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君に想いを届けたい  作者: sakiko
23/30

㉓頑張って

もう1度ちゃんと想いを伝えようと思っていても、どうしても陵河を避けてしまう日々が続いた。

あっという間に時は経ち、支部対抗都大会の当日。

はあ。陵河と、もうしゃべれないのかな……。


「あ、姫さん」


真樹が近づいてくる。


「何?」


なんかニヤニヤしてるのが怖い。


「陵河が、LINEでわざわざ『姫さんに頑張ってって伝えておいて』って言ってきたよ!」

「え、陵河が?」

「うん。もう陵河と姫さん絶対両想いじゃん!」

「両想いなわけない」


首を横に振りながらも、心の中は幸せな気持ちで満たされていた。

陵河が「頑張って」って言ってくれただけで、こんなに幸せな気持ちになれるなんて。


「どうしたの?」


勝手に盛り上がっている真樹と若菜を見て、唯香も声をかけてくる。


「陵河が、LINEで真樹に『姫さんに頑張ってって伝えておいて』って言ったんだって」

「陵河くんが!? うお〜!」


唯香もとても嬉しそうに笑った。


「あの後、ちゃんと話したの?」


小声で聞いてくる。


「ううん。まだだよ……」

「じゃあ、都大会終わったら、ちゃんと話すんだよ?」

「うん」


わたしもそのつもりだ。

陵河が応援してくれてるんだから、悔いのないように頑張らなきゃいけないよね。

「頑張って」

陵河の声が、聞こえた気がした。

小学生の頃から聞き慣れた声。

ずっと近くで聞いてきた声。

大丈夫だ。きっと、今日も頑張れる。


「寒いけど、ちゃんとアップして頑張ってね!」


天気はあいにくの雨。

気温もかなり低く、晴れていて気温も高かった連陸の時のコンディションとは真逆のようだ。

とっても走りづらい天候と気温。

でも、わたしなら大丈夫。不思議とそう思えた。


「うん。頑張るね!」


都大会で入賞しようとか、そんなことは1ミリも思っていない。

でも、せっかく連陸優勝して、都大会への貴重な切符をもらったんだから……。

入賞はできなくても、自己ベストを更新したい。

目標は、リレー55秒台前半、100メートルハードル16,5秒以下。

この雨の中でこの目標はキツいかもしれない。

でも、もう奇跡を起こすしかないんだ!!

わたしにとっては今シーズン最後の陸上の大会。

陸上部の3年生と同じように、引退試合みたいなものなんだ。

これが終われば、陸上部ともお別れ……。

速くなってきた心臓の鼓動を落ち着けるように、わたしは大きく深呼吸した。

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