24.異形の魔物
『しばらくして…』
ダダダ スタ
盗賊「いよう!戻ったぜ?」
闇商人「あ…ミルクちゃんから聞いたよ…排水口を下って海の方まで見に行ってたんだよね?」
盗賊「おう…海に繋がっちゃ居るんだがどこにも船が見当たらなくてよ」
航海士「あぁ…そこに小舟が有ったんやが盗まれてしもうてな」
盗賊「お!?話せるようになったか」
闇商人「事情は聞いておいたよ」
盗賊「そうか…まぁ後で聞かせてくれ」
闇商人「海側から出られそうなのかな?」
盗賊「多分な?俺らの双胴船を持ってくりゃ物資も運べそうだ」
闇商人「それは良かった…貴重な石炭が有るからね」
盗賊「他の物資はどうよ?」
闇商人「ほとんどレーションさ…後はこの遺跡で発掘したキラーポッドの部品だね」
盗賊「貴重な物は無いってか」
闇商人「うん…殆ど移送されてしまったんだと思う」
盗賊「ほんでドワーフさんよ?動けそうなんか?」
航海士「俺はゴッツや」
盗賊「口ぶりからすると元気そうだ…動けるか?」
闇商人「激しい運動は止めて置いた方が良いと思うよ…黒曜石の矢尻が体の中に残ってるから」
盗賊「おおう…そら痛そうだな」
闇商人「ゲス君が起きたら動かして良いか聞いてみるだね」
盗賊「ミルクも寝てんな?」
闇商人「まだ起こさない方が良いと思うな」
盗賊「まぁ太陽出てっから一人でなんとかなるかぁ…」
闇商人「ん?双胴船を動かしに行く?」
盗賊「そのつもりだ」
戦士「私が手伝うか?」
盗賊「いや大丈夫だ…リコルが動けるなら運びたい荷物を下に降ろして運んで貰えると助かる」
戦士「ハハハ…なかなか重労働そうだ」
闇商人「重たいのはキラーポッドの部品だけかな」
盗賊「そんなもん置いて行きゃ良いだろう」
闇商人「いやいやもう一つガトリングが作れるかも知れないよ?」
盗賊「マジか…そら欲しいな」
闇商人「弾も余分に有った方が良い…いつ補給出来るか分からないから」
盗賊「まぁ任せる…ちっと俺はダッシュで双胴船を持って来るわ」
闇商人「気を付けて…」
『木箱のうしろ』
スタスタ…
闇商人「ラスさん…少し休んで良いよ…ずっと望遠鏡覗いて疲れてるんじゃない?」
女ハンター「明かりをこっちに持って来ないで…向こうに察知される」
闇商人「え!?まだ居るの?」
女ハンター「有効射程の外側だけどまだ居る…3体に増えてる」
闇商人「どうやってこっちに来てるんだろう…」
女ハンター「あそこに居るのは多分斥候よ…その後ろで戦車を使って移動して来ているのかも知れない」
闇商人「マズいね…」
女ハンター「ゴッツさん!!その戦車は爆弾で破壊出来そう?」
航海士「鉄の塊や…大砲直撃でもせんとビクともせんやろう」
女ハンター「移動速度は?」
航海士「人が走るぐらいの速さやな…向こう側まで2週間掛かると言っとったわ」
闇商人「望遠鏡で見えてるのは人間では無い?」
女ハンター「姿だけしか分からないけれど人間よりも随分大きい…手が何本も有る」
闇商人「ふむ…ムン・バイ遺跡にどんな用事が有るんだろう…」
航海士「お宝が仰山眠っとるちゅう話やで?」
闇商人「異形の魔物達はそれを手に入れに来てると見て良さそうか…」
女ハンター「相手はかなり賢そう…ちゃんと射程距離考えてる」
闇商人「人が走る速さか…あっという間に接近されそうだ」
女ハンター「もう下がる準備をした方が良いと思う…皆起こして移動する事を考えて」
闇商人「分かったよ…」
女ハンター「あ!!動きがあった…後方を振り返ってる!!」
闇商人「うわ…マズい!!ゲス君!!起きて!!」ユサユサ
学者「ほげ?」ムクリ
闇商人「緊急事態だよ…ここから移動する」
学者「なななな…なんなんすか…」ゴシゴシ
闇商人「敵が近付いて来そうなんだ…逃げないといけない」
学者「えーと…俺っちは良いんすが…ドワーフが2人動けやせんよね?」
航海士「俺はなんとか動ける…ふむむ」ノソリ
学者「もう一人は昏睡してるんすが…」
航海士「俺に考えがある…その辺の木箱を全部下に落とすんや」
闇商人「んん?そしてどうする?」
航海士「木箱をクッションにして連れを落とせば下に行けるやろ…下にさえ行けば戦車は追って来れん」
学者「戦車!?」
闇商人「話は後だよ…戦車がこっちに向かって来そうなのさ」
学者「マジすか…」
航海士「無駄話はええから全部木箱を下に落とせい」
闇商人「そうだね…僕もやるよ」
『排水口へ降りる穴』
ポイ ドサー ガラガラ
闇商人「これで最後だ…」
学者「兄貴とリコルさんは何処行っちゃったんすか?」キョロ
闇商人「荷車使って物資を運び出してるのさ」
学者「これドワーフ下に降ろすのに人出不足っすよ…」
闇商人「仕方ないさ」
航海士「おまんらもガッツ引きずるの手伝えや…あたたた」ズリズリ
船大工「ふごーー…すぅ…」zzz
学者「へいへい…ふん!!ぬぁぁぁ!!重っも!!」グイ
航海士「下に木箱が散らかっとるな?このまま落とせばええ…」
学者「重症者をそんな扱いして良いんすかね?」
航海士「ドワーフは丸いから転がるんや…多分大丈夫やろう」
闇商人「ねぇこれ…穴に詰まっちゃわないかい?」
航海士「入って来れたんやから戻れる筈や…足の方から突っ込むで?」グイ
ポイ ヒューーー ドターン!! ガラガラ
学者「アハハ…なんちゅーか…無茶苦茶っすね」
航海士「俺も降りるでおまんらも早よう降りて来い」
闇商人「次僕が降りるよ」
シュタタ ズザザー
少女「ゲス!!ラスが呼んでるぞ」
学者「どうしたんすか?もうそこまで来てるんすかね?」
少女「バヨネッタが必要言ってた…来い!」
学者「わかりやした…カゲミさん先に行ってて下せえ」
闇商人「分かったよ」
学者「兄貴たちが荷車持って来るまでちっと時間稼がんといかんので牽制しときやす」
闇商人「下で待ってる」
『木箱のうしろ』
タッタッタ
学者「ラスさん来やしたぜ?どんな感じっすか?」
女ハンター「2キロくらい先で例の戦車らしい大きな物が止まった」
学者「バヨネッタをどうするんすか?」
女ハンター「私のライフルは弾があと9発しか残って無い…だからバヨネッタで牽制して欲しい」
学者「2キロ先なんか当たりやせんぜ?」
女ハンター「当たらなくてもそこまで弾が届けば良いの…もしかしたら後退するかもしれない」
学者「なるほど…弾が飛んでくりゃちっと向こうも作戦変えるかも分からんすね」
女ハンター「そう…それが狙い…あと何発残って?」
学者「100発ちょいって感じっす」
女ハンター「リロード間隔がバレない様に不規則に撃って」
学者「分かりやした…運が良ければ当たるかも知れんすね」チャキリ
ターン!! カン カン
女ハンター「フフ気付いた…もっと撃って」
学者「俺っち望遠鏡付いて無いんで弾が何処行ったか分からんすよ」ターン! ターン!
女ハンター「大体で良いのよ…戦車の後ろに隠れ始めた」
学者「弾は届いてそうっすか?」
女ハンター「分からない…壁面に反射しなければ届く筈…どんどん撃って」
ターン! ターン! ターン! ターン!
女ハンター「よし!戦車に当たった…これで警戒する筈」
学者「これ木箱を動かしながら少しづつ下がりやせんか?」ターン!
女ハンター「名案!下に降りる穴の所までゆっくり下がるわ」ズリズリ
学者「最後にこの木箱も穴に落として燃やしてしまえば火が消えるまで穴に降りられんくなりやすよ」
女ハンター「それも良いわ…出来るだけ時間を稼ぎましょう」
学者「向こうに動きはありやせんか?」
女ハンター「ゆっくり進んでる…多分歩く程度の速さ」
学者「2キロ先だとすると30分くらいっすか…」
女ハンター「途中に地雷をいくつか置いてるからそこで一旦止まるかも」
学者「30分で兄貴たちが戻ってくりゃ良いんすが…」
女ハンター「海に出るまでも大体2キロくらい…ここでどれだけ時間を稼げるかね」
『穴の所』
ターン! ダーン!
女ハンター「距離1キロ…ここから私が当てられる距離…」チャキリ
学者「俺っち残弾が50発くらいっす」
女ハンター「まだ私のベレッタが2つ有るから全部使い切るつもりで撃って」
学者「へい…」ターン!
カン カン!
女ハンター「フフ…壁に反射した弾が戦車の後ろに届いてて向こうは困惑してる」
学者「当たって無いすか?」
女ハンター「当たっては居ないけれど不規則に反射するから怖いのね」
学者「ラスさんは当てられやせんか?」
女ハンター「確実に当てるならもう少し寄せたい…」
学者「当てても魔法で回復されるなら意味無いかもっすね…」
ドーン! ドカーン!! パラパラ
学者「どわっ!!」ゴロゴロ ドテ
女ハンター「え!?」
学者「ちょちょちょ…向こう大砲有るじゃ無いっすか!!」
女ハンター「只の鉄の乗り物じゃ…無い?…」
学者「ちょいちょい…作戦変更!!木箱放り投げて下に居りやしょう…って怪我しとるじゃないすか!!」
女ハンター「ど…どこ?」ヨロ
学者「腹っす腹!!とりあえず先に下降りて圧迫止血しといて下せぇ!!」
女ハンター「分かったわ…」フラ
学者「重装射撃砲だったとすると再装填早いんで直ぐに降りて下せぇ」ドタドタ
『穴の下』
ドカーン! パラパラ
学者「うひゃぁぁ火力ぶっぱで押し込んで来やしたね…腹の出血具合はどうすか?」
女ハンター「木片が刺さったみたい…」タラー
学者「抜きやした?」
女ハンター「抜いて押さえてる」
学者「ポーション飲んで下せぇ…」クイ
女ハンター「むぐっ…」ゴクリ
学者「木箱で丁度遮蔽されてたんで軽傷で済みやしたね…今からここの木屑燃やすんで先に行って下せぇ」
女ハンター「皆先に移動してるのね…」
学者「そんな遠くには行ってやせんよ…歩けそうっすか?」チッチ メラ
女ハンター「なんとか…先に行く」スタ
学者「俺っちは木屑燃やしてもうちょい足止めするんで後方に下がって援護頼みやす」
女ハンター「分かったわ」
学者「荷車に乗せて貰えば援護しながら移動出来やすよね?」
女ハンター「任せて」
学者「早く行って下せぇ」ガッサ ガッサ
メラメラ ボゥ
学者「ええと…1キロ先だとすると後10分ちょい…早く燃えろ燃えろ」ガッサ ガッサ
ドカーン! パラパラ
学者「うほーー再装填はやっ!!」
『排水口_荷車』
ドコーン!! ガタゴト ガタゴト
戦士「おぉカゲミ君!!これは何事だね?」
闇商人「異形の魔物が攻め込んで来たのさ…緊急事態だよ」
少女「チチ遅いぞ!!」
戦士「なかなか重労働で休んでしまっていた」
闇商人「ドワーフ2人乗せられるね?…直ぐに移動しよう」
航海士「うはぁ…助かったわい…相方乗せるの手伝ってくれや」
戦士「ここまで引きずって来たのか…それは大変だったろう…ふん!!」ドサー
船大工「ふが…ぐぅ…」zzz
戦士「ラス君とゲス君が居ない様だが…足止めで残って?」
闇商人「うん…ギリギリまで時間稼ぐって」
戦士「んん?前方に火が見えるぞ?」
闇商人「あ…本当だ」
少女「む!ラスが怪我してる様だ…血が匂う」
闇商人「え!?」
少女「こっちに向かってる…迎えに行って来る」シュタタ
戦士「これは急がないといけない様だ」
ドコーン! パラパラ
闇商人「んん?真上で爆発した感じだ…どうなってる?」
戦士「早く退散した方が良い…海まで2キロくらい距離がある」
闇商人「僕は後ろから押すよ…リコルさんは荷車引っ張って」
戦士「さぁ行くよ!」グイ
ガタゴト ガタゴト
闇商人「アランは?」
戦士「双胴船で物資を先に船へ運んで居るよ」
闇商人「海まで逃れればとりあえず一安心かな」
戦士「そうでも無い様だよ?空を飛んで居る恐竜が粗ぶって居るのだそうだ」
闇商人「ええ!?どうして急に?」
戦士「さぁ?まぁ船に襲ってきている訳では無い様だがね?」
闇商人「どうして急にいろいろ起こるのだか…」
タタタタン! タタタタン!
闇商人「あ!バヨネッタの音だ…」
戦士「ふむ…どうやらゲス君が戦って居る様だね」
闇商人「見える…敵がこの排水口に降りてこない様にしてるんだ…上に向かって撃ってる」
戦士「あそこで燃やして居るのは何だね?」
闇商人「上にあった木箱を落としたんだ…それを燃やして降りられない様にしてるんだと思う」
戦士「なるほど…すぐに燃え尽きてしまうな」
闇商人「だろうね…」
シュタタタ
少女「父ぃぃ!!止まれぇ!!ラスも乗せろ!!怪我してるぞ」
女ハンター「ふぅ…追いついた…乗せてもらう」スタ
戦士「負傷したのは腹か…それはなかなか血が止まらん」
女ハンター「私はゲスを援護しなきゃいけないから休めない…構わず荷車は進めて」
戦士「ううむ…これは迎撃しないといけない感じになりそうだな」
航海士「おまんの背負ってる盾を俺に貸せ…盾を構えるぐらいならまだやれるで?」
戦士「では頼む」ガチャリ ドサ
航海士「俺が盾を構えとるで追手が来たら隠れながら銃で撃てば良いやろ」
女ハンター「カゲミ!これ使って」ポイ
闇商人「ベレッタ…」
女ハンター「弾は13発…接近された時に撃てば良い…私は狙撃に専念する…残り9発」
闇商人「厳しいな」
女ハンター「ゲスはもう残弾無いからそろそろ引いて来る…準備して」
戦士「ミルク!荷車に乗って盾に隠れるんだ…どうしても厳しい場合は変態して皆を守りなさい」
少女「分かった!父ぃ!早く進め!」
ガタゴト ガタゴト
『500メートル程下った所』
ドーン ドーン
闇商人「む?この音は?」
女ハンター「私が設置した地雷を戦車が踏んだのよ…あの穴から100メートルくらい向こう」
闇商人「じゃぁさっきまでの爆発音は?」
女ハンター「あの戦車は大砲を積んでたの…それを撃たれて怪我をした…」
闇商人「そういう事か…じゃぁ軽傷で済んだのは運が良かった」
女ハンター「その通り…はぁはぁ…」
闇商人「大分血が出てしまってるかな?」
女ハンター「ポーションは飲んである…あ!ゲスが走って来る…」
闇商人「あ…あれ?燃えてた火はどうなった?」
女ハンター「急に消えた…」
闇商人「何かの魔法か…」
女ハンター「ズルい…魔法まで使うなんて…」チャキリ
航海士「あの異形の魔物はいろいろやって来よるで?」
闇商人「そうだ…確かダークエルフの生れ果ても混ざって居ると聞いた事が有る」
航海士「あれはダークエルフなんか?…通りで強い訳や…」
女ハンター「弓と魔法以外に何を使う?銃器は?」
航海士「手が何本もあって色々使いよる…銃器があるかは分からん」
女ハンター「排水口にはまだ降りてない…狙撃を警戒して居るのかも知れない」
闇商人「賢いな…裏を取られる可能性も考えておかないと」
戦士「話に割って入るが…まさか飛んでる恐竜が向こうの仲間だと言う事は無いだろうね?」
航海士「それは無い思うぞ?恐竜はかなり知能が低い様や…」
闇商人「一応注意しておかないとね」
女ハンター「降りて来た…ちぃぃ盾を持ってる!急所狙えない…」
闇商人「ゲス君は?」
女ハンター「走ってる…盾を構えながら弓を使うなんて…くそう!撃つしかない」
ターン!
女ハンター「あと8発!」
闇商人「あ…何か光った…」
女ハンター「多分魔法…回復されて狙撃しても撃っただけ無駄になってしまう」
闇商人「まさか弾切れを狙ってる?」
女ハンター「…」
闇商人「向こうが残弾を知ってる訳無いか…」
女ハンター「この会話が聞こえていたとしたら?」
少女「この距離なら聞こえるぞ」
戦士「大丈夫だ…アランのバヨネッタはまだ残弾が十分残って居る…気にせず狙撃すれば良い」
戦士「それからね?回復魔法は失った血が戻る訳では無いのだよ…出血させればどんどん弱くなる」メパチ
女ハンター「分かった全弾当てて行く」ターン!
戦士「もう向こうの弓も魔法も射程外だ…カゲミ君にも荷車を押して貰えると助かる」
闇商人「あぁそうだね」
戦士「緩い下りだから一旦速度に乗ると以外に早いのだよ」
ガタゴト ガタゴト
『1キロ程下った所』
タッタッタ
学者「はぁはぁ…やっと追い付きやした…ひぃひぃ…」
闇商人「ゲス君!バヨネッタの残弾は?」
学者「10発くらいっす…」
闇商人「これからは単発で撃って」
学者「分かりやした…ちっと荷車乗って息を整えやす…ふぅ」ピョン
女ハンター「手榴弾は持ってる?」
学者「ありやすぜ?4つっすね…でも遮蔽物無いんでこっちも被害受けやすぜ?」
女ハンター「海まで行けたら荷車倒して遮蔽物にすれば良い」
学者「なるほど…それなら行けそうっす」
闇商人「敵は追って来て無い?」
女ハンター「動いてない…来るときは一気に来ると思うけど…」
学者「てかあの異形の魔物は人間の言葉使ってたんすが…」
闇商人「え?何を話してた?」
学者「いやいや普通に下がれだの降りろだの…ルーデウスって名が誰なのか知らんすか?」
闇商人「それは…旧セントラルの第3皇子の名だね…そこに居たのかな?」
学者「なんかごちゃごちゃ指揮ってたんすが…黙れルーデウスって諫められてたんすよ」
戦士「随分古い話だね…30年以上前に戦死している筈だから別人だろうね」
闇商人「あぁそうだね…でも旧セントラル関係だとすると此処に攻めて来るのも合点が行くと思ったんだ」
戦士「賊に占拠された拠点を取り戻しに来た…と言う事になるか」
闇商人「そういう事さ…向こうから見ると僕達は賊なのさ」
学者「これもしかしてお宝持って逃げてると思われていやすか?」
戦死「ハハ…荷車引いてそんな風にしか見えないねぇ」
女ハンター「あと残弾2発しかないから牽制出来なくなる…海まで急いで」
戦死「ゲス君も少し休んだら荷車を押すんだ」
学者「分かりやしたぁ…ちっと待って下せぇ」
『排水口の出口_海』
ザブン ザザー
戦死「アラン君はまだ戻って来て居無いな…」
闇商人「少しここで凌ぐ必要が有りそうだね…敵の動きは見える?」
女ハンター「私達が元来た長いタラップを2人が上がって行った…回り込まれるかも知れない」
アオ~ン ワオ~~~ン
少女「む!ウルフィの遠吠えだ…」
闇商人「何て言ってる?」
少女「敵が来た合図だ…まだ遠い」
闇商人「ウルフィも呼び戻した方が良さそうだ…」
少女「大丈夫だ…ウルフィ賢い…海に行こうとしてるの分かってる筈だ」
女ハンター「あ!!向こうに動きが…え?何アレ…」
学者「ラスさん慌てんでも良いっすよ?距離は結構離れてるんで大丈夫っす」
女ハンター「骨が動いてる…どうして…」
闇商人「骨?もしかしてスケルトンだとか?」
女ハンター「骨を操る魔法があるの?」
闇商人「どのくらいの数?」
女ハンター「10体以上この排水口に降りて来てる」
闇商人「魔法に間違いなさそうだ…死霊術師が向こうに居るんだ…」
女ハンター「歩いてこっちに向かって来てる…これどうすれば?」
闇商人「君は残弾2発…スケルトンは無視して異形の魔物だけ近付けさせなければ良い」
学者「スケルトンはリコルさんに任せる感じっすね…ミスリルの剣持って居やすよね?」
戦死「勿論だ…スケルトンは手ぶらなのかい?」
女ハンター「燃え残った木屑で剣と盾の様にしてる」
闇商人「盾を使うのか…銃の射線が防がれて厄介になるな」
女ハンター「異形の魔物が動き始めた…スケルトンに隠れながら近づいて来る」
戦死「私達も少し陣地構築をしようか…荷車を横倒しにするぞ?」
学者「手伝いやす…」ダダ
『横倒しの荷車』
ターン! ターン!
学者「リコルさん!!手榴弾投げるんで身を隠して下せぇ!!」
戦士「私に構うな!!盾で身を隠せる」
学者「巻き込まれんで下せぇよ?」ポイ
闇商人「くそう!!この距離だとベレッタでアイツに当たらない!!」
学者「向こうは弓が撃てる距離じゃないんで凌ぎやしょう…ギリ兄貴が間に合いそうっす」
盗賊「うお~~~い!!どうなってんだこりゃぁぁぁ!!」ザブザブ
学者「兄貴ぃぃぃ!!バヨネッタで援護してくだせぇ!!」
盗賊「俺ぁ船漕いでんだ!出来る訳無えだろ!!」
闇商人「アラン!!バヨネッタをこっちに投げて!!弾がもう無くなる!!」
盗賊「おらぁぁ!!受け取れぇぇ!!」ポイ
ドガーン!! パラパラ
盗賊「どわぁ!!榴弾の破片が飛んで来てんだろアホがぁ!!」
学者「結構ギリな戦いなんす!!早く逃げんとマジやばいっすよ!!」
闇商人「よし!!残弾十分だ…これはラスさんが使った方が良い」
女ハンター「…」クター
闇商人「あ…マズい…気を失ってる…」
学者「マジすか…バヨネッタ俺っちが撃つんでカゲミさんは双胴船に乗る準備して下せぇ」
闇商人「頼むよ…異形の魔物を近付けさせないで」ポイ
学者「ウハハハハ…これで俺っちのターンすね」
タタタタン! タタタタン!
戦士「おぉ!!当たってる!!」
学者「この距離は数撃ちゃ当たるんすよ」
闇商人「よしよし!盾構えながら引いてる!リコルさん今の内にスケルトンを処理して!!」
戦士「任せろ!!」ダダ
盗賊「おっしゃぁ!!こりゃエライ撤退戦やってたもんだ!」
闇商人「すぐに海へ逃れたい!ドワーフ2人を双胴船に運んで」
盗賊「わーった!!お前足を持て」グイ
闇商人「うわ…重いなぁ…」グイ
盗賊「どらぁぁぁ!!」ドスーン
闇商人「これ全員乗れるかな?」
盗賊「乗れんでも船に掴まっときゃ溺れん…おらもう一人の爺は自分で乗れるか?」
航海士「俺はゴッツや…自分で乗るから倒れたネエやんをはよ運ぶんや」ヨタヨタ
盗賊「なぬ?」
闇商人「ラスさんが出血で気を失ってる」
盗賊「そうか…運ぶからカゲミはラスの応急処置を頼む…よっこら」グイ
闇商人「やっと処置出来る…ずっと戦い詰めだったんだ」
盗賊「そんなギリな感じか…敵は何ヨ?」
闇商人「ダークエルフが何人も居る…これで厳しさ伝わったかい?」
盗賊「そうか…詳しい話は後だ!!おいリコルとゲス!!双胴船に乗ってくれ!!」
戦士「私は最後で良い…ゲス君乗るんだ!」
学者「へ~い!!もう敵は下がってるんで大丈夫っすよ?」ダダ
盗賊「まだ乗れそうだな?ミルクもこっち来い!!双胴船動かすぞ」
シュタタ ピョン シュタ
少女「…」クンクン
盗賊「んん?どうした何か匂うか?」
少女「ウルフィ何処に居るか分からん…」クンクン
盗賊「さっき船に向かって泳いでたぞ?ほんで外は雨降ってる」
少女「そういう事か…心配したぞ」
盗賊「おらリコル乗れぇ!!動かし始めてんぞ!!」グイ
戦士「ふぅ…ギリギリ脱出成功か」ピョン スタ
学者「いやぁぁ危なかったっすねぇ…弾切れが向こうにバレバレだったんで突撃される寸前っすよ」
戦士「アラン君…海の方は安全なのかい?」
盗賊「そりゃ微妙かもな…空の方で飛んでる恐竜が何かと戦ってる様でよ?」
戦士「何か?」
盗賊「雲で良く見えんのだ」
少女「アラン!今ウルフィも私も鼻が利かん…敵何処に居るか分からんから気を付けろ」
盗賊「んん?まだ何か居るってか?」
闇商人「あぁ忘れてた…地上の方にもそのダークエルフが上がってるんだった」
盗賊「てかなんでダークエルフが居んのよ」
闇商人「あの異形の魔物はたぶんダークエルフの生れ果てなのさ…そんなのが何体も来てる」
学者「兄貴!向こうはデカイ戦車に重装射撃砲も積んでるんす…火力ブッパで押し切られちゃったんすよ」
盗賊「お前等の爆弾だと思ってた音は重装射撃砲だったってか…」
学者「これ何処に重装射撃砲仕込んでるか分からんので射程外に早く逃れた方が良いっすね」
盗賊「だな…てかそれ運用するだけの人駆が攻めて来てたってか…」
闇商人「多分この場所を賊に占拠されたと思って取り返しに来てるんだよ」
盗賊「なるほど?だとしたら俺の船に掲げてるフィン・イッシュの旗印は出しとくとマズイ」
闇商人「あーーーそういえばそうだったね」
盗賊「見られてなきゃ良いが…ちっと動きづらくなるかもなぁ…」
ダダダダダダダン! ダダダダダダダン!
盗賊「ぬお!!ガトリング撃ってる音だ…」
学者「船の方でも何か有ったみたいっすね…」
盗賊「おい!!バヨネッタの弾半分分けて2台体制にしろ…リコルは盾準備だ」
戦士「ヤレヤレ…一難去って又一難か…」
『キャラック船』
ユラ~ ギシ
剣士「姉さん!あのドラゴンには当てない様に気を付けて」
女オーク「分かってる…」
剣士「ドラゴン一匹じゃ飛んでる恐竜から逃げるしか出来ないんだね…数が違い過ぎるか…」
女オーク「折り返して又こっちに飛んで来そう…」
剣士「やっぱり援護求めてるよね」
女オーク「陸の方は良いの?」
剣士「僕が見ておく…アランさん達が戻って来るのにも援護が必要になるかも知れない」
女オーク「来る…」
剣士「よしよし…今度はもっと高度下げてる」
女オーク「ドラゴンに何か乗ってるわ」
剣士「きっとエルフだよ…すごいなぁ…僕も乗って見たいなぁ」
女オーク「撃つわ!」
ダダダダダダダン! ダダダダダダダン!
剣士「アハハ!当たってる当たってる!」
プテラノドン「ギャーーーース!!」バッサ ビュゥゥ
ダダダダダダダン! ダダダダダダダン!
剣士「これ当てられる距離がどれくらいなのかの訓練になるなぁ…今ので4匹に当たったね」
女オーク「今くらいの距離なら外さない」
剣士「弾道見えてるから修正も楽だね」
女オーク「うん…」
剣士「あ!!恐竜の飛び方がおかしい…これ落ちるぞ?」シュタタ
女オーク「恐竜がばらけ始めた」
剣士「共食いが始まるんだ…落ちて行く奴を追ってる」
ズドーン! ズザザザー
剣士「アランさんの船の方向に見た事無い魔物が2匹行ってるなぁ」
女オーク「恐竜じゃ無いわね…」
剣士「なんだあれ?」
女オーク「この距離だと弾がバラけて当てるのは厳しいかも知れない」
剣士「追い散らす分には良いさ…双胴船に近付かない様に援護してあげよう」
女オーク「分かったわ…」グイ
ダダダダダダダン! ダダダダダダダン!
剣士「あ!一発当たった!!」
女オーク「偶然ね…どうする?続ける?」
剣士「いや…あの魔物は止まったね…こっちを伺いながら建屋の影に移動してる」
女オーク「あんな魔物見た事無いわ」
剣士「なんか賢そうだ」
女オーク「ねぇ…雨で良く見にくいけど…双胴船の様子が変よ?」
剣士「本当だ…」
女オーク「私は荷上げの準備してくるからガトリングを撃つの代わって?」
剣士「うん…」
『双胴船』
バサバサ ギシ
盗賊「おし!風に乗った…もう大丈夫だ」グイ
学者「危なかったっすねぇ…」
盗賊「おいリコル!大丈夫か?」
戦士「ハハ…まさかこんな針を通すような隙間を狙って矢が飛んで来るとは思わなかった」フラ
学者「矢は脇腹貫通してるんで直ぐに処置出来やす…折って抜きやすぜ?」
戦士「頼む…」
学者「ちっと辛抱っすよ?」ボキ ズブズブ
戦士「あだだだ…くぅぅ」
学者「今は圧迫止血しか出来んのでそのまま動かんでいて下せぇ…船戻ったら縫合しやす」
盗賊「おら!酒代わりでポーションだ」ポイ
戦士「済まんな」パス
闇商人「ラスさんは大丈夫かな?」
学者「怪我の方は大した事無いんすよ…ちっと血が出て目が眩んじまったんすね」
ギャーーーース ボボボボボ
盗賊「うはぁぁ!!ドラゴンが火吹いて居やがる…」
学者「何と戦ってるんすかね?」
盗賊「さぁな?俺らに襲って来て無い様だからさっさと逃げるぞ」
闇商人「ドラゴンまでこっちに来てるなんてね…」
盗賊「アレだろ?異形の魔物を追っかけて来てんだろ?」
闇商人「地下を移動して来てるのにどうやって察知したんだろうね?」
盗賊「知るか!エルフと異形の魔物の戦いに首なんか突っ込みたく無え」
学者「森の方で戦ってるとか聞きやしたがこんな辺境でもやってるんすねぇ」
闇商人「でもなんか少し分かって来た…異形の魔物側に旧セントラルが絡んでるっぽいね」
学者「エルフが苦戦してる原因かも知れんすね」
闇商人「多分そうだよ…ドラゴンに乗ったエルフとか圧倒的な筈だけど地下に逃げられたら戦えない」
盗賊「んん?なんで旧セントラルの話が出て来るんだ?」
闇商人「沈没してた船も旧セントラルの貴族の船さ…地下を移動してきた戦車も旧セントラルの物だよ」
盗賊「ほ~ん…」
闇商人「僕達が知らなかっただけで本当は水面下で資源の奪い合いをやってるんだ…多分ウラン結晶だね」
盗賊「電脳化のやつらはどっちに絡んでると思う?」
闇商人「エルフが機械と組むとは思えない…つまり異形の魔物側だ…裏で糸を引いてるのは没落貴族の誰か…」
学者「そーっすね…それで話が通りやすね」
盗賊「ぬぁぁ嫌な話だ…戦争の裏でゴタゴタする話はもう聞き飽きた…俺はそんなのに関わる気は無えからな!」
闇商人「その気が無くても巻き込まれて行ってしまいそうだけどね」
盗賊「この話は終わりだ終わり!!ちゃちゃと引きあげて次行くぞ!!」




