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君に想いを届けたい  作者: sakiko
14/30

⑭最後の練習

連陸前日の放課後。

連陸選抜の選手は、視聴覚室に集まって、先生からプリントを受け取った。

全員の招集時間&W-up目安時間、目標タイム、目標順位がまとめられている。

100メートルハードルの目標タイムは16,5秒、目標順位は1位。

うああ、わたしに対する期待すごくね!? すごい緊張する……。

リレーは目標順位4位かぁ……あまり期待されてない感。


「姫さん、目標タイム何秒だった?」

「ハードルが16,5」

「さ、さすが姫さん。速すぎる……!」


先生の話が終わり、ゼッケンとハチマキを取りに行く。

赤い布に白で『M』と刺繍されているハチマキ。なかなかにダサいが、気合入れには良いだろう。

右手首につけたリストバンドを、左手でギュッとにぎる。

今日は連陸前日なので、気合い入れのために、わたし達各キャプテンは全員リストバンドを着用していた。

明日で、連陸が終わってしまう。

陵河と話せる日々が、終わってしまうかもしれない。

そう考えたら、胸がすごく苦しくなった。


「ゼッケン番号610誰〜?」

「あ、はい。わたしです」


白に赤で『610』と書かれたゼッケンと安全ピンを受け取る。


「姫さん、明日リレー頑張ろうね〜!」


4継の第1走を務める真樹が言ってくる。


「うん、頑張ろうね! 若菜と梨奈ちゃんも!」

「頑張ろう!」


4人は、笑顔で顔を見合わせた。

これなら絶対大丈夫。きっと、良い結果を残せる!


「女子の気合すげぇな」


陵河の笑顔に、キュッと胸を締め付けられた。

ねえ、陵河。ずっと考えてたことがあるの。

連陸が終わったら、この忙しいのが落ち着いたら、陵河に告白しても良いですか?

そしたら、想いを受け取ってくれますか?

付き合ってとは言わない。付き合えないのは分かってるから。

でも、想いを伝えても、嫌がらないで聞いてくれますか?

もう我慢できないんだ。どうしても無理なんだ。

どうしてもね、やっぱり……君に想いを伝えたいんだ。


「ねえ唯香」

「何?」

「わたし、連陸が終わったら、陵河に告白する」

「明日ちゃん……?」

「付き合えないことは分かってるけど、想いを伝えたい」

「明日ちゃん、やっと告白する気になったんだね! 大丈夫、陵河くんは良い子だもん。きっと気持ちを受け取ってくれる」

「うん。ありがとう」

「頑張って。お互いにキャプテンなんだから。絶対に告白するチャンスはあるよ!」

「うん、頑張るね!」


唯香と笑い合った。

わたしは唯香みたいにかわいい訳じゃない。

真樹みたいにモテる訳じゃない。

望亜や萌乃や葵みたいに優しい訳じゃない。

でも、きっと大丈夫。

想いを伝えても、陵河なら受け止めてくれる。


「姫さん」

「ん?」


笑顔で振り返ると、そこには高守がいた。


「あ……」


一瞬にして顔が強張ったのが分かる。


「連陸、頑張ろうな」


高守が屈託のない笑顔で言った。


「高守……」

「もう避けんな」

「……うん」

「頑張るぞ」

「うん。頑張ろうね」


笑い合う。

これで、今までの空白の時間がうめられた気がした。

高守との関係も、もう大丈夫。

この気持ちなら、陵河に想いを伝えられる。

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