④久しぶりのテニス部
やったぁ!
やっと、足首が治った!
もう夏休みも半分以上終わり、あと少しでテニスの新人大会。わたしは、B組の伊藤望亜とダブルスを組んで大会に出るんだ。だから、治って本当に良かった……。
今日は陸上部がないから、テニス部に行こう。
テニスラケットを肩に斜めにかけ、シューズを持つ。
学校に向かう足取りが、いつもより軽かった。
「明日奈ちゃん! 久しぶりだね!」
「足、もう大丈夫なの?」
学校につくと、テニス部の先輩達が声をかけてきてくれた。
「はい! もう大丈夫です!」
満面の笑みで答える。
大好きな先輩達に会えたことが、本当に久しぶりで、本当に嬉しかった。
「姫さん!!!!」
「姫さん! 久しぶり!!」
「姫ちゃ〜ん!!」
女子3人に飛びつかれて、びっくりして後ずさる。
飛びついてきたのは、テニス部の1年女子の望亜と斎藤葵、西方萌乃だった。
「もう足首治ったの?」
「うん。もう大丈夫だよ!」
「姫ちゃん……ホントに久しぶり」
「うん。ホントに久しぶりだね」
「かわいい〜〜。もう姫さんが愛おしくてしょうがない」
「何言ってんの」
「あ、照れてる〜。かわい〜」
「照れてないし! 望亜のほうがかわいいよ」
望亜のほっぺをツンとつつく。
本当に、テニス部の1年女子のこと、大好きだ!!
「姫さんいないから、高守つまんなそうだったよ」
「高守は姫さんのこと愛してるからね」
「愛してないし」
「姫さんが捻挫した時のこと聞いたよ。お姫様抱っこされたんでしょ?」
「いやまあ、それは、わたしが動けないからであって……」
「好きじゃなければそんなことしないでしょ」
ニヤニヤしている3人。
もう!
「あ、姫さん」
「高守!」
「治った?」
「うん! もう大丈夫だよ! あの時はありがとう」
「今さら……まあ、夏休み中に良くなって幸いだったな」
「うん! 明日はテニス部休みだから陸上部行く。先生に報告しなきゃね、良くなったってこと」
「オレも陸上部行くから。今まで通り走れると良いな」
「走れる気がしないけど……」
「おまえなら大丈夫だって」
高守の笑顔を見ていると、本当に大丈夫なような気がしてくるから不思議だ。
「姫さんの足のこと、奥村や奏馬や陵河、横野とかも心配してたぞ」
え、陵河が……? 心配してくれてたの……?
「だから、明日陸上部行って、元気な姿見してやれ」
「うん!」
笑顔で大きくうなずいた。
早く陵河に会いたい。
どうしようもないほど会いたい。
話せなくても良い。距離が遠くても良い。
それでも良いから、陵河に会いたいよ……。
「ほら、姫さんと高守、イチャイチャしてないで準備して!」
「イチャイチャしてないし!」
望亜の言葉にすぐ言い返す。
高守は無言だった。
「姫さん! ポール一緒に運ぼ」
「オッケー」
葵と2人でポールを運ぶ。
「高守、嬉しそうだったね」
「え、どこが? 普通じゃなかった?」
「いや。わたし達といる時と比べると、姫さんといる時のほうが楽しそうだし嬉しそう」
「そんなことないでしょ」
「いい加減気づいてやれよ。高守の気持ちに」
「葵、わたしの好きな人知ってるくせに……」
「B組の陵河とかいう人でしょ?」
「うん。さっき高守が言ってたんだけどね、陵河、わたしの足のこと心配してくれてたんだって! もはやそれだけで嬉しいわ」
「あ〜あ、高守悲しい」
「明日陸上部行くから陵河に会える……! 楽しみすぎてヤバい」
「良かったな。そこまで本気で好きなら告白しろよ」
「無理だよ。陵河はわたしのこと好きじゃないって分かってるのに」
「でも、友達としては好きって言ってくれたんでしょ? 付き合える可能性はあるって」
告白……かぁ。
わたしだって、ホントは告白したい。
君に想いを届けたい。
だけど、どう思われるかも分からない。
陵河はわたしのこと恋愛的な意味では好きじゃないし、友達としてしか思えないって小学生のころ言ってるのを聞いたから。
そう言われてるのに告白するなんてこと、わたしにはできない。
でも、それは小学生のころの話だし、今はもしかしたら……って期待してるところもある。
だけど無理だよね。
あいつはモテるもん。
運動神経良くて、かっこよくて、おもしろくて優しくて……。
わたしなんかのこと、眼中にあるわけないよね。
でもね、許してもらえるのなら……。わたしのことを嫌わないのなら……。
叶わなくても良い。
それでも、君に想いを届けたいんだ。




