表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/102

45.一目惚れ


『夜道』



スタスタ



闇商人「軽く食事だけと思ってたけど結構噂話聞こえて来たね」


学者「そーっすね…どうやらシン・リーンは異形の魔物に手を焼いてる感じっすよ」


闇商人「だろうね…」トーイメ


魔法使い「異形の魔物って…旧港町にも来てた弓を使う魔物?」


闇商人「そうだよ…そっちにも来てたのか」


学者「同時に攻めて来てるんすね」


魔法使い「その魔物の他にゾンビも沢山襲って来てた…」


闇商人「死霊術師が居るんだね」


魔法使い「それは違うと思う…死霊術で操れるゾンビは数体だけだから…」


闇商人「え!?じゃぁ死霊術師が沢山居る?」


魔法使い「それも考えにくい…考えられるとすると魔法のアイテム」


闇商人「ドクロの杖…」


学者「何すかソレ?」


闇商人「沢山のゾンビを操る事の出来るユニークアイテムだ…一時期サルマンさんが使ってた筈」


学者「サルマン…行方不明の勇者の一人っすか…」


闇商人「彼が異形の魔物側に居る?そんなバカな…」


魔法使い「その人が居るかどうか分からないけれど魔法のアイテムを使って居そうなのは間違いないと思う」


闇商人「そうか…だからシン・リーンは慌てて傭兵を募って居るんだな?」


学者「今の話からするとそうなりやすね?」


闇商人「これは良くないね…フィン・イッシュが一時期滅亡の危機に陥ったのはドクロの杖が原因だと聞く」


魔法使い「言って無かったけれどゾンビの中に大型のイエティのゾンビも居てすごく強かった」


学者「シン・リーンは銀の武器があんま流通して無いんで一気に来られるとマズそうっすね?」


闇商人「分かったぞ…異形の魔物の狙いはソレだ…冒険者を消耗させてゾンビの大群で襲う気だ」


魔法使い「旧港町もそんな感じでゾンビが攻めて来た」


闇商人「ムン・バイでも同じだね…それが異形の魔物のやり方なのさ」


学者「これ急いでフィン・イッシュに行って銀の武器を輸送した方が良さそうっす」


闇商人「そうだね…」




『宿屋_水浴び場』



ジャブジャブ ザザー モクモク



賢者「カ…カゲミさん…」


闇商人「うわっ!!ど…どうしたのさ!!」チャプン


賢者「あの…相談が…」


闇商人「いやそれは後で聞いてあげるよ…こんな所で落ち着いて話せない」


賢者「いえ…2人きりでお話がしたくて…」


闇商人「ううん…相談って何?」


賢者「恥ずかしい話なのですが…ここの所下の方がうずいてしまって…」


闇商人「あのね…僕は男だと説明した筈だよ…そういう話は僕にしない方が良い」


賢者「他に話せる人が居ないです…」


闇商人「う~ん…僕では君の役には立てないよ」


賢者「実は酒場であの男の人に下の方を触られたのです」


闇商人「ええええええ!!?ダメだよ君はそんな安売りをしちゃ…」


賢者「はい…反省しています…でもとても上手で触られて直ぐに気持ち良くなって昇天してしまって…」


闇商人「う~ん…困ったな…その相談には乗れそうにない」


賢者「又あの男の人に合ってしまったら今度は断れる自信が有りません…前までこんなにうずく事は無かったのです」


闇商人「前まで?」


賢者「はい…前までは自分で慰める事で落ち着きました…でも今は何か変なんです…」


闇商人「あれ?それってもしかしてオークの血のせいか?」


賢者「え?」


闇商人「オークは性欲が旺盛なのさ…それゲスに相談した?」


賢者「そんな事ゲスさんには相談できません」


闇商人「それもそうか…」


賢者「どうにかしないと間違いを起こしてしまいそうです…」


闇商人「もうそれは自分で慰めるくらいしか解決法が思いつかないな…」


賢者「部屋の方には皆居ますのでそういう訳にも行かず…」


闇商人「あ!…そうだ…」


賢者「何か?」


闇商人「オークは戦うとか血を流す事で性欲が満たされるらしい」


賢者「戦う?…あ!!そういえば…立ち合いをした後はしばらく満たされた感じが…」


闇商人「解決法はソレだね」


賢者「ありがとうございます…こんな恥ずかしい相談を出来るのはカゲミさんだけです」


闇商人「役に立てて良かったと言いたい所だけど…一応僕は男だと言う事を頭に入れて置いて欲しいかな」


賢者「あ…すみません」


闇商人「僕も性欲が無い訳じゃ無い…そんな話を聞かされて僕も変な気分さ」


賢者「そういう時はカゲミさんも自分で慰めを?」


闇商人「そんな事言える訳無いじゃ無いか…君は困った子だねぇ」ザブザブ


賢者「もう水浴びは終わりですか?」


闇商人「そうだよ…次は君が水浴びすると良い…ここは一人になれるから慰めが必要ならすると良いさ」フキフキ


賢者「お気遣いありがとうございます」




『翌日_アランの部屋』



カン カン コン バシ!!



盗賊「おうおうイッコとマイがいつの間に裏の広場で立ち合いやってんだが…」


闇商人「気にしなくて良いよ…一応木の棒でやってるから大した怪我もしないさ」


盗賊「ほーん…俺も混ざって来っかな…」ウズウズ


闇商人「良いじゃない?練習にもなるし…」---アランも同じ症状なのかも…---


盗賊「おっし!ちっと行って来るわ」


闇商人「僕は物資の買い付けで市場の方に行くからこっちは任せるよ」


盗賊「おう!!」


女ハンター「カゲミ?今日は私も市場を見に行きたい」


闇商人「じゃぁ一緒に行こうか」


女ハンター「少しエリクサーが欲しいのだけれど…有りそう?」


闇商人「高いけど有るね…場所を教えてあげるよ」


女ハンター「良かった」


闇商人「エリクサー常備するのかい?」


女ハンター「まぁ…そんな所」チラリ


盗賊「…」シラー


闇商人「実はゲスが今エリクサー作り始めてるんだよ」


女ハンター「本当?」


闇商人「あんまり沢山は作れないみたいだけど欲しいなら今度相談してみると良い」


盗賊「おい!!もしかして物資集めて船で大量に作れんのか?」


闇商人「さぁ?ゲスに聞いてみたら?」


盗賊「俺はエリクサーを樽4つ用意しなきゃならんからなぁ…」


闇商人「それは大変だ…じゃぁラス!行こうか」スタ




『宿屋の裏_広場』



カン コン コン シュタ!!



賢者「ハァハァ…マイさん…手加減しないでちゃんと打ち込んで来て下さい」


魔法使い「え…良いの?」


賢者「はい…ちゃんと見えているので当てられても痛く無い様な体術の練習もしたいです」


魔法使い「分かった…もう一回行くよ?」ダダ



ヒュン ヒュン カン バシ!!



盗賊「ほーう…一応攻撃を見切っては居るのな…」


学者「兄貴も混ざりに来たんすか?」


盗賊「まぁどんな立ち合いしてるかちっと見に来ただけだが…」


学者「もう実戦やった方が良いんすけどねぇ…」


盗賊「ゾンビとか都合良い魔物は居ないのか?」


学者「蟻の巣に行って女王アリを捕まえるクエストなら有るんすが…危ないらしいっす」


盗賊「俺等じゃ手に追えんってか…」


学者「冒険者がシン・リーンに移動しちまってるんでアリ退治の人が減ってるとか…」


盗賊「蟻の巣だとどっさりアリが出て来そうだ…」


学者「それっス…他の冒険者と協力しながらじゃ無いと危ないみたいっすよ」


盗賊「アリは何か戦利品採れるんか?」


学者「一応牙が1本銀貨10枚でしたね…一匹狩って2本採れるんで銀貨20枚っす」


盗賊「小遣い稼ぎか…巣に入らんぐらいでちっと見に行ってみるか」


学者「ちょろっとだけイッコさんとマイさんに実戦やらせるんすね?」


盗賊「どうせヒマだしな?」


学者「兄貴は武器どうしやす?」


盗賊「ううむ…アリと戦った事なんか無いからな…弓が当たるなら弓で構わん」


学者「じゃぁこうしやしょう…俺っちは万が一の時にバヨネッタ使う役っす」


盗賊「おっし!ちっと行ってみるか!」




『蟻塚』



カーン! キーン!


うらぁぁぁ!!ブシュ!!


次に備えて!!



盗賊「おうおう…結構人が居るじゃ無えか」


学者「アリの巣穴に入らんきゃどうって事無さそうっすね…」キョロ


盗賊「しかし町の近場になんでこんなアリが大量発生してんだ?」


学者「アリは人が済む場所の近くに居る害虫みたいっすよ?」


盗賊「ほーん…巣穴なんか魔法で焼いちまえば良いだろうに…」


学者「俺っちが思うに…女王アリを捕まえるって所がポイントっすね」


盗賊「ふむ…何かの材料にでもすんだな?」


学者「多分賢者の石の材料っすよ…卵を沢山産む女王アリは命の価値が高いんすよ…きっと」


盗賊「…てことはこの蟻塚はシン・リーンの養殖場か」


学者「そら分からんすが女王アリ一匹金貨20枚なんで掴まえられるなら美味しいクエストっすよ」


盗賊「マジか!!」


学者「冒険者に人気な訳が分かりやした?」


魔法使い「ねぇ!!大きなアリが近付いて来る…」


盗賊「よし!!試しにあいつをやって見るか…イッコは盾を使って防御重視に動け」


賢者「は…はい…」スチャ


盗賊「マイはいつも通り雷魔法で足止め…ほんで2人でタコ殴りにしてみろ」


学者「俺っちは後方で備えとくんで訓練だと思って倒してみて下せぇ」


魔法使「来る!!イッコ!!注意を引いて!!」


賢者「このぉぉ!!」スタタ



ジャイアントアント「キリキリ…キリキリキリ!」カサカサ



魔法使い「雷魔法!」ビビビ ガガーン


ジャイアントアント「!!?」ピクピク


魔法使い「今!!」ダダ


賢者「えい!!」スタタ グサ!



グサ グサ グサ グサ



盗賊「ほーーーこりゃ数が来なきゃ楽勝だな…」


学者「そんな感じっすね」


盗賊「おーし!!俺は戦利品剥ぎ取るからドンドン行けぇ!!」




『巣穴の前』



カサカサ カサカサ



盗賊「ちぃぃ…ちっと数が多すぎだ…引くぞ!!」ギリリ シュン


賢者「えい!!」グサ


魔法使い「たぁぁぁ!!」ヒュンヒュン スパァ!!


盗賊「引く気無しかよ…」


学者「兄貴!!まだ余裕ありやす!!早く牙ゲットして下せぇ」


盗賊「へいへい…」ダダ



ズドドドドド


ひぃぃぃ!!たたた…助けてくれぇ!!



盗賊「んん?」キョロ


学者「うは…巣穴の中からアリを引き連れて誰か逃げて来やすね…」


魔法使い「こっちに来そう…」


盗賊「あの数を一気にやれるか?」


魔法使い「火炎魔法で散らすなら…」


盗賊「やって見ろ!イッコはマイを守れ!」


賢者「はい!!」スタタ


魔法使い「行くよ?火炎魔法!!」ボボボボボ


学者「うほほ!!アリは火を避けるんすね…」


盗賊「ゲス!ちっと数減らせ!!」


学者「へいへい…」ターン ターン ターン ターン


盗賊「マイ!!残りを倒せ!!」


魔法使い「うん…」ヒュンヒュン スパスパ!


賢者「私も!!えい!!」グサ



冒険者「中にまだ仲間が残ってる…助けてくれぇ!!」ヨロ



盗賊「なんだと!?」


冒険者「入ってすぐ右側だ…頼む!!」


盗賊「ええい…しゃぁ無え…俺が先頭だ!!行くぞ!!」ダダ





『巣穴の中』



カサカサ カサカサ



男「ぅぅぅ…」グター


盗賊「うらぁ!!」スパ スパ


学者「あいやいや…これ動けそうに無さそうっす…」


盗賊「マイ!!俺がアリを足止めしとくからそいつに回復魔法掛けろ!!」


魔法使い「うん!!」タッタ


盗賊「イッコ!!ちっと半分タゲを引き受けてくれ」スパ スパ


賢者「は…はい!!」スタタ スチャ


魔法使い「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー


男「た…助かった…ハァハァ」


魔法使い「一人だけ?」


男「他の仲間は何処かに逃げちまった…うぅぅ」


魔法使い「立てる?」


男「足をやられてる…肩を貸してくれ…」ヨロ


学者「マイさん…少しづつ引きながら巣穴出るんでその人連れて先に出て居て下せぇ」


魔法使い「うん!!」グイ


男「あだだだ…」ヨロ


盗賊「おい早く行けぇ!!こっちゃ足止めに大変なんだ!!」スパ スパ



ジャイアントアント「キシャァァァ…」



賢者「会心の~~一撃ぃぃ!!」グサ


盗賊「殲滅は俺がやる…お前は怪我せん様に防御に徹しろ!!」


賢者「は…はい!!」スタタ





『蟻塚の外れ』



ヨタヨタ ドサー



魔法使い「ふぅ…ここまで来れば大丈夫」


学者「ちっと怪我を見せて下せぇ…」


男「済まねぇ…いでででで」グター


学者「こりゃ毒に侵されてるじゃ無いっすか…」


魔法使い「毒…毒の応急処置は…そうだ吸い出さないと」


学者「マイさん何する気っすか?」


魔法使い「ゲスさん怪我をしてる場所の上流を圧迫止血お願いします」


学者「お?他人の血を吸い出すのは結構気持ち悪いっすよ?」グイ


魔法使い「ハテノ自治領で何回も教えて貰ったから…少し切るので我慢を」スパ


男「うっ…くぅ…」


学者「慣れて居やすね…静脈切りやしたか…」


魔法使い「吸い出すから圧迫緩めて少しづつ血を流して」チュゥゥ ペッ


学者「へいへい分かりやす…」


男「お…お前…ハテノ自治領の出身か?」


魔法使い「今はなへない…」チュゥゥ ペッ


男「そうか…実は俺もハテノ自治領方面から来た」


学者「方面ってどういう事っすかね?」


男「その下流にある河口の港町…知ってるな?」


学者「あああそういう事っすね…」


魔法使い「よし!!回復魔法!」ボワー


学者「マイさん完璧っすね!!ちっとしばらく血が足りんかも知れんすがこれで回復しやす」


男「ふぅぅぅ…マジで助かったわ…」



タッタッタ



盗賊「おう!!大丈夫そうだな?」


学者「ちっと撤収しやしょうか?」


盗賊「だな?牙は30本くらい回収した…まぁ訓練にしちゃ上出来だ」


賢者「その人大丈夫…あ!!」ギクリ


男「おっとお!?こりゃ運命的な出会いか?」


学者「あれれれ?この人もしかして昨夜イッコさんに絡んでた人っスかね?」


男「媚薬の効果はどうよ?ありゃ高かったんだぜぇ?」


賢者「媚薬…」


盗賊「おいおいどう言う事だ?…イッコが媚薬使われたってか?」


賢者「え…ええと…」モジモジ


男「細っそい体して戦士だとは驚きだ」


学者「とりあえず安全な場所に退避しやしょう」


盗賊「そうだな…マイ!そいつに肩貸せるな?」


魔法使い「うん…」


盗賊「俺が反対側支えるから急いで町に戻るぞ」


男「おおう…何から何まですまん…」




『港町の入り口』



ヨタヨタ フラ



男「おおありがとな…此処までで良い」フラ


盗賊「お前武器も何も持って居無い様だが…」


男「巣穴のどっかに落としちまった…まぁ又買い直せば良い」


盗賊「そらそうだ」


男「俺の名はロイドだ…槍を使う傭兵をやってる」


魔法使い「ロイド!!聞いた事ある!!」


槍戦士「そうか…ハテノ自治領では割と名の通った槍戦士なんだ」


盗賊「ほーん…お前等同郷か」


槍戦士「世話になったな…ちっと体力回復させてまた酒場にでも行くわ」


盗賊「おう!!気を付けろよ?」


槍戦士「おいネーちゃん!!次ぎ会った時は今度こそ頼むな?」ヌコヌコ


賢者「いえ…私は体を安売りしませんので…」モジモジ


槍戦士「そっちのネーちゃんでも良いんだぜ?」


魔法使い「ちょ…」カァァ


槍戦士「じゃぁな!!」ノシ


学者「兄貴ぃ!!俺っち戦利品の牙を交換してきやす」


盗賊「そうだな…宿に戻って汚れを落とすか!」


魔法使い「…」ウットリ


盗賊「おいマイ!!行くぞ!!」


魔法使い「あ…うん…」


学者「な~んか2人共おかしくないっすか?」


魔法使い「そんな事無い…」プイ




『宿屋の部屋』



ガチャリ バタン!



学者「戦利品交換してきやしたぜ~?」


盗賊「おう!!どうよ?」


学者「微妙っすねぇ…一人銀貨50枚行かんす…アリ退治は儲からんすわ」ジャラリ


盗賊「女王アリ掴まえんとダメかぁ…まぁ酒代にはなった」


学者「イッコさんとマイさんは水浴びっすかね?」


盗賊「そうだ…イッコが地味に怪我をしててマイが体を見てくれてる」


学者「俺っちも見たいっす…」


盗賊「んん?医者としてか?」


学者「そーっすね…あんま魔法で回復させんで傷の治りが見たいっすよ」


盗賊「怪我っつっても打撲だから回復魔法なんかせんと思うが…アザがどうのこうの言っとったわ」


学者「そら良かったっす」


女ハンター「ねぇ…イッコの体のアザって消えるの?本人気にしてるみたいだけど」


学者「イッコさんは血管の中に砂が溜まって内出血する体質だったんす…でも良くなって来てるんで治ると思いやす」


女ハンター「それは教えてあげた?」


学者「勿論教えやしたよ…ただあんま見せてくれんのですが…」


盗賊「そらそうだ…年頃の女だからな?」


学者「ところで兄貴!夕食どうしやす?」


盗賊「俺は酒場には行けんな…ここで食うしか無え」


学者「じゃぁ又兄貴置いてみんなで酒場行く感じっすね」


女ハンター「私は残る…アランが一人でヘソを曲げるから」チラ


学者「そーっすか?ほんじゃ帰りに酒と食事持って帰りやすね?」


盗賊「おう!!これ持ってけ」ジャラリ


学者「釣りが出ちやいやすぜ?」


盗賊「ミファと小僧の食事代も入ってんだ…美味い物食わしてやってくれ」


学者「分かりやした…」


盗賊「しかしカゲミ帰って来無えな…」


女ハンター「物資の買い付けが決まって荷入れの調整をするとか…どうして?」


盗賊「突然帰って来られても困るだろ…」


女ハンター「…」ジロリ


学者「俺っちが後で呼びに行きやすよ…困るって何なんすか?」


盗賊「あぁ何でも無え…頼むわ」


学者「イッコさんとマイさんが戻って来たら行きやすね?」


盗賊「おう!!」




『夜』



ガチャリ バタン!



盗賊「んがががが…ふごーーー」zzz


女ハンター「あら?カゲミ…一人?」アタフタ


闇商人「あぁさっきまで荷入れの調整をして居てね…なんだアランは裸で寝てるのか…」


女ハンター「か…狩りで装備品が汚れたのよ…」アセ


闇商人「ゲス達は酒場かな?」


女ハンター「そう…カゲミも行ってみたら?」


闇商人「今日は良いや」


女ハンター「調達は順調?」


闇商人「うん…木材も布も入手出来た…今回はちょっとお金稼ぎも有ってハチミツ酒を沢山積むんだ」


女ハンター「フィン・イッシュで売るのね?」


闇商人「そうだよ…倍の値段で売れるからね」


女ハンター「アランに飲まれてしまいそう」


闇商人「ちょっと資金がギリギリなんだよなぁ…アランは何か稼いでくれて無いかな?」


女ハンター「狩りには行ったみたいだけどあまり稼げていなさそう」


闇商人「そうかぁ…そうそうお金稼ぎも転がって無いか…」


女ハンター「そんなに資金難?」


闇商人「元手が無いから欲しい物が買えない…だから利益も小さい」


女ハンター「欲しい物って?」


闇商人「魔石だよ…シン・リーンは魔石がどういう訳かすごく安いんだ」


女ハンター「金貨40枚くらいなら出せるけど…」


闇商人「それは今後の為に残しておいた方が良い…アランなんか一銭も持って無いから」


女ハンター「確かに…」


闇商人「船の維持費が馬鹿にならないんだよね…なんだかんだで木材と布をどんどん消費するし…ロープもか…」


女ハンター「ミライ君に何か作ってもらうとかは?」


闇商人「今作って貰っても明日明後日で直ぐに売れないかな…」


女ハンター「狩りが一番早そう…」


闇商人「まぁ愚痴ばかり行っててもしょうがない…ちょっと水浴びして来るよ」スック


女ハンター「私はミファとフーガ君を迎えに行って来る」


闇商人「アランはこのままで良いのかな?」


女ハンター「どうせ明日まで起きないからそのままで良いでしょ」


闇商人「ハハそうだね…じゃぁ僕は水浴びして先に休むよ」ノシ




『翌日_アランの部屋』



アーデモナイ コーデモナイ



魔法使い「どうしようか迷ってる…」


賢者「マイさんが抜けてしまったら練習相手に困る…」


盗賊「まぁでも…そもそもマイがシン・リーンに来た目的は魔術学校に入る為なんだろ?」


魔法使い「入学出来るのが春…そして金貨200枚が必要…」


盗賊「ぐは!!!くそ高けぇ…」


学者「じゃぁ今まで通りしばらく傭兵で稼ぐしか無いっすね…」


女ハンター「どういう条件で雇ってるの?」


盗賊「んあ?出来高制だ…固定の金は出して無え」


女ハンター「じゃぁ今の状態だとお金稼げて無い…」


学者「やっぱお宝探し行くしか無いっすねぇ」


盗賊「そう言ってもなぁ…」



ガチャリ ドタドタ



闇商人「アラン!!」


盗賊「おおどうした?そんな慌てて」


闇商人「ちょっと相談だよ…フィン・イッシュまで一人傭兵を乗せて行きたい」


盗賊「んあ?今戦力はそう問題無いが?」


闇商人「言い方が悪かった…金貨20枚でフィン・イッシュまで乗せて行ってくれと言う傭兵が居るんだ」


盗賊「ほーん…」


闇商人「丁度資金も寂しかった…どう?」


盗賊「信用出来そうなんか?」


闇商人「う~ん…正直分からないけど相手は1人だよ」


盗賊「分かった条件付きだ」


闇商人「何?」


盗賊「足枷を付けてもらう…それで良いなら乗っても構わん」


闇商人「なるほど…何か奪っても逃げられ無いか…ちょっと聞いてみる」


盗賊「ほんでカゲミ!!船の方はどうなってる?」


闇商人「今荷入れしてる…どうして?」


盗賊「宿屋に籠ってても暇でよう…船に戻ろうかと思ってんだが…」


闇商人「そうだな…荷室じゃ無くて船尾楼で過ごすなら問題無いと思う」


盗賊「そうか…じゃぁ俺は戻るわ…ゲス達はどうする?」


学者「そーっすねぇ…狩りもあんま美味しく無いんで戻りやすかぁ…」


盗賊「…という事でマイ!!ここで降りるか乗るかはお前次第だ…俺としては乗って欲しいが…」


魔法使い「う~ん…実は…」


盗賊「んん?」


魔法使い「昨日会ったロイドという槍戦士…あの人に槍を教えて貰いたくなって…」


盗賊「ほう?そら良い目標が出来たな?…お前は槍を極めた方が良いと思う」


魔法使い「ちょっと探して来る…」


学者「あいやいや…町は結構広いんで一人の人探すの厳しいっすよ?」


盗賊「まぁ探すって言ってんだから良いだろ…マイの自由だ」


学者「すんません…そーっすね」


盗賊「じゃぁ荷物まとめて船に戻るぞ!!」





『キャラック船』



ドタドタ ドタドタ


酒樽は船底に入れてくれぇ!!


木材と布も船底や!!使う分だけ甲板に置くのはええぞ!!



盗賊「おお…結構な量の木材入れるのな…」キョロ


航海士「おまんら戻って来たんかぁ…ちいと荷室ゴタゴタするで?」


盗賊「船尾楼に入っとくわ」


剣士「アランさ~ん!!」シュタタ


盗賊「おうミライ!!どうよ?リッカと上手くやってるか?」ヌコヌコ


剣士「えへへ…ねぇねぇ皆の分の装備品作ったんだよ?」


盗賊「そら良い…イッコが布装備だから怪我しやすくてよ」


剣士「ガレオン船の人達が身に付けてた防弾装備を直したんだ…ちょっと自信作だよ」


学者「防弾装備っすか!!」


剣士「なんか防寒性も良くて軽い!!」


学者「特殊な繊維の布なんすよね…戦場だと標準装備なんすが…」


剣士「船首楼の方に来て?サイズ合わせて調整してあげる」


盗賊「おいイッコ!!これでアザ作らんで済むぞ!」


賢者「本当ですか?」キラキラ


剣士「うん!!来て来て!!」シュタタ




『船首楼』



ギュッ ギュッ ガサゴソ



剣士「おけおけ!!きつくない?」


賢者「少し…」モゾモゾ


剣士「ちょっと体動かすと馴染んで来ると思う…あれ?マイさんは?」


賢者「マイさんは船を降りてしまうかも知れなくて…」


剣士「ええええ!!なんだ…マイさん用の装備も用意したのになぁ…」


学者「仕方ないっすよ…もともとシン・リーンの魔術学校に入るのが目的だったんすから」


剣士「そうだったか…じゃぁ次ゲスさんの分も」


学者「ちっと変わったデザインしていやすね?」ゴソゴソ


剣士「同じだとガレオン船から奪ったのバレちゃうもんね」


学者「なはは…そらそうっすね…あれ?なんか仕込んでいやす?」カチャ


剣士「あ!!それアサルトナイフ…バヨネッタに取り付けられる様にちょっと改造してる」


学者「おおおお!!銃剣に出来る訳っすか…」


剣士「使い道無かったからさ…それで槍みたいにして使えるよね」


賢者「私の装備にも?」ゴソゴソ


剣士「あるよ!!ナイフだからロープ切ったり色んな事に使える…あ!!それで火も起こせるよ」


賢者「スゴイ!!」


学者「ふむふむ…手榴弾引っかける金具もちゃんと付いて居やすね」


盗賊「ほーーーこりゃそのまま前線行っても良さそうな感じだ…」ゴソゴソ


剣士「でしょ?色々考えたさ!!」


学者「装備が整って来ると強くなった錯覚しやすねぇ…」


盗賊「おしイッコ!!ちっと立ち合いやるか!!」


賢者「え?なんか甲板も荷物が合って…」


盗賊「ほんなん構うな…この防弾装備に慣れる為だ」


賢者「分かりました…」


剣士「新品だからいきなりダメにしちゃわないでね」


盗賊「ヘイヘイ…」




『デッキ』



ふぅぅぅぅ ドター



盗賊「そこそこ温いもんだからここで横になっても割と快適だ」グビ プハァ


闇商人「太陽が気持ち良いね」


盗賊「だな?宿屋に籠ってるより随分良い」


闇商人「イッコの戦闘訓練はどう?」


盗賊「ドワーフに教わってたみたいだからそんな感じよ…体重軽いからゴッツ並みにはなれんがまぁ十分だ」


闇商人「もうちょっと華麗に動く感じがあればね?」


盗賊「お前もちっと立ち会って見ろよ…丁度良いかも知れんぞ?」


闇商人「う~ん…僕は接近戦を想定して居ないからねぇ…」


盗賊「乱戦になったらそうも言っとれん」


闇商人「まぁ考えて置くさ…」


盗賊「ところで例の航海日誌…内容はどうだったんだ?」


闇商人「あぁイッコに全部読んでもらったさ…ビックリ事実が一杯書いてあった」


盗賊「話せよ…」


闇商人「今度ちゃんと話そうと思って居たんだけどね…まぁ軽く話して置こうか」



あの日誌はね…4000前から箱舟に乗ってこの時代に降りて来た古代人の書いたものだ


まぁ分かるよね?


それで今から40年ほど前に既にこの時代の人間の中で共存を始めて…


今の時代には無い古代の知識を使ってセントラルの貴族の中に入り込んで居たのさ


その殆どが女性…容姿がホムコさんの様に綺麗だから貴族の中で第二婦人という立場で入り込んで居たんだ


まぁ妊娠しないというのも有って貴族達の性玩具扱いだね


一方で男性は諜報員としていろんな所で活躍した様だよ…機動隊もそういう流れから発生したんだ


結論から言って彼らの求めて居る物は賢者の石


それを求めて40年間ずっと裏舞台で活動してるのさ



盗賊「ほーん…まぁ大体想像した通りだ…それほどビックリ事実じゃ無え」


闇商人「話は此処からだよ…」



だいたい20年前…光る夜を知って居るよね?夜が一瞬で昼間になったって言う…


その時古代人はエルフの森南部にある当時の公爵の領地で集中端末を一度復活させようとしてるんだ


でもその時システムのガーディアン機能と言う物が発動して核ミサイルによる電磁パルス攻撃を引き起こした…


それがその光る夜だ…


その電磁パルス攻撃によって集中端末は完全にシャットダウンしてしまった…


どうして集中端末を復活させたいかと言うと…失われた古代の情報がそこに眠って居るから


その情報から賢者の石の製法を得たいのさ…それがその当時の古代人と貴族の間で交わされた取引なんだ



盗賊「取り引き?」


闇商人「古代の知識を供与する代わりに賢者の石を精製する知識を求めたんだ…」


盗賊「ほーん…」


闇商人「実はその当時の貴族達は絶大な権力を持って居てね…平たく言うと地下の古代遺跡を独占してた」


盗賊「なるほど…機動隊でも近付けないってか」


闇商人「貴族間どうしでやり取りするしか出来なかったんだろうね」



そしてその交わされた約束を勝手に破棄した人物が居る…


それは僕達が知ってる人物…当時セントラルの第3皇子でルーデウスだ


ルーデウスは古代人に引き渡す予定だった錬金術で使う天秤や重力炉を破壊してしまったんだよ


その理由は定かじゃない


でもそれによって古代人からしてみれば賢者の石の精製法を失った事になる…


古代人は方針転換をせざるを得なくなった訳さ


そして生まれたのが僕達が良く知る機動隊…


彼等は世界中の地下に眠る古代の遺跡を探し回って今もなお賢者の石の製法を探してる


それは生き残るためだね



闇商人「4000年の時を超えてこの時代に降り立ったのは良いけど…彼らの土地は既に現在の人間に占領されてた」


闇商人「近付く事も出来ない位にね?だから貴族の中に入り込んで暗躍して来た歴史…それがあの日誌に書かれてる」


盗賊「俺にして見りゃビックリ事実はあんま無えなぁ…」ハナホジー


闇商人「歴史の裏側の事だから君にはあまり興味が無いのかもね…お宝の話は興味あるかい?」


盗賊「お!!?そんな情報あんのか?」


闇商人「旧セントラルの地下とエルフの森南部の地下はまだ沢山の区画が残って居る様だ」


盗賊「マジか…」


闇商人「当時の貴族達は君が得意な開かずの扉を開ける術を持って居ないからそのままなんだよ」


盗賊「おおおおお!!」


闇商人「こんな話も書いてあったな…その当時破壊の剣という何でも切れる剣があってそれを使って大爆発…」


盗賊「ぐは…それは一番やったらダメだ…お宝みんな吹き飛んじまう」


闇商人「いずれにせよ今はルーデウスがそこを支配してる…僕達はなんかそこに行く事になりそうだよね?」


盗賊「異形の魔物がなぁ…」


闇商人「ルーデウスは奇行が酷いらしい…気に入らない妾を集めて生きたまま共食いさせたりね…」


盗賊「なぬ!?人間同士共食いさせるってか?」


闇商人「すこしネジが切れてるのさ…この日誌の著者も関わらない様に逃げていた様だ」


盗賊「ルーデウスか…」トーイメ




『甲板』



ピョン クルクル シュタ!!



剣士「こんな感じ!!」ドヤ


賢者「そ…そんな…」タジ


剣士「イッコさんは体重が軽いから盾で受けるだけじゃ無くて動き回わらないとダメだよ」


賢者「でもそんな空中で回るなんて…」


剣士「練習してみよっか」


賢者「は…はい…」


剣士「まず手を使って一回転!!」クルリン シュタ


賢者「ええと…こう?」クルリン ドテ


剣士「コツを掴んだら一気に出来る様になるから練習だ!!」


賢者「いたた…」スリスリ


剣士「側転ならもっと簡単!!」クルリン シュタ


賢者「は…はい…」クルリン ドテ



ドタドタ



学者「兄貴ぃ!!肉焼いて来やしたぜ?」スッ


盗賊「おお気が利くな…てか先にラスに食わしてやってくれ」


学者「あらら?どうしたんすか…」


盗賊「此処ん所ラスに世話になってばっかでな…宿代から酒代から全部ラスが払ってくれてんのよ」


学者「確かに兄貴はラスさんに依存していやすねぇ…ニヒヒ」


盗賊「なんだそのニヤケヅラは」


学者「一緒に居るのが普通になってるんでそういう関係になったのかと思いやしてね?」


盗賊「前からそういう関係だタワケ」


学者「へいへい…ところでイッコさんは体術の練習始めた様っすね?」


盗賊「まぁベタ足じゃ限界が有るだろうからな?」


学者「こりゃ俺っちも練習しとかんと置いて行かれそうっす…」


盗賊「体術はここぞで絶対役に立つからお前も練習しとけ」


学者「そーっすね…ちっと混ざって来やす」




『荷室_アランのベッド』



カチャカチャ ゴシゴシ



盗賊「おおここに居たか…探したぞ」


女ハンター「何か用?」ギロリ


盗賊「用が無きゃお前に会いに来たらダメなんか?」


女ハンター「別に…」


盗賊「ふぅぅ…」ドテー


女ハンター「勝手に膝に乗らないで…分解清掃の邪魔!」


盗賊「そう言うなよ」ゴロン


女ハンター「ライフルはちゃんと整備しとかないとダメなの」カチャカチャ


盗賊「此処ん所それ使って無えな?」


女ハンター「弾薬が無かっただけ…今は沢山有るから使う」


盗賊「ボルトアクションの単発か…気に入ってんのか?」


女ハンター「一番壊れにくい…精度も狂いにくい」


盗賊「アサルトライフル一杯あんだから改造してみりゃ良いのに…あっちは自動装填だろ?」


女ハンター「1キロ先狙えないライフルなんか要らない」


盗賊「1キロか…」


女ハンター「ちょっと!!あちこち体を触らないで!!」


盗賊「撫でてるだけだろ…ミルクは撫でられると喜んだぞ?」


女ハンター「何…またシたいの?」ジロ


盗賊「そういう訳じゃ無え…一緒に居たいだけだ」


女ハンター「…」


盗賊「こうやって近くに居るだけで良い…俺の事は空気だと思え」


女ハンター「そう…じゃぁ邪魔はしないで」


盗賊「へいへい…」


女ハンター「…」---こんな風に寄り添ってくれた人が今まで居ただろうか---



---鬱陶しいけれど…心が安心を感じてる---


---多分私はこの人に依存して行く---


---間違い無く惹かれて行ってる---




『翌日_甲板』



ドタドタ ガサガサ



航海士「あと油と食材を積んだら荷入れは終いや!!」


盗賊「結構積んだな?満載か?」


航海士「そやなぁ…かさ張る物ばっかりや…リンゴあるで食うか?」ポイ


盗賊「おぉ!!フルーツか」パス


航海士「丁度旬やで安かったらしい」


盗賊「荷入れ終わったら出港か?」シャクシャク


航海士「カゲミからもう一人乗ると聞いとるでそいつが乗ったらやな」


盗賊「ほーん…」


学者「兄貴ぃ…やっぱマイさん戻って来やせんねぇ」


盗賊「しょうが無いぞ…もう行先も分からんだろ」


学者「良い子だったんすがねぇ…」ションボリ



ドタドタ



闇商人「こっちだよ…ゲート上がって行ったら荷室」


盗賊「お!?噂をすりゃカゲミの奴一人連れて来たな?いよ~う!!」ドタドタ


闇商人「あぁ!!例の傭兵を連れて来たよ…ベッドはマイが使ってたのが空いてるよね?」


盗賊「ぬお!!お前…」


槍戦士「うお!!これは…まさかこの船はお前達の船だったのか?」


学者「おろろろろ?」ドタドタ


盗賊「こりゃまた危無え奴が乗るのな」


闇商人「あれ?知り合いだったのかい?」


盗賊「まぁ狩場でちょっと有ってな…悪いが足枷は付けさせてもらうからそのつもりで頼む」


槍戦士「どうやら縁が在る様だ…お前が居ると言う事はあのネーちゃんも乗ってるんだな?」


盗賊「イッコの事か?」


槍戦士「ほう?イッコという名か…こりゃ楽しみだ」


学者「ちょちょちょ…イッコさんに変な薬使わんで下せぇ…今病気の治療中なんで色々影響出るかも知れんので…」


槍戦士「病気だと!?まさかナニの…」


盗賊「おいカゲミ!!そいつは危険人物だぞ?しっかり足枷付けとかんとお前もヤラれるぞ」


槍戦士「まさかお前も女…」クルリ


闇商人「おいおいアラン!!そういう事は言わないで欲しい…今までバレてなかったのに…」


槍戦士「フハハハ大人しくして居れば良いんだろう?そうだ大人しくして居れば…ナニに有りつける訳だ」


闇商人「ま…まぁ…船内を案内するから付いて来て」


槍商人「俺とした事が…匂いで気付けた筈なのに…」クンクン


闇商人「ちょ…首下で匂いを嗅がないで…気持ちが悪い」ゾク


闇商人「こりゃ処女の匂いだ…フハハハハ」


学者「あちゃーーー事件が起きそうっすよ…」


盗賊「何かありゃ足枷付けたまま海に落としゃ済む」


学者「あれ典型的な海賊っすよ…北の海賊…女の為なら何でもやるタイプの奴っす」


盗賊「そういう俺もそういう所有るけどな?ミファ然り…ラス然り…」




『1時間後…』



ヨッコラ ドスン!!



航海士「おーし!!油の積み込み終わったから出港できるで!!ゲート閉めるんや!!」


剣士「ゴッツさんちょっと待って!!」


航海士「なんや?まだなんか有るんか?」


剣士「ちょっとマイさん探して来る」


盗賊「なぬ!?」


剣士「マイさんはこの船に乗った男の人を探しに出たってイッコさんに聞いたんだ」


盗賊「探せるんか?何処に居るか分からんぞ?」


剣士「僕は鼻が利く…匂いで追えるさ」


盗賊「そうか…ほんじゃ行って来い」


剣士「日暮れまでには戻るから出港の準備お願い」シュタタ


女ハンター「フフ…今の話…」


学者「いやぁ…マイさん進んであの人の毒を口で吸い出して居たんすが…もしかして…」


女ハンター「一目ぼれ…可能性有りそう」


盗賊「一目ぼれする様な状況じゃ無かったと思うんだが…あいつはアリに食い殺され掛けてたぞ?」


学者「槍を教わりたいとか言って居やしたねぇ…」


盗賊「じゃぁアレか…あの男にもう一回会いたくて探し回ってるってか…それが船を降りる理由な?」


学者「マイさんは俺っちの彼女にしようと思ってたんすが…」


盗賊「まぁ良い…ス・エズー海峡通るにはまだ間が在るな?」


航海士「2日後や!!」


盗賊「付き合ってやるかぁ!魔法使える奴が居ると居ないじゃ大分変わるしな…」





『日暮れ』



シュタタ



剣士「ほら船に乗って?」


魔法使い「な…なんか皆に顔を合わせにくい…」


剣士「何とも思って無いさ…ほら早く!!」


盗賊「おおマイ!!戻って来たな?」


魔法使い「ロイドさんが船に乗って居ると聞いて…」フラ


盗賊「フラフラじゃ無えか…寝ずに探し回ったんだな?」



ヨタヨタ



槍戦士「んん?」


魔法使い「あ…」


槍戦士「おお魔法使いのネーちゃんか…お前のお陰で随分回復早くてな…世話になったなぁ…」


魔法使い「…」ダダダ


槍戦士「おっとどうした?悪いが今金貨持って無え…又今度にしてくれ」


魔法使い「け…結婚してください」


盗賊「ぶっ!!」ドテ


学者「あらららら?」


槍戦士「なんだなんだぁ?何かの詐欺か?」


魔法使い「ひ…一目ぼれです…どうか私と結婚を!」


槍戦士「おいおい…俺は一人の女で収まる器の男じゃ無え!なんらなら買ってやってもいいがあいにく今は金が無えのよ」


魔法使い「い…いくらで?」


槍戦士「相場は金貨6枚だが…な…なんかおかしく無えか?」


魔法使い「売ります…金貨6枚は後で貰えれば良いです」


槍戦士「そら願っても無い相談だが…俺は一人の女で収まる器じゃ無えと言った筈だぞ?」


魔法使い「一回に付き金貨6枚…という事は10回で金貨60枚…20回で120枚…」


槍戦士「俺を独占しようってか…マテマテなにか話がおかしい…なんで俺が金を払う想定になる」


魔法使い「買うと言ってるから売る算段を…」


槍戦士「だから俺は一人の女で収まる器じゃ無えと言ってるだろ」


魔法使い「その分私が売れば問題無いかと…」


槍戦士「おいお前人の話を聞いて無いだろう!!ほんでなんで俺が金を払うんだ!!」


魔法使い「だから買っても良いと言って居るから…」


槍戦士「だぁぁぁぁお前はアホか!!」



アーデモナイ コーデモナイ



学者「あたたたた…なんなんすかこの馬鹿な会話は…」


盗賊「おら船出すぞ…碇上げろ」


学者「そーっすね…付き合っとれんすわ」


盗賊「なんだか…あの傭兵も大概頭が逝かれてそうだ」


学者「違い無えーっす」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ