表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/102

29.シン・リーンにて…


『夜』



ホーホー バサバサ



学者「いやーーーここは町と違って静かで良いっすねぇ」グビ プハァ


盗賊「町の方はどんなよ?」


学者「冒険者がいっぱい居るっすよ…特にルイーダの酒場っすね」


闇商人「アランは行くの避けた方が良いと思う…風体からして絡まれやすいだろうから」


盗賊「又あれか…自称ランカーが居るってか?」


学者「そーっすね…一応フィン・イッシュの民兵より戦えそうな雰囲気はありやす」


盗賊「向こうはオークとかドワーフが居るからそうそう負けんだろ」


学者「でも魔法使う人は皆無っすよね?こっちは僧侶とか言う職業の魔法使いが居るもんで継続戦闘力が違いやすよ」


盗賊「ほーん…」ハナホジー ポイ


女ハンター「その冒険者たちはどうやってランクを上げて居るの?」


学者「クエストをこなせば良いらしいっす」


盗賊「シカ狩りとかか?」


学者「いやいやそんなショボイ狩りなんかじゃ無いっすよ」


闇商人「基本は古代遺跡の調査さ…遺物の回収が達成条件なのが多い」


盗賊「お!?そんなんが近くに有るって事か…」


闇商人「大体遠いね…ヤン・ゴンに行くクエストも有った」


盗賊「おおお…そういやあそこの遺跡で見かけたわ…」


闇商人「そういう場所に行った事ある人達がランカーになってるから割とレベルが高いのさ」


盗賊「なーんか俺はシカ狩りの方が良いな…」


闇商人「アランも少しお金稼ぎを考えないとね…リコルさんがここで離脱するなら今の資金で気球には乗れない」


学者「そーっすね…金貨100枚くらいなんとかなりやせんか?」


盗賊「シカ50匹か…きちーな」


学者「いやいやそうじゃ無くってですね…」


盗賊「てかカゲミ!例の書簡を売り捌いたらどうだ?」


闇商人「あぁ…まずリカオンという人が買い取ってくれるか聞いてみるのが先かな」


戦士「んん?リカオンはそれほど金持ちでは無いぞ?むしろアランと同じタイプだ」


学者「もしかしてあちこち借金がある感じっすか?」


戦士「早い話そうなる…全部踏み倒して居る様だが…」


闇商人「ハハ…聞いた話と違うじゃ無いか…黄金をたっぷり持ってるとか言う話は?」


戦士「それは誰かの依頼をこなして居ただけだと思うぞ?」


闇商人「うーん…シン・リーンに売るのは色々問題有りそうだしなぁ…」


盗賊「アホか…奪われて投獄されるのがオチだ」


闇商人「そうだよね…」


盗賊「これは俺等でその情報を得るのが良いんじゃ無いか?」


闇商人「解読できる科学者…多分あの人だな…」


盗賊「あの逝かれた爺いだろ?ミネア・ポリスで俺らと一緒に行動してた…」


闇商人「その人しか思い浮かばないよ…気難しくて言う事聞かないのがね…」


盗賊「あの爺いは機械に目が無え…お前が預かってる電脳化の機械…それ見せりゃ取引になんぞ?」


闇商人「なるほど…」


盗賊「どっかで匿われてるんだったよな?」


闇商人「それもリカオン?…に聞くしか無いさ」


盗賊「まぁその話は置いといてだ…マルコが何処に居そうなのか情報は無いんか?」


闇商人「投獄されてる様だから城の地下だとは思う」


盗賊「ちっと俺が見て来てやっか?」


闇商人「まだ情報が足りない…危なさ過ぎる」


少女「おい!母に迷惑が掛かる真似は止めろ」


闇商人「そうだね…勝手に動いて色々邪魔になってしまっては元も子も無いだろうさ」


盗賊「俺がもし捕まったら洗いざらい魔法でしゃべらされちまうか…」


闇商人「そういう事だよ…ホムンクルスを探す旅も続けられないね」


盗賊「ここは慎重に情報集めて行くか…」


少女「あ!!母の血の匂いだ…」クンクン


盗賊「おっとぉ!?」


戦士「ミルク…いつもの奴だ…窓を開けておくのだ」


少女「分かった!!」シュタタ



ガラガラ



盗賊「いつものって何だ?」


戦士「大丈夫だから気にしないでくれ」


少女「来るぞ!!驚くな?」



シュタタ ピョン クルクル シュタ



盗賊「どわっ!!」ドテ


ウェアウルフ「グルルルル…グルルルル…」キョロ


女ハンター「ちょ…」タジ


学者「えええええ!?」タジ


戦士「ミルク!窓を閉めるんだ」


少女「何かに追われてるか?」シュタタ



ガラガラ ピシャリ



ウェアウルフ「リコル…身を隠す場所は?変態解けそう…グルルル」


戦士「ベッドの中に入るんだ…後は何とかする」ドタドタ


ウェアウルフ「あと着替えも…」ピョン ドスン


盗賊「おいおい…なんか血だらけなんだが…」


戦士「大丈夫だ…この位なら寝れば自然治癒する…それよりも血痕を消すのを手伝ってくれ」ドタドタ


闇商人「これは驚いたな…」ボーゼン


戦士「カゲミ君も血痕の処置を急いで手伝ってくれ…直に追手が此処を訪ねて来る」


闇商人「あわわ…そういう事か…」ドタドタ





『しばらく後』



ドンドンドンドン



闇商人「は~い!!」ガチャリ


盗賊「誰だぁ!?」


ハンター「夜分済まない…この辺で大きなウェアウルフを見なかったか?」


闇商人「え!!?ウェアウルフ?」


ハンター「そうだ…この建屋に来た形跡が残って居たのだが…」キョロ


闇商人「いつの話かな?」


ハンター「ううむ…どうやらその感じでは何も分からない様だね…危険だから外には出ない様に」


闇商人「あぁ分かったよ…そのウェアウルフは何かしたの?」


ハンター「クエスト対象なのだ…まぁ君達には関係無い…失礼」スタ


盗賊「ヌハハ…クエストになってるってか」


戦士「アランに似ていると言っただろう?」



ヒソヒソ ヒソヒソ


こっから先は町の方に入って行っちまう…どうする?


あまり騒ぐと他の奴らに狩られてしまうな


くそう!ここで血痕が消えてるのはどういう事だ?


飛んだくらいしか考えられん…もう少し周囲を探すんだ


おい!!水路が有るぞ


そっちか!!これは水路沿いに町へ入って行った様だな…行くぞ!!



少女「父ぃ!!母が裸で寝てるぞ…着替えどうする?」


狼女「すぅ…すゃ…」zzz


戦士「ううむ…こんな夜中では買いにも行けんなぁ…」


盗賊「適当なので良けりゃ俺が盗んで来てやっか?」


戦士「いや…ここのお婆さんに相談してみる…アランが泥棒で掴まってしまってはいけないからな」


盗賊「衣類を盗むなんざ簡単なんだがな…」


闇商人「直ぐ近くに魔術師が居るかも知れないのを忘れたらダメだよ」


盗賊「魔術師ねぇ…」




『翌日』



ううん…


目を覚ましたかい?体は無事だね?


ふぅ…リコルね…助かったわ…


どうして一人なんだい?


事情が変わったのよ…あの子たちは父と一緒にフィン・イッシュへ戻ってしまったの


そうか…又行き違いになってしまったな…


それより随分到着が早かったじゃない…あのアバズレは何処へ?


どうやら私達が追い越してしまった様でね…まだ見つけられて居ないのだよ


そう…仕方ないわね…でももう良いわ…アバズレに構ってる余裕は無くなってしまったから…


…と言うと?


フィン・イッシュが異形の魔物に攻め立てられて居るそうよ…私達も戻らないと…


あぁそういう事か…実はムン・バイの方にも異形の魔物が来ていて大変だったのだよ


ええ!?どういう事?


地下が何処かと繋がって居る様でね…戦車に乗って移動してきていた様なのだ


ちょっともう少し詳しく話して…



カクカク シカジカ…



---------------


---------------


---------------



闇商人「アラン…聞いて居るかい?」


盗賊「おう…」


闇商人「どうやらリコルさんの言う様に…あの人は君と同じ様に一文無しな様だね」


盗賊「金の話はどうでも良いぞ…それよりフィン・イッシュに例の魔物が行ってんだろ?」


闇商人「うん…僕の予想が当たってしまった様だ」


盗賊「あんま首は突っ込みたく無いが…電脳化の奴らに上手い事やられちまってるのがスケスケだ…」


闇商人「だね…」


盗賊「ムン・バイを占拠してんのも何か狙いが有るんだろうな…」


闇商人「幸いシン・リーンは何も被害が無いみたいだ」


盗賊「いや…旧港町の方では避難民が出てただろ」


闇商人「あぁそうだったか…」


盗賊「直にこっちまで来るかもしれん…時間の問題な気がする」


闇商人「電脳化の者に加えて異形の魔物か…敵はどんどん勢力大きくなるなぁ…」


盗賊「ちっとこっちの大陸の奴らも危機感持って貰いたいもんだ…ランカーの冒険者なぞマジどうでも良いわ」


闇商人「なんか…その中にも電脳化の者が混ざって居そうだよね」


盗賊「んん!?そういやこないだヤケに勘の良い奴を逃したな…」


闇商人「気球を奪った相手かな?」


盗賊「そうだ…アサルトスタイルの使い手だ…そいつだけ速攻逃げたんよ」


闇商人「なるほど…冒険者に混ざって遺跡でウラン結晶を探す…やりそうだ」


盗賊「おい…もしかしてよ?シン・リーンはずっと昔からそういう奴ら居るの知ってて色々厳しくしてるんじゃ無いか?」


闇商人「魔術師を一般人に化けさせてる理由か…ふむ…逆かもね」


盗賊「逆?」


闇商人「泳がせて動向を探るとかね?」


盗賊「そういうのも有るか…」


闇商人「ともあれ行動には十分注意が必要なのは変わらない…用心しないとね?」



スタスタ



狼女「あなた達…おしゃべりはそこまでよ」


盗賊「いよーう…威厳も地に落ちたな?婆さんの衣類はちっと小さいか?」


狼女「無駄口は止して…リコルに聞いたわ?書簡を手に入れたって…」


闇商人「あぁ…カードは僕が持ってる」ギロリ


狼女「あら?久しぶりね?いつの間に合流したのかしら?」


闇商人「え!?だ…誰だっけ?」ドギマギ


狼女「忘れてしまったの?ほら?」フリフリ


闇商人「尻尾…ああああああああああ!!アイリーンと一緒に居た…」


狼女「フフフ思い出したみたいね…あなた達2人揃ってファルクリードとマルコにそっくり」


闇商人「なんだリカ姉ってリカオンっていう名前だったのか」


盗賊「なんだお前等知り合いだったんか…」


狼女「ハテノ村に居た少しの期間だけよ…それも殆ど会話もして居無いわ」


闇商人「僕は遠くから見てただけさ」


狼女「それで?あなたが持ってるそのカードをどうするつもり?」


闇商人「あぁ…取り引きしようと思ったけど…その前に僕がやられてしまったな…」


盗賊「マテマテ…姉御が手に入れた書簡はその後どうなったんだ?」


狼女「じゃぁこうしましょう…その情報と引き換えにそれを渡して貰う…」


闇商人「なんか釣り合わない条件だけど…この場合そうするしか無いんだろうね」パサ


狼女「良い子ね…有益な情報ならあなた達にも教えてあげるわ?」


盗賊「ほんで?姉御の書簡は何だったんだ?」



残念ながらアレは集中端末の在処を示す物では無かったわ


でも新たに分かったのは箱舟の在処…


どうやら電脳化の者達は宇宙からその箱舟に乗って地上に降りたらしいの


その箱舟はいくつも隠して有ってエネルギーが無い状態なのよ



盗賊「おいおい…箱舟っちゃぁ機動隊の奴らもそれに乗って来たと言ってたんだが?」


狼女「お仲間の様ね…その後いくつも箱舟が地上に降りてる…これで理解出来る?」


盗賊「ほんじゃアレか…機動隊の人数が増えてるのはそいつらが合流して…」


狼女「そう考えるのが正しそう」


盗賊「なるほど分かって来た…そいつらが集まって4000年前の機械を復活させようって魂胆だ」


狼女「ご名答…さすがファルクリードの子ね」


盗賊「リコルに聞いたか?電脳化の奴らがホムンクルスだって事をよ」


狼女「それは随分前から周知されている事ね…だからホムコがドワーフ達に守られている」


盗賊「どういう事だ?」


狼女「ホムコは特別なのよ…電脳化の者に利用されてしまわない様に隠されているの」


盗賊「利用だと?何か特殊な事でも出来るんか?」


狼女「さぁ?詳しくは分からないけれど…インドラシステムを使えると言うのだけは知ってる」


盗賊「インドラ…そりゃ機動隊の奴らが言うエネルギー源だ…とっくの昔に喪失してる」


狼女「他にも何か有るのかも知れないわね…私も知りたいけれど一人でホムコを探しに行く訳にもいかないのよ」


盗賊「ギルドの方が忙しいってか」


狼女「そう…フィン・イッシュありきのギルドだから放って置けない」


闇商人「ねぇ…そういう情報はシン・リーンにも共有されているの?」


狼女「ある程度は知って居るでしょうね…でも私達盗賊ギルドとは無縁…こうして隠密活動してるのもそのせいよ」


闇商人「じゃぁシン・リーンでは盗賊ギルドの協力は無い感じなんだ?」


狼女「見て分かる?苦労してるって…冒険者に追いかけ回されて散々…」


闇商人「それは大変だね…ハハ」


狼女「でも一人だけ協力者が居る…あなたも知ってる筈よ?」


闇商人「え?誰だろう…」


狼女「黒の同胞の生き残りの一人…」


闇商人「レンジャーだった人?確か黒鉄の…」


狼女「正解…彼はシン・リーンに戻って衛兵隊長の役に収まって居るわ…」


狼女「そして彼が保護されている科学者の所までの道案内役」


闇商人「そうだったのか…」


盗賊「ところでリカオンさんよぅ…こいつは捕らわれになってるって言うマルコを探しに来たんだけどよ?何処にいんだ?」


狼女「それはいつの話?」


闇商人「え!?フィン・イッシュ女王の書いた伝記にはそう書かれて居たんだ」


狼女「随分古い情報の様ね…残念ながらシン・リーンにはもう居無いわ」


闇商人「そんな…じゃぁ次の行先は?」


狼女「こうしましょう…次の行先を知って居る人物にあなた達を合わせてあげる…そこで聞いて見なさい」


闇商人「知ってる人物?誰?」


狼女「塔の魔女よ…会わせるのに少し調整が必要だから一週間ほど時間を頂戴」


狼女「それからリコル!あなた金貨を持って居るでしょう?全部頂戴!」


戦士「ええ!?君にお金を渡すと全部使ってしまうだろう」


狼女「私にこんなみすぼらしい恰好をさせていても良いの?」


戦士「どうせ又破いてしまうから良いでは無いか」


狼女「良い訳無いでしょう…後フィン・イッシュに帰る為の気球を手配するのにもお金が必要」


盗賊「ちっと聞いて良いか?」


狼女「もう話は終わりよ」


盗賊「あのな…俺らはここでサヨナラする感じか?」


狼女「付いて来たいなら付いて来ても良いわ…その方が戦力にもなるし歓迎…でもあなた達は他に用事が有るのでしょう?」


盗賊「まぁな…」


狼女「でも用事が済んだら盗賊ギルドに合流して…秘密を知る者として放置は出来ないから」


闇商人「ええと…それはつまり僕も盗賊ギルドの一員になってるという事かな?」


狼女「始めからそうでしょう?アイリーン一派とでも言えば良くって?」


闇商人「そういう住み分けなのか…」


狼女「じゃぁ私は密会の調整をして来るから話はコレで終わり…ミルクいらっしゃい!?一緒に行くわよ」


少女「ハハーー!!」シュタタ ピョン


狼女「リコルは留守番…ほら!!お金頂戴!!」


戦士「んぁぁ…仕方が無いなぁ…」ジャラ





『しばらくして…』



盗賊「あぁぁ…一週間ヒマになった訳だがどうするカゲミ!?」


闇商人「そうだね…」


盗賊「狩りにでも行くか?」


闇商人「バヨネッタを使う所を他の人には見られたくないよ…僕は戦力外さ」


女ハンター「私は足の調子が良くなるまで静養するわ」


盗賊「ゲスは!?」


学者「俺っちもバヨネッタ使えないんじゃ何も出来んすよ」


盗賊「ううむ…ミルク無しじゃシカ見つけるのにも苦労しそうだな…」


戦士「私もアランと同じく一文無しになってしまったから少し稼ぎたいのだが…」


盗賊「俺とリコルの2人か…」


闇商人「狩りは置いておいて…アイリーンの足跡を探すと言うのはどうだい?」


盗賊「お前…20年も30年も昔の足跡がそんな簡単に見つかる訳無えだろ…何か手掛かりでも有んのか?」


闇商人「まぁ無いんだけどね…シン・リーンには何度も足を運んで居た様だからさ」


盗賊「ええとルイーダだっけか…ここのお姫さんとお友達だったってんだろ?城の方にゃ俺は顔出せんぞ」


戦士「むむ…そういえばリカオンが良くアイリーンの事を言って居たな」


盗賊「お?何か知ってんのか?」


戦士「気球とか屋根裏を好んでそこで何やら作り物に勤しむらしい」


盗賊「ほーう…屋根裏巡りか…」


学者「なんか狭い場所好むとかミライ君と一緒っスね」


戦士「アラン!2人で宿屋を巡って屋根裏の掃除で小銭でも稼ごうか?」


盗賊「ちょっとしたお宝探しか…おし!行ってみっか!!」


闇商人「良かったね…やる事が出来て…僕は市場に出てお金稼ぎのネタでも探して来るよ」


学者「俺っちもポーション売ってちっと金稼ぎやす…命の不等価性分かって来たんで良いポーション作れてるんす」




『市場』



ワイワイ ガヤガヤ


ポーション如何っすか~?安いっすよ~



闇商人「ハハ…なんかあんまり売れて無いみたいだねぇ…」キョロ


学者「カゲミさん…そーなんすよ…ここでポーションはあんま需要無さそうっス」


闇商人「魔法で回復が出来るみたいだから仕方ないさ」


学者「一応疾病退散のポーションは需要合って全部売れやした…金貨2枚っすね」


闇商人「魔法で病気は治せないって事か…」


学者「そうみたいっすね…今晩また作り増しやすよ…で?カゲミさんの方はどうっすか?」


闇商人「なんかフィン・イッシュと相場が全然違ってさ…こっちはこっちの経済圏が有るみたいだよ」


学者「お金稼ぎ厳しそうなんすね?」


闇商人「う~ん…ミスリル製の物がやたら高額取引されてるのは分かった…反対に魔石が凄く安い」


学者「あらら…ほんじゃ魔石売るのも勿体ないすね」


闇商人「そうさ…お金に余裕があったら買い占めてしまいたいくらいだよ」


学者「元手が出来んとなんも出来んすね」


闇商人「これは気球借りて戻るのは諦めた方が良さそうだ…」


学者「馬車っすか…」


闇商人「何か物資を運ぶとして…ここで安いのはハチミツ酒…なんかあまり利益が出そうに無い」


学者「他の商隊は何運んでるか分かりやす?」


闇商人「フルーツとか野菜だね…重たいから効率悪いよ」


学者「こりゃ兄貴の稼ぎに掛けるしか無いっすね…」


闇商人「一応ルイーダの酒場で魔物討伐のクエストは全部確認して来たよ」


学者「お!?良いのありやした?」


闇商人「高額なのは全部遠いのさ…北の山脈の辺りまで行かなきゃいけない」


学者「あらら…イエティ討伐とか無いんすか?」


闇商人「それも遠いね…南の旧港町付近…僕達が通って来た所だよ」


学者「昨日見た感じだと近場はウェアウルフ討伐とか有ったんすが…」


闇商人「それマズそうだよね?」


学者「やっぱそうっすよねぇ…てかミルクちゃんとかリカオンさんは大丈夫なんすかね?」


闇商人「人の姿になってれば問題無いんじゃないかな?」



ワーワー ドドーン!!



闇商人「え!?」キョロ


学者「あららら?なんか町の外で魔法か何か使ってる様っすね…」


闇商人「ちょっと見に行ってみよう」


学者「そーっすね…今日はもうポーション売りは止めときやす」スック


闇商人「行こう!!」




『外門』



チュドーン ゴゴゴゴゴゴ


相手は弓と魔法を使う!!盾持ちは前に出て射線塞げ!!


木の陰に隠れて魔法が狙えないわ!!引きずり出して!!


範囲魔法で凍らせるかどうかしろぉ!



シュン! グサ!



ぐぁぁぁ!!


負傷したら引くのじゃ…回復魔法を回せぃ!!



学者「こりゃえらく派手な戦いになって居やすね…」


闇商人「襲って来てるのは例の魔物だよ…1体だ」


衛兵「君達!!ここは危ないから下がって居なさい!!」



ヒュン ヒュン ドカーン ドカーン



闇商人「投石!?どこから…」キョロ


学者「見て下せぇ…魔術師が石を降らしていやすね…」ユビサシ


闇商人「メテオスゥォームか…」


学者「ちっと違う気がしやすが…結構効果的な面制圧爆撃っすよ」


衛兵「ほら!!魔法に巻き込まれてしまう…こっちだ」グイ


闇商人「あぁすいません…魔法が珍しくて…」


学者「カゲミさん…ちっと下がって見ときやしょう…相手は1体なんでこの感じは攻め切れんすよ」


闇商人「そうだね…何処か建屋に上がろうか」


学者「こっちっす」グイ



タッタッタ…




『とある建屋の屋上』



ドーン ボボボボボボ



学者「いやぁ…あの魔物やっぱ賢そうっすわ」


闇商人「うん…魔法の射程を良く考えてる」


学者「魔法の撃ち合いじゃ弾切れは無さそうっすが…矢をチクチク当てられてるのが痛いっすね」


闇商人「回復魔法で癒されては居る様だけど…どう思う?」


学者「あの魔物は矢尻に黒曜石使って居やすよね?」


闇商人「もしかしてそれが狙い…」


学者「そんな感じしやす…回復魔法されても体の中に残っちゃうんでちょっとづつ戦力離脱しやすよ」


闇商人「あ…引いて行った…」


学者「矢が無くなったんじゃ無いっすか?」


闇商人「これさ…疾病退散のポーションが売れるのってコレが原因じゃ?」


学者「え?」


闇商人「毒矢を撃たれてたり…体に黒曜石が残ってしまって居たり…」


学者「可能性はありやすがそもそも痛くて動けんと思うんすけどね」


闇商人「黒曜石は割れやすいから小さな破片だけ残って居た場合は?」


学者「そういう事っすか…だとすると炎症が治らんという症状が続くかも知れんです」


闇商人「そうやって戦力を少しづつ削いで居るかもしれないな…」


学者「あんま小さい欠片は外科手術で探すのも難しいっすよ…変に体切られるのも皆嫌がりやすからね」


闇商人「なんか厄介だね」


学者「戦場で負傷するとみんなそういう後遺症持って退役するんす…仕方ないっすね」


闇商人「逆に言うとそれがお金儲けのチャンスだ」


学者「いやぁぁ疾病退散のポーションじゃ治らんすよ」


闇商人「いやいや君のポーションだよ…エリクサーみたいな物でしょ?」


学者「炎症を抑える効果は高いすね…売れんのですが…」


闇商人「皆知らないだけさ…そのポーション預からせて貰って良い?」


学者「どうするんすか?」


闇商人「お試しで飲んでみて貰って明日から少し高めに売るんだ」


学者「じゃぁ沢山作らんとイカンすね」


闇商人「うん…材料を市場で買って作り増し出来る?」


学者「分かりやした…ちっと仕入れて来やす」


闇商人「僕は負傷した人にポーション飲ませて来るよ」


学者「量は分かりやすよね?一口で良いっすからね?」


闇商人「大丈夫!任せて…」




『夕方_お化け屋敷』



ガチャリ ギギギギギギ



盗賊「いよーう!戻ったぜぇ?」ガチャガチャ


女ハンター「あら?その顔は収穫有ね?」


盗賊「まぁな?」


女ハンター「今度は何を?」


盗賊「大した事は無いんだがバラバラになったクロスボウの部品だ…あと作りかけのミスリル製スピアヘッドだ」


戦士「アラン!銀貨も忘れて居るぞ」


盗賊「おぉそうだ…銀貨一袋分が放置されてた」


女ハンター「フフ…金貨では無くて銀貨なのね」


盗賊「まぁ全部合わせて金貨2枚分くらいにはなる筈よ…収穫上々だ」


戦士「アラン!まだ時間が有るから私は市場で安い槍を仕入れて来るが?」


盗賊「柄の部分だけで良いんだがな…その銀貨上手く使ってくれ」


戦士「分かった…柄だけ買えるか相談してみる…行って来る」スタ



ガチャリ ギギギギギギ バタン!



盗賊「おっし!!俺は今からクロスボウの組み立てだ」


女ハンター「それも柄の部分が無いのね…」


盗賊「柄と言うかストックな?木が割れちまってて使いもんにならんから捨てて来た」


女ハンター「それじゃぁ組み立てても意味無いじゃない」


盗賊「ちっと考えた…お前のバヨネッタに装着すんのよ…ちょい貸せ」


女ハンター「え!?」


盗賊「まぁ飾りみたいなもんよ…クロスボウに偽装する訳だ」


女ハンター「あぁそう言う事ね…銃だと分からなくするのね」


盗賊「そういうこった…発射されるのはいつもの弾だ…でも他の奴らにはクロスボウ使ってる様に見える」


女ハンター「音はごまかせないと思うけど…」


盗賊「バヨネッタは火薬の爆発音じゃ無いから小さいだろ…クロスボウがガチャガチャ動いてりゃ分かん無えよ」


女ハンター「弦は一応動かすつもりで居るのね…反動でブレそう」


盗賊「どうせ30メートルぐらいで使うから少々ブレても問題無え」ガチャガチャ


女ハンター「直ぐに出来そう?」


盗賊「おう!こんなもん組み上げるだけだからな」ガチャガチャ


女ハンター「これを私に使わせてどういう想定なの?」


盗賊「狩りに決まってんだろ…バヨネッタ使えりゃ大型の獣も倒せるんだ」


女ハンター「足の調子が悪いと言った筈だけど…」


盗賊「わーったわーった…背負ってやるからちっと付き合え」


女ハンター「呆れた…」


盗賊「そんな引きずりまわす様な事はし無えから頼むわ…ずっと横になりっ放しじゃ暇だろ?」


女ハンター「何を狩るつもり?」


盗賊「ちっと森に入るとシーサーってのが居るらしい…でかい獅子だ…そいつが一匹金貨10枚になる」


女ハンター「イエティよりも高い…」


盗賊「こいつは肉が売れるんだ…だから倒した後は荷車に乗せて帰って来る」


女ハンター「荷車…と言う事は私はそれに乗りっ放しで良い訳ね?」


盗賊「そうだ…イケそうだろ?」


女ハンター「分かった…でも条件」


盗賊「何よ?」


女ハンター「私をもっと大事に扱って」


盗賊「なぬ!?」


女ハンター「怪我をして痛い目には遭いたくない」


盗賊「おおぅ悪い…もうちょい気を遣うわ…そうだな…確かにお前にばっかり頼り過ぎた所もあんな…」


女ハンター「…」---どうして許せてしまうのだろう---



頼ってくれて居るから?


そうやって心の穴を埋めてくれているから?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ