30.『不死』の魔法のない弊害
どうしてこうなったと思わなくもない。
ご機嫌なオーレリアを伴って、私は客室へ向かっていた。
オーレリアの御所望通りティーセットを用意するよう先触れを出していたのですでに準備は整っているはずだ。
最も、周囲を護衛でがっちり固められた上なのがなんとも気まずいのだが。
だがこれこそが本来の在り方なのだろう。
今まで『不死』の影響があったため、正直言って国王の身体の損傷は軽視されていた。
「死ななければいい」「次代に繋ぐまで生きていればいい」
この国の国王はそういうものだったのだと、それが異常なことであったかと、これでもかと痛感させられた。
それは衛兵も同じなのだろう。
人は、死ぬものだ。国王であろうとも同じこと。
今の私に『不死』はない。
オーレリアが助けてくれなければあの場で死んでいたのだ。
そうして、もし死んでいたらまた上層部が次の王をと誰かを選定していただろう。そうなるともう国王という存在を作ることは茶番でしかない。
だが、今回私の命を狙った王族はそれが狙いだったのだろう。王になりたかったのか、誰かを王にしたかったのかは分からないが。
そうして考えているうちに客室に着いた。
部屋の中には、指示していた以上に菓子やら軽食やらと豪勢なお茶席が出来上がっていた。
恐らくはガレスの判断だ。
中で待っていたガレスがオーレリアに対して最上級の礼を以て出迎えたのでほぼ間違いない。
…まぁ、命の恩人ですからね。
「無駄に豪華だなぁ」
「オーレリア嬢への感謝の意はこれでも足りないくらいです。ルーデルト様をお守りいただき、ありがとうございます」
オーレリアはオーレリアで呑気に言ってのけたが、ガレスはどこまでも真剣だった。
当然の反応であるが、オーレリアは「なら、次はないと思っておけ」とあっさり言って席へついた。先ほどの事が大したことでないように。
座ったオーレリアは目線で私にもさっさと座れと促してきた。
私はガレスに頷いてオーレリアへ紅茶を用意させて、自分も座った。
紅茶を入れ終えたガレスは、私にも茶を用意して退出した。ベルが置いてある当たり、扉の前で衛兵とともに待機しているつもりなのだろう。
侍女にやらせなかったのは、先ほどの件で万が一毒でも入れられたらという懸念からくるものだと思う。
「…大事にされてんな」
「ガレスにも心配をかけたことは、後で謝っておきますよ。私もあの場で一人になるのは迂闊でした」
紅茶を飲みながらオーレリアはしみじみと言ったのに対し、私は自分の失態に溜息をついた。




