが起き始めてる」


学者「じゃぁこっちが攻めるターンっすか…」


盗賊「仲間割れってか住民を虐殺して串刺しにするのは約束が違うとかそういうゴタゴタだ」


学者「虐殺の話はここで治療した誰かにも聞いたんすがやっぱ酷い感じっすかね?」


盗賊「そらもう凄惨極まってる…生皮剥がされた人間やらウェアウフルがそこら中で串刺しよ…地獄だ」


学者「兄貴…ちっと言いにくいんすがミルクちゃんが孤児の中で一人見つかったんす」


盗賊「何ぃ!!?」


学者「もしかしたら串刺しにされて晒されてるのってリコルさんとリカオンさんじゃ無いっすか?」


盗賊「あいつら国へ帰るって言ってただろ…」


学者「ミルクちゃん放心状態で一言もしゃべらんです…完全に籠っちゃっていやす」


盗賊「それが本当だとしたら俺は許さんぞ!!」ギラリ


学者「兄貴に警告しときやすがミルクちゃんに負担は掛けんで下せぇ…自分で話し始めるまで何も聞いちゃダメっス」


盗賊「おい!!」


学者「へい!!」


盗賊「ここの療養所はゲス一人で切り盛り出来るか?」


学者「ちっと待って下せぇ…今ギリギリの状態っす」


盗賊「ええいクソ!!俺とラスの2人であいつら皆殺しに出来るか?」イラ


学者「何するつもりなんすか…早まん無えで下せぇ」


盗賊「至近距離からガトリングぶっぱだ…俺にゃそれが出来る」ギラリ



スタスタ



闇商人「聞いてしまったぞアラン…」スタ


賢者「アランさん…」


盗賊「お前等にゃ関係無え…てか戦に女が関わってくんな」


闇商人「僕は男さ…」


盗賊「カゲミじゃ役不足だって言ってんだよ…足引っ張るから引っ込んでろ」


闇商人「今の話を聞いて腹わたが落ち着かないのは僕も同じさ」


学者「2人共落ち着いて下せぇ…とりあえず2~3日掛けて此処を安定させやせんか?」


盗賊「…」ギロリ


学者「兄貴は全然寝とらんのでまず寝て下せぇ…ほんで攻めるなら攻めるでちゃんと作戦立てやしょう」


闇商人「確かにゲスの言う通りだよ…人選も含めてね」


盗賊「ぐぬぬ…リコルとリカオンがやられてるかも知れ無えってのに…」グググ


闇商人「ミルクちゃんの様子を見る限りやられたと思って良さそうだ…きっと串刺しになって晒されて居るのもそうさ」


盗賊「ぐぁぁぁぁ!!」ドン!!


闇商人「奇行の酷いルーデウスを放って置くからこうなる…アラン!今どうにかする時に来た…ちゃんと考えよう」


盗賊「ふーーふーー!!こんなんで寝れるかってんだ!!」


賢者「睡眠の導入でしたらお任せください…妖精さんにお願いが出来ます」


闇商人「妖精…」


盗賊「おいイッコ!!妖精にお願いして眠らせられるのはどの位の距離だ?」


賢者「私が見た事のある場所でしたら余程何処でも可能です」


闇商人「んん?それはホム島の人を今から眠らせられると言う事かい?」


賢者「はい…妖精さんはその願いを聞いてくれると思います…私が観測する術は無いですが…」


盗賊「なるほど…こりゃ使えるな…」




『昼_キャラック船の船尾楼』



ぐががが…すぴーーー zzz



女ハンター「…そう…じゃぁアランは敵を殲滅するつもりなのね?」


闇商人「うん…厄介なのが多分地下を占拠しているであろう異形の魔物だ」


女ハンター「射程距離の利はこちらに合っても倒し切れないのが…」


闇商人「アランは例の消える技を使って至近距離からガトリングを使って一気に倒すつもりのようだよ」


女ハンター「敵が1体ならそれで良いけれど…」


闇商人「だから君の援護が重要になるのさ…アランがやられてしまわない様に牽制するんだ」


女ハンター「敵がどの位潜んで居るか分からないのに?」


闇商人「こっちも無策じゃない…今ミライ君に荷車を改造して貰ってる」


女ハンター「荷車なんか何の役にも立たない」


闇商人「鉄板で補強されて居るとしたら?」


女ハンター「もしかして手榴弾を使う想定で?」


闇商人「そう…それから敵に矢を撃たせる目的もある」


女ハンター「矢切れを誘う…」


闇商人「そういう事さ…こっちが撃つのは君が持つ実弾のライフルとバヨネッタ…弾を再利用される事も無い筈」


女ハンター「重装の荷車を使って進む訳ね…」


闇商人「地下を占拠してる異形の魔物さえ押さえてしまえばフィン・イッシュの正規兵も地上で力を出せる」


女ハンター「それなら話を合わせておかないと同士討ちが起きてしまう…」


闇商人「指揮官には伝達しておくさ…どうもバレンシュタイン卿が指揮官をやって居る様だ」


女ハンター「旧セントラルの王…そんな人に情報を共有して信用出来る?」


闇商人「う~ん…手の内は明かさない方が良いね…同士討ちだけ避ける何かの決まりを共有する感じかな」


女ハンター「そう…じゃぁ私も準備しておく…いつ動き出すか分からないでしょう?」


闇商人「慌てなくて良い…とりあえず2~3日は準備期間さ」


女ハンター「分かった…ちょっと話を変えるけれど…カゲミとイッコってどういう関係?」ジロ


闇商人「い…いや…どうして?」


女ハンター「イッコの行動が不自然…」


闇商人「ハハ…じゃぁ逆に君とアランの関係は?」


女ハンター「質問を質問で返す…聞かれて都合が悪い訳ね…」


闇商人「まぁ良いじゃ無いか…お互い秘密と言う事で」


女ハンター「…」ジロリ


闇商人「君も行動が不自然さ…」


女ハンター「なんだかカゲミは体が女だから不思議と色々話してしまう…」


闇商人「イッコにもそう言われた…それは多分僕が得して居る所だね」


女ハンター「まぁ良い…秘密にしていても仕方ないから教えてあげる…私はアランの女になった…」


闇商人「参ったな…そんな話されたら僕も話さなきゃいけないじゃ無いか」


女ハンター「別に?秘密なら秘密でも構わない…」


闇商人「まぁ君が疑ってる関係に違いないよ…」


女ハンター「スッキリした…フフ」


闇商人「あまり人に言える事でも無いから秘密にしておいて欲しい」


女ハンター「私は何も言わない…でも人前で隠して居るのはイッコがどう思うのか…」


闇商人「アランは堂々と言うか…俺の女に手を出すな…的なね?」


女ハンター「ワザワザ言う事でもないけれど不用意な言動がイッコを傷付ける事もあるのは知って置いた方が良い」


闇商人「忠告は聞いたよ…ありがとう」




『しばらく後…』



スタスタ…



闇商人「イクラシア…体の調子はどうだい?」


青年「ゲシュタルト君だったかな…彼が言うには足の指が凍傷で切り落とす事になるかも知れないって…」


闇商人「痛みは…当然無いよね…」


青年「無いよ…」


闇商人「見せて貰えるかな?」


青年「構わないよ」


闇商人「黒くなってる…黒死病で石化したみたいだ…」


青年「僕は黒死病にも掛かった事が無い…一度だって他の病気にも掛かった事ないのになぁ…」


闇商人「んん?足が動かない病気にはなってるじゃ無いか」


青年「これは病気では無いとカイネさんが言ってた…あぁ小脳がどうとか言ってたな…」


闇商人「そういえば今まで意識して居なかった…ホムンクルスの体を動かすには特殊なデバイスが必要らしい」


青年「そうなんだ?それを使えば動く様になるのかな?」


闇商人「ちょっと君に質問がある」


青年「何?」


闇商人「君の子は何も障害を持って居ないかい?」


青年「元気だよ…それがどうかした?」


闇商人「もしやと思ったんだけど…君は両親の事は覚えて居無いか?」


青年「残念ながら全く記憶に無い…気が付いたら孤児院だよ…どうして?」


闇商人「実はね…君を生んだと思われる貴族が書き残した日誌を僕が持ってる」


青年「え!!?読んでみたい」


闇商人「残念ながら君の事は殆ど書いて居ない…でも気になるのがその相手が誰だったのか…」


青年「へえ?もう両親が誰なのかと言うのは興味は無いけれど…ちょっと気になるね」


闇商人「君は病気に掛かった事が一度も無いと言っただろう?」


青年「うん…無いよ」


闇商人「オークは病気に耐性があるんだ…つまりハーフオークか…そのクオーターか…そういう可能性がある」


青年「その日誌で読み取れたりする?」


闇商人「あとで翻訳した物を読ませてあげる…そうだ君は古代文字が読めるかな?」


青年「勿論!僕は考古学者だ」


闇商人「そうか君にも翻訳をして貰った方が良いな…原文の解釈が違っている可能性もある」


青年「あぁ気になる…早く読ませて」


闇商人「今両方とも持って来る…」タッタッタ



---頭の中によぎったのはそもそもハーフオークがホムンクルスと適性がある可能性---


---イクラシアがハーフオークの血も引いているとしたら…いろいろ辻褄が合う---


---そして衰弱している筈なのに何故か元気で居る理由の説明にもなる---


---イッコの妹達にハーフオークを巡り合わせれば繁殖の件は解決するかもしれない---







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