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4-7話 大鳳の歌姫(2)

【読者さまのコメント】

高松は軽音楽部の内偵のため、とある噂を広めた。

さて、引っかかるかな? と様子を見ていたら、まさに!

彼らは真面目に部活動をするつもりはあるのだろうか?

高松は軽音楽部の部員たちと話をし、彼らのピュアさに心を動かされた!

馬鹿ロッカー(笑)

 林先輩も、上村先輩も行動は早い。

 例の話を同級生の軽音楽部員の人に伝えてくれた。


 その日の放課後。

 軽音楽部の部室では……

「学園祭の時、バンド演奏した一年の高松和也っていうのが、来年の学園祭の準備のために校内にいいメンバーがいないか探しているらしいぜ」

「あぁ、学園祭の時のアイツか。プロのミュージシャンともセッションしていた奴だよな」

「どうせ来年、俺たちも学園祭に出るなら、あんな奴と組んでみたいよな?!」

「場数踏んでいるみたいだし、色々教えてくれるかもしれないな」

 となにやら話していたのは二年生だったらしい。

「一年! 高松和也ってやつと面識あるやついるか?」

 とある先輩がいうと、ある男子生徒がこう言った。

「自分、隣のクラスですけど」

「じゃあ、高松を軽音楽部に連れて来てくれないか?」

「わかりました。今スグがいいですか?」

「たのむ!」

 一年の彼は橋爪恭介。

 俺の隣のクラスということで夏村さんと同じクラスである。

 よって、俺と夏村さんとの関係は知っている。

 だが、彼はあえて先輩たちにそのことは言わなかった。


 後で橋爪から聞いた話だが、サッカー部の一件を彼は知っており、これから部として活動し始める軽音楽部に俺が何か良い影響を与えてくれるだろうと期待していたそうだ。

 しかし、そこまでの力が俺にはあるのだろうか?

 その部に所属している奴らのやる気や努力を引き出す能力が俺にはあるのかと不安だった。

 ある程度、サッカー部に関しては、スタートとゴールを設定しての加入だが、この部は別だ。

 部員はやる気があるのか、いかがわしい目的で部を作ろうとしてはいないかを探るだけだったのだから。

 こういう方向にもっていこうというこちらの目標がないことが気がかりだった。

 しかし、橋爪は、俺と夏村さんの仲を知りながら、何かを期待して、俺を迎えようとしている。

 細かい情報は先輩には伝えず、彼は俺への依頼を請け負ってくれたようだ。

 彼の配慮が俺を軽音楽部に入り込むのに有利に働いたのは間違いない。


 橋爪は俺が放課後どこにいるのということも有る程度想像できていたようだ。

 夏村さんがいるところには俺がいる、さすが夏村さんのクラスメイトである。


 コンコン!

 生徒会室のドアがノックされた。

 上郷地(かみごうち)先輩が『どうぞ!』というと、『入ります』といいドアを開けた。

「一年二組の橋爪といいます。こちらに高松君がいると思い、やってきたのですが」

 と橋爪君がいうと、奥の席に座っていた夏村さんが声をかけ、

「おう、橋爪か。かずやはこっちにいるぞ」

 と言った。

 さすが同じクラス、気軽に敬称抜きかと思っていたが、明らかに橋爪君は夏村さんにビビっていた。

 それに気づいた俺は、夏村さんへ彼を近づけることなく、自分から橋爪君の方向に歩いて行った。

「高松です。なにかご用件でも?」

「実は、私達はロック大好きなメンバーが集まって軽音楽部の申請を生徒会にしておりまして、とある筋から高松君が来年の学園祭のバンド演奏のメンバーを校内で探しているということを聞いた先輩が、高松君を引っ張ってこいと言っているんです……」

 引っ掛かってくれたなぁと俺は思った。


「ところで、その先輩ってどんな人? 俺、怖い人苦手だから、普通の人がいいなあ」

 と言っている時点で嘘である。俺の彼女は夏村さんである。この人以上に怖い人はいない。

 どんなメンバーかを聞き出すためのジョークであると理解してくれればありがたい。


「みんなロック魂に燃えた音楽大好きな人たちばかりなので、ご心配なく」

 この会話を上郷地先輩の前でできたのは収穫である。

 少なくとも恐れていたハグレものではないようだ。

 あとは本当にやる気があるのかの確認か……

 まぁ、行ってみないと分からないかと思い、腰を上げると、

「軽音楽部に行ってきます。場合によっては長くなるかもしれないので」

 と、夏村さんに言うと、夏村さんはジッとこちらを見て、

「サッカー部の時の一人石拾いとか、無理しちゃだめだよ……」

 と言ってくれた。

 サッカー部に入っていた時、一人で窓から俺の行動を見て心配してくれた夏村さん。

 ありがとう、無理はしないよと心を通じて話したつもりだった。

 夏村さんはなぜか頭を軽く縦にふった。

 話は通じたのであろう。


 総合棟に向かう廊下

 二人の歩く音が廊下をこだまする。

 帰宅部はすでに帰っている時間だ。

 部活のメンバーは教室棟にはほとんどいない。

「高松君には夏村さんってあんな話し方するんだ」

「初めは怖かったけど、慣れもあるし、本当はピュアで繊細な子なんで、すごく魅力的だと思う。けど、俺と二人だとなぜかヤンキー言葉が抜けないのが難点だけどね」

「そこまで夏村さんと分かり合えているんだね」

「ふだんのクラスでの夏村さんはどんな感じなの?」

「一学期はほとんどの人が目を合わせられなかった。だって、『見るな!』オーラ出しまくっていたんでね。二学期になって化粧も落として制服着て生活していたけど、やはり一学期の印象が強すぎて声をかけづらいのはあるかなぁ。みんなに声はかけてくれるけどやっぱ印象が優先しちゃうんで……」

 やはり、そんなことになっていたのか。

 普通の高校生の身なりはしていても、一度貼られたレッテルはそうは簡単に剝がせない。

 もし、そういうことになっているのであれば、クラスに仲間を増やしてほしいと思った。

「橋爪君、もしよかったら勇気がいるかもしれないけど、夏村さんに機会があったら声をかけてくれないかなぁ。それでクラスの雰囲気も変われば夏村さんももっとみんなにアプローチしやすいと思うんだ。やっぱ、お互い、気を使ってるってことがあると思うんだよね」

「わかった、がんばってみるよ。高松君、まるで夏村さんの保護者みたいだね(笑)」


 そんなことを話しているうちに軽音楽部の部室に着いた。

 橋爪は俺に、躊躇しながらこう言った。

「ちょっと変わった人たちなんでびっくりしないでね。でも良い人達ばかりだから……」

 逆にその言葉が俺を不安にさせる。


 橋爪君は軽音楽部のドアをノックをし、『失礼します』とドアを開けた。

 彼の後から入って来た俺をみるなり、部長の宮嵜先輩は、

「お前が高松か! 学園祭の演奏みさせてもらった。熱かったぜ! お前のロック魂見せてもらったぜ! そこでだ。よかったら俺らと一緒に来年の学園祭、ロックしないか?!」

 全員がこちらを凝視した。

 何を言い出すのかと思いながら聞いていると、こいつ完全なロックフリークなんだと思った。

 そして、俺は少し吹き出してしまった。

 こんな奴らにハグレはいないと思った。

「ちなみに、好きなロックミュージシャンは?」

 と聞くと、ジミーペイジ、リッチーブラックモア、アクセルといった有名どころばかりが帰って来た。

 いかにも経験の少ないロックフリークがいいそうな名前だ。

「もう一つ、これは質問ね。ロックバンドで重要なパートって何だと思う?」

 と聞くと、口を揃えてリードギターというものばかりであった。

 だめだ、こりゃ。

 完全にロックを見た目で入って奴らばかりだ。

「ちなみにこの中で自分の担当がギターの方は?」

 と聞くとなんと十名が手を挙げた。

 部員十五名で十名ですか……

 残り二人がベース、二人がドラムス、一人がキーボードだった。


 これは、どうやって学園祭での演奏をする予定だったのか想像も付かないが、これが橋爪が言っていたロック魂馬鹿の軽音楽部の実情だった。

「あの~ところで~ボーカルは?」

「高松君にやってもらおうかなと!」

 こいつらギター希望が十人もいて、いくつのバンド組むつもりでいるんだ?

 それの全部のボーカルをやれっていうのか?!

 まぁ、それは置いといて……


「ところでみなさんに演奏してもらうってできますか? 新人なので見学のつもりで見させていただきたいのですが」

「いや、まだ、ロック魂の話で毎日もりあがっちゃって、練習はしてない」

 やはり、こいつらロック馬鹿というより馬鹿ロッカーである。

「すみません。じゃあ、各パートの演奏はどのくらいのレベルか確認させてもらっていいですか? え~と、まずはキーボードから」

 自分の持論はロックバンドはキーボードとドラム、ベースがメインである。

 そしてスパイスはリズムギターあるいはサイドギターだと思っていた。

 ディープパープルというバンドはリッチーブラックモアというギターリストで有名だが、ジョン・ウッドという名キーボード演奏者がいたおかげで目立てたというのが持論だ。


 俺は、橋爪にギターを借りて、各パートとの共演ということで実力を図ろうと思った。

 橋爪のギターのCコードを押さえて弾くと、弦のチューニングができていないことに気づく。

 ここからかよと思いながら、チューニングしていく。

 そして軽く知っている曲のリフを弾くと、周りでメンバーがオーと声を上げる。


 まず、キーボード志望の一年でただ一人の女子部員、山中ひとみさんは小中高とエレクトーンをやっており、流石にうまい。

 しかし、小柄で華奢ではあるが、制服を着ながら、トゲトゲのついたリストバンドを付けるあたりロック大好き少女なのかもしれない。

 こちらの目の合図に合わせて演奏を合わせられるテクニックも持っている。

 もちろん、きょんさんほどではないが十分彼女とは演奏は可能かと思った。


 ドラムスは二年の宮内純平さんと一年の大塚康男くんであるが、明らかに大塚君の方がうまい。

 大塚君は中学からの経歴だが、リズムの乱れが無く弾きやすい。

 一方、宮内先輩は旧サッカー部のメンバーにドラムスを頼まれ準備をしていたが、不参加になった人だ。

 ドラムスの演奏は好きなのだが、なに分体力がないので一曲中にリズムのずれが出てしまう。

 こりゃ、基礎練からだなと感じた。


 ベースは二年の新田浩二先輩と一年の松川博也くんであったがこちらは二年の新田先輩の方が上手い。

 新田先輩も旧サッカー部のメンバーであったが、弦楽器のメンバーでは一番上手いと思った。

 松川くんは学園祭の俺のバンドの演奏を見て楽器をやりたいと思ったメンバーでその他、ギター候補の一年生片岡、若森、橋爪の三名も学園祭で感化され始めたメンバーである。

 二年の残りのギター七名も旧サッカー部バンドの構成員であった。

 まあ、学園祭のバンドのレベルってこの程度だよねと思える程度であった。

 リズムも悪いし、感情的になりすぎてピッキングも荒い。


 さてと、一通り現状把握はできた。

 ちょっと現状でどのくらいできるかということで山中さん、大塚くん、新田先輩と集まって、一曲やってみることにした。

 俺は再度橋爪君にギターを借りた。

 再度チューニングをし、4人が知っているであろう曲を選んでみた。

「" Deep Purple "の" Burn "弾けます?」

「できるけど、やってみる?」

 全員でうなづき、セッティングをし、ドラムのスティックのカウントに合わせて演奏を始める。

 " Burn "は出だしのギターのリフである程度のリズムが決まる。

 そのリズムに合わせて大塚君のしっかりしたピッチでのドラミングに合わせて、きちっとしたリズムを刻んでいく新田先輩のベース。

 この曲のメインはギターとキーボードが弾き重なり合っての迫力のある音である。

 俺も軽音楽部の部室内での演奏で現状マイクが無いので生歌で楽器の音に対抗したが、声が前にせり出して聞こえるタイプの歌声であるため、大音響の中でも声は確実に聞こえてくる。

 いつものバンドでやるのと違ってちょっとテンポのぐらつきやミスもあるがその辺も楽しく演奏できた。


 演奏が終わる。

 聞いていたいわゆる補欠のメンバーは、

「おう~! すげぇ! 俺達でもロック出来そうじゃん!」

 と感動している。俺はそれを制して、

「おいおい、ちょっと待てください! 今のメンバーはまだいい。だが他のメンバーはかなり頑張らないと恥をかくことになりますよ」

「やっぱ、まずいか…… でも、俺たちのロック魂は消せやしないぜ! 練習するぞ! そして来年の学園祭デビューだ!」

 これで、上郷地先輩の心配は解決!

 俺は、こいつらのロック魂がおもしろすぎて、ちょっとどんな風に変わっていくのか見ていきたくなった。

「俺、軽音楽部に入るわ。でもプレイヤーじゃなくてあくまで色々なマネージメントをする立場として、みんなに指導したり助言したりという形でどうだろうか?」

「本当か! ぜひ頼む!」

 と、ロック魂馬鹿たちとの付き合いが始まった。


 俺は、それから生徒会室に戻って『軽音楽部は問題なし』との報告を行った。



 ◇◇ 一月十九日 ◇◇


 そういう訳で俺とロック魂馬鹿たちとの軽音楽部の活動は練習中心となった。

 俺は彼らのレベルに合わせて練習の課題を各々出した。

 そして、進学塾のある月水金以外は軽音楽部に来て、俺の指示した練習の成果を確認していった。

 しかし、このロック魂馬鹿たちは、信念に対して一直線だ。

 『俺たちは好きな音楽を演奏したい』の一心である。

 彼らは自分がうまくなりたいために家に帰っても練習をしている様子だった。

 ほとんどの弦楽器担当者の指は皆んな、まめを潰していたそうだが、さすがに二週間もがんばれば、それが固くなって本当の演奏者の指となってくる。

 ドラムスの宮内先輩は自分の体力の無さをカバーするため、俺と朝の外周ランニングもするようになった。

 頑張る奴らをみていると弾けないで一生懸命にギターをかき鳴らしていた幼いころの自分を思い出した。

 苦しめ!

 頑張れ!

 その努力が必ず成果として現れる。



 ◇◇ 一月二十三日 ◇◇


 俺は軽音楽部の練習を一通り見終わり、生徒会室に戻った。

「ただいま~」

 俺が素っ頓狂な声で挨拶して部屋に入ると小鳥遊(たかなし)先輩がやってきて、こう声をかけてきた。

「軽音楽部はどんな感じだ?」

 と聞いてきたので、俺は一言、こういった。

「ロック魂馬鹿たちの集まりですね。旧サッカー部員たちとはとは関係ない、ある意味ピュアな奴らですよ」

「まぁ、取り越し苦労でよかったな。ところで高松はこれからどうするんだ?」

「やっぱ気になるのは旧サッカー部の連中がまた彼らに関与してこないかが心配です。うまくなったら、やっぱ、彼ら使って出しゃばりたいだろうし」

「じゃあ、高松は軽音楽部には継続対応ってことでいいのか?」

「いいですよ。おかしな奴らばかりですが、中には上手い奴もいるので、来年の学園祭にはみんな参加してほしいと思うんですよね」

「まぁ最終的には関わった人をなんとかしちゃうのが高松のいいところだしな」

 と上郷地先輩は笑いながら言った。


 とは言え、自分とはレベルのかけ離れたメンバー、他の楽器の演奏の方法は知っているが、ギターほど慣れていないので放課後の数時間とはいえ疲れてしまう。

 生徒会室の定位置に座ると、夏村さんは湯気の立ったコップを片手にやってきた。

「お疲れ様、はい、ココア! コーヒー飲めないもんな!」

 かっこ悪いのでその言い方は勘弁し欲しいが、好きな飲み物を知ってくれている夏村さんに感謝した。

 そして、今の笑顔、完全に元気出ました!


「ところで、さっきの旧サッカー部のメンバーの件についてこちらも調べてはいたのだが、また軽音楽部の連中に関与しようとしているという話があるらしい」

 と小鳥遊先輩は言った。

「やっぱりですか。まぁ、その時のことは考えていますけどね」

 と俺がつぶやくと、

「その時は、私を呼べ! 一緒に解決する。かずやの手伝いしたいから……」

 と夏村さんはじっと俺の目を見て語り掛ける。

「ありがとうございます……」


 しかし、こんな場面にも関わらず、なぜか三週間前の井上さんの話を思い出した。

 確か一年六組って言ってたなぁ。

 俺は、書記長の河野のところに行き、学園祭の合唱の画像を見たいといった。

 すると、河野は瞬時に俺の意向を判断し、DVDプレーヤーと『合唱 一年六組』と書かれたDVDを準備してくれた。

「河野、なんで何も言ってないのに一年六組のDVD出してきたんだよ」

「山田信子だろ、見たいの。お前のかんがえていることぐらいこちらも分かる」

 俺が用意されたものをいつもの席に持ってくると、夏村さんは、

「何かこの合唱のDVDに気になるものでもあるのか?」

 と尋ねた。

 俺は、井上さんから六組に歌の上手い女の子がいるって聞いたので画像が見たかったというと、夏村さんはいきなり手にもっていたトレーで俺の頭を叩いた。

「お前! 彼女の前で他の女の動画を興味タラタラでみるつもりか?!」

「いたいなぁ! 歌が上手いって言うんで歌声を聞いてみたかっただけだよ!」

 夏村さんはまだ気に入らない様子だったが、俺がDVDプレーヤーのセッティングをするのを見ていた。

「よっしゃ! と言ってもここで音を鳴らすのはなぁ……」

「あぁ、いいよ。気晴らしになる」

 と上郷地先輩は了解してくれた。

 そしてDVDプレーヤーの『PLAY』を押すと十型くらいのデイスプレーに画像と合唱の始まる前の喧騒が聞こえた。

 指揮者は男性、タクトを上げると場内は静まり、タクトをゆっくり下げるとピアノの音の後に合唱が始まる。

 確かに、ピアノ、合唱のバランスはいい、男女のコーラスのバランスもいい。

 しかし、女性ソロのパートになり、彼女が歌いだすと……


 声の広がり

 声の力強さ

 声の表現力


 抜群であった。

 そして歌声がステレオで聞いているせいか、前面にせり出してくる。

 地声も強く、声に耳障りな嫌味はない。

 腹式の使い方はそれほどうまくないが、ものすごく通る声。


 DVDには全部で二曲収まっていたが、圧倒的な歌唱力だった。

 曲を全部聞き終わった後で俺は鳥肌が立った。


「ソロ歌ってる山田信子さんていったっけ? どなたか知っている方います?」

 とダメもとで聞いてみると書記の中に同じクラスの女子がいた。

「山田さんですよね。クラスでは「ノッコ」って言われています。お兄さんと音楽活動をしているらしいです。音楽活動ではキーボードとヴォーカルを担当しているけど、歌声はピカイチなんですよ」

「どこかに所属、例えば合唱隊とか、バンドのボーカルとか?」

「いや、なにもやってなくて帰宅部だと思います。お兄さんとバンド活動くらいかなとは聞きましたが……」

「ちなみに、彼女って歌を歌うの好きかな?」

「大好きですよ! よくみんなとカラオケ行ってマイクはなさないんだから!」


 俺は彼女の声を聴いたとたんに、この声はヴォーカリストとしては自分よりも上だと思った。

 そんな彼女が軽音楽部に入ってくれれば、大戦力となると思った。

 そのうえ、歌が大好きとのこと。

 そう、一言でいうと俺は


 『大鳳の歌姫』


 を見つけたと思った。


 俺は書記ちゃんにこう伝えた。

「ごめん、ひとつお願いがあるんだけど。俺が、ノッコと歌で対決したいって言っていたって伝えてくれないかな!」

 『大鳳の歌姫』奪取作戦開始だ!

当作品をここまで読んで頂き、ありがとうございます。

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編集記録

2022/10/04 校正、一部改稿

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