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君に想いを届けたい  作者: sakiko
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①物語の始まり

「うわっ、明日ちゃん、久しぶり!」

「唯香!! 超久しぶりだね!!」


M中学校のグラウンドで、同じ1年A組の奥村唯香(おくむらゆいか)と顔を合わせた。

夏休みが始まって、早14日。

テニス部のわたし、姫里明日奈(ひめさとあすな)と陸上部の唯香は、会うこともなく、この14日間を過ごしてきたんだ。

でも、今日、わたしは陸上部が行われるグラウンドにいる。

それは、9月に開催される『連合陸上競技大会』というものの学校推薦に選ばれているから。推薦に選ばれているからといって、連陸に出れるかどうかはまだ決まってないんだけどね。

とりあえず、今日は陸上部に参加します!


「あれ、陵河くん来たじゃ〜ん。」


ニヤッとしていう唯香の目線をたどると、そこにはB組の桧野陵河(ひのりょうが)がいた。

唯香は元M小学校なのに対し、わたしと陵河は同じK小学校出身。

そしてわたしは、小学5年生の時から、ずっと陵河に片想いしている。

小学生のころとは見違えるほど高くなった身長。小さい顔。広い肩幅。筋肉質な体。

全てがかっこよくて、なぜかほほ笑んでしまう。


「陵河くん、また身長高くなったんじゃない? もうそろそろ明日ちゃんに届いちゃいそう」

「うん。ホントに身長高くなってるよね……。もう160センチくらいあるかな?」

「身長何センチだっけ?」

「わたし? わたしは162センチ」

「うわぁ、もうほぼ同等じゃん! 見おろされる日も近いね」

「えー、身長抜かされるのはイヤだなぁ」


そんなことを言いながらも、本音では、早くわたしより身長高くなって欲しい。

そうなったら、やっと、女子として見てもらえる気がするから。


「今日は陸部じゃない人も結構来るね。女子は陸部以外の学校推薦、明日ちゃんしかいないから陸部がいっぱいだけど」

「うん。陸部に唯香がいて良かったぁ。仲良い人いなかったら終わるよ」

「ははは。男子も、今日はみんな来てるんじゃない?」

「ほんとだ。陵河、奏馬、巧、高守。全員いるね」

「そう考えると、学校推薦に選ばれたのって、陸上部とサッカー部とテニス部しかいないんだね」

「あ、確かに。しかも、陸上部抜かして高守以外全員元K小だよ!」

「おー、K小優秀。でも、K小って陸部いないよね?」

「そーだね。結構足速いのになぁ。陵河とか、陸部入ったら絶対超足速くなるよ!」


小学校のころから、陵河は本当に足が速かった。

宮田奏馬(みやたそうま)もかなり速いけど、100メートル走で陵河が負けたことは1度もないはずだ。

男子トップの陵河、そして女子トップだったわたし。

いつも2人で協力して、運動会や連合運動会などの行事を成功させてきた。

いつだって、足の速さがわたし達2人を繋いでくれた。

だから、今回の学校推薦で選ばれて、嬉しかった。

また、陵河と同じ舞台に立てる。

クラスも離れてしまった。部活も違う。陵河は委員会にも入っていない。

何の接点もなくなってしまったけど、でも、連陸という同じ舞台に立てることになったんだ。

このチャンスを無駄にしたくない。


「あ、先生来た。もう始まるよ」


うわぁ、なんか緊張してきた!

左足はジャンパー膝とシンスプリント。右足首は捻挫して、まだ治りかけ。

どう考えても走るのに向いているコンディションではない。

わたしは短距離は得意だけど、長距離走や長い時間走ることは得意じゃないんだ。

だから、練習についていけるか心配だけど……。

でも、唯香もいてくれるし、陵河や同じ部活の高守もいる。

きっと大丈夫だよね!

足速くなって、絶対連陸に出てやる!

わたしは1人でうなずいて、左膝のサポーターをきつく締め直した。

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