7-16話 修学旅行(9)
【読者さまのコメント】
7-14話!
石森さん、ストーカーなのかしら……?(汗)
勝手に写メ撮られるのは怖い!
けれど、高松は石森さんを許した。
気持ちはわかるって、いやいやいや!
すると今度は別の事件が!
何やら高松と夏村さんの動画が拡散されているようで……?
夏村さんが石森さんから取り上げたスマホを受け取り、俺は、
「石森さん、写真見ていい?」
と尋ねた。
石森さんの躊躇しながらも了解したのを確かめ、スマホのファイルを確認した。
確かに、俺の写った写真が多く収められていた。
石拾いの時の写真
バンド演奏の時の写真
種々の写真が含まれたが、修学旅行前、浦和のPARCOの本屋で雑誌を読む俺の姿もあった。
確かにあの日、俺と本屋の前で出会ったことを思い出した。
今一度、石森さんを見た。
バレちゃったかとさっきは強気で言ってはいたが、証拠を見られてしまうと、やはりまずいことをしたなあと反省の表情となっていた。
盗撮は悪いことかと考えてみる。
もし、自分の目の前に可愛い子がいるが、その子に勇気を絞って声をかけられるかと言えば、俺はできないであろう。
そうであれば、毎日遠くからその子を眺めているのが関の山だ。
しかし、いつまでも眺めていると勝手に頭の中でその子が自分の物ではないか、自分のことを受け入れてくれると思ってしまうようになる。
それが強くなればなるほど、この子は俺の子なのになぜ振り向いてくれないんだと攻撃的になる。
そして自分の勝手な思い込みを相手に押しつけようとして、ストーカー行為に移行してしまう。
石森さんについて考えてみた。
彼女は俺に対してまだ積極的に来るところまで来ていない。
要は石森さんはまだ俺を自分の物だと考えるレベルまでは行っていないわけだ。
そう考えるのであれば、このレベルで悪化させないようにしてあげることが先決だと俺は思った。
「かずや、こいつどうする? 一緒の班とか怖くないか?」
と夏村さんは言ったが、俺は特に焦った表情もみせずにこう言った。
「別にストーカーされている訳ではないし、危害も受けているわけでもないから、いいんじゃないの? ただし、石森さん。今度からもっと正々堂々と撮らせてって言ってくれないかな? 嫌だったら断るし、オーケーであればご自由にどうぞだよ。こっちも撮って欲しくないときとかあるかもしれないからね」
すると、一瞬で表情がもとに戻りこう言った。
「えっ?! 許してくれるの?」
「でも、盗撮は盗撮。まずは謝らないと」
「ごめんなさい……」
「はじめから一緒に撮りたいとか、写真撮らせてとか言ってくれればもっと修学旅行楽しめたし、もっと俺のいい笑顔の写真も撮れたんじゃないのかな?」
「そうなんだよね。だれかの陰に入っちゃったりして……」
と何も無かったかのように話し始める石森さんに向かって、夏村さんは険しい表情でこう言った。
「お前、かずやはやさしいから怒らないけど、俺は怒っているんだぞ! 陰でコソコソするな! それって心の中にやましさを感じている証拠だぞ! どうだ、やましさとか無かったのか?」
「うん…… やましいというより寂しかった…… 撮っていいか聞く勇気が無くて」
「だろう、じゃあ、今日からは大ぴらに撮って良いから、まず、かずやと俺の了解を取れよ!」
「わかった! じゃあ声掛ければいいんだね。がんばる」
「がんばれ……」
「本当にごめんなさい」
深々と俺と夏村さんに向かって頭を下げる石森さん。そんな彼女に俺は、
「井上さんたち、外で待たせているんじゃないの。早く行ってあげないと! それと彼女達の写真も宜しくね」
と言うと、石森さんは元気を取り戻し、
「うん! わかった。後でその写真見せるね」
と答え、部屋を出て行った。
女子部屋に残された俺と夏村さんの二人。
「かずや、許しちゃっていいのか? 盗撮だぞ?」
「でも、俺もヲタク的な立場で考えると、俺もアイドルファンな訳だから、自分の推しの写真って撮りたいよ。その気持ちはわかるんだ。それが積もり積もってストーカーとか間違った道に行く前にわかってあげられたのは成果だと思うよ」
「じゃあ、かずやは許すってことだな。わかった。じゃあ、俺も許すよ。そういえば、あれだけかずやの写真あるんだから、俺もアイツからかずやの良い表情の写真、貰おうかな?」
「大あくびの写真とかは辞めてね(笑)」
「でも、これもかずやが石森さんに好かれているってことだよな…… なんか彼女的には複雑な心境なんだよ……」
よく考えてみると、盗撮の石森さん、ボディアタックの井上さん、俺の方が推していた那奈、勉強一路の多江ちゃんと俺の周りはくせ者が揃っている。
そう考えると夏村さんは元ヤンキーで若干ツンデレ感はあるが、中でも普通の子なのかなと思った。
彼女からしたら、彼氏の周辺に変わった趣味や好意をもつ女の子が増えるってことはあまり良い気分ではないってことなんだろう。
やはり、大切にすべきところは他とは区別しなくてはいけないと思った。
「さて、夏村さん。気分変えて夕食食べにいきましょうか?」
「今日は二人でだな!」
と曇っていた顔を赤らめながら夏村さんは言い、食事会場である大宴会場に向かった。
会場に入ると、食事が終わった会場のテーブルの隅で対面式に並んで集まっている数人の先生達がいた。
「すみません。これから二人で夕食とりたいんですけど……」
と言いながら俺たちは中に入ろうとすると、先生の集団の中にいた渋谷先生が俺たちを呼んだ。
「高松、夏村、ちょっとこっちに来てくれないか?」
「はい?」
何のことだかわからず躊躇しながら、先生達の中に俺たちは向かった。
「ちょっとそこに座れ」
と言われたので、座布団を夏村さんに渡し、そして自分の分をテーブルの下から引っ張り出し座った。
「実はさっきの喧嘩というか二人が同級生を守ってくれた件だが、場所が場所なので、多くの人に見られたらしい。そこで、数人が動画と写真でSNSに『二人の高校生が三人の男から同級生を守った件』とか『高校生が強すぎて、街のチーマー3人を撃退した件』とかいう題名でネットに拡散されているんだ。動画は顔にモザイク(霞がかかったようになっている)が入っているんだが、写真にはそのままの姿であがっているものもあるので、まずいなという話になっているんだ。好意をもった人なら良いが、声を掛けてきた男達の仲間がお前らを探している可能性もある。なので、お前ら二人は食事をしたら外に出るな。そのままホテルで待機だ。どうするかは私たちが考える。明日ホテルを出て、太秦に行ってしまえば問題は解決するだろうから」
そんなトラブルに発展するとは思ってもみなかった。
確かに四条通りは大通りで人通りも多かった。
確認はしなかったが、写真や動画を撮られている可能性を考えるべきだった。
こうなっては、先生達の判断に任せるしかないと二人は思った。
「わかりました。外出しないようにします」
と言うと二人は肩を落とし食事をした。
せっかくの修学旅行を悪いことしてしまったなと、俺はしょげていると、夏村さんは俺の手を握りながら、こう言った。
「俺たちは悪いことをしている訳じゃ無い。胸を張れ、かずや」
「いや、残りの時間、夏村さんとデートしたかったなって思って……」
「何言ってんだ。帰ってからもいくらでもデートはできるだろ。かずや、『今できることは何かを考えてから行動しろ』。かずやが教えてくれた言葉だろ」
「そうですね…… ありがとうございます」
と夏村さんに礼を言い、ふとホテルにいても出来ることについて考えてみた。
「夏村さん、もしかすると仲間のチーマーが俺たちを探して同級生に声を掛けてくる可能性がありますよね。夏村さんと俺のラインで同級生の知り合い全員に二人のことを聞かれたら知らないと答えるよう一斉送信してみませんか?」
「そうだな。それなら、さっきの件に付随した事件は起こらないだろうからな。良い考えだ。すぐやろう!」
と言い、俺が文例を考え、二人で一斉送信を行った。
俺たち二人はロビー横でパトロール隊が全員帰ってくるまで待っていようという話になった。
フロントの横にあるベンチに座り、入り口をしばらく眺めていたが、不思議なことにまだ外出時間はあるにも係わらず、同級生達がポツポツと帰ってきた。
そして、俺たち二人を見つけると、いろいろと声を掛けてくれた。
大変だったなとか、お手柄だったなとか。
もちろんその中にはうちの男子、女子グループも入っていた。
その数もだんだん増えていき、外出時間終了30分前までにはほぼ全員がホテルに戻ってきていた。
その中にはパトロール部隊もいた。
「いや~。街中全然同級生と会わないんで帰ってきちゃいましたよ」
という声が大半であった。
それは当然だろう、同級生は皆早めにホテルに戻ってきたからだ。
集合時間よりも早く全パトロール隊が帰ってきたので、俺たちも立ち上がった。
そして、みんな集まり、パトロールの報告をすると、渋谷先生からお疲れ様の言葉をいただき、解散となった。
二人で部屋に帰ろうとすると、通路の部屋の方向に先ほど警察に同行してくれた中川さんが立っていた。
俺が気づき、中川さんに声を掛けた。
「今日はお疲れ様。その後はどうしたの?」
「なんか、高松くん達の映像がSNSで広まっちゃったのを聞いたのと、友人に聞いたら二人とも外出禁止になったらしいことを聞いたので、一度会ってお詫びしなくてはと思ってここで待っていました」
「他の子はどうしてます?」
「やはり外出は怖くなったみたいで、部屋でテレビを見てました」
「そうだったのか。不安にさせちゃってごめんね。こんな大事になる前に対処できればよかったんだけど」
「いいんです。ちょっと、今日の夜は怖いかなって思っちゃって…… 高松君みたいな彼氏がいれば別ですけど」
「いやいや、おれよりも同級生が捕まれた手を決めた夏村さんの方が強いんだよ。俺、喧嘩できないもん」
「夏村さんもありがとうございます。まあ、大人になって、またみんなで京都にはゆっくり来ればいいのかなと思って……」
「そうだね。あんな一件があったら楽しめないか。その分、明日の映画村、楽しもうね!」
「はい、今日は本当にありがとうございました!」
といい、中川さんは一礼し、去って行った。
「みんなが早く帰ってきたのには、こんな原因があったとはね」
と俺がいうと、夏村さんは頷きながら、
「みんなが俺たちのことを気遣ってくれたんだな。やってよかった……」
と天井を見ながら言った。
お互い自分の部屋に戻ろうと再び歩き出したとき、入り口の自動ドアが開き、ロビーに五、六人の男性が勢いよく入ってきた。
「おい! ここにうちのもんに喧嘩売ってSNSに拡散させた野郎がいるってきいたけど、そいつらはどこにいる!」
と大声で怒鳴った。
ホテルの係員が制止したが、今にもホテル内に流れこもうとしていた。
夏村さんは振り返り、その男達に突っ込もうとしたところを俺は制して言った。
「ちょっと話つけてくるので、夏村さんはここにいて」
「俺もいく!」
「面倒になるからここにいるの!!」
『いろ』と命令形では言えなかったので『いるの』と諭すような口調で言ってしまった。
「かずや……」
「まあ、まかせろって」
「すみません。あの一件の喧嘩を売った者ですが、何か?」
俺はロビーの係員に先生に連絡するようジェスチャーで指示した。
「てめえか? うちの舎弟をいたぶってくれたようで、そのままで帰すと思っているのか? あ~!」
「ここはホテルです。他のお客さんもいますので迷惑掛けたくないんですよね。ところで、お宅さんがリーダーですか? ではお宅さん一人、おれ一人で、ちょっと話しませんか?」
というと、リーダー格の男は、
「てめえ、いい根性してるじゃねえか。おう、話聞いてやるぜ。ちょっと外出ろ。お前ら、ちょっとここで待っとけ!」
といい、外に出た俺の後を追った。
その後、数分の会話の後、俺はリーダーとともに戻ってきた。
「お前ら帰るぞ!」
「いいんすか、こいつらこのままで」
「面倒だから手は出すな、いいな!」
と吐き捨てただけで奴らは出て行った。
その時、遅れて渋谷先生達がロビーに降りてきた。
「今、喧嘩した相手の仲間達が来たとフロントの人から連絡があったが、彼らはどうした?」
「帰りましたよ。面倒になりたくないって。ホテルでトラブったら大事件になりますからね」
「高松、何もされていないんだよな?」
「大丈夫です」
そうは言ったが俺の心臓はバクバクであった。
俺の裏の手が通用するとは限らなかったからだ。
何も問題が無かったことを確認し、先生方は戻っていった。
「かずや、お前何を使ったんだ? 喧嘩嫌いのお前がとる方法を考えたら口しか無いけど?」
そりゃ夏村さんが不思議がるのはわかっていた。
「まあいいや。部屋に戻りながら話そう!」
俺は夏村さんと部屋に帰りながら話始めた。
「去年の学園祭の時、うちのクラスで焼きトウモロコシとチョコバナナを作ったんだけど、その作り方を昔教えてくれたのが近所のテキ屋のおじさんだったんだ。テキ屋ってお祭りとかで、出店をやっている人なんだけど、そのおじさんって今、関東で名の知れた暴力団の組長のお父さんなんだ。と言っても俺にはとてもやさしいおじさんなんだけどね。そこで俺、関東の組長のお父さんと知り合いで、お父さんに言ったらどうなりますかね? 今から電話しましょうかって言ったら向こうがビビっちゃって引き下がったって話なんですよ」
「お前、とんでもないやつとつながりあるんだな」
「これも、周囲の人たちと仲良くやってきた成果だと思っているんです」
実は、その組が大宮にあって、俺の家によくベンツで乗り付け、組員が花を買っていく際に、俺の母が、
「悪いことしちゃだめだよ」
と声を掛けると、組員は、
「そんなこと、してませんよ」
と照れながら話していたのを思い出しのだ。
現在では暴力団対策法が施行され、いっさい付き合いは無くなったが、当時はそんな緩い世の中だった。
「しかし、こんな時によくも一か八かの勝負に出たな? 勝因はあったのか?」
「ないよ」
「無いのにやったのか?」
「中学時代はこれが全部裏目に出たんで失敗してた。高校に入って、夏村さんと付き合い始めてから、なぜか良い方向に行くイメージがちょっとだけあったのでそれに賭けた。それと俺と夏村さんだったら絶対に喧嘩なら負けない気がした」
「そりゃそうだな。いつでも俺はオーケーだったぜ。かずやがそんな冗談じみたこというから空振りになっちまったよ」
「でもその組って、東京に本部がある有名な暴力団なんですよ」
「そんなこと聞かされると、これから、かずやのこと、怖くて殴れないな」
「殴って無いくせに」
「そうだけど!」
俺は自分の部屋に戻ると、坂本は、俺に向かってこう言った。
「かず、お前、すぐ女子の部屋に行け。さっきから、何度も探しに来て、うぜぇ!」
また迷惑かけたかのかと思い、即座に謝った。
「すみません。お手数おかけしました」
「あっ! そういえば街中でスマホの写真見せられてこの方を探しています。助けて貰ったのでと言われたんで、ホテル名教えたけど、お礼に誰か来なかった?」
佐々木、お前が教えたのか…… お礼はお礼でもお礼参りに来られましたけど。
そういえば男子メンバーにはラインしていなかったことに今更気づく。
大失敗じゃん。
でも、面倒なこと一切知らないみたいだからいいかと思った。
なにせ、こいつらはSNSとあまり縁の無い連中だからだ。
「では、約束の枕投げはいつ頃から……」
「約束できんな?」
「なんで?」
「お前、いつ女子部屋から脱出してくるかわからないし!」
「そうですね……」
しょうがない。
枕投げは諦めて女子の部屋に向かう。
「失礼します…… なにかお呼びでしょうか?」
と部屋に入るとともに、部屋の電気は消され、一斉に枕が俺に飛んできた。
というか、枕を手に持って確実に殴って来ている奴がいる。
俺は部屋の中で座り込み、亀のように背中を丸め防御の態勢を取ると、誰かが部屋の入り口を締め、鍵を掛ける。
半ば、枕による集団リンチだ、でもそれほど痛くないけど。
「ちょちょちょっと、何してんのよ! 痛いっちゅうの!」
「修学旅行中に二人に告白されるってふざけた野郎だ」
声から夏村さんだと思った。
「あの、那奈から言われた記憶はありますが、その他は……」
と言うと、強烈な一発が後頭部に当たる。
「あの言い方から私も告白したってこと、察してよ!」
これは石森さんか……
ええっ! 石森さんも告白してたの!
確かに好きすぎて写真を撮っていたとは言っていたが。
「何人候補作れば満足するのよ! 今まで部屋でみんなの話を聞いていたら、結局全員から告白されているんじゃない!」
これは多江ちゃんだ。
でも枕の力が結構強い。
普段たまったものが吐き出されているのかと俺は思った。
「好かれることはいいことじゃん。もし彼氏が嫌われ者だったら嫌でしょ?」
と俺は反論した。
するとどさくさに紛れて俺に抱きつく奴がいた。
「もう面倒。内縁の妻辞めて、妻の座を狙います」
やはり井上さんだ。
「井上さん、抱きつくのは無し。てか井上さんもたたかれていない?」
「一緒にたたかれるなら本望だよ」
本望の意味がわからん。
俺は立ち上がり、壁のそばに手を伸ばし、室内灯のスイッチを入れた。
「ダメ!」
と誰かの声が聞こえたが、すでに遅し。
電気が付くと、そこには五名が下着姿で枕を持って息を切らしていた。
「な・なぜ、みなさん、そんな格好なの?」
と言いながら、俺は瞬間的に前屈みの姿勢になった。
というか、なるしかなかった。
「あれ? かーくん、誰で興奮しちゃったのかな? 私の水着写真見てるだろうし、夏村さんは裸も見せたって言ってるし、井上さんは必要以上に密着プレイである程度想像できているだろうし、そうなると、石森さん? それとも小倉さん?」
「お前、小倉さんの眼鏡、下着姿であの写真集思い出して興奮してただろう!」
ピンポン、やばいところを突かれたと俺は必死になる。
「いや~、まわりに下着姿の女子がいるってことは夏村さんか晏菜くらいなので。免疫が無くてですね……」
と意味のわからないことを言ってしまう。
「やっぱ、沙羅ちゃんのは見たんだ。あながち初日に沙羅ちゃんが言ってたのは嘘ではなかったってことね」
と多江ちゃんは納得する。
「というか、お前、晏菜ちゃんの下着姿もみてやがるのか!」
「兄妹ですから! ちょちょちょっと、お話するなら、パジャマかスウェット着ませんか?」
と俺が言うと納得したのか、なかには数名は赤面していたが、全員、パジャマ姿になった。
俺が部屋の床に座ると各自自分の布団の上に座ったので、俺は一人づつ尋ねた。
「那奈、今回の修学旅行はいかがでしたか?」
「私、高校あんまり親しい仲間っていなくて、アイドルやっているってだけで仲間から外されていた感じがしていたので、今回こっちの高校でこんなに仲のいい友達というか敵が増えたことは嬉しかったかな。一緒に写真撮ったし、かーくんといろいろな話したし」
「よかったのね。明日の映画村も楽しんでね」
「かーくんといっしょにいっぱい写真撮るし!」
「石森さんは」
「最初は、高松君に近くに行けばいろいろな写真が撮れると思って一緒の班になって、みんなの話をきいているうちに私自身も高松君のことが好きでそんなことをしてたんだと気づかされた。そして、もっといつも近くにいられればと思った。まあ高松君には盗撮のことバレたけど、それが原因でみんなの仲間に入ることが出来たしね。楽しかったよ」
「石森さんは、これから学園祭もあるのでよろしくね。井上さんは…… 聞かなくてもいいか」
「チョイチョイ! 言わせてよ。まあ、この修学旅行中にかずくんのこと攻めようとおもったけど、これだけ恋敵いたら、そうそう手を出せなかったよ。だから、その点は不満。でも、バスの中で夏村さん以外だったら誰選ぶって聞いたときの回答が的を得ていたから、そこは満足かな」
「ところで、かずやは誰のこと選んでたの?」
「誰のことも選んでなかった。かずくんはみんなの特徴をよくつかんでいるんだけど、当分は夏村さんには敵わないかなって感じだった」
「ざ~んねん」
「多江ちゃんは?」
「一緒にゆっくりかずくんとお話出来たのが嬉しかったかな。修学旅行とは関係ないけど進路の話とかも出来たしね。ワンチャン有りかなって思えたし」
「かずや、ワンチャンってなんのことだ?」
「受験終わったら相談しましょう」
「最後に夏村さん……」
「最後の最後で、同級生助けるために喧嘩して外出が出来なかったのは寂しかったかな…… あとはやっぱり『縁』というものは大切だなって思った」
「修学旅行の感想になってないよ?」
「明日は映画村で一緒だし。そこで思い出いっぱい作るから。お前ら邪魔すんなよ!」
「邪魔するに決まっているじゃん」
といい、また手元にあった枕を握り、殴り合うのでした。
「じゃあ、また明日! 早く寝なさいよ。昨日遅いんだから」
「は~い!」
俺が隣の男子部屋に戻るとすでに枕投げは終わり、電気も消して仲間は眠っていた。
さて、俺も寝ようと床に入るが、枕が無い……
探すと、鵜坂が俺の枕を抱いていた。
俺は気づかれないように枕を外し、軽く叩いて、自分の敷布団の上に置き、布団の中で横になった。
当作品をここまで読んで頂き、ありがとうございます。
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編集記録
2023/02/14 一部改稿




