表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/102

49.啓示と滅びの兆しと


『キャラック船』



ザブン ギシギシ



盗賊「ふぁ~あ!!」ノビー


学者「夜に誰か来るかも知れんと思って居やしたが…なーんも起きやせんねぇ」


盗賊「起きてて損したわ…寝るぞ俺ぁ!!」ドター


航海士「篝火焚いて見張りが居る船にそうそう乗り込まんでぇ?」


学者「殺される覚悟無いとやっぱ来ないっすか」



ルルラ~♪ ルラ~♪



盗賊「んあ?誰か歌ってんのか?」


航海士「アカンアカン!!人魚の歌や!!眠ってまうで!?」


学者「ええ!?」キョロ


航海士「急いで船尾楼の中に入って鍵掛けるんや!!」ドタドタ


盗賊「おいおい…」フラ


航海士「半分眠っとるやないかぁ!!ゲス!!アランを引っ張って船尾楼に放りこめい!!」


学者「えらいこって!えらいこって!!」グイ


盗賊「ふが~」フラフラ



ドタドタ


ガチャリ バタン!!



盗賊「んがががが…すぴーーー」zzz


航海士「もう外に誰も居らんな?」フラフラ


学者「多分大丈夫でひぃ…」フラフラ





『夢』



シーン…



盗賊「うーーなんだここは…なんで俺は海の上に居るんだ?」


声「ファルクリード…お前とマルコを見かけてこうして話をしに来た…久しいな?」


盗賊「んあ?誰だ?」キョロ


声「声を聞いて分からんか…」


盗賊「悪いが俺はファルクリードじゃ無え…そいつは俺の親父だ…ほんでマルコも違う」


声「クックック…そうだったか…ではあれはマルコの影武者か…」


盗賊「てかなんで俺らの事情を知ってんだよ…お前一体誰だ?」


声「私が誰かなぞもうどうでも良い事…そうだ…私は海だ…海の記憶とでも解釈するが良い」


盗賊「ほーん…ほんで?何か用か?」


声「啓示を与えに来たと言えば信じるか?」


盗賊「良く分からんが…てかなんで俺は海の上に立ってんのよ?」


声「お前の夢だからだろう…私の知った事ではない」


盗賊「ほーーーこりゃ夢か…あれな?夢の中で受ける啓示って奴だな?」


声「まぁそう理解するのも良い」


盗賊「…で?何の啓示よ」


声「蒼眼の者…ミライを連れているだろう?」


盗賊「それがどうした?」


声「世界を存続させる為にミライを守れ…ミライを失った瞬間世界はロールバックする」


盗賊「ロールバック…またその言葉か…ロールバックって何だ?」


声「世界を構成する記憶の喪失だ…世界は既に記憶の限界を超えている…故にシステムからロールバックされて居るのだ」


盗賊「意味が分からん」


声「徐々に記憶が初期化されて初めに戻る…それは誰にも認知されずに進むのだ」


盗賊「世界が無くなるって事か?」


声「未来が無い…どの程度ロールバックされるのかは分からんがな?」


盗賊「じゃぁ俺等生きてる意味無えな?」


声「それに意味を与えて居るのが蒼眼を持つミライ…ミライがこの世界を現実に引き留めて居る」


盗賊「ほーん…」


声「既に地上に開いた大穴から大量の記憶が次元の外へ流れ出ている…それは記憶の限界を超えた故の事だ」


盗賊「ほんじゃ防ぎ様が無いじゃ無えか」


声「ここからが本題だ…世界の倫理を構成するシステムを破壊するか停止させればロールバックは防げる」


盗賊「なるほど…それを俺にヤレってんだな?」


声「話が早いな…だがシステムを破壊する事で様々な倫理も崩壊する」


盗賊「例えば何だ?」


声「魔法などの摩訶不思議な現象は一切無くなり物質のみで構成された世界に置き換わる」


盗賊「ほう?」


声「その影響はどの程度波及するかは想像も出来ない…だが世界を存続させる唯一の方法であろう」


盗賊「おっし分かった!ほんでそのシステムってのは何処にあんのよ」


声「それを探すのがお前の仕事だ…ファルクリードの血を引くお前なら出来るだろう」


盗賊「マジかよ…なんも手掛かり無いじゃ無えか」


声「ホムコには会ったか?」


盗賊「おお!!ホムコの娘預かってんぞ」


声「なら話が早い…システムの在処はホムコに聞け」


盗賊「具体的な手掛かりで助かるわ」


声「話は以上だ」


盗賊「てかよう?なんで夢の中で話しかけてんだ?」


声「私は海の記憶だと言っただろう…友人の人魚に頼んで夢を見させて語る位でしかお前達に関われない」


盗賊「なるほど…」


声「私の記憶もいつか地上に開いた大穴に飲み込まれて無となる…その前に啓示を与える事が出来てもう悔いは無い」


盗賊「その前にシステムぶっ壊しや良いんだろ?」


声「摩訶不思議な現象は一切無くなる…そういう倫理がすべて無くなると言う事だ」


盗賊「…てことは消えて無くなるのか?」


声「さぁな?海の記憶としていつまでも漂って居るのかも知れん」


盗賊「そらそれで苦痛そうだ」


声「いや…むしろ快適だ…海は広い…何も出来んが神になった気分だ」


盗賊「ほーーー俺は今神様と話してんのか」


声「見守るぐらいしか出来んがな?」


盗賊「ふーむ…分かって来たぞぉ…お前行方不明になった勇者の一人だろ?」


声「どうでも良い事だ」


盗賊「俺のお袋がまだ生きてんぞ?」


声「カイネか…」


盗賊「次ぎ会ったら無事を伝えとくわ」


声「私は無事なのか…私自身どうなのか分からん」


盗賊「マルコは精霊樹の森になったらしい」


声「良い最後だ…」


盗賊「待てよ?精霊樹の森に行ったらマルコと話せるのかも知れんな?」


声「そう思うなら行ってみるが良い」


盗賊「なんかやる事増えちまって何から手を付けるか…」


声「兎に角ミライだけは守れ…分かったな?」


盗賊「おう!!」




『夕方_船尾楼』



ガチャリ バタン!!



剣士「アランさん!!起きて起きて!!」ユサユサ


盗賊「ふんが!?」パチ キョロ


剣士「夢を見たんだ!!夢の中で海の声を聞いた!!」


盗賊「んぁぁぁぁ…なんか俺も夢見たな…」ポリポリ


剣士「姉さんも夢で話しかけられたみたい」


盗賊「マテマテ…ちっと頭が混乱してる…てか誰も連れ去られて居ないか?」


剣士「多分大丈夫…僕もさっき起きたばっかりだけど皆の匂いは分かる」


盗賊「そら良かった…最後まで寝てたのは俺か?」キョロ


剣士「ラスさんは見張り台…ゴッツさんとゲスさんはデッキに上がってる」


盗賊「そうか…寝てる間何も起きて無きゃそれで良い」


剣士「ねぇ…アランさんも同じ夢を見てない?」


盗賊「おお見たぞ…世界のどっかにあるシステムを破壊しろだとよ」


剣士「おお!やっぱり同じ夢か!!」


盗賊「お前も見たんか」


剣士「やっぱりこの世界は僕が作らなきゃいけない事を確信したよ」


盗賊「らしいな?…てかその話はちっと待ってくれ…結構俺も頭混乱しててよ」


剣士「あぁそうだね…忘れないうちに何かに書き留めて置かないと…」


盗賊「だな?思い出しながら俺も書くわ」




『デッキ』



ザブン ギシギシ



女ハンター「カゲミ達戻って来たみたい…」


航海士「ほんならゲート開けるわ」ドタドタ


学者「何か物資持って来て居やす?」


女ハンター「多分ワニ一匹ね」


学者「じゃぁバーベキュー出来やすね…ちっと準備しときやすよ」


女ハンター「待って…何か様子がおかしい…マイとロイドが倒れてる」


学者「おろろ…」


女ハンター「マイもロイドも口から血を吐いて汚れてる…」


学者「こりゃバーベキューなんかやってる場合じゃ無いっすね…ゲートに居りときやす」ダダ




『双胴船』



ザブザブ



闇商人「ゲス!!急いで治療が欲しい!!」


学者「何が有ったんすか?」


闇商人「呪いだ!!呪い除けの呪符を持たずにヤン・ゴン遺跡に行って呪いに掛かった様なんだ」


学者「ちょちょちょ!!呪いを治す薬なんか無いっすよ!!」


闇商人「あぁゴメン…正確に言うとゾンビ化する病気の様だ」


賢者「応急処置でワニの生き血を与えました」


学者「それで血だらけっすか…意識ありやすかね?」


魔法使い「ヴヴ…た…助けて…ガガガ」


学者「あらら…隔離せんと拡散するかもっすね…」


闇商人「とりあえず直ぐ治療をお願い…意識を保つ限界みたいだ」


学者「俺っちが作ったエリクサーをまず与えてみやす…とりあえず船底で隔離しやしょうか」


闇商人「うん!!運ぶの手伝う」


学者「俺っちはロイドさん背負うんでマイさんお願いしやす」


闇商人「分かった…」





『船底』



ヨッコラ ドサー



槍戦士「うぐぅ…ガガガ」グッタリ


闇商人「マイも並べて良いね?」


学者「お願いしやす…衣類もちっと脱がせて下せぇ」


闇商人「うん…」ヨッコラ ドサ


学者「イッコさん!!俺っちのベッド横に作ったエリクサー入れたビンがあるんで取って来てくれやせんか?」


賢者「はい…」スタタ


闇商人「衣類は全部脱がせる?」ゴソゴソ


学者「下着までは脱がせんで良いっすよ…てか…あらららら」


闇商人「酷いかな?」


学者「これ昨日今日でこんなに水分無くなって…もしかしてエルドリッチの影響っすか?」


闇商人「だろうね?」


学者「ええと…岩塩有ったじゃないすか…それと飲料用の綺麗な水を用意して下せぇ」


闇商人「分かった持って来る」ダダ


学者「ふむふむ…心臓はまだ動いてそうっすね…」



スタタタ



賢者「エリクサーを持って来ました」


学者「あざーす!!それ一口づつ飲ませて行って下せぇ」


賢者「はい…」クイ


魔法使い「むぐ…」ゴクリ


賢者「ロイドさんも」クイ


槍戦士「んぐ…」ゴクン


賢者「後何かお手伝いは?」


学者「フーガ君を探して連れて来てくれやせんか?」


賢者「え!?フーガ君をどうして?」


学者「多分これエルドリッチに少し命吸われた感じだと思うんで賢者の石が必要だと思うんす」


賢者「もしかしてフーガ君が持って居る?」


学者「そうなんす…フーガ君が近くに居るだけで効果有ると思うんす」


賢者「分かりました…連れて来ます」スタタ



ドタドタ



盗賊「おうおう!カゲミに言われて飲料水持って来たぞ!!どうした?何が有った!?」


学者「不用意にエルドリッチに近付いて半分ミイラみたいになっちまったみたいなんすよ」


盗賊「マジか…」


学者「ちっと生理食塩水を補給したいんで作って貰えやす?」


盗賊「血液の代わりで使うやつで良いんか?」


学者「そーっすね」


盗賊「分かった」ドタドタ


学者「ええと…大分体温上がってるんでマイさん…ちっと水掛けて冷やすんでガマンして下せぇ」ビチャビチャ


魔法使い「はぁはぁ…」グッタリ




『1時間後_船尾楼』



スタスタ



学者「兄貴ぃ!!カゲミさんも居やすね?一応疾病退散のポーション飲んどいて下せぇ」スッ


盗賊「おお…もう治療の方は良いのか?」


学者「俺っちが出来る事はもう無いんで看病はイッコさんとフーガ君に任せて来やした」


闇商人「イッコに伝染しないかい?」


学者「イッコさんは今血液中のエリクサー濃度高い状態なんで大丈夫だと思いやす」


学者「フーガ君にも一応疾病退散のポーションは飲ませて有りやすぜ」


学者「ほんでなんであんな事になっちまったんすかね?」


闇商人「僕も知らなかったんだけど今ヤン・ゴン遺跡は呪い除けの呪符無しでは近寄れなかったらしい」


学者「それを知らずに行ってあんなんなるんすか…」


闇商人「あまり詳しく話を聞けて居ないんだけど他に冒険者が居るから大丈夫だと思ってゾンビ退治とかやったみたいだ」


盗賊「まぁしっかり情報収集出来ずに行動しちまったから仕方ないわな」


闇商人「僕も悪かったよ…行かせたのは僕だしね」


盗賊「とりあえず大丈夫そうなんだろ?」


学者「体温が結構上がってたんで脳に影響出て無きゃ良いんすがねぇ…」


盗賊「肝心のイクラだったか?そいつの行方は?」


闇商人「結論を言うとフィン・イッシュに向かった様だ…恐らく10日くらい前」


盗賊「ほんじゃ予定変更無しだ」


闇商人「それ以外に聞きたく無い事も耳に入って来てね…」


盗賊「何よ?」


闇商人「リカオンが盗賊ギルドを追い出される立場になってるそうだよ…もう盗賊ギルドはアテに出来ない」


盗賊「ほう?なんで又そんな事に?」


闇商人「フィン・イッシュからの支援がシルヴァ・ギンジャールに流れる様になって力関係が変わったんだ」


盗賊「内輪のゴタゴタか…リカオンは天敵にやられちまったか…」


闇商人「話はそれだけじゃ済まない…フィン・イッシュが異形の魔物の猛攻に合ってるらしい」


盗賊「おいおいそれは俺らが予測してた事じゃ無えか…」


闇商人「そういう事…つまりシルヴァ・ギンジャールが糸を引いてる可能性が高いんだ」


学者「今の話だとフィン・イッシュ女王も危なくないっすか?」


闇商人「そうだね…僕達が女王の船に合流出来なかったのも偽の情報だったのかも知れないね?」


盗賊「なるほど…もうその時からリカオンはハブられてた訳か」


闇商人「リカオンというかウェアウルフ一族全部だね…偽の情報で走り回されてる」


盗賊「ヤン・ゴンに来てた軍船2隻…こいつもハブられた結果だったと考える…つまりシルヴァには邪魔な存在だった…」


闇商人「お!?良い線付くね…あの船は旧セントラル王バレンシュタイン卿の正規軍だったね」


学者「これガッツリ分断されて居やすね?」


盗賊「フィン・イッシュがどんくらい攻められてるか分からんがちっと気を引き締めて行かにゃならんな…」


闇商人「そう思うよ…そしてその状況を知ってか知らずか…イクラシアがそこに向かった」


学者「イヤな予感がしやすねぇ…」




『夜間航行』



ザブ~ン ユラ~



盗賊「新鮮なワニ肉焼いて来たぜ?酒も有る」


航海士「おお済まんなぁ!!」ガブリ モグ


盗賊「割と良い風に乗れてそうだが…フィン・イッシュまでどんくらい掛かる?」


航海士「1週間掛かるか掛からんかやろうなぁ…只明日から天気が悪うなるで風の具合次第や」


盗賊「そうか…ちっとフィン・イッシュの状況が良く無さそうでな?」


航海士「聞こえとったわ」


盗賊「到着してもまともに補給出来るか分からんくなった」


航海士「この船が補給船で食料配る様になるかも知れんな?ガハハ」


盗賊「荷は食料ばっかか?」


航海士「そうや…小麦が安いもんだからカゲミが沢山仕入れとるんよ」


盗賊「配るってなったら又金入って来無え…」


航海士「こまい事は気にすんなや?フィン・イッシュに恩を売っとけば良え」


盗賊「ヌハハそらそうだ」


航海士「そやそや…フィン・イッシュ行ったらドワーフが多いで色々ええ事が期待できるで?」


盗賊「そういやそうだったな…俺の船を修理してくれた爺もドワーフだった」


航海士「知り合いかも知れんわ」


盗賊「てかよ?海賊王は何処に居んのよ?」


航海士「多分なんやが北半球側に居る思う…俺等ずっと南半球側に居るやろ」


盗賊「そうなんか…」


航海士「ミライが生きとる事が分かったで早よう会わせたいんやがなぁ」


盗賊「海賊王の娘も全然手掛かり無いな」


航海士「そやなぁ…無事やと良えんやが…」




『船底』



グググググ ギギギ



学者「イッコさん…2人の容態はどうっすか?」ドタドタ


賢者「熱は下がりました…2人とも寝た様です」


学者「交代するんで上がって食事してきて貰って良いっすよ」


賢者「分かりました」


学者「あれ?イッコさんちっと…あれれ?なんか血色良くなっていやすね?」


賢者「え?」


学者「ちっと背中さすりやすぜ?」


賢者「はい…」


学者「あらら…やっぱ柔らかくなっていやすね…」スリスリ


賢者「賢者の石の影響ですかね?」


学者「いやーーーーそうかも知れんすが…血管に溜まってた砂が急にどっか行くとか考えにくいんすよね」


賢者「え?もしかしてアザが無くなる?」


学者「昨日何かありやした?なんか知らない薬を飲むとか…いつもと違う何か?」


賢者「ハッ!!」---もしかして---


学者「教えて下せぇ…今後の参考にしたいっす」


賢者「え…ええと…少しきつめのお酒をボトルで半分くらい飲みました」


学者「あららら結構飲みやしたね…酔わんかったんすか?」


賢者「あまり酔いは感じませんでした…あと極度に興奮したとか関係ありますか?」


学者「う~ん…代謝が良くなる位の反応だと思うんすが…お酒のせいで一時的に血流良くなった影響かも知れんすねぇ…」


賢者「因みに血管の中で溜まって居る砂が何処かへ行くとしたら何処へ?」


学者「肝臓か腎臓っす…分解出来んもんで尿に混じって排出されやす」


賢者「あ…心当たりが…おしっこが砂っぽい感じに…」


学者「ちっと採尿してもらって良いっすか?」


賢者「はい…いつもの容器に入れておきます」


学者「イッコさん…これリッカさんみたいにお酒飲んで樽湯に浸かって寝るとアザが一気に無くなるかもっす」


賢者「そうだと良いです…採尿してきますね」スタタ



---お酒飲んでエッチな事して興奮した後に寝た---


---全部心当たり有る---


---やった!!アザが無くなる!!---



『荷室』



ジョロジョロ



闇商人「何の音かと思ったらこんな所で採尿してたのか…」


賢者「あ…はい…ゲスさんに言われて」


闇商人「まぁ他に誰も居ないから此処でも良いか…」


賢者「あのカゲミさん…ちょっと私の背中を見て欲しいんですけど…」


闇商人「んん?どうしたんだい?」


賢者「アザの具合が自分では見れないので」


闇商人「あぁ良いよ」


賢者「ちょっと脱ぎます」ヌギヌギ


闇商人「脱いだついでに着替えると良い…あちこちシミになってるから放って置くと匂う様になる」


賢者「そうします…背中どうですか?」


闇商人「おお!!まだ薄く残ってるけど随分良くなってる」


賢者「良かった…なんかリッカさんみたいにお酒飲んで湯に浸かって寝ると良くなるみたいです」


闇商人「じゃぁもう少しだね」


賢者「はい!!」


闇商人「ゲスは船底の方かい?」


賢者「そうです…交代して下さりました…私は食事をして少し休んで良いと」


闇商人「ワニ肉が焼いてあったよ…居るかい?」


賢者「いえ…私はレーションで良いです」


闇商人「そっか…僕は横になるつもりで荷室に来たんだけど…君はどうする?」


賢者「私も少し食べたら横になります」


闇商人「じゃぁ僕は先に休むよ」


賢者「あの…今日は樽湯無いですか?」


闇商人「え?もしかして君…」


賢者「いえ…その…昨日エッチしたまま拭きもしないでそのままなので汚いかなと…」


闇商人「あぁそうか…残念だけど水に余裕が無いみたいだよ」


賢者「そうですか…本当は寝る前に少し一人でエッチしないと寝付きも悪くて…」


闇商人「君は正直だね…」


賢者「でも一人で解決出来るので気にしないで下さい」


闇商人「そんな事言われて僕も少し興奮してしまう…」


賢者「ごめんなさい…」


闇商人「でも分かるよ…僕もそんな時期は有ったからね…毎日しないと悶々としちゃうんだよね」


賢者「恥ずかしいです…」


闇商人「分かったこうしよう…もし一緒に寝るタイミングが同じなら少しだけ僕がしてあげるよ」


賢者「え?」


闇商人「ほら?一緒に寝るとプライベートも無くなるから自由に一人で出来なかったりストレスがある」


賢者「そうですね…」


闇商人「もうルールとして決めてしまおう…タイミングが合えば必ず僕が寝る前にしてあげる」


賢者「良いんですか?」


闇商人「ちょっとだけだよ?樽湯の時はもう少しちゃんしてあげる…そういうルールだ」


賢者「そんな事言われたら毎日シテ欲しいです」


闇商人「タイミングが合えばね?…なんかこう言う事もちゃんと話せる相手ってやっぱり特別だね」


賢者「はい…特別です…私の事を全部理解してくれて嬉しいです」


闇商人「なんだろうな…君が右手で僕が左手…みたいな…君は僕の一部の様な感じだ」


賢者「やっぱりカゲミさんが一番私を理解してくれると思っていました」


闇商人「愛とは違うなぁ…単純に欲求をストレス無く満たしてくれる相手…」


賢者「カゲミさんの欲求は何ですか?」


闇商人「僕も実は昨日の君を思い出すと興奮してしまってね…多分君と同じなんだよ」


賢者「イケない関係ですね…」


闇商人「じゃぁ早速少し…軽くね?」


賢者「お…お願いします」




『10分後…』



フキフキ ゴソゴソ



闇商人「ふぅ…今日はちょっと綺麗に拭いとこうね」


賢者「気持ち良かったです…」ホワーン


闇商人「ちゃんと服も着てから寝てね?誰かに見られたら変に思われてしまうから」


賢者「はい…カゲミさんも気持ち良くなれました?」ゴソゴソ


闇商人「うん…やっぱり自分でするのとは全然違うね」


賢者「もうクセになってます」


闇商人「でもゴメンね…僕の方が随分年上なのに君にも奉仕させるような事になってしまって」


賢者「いえ…御返しなので」


闇商人「さて…じゃぁ寝ようか」


賢者「はい…良く寝られそうです…充実しています」


闇商人「おやすみ…」


賢者「おやすみなさい…」


闇商人「…」



---誰にも言えない自分の性癖の部分を隠す事無く正直に話し合える相手---


---一緒に居てこんなに安心するか…イッコが言ってた事は本当だ---


---恋人とは違う…ただ欲求を満たし合う関係なだけなのに…何故か特別な存在だ---


---そうだ僕はまだキスをしていない…キスをすると気持ちが何か変わるだろうか?---


---いやマテ…このまま気持ちを高めて行って何になる?---


---ダメだそれはイッコの幸せを奪ってしまう事かも知れない---


---今は只欲求を満たし合うだけで良い---




『数日後_雨』



ザザー ビシャビシャ



盗賊「恵みの雨だ!!汚れた衣類も今の内に一気に洗ってくれい!!」


学者「へいへい!!」ジャブジャブ


女ハンター「私の来てる装備品も一緒に洗って!」ヌギヌギ


盗賊「お前露出多いぞ?」


女ハンター「見慣れてるでしょ?」


盗賊「これから寒くなってくんだが…」


女ハンター「湯に浸かるから大丈夫」


学者「樽湯久しぶりっすねぇ」



フラフラ



魔法使い「私も手伝いを…」フラ


学者「あらら?足元おぼついて居やせんが大丈夫っすか?」


魔法使い「少し体を動かさないと…あと雨に当たって肌にも水分の補給…」


盗賊「ロイドはどうした?まだ動けんか?」


魔法使い「なんか下半身が十分回復して居なくて愚痴を言ってる」


盗賊「ウハハ大人しくなったか」


学者「笑い事じゃ無いっすけどねぇ…高熱が出たせいで色々不調も出るんすよ」


盗賊「マイは何か後遺症有りそうか?」


魔法使い「う~ん…自覚出来ない…」


学者「何か気付いたら教えて下せぇね?」


魔法使い「分かってる…」





『船底』



スタスタ…



闇商人「食事と酒を持って来たよ」ポイ


槍戦士「おお済ま無えなぁ…」ガブリ モグ


闇商人「もう話せるぐらいには回復したね?」


槍戦士「んあ?何か聞きたい事でもあんのか?」グビ プハァ


闇商人「イクラシアの事だ…彼がどうしてロールバックの事を知って居たのか…」


槍戦士「ほんなん本人に聞いてくれぇ」


闇商人「質問を変える…誰かに追われて居た筈だよね?」


槍戦士「言っただろ…ハテノ自治領は雪で通行止めになって追手が来れんと」


闇商人「それが誰だったのか知りたい」


槍戦士「おうそう言う事か…名前をもう覚えて居ないんだが…そうだ丁度イクラと同じ様な髪色した奴だ」


闇商人「同じ髪色…じゃぁイッコとも同じ?」


槍戦士「そうだ…マテ…そういや人相も似てるな…若い女だ」


闇商人「ふむ…僕はその人を知らないな」


槍戦士「なんつったっけなぁ名前…俺が体売ら無えかと聞いたら軽くあしらわれてな」


闇商人「何処から来たとか聞いて居ないかな?」


槍戦士「フィン・イッシュだった筈だ…イクラはそいつから金を預かってた」


闇商人「やっぱりそうか…金の出所は古代人だな…」ボソ


賢者「カゲミさん…今の話でロールバックって何ですか?」


闇商人「この間アランとミライ君が夢の中で海の声を聞いたそうだ…そこでロールバックという世界の破滅を知ったらしい」


賢者「破滅…」


闇商人「この世界は記憶で出来て居るんだ…その記憶を消して初めに戻す事をロールバックと言う」


槍戦士「おおおなんかイクラも同じ様な事言ってたわ」


闇商人「それを防ぐために古代遺跡の調査?」


槍戦士「イクラが言うには古代にも何度かロールバックが有ったと言う…だが現在まで時代は続いてんだろ?」


闇商人「その理由を調べに来た訳か…」


槍戦士「バックアップがどうのこうのとも言ってたなぁ…俺は興味が無くてよう」


賢者「バックアップ…その言葉知って居ます」


闇商人「お?何?」


賢者「記憶をもう一つ複製する事です…母が良く言っていました」


闇商人「記憶の複製…世界の複製か!!もう一つ同じ世界を作るんだな?」


槍戦士「そんな事出来るんか?」


賢者「母はオーブに記憶を保存する…と言って居ました」


闇商人「なんか少し分かって来た気がするぞ…」


賢者「私の知識が役に立って良かったです」


槍戦士「…ところでお前等2人随分女臭えな?ムンムン匂うぞ」


闇商人「あぁ…もう何日も水浴び出来て無いからねぇ…ハハ」


槍戦士「特にイッコ!かなり匂う」クンクン


賢者「ええ!?」ドキ


闇商人「自分の匂いはなかなか気付けないねぇ…」クンクン


賢者「そ…そんなに匂いますか?」クンクン


闇商人「僕はそんなに気にならないけどね」


槍戦士「メスガキの蜜の匂いだ…だが残念な事に今の俺は不能になっちまってな…もうちょい回復するまで待っててくれ」


賢者「待つと言いますと?」


槍戦士「蜜を吸ってやると言ってんのよ」


賢者「金貨6枚直ぐに貰えれば考えても…」


槍戦士「ぐはぁ!!クソがぁ…あぁヤベエな…マイにもかなり借金がある…」


賢者「では又の機会に…」ニコ


闇商人「イッコ!今日は雨が降ってるから湯を沸かしてる筈…水浴び出来るよ」


賢者「はい!!楽しみにして居ました…行きましょう」ルン


闇商人「あーーでもみんな水浴びしたいだろうから最後にしよう」


賢者「え…どうして…」ガーン


闇商人「その方が誰も来ないだろうし長く湯に浸かれる…あまりバタバタしたくないよね?」


賢者「そういう事ですね…今日はゆっくり楽しみたいです」


闇商人「大丈夫…ちゃんと分かってるさ」




『船尾楼』



スタスタ



盗賊「おおカゲミとイッコ!!樽湯が沸いてる…今ラスが水浴びしてて次入れるぞ!」


闇商人「ありがとう…でもみんなが水浴びした最後で良い」


盗賊「ほーん…俺も後で行こうと思ってたが…その後で良いんか?」


闇商人「良いよ…湯が汚れても自分で入れ替える」


盗賊「そうか…ほんじゃ先行かせて貰うわ」



ガチャリ バタン!!



剣士「ねぇねぇねぇ!!皆見てぇ!!」


盗賊「んあ?又何か作ったか?」


剣士「イッコさんの砂を使ってこんな物作ったんだ…」スッ


盗賊「おぉぉぉこれガラスか?宝石みたいだな?」


剣士「ガラスの中にトルマリンを封じてるんだ…宇宙みたいでしょ?」キラキラ


盗賊「ほぉ…トルマリンを地球に見立ててんのか…」


剣士「そうそう!!小さな気泡は星だよ…」


闇商人「ちょっと貸して貰って良い?」


剣士「うん!!良く見て!!」スッ


闇商人「スゴイな…吸い込まれそうなくらい綺麗だ…」


賢者「あの…これはオーブです」


闇商人「え!!?どういう事?」


賢者「エルフ達が守って居ると言われるオーブと同じ物で母曰くこれに記憶を封じる事が出来るそうです」


剣士「おおおおおおおお!!?どうやってやるの?」ワクワク


賢者「それは母に聞いてみないと…あ!もしかするとエルフに聞いても良いかも知れません」


闇商人「イッコの血からオーブが作れる?」


賢者「それは今知りました…でもかつての精霊がどうやってオーブを作ったのかを考えると間違い無いかと…」


闇商人「ちょっと待って…これはイッコの一部だった物から作られた物だ…もしかしてイッコの記憶が宿って居ないか?」


賢者「記憶は遺伝子の中にも保存されるのでもしかしたらその可能性もありそうですね」


剣士「どうやって確認出来るかなぁ?」


闇商人「精霊樹だ…精霊樹の有る所にオーブが安置されて居ると言う…そこに有る事で夢幻を見るらしい」


賢者「カゲミさん…それがバックアップかも知れないです」


闇商人「世界を夢幻に封じると言う事か…と言う事はイッコが世界を見回る事がバックアップしてるという事だ」


賢者「その場合見回った後にもう一度オーブを作る必要が有りそうですね」


闇商人「これはスゴイ発見かも知れない…ちゃんとホムコさんに聞いた方が良いね」


賢者「ですが…私の記憶は恥ずかしい記憶も多いのであまり人に見せたく無いです…特に母には…」アセ


闇商人「ハハ…確かにその記憶は君の物だ」


剣士「じゃぁこのオーブはイッコさんに返すよ」


賢者「良いんですか?」


剣士「うん!!首に下げられる様に細工してあげる」


賢者「ありがとうございます…大事にします」




『夜_荷室』



ゴソゴソ



盗賊「いようゲス!!荷室に籠って何やってんだ?」


学者「ロイドさんに頼まれて精力剤作って居やす…なんでも下半身が不能な様で…」


盗賊「ううむ…気の毒と言うか…」


学者「回復したら無条件傭兵で良いって言って居やしたぜ?」


盗賊「見込みあんのか?」


学者「なんとも言えんすよ…生き甲斐を失っちまってるんで可哀そうになって来やした」


盗賊「マイもロイドに付きっきりだな?」


学者「マイさんはロイドさんにホレちまってるんで心配でしょうねぇ…ところでイッコさん知りやせんか?」


盗賊「カゲミと一緒に樽湯に行ったまま帰って来んな」


学者「そーっすか…カゲミさんはイッコさんの体温めて休ませようとしてるんすね」


盗賊「此処ん所イッコはカゲミにベッタリだな?」


学者「俺っちがカゲミさんにイッコさんの面倒見を頼んでるんす…アザとか色々悩んでるみたいなんで」


盗賊「そういう事か…」


学者「不憫な体っすよ…女の大事な部分に砂が溜まるってんすから」


盗賊「ほーん…しかし樽湯に行って随分長いんだが…」


学者「察してやって下せぇ…尿にもやたら砂が増えてるんで本人は気にしてるんすよ」



フラフラ ドター



盗賊「お!?噂をすりゃ…」


学者「あらら?長湯し過ぎてのぼせちまいやしたかね?」


闇商人「あ…いや…気にしなくて良い」フラ


賢者「カゲミさん…も…もう寝ます…すみません…」ヘロヘロ グター


盗賊「お前等一緒に湯に浸かってんのか?」


闇商人「交代交代だよ…樽湯の部屋はゆっくり話が出来て中々良いのさ」アセ


盗賊「そうか…まぁ一人で長湯してぶっ倒れても後が困るか…」


闇商人「そゆ事…イッコはしっかり体温めて直ぐに寝た方が良いらしいからね」


学者「それそれ!!リッカさんと同じ体質になって来てるんでお酒も少し飲ませてやって下せぇね」


闇商人「あぁお酒かぁ…そう言うのも有りか…」


学者「大分体の中の要らん砂が尿で排出される様になってるんで続けた方が良いっす」


闇商人「アザはかなり薄くなってるさ」


学者「良かったっすねぇ」


闇商人「そうだアラン…この間聞いた海の声の話…」


盗賊「おうどうした?」


闇商人「どうやらイクラシアも同じ様な情報を古代人から得て動き出していたみたいだ…ロイドさんに聞いたよ」


盗賊「ほう?足引きずってでも動いてるってか…」


闇商人「どうやら僕達が知らない間に色々起きてる…ちょっと覚悟が必要に思う」


盗賊「まぁなんとなくそんな気はしてる」


学者「ロストノーズから武器奪ってるんで最悪な状況は免れて居るかもしれんすね」


盗賊「だな?まぁ弾薬は余裕があるからしばらくは戦えるぞ」


闇商人「ん?何と戦うつもりで居る?」


盗賊「正直分からんくなったが…とりあえず異形の魔物とゾンビは敵だ…ほんでそいつを操ってるルーデウスもな?」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ