20.一方通行なロード・ラウレント
「ふん、貴様やはり『祝福』を受けていないのか。あの御方から何も授かっていないものが国王とは笑い種だな」
対面早々随分な事だ。これがロード・ラウレントか。
初対面からしてこうくるとは、オーレリアといい勝負かとも思ったが、この人は完全に私を見下している。そんなに『祝福』が大事か。いや、王族にも大聖堂にとっても大事なことだが、それ以前として恐らく女神そのものを重要視しているのだろう。
「あのカスティニオーリのお気に入りと聞いていたが、所詮何の力もない有象無象と変わりないな。カスティニオーリの目も曇ったものだ」
前言撤回。女神どうこうではなくカスティニオーリ、つまりオーレリアが気に入らないゆえの言動か。
ロード・クローツィアの言う通り、これはオーレリアと仲が悪そうだ。
オーレリアとの親交がある私はある種のとばっちりを食らっている状態だと、心底そう思った。
とは言え。
「随分と不躾ですね、礼儀もなっていない方からどうこう言われる筋合いはありません。それと、私の友人であるオーレリアを侮辱しないでいただきたい」
「オーレリア…? カスティニオーリが貴様風情に名を呼び捨てることを許しているだと」
私の言葉に、なぜかロード・ラウレントは訝しむ。
「恐れながらロード、いくら何でも国王陛下でいらっしゃいます。もう少し…」
「黙れリニーニト。お前の発言を許してなんぞおらん」
取り付く島もないとはこのことか。
セヴンスの二人は目線でこちらに謝罪してきた。
だが問題のロードの方はというと。
「まぁいい。いくらカスティニオーリが擁護しようと『祝福』のない王など、御方から見放されたまがい物に過ぎない。御方のために膝をついて祈りを捧げるべきではないか。この私が立会人にでもなってやろう、信仰心というものをその中身のなさそうな頭に刻み込めば『祝福』を得られるかもしれんぞ」
こちらの事情を知りもしないで一方通行の物言いをする、ずかずかと言ってくるこのロードのあまりな言い様に対して、さすがにカチンときた。こちらも限度というものがある。ここまで部外者に好き放題侮辱されることを黙認できようはずがない。
言い返そうと口を開いたとき。
「わたしの友人を侮辱するとはいい度胸だな、ラウレント」
「落ち着いてくれ、カスティニオーリ。ラウレント、いくら何でも言葉が過ぎる」
突如として二人分の声が聞こえた。
振り返れば明らかに不機嫌なオーレリアが杖をロード・ラウレントに向けていて、それを抑えるようにしながらもあきれ返っているロード・クローツィアの二人がいた。両者ともに、背後にセヴンスを連れて。まさに臨戦態勢だった。
どこから入ってきたと聞きたいが、杖が光を帯びているのを見る限りオーレリアが転移魔法で強引に飛んできたのであろう。
この場がますますカオスになっていくことに、思わず私は胃のあたりを押さえた。
本日18時に1話上げます!




