㉑学校に帰って
M中の正門をくぐると、いろいろな部活の人が並んで待っていてくれた。
「なんかすごい整列の仕方」
連陸選抜の人達で笑ってしまう。
右側の手前側からバスケ部、吹奏楽部。左側はサッカー部、野球部、卓球部、そして1番奥にテニス部。
「お疲れ様です!」
そう言って、みんなが拍手してくれる。
「姫さん! 姫さん!」
「明日奈ちゃん!」
テニス部の人が駆け寄ってきた。
「姫さん、本当に1位おめでとう」
みんなの笑顔を見たら、急に実感が湧いてきた。
今まで忙しすぎて、バタバタしてて、ゆっくり喜ぶ時間もなかったけど……そうだよね、わたし、優勝したんだ……。
「姫さん大丈夫、泣かないで」
涙が止まらなかった。
今までの練習が無駄にならなかった、そう思ったら、すごく嬉しくて……幸せで……。
まだ完全に治っているわけではない、痛みの残る右足首。体重をかけると鈍い痛みが走る左膝。
この痛みも、自分が頑張った証という気がした。
「明日奈ちゃん、本当にお疲れ様」
テニス部の先輩が背中をさすってくれる。
でも、どうしても涙が止まらなかった。
連陸1週間とちょっと前のプレ大会。
あり得ないくらいの寒さの中、あり得ないくらいの雨の中。
あの台風の中でやった大会では、わたしの100メートルハードルのタイムは17秒台後半だった。
あと少しで18秒台だったというタイム。
あの時は本当に辛くて、なんでわたしがこんなことしなきゃいけないんだろうって思った。
でも、その経験も、連陸に役立ったのかもしれない。
あの大会で頑張っていなければ、わたしは誰かに負けていたかもしれない。
「本当にすごいね。本当に……」
リレーだってそうだ。
真樹、わたし、若菜、梨奈。このメンバーじゃなかったら、きっと優勝はできなかった。
このメンバーだったから、優勝できたんだよ。
「ちょっと姫さん! なんで泣いてるの!」
テニス部の輪の中に、真樹と若菜と梨奈が入って来る。
「勝負はこれからだよ!!」
「そうだよ、次は都大会があるんだから!」
次にあるのは、都大会。
連陸とはまるでレベルが違う大会。
最低でも16秒台前半くらいが出せなければ、予選落ちだろう。
予選落ちすることは目に見えている。
だけど、せっかく出場権をもらったんだから、本気で走り抜かなきゃいけないよね!
「姫さん、頑張ろうね!」
「うん!」




