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【連載版】最高の祝福  作者: アウリィ
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閑話:逃げ出したオーレリアと次の対策を練る二人

前話の頃の大聖堂ではこんな感じでした

「逃げられたわね」

「逃げられましたね」


誰もいない執務室の中で、カスティニオーリのセヴンス二人はそろってため息をついた。


オーレリアは口実を作って大聖堂を国王の後ろ盾に、自身もまた後見人となった。

その代償として、本来ならロードが裁決しなければならない仕事を代行を任せていたセヴンスではなく自分でしろというものと、他のロードが処理する雑務を引き受けていた。一応。


書類の山を前に逃げ出すのを想定していたセヴンスのフラウとセレスティア二人の尽力により、ここしばらくはオーレリアを仕事から逃がさず文字通り缶詰め状態で仕事をさせていた。

やれば出来るのに、面白いかつまらないかで判断してやりたくないことから逃げ出すソレは宿題をため込む子どもと同意義だと周囲からは思われている。

当人は知らないが。


それはともかく。


「どこに居るかは想像がつくので、連れ戻す前に今度こそ逃げられないようにもう少し包囲網を強固なものにしましょうか」


仕事がどこまで進んでいるのか確認しながら、フラウはセレスティアに提案した。


「多分無駄よ。オーレリアはその気になれば何をしても抜け出すでしょう。物理的なものよりも精神面で追いついめておいた方がいいわ」

「例えば?」

「ルルシエラあたりに泣き落させるとかいいんじゃないかしら。オーレリア、あの子に弱いもの」

「ルーシェを? ここにはセヴンスとロードしか入れないのですが…」

「連れ戻すときの要員に加えておけばいいわ。ついでにあの王様にも苦言でも呈されれば折れるわよ、きっと」


セレスティアは「何だかんだで身内認定している子の言う事なら激甘だもの」と評価した。

元々生家が中立派のセレスティアは、カスティニオーリ本家の養女に引き取られた際のちょっとした経緯もあり、オーレリアに容赦ない。

正確には何があってもオーレリアは自分を見捨てるような真似は絶対にしないという自信からきている。何せ、セレスティアを引き抜いたのはオーレリア当人だからだ。


セレスティアの案を聞いて、「妥当でしょうね」と納得するフラウにも言えることだが、オーレリアは「お気に入り」を手放さない。死ぬその瞬間まで自分のモノだと考えている節がある。悪く言えば所有物とみなしている。


唯一の例外、ルーデルトを除いて。

オーレリアがどうしてルーデルトを友人、即ち対等の存在と見ているのかはわからないが、少なくとも彼女にとっては友人と呼ぶ彼は自分のモノではないらしい。


オーレリアの考え方は独特すぎてついていけない者も多いが、彼女をよく知る人間は大抵「慣れるしかない」という。ある意味諦められているとも言わなくもない。

「お前何様?」「オーレリア様だ」というのが最早彼女の在り方だ。


そうして無駄話を叩きつつ書類整理を終え、オーレリアを強制連行するための準備を終えた二人は、先触れを出して待たせていた少女、ルルシエラと合流して王城へと向かった。

次回、連れ戻されます。

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