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23.置き去りの2人


『深夜』



グエェェェ ギャーース ドスドス



盗賊「こりゃ夜は危なくて俺等外出歩けんな…」


女ハンター「その様ね」


盗賊「ううむ…敵がワイヤー機動使って来るかも知れんと思うと俺等かなり分が悪いぞ」


女ハンター「建屋の中ならワイヤー機動は意味が無い」


盗賊「そうだが建屋伝いに簡単に接近されちまう」


女ハンター「こっちにはウルフとミルクちゃんが居るでしょう?」


盗賊「寝ちまってちゃなぁ…」



少女「ムニャー…」zzz



女ハンター「ウルフは夜行性で起きてる筈…」


盗賊「多分俺の使った爆弾とかお前のライフルの銃声も聞こえちまってるから場所は特定されてると思うんだ」


女ハンター「何処かでこちらを伺ってる?」


盗賊「俺ならそうする」


女ハンター「1年近く魔石の補充無しでどの程度兵装が使えると思って?」


盗賊「ふむ…完全な状態では無いか…」


女ハンター「ライフルの銃声を聞いてそんな簡単に仕掛けて来るとも思えない…」


盗賊「普通の人間ならそうだろうが機動隊はちっと違うぞ?」


女ハンター「あなた見て居なかったかも知れないけれど船からガトリングの試し撃ちを見たわ」


盗賊「お!?気付かんかったわ」


女ハンター「弾速が早すぎて弾道が赤く光るの…意味分かる?」


盗賊「空気との摩擦熱で発火してるってか…」


女ハンター「そんな武器を見たら仕掛けられないと思う…他に何を持ってるか分からないから」


盗賊「なるほど…しばらくは様子見に徹するだろうな」


女ハンター「まだ相手の動きも何も無いから今の内に寝ておいて?」


盗賊「いや…お前が先に寝ろ」


女ハンター「こんな状況で寝られると思って?」


盗賊「ほんなん俺も一緒だわ」


女ハンター「じゃぁ眠たくなるまで見張りお願い…私は罠張って来る」


盗賊「分かった…あんま遠く行くな?」




『翌朝』



ユサユサ



盗賊「おい起きろ!」


少女「うにゃー…まだ暗いぞ…起すな」グター


盗賊「もう夜明けだ!ちゃっちゃと探索すっぞ…ったく緊張感ありゃし無ぇ」


少女「喉渇いたぞ」


盗賊「途中でヤシの実採ってやるから早く来い」


女ハンター「アラン!一応見ておくけれど援護欲しい時はライフルの射線考えて動いて」


盗賊「わーってるわーってる!お前の方こそ一人なんだから用心しろよ?」


女ハンター「罠を張ってるから大丈夫」


盗賊「ほんじゃ行って来るわ…日没には戻るな?」ダダ


少女「アランは寝て無いのか?」


盗賊「まぁな?結局眠れんかったわ」


少女「私の足引っ張るなよ?」


盗賊「何偉そうにクソガキがぁ!」


少女「お前とろい…恐竜居るから足音消せ」


盗賊「マジか…どこよ?」キョロ


少女「あれは音で獲物を追うタイプの魔物だ…足音消せば襲われないで済む」


盗賊「そういう事は早く言え」


少女「そういう事は直ぐに気付け」


盗賊「ちぃ…何でも良いからドワーフの血の匂いを追え」


少女「ふむ…足音消して付いて来い」シュタタ




『数日後_キャラック船』



オーライ オーライ ザバーーー



学者「これで引き上げられる物は最後っすね」


戦士「また空の木箱な気がする…フン!!」ドサー


学者「ちっと疲れたんで上がりやす…リッカさん引き上げて下せぇ」


女オーク「フン!」グイ


学者「おととと…はぁぁぁ疲れたぁぁ」ドター


戦士「しかし木箱ばかりで残念だねぇ」


学者「乾かして薪になるんで良いじゃ無いっすか」


戦士「さて…木箱を空けてみるよ?」


学者「お願いしやす」


戦士「フン!!」バキバキ メリメリ


学者「どうっすか?」


戦士「これは衣類だね…」ビチャ


学者「なんで又木箱になんか入れてるんだか…」


戦士「まぁまぁ…乾かせば使えそうだ」


学者「いまいちお宝が無いもんでやる気出んですわ」


戦士「良い暇つぶしにはなったじゃ無いか」


学者「大砲が引き上げられれば良いんすけどねぇ…」


剣士「ゲスさ~ん!食事あるよ!!」シュタタ


学者「頂きやす…ちっと食って休憩しやす」


剣士「あ!!あれ?」クンクン


学者「どうかしやした?」


剣士「アランさんの匂いだ…戻って来そうだよ」


学者「おぉぉナイスタイミングっすね…情報を交換出来るじゃないすか」


戦士「ハハ…見える見える…どうやら一人の様だ…補給かな?」


学者「ほんじゃまだ陸に用事があるんすね…俺っちもお宝探し飽きたんで陸の方に行って見たいっす」


戦士「同感だ」




『30分後…』



ガコン ギシ



盗賊「おーい!!荷物上げてくれぇ!!」


学者「また恐竜っすか?」


盗賊「石だ石!!ロープ降ろせぇぇ!!」


戦士「ほら!!行ったぞぉ!!」ポイ


盗賊「ちっと重いぞぉ!!上げろぉ!!」


戦士「ふん!!ぐぬぬぬ…」グイグイ


学者「なんで又石なんか持って帰って来るん…ええええ!?」


戦士「お!?石造か…」


学者「ちょちょ…なんでこの石造は装備品着込んでるんでしょう?」


盗賊「それを聞きたいのは俺の方よ…おーい!!カゲミ!!お前の出番だぁ!!」


剣士「ちょっと呼んで来るね」シュタタ


盗賊「そいつは光学迷彩服じゃないが防弾の装備を身に付けてる」


学者「まさか電脳化の?」


盗賊「だろうな?他の兵装は見当たらん…多分誰かに持って行かれたのよ」


学者「陸の方に石化を使う魔物が居るって事っすね…石化防止のポーションは無いっすよ?」


盗賊「くそう!!それを宛てにしてたんだがな…」


学者「兄貴は何か症状出てないっすか?」


盗賊「今の所何も無い…ラスもミルクも無事だ」


学者「ええと…石化石化…黒死病に効く薬は有るんすが効果が微妙なんすよね…」


盗賊「まぁそれでも良い…気休めにはなる」



ガチャリ ドタドタ



闇商人「やぁ!戻って来たんだね」


盗賊「おおカゲミ!この石造を見てどう思う?」


闇商人「こ…これは…」


盗賊「やっぱ何か知ってんな?」


闇商人「左耳の後ろに何か機械は無いかな?」


盗賊「どういう事よ?」


闇商人「これは息絶えたホムンクスルだ…マルコさんの書いた書物に書いてあった」


盗賊「おいおい…マテマテ…ほんじゃ電脳化の奴らはホムンクルスだってか?」


闇商人「それはもう息絶えてる…左耳の後ろをどうにか壊して中を探って」


盗賊「おっし!」



ガツン! パラパラ…



盗賊「出て来た…こりゃ電脳化の奴らに埋め込まれてる物だ…こいつはもう止まってんのか?」


闇商人「驚きだよ…」


学者「兄貴ぃ…そういや前線で死んだ機動隊の奴は死体をどっかに運んで行かれやした」


盗賊「石になっちまうのを隠してたって事か…」


戦士「むむ…フィン・イッシュで殺された電脳化の者も死体を何処かに運ばれた様だね」


盗賊「なるほど…一般人は事実を知らされん訳か…」


闇商人「ちょっとその機械を預からせて貰って良いかい?」


盗賊「こいつはよう…ぶっ壊さないとこいつらの仲間が来んのよ」


闇商人「大丈夫さ…生きた体が無いと停止するんだ」


盗賊「そいつぁ本当だろうな?」


闇商人「マルコさんの調べではそういう事になってる…エネルギー供給源が無くなってる状態らしい」


盗賊「ほーん…まぁ良いや…ほらよ!」ポイ


闇商人「ありがとう…ちょっと調べさせてもらう」パス


盗賊「調べるって…何をだ?」


闇商人「形状とかだね…マルコさんは詳細の図も残して居たんだよ…ある程度覚えてる」


盗賊「まぁ任せる…ほんでだ…こっちのお宝探しの成果はどうなってる?」


闇商人「あぁ分かった事が色々有ってね…立ち話もアレだから船尾楼の方においでよ」


盗賊「おう!ちっと酒を切らしててな…酒持って来てくれ」


学者「アイサー!」




『船尾楼』



沈没した船には旗印が残って居てね…船の所有者はセントラルの没落貴族の一人さ


それは昔髭男爵と呼ばれたペニス卿…その派閥の誰かが船に乗って居たと思われる


船が沈没した原因は荷室に保管してあった火薬が爆発して船底に大穴が開いた


そんな風になるとあっと言う間に沈没だね


それで積荷の方は引き上げられる物は殆ど引き上げた…でもクズしか入って居ない木箱ばかりだ


多分乾燥したケシの実とか精製したアヘンだったと思う…海水に浸されてどっか行っちゃったのさ



盗賊「ほーん…荷室の火薬が勝手に爆発するのは考えにくいんだが…」


闇商人「簡単さ…内輪揉めだよ」


盗賊「日誌とか見つからんかったか?揉める原因とか書いてありそうだが…」


闇商人「有ったけど読める状態じゃ無かった」


盗賊「ちっ…まぁ沈没した原因はもう良いわ…乗ってた奴らが陸で争った形跡もあるしな」


闇商人「そっちは石造以外に何か見つけて居ないのかい?」


盗賊「見つけた…今お前が話した内容と符合するがアヘンの密輸ルートと思われる地下通路がある」


闇商人「やっぱりね」


盗賊「何処に繋がってるかは行って見ん事には分からん…ほんでな?」


闇商人「ん?」


盗賊「中に入るのは俺等3人だけじゃ危険だろうからお前等を呼びに戻った訳よ」


闇商人「なるほど…どれほど危険なのかな?」


盗賊「キラーポッドが動いてると言えば危険具合は伝わるか?」


学者「ええ!?此処の遺跡は制圧したんじゃ無かったんすかね?」


盗賊「見た訳じゃ無いんだがミルクが言うには生きてる奴が地下のどこかで血を流してるんだとよ」


学者「地下っすか…恐竜がそこに入ってるとか?」


盗賊「タラップを恐竜が降りると思えん…だから動いてるキラーポッドが居るんじゃ無えかと思ってる」


闇商人「なるほどねぇ…密輸ルートだとしたら色んな物資も残って居そうだなぁ」


盗賊「ほんでだ!!船はミライとリッカに任せて残りは皆来て貰いたい訳よ」


学者「助けた少年の面倒をミライ君面倒見れやすか?」


剣士「大丈夫だよ…僕と姉さんの2人で荷室の方で寝れば済む話だし…あとロボも居るしね」


学者「情緒不安定なんで暴れさせん様に気を付けて下せぇ」


剣士「うん」


盗賊「じゃ決まりだな?ほんでリコル!!」


戦士「んん?何かあるかね?」


盗賊「キラーポッドと戦う様な事になった場合リコルが要になる」


戦士「ほう?」


盗賊「さっきの石造ぶっ壊して防弾装備を身に付けてくれ…後頑丈な盾が必要だ」


戦士「私の鉄鎧ではダメか?」


盗賊「ガチャガチャ音が出るからダメだ…ほんで暑くて死ぬぞ?」


戦士「分かった…着替えて来る」


盗賊「てかカゲミもゲスも裸みたいな恰好はダメだからな?」


闇商人「ハハ戦地に行く様な物言いだね」


盗賊「最低限急所は守れ!ほんじゃ早速準備して行くぞ!」




『双胴船』



ギシギシ ユラユラ



盗賊「早く乗れぇ~い!!」


学者「へいへい…ほっ!!」スタ


闇商人「小舟を双胴船にしたと言う事は物資運搬のつもりだね?」


盗賊「まぁな?どうせキラーポッドがゴロゴロ転がってるだろうしな」


剣士「アランさ~ん!!船を少し陸に寄せて置こうか?」


盗賊「お前等2人で出来るならちょい寄せてもらえると助かる」


剣士「おっけ~!!」


盗賊「船底を擦らん様にな?」


剣士「気を付ける~!!」


戦士「さて…私で最後だ…出発しても良いぞ」スタ


盗賊「おーし!!日が落ちる前に地下に降りちまいたいから急ぐぞ!!」グイ


学者「ちっと先に確認なんすが恐竜はバヨネッタで倒せそうっすか?」


盗賊「何発も当てりゃイケるだろうがちっと厳しいだろうな」


学者「ミライ君に改造して貰って強烈な一発撃てるんすよ」


盗賊「お!?…てことはライフル並みの弾が撃てるんか?」


学者「そーっすね」


盗賊「ほんじゃ行けそうだ」


学者「弾は小さいんすが弾速が早いもんでライフル弾並みの威力が出る筈なんす」


盗賊「リロードはどんなもんよ?」


学者「2秒って所っス」


盗賊「割と接近せんと当たらんよな…」


学者「良く狙って当てやすよ」


盗賊「カゲミも同じ様に改造してるんか?


闇商人「うん…簡単な改造だったみたいだからね」


戦士「私も4連装デリンジャーを持って居るぞ」


盗賊「おー…ほんじゃ全員銃器持ちか…ちょっとした小隊じゃ無ぇか」


戦士「弾は4発しか無いが…ハハハ」




『とある建造物の前』



シュタタ クルクル ピョン



少女「お前ーー!!遅いぞ!日が暮れる!」


盗賊「悪い悪い…こっちは準備出来てるか?」


女ハンター「待ちくたびれた…もう移動しないと恐竜が動き出すわ」


盗賊「とりあえずさっさと地下に降りちまおう…ミルク!先導してくれ」


少女「何人も居ると足音に気付かれるから恐竜が襲ってくると思え」


盗賊「だとよ?バヨネッタ準備しとけよ?」


学者「わかりやした」


女ハンター「私は最後尾担当するから行って」


盗賊「おう!」


少女「こっちだ!!早く来い」シュタタ




『崩れた建屋』



ダン! ギャァァァース



闇商人「あいたたた…バヨネッタを撃った反動がきつくて手が痛くなって来た」


盗賊「もうちょい辛抱しろ!ミルク!!他に恐竜は追って来て居無いか?」キョロ


少女「遠くに居るぞ…早く建屋に入れ」


盗賊「ラス!俺が後方見てるから先に行け」


女ハンター「タラップ降りて良いのね?」


盗賊「さっさと行って明かりを頼む」


学者「うお!!なんすか建屋の中に白骨があるじゃないすか!!」


盗賊「2体ある…仲間割れした結果だろ…気にすんな」


学者「遺留品はなんか無かったんすか?」


盗賊「無い…てかさっさと降りろ!」


学者「へいへい…」


盗賊「やたら高低差あるから落ちんなよ?」




『地下通路』



ピチョン ポタ



学者「ここ…この感じは排水口っすね…」


盗賊「こっから先は俺も行ってない…多分どっかにもう一層上に上がる場所が有る筈だ」


学者「なんかバヨネッタの弾が落ちてるんすが…」


盗賊「ここらで撃ち合いやったんだろうな…例の石造はここに転がってたのよ」


戦士「ここは私が先頭を行く感じになるか?」


盗賊「斥候はミルクに行かせてその後を続く感じだな…明かり持ちはカゲミが良いだろう」


闇商人「そうだね…ちょっと手を痛めた様でバヨネッタ使いたく無いよ」


盗賊「俺が使うわ…貸せ」


闇商人「済まないね」


女ハンター「単発で使う場合は添え手でしっかり保持出来るようにグリップが必要ね」


闇商人「そうみたいだ…甘く考えてたよ」


盗賊「さてミルク!流れて来る血の匂いは追えそうか?」


少女「追うも何も上流に決ってるだろう…他に行く場所が無いぞ」


盗賊「距離とか分からんのか?」


少女「流れてるのが分かるだけだ」


盗賊「ケッ!まぁ良い進むぞ…最後尾はラスで頼む」




『少し先』



盗賊「なんでこんな所に荷車があんだ?」


学者「兄貴…側壁を見て下せぇ」


盗賊「ああ!!上に上がるタラップがぶっ壊されてんじゃ無えか…」


少女「アラン!天井に穴が有るぞ」


盗賊「くっそ!上に上がれん様に細工してんだ」


学者「ロープなんか持って来ていやせんぜ」


女ハンター「これ…もうこれ以上進めないって事ね?」


盗賊「もうちょい上流行けば又上がれるタラップ有るかも知れんが…」


女ハンター「こんな処置しておいてそこを放って置く訳無い…」


少女「アラン!上だ…上から匂いがするぞ」


盗賊「マジか…」


闇商人「ハハ…参ったねぇ…」


盗賊「ミルクを上にぶん投げて届くと思うか?」


少女「お前ーーー!!ハハに言うぞ!!」


盗賊「ちっと高すぎだな…くっそ!どうすっかな…」


戦士「まぁ丁度荷車で腰を掛けられるから休憩でもしないかね?」


盗賊「だな…ちょい考えよう」



ピョン シュタ



少女「この荷車結構良いぞ…」ゴロゴロ


盗賊「何か積んで無いか?」


少女「恐竜の皮が敷いてあるだけだ」


盗賊「皮か…ううむ」


戦士「皮を細く切ってロープの様に繋げられ無いかね?」


盗賊「それは俺も考えたんだが引っかかる物が無えとな…」


女ハンター「アラン!暗視ゴーグルで良く見て…上の方のタラップは破壊されてない」


盗賊「おお!!そこに何か上手く引っかけりゃイケるか」


学者「兄貴!荷車の車輪に鉄が使ってありやすぜ?こいつをどうにか加工すれば鉤爪作れるんじゃないすか?」


盗賊「鉄をどうやって切る?」


女ハンター「そんな事しなくてもあなたロックピックを沢山持って居たでしょう?」


盗賊「こんなちっこい物で鉤爪作っても体重支えきれんぞ」


女ハンター「上に上がるのはミルクちゃんだけで良いのでは?どうせ上にロープか何か有るのよ」


盗賊「おぉ!!そういう事か」


女ハンター「ほらモタモタしてないで鉤爪作って!私は皮を切ってロープにするから」


盗賊「分かった!ちっと待ってろ」ゴソゴソ




『数分後』



グイグイ ギュゥ



盗賊「おっし!上手く引っかかった」


少女「一人で上がれば良いな?」


盗賊「上に上がってロープか何か有ったら下ろしてくれ」


少女「無かった場合どうする?」


盗賊「適当に使えそうな資材探して落とせば何とかする」


少女「分かった!行って来るぞ」ピョン スルスル


学者「おぉ!やっぱ体重軽いんで鉤爪ギリ行けそうっすね…」


盗賊「ちっと準備足りんかったわ…こういう場合に備えて最低限ロープは必須だな」


女ハンター「あとピッケルよ」


盗賊「だな?ピッケルありゃ何処でも登れるしな」



スルスルスル プラーン



女ハンター「はしごロープが降りて来た…思った通り」


盗賊「おーし!一人づつ上がれ!」





『上の層』



シュタタ



少女「こっちだ…早く来い!」


盗賊「おいおいそんな慌てんな」


少女「2人居る…もうすぐ死ぬぞ」


学者「真っ暗じゃないっすか…こんな所で倒れてるんすか?」


少女「そこを右に曲がったら少し広い…そこで倒れてる」



タッタッタ



盗賊「居た…」ダダ


ドワーフ「だ…誰や…はぁはぁ…」


学者「あららら…矢が刺さりっ放しじゃないっすか」


ドワーフ「おまんら…どっから入って来よった…」


盗賊「俺等は船で来てここを見つけたんだ…てか話は後だな…ゲス!!どうにか出来るか?」


ドワーフ「俺より先に…もう一人の方を観てやってくれ…ぅぅぅ」


学者「そーっすね…もう一人の方は意識無いっすね」


盗賊「カゲミ!明かりを頼む」


闇商人「うん!」


ドワーフ「敵はまだ何処かに居るから…用心せい」グター


盗賊「ミルク!何か匂うか?」


少女「血が臭くて鼻が曲がる…分からん」


女ハンター「暗視ゴーグルで索敵しておくから早く処置して」ダダ


盗賊「リコル!矢が飛んで来るかもしれんからラスを盾で守ってくれ」


戦士「分かった!」スタ


学者「兄貴!!ちっと輸血が必要なんで兄貴の血を下せぇ」ゴソゴソ


盗賊「マジか…ドワーフに人間の血を輸血なんかして良いのか?」


学者「賭けっす…兄貴にはオークの血が入ってるんで適合する可能性があるんす」


盗賊「ほーん…まぁ使ってくれ」


学者「輸血しながら傷口縫合して行くんで気分が悪くなる前に輸血は自分で終わって下せぇ」


盗賊「わーったわーった!」


闇商人「これ…刺さってる矢ってさ…」


学者「あーーダメっすまだ抜いたらダメっす」


闇商人「いやいや…エルフが使う矢だよ…矢尻に黒曜石が使われてる奴だ」


盗賊「なぬ!?エルフにやられたってか?」


闇商人「矢を抜くと矢尻の部分だけ体の中に残って厄介らしい」


学者「これ一旦縫合して体力回復させた後に手術せんとダメなパターンっす」


盗賊「こりゃしばらく動かせんってか…」


闇商人「でもどうしてエルフに襲われたんだろう?」


ドワーフ「エルフや無い…異形の…魔物や」


闇商人「あ…エルフが戦って居る相手だね…確かドリアードから生まれて来たとか…」


盗賊「またまたなんか厄介な事になってそうだ…」



ターン!!



女ハンター「ヒット…およそ1キロ先…2体」チャキリ


盗賊「おいおいおい…」


女ハンター「大丈夫…この通路はずっと真っ直ぐで隠れる所は無いから…これで近寄れない筈」


盗賊「なんだってそんな所をうろついてるのかって話よ」


女ハンター「さぁ?でも2体しか見えない」


盗賊「トロッコ使って一気に来るかもしれんな…」


女ハンター「……」


ドワーフ「線路が傷んでて…トロッコは使えん筈や」


盗賊「通路の向こうに何があるか知ってるか?」


ドワーフ「一本道や」


盗賊「ほんじゃそんな所でうろつく理由が分からん」


ドワーフ「俺等が向こうに行かん様に見張っとるんやろ」


盗賊「じゃぁその向こうに何か有るって事だ」


ドワーフ「一本道や言うたやろ…ゲホッ…ゴボゴボ…」


学者「兄貴ぃ!あんましゃべらせて無理させんで下せぇ!肺が血で埋まっちまいやす」


盗賊「悪りぃ…矢が肺まで行っちまってるか…」


学者「ポーション余分に持って居やしたよね?少しづつ飲ませてやって下せぇ」


盗賊「おう!」


闇商人「僕やるよ…貸して」




『応急処置後』



学者「おっし!とりあえずコレで止血と応急処置は済みやした…兄貴は血を抜き過ぎちゃいやせんか?」


盗賊「ちっとフラつくな?」


学者「兄貴の場合酒を飲めば良いっぽいので口を湿らす感じで摂取してて下せぇ」


盗賊「まぁ俺は大丈夫だ…ところでラス!敵の様子はどうよ?」


女ハンター「下がった…なんか回復魔法か何か使ってるみたい」


盗賊「じゃぁ頭数は減って無い訳か…」


女ハンター「襲って来る様子は無いから足止め様に罠の地雷を設置してくる」タッタ


戦士「私は盾を構えたままで良いのか?」


盗賊「弓を撃って来る距離じゃ無え様だからもう良いだろう」


戦士「しかしこの場所は…荷物置き場かな?」


盗賊「だな?…木箱が有るから運んで遮蔽物設置するか」


戦士「ふむ…それが良い」


闇商人「一応箱の中身を確認しようか」


盗賊「ここに物資置いてどうやって運ぶつもりだったんだぁ?」


闇商人「他に道が有るのかも知れないね…あ!!石炭があるじゃないか」ガサゴソ


盗賊「てかよ?物資保管する場所にドワーフ2人以外居ないっておかしく無いか?」


闇商人「そうだね…そのドワーフが事情を知ってる筈だけど…」


学者「ちっと今はしゃべらせん方が良いっす…肺の傷が塞がるまで辛抱っす」


ドワーフ「ふごご…げふげふ…」ベチャー


盗賊「うお!血を吐きやがった…」


学者「肺に溜まってる血を吐き出してるんで全部吐かせた方が良いっすね」


盗賊「まぁ話は後だ…ミルクの姿が見えんが何処行った?」キョロ


戦士「後方が何処に繋がってるか見に行くと言ってた」


盗賊「あんま勝手に動くとキラーポッドとか居たら危ないんだが…」


闇商人「アラン!この場所はキ・カイで言うチカテツ街道と見て良いかな?」


盗賊「そんな感じだ」


闇商人「じゃぁ後方に行くとホームが有る訳か…確かに危なさそうだ」


学者「木箱は俺っちが運んどくんで兄貴はミルクちゃんの様子見に行って下せぇ」


盗賊「分かった…バヨネッタ借りて行くぞ?」


闇商人「うん…僕は物資の確認しておく」




『ホーム?』



ガラガラ ガサリ



盗賊「こりゃまた…瓦礫の山でどこがどう繋がってんのかワケ分からんな…」キョロ


少女「アランーーー!!」シュタタ ピョン クルクル シュタ


盗賊「おぉ!お前探しに来たのよ…なんか見つけたか?」


少女「人間の骨いっぱいあるぞ」


盗賊「なぬ!?」


少女「瓦礫に埋もれてお宝も一杯だ」


盗賊「マジか…てか崩れた遺跡を探窟する奴らが来てたって訳か…」


少女「そんな感じだ」


盗賊「ふむ…あの通路使ってお宝を外に運んでたって事だな」


少女「お宝興味有るか?」


盗賊「有り有りだが今は掘ってる場合じゃ無え…」


少女「外に出られる場所を探したが危なくて奥に行く気にならんぞ」


盗賊「お前でも危険を感じるか」


少女「石に挟まれるのはイヤだ」


盗賊「しかしここから出られる場所が無いとなると…あのクソ長いタラップを登らにゃイカン訳だが…」


少女「ドワーフの爺ぃを連れて行くのか?」


盗賊「放って置けんだろ…事情も聞きたいしな」


少女「自分で歩かせろ」


盗賊「それが出来りゃ良いがちっと重症な様だ…足止め食らっちまうな」


少女「下に荷車有っただろう…あれをどうやって使ってたと思う?」


盗賊「そういやそうだな…あの通路は排水口だから下って行けば海に出るのかも知れん」


少女「見て来るか?」


盗賊「ふむ…下なら安全か…よし!行って来い」


少女「アランが行くんだ!勘違いするな!!」


盗賊「ぐは…」




『翌日』



ふぅぅぅ…大分落ち着いたわい…


おまんら此処がどないしてこんなんなっとるか訳分からんやろう


助けて貰ろうた借りもあるから話しといたるわ


俺の名はゴッツや…職業は航海士なんや


相方の名はガッツ…船大工やな


ほんで2人共雇われで髭男爵の弟にあたるアナール言う奴の船に乗っとたんや


おまんらが何処まで知っとるか分からんが多分察しとるやろ…


色んな物を密輸しとったんよ


だが1年ほど前に事件が置きてな


新しく船に乗った若い奴がムン・バイ遺跡で作業してた者を皆殺しにしたんや


挙句俺らに銃を向けて船を乗っ取ったんよ


なんでそんな暴挙に出たのかはよー分からん


アナールはそいつを何処かの回し者や言うて俺らと協力して船と一緒に沈める事にしたんや


バレん様に船に乗せてた火薬を爆発させて俺らはまんまと小舟に乗って逃げた


これで何も奪われんで済むと思うて次の船が来るまで陸で隠れて待っとったんやが…


その若い奴は生きとってな?


上手い事恐竜を掻い潜りながら俺らを攻め立てる訳や


ほんでこの地下まで逃げて来たんやが次に来る船を監視する事が出来なくなってしもうてな


この通路を向こうまで行かにゃならんくなった訳や



闇商人「ここは何処に繋がって?」


航海士「俺等ドワーフ2人は行った事無いんやが…旧セントラルの辺りまで繋がっとるらしい」


闇商人「トロッコも無いのにどうやって向こうまで?」


航海士「戦車や…線路が無くても戦車で移動出来るようになっとったんよ」


闇商人「へえ…」


航海士「ただその戦車には4人しか乗れんくてな?アナール達は俺等残して先に向こうへ行ったんや」


闇商人「先?」


航海士「そうや…また戻って来る言うからここで待っとったんやが…戻って来たのは異形の魔物やった」


闇商人「なるほど…置き去り食らった訳か…」


航海士「歩いて追おうとも思ったんやが道中補給も何も無いらしくてな…」


航海士「物資と一緒に移動せんと向こうまで辿り着けんらしいんよ」


闇商人「あーーそれで戦車には4人しか乗れないのか」


航海士「ほんで相談なんやが…おまんら船で来たんやろう?フィン・イッシュまで送り届けて欲しいんやが」


闇商人「行き先が逆だね…僕達はシン・リーン方面に向かってる」


航海士「するとス・エズー海峡を抜けるつもりやな?」


闇商人「さすが航海士だね…まぁその予定だね」


航海士「並みの航海士やと抜けられんで?」


闇商人「おっと?それは雇ってくれと言ってるのかな?」


航海士「ううむ…少し遠いがシン・リーンの港町まで行ければ伝手が使えるかも分からんな…」


闇商人「伝手と言うと?」


航海士「俺等2人は本当はドワーフの海賊なんや…はぐれてしもうとる所なんよ」


闇商人「じゃぁシン・リーンの港町まで行けばコンタクト出来るかも知れないんだ?」


航海士「そういう事になるな?誰にも言ったらアカンで?」


闇商人「実はね…僕は少し海賊王と面識が有るのさ」


航海士「なんやとう!!?おまん誰や!!?」ガバ


闇商人「ハテノ村を一緒に開拓した事が有るのさ…昔の話だけど通じるかな?」


航海士「俺等そこに居ったやないか!!」


闇商人「あれ?なんか縁が在るんだねぇ」


航海士「もしや海賊王の娘さん達とつるんでたんか?」


闇商人「少しだけど…」


航海士「おおおおお!!!娘さん達は今何処に居るんや?」


闇商人「残念だけど僕達も探してるのさ」


航海士「ほうか…それはしゃーないか…」


闇商人「でも海賊王とコンタクト出来るなら僕達の船に乗って欲しいかな」


航海士「それは保障出来んわ…なんせ俺等はぐれてしもうて10年以上経っとるで…」


闇商人「まぁでも伝手は有るかも知れないんだよね?」


航海士「そやな?俺等純血のドワーフやから見て分かるやろ?」


闇商人「まぁね…」


航海士「そう言う事なんよ…この風体がコンタクトの条件なんや」


闇商人「…それで…雇うとしたら報酬はどういう条件なんだい?」


航海士「俺等が欲しいのは船や…その為にコツコツ稼いどった」


闇商人「具体的にどの位なんだい?」


航海士「スループ船やな…それが買えるだけの金貨でも良いやろ…条件飲めるんやったら航路教えたるで?」


闇商人「航路?」


航海士「ス・エズー海峡の先に行くんやろ?普通じゃ行けんのや」


闇商人「なるほど…雇うしか無い訳か…」




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