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50.変化


『翌日_デッキ』



カーン カーン カーン



航海士「ラス!!どうや?又海賊か?」


女ハンター「多分…今度は軽キャラベルに大砲乗せてるのが多数…」


航海士「近付かん様に警告射撃撃てい!」


女ハンター「まだ駄目…向こうに観測主が居なくてこっちにまだ気付いて無い」



ドタドタ



盗賊「おう!どうしたどうしたぁ!?又海賊か?」


航海士「まだ分からんらしい…この海域に居る船は大概海賊船やと思うんやが…」


女ハンター「軽キャラベルが大砲乗せて船団組んでるみたい…もしかして避難してる船?」


盗賊「だとしたら何処に向かってんのよ?」


航海士「近くに漁港が有るんかも分からんなぁ」


盗賊「追って来る素振りが無いならスルーだな」


航海士「しゃぁないちっと回ってやり過ごすか…」


女ハンター「もし民間船なら情報が聞き出せるかもしれない」


盗賊「ダメだ…下手に近付くと俺らの船を海賊船だと思って大砲撃たれちまう」


女ハンター「確かにそうね…」


航海士「迂回するでぇ!!」ドタドタ




『半日後』



ザブ~ン ユラ~



女ハンター「又軽キャラベルに大砲を乗せた船の船団…今度は行き先が違いそう」


盗賊「ふむ…軽キャラベルっちゃぁまぁまぁの漁船だ…それ動かして補給に動いてんのか?」


女ハンター「甲板に出てるのはやっぱり武装した男達よ」


学者「なんか不気味っすねぇ…こっちの船分かって居やすよね?」


女ハンター「もう十分観測できる筈」


盗賊「襲って来んならこっちも手が出せんわな…気味が悪いがこのまま行くしかあるめえ」


女ハンター「ねぇ?フィン・イッシュから補給で船を出すならゴールドラッシュ島に行くのでは?」


盗賊「だろうな?てかなんで軽キャラベル使うのかも意味不明だ…あんま荷が乗らん」


航海士「そやなぁ…補給やったら最低でも軽キャラックやろう」


盗賊「近くの漁港はどんだけ有んのかゴッツは知らんのか?」


航海士「沢山あるでよー分からんなぁ…俺は密売で船動かしとっただけやで漁港には用が無かったんよ」



スタスタ



闇商人「慌ただしいね?」


盗賊「おうカゲミ!!慌ただしいいってか他の船をちょいちょい見る様になってな?」


闇商人「この感じは敵じゃ無さそうなんだね?」


盗賊「襲っては来んが…みんな大砲を乗せてる船なもんだから気を抜けんのだ」


闇商人「そうか…イッコが料理を作ってくれたんだけどねぇ…」


盗賊「お!!?」


闇商人「僕が見張りをしておくから交代で食べておいでよ」


盗賊「ラス!!お前は見張りしっぱなしだから先に行って食って来い!」


闇商人「いやいや僕が見張り台に上がっておくからアランも行って来て良いよ」


盗賊「ほんじゃちゃっちゃと食って来るわ」





『荷室』



ドタドタ



盗賊「おおイッコ!!いつも済まんな!!」


賢者「ワニ肉が腐ってしまわない内にと思ってふんだんに使いました」


盗賊「ヌハハこりゃちょっとした酒場になんな?」


賢者「ゴッツさんとガッツさんにも持って行って下さると助かります」


盗賊「おらゲス!!持って行ってやってくれぇ!」


学者「へいへい…」ドタドタ


女ハンター「イッコ?なんか最近少し変わった?」ジロジロ


賢者「そう見えますか?アザが消えて血行が良くなったのかと…」


女ハンター「あぁそう言えば血色が…」


賢者「はい…おっぱいも柔らかくなってきました」


盗賊「ぶっ!!胸まで石になってたってか!」


賢者「石ではありませんがアザのある部分が少し硬かったのです」


女ハンター「治療の効果が出ていると言う事ね」


賢者「嬉しいです」ニコニコ


盗賊「ミライとリッカも食事食ったんか?」


賢者「2人には別の料理をご用意しています」


盗賊「ここで一緒に食えば良いのにな?」ガブリ モグモグ


賢者「何か2人で作り物をしていて忙しいようですよ?」


女ハンター「今度は何を?」


賢者「私が使う防弾の盾とかリッカさん用の防具です」


盗賊「ほう?早速対策練ってるか…てかイッコに聞きたかったんだが…」


賢者「はい?」


盗賊「もしかしてお前スナイパーの狙撃を見えて無いか?」


賢者「弾は見えませんが撃つ瞬間と射線がなんとなく分かります」


盗賊「なぬ!?1キロ近く向こうを裸眼で見える?」


賢者「私は目が良いのです…多分エルフと同じ様に見えてると思います」


女ハンター「え!?それって裸眼で狙撃できると言ってるのと同じ…」


賢者「その話は一度カゲミさんとしましたが私では銃の反動で怪我をする可能性が高いと…」


女ハンター「あぁ…イッコは体重が…」


賢者「そうです…皆さんよりも随分軽いので同じ様に働ける為には筋力で補うしか無いようです」


盗賊「まぁ狙撃は良いとして銃の弾を見切れるのはデカイ」


賢者「見えるのはそこに居る事が分かって居たらの話なので気付かない場所からの狙撃は避けられません」


女ハンター「近距離から撃たれるのは分かる?」


賢者「それは大体分かります」


女ハンター「だからカゲミと弾を避ける練習を…」


賢者「そうです…でもバヨネッタはランダムで狙いが逸れるそうで全部避けるのは難しいそうです」


盗賊「ははーん…なんで機動隊がバヨネッタを愛用するのか…そういう特性を分かって使ってるんか…」


賢者「恐らく機械達も私と同じ様に目が良いのですね」


盗賊「なるほどな…」





『軽キャラベル船』



ユラユラ ギシ



兵隊「お~い!!俺達は敵じゃ無い!!クロスボウを降ろしてくれぇ!!」


航海士「アラン!あんな事言っとるがどうするんや?」


盗賊「あぁ話を聞くだけだ…こっちに乗せる気は無え」


兵隊「お前等何処に行く気だぁ!!?」


盗賊「フィン・イッシュに向かう所なんだが…ちっと話が聞けないかと思ってよ」


兵隊「この船は商船だな?何処から来た?」


盗賊「シン・リーンからだ」


兵隊「おおお!!今フィン・イッシュは魔物に攻められて居て大変な事になって居る」


盗賊「んあ?そらフィン・イッシュ入り出来んと言ってるんか?」


兵隊「逆だぁ!!物資が足りて居無いから出来れば急いで向かって欲しい」


盗賊「フィン・イッシュで物資が足りんとかどういう事よ?」


兵隊「旧市街地と城がほぼ占拠された!!生きている者は皆新市街地に集まり交戦して居るんだ!!」


航海士「なんやとう!!?それやと半分以上やられとるやないか!!」


兵隊「そうだ!!エルフとドラゴンがこちらに味方してくれて何とか戦えてる…だが物資が足りん」


盗賊「この船に乗ってる物資は食いもんが殆どなんだがよう…」


兵隊「それでも良い!!農地の殆どが占拠されて食料も足りん!!」


盗賊「ふむ…てことは今まで見た船は皆補給であちこち行ってる訳か…」


兵隊「この船はシン・リーンから来たと言ったな?」


盗賊「おう!!」


兵隊「魔術師は乗って居ないのか?」


盗賊「残念だがシン・リーンの魔術師とは縁が無え…だが魔法を使える奴なら一人乗ってる」


兵隊「おおおおおお!!是非急いでフィン・イッシュに向かってくれ!!怪我人が大勢居るんだ!!」


盗賊「かなりヤバイ感じか…」


兵隊「頼む!!今はフィン・イッシュの存続に関わる危機的な状況だ!!どうか協力してくれ!!」


盗賊「分かった!!ゴッツ!!帆走させてくれ…急ぐぞ!」


航海士「リッカとガッツ!!帆を開けや!!」ドドドド





『2日後_フィン・イッシュ沖』



ドーン! ドカーン!



盗賊「こりゃぁ俺らが予測した通りになってんな…」


闇商人「ヤン・ゴン沖に居た2隻の軍船がこっちに戻ってる…アレが戦ってるんだね」


盗賊「船から重装射撃砲降ろして陸戦になってる…戦地は多分旧市街地に向かうまでの区間だろうな」


女ハンター「あの軍船2隻は指揮所になって居そう…」


盗賊「船が沢山動いてんな…海を背にして補給はなんとかなるか…ふむ」


航海士「このまま桟橋に行けるんかいな…」



シュタタ スタ!!



剣士「アランさん!!船を停船させるのは造船所の近くが良い」


盗賊「ふむ…それでも構わんが軍船から随分離れちまうが?」


剣士「あの造船所にはミスリルの鐘が有るのさ…だからガーゴイルとかに襲われ難い」


盗賊「おおう…そういやフィン・イッシュは夜になるとガーゴイルが出るんだったな…」


女ハンター「私もミライ君の意見に賛成…少し落ち着いて状況を見たい…」


盗賊「ほんじゃゴッツ!!造船所の方に頼む」


航海士「分かった…」


盗賊「こりゃ夜はあんま安全に出歩けんかもなぁ…」


剣士「運よく魔除け効果のあるガーゴイルの角を沢山手に入れたじゃない…上手く使おうよ」


盗賊「だな?」




『桟橋』



ガコン ギシギシ


碇降ろしてええぞぉぉぉ!!


ガラガラガラ 



盗賊「荷下ろしは状況分かるまで待て…ちっと俺は船降りてその辺見回る」


闇商人「僕達はどうする?」


盗賊「造船所の具合を見に行くぐらいは良いだろう…ラスは船から見張っててくれ」


女ハンター「分かったわ」


盗賊「場合によっては援護射撃が必要になるかも知れんからそのつもりで頼む」


航海士「俺等は船を守っとればええな?」


盗賊「とりあえずな?てかカゲミ!造船所見に行くのは良いが一人で行動するのは止せ」


闇商人「そうだねぇ…マイとロイドを連れて行こうか」


盗賊「それなら良いだろう…後の奴らは待機だ…俺が戻るまで待て」


盗賊「ほんじゃ行って来る!」ダダ





『1時間後…』



スゥ…



学者「どわっ!!兄貴ぃ…びっくりするじゃないすか」


盗賊「悪い悪い…カゲミは戻ってるか?」


学者「一回戻って来たんすが又造船所の方に行きやした…沢山怪我人が居てマイさんの魔法が必要みたいっす」


盗賊「造船所もそうなってるか…」


学者「町の方はどうなんすか?」


盗賊「人で溢れかえっててな…もうゴチャゴチャだ…ほんでやっぱ怪我人が多い」


学者「これ俺っちの出番っすね…」


盗賊「だが場所がな…お前が走り回るのも効率悪い」


剣士「ねぇアランさん!!臨時の療養所を作ろうか?」


盗賊「何処によ?」


剣士「今木材と布に余裕があるから桟橋降りて直ぐの所にテントを作るんだよ」


盗賊「ほう?どのくらい掛かる?」


剣士「僕とガッツさんが居れば日が暮れる前に簡単なテントは出来る…木材と布の運搬を姉さんとゴッツさんにお願いする」


盗賊「おしやって見ろ…そこで必要になりそうな物資も降ろしとくか」


学者「とりあえず水っすね…あとちょっとした暖が有れば良いっす」


盗賊「手分けしてやるぞ!!」ダダ





『簡易療養所』



トンテンカン ギコギコ


布は雨除けになるだけで良いから古いの使って!!


分かってるでがんす!!



闇商人「ゲス!!手術が必要な人を数人連れて来た…対応出来るかい?」


学者「もしかして…黒曜石の矢尻っすかね?」


闇商人「正解!!マイの回復魔法じゃしっかり治せない」


学者「あたたた…こっちでも同じ戦法で戦力削がれてるっすか」


闇商人「その通りさ…この感じだと直にゾンビの大群が来るぞ?」


学者「兄貴ぃ!!」


盗賊「んあ!?何よ?」


学者「毒牙のナイフ貸して下せぇ!!それが有れば痛み無しで黒曜石取り出せやす」


盗賊「おおそんな使い方が有るか…それが出来るなら俺の体の中に有る弾丸もだな…」


学者「痛みが無いなら後で良いっすよ」


盗賊「傷むに決まってんだろ」


学者「余裕出来たらやりやすよ…てかカゲミさん!!その人達連れて来て下せぇ」


闇商人「うん!!頼むね」タッタッタ


学者「兄貴!!俺っちのベッド横に置いてる錬金術の道具全部持って来て貰って良いっすか?」


盗賊「此処でポーション作るんだな?」


学者「そーっす…」


盗賊「まぁ待ってろ!!運んで来るわ」ダダ




『キャラック船』



ヨッコラ ドタドタ



女ハンター「アラン!!」


盗賊「んあ?」


女ハンター「暗くなって来てガーゴイルが出て来始めた…療養所の方に魔除けが有った方が良い」


盗賊「おおガーゴイルの角な?」


女ハンター「急いで」


盗賊「わーったわーった…お前も気を付けろよ?」


女ハンター「私は魔除けも獣除けも持ってる…ここで見張りをしていても安全」


盗賊「そうか…無理すんなよ?」


女ハンター「大丈夫…何か有る様ならミスリルの鐘を鳴らして呼ぶから」





『簡易療養所』



はぁぁ助かったぁぁぁ…


ポーションは口を湿らせるだけで良いっすからね?一気飲まんで下せぇよ?



賢者「食事をお持ちしました…小麦を使った簡単なスープですが…どうぞ」


男「それでも腹に何か入れば落ち着く…」ゴク


闇商人「避難してる人は皆飢えてるね?」キョロ


男「配給が無くなったからな…みんなロクな物食えて居ないんだ」


闇商人「食料を全部奪われてしまったか…」


男「国が何処に食料を備蓄していたのか誰も知らない…農地もみんな奪われた」


闇商人「こんな風に攻められる想定は無かったんだね…なんて弱い国なんだ」


学者「異形の魔物が来て一気にやられた感じっすか?」


男「始めは大した事無いと思って居たんだが…食料の配給がパッタリ無くなって総崩れしたんだ」


学者「あららら…ほんじゃ備蓄してた食料を始めに押さえられちゃったんすね」


男「どうなってるか俺達一般人にはさっぱりだ…」


闇商人「食料無しじゃ3日もすればもう戦う気力も無いだろうさ…食料を何とかすれば盛り返せるかも知れないのになぁ」


男「残念だけどもう無理だ…旧市街に居た人間は皆殺しにされた」


闇商人「な…なんだって!!?」


男「何千人殺されたのか分からん…女も子供もみんなやられた…虐殺されたんだ」ワナワナ


学者「カゲミさん…これえらいこってすね…」アセ


闇商人「敵は異形の魔物だけ…じゃないね?」


男「隣の国からも攻められて居る」


闇商人「没落貴族の領地からじゃ無いか…確か髭男爵のペニス卿一族だ…弟のアナール卿も居る筈…」


学者「やっぱ計画されて攻められて居やすね」


闇商人「間違い無いよ…裏で糸を引いて居るのがルーデウスさ…これはマズいぞ…」



ドタドタ



盗賊「カゲミ!!ガーゴイルの角を持って来たからそこら辺に吊るしてくれぇ!!」ドサー ガラガラ


闇商人「魔除けで使う?」


盗賊「そうだ…ここがガーゴイルに襲われる様じゃゴタゴタしちまう」


闇商人「分かったよ」


盗賊「あと直に雪が降って来る様だから暖もしっかり取れる様にしとけ」


闇商人「木材が欲しいな…」


盗賊「とりあえず造船所からかっぱらって来い」


闇商人「ダメだよ…向こうは向こうで木材が足りて居無いから」


盗賊「ちぃぃぃ…何もかにも足りんのか…」


学者「補給に出て行った漁船が戻って来るまでちっと辛抱っすね」


盗賊「ええいクソ!!ミライとリッカにシカ狩りをやらせろ…俺は荷車かっぱらって木を切って来る」


学者「シカっすか?」


盗賊「暖が無いなら毛皮が必要になる…あと食料も俺らが持って来た分じゃ10日持つかどうかだ」


闇商人「そうだね…少し安定作らないと何も出来ない」


盗賊「ここの守備はお前等で何とかしろ…マイとロイドが居りゃ余程行ける」


闇商人「分かった…そう伝えて置く」


盗賊「ほんじゃ行って来るわ!」ダダ




『夜』



ビビビ ガガーン!



魔法使い「ロイド行って!!」


槍戦士「任せろ!!」ダダ ブスリ


ガーゴイル「グェェェェ…」ドタリ


航海士「角の採取と死体の運搬は俺らにまかせとき!!」ドスドス


魔法使い「ガーゴイルの死体は後で燃料代わりにするから集めてくれると助かる」


航海士「分かっとるわい!!」


槍戦士「ここのガーゴイルは次から次へと何処から湧いて来やがる?」キョロ


魔法使い「山手側から来てると思う…でも燃やせる燃料だと思えば今は少し助かる…」


槍戦士「フハハ木材の代わりか」


航海士「ガーゴイルはどっかから持って来た武器も持っとるで以外に収獲あるでぇ?」


槍戦士「武器が有れば療養所で回復した奴らに使わせれば少しづつ安定に持って行けるかもな?」


航海士「そうや!!ガンガン狩るんや!!」



ターン!



魔法使い「ハッ!!ラスさんの狙撃…またガーゴイルが落ちて来そう」


槍戦士「おし来た!!地上に落ちる前に槍でぶっ刺してやる」ダダ


航海士「血を被らん様にするんやで?病気に掛かってまうでな!!」




『翌朝_焚火』



メラメラ パチ



盗賊「うあぁぁ寒ぶかった…」スリスリ


学者「一気に木材集めやしたね?」


盗賊「山側に製材所があって無人だったからかっぱらって来たんだ」


学者「これどうやって運んだんすか?」


盗賊「荷車に積んで何往復もしたのよ…俺の苦労が分かるか?」


学者「こんだけ木材あったらしばらく良さそうっすね」


盗賊「そう願いたい…ミライとリッカは上手い事シカを狩れたんか?」


学者「シーサーが狩れたみたいっすね…シカも居やすよ?」


盗賊「おお!!近接武器でシーサー狩ったんか…すげぇな」


学者「あいやいや…ラスさんの援護ありっすよ」


盗賊「なるほどそういう事か…見当たらんのは船に運んで行ったんだな?」キョロ


学者「そーっす!!調理は全部イッコさんが船でやるもんで」


盗賊「肉に有りつけるか…ちっと腹減ったわ」



タッタッタ



闇商人「アラン!!戻って来たね」スタ


盗賊「よう!!見ての通り木材はバッチリだ」


闇商人「それは良かった…ところで僕はイクラシアを探したいんだけどさ」


盗賊「昼間の内はその辺うろついても良さそうだぞ?兵隊の邪魔にならん様にな?」


闇商人「アランは足の悪い青年を見て居無いよね?」


盗賊「分からん…建屋の中に人がぎゅぅぎゅぅ詰めなもんだからよ」


闇商人「ちょっと僕探して来るよ」


盗賊「一人で大丈夫か?」


闇商人「まぁ人手不足だから仕方ないさ…気を付けるよ」


盗賊「俺もあんま休んでられなくて物資調達の手段を探して来るつもりなんだが…」


闇商人「ここは分かれて行動しよう…僕はムリする気も無いから一人で行けるさ」


盗賊「そうか…ゲスは此処で一人でやれるな?」


学者「イッコさんが色々手伝ってくれるんで大丈夫っす」


盗賊「とりあえず回復が済んだ奴はどんどん出て行って貰って働かせるだ」


学者「そーっすね…なんかここで治療してる噂聞きつけて一気に人が来る予感がしやす」


盗賊「俺等の船に行かせるような事にはならん様に頼む」


学者「分かって居やすよ…ガッツさんもゴッツさんもそれ警戒して船の守備重視で動いてるっす」


盗賊「なら安心だ…ほんじゃ軽く肉食ったら行くわ」





『簡易療養所』



ガヤガヤ


痛てぇぇぇ…早くどうにかしてくれぇぇ


すみません…子供が怪我をしていて



兵隊「居ました…あそこです」ユビサシ


大柄な兵隊「おお!!魔法も併用しての療養所か…これは助かる…」ヨロ


学者「ちょちょちょ!!順番なんで割り込まんで下せぇ!!」


大柄な兵隊「す…済まない…だが急務で怪我人の処置を願いに来たのだ…こちらへ兵隊を回しても問題無いか?」フラフラ


学者「なんかアンタもフラフラじゃないっすか…」


大柄な兵隊「自己紹介が遅れた…私はバレンシュタイと言う…フィン・イッシュの正規軍を率いている」


賢者「ゲスさん…この方は…」


大柄な兵隊「んん?貴殿は何処かで見た様な…」ハテ?


学者「誰っすかね?兵隊でも偉い人でも治療は順番っす!!」


大柄な兵隊「分かって居る…適正な治療が施して貰えるなら無理は言わない」


学者「分かりやしたよ…只寝床は余裕が無いんで処置したら帰って貰う感じで良いっすよね?」


大柄な兵隊「構わない…前線で傷付いた兵を少しでも回復出来れば盛り返して行けそうなのだ…協力を頼む」


学者「マイさん!今から傷付いた兵隊が来るらしいんでちっと休めんのですが対応お願いしやす」


魔法使い「分かった…手術が必要な人だけゲスに回す」


学者「それが助かりやす…はんで俺っち忙しいんで邪魔せんで下せえ」


大柄な兵隊「それは済まなかった…私達は出直す」フラフラ


魔法使い「回復魔法!」ボワー


大柄な兵隊「んん?おぉ…力がみなぎって…」


魔法使い「あの…魔法の触媒に限りが有るので出来れば触媒を持参して貰えると…」


大柄な兵隊「何が必要なのだ?」


魔法使い「鉱物のミネラルと綺麗な水です」


大柄な兵隊「分かった…兵に用意させる」


魔法使い「よろしくお願いします」




『昼』



スタスタ



学者「あ!!カゲミさん!!」


闇商人「忙しそうだね…」キョロ


学者「正規の兵隊まで来るような事になったもんすから…」


闇商人「アランは戻って居ないかい?」


学者「見てないっすねぇ…どうかしたんすか?」


闇商人「実はこの戦いで孤児が沢山出て居てね…一旦僕達の船で身請けしようと思ってね」


学者「勝手にやって良いんじゃ無いっすか?兄貴は絶対孤児を放っとく様な事はしないっす」


闇商人「それを聞いて安心した」


学者「船にはミファさんが乗ってるんで面倒見役が出来そうっす」


闇商人「そうだね…それともう一つ…」


学者「何でしょう?」


闇商人「孤児の中にミルクちゃんを見つけた」


学者「ええええ!?どういう事っすか」


闇商人「一言もしゃべらない…一点を見つめたまま何も口を利かないのさ」


学者「そら心配っすね…ストレス障害抱えちまってるかも知れんすよ」


闇商人「やっぱりそう思うか…療養が必要に思うから船で休ませるよ」


学者「こっちの手が空いたら後で見に行きやすね?」


闇商人「そうして貰えると助かる」



スタタタ 



賢者「カゲミさん…心配して居ました」


闇商人「あぁイッコ…ごめんイクラシアはまだ見つかって居ないんだ」


賢者「あの…そんなに慌てなくても良いです」


闇商人「そうかい?」


賢者「それよりもカゲミさんの姿が見えないと心配になってしまって…」


闇商人「僕は大丈夫さ」


賢者「又出て行かれるのですか?」


闇商人「孤児を迎えに行くつもりさ」


賢者「なんか私カゲミさんの姿が見えないと心配で心配で…」ソワソワ


闇商人「直ぐに帰って来るよ」


賢者「分かりました…食事を作って待ってます」


闇商人「うん…」---なんか様子が変だな---





『キャラック船』



うえ~ん!! シクシク


おっ父ぉ!!おっ母ぁ!!ぶわぁ~~ん!!



女ハンター「こ…この子たちは?」ドタドタ


闇商人「集められた孤児達だよ…僕が一旦身請けする事にしたんだ」


女ハンター「こんなに沢山…」


闇商人「40人…沢山居るけど船には空いてるスペースが沢山あるから十分乗れる」


女ハンター「ミルクちゃんも居るじゃない!!どういう事?」


闇商人「口を利か無くなってる…放心状態のままだよ」


女ハンター「まさかリコルさんとリカオンさんも!?」


闇商人「事情は聞き出せてない…放って置けないからこうして連れて来たんだ」


女ハンター「とりあえずみんな船に乗せて…荷室の方は暖かいから」


闇商人「ほら皆!!この船は安全で食べ物もある…順番に乗って」



トボトボ ゾロゾロ



少女「私…面倒見る…任せて」スタ


闇商人「うん…お願い…ミファにまで頼らないといけない状況なのさ」


少女「フーガ!!新しい家族出来たよ!!」


少年「俺…手伝う…みんなこっち来い」


女ハンター「カゲミ?孤児達は私達に任せて良い」


闇商人「助かるよ…僕はまたイクラシアを探しに行かなきゃいけないから」


女ハンター「あ!!這って居る男の人を望遠鏡で見た」


闇商人「え!!?何処?」


女ハンター「多分まだ見える筈…こっちに来て」


闇商人「這ってる?雪が降り始めてるのにそんな凍えてしまう」ダダ


女ハンター「居た…この角度…空の木箱に身を隠そうとしてる」


闇商人「見せて…」


女ハンター「場所分かる?」


闇商人「新市街の路地裏…どうしてそんな場所で…」


女ハンター「建屋に入れて貰えないのでは?」


闇商人「木箱の中で過ごして居ると言うのか…しかも這って移動して」


女ハンター「もう身に付けている物もボロボロの服だけみたい…杖も無にも持って居なさそう」


闇商人「ちょっと急いで迎えに行って来る」ダダ




『簡易療養所の外』



メラメラ パチ



槍戦士「ガーゴイルは良く燃えるのは良いが…煙を吸う気にはなれんな…」スリスリ


闇商人「ロイド!!」タッタッタ


槍戦士「んん?俺はサボってる訳じゃ無えぞ?」


闇商人「イクラシアを見つけた…一緒に来るんだ」


槍戦士「おおお!!そうか…これでやっとマイに借金が返せるな」


闇商人「そんな状況じゃ無い!」


槍戦士「イクラシアが金を持ってるんだ…これで晴れて俺も自由の身だフハハハ」


闇商人「君が無能なせいでどうやらイクラシアは身ぐるみ剝がされて居る」


槍戦士「な…なんだとう!?」


闇商人「君無しでイクラシアが海賊の中に居られるとでも思っていたのか!?海に捨てられなかっただけ幸運だ!」


槍戦士「そりゃマズいな…あいつの計画がすべて狂っちまう」


闇商人「君が女と遊んでいる間に置いてきぼりを食らった!!計画を狂わせてるのは君だ!!」


槍戦士「ぐはっ…じゃぁ俺も言わせて貰う…俺のナニが不能になったのはお前がヤン・ゴン遺跡に行けと…」



チャキリ



闇商人「そうかい…不能になったナニはもう必要無いだろう…いっその事銃弾と交換してやる」


槍戦士「マテマテマテ…俺のナニの復活はまだマイが頑張ってくれてる…そこだけは撃つの止めてくれ」


闇商人「…」ジロリ


槍戦士「とりあえずだな?イクラを迎えに行くんだろう?」


闇商人「君が背負うんだ…僕一人じゃ運べないから…」


槍戦士「案内しろ…」


闇商人「路地裏の方で木箱に身を隠して居る…たった一人で這ってだぞ!!」ギロ


槍戦士「だからイクラはそういう男だ…身ぐるみ剥がれてもどうにか生きる強さを持ってる」


闇商人「早く迎えに行くぞ!!」タッタ


槍戦士「おぉぉこんなチビ助に俺のナニが縮み上がっちまって…チビ助?あぁぁ女だったか…」


闇商人「うるさい!黙って付いて来い!」


槍戦士「ナニの調子が悪いとどうも勘が鈍るな…」タッタ






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