表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/102

32.憲兵…


『その頃…旧港町の牢屋』



ガチャン! ギギギー



看守「ほらお前の牢はここだ…」グイ


女「痛たたたた…」ズザザー


看守「今晩だけ一緒の牢になってしまうがもう一人は明日の朝釈放だからガマンしろ」


剣士「…」チラリ


女「ども…」ペコリ


看守「頼むから騒がんでくれぇ…」



ギギギー ガチャン!!



剣士「どうも…」ペコ


女「あんたはなんで牢に入れられてんの?」ジロジロ


剣士「ええと…銀貨を加工して矢尻にしたのが違法だって…」


女「ああああ!!この間の…噂になってたよ」


剣士「へぇ?どんな噂?」


女「憲兵に難癖付けられて気の毒だって…」


剣士「ハハ…まぁ仕方ないよね…この国では違法なんだろうから」


女「でもあの憲兵め…ぐぬぬぬ」


剣士「君はどうして牢に?」


女「許可無しで死体を火葬するのは違法だって…」


剣士「死体?ゾンビの?」


女「そう!!倒したゾンビを火魔法で焼いてただけなのに…死体を焼いてるって難癖付けられたのさ」


剣士「それも気の毒な話だ…」


女「あぁぁ参ったなぁ…明日旅団でハジ・マリの町へ行く予定だったのに…パーティに置いて行かれちゃう」


剣士「どれくらい牢屋に入れられるって?」


女「分からない…裁判で決まるみたい」


剣士「僕より大変だ…」


女「まぁ…その死体の遺族からすると勝手に焼かれたらイヤだよね…」


剣士「ところで町の方はどうなって居るのかな?」


女「銀の槍が10本くらい配布されてなんとか凌いでる…でもゾンビ焼いてる魔法使いが皆牢屋に入れられて…」


剣士「えええ!?他の牢屋に入れられてる人は皆魔法使い?」


女「そう…戦ってる人に回復魔法が出来ないとこれから厳しくなると思う」


剣士「それマズいね…」


女「憲兵の言い分は死体を教会に運べの一点張りさ…そんな余裕無いって言うのに…」



ドーン!



女「え!?爆発音…」スック


剣士「姉さんだ…爆弾を使う位の敵が来てるんだ…」ソワソワ


看守「おいおい騒ぐなよ?ここは安全だから大丈夫だ…」


女「ねぇ!!町が襲われてて結構危ない状況なんだけどここで牢の見張りしてる場合じゃ無いんじゃ無いの?」イラ


看守「それが仕事なんだ…もうすぐハジ・マリから魔術師が来る筈だから大丈夫だ」


女「それ昨日も聞いたけど来て無いし!!」


看守「あぁぁうるさいうるさい」



ドーン!



剣士「2つ目を使った…敵は複数だ…」


看守「ううむ…今晩はヤケに騒がしいな…」


女「なんか…次は街中で爆弾を使うのは違法だとか言い出しそう…」


剣士「この町の衛兵さんは何をしてるの?」


看守「ゾンビ相手に有効な武器が無いから待機指示だ…建屋の中に入って居れば安全との事」


女「信じられない…戦って居る人が居るのに…」


看守「建屋から出ない様にと指示が出ている筈なのに冒険者たちが無断で戦闘をしている…」


剣士「なんかそれも違法だとか言われてしまいそうだね…」



ドーン!



剣士「3つ目!!やっぱり何かに攻められてそうだ…」ソワソワ


看守「ふうむ…確かに少し心配になって来たな…」


剣士「看守さん…どうせ僕はあと数時間で釈放だから今出られない?」


看守「規則がある…ただ俺が外の様子を見に行った隙に逃げると言うのは可能だ」


剣士「お願い!」


看守「その場合見つかってしまうと脱獄扱いなのだが…」


剣士「見つからなければ良いって言ってるね?」


看守「俺は確かに警告したぞ?責任は無いからな?」


剣士「ほら!?外が心配でしょう?」


看守「ううむ…どうなって居るのか…俺は少し外を見て来るから大人しくして居るんだぞ?」


剣士「分かった分かった!」


看守「おっとぉ!!鍵は見つからない様にここに隠そう…よし誰も見て居無いな?」



スタスタ



女「行ったよ?あんたどうするの?」


剣士「行くさ…わざわざ手の届く所に鍵を隠してくれたんだ…よし!」ジャラリ


女「うーん…どうするかな…」


剣士「君は残った方が良いかもね…脱獄なんかバレたらどのくらい牢に入れられるのか分からないし」


女「それはあんたも同じでしょ?」


剣士「まぁ好きにしなよ…」ガチャガチャ



ガチャン!



剣士「開いた…僕は行くから!じゃぁ!!」シュタタ


女「待って!!」スタタ


剣士「一緒に来るの?」


女「もう来ちゃったから!」


剣士「まぁ良いや…走るよ!!」シュタタ




『砦の外』



ビュゥゥゥゥ



剣士「うっわ!!寒っ!!」


女「あんた手ぶら?」


剣士「決まってるじゃない…君は魔法を使えるんだよね?」


女「杖とか触媒は取り上げられた…何も持って無い」


剣士「仕方ないね…とりあえず走ろう…温かくなる」


女「あれ?おかしい…旅団のソリが何処かに行ってる…」キョロ


剣士「んん?」


女「もしかしてゾンビから逃れる為にもう出発した?」


剣士「あ!!シカが襲われてしまうから出発したんだよ」


女「なぁぁぁぁ!!」


剣士「なんかマズいね…冒険者の人達はその旅団で北へ向かったと言う事だよね?」


女「どれだけ移動したのかは分かんない…」


剣士「まぁ行こう!!走るよ!!」シュタタ




『街の中心』



ヴヴヴヴヴ ガァァァ



剣士「姉さん!!」シュタタ


女オーク「ミライ!!出て来られたのね?」


航海士「おおお!今大変な所やったんや!!」


船大工「もう戦えるのが10人ぐらいしか残ってないでがんす」


剣士「これ…毛皮を剥がされたイエティがゾンビになってるんだね…」


船大工「そうでがんす…銀の槍だと倒しにくいでがんす」


女オーク「ミライ…その人は?」チラリ


女「ども…」ペコリ


剣士「一緒に牢屋に入れられてたんだ…爆弾の音を聞いて抜け出して来ちゃった」


女オーク「そう…」ピク


剣士「君!!君の仲間は居そうかい?」クルリ


女「見当たらない…ちょっと宿屋の方も見て来る」スタタ


剣士「気を付けて!!」


女オーク「ミライが戻って来たなら船を桟橋から離して置けば安全だけど…」


剣士「ここで踏ん張らないとゾンビに占拠されてしまう」


航海士「そんな感じやなぁ…衛兵は出て来いへんし」


剣士「僕に考えがあるよ」


女オーク「何?」


剣士「ゾンビに水を掛けて凍らせるんだ…丁度冷たい風が吹いてるから直ぐに凍る」


航海士「おおおお!!良さそうやな…凍らんでも動きが遅うなればイエティもラクに倒せるやないか」


剣士「僕は今武器を持って無いから井戸で水を汲んで掛ける役をやる」


女オーク「分かったわ」


航海士「俺とガッツは今まで通りリッカを守る感じで行けばええな?」


剣士「良いね!!右と左に盾持ちが居ると安定しそうだ」


女オーク「とりあえず倒したイエティを燃やしてしまいましょう


航海士「そうやな…暖も必要やしな」


船大工「鍛冶場から石炭を持って来るでがんす」ドスドス




『井戸』



ザブン ガラガラガラ



剣士「えっほ!えっほ!!きついなぁこの作業…」


女「あ…あんた…お金持って無い?」モジモジ


剣士「え!?あれ?もしかして君の仲間は旅団でもう行っちゃった?」


女「うん…宿に泊まるお金も無い」


剣士「あらら…じゃぁ後で貸してあげるから水汲むの手伝って」


女「水なんか汲んでどうする?」


剣士「ゾンビに掛けて凍らせるのさ」


女「そういう事か…水…あと砂銀が有れば水魔法が使える」


剣士「お!?もしかして水を発射するみたいな?」


女「そう…」


剣士「おおおおおお!!ソレ使って欲しい…ええと!!鍛冶場に行けば砂銀が余ってるかも」


女「分かった…見て来る」スタタ




『街外れ』



グォォォォ ドスドス



航海士「又イエティゾンビが来よったで!?俺らは守備気味に動くでリッカはよー狙って心臓刺すんや!!」


女オーク「分かってる…」スチャ


船大工「他のゾンビも来るでがんす」


航海士「そっちはおまんが引き受けや!!」


イエティゾンビ「ガァァァァ!!」シュタタ ピョン



ガツン!!



航海士「ぐぁぁぁ!!」ゴロゴロ


女オーク「受けきれない?」タジ



バシャァァ!! ビチャビチャ



剣士「姉さん下がって!!」シュタタ


女オーク「ミライ!!どうやって水を!?」


剣士「あの子水の魔法が使える!!援護期待出来るよ!!」


女オーク「本当に!?」


女「水魔法!」バシャー


イエティゾンビ「ヴヴヴヴ…グォォォ」ノソリ


剣士「直ぐには凍らないから下がって下がって!!」


航海士「あたたた…イエティの重さは受けきらんわ」ドスドス


船大工「少し遅くなってるでがんす」


剣士「君!水の魔法を沢山お願い!!僕は又水を汲んで来る!!」シュタタ


女「水魔法を当てて行くから凍るまで我慢して…水魔法!」バシャー


女オーク「助かるわ…ゴッツさんにガッツさん!!この子を守って!!」


船大工「がってん!!」ドスドス


女「水魔法!」バシャー




『火葬』



ボゥ メラメラ


薪をもっと!!獣のゾンビは細かく切って火の中に入れて!!


凍ってる人の死体は教会の方に運んで行ってぇ!!


手が足りな~い!!動ける人は手伝ってぇぇぇ!!



航海士「ぅぅぅ寒…少し温まるで?」ブルブル


剣士「ゾンビは?」


航海士「凍らせてるお陰で大分マシや」


女オーク「ミライ?どんぐりあるけど要る?」


剣士「お!?牢屋の食事が美味しく無くてウンザリだったんだ…欲しい」


航海士「しかしあの水の魔法で一気に変わったわい」


剣士「今晩は特に冷えてるから良かった」


女オーク「でも戦える人が減って気が抜けない」


剣士「その様だね…怪我人が動けないんだね?」


女オーク「そうよ…魔法を使える人が居ないから薬草とかで凌いでる」


剣士「あ!そうだ…いつまでもあの子に魔法を使わせてるとマズいな…」


女オーク「どうして?」


剣士「脱獄してしまったから顔を見られると又捕まる」


女オーク「それじゃミライも捕まってしまうじゃない」


剣士「そうだね…どこか隠れたいな」


航海士「今晩はどうにかなりそうやからここは俺達に任せて船に戻るんやな」


女オーク「ミライは隠れても構わないけれど水の魔法が無くなるのは困るわ」


剣士「こうしよう…今から僕が船に戻ってあの子の変装する物を作って来る」


女オーク「変装…それならイエティの毛皮が売れないで余って居るから使うと良いわ」


剣士「おけおけ!寒いから皆の分も作って来るよ」


女オーク「それは助かる」


剣士「おっし!!じゃぁ行って来るね」シュタタ




『キャラック船』



ドンドンドン


此処を開けたまえ…中に居る事は分かって居るんだ


うぅぅぅぅ…あぁぁぁぁ…


ううむ…子供の声か…


憲兵殿…流石に深夜無断で乗船するのはマズいかと…


海賊船の疑いが合っただけだ


いえ…どう見てもこの船は商船で中に子供を避難させている様にしか見えません


ドワーフが乗っていたでは無いか


でしたら町の方で戦って居るドワーフに話をするのが筋に思います



シュタタ ピョン クルクル シュタッ



憲兵「んん?」クルリ


衛兵「あ…」タジ


憲兵「あぁ君か…そうかもう釈放されたのだね?」


剣士「どうして僕達の船に勝手に乗り込んで居るのかな?」ジロ


憲兵「いやいや海賊船の疑いが合ってね」


剣士「おかしいよね?こんな深夜に…」


衛兵「憲兵殿…引き上げましょう」


剣士「許可無しで侵入したのは罪にならないのかな?」


憲兵「海賊船の疑いがあると言うのは理由にならないと思って居るのかね?」


剣士「この港に海賊船が入れない法律でも有ると言うのかな?この港は解放されている筈…」


憲兵「それは海賊ですと認めて居るのかな?」


剣士「質問を質問で返さないで欲しい…不法侵入の現行犯…僕が目撃した…衛兵さんは証人さ」


憲兵「ハッハッハ…これは一本取られてしまった…引き上げるとしよう」


剣士「そんな事を言ってるんじゃないよ…牢屋だよ…牢屋」


憲兵「私に喧嘩を売っているのかね?」


剣士「衛兵さん…ちゃんと仕事をしてよ」


衛兵「いや…ええと…」


憲兵「私が悪かった様だ…謝るよ…そして相談なのだが船の中を少し見たいと言ったらどうする?」


剣士「見せても構わないけれど…ちゃんとした令状とか用意して欲しいかな…言い掛かりを付けられそうだし」


憲兵「これはこれは…君はなかなか賢い」


剣士「もう良い…衛兵さん…その人を牢屋に入れて置いて」


衛兵「憲兵殿…行きましょう」


剣士「それから衛兵さん…町ではみんな一生懸命ゾンビと戦って居るんだ…分かってるよね?」


衛兵「…」




『船首楼_作業場』



ジョキジョキ ヌイヌイ



剣士「…」---あの人…僕がイエティの毛皮で防寒装備作ってるのを遠くで見てる---


剣士「…」---多分あの人が魔物を町の方に誘い入れてるんだ…一体何がしたいんだろう?---


剣士「…」---僕達が魔物に抵抗すればきっとまた言い掛かりを付けて来る---


剣士「…」---違法にならない様に慎重に行動しないといけない---


剣士「…」---きっと脱獄した子を匿ってるとか言い始めるに違いない---


剣士「…」---どうする?明日からどうやって戦う?---


剣士「…」---そうだ!!水鉄砲を作ろう!!これで魔法は使わなくても良い---


剣士「…」---あの子はしばらく船の荷室から出ない様にさせよう---


剣士「…」---傭兵として雇って船を守らせれば良い---


剣士「…」---よーし!直ぐに水鉄砲を作るぞ!!---



ギコギコ トンテンカン




『街の外れ』



シュタタ シュタタ



剣士「姉さん!!毛皮の装備持って来た」


女オーク「助かる…」ファサ


剣士「ゴッツさんとガッツさんの分も」


航海士「済まんな…うぅぅさぶいのぅ…」ファサ


剣士「あと水鉄砲を作って来たんだ」


航海士「んん?ほう…皮袋に入った水を発射するんか…」


剣士「うん…これで水魔法は要らないよね?」


女オーク「考えたわね…」


剣士「実はね…僕に言い掛かりを付けて来た憲兵が船の方に来てたんだ」


航海士「なんやとう!!?」


剣士「追い返したよ…でも又違法だとか言い掛かりを付けに来ると思う」


女オーク「その様ね…魔法使いがみんな火葬が違法だとか言われて連れて行かれてしまったから…」


剣士「そう…だからあの魔法使いの子もあまり目立っちゃいけない」


女オーク「どうする気?」


剣士「あの子はお金を持って無いんだ…傭兵として雇って船を守らせたい」


女オーク「アランさんに無断でそんな事して良いの?」


剣士「一応魔法使いさ…きっと戦力にはなれる…あの憲兵はもっと手を変えて魔物を引き入れて来るかも知れないよ」


女オーク「確かにそうね…」


剣士「アランさんには僕が説明するからとりあえず船の荷室であの子を待機させる」


航海士「信用出来るんか?」


剣士「脱獄して追われる立場な上にお金も持って無い…僕達を頼るしか無いんだよ」


航海士「ううむ…誰か監視を一人付けんといかんぞ?」


剣士「分かった…ガッツさんが船に残れば安心だ」


女オーク「じゃぁミライはここで戦うのね?」


剣士「そうだよ…ガッツさんあの子を船まで連れて行って貰える?」


船大工「がってん!!」


剣士「よし!その銀の槍は僕が使う…あとあの子に色々説明しておいて貰えると助かる」


航海士「ガッツ!信用出来る奴かどうか話を聞き出しとくんや」


剣士「そうだね…まだ名前も聞いてないや」


船大工「任せるでがんす」


剣士「じゃぁお願い…これあの子の分の毛皮」ファサ


船大工「行って来るでがんす!!」ドスドス


剣士「よーし!!こっちは水鉄砲で頑張ろう!!」


航海士「これどないして使うんや…」



此処をこうして…あーして…




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ