表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

もうひとつの昔話(パロディ)

赤い靴 (もうひとつの昔話40)

作者: keikato

 カーレンという女の子が、病気がちの母親と二人で暮らしていました。暮らしはとても貧しく、カーレンはいつも裸足でした。

 しばらくして母親は亡くなり、ついにカーレンは一人ぼっちになってしまいました。

 お葬式の日。

 カーレンが泣いていますと、そこへ慈悲深い老婦人が通りかかりました。

 この老婦人は裸足の女の子を哀れに思い、カーレンを引き取って養女にしてくれました。


 数年後。

 カーレンはきれいな娘に成長していました。

 そんなある日。

 カーレンは靴屋で赤い靴を見ると、その美しさに心をうばわれ、老婦人に内緒で買いました。

 カーレンは赤い靴をはいて教会に出かけました。

 それを知った老婦人がさとします。

「教会には黒い靴をはいていくもので、赤い靴はいけませんよ」

「はい、おばあさん」

 カーレンはうなずきましたが、老婦人が病気で寝こむようになると、ふたたび赤い靴をはいて教会へ行くようになりました。


 ある日のこと。

 カーレンはダンスパーティーに招かれました。

 この日も赤い靴をはきます。

 とたんに呪いがかかったように、赤い靴がひとりでに動き出し、ダンスを踊り始めました。

――止まらない、止まらないわ!

 カーレンは赤い靴にあやつられるまま、家の外へと踊り出ました。

「お願いだから止まって!」

 どんなに叫んでも、赤い靴はかってに踊り続け、ダンスをやめてくれませんでした。


 三日後。

 カーレンが踊りながら教会のそばを通ると、老婦人のお葬式があっていました。

「おばあさん、ごめんなさい」

 カーレンは胸が張り裂けそうになりました。

 おばあさんが死んでしまったのは、自分が看病をしなかったせいだと思ったのです。


 カーレンはおなかがペコペコになってきました。さらにはウンコも我慢できなくなります。

 カーレンは叫びました。

「ウンコが漏れる―」

 するとです。

 赤い靴はピタリと動きを止め、カーレンの足から離れていきました。

 カーレンは教会のトイレにかけこみ、内側から鍵をしっかりかけました。

「ふうー」

 ウンコがしまえたときです。

 ヒタ、ヒタ……。

 靴音が近づいてくるのが聞こえてきました。

 靴音はトイレの前で止まりました。

 トン、トン。

 ドアがノックされます。

――あの赤い靴が追ってきたんだわ。

 カーレンは覚悟を決め、一気にドアを開けるとトイレを飛び出しました。

 ドアの前には、やはりあの赤い靴がありました。

 赤い靴はトイレに入りました。

 ドアが閉まります。

 それからいっときして、便器に水の流れる音がしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] その発想はありませんでした(笑)
[一言] 赤い靴もトイレに行きたかったんだ! 出たあと、また、少女を追いかけたのでしょうか? その後が気になりますね。 実は原作がうろ覚えなんです。ラストはどんなだったかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ