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33.帰路


『一方…魔女の塔では…』



狼女「カイネ!そろそろ時間だから戻るわ」


塔の魔女「そうね…あっという間に時間が過ぎてしまったわね」


盗賊「お袋ぉ!なんか色々貰ちまったが…ありがとな?」


塔の魔女「気を付けて名も無き島まで行くのよ?」


盗賊「おう!!まぁ又ちょいちょい顔出すわ」


塔の魔女「次来る時はアランが守って居る子も連れて来なさい?」


盗賊「ロボな…」


塔の魔女「ミライ君や他のお友達にも挨拶がしたいわ?」


盗賊「わーったわーった…朗報を期待しててくれ」


狼女「アラン!行くわよ…」


盗賊「おっし!行くか!!」ダダ


塔の魔女「…」---走り方もあの人と同じ---



まるで出港する船を見送っているような


言葉に出来ない空気をもった背中…


また時代が動きそう…




『牢屋』



ヌキアシ… サシアシ…



隊長(戻ったな?…時間通りだ…)


女狐(時間一杯使ってしまって悪かったわ)


隊長(気にするな…そのまま堂々と看守の前を通るのだ…行くぞ)



スタスタ



隊長「看守…尋問は済んだ…見張りご苦労」スタ


看守「ハッ!!」


女狐「…」ペコリ スタ


盗賊「…」スタスタ


学者「…」ドモ


女ハンター「…」スタ


闇商人「…」キョロ



スタスタ



隊長「よし…裏口から出たら気球発着場へ向かうのだ」


女狐「予定通りね?」


隊長「もう旦那と娘は待って居る筈だぞ?」


女狐「分かった…急ぐわ」


隊長「例の書簡の情報は又今度聞かせて欲しい」


女狐「使いを出すからそれまで待って居るのね」


隊長「期待している」


女狐「アラン!私達は此処でお別れ…あとは自分たちで行動しなさい」


盗賊「その様だな?」


女狐「用が済んだら合流するのよ?」


盗賊「へいへい…」


女狐「じゃ…そういう事で」シュタタタ


隊長「私も此処までだ…裏口を潜ったら元来た道を戻るんだ」


盗賊「おら行くぞ!!」ダダ


隊長「ふむ…さらば!!」



ガコン ズズズズ



学者「じゃぁ戻りやすかぁ」




『翌朝_お化け屋敷』



チュン チュン ピヨ



盗賊「ううむ…どうもリコルとミルク居無えと寂しいもんだ…」


闇商人「まぁ早く帰ってミライ君達と合流しよう」


盗賊「だな?」


学者「今全員の金貨集めて気球借りるの足りやすかね?」


闇商人「どうだろう?」


盗賊「馬車で戻りゃ良いじゃ無えか」


学者「ぬかるみ多くてなかなか大変みたいっすよ?」


盗賊「車輪が埋もれちまうってか…」


闇商人「とりあえず僕はこれだけ出せる」ジャラジャラ


学者「俺っちも出しときやしょう」ジャラリ


女ハンター「私はこれだけ…」ジャラリ


盗賊「分かっちゃ居るが…俺が一番少無えな…」ジャラ



ひいふうみい…



学者「どうすか?」


闇商人「う~ん…あと金貨20枚足りないね」


学者「昨日作ったポーションを全部売ってどうなりやす?」


闇商人「あと10枚くらいか…」


盗賊「ミルクの鼻が無いと狩りの効率悪いんだよなぁ…」


闇商人「まぁ一回気球発着場で交渉してみるかぁ…」


学者「カゲミさん魔石持っとるじゃないすか…魔石抜きで借りりゃ良いんじゃないすかね?」


闇商人「そうだね…行ってみるよ」


学者「じゃぁ俺っちはポーション売って来るんでその後気球発着場向かいやすね?」


盗賊「俺はどうすれば良い?」


闇商人「まぁ一緒に行こうか…あまりウロウロして手配されてる疑いも掛けられたく無いよね」


盗賊「おっとそうだったか…」


学者「ラスさんは俺っちに付き合って貰って良いすか?」


女ハンター「良いわ…」


盗賊「じゃぁ決まりだな?行くか!!」スック




『気球発着場』



ガヤガヤ…


魔石抜きで金貨180枚か…ううむ…まぁギリギリか…良し分かった!!4人乗りで良いな?



闇商人「ふぅ…無事に借りられたよ」


盗賊「来た時と同じ奴だな?」


闇商人「少し違いそうだ…随分程度が良い」


盗賊「そら結構」


闇商人「あとはゲス君達が来るのを待つかぁ…あれ!?」



タッタッタ



学者「兄貴ぃ!!」


盗賊「おぉ!!早かったな…全部売れたか?」


学者「いやいやそれどころじゃ無いっすね…ハァハァ」


女ハンター「ハァハァ…気球は乗れそう?」


闇商人「2人共どうしたのかな?」


盗賊「兄貴の手配書っす…誰か知らんすがシン・リーンに居るって触れ回って皆探し回ってるんす」


盗賊「なぬ!?」


闇商人「なんかマズそうだね…今気球を借りた所さ」


女ハンター「直ぐに飛んだ方が良さそう…ランカー冒険者達がこっちまで来るわ」


盗賊「ぬぁぁあいつ等か…」


闇商人「後で話を聞く…とりあえず気球に乗ろう」タッタ


盗賊「カゲミに続け!!行くぞ!!」ダダ




『気球』



シュゴーーーー



盗賊「こりゃ球皮膨らむまでちょい掛かりそうだ…」


闇商人「町の方はそんなに大事になってるのかい?」


学者「いやいや手配書の金額っすよ…居るってなったら誰でも探し始めるっすよ」


闇商人「あぁそういう事か…」


女ハンター「カゲミももしかしたら追われてるかも知れない」


闇商人「顔は出せないねぇ…」


学者「此処まで来たらどうしやす?」


盗賊「どうするもこうするも逃げるしか無いわな…」


学者「もう直ぐそこまで来とるじゃないすか…気球の管理人の所に居やすぜ?」アセアセ


盗賊「んぁぁぁしゃー無えな…カゲミ!俺ん所来い」


闇商人「え!?何する?」


盗賊「俺とお前が見えなくなりゃ良いんだろ?ラスとゲスは手配されて無いから上手く凌げ」


学者「兄貴の裏技発動っすね?」


闇商人「裏技?」


盗賊「良いから俺から離れるな」グイ


女ハンター「他の気球を一つ一つ回ってる…来る…」


盗賊「じゃぁ頼むぜ?」



スゥ…



闇商人「ハッ!!これ…何が起こってる?」キョロ


盗賊「秘密だ…これで誰にも見えてない」


闇商人「分かったぞ…狭間に逃れてるな?」


盗賊「うるせぇ聞くな」


闇商人「これで分かった…アイリーンがどうして彗星の様に動くのか…」


盗賊「ほう?見えてる奴にはそう見えるんか…」


闇商人「この力は亡くなったファルクリードから引き継いだんだね?」


盗賊「だから聞くなつってんだよ!」


闇商人「ハハそうか…悪い悪い…こんな隠し玉を持ってたか…」




『狭間の外側』



ドタドタ



大柄な男「おい!!お前等2人か!?」


学者「ええ?見ての通りっすね…」タジ


女ハンター「何なの急に?」


大柄な男「この手配書の男が気球を借りたらしいが…」バサ


学者「いやぁ見てないっす…」


大柄な男「ちぃぃハズレか…次行くぞ!」


華奢な男「待て…顔を良く見せろ」フラリ


女ハンター「!!?」---アサルトスタイルの男!!---


学者「いやなんも怪しい所ありやせんぜ?ハハ…」


華奢な男「見覚えがある…当たりだ」



ブスリ!



学者「え!?」


大柄な男「おい!!ここで殺しはマズい…ああクソ!!俺は知らんからな」ダダ


学者「ちょ…」ドクドク


女ハンター「暗器!!なんてこと…」スチャ


華奢な男「おっとそうはさせるか…」フラリ グイ



ググググ



女ハンター「痛い!!…くぅぅぅ」ジタバタ


華奢な男「ダガー持ちか…残念だがバレバレだ…あいつは何処行った?」スラリ


女ハンター「ゲス…」


学者「あ…体が…うご…」ドタリ


華奢な男「俺を甘く見るな…何処に行ったか聞いて居る…答えろ」



スゥ…



盗賊「おおっとこりゃどういう事だ?」ブスリ


華奢な男「なっ!!?」


盗賊「ラス!そいつから離れろ!」


女ハンター「アラン!!ゲスが…」バタバタ


華奢な男「形勢は変わらん…この女がどうなっても…ん?」フラリ


盗賊「ほぉ…なかなか即効性有りそうだ…刺されたのにも気付かんか…」


華奢な男「何!?」フラフラ


盗賊「カゲミ!ゲスの処置頼む…」


闇商人「うん!!」ドタドタ


華奢な男「こ…これは…」タジ


盗賊「おっと動くんじゃ無えぞ?俺は次会ったら目ん玉くり抜くと言った筈だ」スチャ


華奢な男「させるか!回復魔法!」ボワー


盗賊「ほう?お前は魔術師か…なるほど」ダダ



ブス ブス ブス ブス



盗賊「ナイフってのはな?一気に何回も刺せるのが強いんだ」ブス ブス


華奢な男「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー


盗賊「そろそろ麻痺が回って動けんだろう」


華奢な男「なんだと!?」ガクリ


盗賊「なるほど電脳化の奴では無いか…只まぁ…落とし前は付けんとな?」ギロリ


華奢な男「貴様ぁ!!」


盗賊「おら!?こないだの約束の分だ」ブスリ グリグリ



スパ!!



盗賊「声も出ん位傷みも無いのか…目ん玉一個頂きな?」ポイ


華奢な男「グググ回復魔法!」ボワー


盗賊「無くなった目ん玉が治る訳では無いな?ほんで次は今日の落とし前だ…」


華奢な男「や…止めろ!!」


盗賊「黙れ…俺は仲間がやられてんのよ…」


華奢な男「わ…分かった…そいつは治癒する」


闇商人「アラン!ゲス君は例の角で傷が塞がりそうだ」


盗賊「そうか…」



フワフワ…



盗賊「おっとぉ…気球が上がり始めたな…さてどうしたもんか」


女ハンター「アラン!そいつを逃がしてしまうとシン・リーンに追われる立場になってしまう」


盗賊「なんで殺し屋やってんのか良く分からんのだが…」


闇商人「下手に魔法を使われる前に舌を落としては?」


盗賊「なるほど…」


華奢な男「止めろ!!頼む見逃してくれ…俺はお前達が機械の者だと思って居た」


盗賊「ほう?それで俺らの気球を落としたってか」


華奢な男「アレはパーティの連れが勝手にやった事…その後お前の動きを見て機械の者だと確信をした」


闇商人「これは困ったね…」


華奢な男「お前達は何者なのだ?」


闇商人「アランどうする?」


盗賊「まぁ何者でもない…只戦って居る相手は電脳化の奴らだ」


女ハンター「あまり情報を出さない方が良い」


盗賊「分かってる…まぁしかし…魔術師が冒険者に紛れて電脳化の奴らを探してるってのは理解出来た」


華奢な男「その通りだ…」


盗賊「ほんじゃ殺す訳にイカンな…だがこのまま返すとシン・リーンに追われそうだ」


華奢な男「機械の者でないと言うなら私は何もしない」


盗賊「白狼の盗賊だと言ったらどうする?」


華奢な男「やはりそうなのだな?」チラリ


盗賊「どうするかってのを聞いてんのよ」


華奢な男「女王に判断を仰ぐしかない…只シン・リーンで悪い者扱いでは無いのは理解して欲しい」


盗賊「分かったこうする…追って来る様であれば容赦はしないと警告しておく」


華奢な男「女王にそう伝えれば良いのだな?」


盗賊「そうだ…俺らが敵になるのを覚悟しろって事だ」


闇商人「アラン!盛り過ぎだ」


盗賊「重ねて言っておく…俺らはシン・リーンの眠り姫をどうやって目覚めさせるか…そういうのを追ってんだ」


華奢な男「姫を…」


盗賊「邪魔すんなって話なのよ…そもそも俺らは魔術師に関わるつもりは無かった」


盗賊「だが勝手に関わってお前が俺の目の前に現れた訳だ…はっきり言うと邪魔だ」


華奢な男「分かった…そう報告する」


盗賊「おっし!ほんじゃあばよ!」ドン


華奢な男「うぐっ…」ゴロン



ひゅぅぅぅぅ



闇商人「あぁぁぁ…ここから蹴り落とすのか…」


盗賊「アイツは魔術師だ…この高さじゃ死にゃし無えよ」


女ハンター「ゲスは?」ドタドタ


闇商人「気を失ってる…ポーションも飲ませたから角との相乗効果で大丈夫だとは思う」


盗賊「心臓をブスリか…結構血が出ちまったな」


女ハンター「殺しのプロだったみたい…」


盗賊「まぁああ言う感じじゃ無いと電脳化の奴らとは渡り合えん…おっし!!南に向かうか!!」


闇商人「なんか他の気球もどんどん上がって来るけど…これ追われて居ないかな?」


盗賊「マジか…ラス!やられる前に一発づつ球皮に穴開けてヤレ」


女ハンター「分かった…全部穴開けて良いのね?」チャキリ


盗賊「頼む…」



シュゴーーーーー フワフワ




『上空』



ターン! ターン!



女ハンター「これで全部の気球は高度が上がらない筈…」


盗賊「向こうには気付かれて無いな?」


女ハンター「気付いた素振りは無い…大丈夫」


盗賊「ようし…これで落ち着いて飛べる…この気球は一応縦帆が一枚付いてんのな…」グイグイ


闇商人「操作難しそうだね」


盗賊「高度上がってるとどっちに流れてるか分かり難くてよ…」


闇商人「何度も帆を変えるから忙しいね」


盗賊「まぁ速度は速い筈だ…と思う…」


女ハンター「ところでカイネさんから貰ったその毒牙のナイフ…」


盗賊「おおコレな?」クルクル スチャ


女ハンター「強い麻痺毒で傷みも無い?」


盗賊「その様だ…こりゃ暗殺者専用の武器だな…」


女ハンター「それをゲスに使って貰えば体の中に残った弾丸も負担無く取り出せそう」


盗賊「おお…そういう使い方もあるか…てかお前も弾丸残ってて痛いんだな?」


女ハンター「アランは良く古傷が傷むとか言ってるでしょう」


盗賊「俺の方か…」


闇商人「船に戻って落ち着いたら試して見ても良さそうだね」


盗賊「変に切り刻まれて動けんくなるのもなぁ…」



『翌日』



ビュゥゥゥゥ バサバサ



女ハンター「又下に商隊が見える…今日3つ目よ…」


闇商人「おかしいね…物流が一方向だ…」


盗賊「今秋だろ?冬に備えて移動でもしてんじゃ無えか?」


闇商人「それは有るだろうけど一気に移動するのもねぇ…」


学者「おえっ…ううおぇっ‥‥」


闇商人「あ…気分悪いかな?」


学者「血が足りんすね…目が回るっすよ」


盗賊「どうだ?心臓ぶっ刺された気分は?」


学者「一瞬の事で痛みも無かったっすね…一気に意識持っていかれやした」


盗賊「お前は懐が甘めぇ…誰か近付いたら常に武器握っとけ」


学者「いやいや握ってたんすが…なんかいつの間に刺された感じなんすよ」


女ハンター「あの魔術師の動きは変だった…一瞬で間合い詰められて…」


闇商人「あぁ…シン・リーンの魔術師は時空の修行をするとそう言う風になるらしい」


盗賊「ほう?遠目にアサルトスタイルだと思ってたんだが…」


闇商人「逆を言えばそういう動きの出来る人は魔術師だと見極めが出来そうだよ」


盗賊「魔術師と初めてご対面したんんだが確かにコイツは出来るっていう雰囲気持ってんな…」


闇商人「うん…変に魔法を使ってる人たちは多分二流だ」


盗賊「シン・リーンでは魔術師が機動隊とタメ張る感じな訳か…」


闇商人「強烈な魔法も使える筈だから機動隊の上を行くんじゃないかな?」


盗賊「何人ぐらい居るか知らんか?」


闇商人「さぁ?そういう情報は20年前から何も聞かない」




『ハジ・マリの町』



ザワザワ ガヤガヤ


ダメだぁ…馬車が無くてシン・リーン行きの商隊が組めんらしい


向こうから戻って来るのを待つしか無いのか…


寝泊まりは聖堂の方を使って良いらしいからしばらくは待機になりそうだ



タッタッタ



闇商人「お待たせ…気球を返却してきたよ」


盗賊「おい…こりゃ宿に泊まれんぞ…」キョロ


闇商人「その様だね…ソリを借りてその中で休むだね」


女ハンター「この様子は…旧港町から避難してきていると見て良さそう?」


盗賊「だな…魔物に襲われちまってんだ」


闇商人「どうする?直ぐにソリの手配をしようか?」


盗賊「そうしよう…どうやらソリは余ってそうだ」


闇商人「じゃぁアラン!金貨を預けるから一番大きなソリを借りて来て」


盗賊「お前はどうする?」


闇商人「物資を揃える…ここは商売のチャンスさ…移動に掛かった分は取り返さないと」


学者「俺っちもカゲミさんと一緒に行きやす…造血剤の材料を揃えたいっす」


闇商人「あぁ…魔物が来てると言うのはポーションが売れそうだ」


学者「そーっすね…ちっと物資揃えやしょう」


闇商人「じゃぁアラン!行って来る」スタ




『馬宿』



グーグー ブォー ゲヒゲヒ


済まんな…大型のヘラジカはみんな出払ってるからトナカイしか居ないんだ


エサはどんぐりとか松ぼっくり…まぁ市場で安く売ってるからそれを積んで行くと良い



盗賊「トナカイ6匹か…この大型のソリは引けるんか?」


管理人「餌を多めに積む事になるから軽い筈なんだ…その代わり荷を十分運べないんだが…」


盗賊「分かった…まぁ他に無いんだからコレで行くしか無えか」


管理人「お客さん旧港町の方まで行く気かい?」


盗賊「まぁな?」


管理人「もしかしたら向こうの馬宿でソリを返却出来ないかも知れないぞ?」


盗賊「そんなんなるぐらい魔物が来てるってか…」


管理人「なんでも魔術師が居ないとどうにもならない様で衛兵が砦に引きこもって居るらしい」


盗賊「ほーん…そらつまり魔術師が居ないって訳か」


管理人「詳しくは分からん…行くなら気を付けて行くんだな?トナカイはイエティに狙われやすいから」


盗賊「そら心配無え…むしろ襲って来てくれた方が儲かる」


管理人「ほーーーあんたらの中に魔術師が居ると言う事か…そんなら早く旧港町に行ってやった方が良い」


盗賊「じゃぁソリを借りて行くぜ?コレが代金だ」ジャラリ


管理人「毎度ぉ!!」


盗賊「おっし!ラス…ちっと荷入れしやすい様に場所変えるぞ」


女ハンター「移動しておいて…重い荷が乗らない事をカゲミに教えないと」


盗賊「そうか…じゃぁ言って来てくれ」




『トナカイのソリ』



ヨッコラ ドスン!



闇商人「とりあえず木炭と火鉢…どんぐりと松ぼっくりはこんなもんかな…」


盗賊「あんま積めんとなると金儲けも出来んな…」


闇商人「仕方ないね…武器を持って行きたかったんだけどね」


学者「兄貴…話によるとゾンビの大群が襲って来てるらしいんすよ」


盗賊「ほう?ほんじゃ銀の武器だな」


闇商人「まぁでも…ここで買っても高かったからあんまり沢山は持って行けなかった」


盗賊「なんで又こんな雪の中ゾンビなんか出るんだろうな?」


闇商人「何処かで死霊術師が悪さしてるとしか思えないよね」


学者「ムン・バイでも最後はスケルトンが襲って来てたんで多分ソレ系っすよ」


女ハンター「辺境にあたる旧港町をどうするんだろう?」


闇商人「僕が思うにセントラルの秘密基地が近いって言う事と…港が欲しい…その2つかな」


盗賊「港か…」


学者「あの異形の魔物は何考えてるか分からんすね…」


闇商人「どうやら背後に没落貴族も絡んで居そうだから魔術師が出払って居る今が攻め時なんだね」


盗賊「こりゃ早い所戻らんと巻き込まれちまいそうだ」


闇商人「もう行く?」


盗賊「おう!どうせ食い物は途中で一本角のウサギが食えるだろ」


闇商人「アルミラージ…まぁお金稼ぎはアルミラージとイエティを狩れば良いか…」


盗賊「おっし!ほんじゃソリに乗れ」


学者「俺っち横になっときやすね…」ノソリ




『雪原』



ドドドドド スーーーー



闇商人「トナカイのソリも意外と早いな」


盗賊「こいつは夜も走れるらしいから商隊が使うキャンプまで走り切るぞ」


闇商人「深夜の到着か…」


盗賊「しかしどんどん寒くなって行くな…」スリスリ


闇商人「馭者は大変だね…湯を沸かし続けておくから皮袋の湯が冷えてしまったら交換するよ」


盗賊「頼むわ…ぅぅぅ」



ターン!!



盗賊「んん?」キョロ


女ハンター「右方向200メートル先…イエティ倒した」


盗賊「おっと…こりゃ毛皮ゲットか?」


女ハンター「このバヨネッタ…弾速が早くて使いやすい」


盗賊「んん?」


女ハンター「この距離だと動きを予測して偏差撃ちする必要があまり無いから…」


盗賊「そら結構なこって…」


闇商人「反動がねぇ…肩で反動を受けても衝撃が来る」


盗賊「カゲミはもうちっと体を鍛えろ…細すぎる」





『深夜_キャンプ』



ガサゴソ…



盗賊「おおこりゃラッキーだ…トナカイを小屋の中で休めさせられる…」


学者「今日は誰も使って無いんすね」キョロ


盗賊「ガラクタだが使いっぱなしの物もけっこう転がってるぞ」


闇商人「流石にソリを小屋に入れるのはムリかな?」


盗賊「そらしゃー無え…俺はちっとその辺物色してくるからトナカイは小屋に入れといてくれ」


学者「わかりやした…餌もあげちまいやすぜ?」


盗賊「その方が荷も軽くなる…じゃぁ行って来るな?」ダダ


女ハンター「アランは物色となると休む事もしないのね…」


学者「昔からそうなんす…兄貴にとってお宝探しなんすよ」


闇商人「ラスさん焚火お願いしても良いかい?」


女ハンター「分かった…」スタ


闇商人「ちょっと僕は入手した毛皮の血を洗い流して来る」


女ハンター「それを乾かせる様にしておけば良い?」


闇商人「うん…これは売らずにマントにして防寒用で使おう…4人分には十分な大きさだ」




『しばらく後…』



スタスタ…



盗賊「ぅぅぅ寒ぶ…」スタ


学者「何か見つけやした?」


盗賊「ぁぁ銀貨を矢尻にした矢を数本だな」


闇商人「それ…」


盗賊「こういう事すんのはミライだ…多分ゾンビ退治用で作ったんだと思う」


闇商人「ゾンビ以外には使えないから捨てられてしまったんだ…」


盗賊「だろうな?まぁ数本しか無かった」


闇商人「大丈夫かな…」


盗賊「ゾンビが泳ぐ話は聞いた事が無い…そもそも桟橋から船にも上がれんから大丈夫だろう」


闇商人「ゾンビねぇ…巨大なゾンビとか居なければ良いけどねぇ…」


盗賊「なぬ!?」


闇商人「いや相手に死霊術師が居るなら大きな恐竜とかもゾンビにされそうだと思ってね」


盗賊「マジか…そんなん居たらこんなショボイ矢じゃ倒せんぞ」


学者「こんな寒いのにゾンビは凍らんのですかね?」


闇商人「あぁそうか…じゃぁ巨大な骨とか…」


女ハンター「骨?スケルトン?…それじゃバヨネッタでも倒せ無さそう」


盗賊「おいおいそんなのが居るってか?」


闇商人「可能性の話さ…死霊術なら可能なんだよ」


盗賊「その場合どうすりゃ良い?」


闇商人「魔術書には術者を倒せば良いと書いてある」


女ハンター「それなら狙撃が有効」


闇商人「死霊術で操られるスケルトンはゾンビと違って術者が操るんだ…だから近くに居る筈」


学者「スケルトンが武装とかしてたら結構厄介っすね」


女ハンター「ムン・バイの時ね…盾を構えられると狙撃も難しいかも知れない」


盗賊「ふむ…ちっと構えとくか…」




『翌朝』



ヒュゥゥゥ サラサラ



盗賊「ぁぁぁ…天気は良いが風で雪が舞って振ってるのと変わらんな…」


女ハンター「アラン!昨夜イエティの毛皮を加工してマントにしたからこれを身に付けて」バサ


盗賊「お?もしかしてお前が寝ずに作ったんか?」


女ハンター「見張りも兼ねて…私はこれから横になる」


盗賊「そうか…これでもうちっと暖かくなりそうだ」ファサ


闇商人「ハハ…4人でこんな格好してたらそれこそ白狼の盗賊だと言われそうだよ」


盗賊「シン・リーンとはこれでおさらばだからどうでも良いぞ」


女ハンター「白狼の盗賊団…か…」


盗賊「おっし!出発すんぞ?ソリに乗れぇ!!」


学者「餌のどんぐりと松ぼっくりが大分減ったんで広くなりやした…ラスさん手を!」


女ハンター「ありがとう…」グイ


闇商人「じゃぁ今日の見張りは僕かな?」


女ハンター「後方から追われる事は無い様だから進路方向を見張るだけで良さそう」


闇商人「分かった」


女ハンター「カゲミの場合は狙撃が出来ないから十分寄せてから撃てば一発で仕留められる筈…」


闇商人「うん…大丈夫さ」


盗賊「よし乗ったな!?落ちんなよ?」グイ



ドドドドド スーーーー






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