㉔4×100メートル
1日目である今日、わたしが出場する種目はリレー。
連陸で1500メートル優勝した高守も、今日出場する。
もう高守が走り始める。
「On Your Marks バン!」
スタンディングからのスタート。
高守は、真ん中より少し後ろあたりで走り始めていた。
「高守ファイト〜!」
「高守くんファイト〜!」
「高守ファイト〜!」
「ファイト〜!」
みんなの声援は高守に届いているだろうか。
「高守行け〜! 抜かされんな!!」
本当にすごいなぁ。長距離速い人は……。
わたしは短距離は得意だけど、長距離はあんまり得意じゃない。
体力テストの持久走(1000メートル)も、4分9秒でクラスの女子4位だった。
3年生の男子の先輩、3000メートル9分台とかおかしいよ〜。わたしの2000メートルと同じくらいな気がする。
2年生の女子の先輩には、800メートルを2分30秒くらいで走れる人がいるし。
この2人はこの都大会にも出場してるから、かなりレベル高い方なんだけどね。
高守でも、都大会じゃこんなレベルなんだ……。
わたしの短距離なんて、本当に底辺中の底辺だろうな。
「高守ファイト〜!」
もう開始してから4分以上が経過し、終わりが見えてきた。
「頑張れ!! 高守!! 抜かされないで〜!!」
「大丈夫! 行けるよ!!!」
「高守ラストファイト〜!!!」
最後、ホームストレート側を走り切った高守は、4分59秒でゴールした。
予選3組目の23人中14位。
都大会でこの結果って、本当にすごいと思う。
でも、4分59秒は高守の自己ベストではないからね……。
「わたし達もアップ始めよう」
リレーメンバーである4人が、バトンジョグをしに外に出た。
「はい!」
そう声をかけられ、声をかけ、バトンを渡しては真樹に戻す。
ある程度体が暖まると、準備運動とドリルをして、1度ブルーシートのところに戻った。
スパイク、ユニフォーム、ハチマキ、タオルを袋に入れて持つ。
バックストレートに行ってバトン練習をすると、すぐに時間は過ぎ去ってしまった。
「急がなきゃ! 招集始まっちゃう!」
即効でユニフォームに着替え、招集場所に向かう。
「えー、7レーンM〜」
「はい!」
1走から順番にゼッケンを見せる。
「アンカーは7の腰番号つけて〜」
梨奈が腰番号をもらいに行った。
「55秒台前半、頑張ろうね!」
「うん!」
楽しみな気持ちとともに、かなり緊張もしていた。
大丈夫かな。抜かされないかな。
2走は基本的に1番速い人が集まって来るんだよね、ああ、怖い……。
緊張のせいでそこからの記憶はほぼない。
すぐに自分達の番が来ちゃったって感じだった。
「On Your Marks」
真樹を見つめる。
「Set」
大きく深呼吸した。
「バン!」
真樹、ファイト! 真樹頑張れ!
ブルーゾーンの始まりの線を見つめる。
片足が越えた瞬間に、リードを始めて……。
「はい!」
左手を上げる。
バトンを受け取ると、全力で走り始めた。
6レーンの人が近づいてきてる気がする……。
あ、8レーンの人のことなら抜かせる!
8レーンの人にだけ集中して、抜かすことにだけ集中して……。
ヤバい。どうしよう。疲れた……。
ブルーゾーンを越えて若菜がリードするタイミングも、いつもより早かった。
ダメだ、これじゃ追いつけない。失格になってしまう。
「ちょっと待って」
若菜にスピードを落としてもらい、無事にバトンは渡った。
疲れすぎて立っているのも辛くて、倒れそうになる。
自分がバカすぎて泣きそうになった。
8レーンの人のことは抜かせた。
でも、バトンパスでミスしてしまった。
あれが無ければ、きっともう少し速いタイムが出たのに……。
梨奈がゴールするのを見て電光掲示板を見上げる。
タイムは、55,52秒だった。
一応、これでもベストタイムではある。だけど、わたしのせいで、目標である55秒台前半に届かなかったんだ……。
わたしがミスしなければ。
そうすれば、前半にきっと届いたのにな……。




