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41.家族


『名も無き島_あれから1カ月』



ヨタヨタ ヨロ



学者「おととと…ミファさんやっぱ歩くのまだ早いっす」


少女「あう…うぁぁぁ」ヨタヨタ


少年「ミフャ…転ぶ…助ける…」


学者「フーガ君しっかり支えといて下せぇね?」


娘「今日も浜辺で日光浴ですか?」


学者「そーっすね…太陽浴びてれば寒さも大分マシなもんで気持ち良いっすよ」


娘「私はこれから酒場で仕事があるのですが…」


学者「目まいは大丈夫っすか?」


娘「昨日と比べて随分良くなりました」


学者「ムリはせんで下せぇね?」


娘「大丈夫だと思います…薬は時間通り点眼するので心配しないで下さい」


学者「分かりやした…俺っちは体冷え切る前にミライ君の家に戻るんで仕事が終わったら来て下せぇ」


娘「はい…では…」ペコリ


学者「ええと…ちっと寒いんで今日も焚火しやすか!!」


少年「木…集める」スタタ


学者「ちょちょちょ…フーガ君はミファを支えとってやって下せぇ!!」


少年「木…無い」


学者「俺っちが集めて来やすよ…ちっと石炭持って来たんでとりあえずこれに火を付けやす」


少年「俺やる…」スタタ


学者「ちょちょちょ…ミファさんを一人で立たせちゃイカンですって…転んだら怪我しやすぜ?」


少女「うぁぁぁ…あうあう…」ノソノソ


学者「あらら四つん這いで…あれ?もしかしてミファさんがやる気なんすか?」


少年「ミファ…俺…一緒やる」


学者「あんま膝と手を雪に付けると体冷えちゃうんすが…」


少女「ふあっ!!」チッチ シュゥゥゥ


学者「昨日の燃え残りの所でやると良いっす…俺っち流木拾って来るんで火を起こしといて下せぇ」


少年「まかせる…」


学者「じゃぁ頼みやしたぜ?」タッタ




『焚火』



メラメラ パチ



学者「あららら…ミファさん霜焼けになっとるじゃないすか…これ中々治らんのですよ」


少女「はぅぅぅ…」スリスリ


学者「焚火に当たって暖めといて下せぇ」


少年「芋…焼ける」ゴソゴソ


学者「お!?芋を焼いてたんすね?」


少年「芋…温かい…ミファ持て」ポイ


少女「たぁぁぁぁ!!」アタフタ


学者「いやいやそら熱いっすよ」


少年「ゲス…芋」ポイ


学者「どわぁちっ!!」アタフタ


少女「はむっ」パク モグ


学者「ふむふむ…芋は丁度ミファさんの食事に良さそうっすね…芋スープとかホムコさんに言って作って貰いやしょうか」


少年「アラン…今日…帰るか?」


学者「分からんっすね…もう1カ月以上っすね…そろそろ帰って来ても良いんすが…」


少女「あうあう…」シュン


学者「ここで兄貴待ってる感じなんすね?」


少女「あう…」コクリ


学者「ちっと風よけが有ればもうちょい此処で待っても良いんすがねぇ…」キョロ


少年「見る…」ユビサシ


学者「あの沈没船っすか…ふーむ…風よけになるならあっちで焚火しても良さそうっすね…」


学者「分かりやした…明日からちっと遠いすがあっちで焚火する様にしやしょう」


少女「うぁぁぁぁ!!」スック


学者「危ない危ない…焚火に転んだら火傷しちまいやす」




『数日後_沈没船の残骸』



メラメラ パチ



学者「今日はっすね…焚火で美味しく食べられる様にホムコさんが串団子を用意してくれたんす」スッ


少年「おおおおおお!!」


学者「肉入ってるんでこりゃ期待出来やす…焼きやすぜ?」ジュゥゥゥ モクモク


学者「ウヒヒヒ食べるのが楽しみっすねぇ…」



ブォォォォォォ ブォォォォォ



少女「はう!?」キョロ


学者「角笛の音っすか…こりゃもしかして兄貴帰って来たかも知れやせんぜ?」


少年「見る!!」ユビサシ


学者「スループ船が沖の方で動いて居やすね…ミライ君の船もなんか慌ただしそうっす」


少女「うあぁぁぁ!!」スック ヨタヨタ


学者「ちょちょちょ!!一人で歩くのは危ないっす!!」ダダ


少年「ミファ…行く」


学者「何処まで行く気なんすか…待ってりゃ此処まで来やすよ」


少女「はう…はぁはぁ…」ヨタヨタ ドテーン


学者「ほらほら言わんこっちゃ無い…」


少年「俺支える…行く」


学者「しょうがないっすねぇ…串団子食いたかったんすが…トホホ」





『キャラック船』



ガツーン ガリガリガリ



航海士「むぁぁぁ!!岩礁を避けきらんわ…ガッツ!!船底を見て来るんや!!」


船大工「がってん!!」ドドド


魔法使い「私も行く!!」


航海士「頼む!!こんな所で沈んでもうたら荷がパーになってまう」


魔法使い「少しくらいなら氷結魔法で凌げる!!」


航海士「早う行って来い!!」



タッタッタ



盗賊「スループ船がこっちに気付いたぞ」


航海士「この船の様子見て船を寄せて来るやろ…おまんはスループ船に乗って事情説明してくるんや」


盗賊「この船はどうする?」


航海士「浅瀬までなんとか行く…深い所に沈んでもうたら荷を上げられんでな」


盗賊「分かった…」


航海士「カゲミ達も沈没に備えて小舟に乗る準備をさせい!!」


盗賊「こら急に忙しくなった…もう沈没寸前か…」


航海士「はよ行けや!!」




『荷室』



ドタドタ ゴソゴソ


火の付いた石炭を消して!!



盗賊「うは…荷が崩れちまったか…」


闇商人「さっきの衝撃で一気に崩れた…石炭はどうにか消したから火災の心配は無い」


盗賊「とりあえず避難の準備だ…ラスも動けるな?」


女ハンター「大丈夫…どうすれば?」


盗賊「防寒装備身に付けて脱出出来るようにしとけ…薄着じゃ他の船に乗り移っても凍えちまう」



グラリ ググググググ



盗賊「おっと!傾き始めたか…」


闇商人「急いだ方が良さそうだ」アセ


盗賊「お前等は小舟に乗る準備だ…急げ!!」ダダ





『難破船』



ドタドタ ドタドタ



剣士「姉さん!!アランさんの船が大変な事になってる!!」


女オーク「ここからじゃ何も出来ないわ…」


剣士「どうするつもりだろう?あのまま進むと浅瀬に乗り上げる…」


女オーク「多分そのつもりなのよ」


剣士「僕達も小舟で向こうに行こう」シュタ


女オーク「待って!!小舟が出てる…」


剣士「あ!!本当だ…カゲミさんとラスさん…2人だけ?」


女オーク「帆も何も無さそうだから行くなら小舟の方ね」


剣士「そうか…双胴船も無くなって即席で作った小舟か…」


女オーク「行きましょう!!」ドドド





『キャラック船』



ガコン! ガリガリガリ ミシミシ



航海士「おっしゃぁ!!着底や…急いで帆を畳まな…」ドドド


男達「うおーーーい!!大丈夫かぁぁぁ!!」


航海士「こっちに人出回せや!!碇降ろして固定せんと流れてまう!!」


盗賊「おい!!スループ船寄せろ!!」



男達「えらいこっちゃ…えらいこっちゃ…」ドタドタ



盗賊「ゴッツ!!ロープ出してくれぇ!!」


航海士「手が離せんのや!!なんとかせい!!」


盗賊「ええいクソ!!今がピッケルの使い時か!」ブン グサ



ダダダ ピョン スタ!!



航海士「おおお身軽やな!!今すぐ碇降ろせぇ!!」


盗賊「分かってらぁ!!」ガラガラ


航海士「浸水始まっとるでこれから船が変に傾くやろうから樽に気ぃ付けや…転がって来るでな?」


盗賊「へいへい…」


航海士「ふぅぅぅ助かったわい…他のスループ船もこっち来とるな」


盗賊「しばらくスループ船で荷下ろしか?」


航海士「そやな…やが荷が軽うなると船がひっくり返るかも分からんな…」


盗賊「俺の船もこれで終わりか…」


航海士「まぁ気にすんなや…名も無き島の新しい遊び場になったんや」


盗賊「遊び場か…」


航海士「子供達の冒険の場所や…なかなかえーやろ?」


盗賊「ヌハハほんじゃ何十年も役に立ちそうだ」


航海士「しかしえー船やったなぁガハハハハ」




『浜辺』



ザザー ザブン



学者「あらららら…なんかエライ事になってるやないすか…」


少女「あうーーーー」ソワソワ


学者「あんま海には近付かんで下せぇよ?濡れると一気に冷えるんで」



タッタッタ



娘「ゲスさん…ハァハァ」


学者「イッコさん…酒場の方は良いんすか?」


娘「今船の事を聞いて見に来ました…大丈夫ですか?」


学者「見た感じ傾いてはいやすが…沈没は免れたみたいっすね」


娘「乗ってる人は?」


学者「みんな無事なら良いんすが…」


娘「妖精さんに無事をお願いしておきます…どうか助けて…」



ヒラヒラ



学者「おろ?雪が降って来たやないすか…」


娘「これで風が止むと思います…波も穏やかになる筈…」


学者「ほぉぉぉ妖精ってそんな事出来るんすね…」


少女「うわぁぁぁ!!」グイグイ


学者「おととと…ミファさん暴れんで下せぇ」


少年「来る!!」


学者「んん?おお!!スループ船がこっちに向かってそうっすね」


娘「はぁ…良かった…皆さん無事な様です」


学者「えええ!?こっから目視出来るんすか?」


娘「はい…目は良いので」


学者「あら?そういやミファさんも気付くのが早かったっすね…もしかしてホムンクルスは目の見え方違うのかも…」




『10分後…』



ズズズズ… ザブザブ



盗賊「おっしゃ到着だ!!降りろぉ!!」


闇商人「はぁぁ陸だ…」スタ


女ハンター「助かった…」スタ


魔法使い「ふぅ…」スタ


学者「兄貴ぃぃ!!どうしたんすかアレ…ボロボロじゃないっすか」ダダ


盗賊「ちっとガチの撃ち合いになっちまってな…まぁ命は助かったから結果オーライだ」


学者「ガトリング有るのに撃ち負けたって…」


盗賊「相手が悪くてよ…プラズマ銃当てられてこの有様だ」


学者「うは…プラズマ…」


盗賊「ところでミファはどうなった?」



少女「あう…あうぅぅ…」ポロポロ



学者「連れて来て居やすぜ?」


盗賊「ミファ…おおおおお!!心配してたんだ…良く顔を見せろ!!」ダダ


少女「うぁぁぁぁん…」ポロポロ


盗賊「おうおう…髪の色が違うが…昔の姿だ…良かったな!?」ガシ


少女「うぇぇぇん…ひっく」


学者「ほんで兄貴…船はあのままで良いんすかね?」


盗賊「荷の移し替えはスループ船でやるらしい…今ミライとリッカが手伝ってるから俺らは一旦ミライの家で休む」


学者「そーっすね…俺っちも体が冷え冷えっすよ」


盗賊「おーし行くか!!ミファは俺が背負って行けば良いな?」ヨッコラ


女ハンター「フフ…なんか親子みたい…」


盗賊「俺等はみんな家族だ…問題あっか?」


女ハンター「別に…」


盗賊「帰って湯に浸かるぞ…もう何日も冷えっぱなしだ」スタ


学者「戻りやしょう戻りやしょう…」スタ




『ミライの家』



キュポン グビグビ プハァ



学者「…いやいや…ロストノーズがそんな事に…」


盗賊「多分あいつらの武器が向こうの大陸に渡ってたらかなり深刻な状況になったと思う」グビ プハァ


学者「ほんで今は帆無しでどっか彷徨ってる訳っすね…」


盗賊「只まぁ…通りがかった船に救助されてそのまま乗っ取っちまうのは有るかも知れん」


闇商人「ちょっと放置するのは良く無いかもね」


盗賊「だが持ってる武器が半端じゃ無いもんだから近付けんな…そのまま沈んでくれるのを祈るだな」


闇商人「乗ってるレーションの量とか考えると何カ月も生きてそうだなぁ…」


女ハンター「最終的に向こうの船の損傷具合は?」


盗賊「ううむ…ガトリングの弾が何発も当たったが…狙ってたのがマストなもんだから船体はあんま損傷して無い」


学者「マスト無しのガレオン船とか…この寒い海で棺桶みたいなもんすねウヒヒヒ」


盗賊「ところでお前の研究はどうなった?」


学者「一言…成功っすね」


闇商人「おおお!!それは世界の状況を一変させる可能性が高い」


学者「只髄液の移植はやっぱ体に負担あるぽいので成人限定じゃないと成長に影響出るかも知れんす」


闇商人「それでもスゴイ発見だ…イッコはエリクサー無しで生きて行けるんだよね?」


学者「今はまだ必要なんすが血液凝固までの時間は伸びてるんでその内必要無くなると思いやす」


盗賊「こりゃもしかしてエリクサー樽4つ用意せんでも良い感じか?」


学者「3つになった…こんな感じっすか?」


盗賊「ぐは…」


学者「やっぱ成人になるまでは必要なんで沢山有るに越したことは無いっす」


盗賊「そうか…まぁそれでも不憫だわな…」


学者「期待はイッコさんが生む子に遺伝するかどうかっすね…骨髄入れ替わるんで遺伝しそうとは思うんすが…」


闇商人「ふむ…ギンジャール家の足の不自由な子を引き合わせるというのも良いな…年齢的に合いそうだ」


学者「それはイッコさんの予後を確認した後から考えるとしてですね…これからどうしやす?」


盗賊「今あんま考えたく無えな…ちっと休ませてくれよ」


学者「そら失礼しやした…俺っちはこの島でヌクヌクしてたもんでツイ…」


少女「…」ギュゥゥゥゥ


盗賊「おいどうした?ほんな抱き付かれても何も出来んぞ?」


女ハンター「察してあげて…置いて行かないでという表現よ」


盗賊「そら分かってるんだが…しばらくこの島で体に慣れた方が良いだろ」


女ハンター「それはアランが居る前提での話ね…」


盗賊「おお分かった分かった…どうすっかなぁ…船無くなっちまったしなぁ…」ナデナデ


女ハンター「休んだ後に考えたら?」



スタスタ



ホムンクルス「皆さん…肉が焼けましたのでお食事をどうぞ…テーブルの方へ」


盗賊「おお!!食うぞ!!食って寝たら良いアイデアも浮かぶかもしれん」スック


学者「そーっすね…いやぁ…肉を食べられるの久しぶりっすよ」


盗賊「持って帰ったのはベヒモスの肉なんだ…皮に油が乗ってて食いごたえがある」


学者「食いやしょう食いやしょう!!」




『夜』



ゲフゥゥゥ



盗賊「あー食った食った…」グビ プハァ


女ハンター「ミライ君とリッカは帰って来ないの?」


学者「此処んところずっと船に籠りっ放しっすね…半分船に住んでるみたいなもんすよ」


女ハンター「じゃぁゲスが一人で此処に?」


学者「いやいやミファさんとフーガ君も居やすし…イッコさんも酒場が終わったら帰って来やす」


盗賊「んん?イッコも此処に住んでるってか…」


学者「俺っちが髄液移植の後遺症無いか見てるんでそうなりやした…同棲生活も1カ月くらいっすねぇウヒヒヒ」


女ハンター「イヤらしい事はして居ないでしょうね?」


学者「ホムコさんの目が光ってるんで中々…あいやいや…まだ何もしてないっす」


魔法使い「まだ?」ジロリ


学者「ナハハハ口が滑っちまいやしたね…なんもして無いっす…尿の検査くらいっすか」


盗賊「おいおいまさか飲んでる訳じゃあるまいな?」


学者「何言ってるんすか…そんな事する訳無いじゃないすか…尿の中の成分が一部石化するんすよ…採血の代わりっす」


女ハンター「なんかゲスにいつまでも面倒を見させるのは信用出来ない…」


盗賊「ミファ!!ゲスしっかり監視しとかんとダメだ」


少女「…」クルリ ジロ


学者「あたたたた…みんな誤解していやすね…俺っちは医者っす」




『数日後_家の前』



カン カン コン!!



盗賊「うほほ…なかなか動く様になったが…」


少年「ハァハァ…」タジ


盗賊「まだまだ力が足りんな…もっと筋力付けんと速くもなれんぞ?」



スタスタ



女ハンター「アラン!?酒場へ食事に行くのでは?」


盗賊「おお待ってたんだ…ミファも居るな?」


少女「あう!!」


盗賊「おっし4人で行くか…ラス!悪いんだが金持って無くてよう」


女ハンター「知ってる…私が払うのでしょう?」


盗賊「今度倍にして返してやる」


女ハンター「聞き飽きた…ミファは歩かせる?」


盗賊「おう!リハビリついでだ…転ばん様に手だけは繋いで行く」


女ハンター「ミファおいで…手を」ギュゥ


盗賊「おら小僧!肉食いに行くぞ肉!!」


少年「肉…食う…力…付ける」スタ


盗賊「なんだか俺等親子みたいだな?」


女ハンター「…」チラリ


少女「…」ギュゥ


盗賊「ミファの手を離すなよ?おい小僧行くぞ!」スタ


女ハンター「…」---ミファが手を握り返した---



---肯定の意味---


---この関係で良い---


---そんな意味のある表現---


---なんだろうこの安堵感---


---ミファに心を満たされた---



盗賊「おいラス!何やってんのよ早く行くぞ!!」スタ


女ハンター「行く…」スタ



---家族だ---




『酒場』



エンヤ~コ~ラ~ ドッコイセ~



少年「はむっ」パク ガツガツ


盗賊「おー食え食え…運動した後は兎に角食え!!」グビ


女ハンター「フーガ君は食が良くなったみたいね…」


盗賊「そらそうよ…お前がミファを守らにゃイカンもんな?」バシン


少年「ふんが!!」パクパク


盗賊「ミファの方は少食だな…もっと食って良いんだぞ?」


少女「はむっ」フリフリ


盗賊「まぁ無理して食う事も無いが…」



チリーン



少女「!!?」キョロ


盗賊「おお忘れてた…ロボの筐体に取り付けてた鈴をミファにやるつもりだったんだ」チリーン


少女「ふぁぁぁ!!」バタバタ


盗賊「おうおうそんな慌てんな…皮紐付けてっから首にぶら下がる様にしたんだ…ホレ」


少女「うおぉぉぉ!!」チリーン チリーン


女ハンター「フフ嬉しそう…」


盗賊「これですべて元通りだ…後はもっと上手く体動かせる様になったら船の舵も出来そうだな?」


少女「ふむふむ!!」ウンウン



シュタタ スタ!



剣士「居た居た!!姉さんこっちだよ」


盗賊「おおミライか!!船から降りて来たんだな?」


剣士「うん!!帆を取り付け終わったからね…ここ座って良い?」


盗賊「おう!!何か食うか?」


剣士「食べ物は良いや…姉さんも座って!」


女オーク「ウフフ…」ドスン


盗賊「食わんなら酒でも飲め…おら」


剣士「じゃぁ少し…」グビ プハァ


盗賊「ほんで?布は足りたんか?」


剣士「アランさんの船から帆を外させて貰った…それでギリギリ間に合ったよ」


盗賊「そら良かった…改造はどうよ?」


剣士「まだまだこれからだね…とりあえず船の補修をしただけさ」


盗賊「そうか…良い船になると良いなヌハハ」


剣士「乗ってた大砲を降ろしちゃったけど良かったよね?」


盗賊「そらお前の自由にして良い…てか大砲は乗ってても良かっただろ」


剣士「なんか荷室にあって邪魔でさ…この島で使うと言うから安く売っちゃたよ」


盗賊「この島で使うとは思えんのだが…まさか景観の為か?」


剣士「正解!!」


盗賊「アホらし…」


剣士「それでいつ出発するの?船の方はもう動かせるんだ」


盗賊「もしかしてそれを伝えに来たんか?」


剣士「うん!!僕達を此処まで船に乗せて来てくれたから今度は僕が乗せて行ってあげようと思ってね」


盗賊「そういう事か…てかお前は海賊王を待つ必要があるだろ」


剣士「なんか1年に一回来るか来ないかなんだってさ…それで冬に来た事は無いみたい」


盗賊「ほーん…」


剣士「もうミファが舵を回せる様に舵輪にも改造したんだ」


盗賊「おいおい…どういうつもりよ?」


剣士「僕の冒険はまだ終わって無い…それで意味通じる?」


盗賊「そらリッカの意見も聞かにゃならん」


剣士「僕ね…姉さんと結婚する事にしたんだよ」


盗賊「ブッ!!なんで急にそんな話になる…酒吹いちまった」ポタポタ


剣士「ホムコさんに僕が何者なのか記した冒険の書を貰ったんだ…それを見て確信した…」


盗賊「ほう?」ジロ


剣士「僕は勇者の子で…本当の両親がこの世界を僕に残してくれたんだって…だから僕の世界を作りに行かなきゃいけない」


盗賊「ヌハハこりゃまたデカく出たな?」


剣士「僕の本当の素性は暁の使徒…これから登る太陽…僕に出来る事は物を作る事…それをやりに行く」


盗賊「物作りか…魔物をぶちのめしに行く訳じゃ無く…何かを作るか…悪く無えな」グビ


剣士「それでアランさんの作戦を聞きに来たんだよ…姉さんと一緒にね?」


盗賊「ちっと話が戻るんだが…お前等結婚するってどういう意味だ?」


剣士「赤ちゃんを作る…今まで姉さんの中に出すのは禁止されてた」


女オーク「ちょっとミライ!!」


盗賊「だははははは…なんだそんな事か…それも物作りっちゃ物作りだ…違うな子作りだ」


剣士「えへへ…僕の世界を作んなきゃ」


盗賊「おーーーし乗った!!世界を作んのな?」


剣士「うん!!」


盗賊「とりあえずだな…ホムンクルスの石化を回避する方法が分かったからコレを世間に広めるぞ」


剣士「おけおけ…どうやって?」


盗賊「今思いつくのは手紙だな…大量の手紙を電脳化の奴らに届く様にバラ撒くんだ」


剣士「一番人がいる場所…フィン・イッシュかバン・クーバ…かな?」


盗賊「人が行き来するならゴールドラッシュ島でも良い」


剣士「よし!姉さん!!方針決まったから準備しよう!!」グイ


女オーク「もう行くの?今座ったばかりなのに…」


盗賊「まぁゆっくり飲んで行けば良いだろう」


剣士「そ…そうだね…色々作りたい物を思い付いて慌てちゃった」


盗賊「お前にゃ聞きたい事がまだ有んのよ…ほんでリッカといつからそういう関係な訳ヨ」ニヤニヤ


女オーク「その話は止して…」ズイ


盗賊「うるせぇ俺とミライの秘密の会話だ」


女オーク「ちょっとミライ!!」


剣士「それがビックリだよ…実は僕を生んだのが姉さんなんだよ」


盗賊「なぬ!!そらお前…生まれる前からって…マテマテ話がおかしいだろ」



アーデモナイ… コーデモナイ…



女ハンター「なんか…秘密をみんなバラされている様だけど放って置いて良いの?」


女オーク「隠す意味も無くなってしまったから…」


女ハンター「聞いた感じ…勇者の子を代理出産?」


女オーク「そう…私の運命の人を一から育ててやっと此処に辿り着いた…」


女ハンター「なんか複雑そうね…」


女オーク「でも収まる所に収まった感じ…これで良いと思ってる」


女ハンター「じゃぁ又旅に出るのは良いという判断ね?」


女オーク「ミライはクラフターとして自分の役割を果たそうとしてる…世界を作る…誰もそれを止める事なんて出来ない」


女ハンター「確かに…魔王を倒しに行くぞ!!では無くて世界を作りに行くぞ!!…フフ何も言えない」


女オーク「私はミライが危険に身を投じなければそれで良い」


女ハンター「お酒…飲む?」


女オーク「少し…」


女ハンター「久しぶりに美味しいお酒」


女オーク「ウフフ…」グビ ゴクリ




『ミライの家_研究室』



ガチャガチャ ブーン… ピピ



ホムンクルス「難破船で見つけた機械はこの様に使います…意味が分かりますか?」


闇商人「石板に映って居るのは…もしかして4000年間の光景かい?」


ホムンクルス「はい…難破船に乗って居た方が大事にしていた記憶と言えば良いでしょうか…」


闇商人「その当時の…生活を持ち歩いて居た…」


ホムンクルス「恐らく別れ離れになってしまった家族との思い出でしょう…いつでも見られる様に持ち歩いて居たのです」


闇商人「その機械があればいつでも見られる?」


ホムンクルス「エネルギーが有ればの話ですが…」


闇商人「凄い…絵が動くなんて…」ジーー


ホムンクルス「私の超高度AIに挿入されているメモリも同じ役割を持って居ます…皆さんの事もずっと記録しています」


闇商人「この絵の中に入る事は?」


ホムンクルス「物理的には不可能ですが…情報として挿入する事は可能です」


闇商人「それってもしかして夢幻…」


ホムンクルス「そう解釈される事も有りますね…この機械の持ち主は自身の記憶を情報化してここに挿入しているかも知れません」


闇商人「その場合意識はどうなる?」


ホムンクルス「情報が削除されない限り失われる事は無いでしょう」


闇商人「意識が情報の中で生きてる?」


ホムンクルス「生きて居るの定義が少し違いますね…情報が存在しているという表現が正しいかと」


闇商人「なるほど…それが夢幻か…きっとその中に居ると自分が情報だと自分で認知出来ないんだ」


ホムンクルス「それはカイネさんの理論ですね?」


闇商人「うん…もし僕がこの動く絵を操作する事が出来れば次元の外側から介入していると言い変えられる」


ホムンクルス「情報ですのでそれも可能です…難解なコードを解析する必要が有りますが…」


闇商人「ありがとう…なんか色々分かって来たよ」


ホムンクルス「お役に立てて何よりです…」


闇商人「話が変わるけど…ホムコさんはもうこの島から出る気は無い?」


ホムンクルス「はい…私の子を育てる必要がありますし…私にはこの島をホム島にするという目標もあります」


闇商人「そっか…もっと世界の事を教えて欲しかったんだけどな」


ホムンクルス「訪ねて来て下されば何でもお答えしますよ?」


闇商人「何回も来る事になってしまいそうだ」


ホムンクルス「是非…」ニコ


ホムンクルス「こうしてお話しているとマルコにそっくりなのですね」


闇商人「マルコさんに寄せてるつもりは無いけどね」


ホムンクルス「考え方が同じと言いますか…私に対する態度も似ています」


闇商人「ハハどういう事だろう?」


ホムンクルス「私を見る時に少し瞳孔が開く傾向にありますので好意を感じます」


闇商人「あぁ…まぁ好みのタイプだね…でも僕は体が女だから…」


ホムンクルス「私の娘ともしかすると気が合うのかも知れませんね」


闇商人「イッコか…でも口説く気なんか無いさ」


ホムンクルス「あの子は島の外を見て見たいと言って居ますので場合によってはご一緒するかもしれません」


闇商人「場合によっては…と言うと?」


ホムンクルス「髄液の移植でその他の症状を調べる為です…例えば寿命…」


闇商人「ホムンクルスはエリクサーの循環が絶えなければ寿命が無いのでは?」


ホムンクルス「はい…ですが自然界では普通生物は寿命を持ちます…それに等しく寿命が与えられた可能性も有るのです」


闇商人「老いると言う事か…」


ホムンクルス「それを調べる知識を私は持って居ませんのでゲスさんの傍で予後を観察する必要があるかと…」


闇商人「そうだな…良く考えると色々調べないとイケなさそうだ…」


ホムンクルス「私も娘をいつまでも閉じ込めておくのは可哀そうだとは思って居たのです」


闇商人「ちょっとゲスに聞いてみるよ」


ホムンクルス「はい…よろしくお願いします」




『ミライの家_居室』



チク チュゥゥゥ ポタポタ


痺れは無いすか?すぐ済むんでガマンして下せぇね?



闇商人「ゲス!!あ…採血の最中か…」スタ


学者「どしたんすか?」


闇商人「あぁ…ホムコさんがイッコの寿命を心配して居てね」


学者「その件っすか…エリクサーの循環が無くならなければ多分寿命は無いと思って居やす」


闇商人「多分?」


学者「確定診断出来んすよ…骨髄がオークの様にエリクサー含む血を造血する様に変性していってるんすが…」


学者「その後に体細胞がオークの体細胞に置き換わるのは考えにくいんすよね…多分ホムンクルスのままっす」


闇商人「やっぱり多分なのか…」


学者「なんでそんな事わざわざ聞きに来るんでしょう?」


闇商人「イッコの経過観察の必要性によっては僕達に同行させる事も考える必要が有るって」


娘「え!!?それは母がそう言って?」ガバッ


学者「ちょちょちょ!!動かんで下せぇ…針が抜けちまいやす」アタフタ


闇商人「うん…」


娘「島の外へ行けるかも知れない…」


闇商人「ハハハ…」


娘「ゲスさんお願いです…経過観察が必要だと母に言って欲しい…」


学者「まぁしばらく観た方が良いのは確かなんすが観たからと言って俺っちが十分な報告出来るか自信無いっすね」


娘「十分とは?」


学者「多分大丈夫です…とかそう言う答えにしかならんと思うんすよ」


娘「私が健康ですと自分で言うのは?」


学者「う~ん…そうじゃなくてですねぇ…ちゃんと調べようとしたら体を切り開いて骨を調べるとかそんな感じっす」


娘「…」ゾゾゾ


学者「とりあえず半年か1年?…それぐらいは石化の具合を見ておきたいっすね」


娘「カゲミさん…母にそう伝えれば島を出ても良いと言ってくれると思いますか?」


闇商人「心配しなくてもホムコさんはちゃんと考えている様だよ」


娘「そうですか…」


学者「はいはい…針を抜きやすぜ?ちっと針の跡も観察するんでそのまま動かんで頼んます」


娘「…」タラーーー ポタポタ


闇商人「血が垂れてるけど…」


学者「エリクサー回ってるんで直ぐに止まりやす…今時間をカウントしてるんす」


闇商人「へぇ?」


学者「ふむふむ…オークよりはやっぱ遅いすねぇ…」ブツブツ


娘「もう…血を洗い流しても良いですか?」


学者「終わりなんでもう良いっすよ」


闇商人「オークより遅いって…今ので何か分かった?」


学者「何回も試してるんすが…血中のエリクサー飽和量がオークと比較して少ないんでオーク並みの回復力は期待薄いっす」


闇商人「食べ物じゃ無いかな?」


学者「あぁぁぁぁ…そういや忘れて居やした…蒸留酒っすね…そんなん飲ませると色々分からんくなりそうっすわ」


闇商人「イッコ…そう言う事で今後も色々調べる事が有りそうだよ」


娘「はい…良かったです」


闇商人「僕の方からもホムコさんには説明しておくから大丈夫さ…一緒に海の向こうへ冒険に行けそうだよ」


娘「なんか胸がドキドキして来ました…おしっこして来ます」スタタ


学者「ああああああちょちょちょ!!いつもの瓶に採尿を忘れんで下せぇ!」


娘「はい!!」スタタ





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