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第8話:ダンジョンマスターの客観的な昔語り

飯のシーンが妙に多い小説だけど、別に作者のお腹が減っているわけではありません。

 傷跡を嘲笑えるのは傷を負ったことがない者だって漫画で言ってた。





 僕の師匠こと、キィ・No2は緩急の切り替えが上手い。

 女子力は極めて高い。家事万能で家庭菜園なんかもやっているし、行動力もある。頭の回転が速く、指示も的確で作業の割り振りも上手い。

 本人は謙遜しているが、ダンジョンの総括としてこれ以上の人はいない。

 しかし……動かない時はとことん動かない。

「今日は腕の付け根がなんか痛い。なんかジンジンするから休みを取る」

「なんか痛いって言われても、原因とか分からないんですか?」

「原因……じゃあ、低気圧でいいや」

「じゃあってなんだコラ。痛いのなら仕方ないけど、ぞんざいなのはやめましょうよ」

 ベッドでうつ伏せになって微動だにしない師匠を見て、僕は息を吐いた。

 僕には師匠の痛みは分からないので、師匠が自己申告で痛いと言うのなら仕方がないのである。

 師匠に食べやすいように作ってきたトーストサンドを差し出す。

「はい、あーん」

「あーん……もぐもぐ……ん? サクサクでとても美味しいが、このサンドイッチどうやって作ったんだ?」

「僕の故郷こと『ワールド』に売ってる機械でちょちょいと作成しました。バターを塗った食パンで食材を挟めば勝手に焼いてくれるスゴイ奴です」

「それはつまり、普段はパンを一枚食いしている私にとって、この一口はカロリーが二倍ということじゃないか!」

「体調悪い人が妙なコトを気にするんじゃありません」

「はうっ」

 師匠の頭を軽く叩く。

 調子は悪そうだが、胃を悪くしてるわけじゃないので、食事に関するツッコミは容赦なく行っていく方針である。

「なぁ、カイネ。私としてはホットミルクの方がいいんだが……お腹冷えるし」

「ホットだとストローが使えないでしょうが。ホットミルクが飲みたいんだったら、体を起こして僕の願い事を聞いて、自分の手でカップを掴んで飲んでください」

「……アイスでいい」

「そこまで無精をするってことは、やっぱり体調は悪いんですね」

「そうだな。昨日から始まっちゃったからお腹痛くて動きたくな……いやいや、腕の付け根も痛い。痛いのは決して嘘じゃないゾ?」

「………………」

 まぁ、嘘じゃないのは最初から知ってるよ。腕の付け根『も』痛いんだよね。

 体調不良って本当に便利な言葉だよな。自己管理と同じくらいには便利な言葉だ。

「とりあえず、下着姿で毛布一枚ってのはやめましょうよ。重いものがさらに重くなるから腹を冷やすなって、あれだけ口を酸っぱくして言ってるでしょうが」

「動くのもダルいんだもん」

「キャラ変わってんぞ、師匠。……ホント、こういう時期はやりづらくて仕方ねぇよ」

「ニーナは重い。私とカンナは普通。アナスタシアは軽い方」

「おい、やめろ。女性特有の重々しい事情をさらっと僕にバラすな」

「タマタマを痛いような痛くないようなやっぱり痛いじゃないかくらいの強さでずっと握られる感じだと表現すれば、男性諸兄にも理解していただけるだろうか?」

「鉄の棒でぶん殴られるくらいだとどこかで聞いたことがありますが……」

「大げさに表現するクソ馬鹿の言うことを真に受けたらいかんが、自分の体が思い通りにならん感じは、少しだけ共感して欲しいとお前の師匠は思うわけですよ」

「はいはい」

 師匠の頭を撫でる。不機嫌そうな顔ながらも撫でられるのは嫌ではなさそうだった。

 下着のままではよくないので、タンスからテキトーに服を見繕うことにする。

 ジャージの上下。半纏。腹巻き。クソダサいファッションだが部屋着としては最上位に属する服装である。

 人の見栄を引き剥がし、虚飾を取り除き、ありのままの自分でいられる服装である。

 ありのままの自分はロクなもんじゃないから、見栄を張るのだ。

「弟子、ブラも変えるから取って」

「は?」

「スポーツタイプのブラにするから」

「そういうのは、カンナさんとか花子さんに頼んでいただけませんかねぇ!?」

「はっはっは、相変わらず初心い男だなぁ。もちろん冗談に決まっているだろう。そもそも、弟子にブラの付け外しができるとは思えないしな」

「女性用ブラの付け外しができる男とか、嫌過ぎるんですが……」

 嫌過ぎるので、僕がそういうスキルを取得していることは絶対の秘密である。

 必要に迫られてというか、育った環境が環境なので仕方ないのだが、リチャードと同じ目で見られるのだけは、なんとしてでも避けたい。

 やっぱり、素の自分はわりとクソだ。格好付け野郎にも程がある。

「じゃあ、着替えさせるのでベッドから降りてください」

「えろいことをするつもりだろう?」

「いい加減にしねーと冷房をかけてしばらく第五階層を封鎖しますが?」

「弟子も脅迫が上手くなったなぁ……」

 そういうわけで、腹巻き、ジャージの上着、半纏の順に着せる。

 ギリシャ彫刻かよというツッコミがぴったりくる肉体美に服を着せてしまうのはなんとなく残念だったけど、それはそれとして体調管理は大事だ。

「っていうか、着替えは女性に頼んでくださいよ。花子さんとか適任がいるでしょ」

「彼氏とデートだから休むそうだ」

「カンナさんは?」

「美味しいと評判のケーキ屋に行くと言っていた。まったく、メスブタどもが! 三大欲求にブゥブゥとすり寄って。恥ずかしいとは思わないのか!」

「なんで師匠がキレてんですかね……」

「今現在のこの状況が恥ずかしいからだな」

「はい、足を上げてください。ジャージを履かせるので」

「ん」

 そういうわけで心を殺す時間である。

 僕は人間なのだから性欲を抑制するくらい容易だし、楽勝である。

 お願いします。今だけ……今だけでいいんで、ちょっと目をつむっていただけませんかね? いえいえ、毎度お世話になっておりますが、今だけはちょっと都合が悪いのでごぜぇやす。下手すると性欲(あなた)の根源が足の裏と地面に挟まれることになるので。

 脅迫ではあるが真剣なお願いに、彼は苦笑いを浮かべながら引き下がってくれた。

 へっ、三大欲求なんてチョロいもんだぜ。

 僕が心の中でほくそ笑んでいると、不意に刺すような視線を感じた。

「弟子。さっきからいやらしい視線を感じるんだが、なんとかならないか?」

「ならんですね。防御力クソ雑魚並の師匠にはキツいかも分かりませんが、こればっかりはどう足掻いてもなりません。僕、男の子ッスから」

「防御力クソ雑魚とは失礼な。この前アトラスに不覚を取ったのはラッキーパンチ的な一撃が入ったからだ。死ぬかと思ったけど、死ななかったしな」

「技術でカバーしているだけで、一撃もらったらアウトってことですよね……それ」

「ほぅ? 結構言うようになったじゃないか、弟子」

「いやいや、評価してるんスよ? 一撃入れば終わりってことは、誰にでもチャンスがあるってことですからね? カンナさんは最低限魔眼封じが、ザッハは龍鱗を貫通できるだけの攻撃力が、アトラスの旦那には裏技か純粋な実力が、ニーナさんには速度が、アナさんチームには状態異常耐性が、僕にはトラップ封じが必要ですが、師匠に対してだけはラッキーパンチ一発で突破できる可能性がありますからね。第五階層まで突破してボロボロになった挑戦者にとってはチャンスに賭ける価値がある弱点です。もしかしたら幸運値が高ければ突破できてしまうかもしれないという……淡い期待ですがね」

「……人のトラウマをえぐるんじゃない」

「あるのかよ! やっぱり運って大切だな!」

 などという愉快なやり取りを終え、僕は師匠にジャージを履かせることに成功した。

 達成感のある汗が頬を伝う。女性に服を着せるという行為は、毎度のことながら神経をすり減らすのだが……僕はやり遂げたのだ。

 世のチャラ(リチャード)はこんなことを平気な顔でやっているのだ。マジですごいとは思うが、人間としては最低だと心の中で見下しておく。

 まぁ……そういう意味では、今の僕もわりと最低なのだが。

「はい、そういうわけで着替えも済んだことですし、僕はそろそろ戻りますね」

「なんだ、つれないことを言うな。せっかくの機会だからな。お喋りをしよう」

「お喋り……この前『シャンバラ』で食べたお菓子は美味しかったですね」

「待てコラ。いくら女のお喋りが伝言ゲームとはいえ、そこまでふわふわした導入で食い付けると思ったら大間違いだぞ。お喋りといえば恋話だろ?」

「『アビス』の吟遊詩人、ガガルゼとイルルガが結婚したそうです」

「え……嘘。ちょっとそれは困るな。せっかくハマり始めたのに、結婚とかしちゃうと大抵妥協した歌しか歌わなくなるから……って、違う!」

「どーせ他人に語らせて自分は上から目線で説教したい恋話とかでしょ? そーゆーのはもういいです」

「そう言われても、私はスペアキーだから本当になにもないぞ。びっくりするくらいなにもないからな。それを考えれば、弟子の方はなにかあるだろうと踏んでのことだ」

「色々あり過ぎて胸が焼けるどころか焼け爛れているんですが……」

「なるほど……薄々予想はしていたが、弟子はチャラ男だったということだな?」

「遺憾の意を表する」

「言いたいことは分かる。しかし、弟子は女の扱いに慣れているような気がする……以前から散々繰り返しているかのように、手馴れているような気がする」

「はい」

「はいと申したかっ!?」

「まぁ、かれこれ師匠を含めて五人ほど女性の世話をしてきたので、慣れてますが」

「なにそれっ!? なにそれなにそれっ!? 初耳なんだけどっ!?」

「今初めて言いましたし」

「私とのことは遊びだったのっ!?」

「なんだ遊びって!? 今までもこれからもやましいことは何一つねーよっ!? ……ああ、師匠が遊びじゃない方がいいって言うのなら、お望み通りにいたしますが?」

「いや……べ、別にいいや! 弟子が怖い目をした時は、大抵本気の時だ!」

 チッ、逃げられた。相変わらず勘は鋭い。

 しかしまぁ……僕としたことが、油断をしていたらしい。胸糞悪くなるので、あまり昔のことは思い出さないようにしているが、うっかり、ぽろりと、口に出してしまった。

 あるいは、胸糞悪くならないように、過去を受け止めようとしているのか。

 目の前にいる女性に――クソ情けない過去を、聞いて欲しいのか。

「いや、でもなぁ……師匠、本質的にはお馬鹿だしなぁ……」

「おいこらさすがの私も聞き咎めたぞ。誰がお馬鹿だ」

「というか、女性は基本的にお馬鹿です」

「性別丸ごと敵に回したな! 法廷で会おう! 良い弁護士を雇ってやる!」

「でもまぁ……男だって馬鹿だし、僕は馬鹿の方が好きなんだけどさ」

「へ?」

 賢く聡明で、強く優しく包容力がある。

 そんな女性は世界のどこにもいない。古代の神様や現代の偶像を見れば明らかだ。

 けれど、僕は思う。

 キャッキャウフフと姦しく、身勝手な方が、よっぽど愛らしく、可愛らしい。


 無自覚な方が、きっと……生き物として、正しいことだとへっぼい!?


「近くに私がいるのに、遠い目をするとは実に失礼な弟子だな」

「だからって、腹にキックは駄目だと思うんスよ」

「ふふン? ずいぶんと反抗的だな?」

 機嫌が悪い師匠は、額に青筋を浮かべて、にっこりと笑った。

 ぞくりと背筋に寒気が走ると同時に、天地が逆転する。認識できないような速度で足を払われたのだと気づいたのは、仰向けに倒れ込んだ後のことだった。

 頭を打たなかったのは奇跡と言っていいが、いっそのこと意識を失っておいた方が幸せだったかもしれない。

 起き上がろうとした僕の胸を、師匠は軽く踏みつけた。

「はっはっは、私はお喋りをしようと言ったのであって、私以外の女を思い出せとは言っていないのだが……アレか、弟子はそんなに気の多い男だったのか? んん?」

「気が多いって……世話をしていただけで付き合っていたことは一度もないですし、男の子なんで1シーズンで嫁がコロコロ変わるのは、いたしかたないと思うのですよ」

「女の話はやめよう。なんかこう、面白いことを話せ」

「その前振りはやめろ! 振られた方が不幸になるだけだろ!」

「人生経験濃い目の弟子なら、面白エピソードくらい持ってるだろ。私はダンジョンに引きこもってるようなものだからマジでなんにもないんだよ」

「いや、ダンジョンに引きこもっててもなんかあるでしょ。花子さんが彼氏と連絡を取るのは一日二回、昼食後と休憩中で、その時に声をかけると滅茶苦茶慌てて面白いとか」

「性格悪過ぎるだろ!」

「いや、師匠も僕で似たようなことやるじゃないですか」

「私も性格悪いからいいんだよ」

「自分で性格悪いって言っちゃったよ! というか……取り立てて面白い話なんてありゃしませんよ。自分でも濃厚な人生だとは思いますが、笑い話にゃなりません」

 本当に笑えない。笑うためには時間が足りない。

 少しだけ……痛みを乗り越えるために、痛みを癒す時間が必要だと思う。

 誰かに話せば楽になりたいと願う反面……誰にも話したくない自分がいるのも、確かなことだから。

 師匠は目を細めて口元を緩めた。

 それは怒っている風ではなく……どこか、呆れているような表情だった。

「まったく、本当に仕方のない弟子だ。甘ったれだが……まぁ、弟子だから仕方ない。仕方がないから、私から話題を提供してやろう」

「話題?」

「ああ、数少ない話題だ。本当に希薄な人生しか歩んでいない私だが……師匠と呼ばれる資格すらない私だが、弟子のために知っていることを話してやる。心して聞け」

 目を細めた彼女の表情は……なんだか、寂しそうにも見えた。

「さて、それじゃあ歩きながら話そう。ちょうどトイレットペーパーを切らしている。買い物をしながら話そう」

「あれ……それって、つまり……」

「外出するから、着替えさせた後に腕を付けろと私は言っているんだよ、弟子」

「……わぉ」

 口元が引きつる。冷や汗が流れる。今度こそちょっとだけ泣きそうになった。

 腕を付けた後に着替えてもらえば僕がこんな苦労をする必要はないのではなかろうかと思ったが、そんなことを言えば蹴りが飛んでくる。

 ひょっこりと顔を出す性欲さんの説得にも時間がかかりそうだった。

 いえいえ、ふざけてなんていませんよ? 誘われてもいませんって。もう一度だけちょっくら目をつむっていただけませんかね? いえいえ、とんでもございません! 女が理不尽だなんて知り尽くしていらっしゃるでしょう? 心臓さんも今まさに潰される直前で踏ん張っていらっしゃるのですから、性欲(あなた)もちょっくら我慢……え? むしろごほうび? だから、その辺を割り切ってくださいと言っているのです!

 今度の彼はなかなか強硬で、簡単に引き下がってはくれなかった。



 世界というモノは、たくさんある。

 この辺は色々な理論やら次元やら概念やら、複雑に入り乱れ、私には把握できないが、少なくとも私が発生した時には十個の世界を観測できた。

 十個しか観測できていないとも言える。この辺は技術的な問題だと先代のキィは言っていたが、私にはダンジョン一つあればそれで十分過ぎる。

「僕らが知っている三つの世界の他に、七つの世界があったってことですか?」

「そうだな。七つの世界があり……それぞれの世界に七つの魔神が封印されていた」

「カンナさんみたいに強かったんですかね?」

「相性の問題だな。真っ向勝負が得意なザッハでは勝てないが、力の質をコントロールできるカンナなら十二分に勝ち目がある。私の見立てでは、その七人に間違いなく勝てると断言できるのは、ニーナかリミッターを外したお前くらいだろうさ」

「……ニーナさんって、やっぱり第三階層に置いちゃいかん人ですよね」

「まぁ、年季が違うからな」

 年季も違うし密度も違うし質も量も違う。ただ、ニーナより私の方が速いという理由だけで、私はニーナに勝てる。それだけのことだ。

 本当にそれだけのこと……強さなどに意味なんて、ない。

「弟子よ。お前は『ダンジョン』とはなんだと思う?」

「世界で一番便利な職場ですね」

「……相変わらず油断ならない男だな、本当に」

 溜息を吐きながら、私は台所用の洗剤を買い物カゴに放り込む。

 弟子曰くの『すーぱーまーけっと』を練り歩いていると、足りないものや欲しいものが次々と思い付く。『アビス』はともかく『シャンバラ』ではこうはいかない。利便性という意味では『ワールド』に勝る世界はどこにもない。

 そういう世界に住んでいたからか、この弟子は効率的だ。

 他にも似たようなものがあるのだから、これが使えなくなったらそちらを使えばいいと簡単に切り捨てる。壊れたら直さず捨てて、新しいモノを仕入れていく。

 私が……というか『ダンジョン』が衣食住を過不足なく提供できているからこそこの弟子は居着いているのであって、そうでなければ即座に切り捨てるだろう。

 職場という表現は『居づらくなったら即座に辞める』という意志の表れでもある。

 給料を支払えなくなったら、私もサクッと捨てられそうだが、この弟子は仕事場は捨てても人間関係は捨てきれない甘い部分もある。

「七人の魔神は各世界に封印されていたが、世界規模の力を使っても手に負えない者を封印する場所が『ダンジョン』だったのさ。誰が封印したのかも分からんし、いつの頃からかは知らんが、六人の魔神が封印されていた。各世界に七人、ダンジョンに六人。合計で十三人の魔神の封印を監視するための場所が『ダンジョン』というわけだ」

「その六人には、師匠も含まれているんですかね?」

「いや、含まれていない。私の前任者を含む六人だ。鍵の魔神、キィ・No1と呼ばれる彼女は、ありとあらゆるものを開閉できる力を持っていた」

「家探しが捗りますね」

「いや、そういう俗っぽい使い方をしていた記憶はないが……前任者曰く『自分はオマケで封印された』そうだ。生きとし生ける者を不幸にするために魔神の封印を解いて回っていたが、最後には全ての魔神と共に自分もまとめて封印されたのだとか」

「オマケじゃねーだろ、それ。どう考えてもその人がメインの封印だよ」

「私もそう思う」

 わりと身勝手な前任者だった。嫌いではないが、好きにはなれない程度の身勝手さだった記憶がある。私にダンジョンを丸投げしたことも含めて。

「よく覚えてはいないが、悲劇のヒロインぶるのが好きな女だった……かな」

「よく覚えていない?」

「私はスペアキーだからな。必要のない鍵はどこかにしまわれるものだ。メインがしっかりしている間は、私の出番はない。どこからどういう風に生まれて、なんでダンジョンにいることになったのか、正直なところ私にもよく分からん」

「………………」

 あ、怒ってる。

 弟子は怒る時に眉間に皺を寄せる。分かりやすいといえば、分かりやすい。その皺が消えると、怒りを通り越して『八つ裂きにしてやる』になるのだが。

 怒っている理由は……たぶん、親しい誰かがないがしろにされたからだろう。

 ようするに私のせいなので、ご機嫌取りをしておくことにした。

「弟子よ、なにか買っておきたいものはあるか?」

「生チョコとチーズと生ハムと鴨の燻製、それから濃厚さが売りのヨーグルトと……あ、コーヒー豆も買っていこう」

「相変わらず遠慮しないな、お前は!」

「で、お話の続きは?」

「どこの誰が作ったのかもよく分からない『ダンジョン』に六つの魔神が封印され、最低限の力を残して、魔力だのなんだのといったエネルギーはダンジョンに貯蓄されることになったんだが……まぁ、貯蓄にも限界が来てな。エネルギーをどうにかしないとダンジョンが爆発して各世界の半分以上を吹き飛ばした上、千年単位で汚染されるという予測が出た」

「封印しない方がよかったんじゃないですかね……」

「私もそう思う。確かにタンジョンに封印されていた六人は尋常じゃない能力を有していたが、そのうちの四人は良識ある存在だった。能力があるというだけで警戒をし過ぎた挙句に自爆する羽目になったのだから滑稽としか言い様がない。しかし、一応意味はあったんだ。思い込みが激しく、頭もお花畑だった女もいたからな。私の前任者だが」

「……僕は師匠と出会って本当に良かったと思います。その女を目の前にしていたらまず間違いなくぶん殴ってますね」

「で、前任者ともう一人の魔神が、七つの世界に封印された七の魔神を始末して、そちらの世界にエネルギーを押し付けようと画策した」

「発想が最悪だな! 魔神の二つ名に偽りなしって感じじゃねーか!」

「二人の魔神どもは自分の能力を使って『魔神殺し』を作った。しかし、メンタルがクソだったので、自分で手を汚すのを嫌がった。そこで思い付いたのは、テキトーな世界からテキトーな人間を引っ張ってきて、テキトーに魔神を始末させることだった」

「マジで最悪だな。発想がブラック企業の社長みてーだもん」

「ところが、この目論見はあっさりと破綻した」

 そう、破綻したのだ。

 フェアではないという、ただそれだけの気まぐれと。

 テキトー過ぎる『ただの人間』によって。あっさりと……崩壊した。

「封じられた魔神の中に、平等を司る魔神がいた。彼女はテキトーな人間がなにも知らずに手を汚すのを『フェアではない』と断じていたため、時間を操る魔神とこっそり手を組んで彼をループさせることにした。自分がなにをさせられているのか……それが理解できるまで、延々と時間軸を繰り返させることにしたのさ」

「………………」

「テキトーな人間は彼女達のたくらみを知った。自分が始末していた強大なボスが、世界に封じられていた魔神という名目の『可憐な少女』であることを知った。そして考えた。どうすれば……彼女達を救えるかということを」

「救えるわけねーだろ」

「ああ、そうだな。しかしその人間は諦めなかった。実力では無理なので……最終手段に打って出た」

「最終手段?」

「籠絡」

「…………は?」

「全員を口説いたのさ」

 まったく、信じられない話だ。いくらなんでも滅茶苦茶過ぎる。ハーレム系主人公だってもう少しましなことを考えるだろう。

 肩をすくめて、私は目を細めた。

「結果論で話をするなら……これは上手くいった。彼は全員を籠絡した。その間にどのようなやり取りがなされていたのかは分からない。しかし、彼は全員を口説き落とした」

「うっわ、死ねばいいのに……っていうか、それ、問題は解決してないんじゃ……」

「問題の方は世界を滅ぼすことで解決した。ダンジョンの過剰エネルギーを、魔神が封じられていた七つの世界に向けて放ったんだ。ダンジョンから過剰なエネルギーがなくなったことで、ダンジョンの機能は正常に戻ったが、当然のように七つの世界は壊れた」

「…………ナニソレ」

「まさに『ナニソレ』だ。女を十三人救うために、七つの世界を滅ぼしたんだからな。さすがにダンジョンの防衛機構が発動して、私が目覚めることになった。十四対一だったがまぁまぁ、結構良い所まで善戦はしたと思う。結局負けたがな」

「僕の師匠はマジですげぇな……で、世界を滅ぼしたそいつらはどうなったんですか? ちゃんと死にましたか? 爆死しましたか?」

「さて……私が目覚めた時には、もう誰もいなかった。仕方なく、放置された私はダンジョンに負荷がかからない程度でダンジョンの運営を始めたというわけだ」

 もちろん、真意や細かい部分は違うだろう。彼と彼女らがなにを考えて、七つの世界を滅ぼすに至ったか……それは、もう私には分からないし関係のないことだ。

 残されたのは、置いて行かれたのは、正常に機能するダンジョンと、両腕(あるもの)が最初から得られなかったスペアキーだけだった。

「と、いうわけで私の話は終わりだ。どうだ、面白い話じゃなかっただろ?」

「むしろ僕としてはその続きが気になるんですがね……ザッハとの出会いとか」

「……ああ、そうか。その辺を語ればよかったのか」

 まったくもって、その通りだ。長々と関係のない話を語ってしまったが、弟子としては今いる連中の昔話の方がよっぽど興味をそそるだろう。

 私にとっては大したことのない話でも……弟子にとってはそうではないのだから。

 まったく、本当にまったくだ。相変わらず、どんなに取り繕っても、私は粗忽者で気が利かない女だ。

「いや、結構面白かったですよ? 特に、女のために世界を滅ぼすってところが気に入りましたね。大切なもののためなら『その他大勢』なんて本当にクソなんだなって、痛感させられますよねェ」

「やっぱり話さなきゃよかったか……確実にイラついてるだろ、弟子よ」

「願望の形としちゃありですが、人に迷惑をかけるなと言いたいっすね。……その場に僕がいたら全力で叩き潰してやるのに」

「………………」

 仮定の話になるが、あの場に弟子がいたら全てが終わっていただろう。

 願いは叶わず、女は救えず、全世界が平等に汚染されていた。

 確かに失ったものは多いのかもしれない。しかし、生まれた当時の記憶が曖昧で今の世界しか知らない私にとって、なくなった七つの世界は『関係ない』のだ。

 弟子の言葉だが……大切なもののためなら、その他大勢など、取るに足らない。

 残念だがそれが事実で、弟子は覆せない事実だからこそ憤りを感じているのだろう。

 と、不意に弟子は怒りを消して、口元を引きつらせた。

「し……師匠! せっかく買い物に来たんですし、お茶でも飲んでいきましょう!」

「いきなり目が泳ぎだしたがどうした? 見ちゃいけないものでも見た……か」

 視線の先にいたのは、外出用のお洒落着姿のカンナである。幻術で角やら色々と誤魔化してはいるが、誤魔化し切れないほどにその目は荒んでいた。

 その隣にいるのは、お洒落着よりもさらに上のランクである『デート用の勝負服』を着た闇霊であり、デートが上手くいったのかテンション高くはしゃいでいる。

 弟子が逃げたくなるのも頷ける。アレは……なるべく関わり合いたくないものだ。

「と、とりあえず……コーヒーでどうでしょう? 僕が奢るんで、なるべく早くこの場から逃げ……いや、離れましょう」

「そうだな。そうするか」

「ええ、そうしましょう」

 余程慌てていたのか、焦り過ぎていたのか、弟子は不意に、無意識に、恐らくは誰かに当たり前のようにやっているように、私の手を握った。


 その時、私に衝撃走る。


 普段、腕がない私にとって『手を握られる』という行為は、あまり経験がない。

 具体的には、弟子しか経験がない。その度にこんな風に衝撃やら電流やらが走るので、個人的には少しばかり困っている。

 うむ……まぁ、まぁまぁ? 私とてそこそこ長く生きて来たので、別にときめいたりなどはしないよ? 各世界の『恋愛』に関わるコンテンツはとても好きだし、憧れたりときめいたりはするが、別に弟子にときめいたりなどはしない。当然だ。

 大体、弟子は私の好みの反対側に位置するしね。手首とかは気に入ってるし、困った顔見たさに悪さもするけど。

 これは私の『男に対する免疫』が、限りなくゼロに近いせいだろう。きっと。うん。

「あ、社長とカイネさん! おーい!」

 躊躇の時間は一瞬にも満たないはずだったが、恋愛で頭の中が少々パッパラパーになった少女は、最悪のタイミングで私と弟子を呼び止めてしまった。

 解雇してやろうか、あのメスブタ。

 本音以上の衝動的な怒りが込み上げてくるが、私がなにか言う前に、弟子は私の手を引いて二人の方に向かってしまった。

 その口元は若干引きつっているが、なんだか余裕も感じられた。

「あっ! お二人とも手を繋いで……まさかデェトですか? 逢引きですか? 実はこっそりとお付き合いをされているんですか? やっぱりなぁべしっ!?」

「テメーに絡まれると面倒だから逃げようとして捕まったんだよ!」

 闇霊の頭を一撃して、こっそりと、さりげなく私の手を離す。

 なんというか……こう、いかにも『手馴れている様』で、少しだけ腹立たしい。

「もういいから。今日は彼氏とラブホにでも行けよ。金は出すから」

「ははン? さてはデートを邪魔されて不機嫌なのですね?」

「はっはっは、これだから恋愛狂いは……貴公の携帯に封じられた彼氏とのラヴメールを全件送信されないと目が覚めないようだな?」

「ちょ……私のスマホがっ!? なんで!? いつの間にカイネさんの手にっ!?」

「パスワード初期設定とかもうね。防犯意識の欠片もないね」

「こらぁ! 私は確かに不浄の闇霊ですが、それとこれとは話が違うんです! 返せ! 私と彼を繋いだ神様を返して!」

「電話=神様か……確かにそうかもしれない。奥が深い言葉だなぁ」

 弟子は彼女の携帯電話を特にいじることもなく、あっさりと返却した。

 それから、苦笑しつつ口を開く。

「まぁ、クソ甘いトークはクソ苦いコーヒーでも飲みながら聞こうか? 実際、彼氏とは上手く行ってるの?」

「そりゃもちろん。今日は映画を見て、その帰りなのです」

「あ、これは駄目なパターンだわ」

「マジですかっ!?」

「そりゃいかんでしょ。男の子は基本エロいことがしたくて女の子と交際するんだぞ。僕は清く美しい交際は良いと思うけど、相手に合わせて多少はエロくしないと」

「た、多少……ですか? 例えばどんな?」

「映画館で延々指を絡め続けるとか、映画そっちのけでちゅーしまくるとか、そーゆーソフトな感じでもいいんだよ?」

「どこがソフトですか! 無理無理無理です! 心臓が壊れちゃいますよ!」

 これに関しては同意見である。そんなんやられたら死んでしまうに決まっている。

 しかし……本当に、手馴れている。

 さりげなく、疲れている様子のカンナから闇霊を引き離すのにあっさり成功した。

 本当に、この男はカンナには滅法甘い。

 ところで……本当にところでなのだが、そのカンナの目が『疲労』から『怒り』に変わったのを、弟子は気づいているのだろうか?

 例えば、お気に入りの猫が飼い主ではなく遊びに来た友人の方に行ってしまったら、なんとなく胸に刺さるものがある。その程度の嫉妬ではあるけども。

 小さく息を吐いて、カンナは私を見つめた。

「キィ。一つ聞いておきたいことがあります」

「弟子とは買い物に来ただけで、別になんにもないぞ?」

「いえ、あの男と貴女がどんな関係になろうが知ったことじゃありません……そんなどうでもいいことより、聞いておきたいことがあります」

「尾行はさせた。敵意はなさそうだったのでな」

 店に入った時から視線は感じていた。しかし、明らかにこちらに興味のなさそうな感じだったので、放って置いた。

 熱意はなく、冷静でもなく、寡黙で、意志も敵意もない。

 ゆっくりと振り向いて、背筋に冷や汗が流れるのを感じる。


 私達を興味なさそうに見ている女は、間違いなく危険人物だった。


 彼女は、あまりぱっとしない少女だった。

 着崩したよれよれのブレザータイプの制服。肩まで届く黒髪は寝癖ではねている。その表情には色濃い疲労と睡眠不足が見て取れる。見た目は十代前半程度の、中学生のように見える少女ではあるが、疲労のせいで魅力は三割減ほどになっていた。

「あー……どーもどーも。こんにちは」

「さっきからずっとこっちを見てるみたいだけど、あんたは何者かな?」

藁葺火難(わらぶきかなん)。中学二年生。おねーさん達から見れば小娘かな?」

「そうは見えないけどね。私の目の前にいるのは、邪神かなにかかな?」

「なんかそれ、よく言われるのよね。ちょくちょく『邪悪』と呼ばれたりするし、中二病じみた友達がいつの間にか四天王を名乗っていたりする。困ったものよね」

「………………」

 納得した。腑に落ちた。『邪悪』という表現にはそれだけの説得力があった。

 その言葉には『黒』しか感じられない。弱い者が容易く飲み込まれたくなるほどの、圧倒的な塗り潰す漆黒。

「近々、暇な時にダンジョンとやらに挑むわ。その時はどうぞよろしく」

「ああ……好きな時に挑むといい。あんたがどんな願いを持っているのかは知らないけど全五階層を突破できれば、願いは叶うよ」

「願いってほどの願いじゃないけどね。愛犬一匹蘇らせたいだけだし?」

「……そうか」

 それはまた……業が深そうな願い事だ。

 私が半ば感心、半ば呆れていると、火難は不意に真顔になった。

「で、一応聞いておきたいんだけど……アレが私の友達を二人も敗退させた男?」

「そうなるな。ダンジョンの一番手。第一階層フロアボス、カイネ=ムツだ」

「怪しいものね」

「まぁ、見た目は普通に見えるし、実力で勝負するタイプのボスではないから……」

「そうじゃないわ。見る目がない連中ばかりであなたも大変ね?」

 彼女は真っ直ぐに私を見据えて、確信を突いた。

「見れば分かるわ。アレが『ラスボス』でしょう?」

 沈黙は肯定になる。それは分かっていたが、私は口を閉ざすしかなかった。

 なるほど……確かに『四天王』だのなんだの、よく分からない連中の頭だけはある。四人もの異形に『主』と言われるだけはある。

 私は口元を緩めた。

「だったらどうする?」

「願いを叶える前に、必ず殺すわ。私はこう見えても情に厚いの。敵討くらいはしてあげないと、友達に申し訳ないもの」

「はっはっは……やれるものならやってもらおうか、小娘」

 笑いながら前を見据える。邪悪と呼ばれた少女に、真正面から立ち塞がる。

 では、戦おう。ダンジョンの主らしく。

 では、立ち向かおう。ボスと呼ばれる者らしく。


「貴様の邪悪程度、私のダンジョンが踏み潰す」

「ええ、楽しみにしていてね、おばさん。あなたの穴ぐらなんて大したことはない」


 ダンジョンの総力を持って、目の前の敵を迎え撃つ。

 邪悪なる宿敵に背を向けて私は歩き出す。

「キィ、大丈夫なんですか? あれだけ煽って突破されたら恥ずかしいでしょう?」

「別に恥ずかしくはないが……突破されたとしたら、あの小娘の実力が凄まじかったということだしな。まぁ、私が不覚を取ったら、お前の抱き枕に任せるさ」

「淫乱度をカンスト寸前まで引き上げてあの男の前に差し出してやりましょうか?」

「怒るな怒るな。ちょっとからかっただけだろう。コーヒーくらいなら奢ってやるからそれで機嫌を直せ」

「コーヒー……あ、エスプレッソがいいですね」

「ミルクと砂糖アリアリのよく練ったココアとかじゃなくていいのか?」

「私をデブキャラにしないでもらえますっ!?」

 テキトーにカンナをからかいながら、私達は弟子と合流するためにコーヒーショップに向かった。



「なんでいるのよ……」

「こっちのセリフだ」



 そのコーヒーショップで、先程啖呵を切り合った少女と気まずい再会をする羽目になるのだが。

 まぁ……それは、恥ずかしくて語れない別のお話である。





裏設定(らくがき)


・世界観(昔話)について

 この物語は、昔作ろうと思って挫折したループものRPGの続きである。

 挫折した一番の理由はもちろん『作るのが面倒になった』なのだが、作っているうちに重々しくなり過ぎたのが二番目の理由である。

 挫折したのでその物語のプロットは自分の頭とPCのメモにしか書かれていない。読者的には心底どうでもいい、登場人物的にも『へぇ、大昔にそんなことがあったんだ。わりとどうでもいいね』的な部分である。

 以下の設定も鼻をほじりながら、話半分以下で聞き流す程度のもんである。

 概要は本編で語られた通り。

 七つの世界に七つの魔神が封印され、『ダンジョン』には世界では手に負えない六つの魔神が封印されていた。

 主人公の目的は七つの世界の魔神をぶっ殺し、七つの世界を救うことである。

 ループものではあるが、世界の真相を知る度に難易度が跳ね上がる仕組みにするつもりだった。最初は楽をさせて後味の悪いエンディングを迎えさせ、自分が望むエンディングに行きたい場合は楽をしてはいけないという感じのゲーム。例を挙げると、主人公には一番最初にボスを一撃で倒せる武器が支給されるのだが、その武器を使ってしまうと後味の悪いエンディングにしか辿り着けないとかそんな感じ。


 好きなエンディングを見たら満足すればいいじゃんというコンセプト。

 ただし、多くのモノを求めるなら同じくらいのモノを捨てろというゲーム。


 そんなクソゲーの続きであるこの物語は『見捨てられた者』で構築されている。


・人物紹介

 今回はなし。次回にまとめて。

 其れは、渇望の総意である。

 お前だけをそこには行かせない。お前だけを幸せになどしない。

 沈め。私達のいる場所まで。

 堕ちろ。私達の心の奥底まで。

 ここは、心の投棄所。

 ここは、叶わなかった夢の奥底。

 ここは、幻想が生み続けた悲劇の溜まり場。

 お前達が捨て続けたものが、今ここに集結したのだ。


 次回、はっぴぃ★だんじょん第9話『サブヒロイン戦鬼』


 其れは――全軍(あたしたち)の総意である。

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