表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小町  作者: こころ龍之介
1/8

第一話

もう3月が来ようというのに風は冷たく、山の木々の蕾もまだ小さく硬い。

りかが眠い目をこすり、時計を見ると既に11時を回っていた。

頭がズキンと痛む。

《しまった・・・、昨日は打ち上げでちょっと飲みすぎたかしら・・・、帰宅したのが深夜2時。嘘?それから、ずーっと眠りっぱなし?まぁ、番組の収録で仙台へ飛ぶのは、今日の最終便だから時間もあるし、カフェでも行ってランチでも食べますか》

りかはベッドの脇で眠る愛犬に声を掛ける。

小町(こまち)、小町も一緒に行くわよね?」

嬉しそうにワンと吠えた。

「おいで」

りかは小町を持ち上げる。

小町は、りかが今住んでる河内長原のメゾン・(ひじり)(おか)に引っ越した際に飼いはじめた柴犬の雌で、2階上の管理人も兼ねているマンション・オーナーの息子の紹介で手に入れたのだ。

りかがマンションを探す条件は3つあった。

1、防音設備がある部屋が在ること。(りか自身がラジオのDJ以外に、シンガーソングライターをやっている為、楽器の演奏や歌ったりするのだ。)

2、セキュリティがしっかりしてること。(マンションはオートロック以外にも、“番犬警備保障”という警備会社との契約がされていた。)

3、ペットが飼えること。(実は、りかは重度の寂しがり屋なのだ。)

この条件を完全に兼ね備えた物件は大阪府下で三軒しかなく、最後に紹介してもらった物件が今の部屋なのだ。

不動産屋の営業は、りかの3つの条件が揃っている事以外にこうも囁いた。

『ここのオーナーの息子さん、無茶苦茶イケメンなんですよ。今は近くの高校の先生やってるらしいんですが、大学の頃ファッション雑誌のモデルもやってたんですって、ここだけの話。しかも、独身』

実際、部屋を見せて貰った帰りに、オーナーの息子の帰宅とはちあわせ、

一目で彼の事が好きになった。

思わずボソリと洩らす。

「営業さん、決めました。このマンションにします。ここじゃなきゃ嫌です」

心の中では、拳を握りしめ、

《ううん、これ絶対運命。そうじゃなきゃ、こんな絵に描いた様な出会いあるもんですか。神様、ありがとう!》

マンション・オーナーの息子に、満面の笑みで応えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ