⑧告白
連合陸上競技大会1週間前。
わたしは、陸上部に参加していた。
「では、これで練習を終わる」
「気をつけ、礼」
「ありがとうございました!」
頭を下げ、陸上部が終わった。
「姫さん」
「え?」
振り返ると、そこには陵河がいる。
「これ、リーダーが付けるリストバンドだって」
「何それ?」
「キャプテンマークみたいなものでしょ。1年女子のリーダーは姫さんで、男子のリーダーはオレだから。おそろいだよ」
「おそろいか〜。あ、でも先輩も一緒?」
「ううん。先輩は違うよ。これ学年カラーで刺繍されてるから」
「ああー、じゃあ2年は青で3年は赤か」
「うん」
右腕にリストバンドを着けてみる。
陵河とわたし、2人だけのおそろい……。
白地に黒で『M Truck&Field』と刺繍されていて、黄色の糸で縁取りがされている。
本当に、本当に嬉しい!
陵河とおそろいのリストバンド。これがあれば、どんなに辛くても頑張れる気がした。
「姫さん。リーダーとして、頑張ろうな」
「うん。陵河も頑張って」
「ああ」
「なんか、わたしと陵河がリーダーって、小学校のころと変わんないよね」
「そうだな。そのまんま」
ああ、この笑顔が見れるなら、わたしはなんだってできる。
「おい姫さん。まだ時間あるから、これからテニス部行くだろ」
強い力で腕を引っ張られて振り向くと、高守が腕をつかんでいた。
「あ、うん。行こっか」
「これからまだ部活やんの〜? 超大変じゃん」
「あはは。あ、陵河、じゃあね」
「うん。頑張って!」
「頑張りまーす」
おおお、陵河が頑張ってって言ってくれた! 嬉しすぎてヤバいんだけど!
今日は良いことがありすぎるな。
右手首のリストバンドを見つめてほほ笑む。
おそろい、かぁ。
2人だけのおそろいなんて、初めてだね。
陵河にとっては何も特別なことじゃないだろうし、ただわたしが喜んでいるだけだ。
でも、それでも良い。
この恋が叶わないことなんて、百も承知だし。
「おまえ何1人でニヤニヤしてんだよ」
「は? ニヤニヤなんてしてないし」
高守の言葉に言い返す。
「陵河のこと好きっていうの、バレッバレ」
「は、はあ? 陵河のこと好きって……な、何言ってんの?」
「陵河と話す時だけ特別に楽しそうでさ……。ムカつくんだよ」
「え?」
校舎の入口で、前を歩いていた高守が振り返った。
「オレと話してる時も、もっと楽しそうにしろよ」
「いや普通に楽しいけど……」
「普通に、だろ? オレはおまえの特別になりたいんだよ!」
「え? それって……」
「そうだよ。オレは、おまえのことが好きなんだよ!」
「……」
ん? おまえのことが、好き……?
「えええええええ!?」
「そんなにビビるなよ」
「普通びっくりするって!」
「クソ鈍感なんだな」
「鈍感じゃないし!」
「ま、そういうことだから。返事考えてくれよ」
1人でスタスタと歩き始めた高守。
「え、ちょ、待ってよ!」
わたしもあわてて追いかけた。
高守がわたしのこと好き?
そんなの、ウソでしょ……。




