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君に想いを届けたい  作者: sakiko
10/30

⑩心配

「あれ? 試合用のボールがないぞ?」

「あれ、ホントだ」


ミーティングを始めようと並んだ時、先生はボールがないことに気づいた。


「誰か外コート見てきて」

「あ、わたし行って来ます!」


左足で、少し勢いをつけて走り出す。

ああ、やっぱり気持ち良い! 速く走るって、ホントに楽しいな。


「うわ!」

「うわあ!」


外コートの小屋のカギを閉めてきた高守と、曲がり角のところでぶつかってしまった。


「ごめん! 大丈夫?」

「あ、うん。大丈夫か?」

「うん、大丈夫」


そう言い残して、わたしはまた走り始めた。

気のせいか、少し体が熱くなっている気がする。

なんで高守のことなんて意識してるんだろう。

触れた肩と肩。

ぶつかった後に、目が合った瞬間。

ああ〜、何意識してるんだ、わたしは!

高守のこと好きじゃないくせに。自分が誰を好きなのか、自分でよく分かってるはずなのに。

告白されたってだけで、こんなに意識しちゃうなんて……。

中学校に入学してから、告白されるのは2回目だ。

前回は、こんなに意識するってこと、なかったのに……。

高守だから? いつもわたしのこと気にかけてくれてたから? 運動神経良くてかっこいいって憧れてたから?

ボールを持って中庭に戻っても、そのナゾは解けないままだった。


「姫さん大丈夫? 今日なんかおかしいよ?」


一緒に帰っていると、葵が聞いてきた。

元K小で家の方向が同じ萌乃、桐村宇宙(きりむらそら)と元H小で元K小の人の通学路を通る葵、引っ越してきた望亜とはいつも一緒に帰っている。


「え、別に何もおかしくないよ」

「そう? なんか考え事してる感じ」

「いや、特に何もないって」


告白されたってことなんて、他の人に言う必要ない。

言ったところで何のメリットもないし、高守もイヤだろうし。


「悩み事があったらすぐ言うんだよ!」

「そうだぞ、明日奈。オレ達を信用しろ!」

「あはは、ありがと」


わたしの周りには、こんなに良い仲間がいるんだ。

この人達に心配かけちゃうのは、絶対イヤだな。


「とりあえず今は何もないから。大丈夫!」

「そう」


ああ、高守になんて言えば良いんだろう?

返事待ってるって……。

でも、高守は、わたしが陵河のこと好きって気づいてた。

フラれることは分かってるのに、返事待ってるって言えるなんて……。

高守の勇気に、わたしの胸は押しつぶされそうだった。

高守のことを好きなのは事実だ。

でも、この感情は、友達としてだから。

陵河みたいには思えないから。

わたしはなんで、陵河のことが好きなんだろう。

高守のことを好きになれれば、すごく幸せなのに。

なぜ陵河の存在は、これほどまでにわたしにとって大きなものなんだろう。

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