⑲決勝(女子1年4×100メートル)
「あ、唯香!」
「唯ピーいた!」
練習を切り上げ、招集場所に向かうと、オーダー表を提出してくれている唯香がいた。
「ホントにありがとう!」
「唯ピーのおかげでリレーに出場できる……」
安心して、体から力が抜けた。
これで大丈夫なんだ。ちゃんと、リレーに出場できるんだ……。
「約束だよ。絶対に都大会行こう」
「うん。このメンバーで行くんだもんね!」
わたし達なら大丈夫。きっと奇跡を起こせる!
アンカーの梨奈が腰ナンバーをつけ、それぞれの場所へと向かう。
並んで待っていると、陵河も登場した。
「あ」
目が合って軽く会釈する。
「姫さん」
顔を上げた。
「何?」
陵河の目を真っ直ぐに見た。
「頑張ってね」
笑顔になった陵河を見て、わたしの頬もゆるむ。
「うん。陵河も、……頑張ってね」
なぜか、「頑張って」というのが恥ずかしかった。
陵河に対して本音で話すのなんて、久しぶりな気がした。
「はい、1年女子リレー決勝、入って〜」
スパイクのヒモがほどけていないことを確認し、キレイな青いタータンに足を踏み入れた。
今日初めて来た競技場だけど、一目見て大好きになった。
他の陸上競技場には行ったことあるけど、それは全て普通の茶色っぽいタータンだった。でも、この競技場は青いタータン。
もうホンットにキレイだし、見るだけでテンションが上がる。
ブルーゾーンから測ってテープを貼る。
「姫さん。頑張れ」
陵河の声が、体中をかけめぐった。
これが終わったら、連陸が終わったら、ちゃんと伝えるから。
良いイメージで告白できるように、リレーも本気で頑張るから!
「On Your Marks」
真樹、大丈夫だよ。頑張って!!
「Set」
左側から後ろを見つめる。
「バン!!」
あっという間に真樹が走ってくる。
片足がブルーゾーンを越えた時点で、リードを始める。
「はい!」
左手でバトンをもらう。
「姫さんファイト〜〜!!」
無我夢中で走る。
バトンゾーンまでが加速の範囲、そこからはトップスピードに乗って走らなければいけない。
前にいた人を抜かし、あっという間に若菜にバトンが渡った。
「若菜ファイト〜〜!!」
全力で叫び、祈りながら戻ってテープをはがした。
え、ウソ。梨奈1位じゃない?
「梨奈ファイト〜〜!!」
ホームストレートが終わるところまで梨奈が走りきった。
やったよ! 1位だよ!
リレーも、優勝だよ!!
電光掲示板を見ると『1 M 55,64』と書かれている。
「若菜! もうすごすぎるよ!」
「ホント、サイッコーの気分だね!」
走って3走の終わりのところに行き、若菜の溢れんばかりの笑顔に出会う。
梨奈、真樹も集まってきた。
「わたし達最強じゃん!」
「都大会行けるんだよね? もう……最高すぎる!」
本当に幸せな気持ちで、出場する種目の全てが終了した。




