22.初めてのまともな話し合い(前)
まずはこの沈黙をどうするべきか。
全員を客間へと案内したものの、先ほどの私とオーレリアのやり取りが相当衝撃的だったらしく、不機嫌なオーレリアを除いて全員が何とも言えない表情をしていた。
「とりあえず移動していただきありがとうございます。ですが、今後あのようなことは王城ではやめていただきたい。みなが驚いていたでしょう」
「…それに関しては失礼した。ラウレントがこちらに行ってしまったということをカスティニオーリが聞いてしまい、乗り込むのを防ごうとしたのだが間に合わず…」
ようやく復帰したロード・クローツィアがさすがに申し訳なさそうに言った。
それであの状態になったのか。
「私は何も間違ったことを言っていないぞ。御方から見放された者が国王など笑い話でしか…」
「やはり何発か殴られたいようだな、ラウレント」
「頼むからお前ら少し黙ってくれ」
…なるほど。これが大聖堂の日常のようですね。
ロード・クローツィアが言っていた仲が悪いというのは、ロード・ラウレントがオーレリアの癪に障る発言をするためだろう。何しろオーレリアは売ってもいない喧嘩を買って出るタイプだ。これは確かに相性が悪い。
仕方なくもう一度釘を刺しておくことにした。
「先ほども言いましたが、ここは大聖堂ではありません。ロード・ラウレント、私の事が気に食わないのは結構ですが、王城で国王を侮辱する意味を考えていただきたい。大聖堂と違い、ここでは首をはねられても文句は言えませんよ」
「ふん、若造が」
ロード・ラウレントはその一言だけ言って黙った。
ここに来たときは少々興奮気味だったようで、冷静さがないわけではないらしい。
後の問題は普段の私とのやり取りの姿を見られてご機嫌斜めのオーレリアか。
「オーレリア、せっかく大聖堂のロードがそろったこの機会を逃したくありません。情報のすり合わせなどをしたいので協力していただけませんか」
「…今じゃないとダメか?」
「今がいいんです」
少しだけ私が強くでると、渋々といったのを隠さないまま「…わかった」とため息交じりに返した。
「カスティニオーリ、お前本当に陛下に対して大人しいな」
「唯一無二の友人の頼みを断る理由がないだけだ」
「その思いやりの心を少しでいいから身内も含めた周りにも振り分けてくれないか」
「他の連中のことなど知らんし、あいつらのことをどうしようがわたしの勝手だ」
オーレリアとロード・クローツィアのやり取りを聞いていると、本当に取り付く島もないというか、オーレリアは私に対してのみ柔らかい対応をしてくれているようだ。身内というのはセヴンスを含めたカスティニオーリ派のことだろう。
彼女が友人として私を特別扱いしてくれていることは嬉しく思うも、ロード・クローツィアが言う通りもう少し周りにも配慮してほしいと思う。言ったらまた機嫌が悪くなりそうなので口にはしないが。
一応落ち着いたところで、私がさりげなく促したこの場を大聖堂との話し合いの場としたいことに対して異議を唱える者もいないようなので、話を進めることにした。




