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君に想いを届けたい  作者: sakiko
16/30

⑯予選(女子1年4×100メートル)

「若菜! やったよ!」

「梨奈〜〜!!!」


スタンドに梨奈が戻ってくると、みんなが笑顔で迎え入れる。


「マジでおめでとう! 決勝も頑張れ!」

「うん!」

「バックストレート側でバトン練習しに行こう」

「あ、オッケー」


梨奈以外の人はアップし、バトン練習を少し行うと、あっという間に招集時間になった。


「まずは絶対に予選突破しようね!」

「うん!」


大丈夫、この4人なら。最強メンバーじゃん!

招集を済ませ、それぞれの場所に向かう。

1走は400メートルのスタートのところ、2走はバックストレートの始まりのところ、3走はバックストレートの終わりのところ、4走はホームストレートの始まりのところ。

こう見ると、やっぱり2走は走る距離が長い。エース区間っていうのも納得できる。

まずは予選1組目。わたし達M中は2組目なので、軽くストレッチをし、呼吸を整える。


「はい、2組目入って良いよ〜」


ブルーゾーンからバトンゾーンに向かって18足分測り、唯香がメッセージを書いてくれた白いテープを貼る。

『M中 明日ちゃんFight! 60’00切ろう!』

わたしはリレーに出るのが初めてだけど、陸上部のメンバーは何度かリレーに出たことがあるらしい。

でも、1位とかは全く取ったことないし、タイムも60秒を切ったことがないと言っていた。

このメンバーなら行ける。60秒は絶対切れる!!

だって、リレーって1走以外加速走みたいなものじゃん? 1走の真樹は加速走じゃないから、100メートルの自己ベストが確か14,9秒くらい。わたし、若菜、梨奈は加速走では余裕で15秒台を切っている。わたしが13秒台、若菜と梨奈が14秒台だった。

この4人なら絶対いける。絶対勝てるよ!!


「On Your Marks」


真樹、頑張れ……!


「Set」


真樹なら行ける。今まで練習してきたんだから!


「バン!」

「真樹子ちゃんファイト〜!!」

「三浦ファイト〜!!」


聞き慣れた「ト」が上がる「ファイト」の言い方。

みんなが応援してくれてる。だから、大丈夫!

真樹の片足がブルーゾーンを超えたのを見て、前に向き直って加速し始める。


「はい!」


わたしは2走なので、左手を真樹に向かって出した。

冷たくて固いバトンの感触。

テイクオーバーゾーン内で、バトンの受け渡しが完了した。


「姫さんファイト〜!!!」


後ろから聞こえる真樹の声。

大丈夫、行けるよ……!

バックストレートを本気で駆け抜け、7レーンの人に少し追いついた。


「はい!」


若菜の右手にバトンを押し込む。


「若菜ファイト〜!」


このカーブで、若菜は7レーンと8レーンの学校を抜かした。

バトンは梨奈に渡る。


「梨奈ファイト〜! 行けるよ〜!」


え、ウソ。梨奈1位じゃない?

梨奈がゴールし終わり、若菜の使ったテープをタータンからはがし、すぐに電光掲示板を見る。

『1 M 56,78』

え、ウソ。すごくない!?

初めて60秒を切ったってことだよね!? しかも、その初めてで、56秒台を出したの!?

すごすぎる。短距離においての3秒はすっごい大きいもん。


「おめでとう!」


3走の先輩が声をかけてきてくれて、ハイタッチする。


「先輩も頑張ってください!」

「うん! わたし達はきっと大丈夫!」


笑顔で言う先輩が、本当にカッコ良かった。


「若菜〜〜!! やったね!!!」

「姫子!! サイッコーの気分だよ!!」


4人全員が集まり、すっごく盛り上がり、スタンドに戻った。


「これで決勝行けるんだよね?」

「うん、もちろん!」

「この大会で優勝したら都大会行けるんでしょ?」

「え、そうなの?」

「うん。優勝したら絶対行けて、準優勝でも行けるかもしれない」

「都大会行くしかないっしょ!」

「うん。絶対行こう!」

「この4人で、このメンバーで、都大会に行こう!!」


この4人なら、本当に奇跡を起こせそうな気がした。

スタンドで少しパンを食べる。


「あ、もうハードルの招集だ。行かなきゃ」

「もう!? めっちゃハードじゃん。頑張ってね!!」

「うん! 行ってきまーす」


このサイコーの気分でなら、ハードルも跳べる気がした。

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