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第5話:ぼくらは負けたので映画を見に行くし飯も食う

また飯を食う話だよ(失笑)

描いた時に腹が減っていたとか、そういうことではありません。

ただ……その……描き終わった時に『あと5キロバイトくらい描ける

やろ』と思ったら文字数が膨らんだだけで。

 みんな、ころせー。





 唐突だが、ダンジョンには『入場人数制限』というものが一切ない。

 単独で挑もうが、複数人で挑もうが……五百人で挑もうが、問題はない。

 このダンジョンに挑むような輩は、大抵自分達ではどうにもならなくなったろくでなしが多いのだが、時折気まぐれのように軍勢を差し向けてくる人もいる。

 まぁ、その理由は『近いから』なのだが。

 ダンジョンの入り口がクソド田舎で宿が一軒しかないような『ワールド』と違い、『シャンバラ』はクソド田舎の古城の地下なので、軍勢で攻め入ったりできるのだ。

 ちなみに『アビス』の方は迷いの森やら火の河やら竜の住む山を抜けた先にある理想郷の先にある。他の世界と比べると難易度が段違いな上に、数々の鞭を越えた先にある飴も無視してやって来なきゃいけないので『アビス』からの挑戦者は大抵強い。

「ふはははは! 進め、者ども! ワシの三十五年の集大成を見せてくれるわ!」

 ダンジョンに挑むのは城主の……結構、お年を召された王様である。

 話を聞く限りでは、アホみたいに有能だったのだが周囲に疎まれて王都から田舎に左遷され、田舎のお姫様に一目惚れされ半強制的に結婚し、その後の様々な騒乱を乗り切ったという……いわゆる『地元の英雄』である。

 結構なじいちゃんではあるものの、野心は未だ捨てきれず、王都に戻りたいそうな。

 個人的には奥さんも後継者も娘さんもいるし、領民には慕われ、像が立つくらいの凄まじい功績を残しまくっており、本人は無自覚だが王都の貴族全てに一目置かれているので復権は絶対に無理なんじゃないかなぁとは思うけど、願うだけならなんだってタダだ。

 本人もそれを自覚しているからこそ、ダンジョンに挑むのだろう。

 ちなみに挑戦回数は三十五回。一年に一度、誕生日に挑むそうな。

「……こうなっちゃうと第一階層って本当に無力なんだよね」

 罠の扱いに長けた方々が複数人いると、もうお手上げです。本気になった時以外は能動的なトラップは使わない方針だが、人数が多過ぎるのであってもなくても同じだろう。

 そんなわけで、今回はアナさんの居住区に引きこもってお茶をご馳走している。

 ご馳走されているのではない……ご馳走しているのだ。

「カイネ様の国のお茶は美味しいですね」

「まぁ、凝り性の人が多い国ですからねぇ」

 そんなことを言いながら、テキトーに煎れたほうじ茶といもきんつばに舌鼓を打つ。

 ほうじ茶の香ばしい香りが鼻をくすぐる。熱いお茶と一緒に食べるいもきんつばは舌がとろけるように甘く、それでいてほっくりとしていてとても美味しい。

 ただ、自作したものより物産展で買ったものの方が、残念ながら美味しい。

 そりゃ、いもきんつば一本で何年も客相手に商売しているような一品に味で勝てるわけもないのだが、ちょっとだけ悔しいような気もする。

 ほうじ茶を飲みながら、アナさんは苦笑した。

「私がいた国のお茶は……それほど美味しくはありませんでした」

「どんなお茶だったの?」

「国に自生する樹木の若葉を焙煎したものでした。お茶や嗜好品のようなものは贅沢品とされ、国で規制をかけていた……そうです」

「ほほぅ」

 さてさて、僕は空気が読める男ではないが、ここは空気を読んでおこう。

 アナさんは恐らく、自分の国の事情に明るいわけではない。

 あまり察したくはないが、一般市民が真っ先に反発する『規制』のような情報に疎い立場にいて、後から従者に聞いて状況を知った。そう考えるのが妥当だろう。

 そして……アナさんはそんな国の状況を知らず、のほほんと暮らしていたことを恥じている。だからこそ歯切れの悪い口調になってしまっているのだ。

 とはいえ、それはアナさんが悪いわけじゃない。無知こそ邪悪であると断ずることは僕にはできないし、人間には『自分じゃどうにもできない状況』というものが存在する。

 特に『他人に決められてしまった自分の立ち位置』とやらは、変えられない。

 間の悪さというやつだけは、本当にどうしようもないのである。

「ちなみに、どんな味だった?」

「苦くて渋くて酸っぱくてほんのり甘くて粉っぽいです」

「アナさん。素直に不味いって言ってもいいんだよ?」

「ま、不味くはないんですよ? ただ、お水の方がいいなって常々思っていただけで」

 人はそれを不味いと言うのだが、アナさんはどうしても言えなかったようだ。

 人の手が入っている飲み物だから仕方ないのかもしれないが……自分の心に素直になるっていうのは、わりと大切なことだと思うのだ。

 僕が言えたことじゃないかもしれないけど。

 アナさんの過去に関してはデリケートな話になるので、話題を変えることにした。

「そういえば、第二階層は今どうしてるの?」

「いつものことなのですが、あの王様の軍勢には私とアキレスでは太刀打ちできないので今はプルートとロックに頼んで、少しでも撃退に貢献できるようにと……」

「へぇ……アナさんにしちゃ積極的だね」

「正面から挑んで勝てるなら、それが一番良いのですが、幾度となく挑まれてその度負けてしまっているので」

「少しでも撃退って、具体的にはどんなことをしてるの?」

「ロックの音波で軍の方々を狂乱させて、熱したプルートに天井から雨あられのように降り注いでもらっています」

「………………」

 えっぐゥ。

 言葉にはしなかったものの、僕は思わず口元を引きつらせた。

 いや、僕も本気になった時に即死テレポとか使っているから人のことは言えないけど、それでも素直にエグいと思う。

 想像してみよう。

 慎重に侵攻していたら、いきなり味方が発狂してこちらに襲いかかってくる。足を止めてなんとか無力化した頃に、グツグツに煮え立った金属が雨のように降ってくるのだ。

 地獄絵図なんてもんじゃない。

 やり様によっては、第二階層で全滅させられるんじゃないかとすら思う。

 ただ、アナさんはアナさんなりに色々考えていて、他のボス(僕除く)に比べるといまいちボスっぽくない自分をどうにかしようとしている。

 発想のエグさはともかく、そういう所は僕よりよっぽどボスっぽい。

「五百人かぁ……そんな人数に攻められるとは思ってなかったからなぁ」

「カイネ様なら大丈夫ですよ。今回は駄目でも、次は大丈夫です」

「んー……そうだね。次は頑張ろう。でも、今日は大敗しちゃってものすごく暇になっちゃってるから、お昼から映画でも見に行こうか?」

「え……あ、はい! 是非!」

 ……おっとぉ、予想外の元気な良い即答だ。

 やべーよ。なんで良い返事が返ってくるんだ。おかしいだろ。映画観賞って趣味は女性の間でも『その趣味はねーよ』って感じの趣味だってネットに載ってたじゃねーか。

 いや、すみません。僕の軽はずみな発言が全ての原因なのは心得ております。

 カンナさんあたりならなにも調べずに行って、行き当たりばったりでテキトーに決めても散々罵倒されるだけで済むけど、アナさんに変な映画を見せるわけにもいかないし、きっちり調べて行かなきゃ駄目か。しかし映画だけというのも味気ないし、せめて飯を食ってから映画見てちょっと買い物するくらいはした方がいいんだろうか……って、それはもうデートなのではなかろーか?

 ……深く考えるのは心の健康に良くないのでやめよう。そして、男としては口に出してしまった言葉の責任は取らねばならない。

「んじゃ、ダンジョンの様子を見つつ、師匠から許可が取れたら映画を見に行こう。服装は普段の修道服じゃなくて、『ワールド』向けの衣服でよろしく」

「はい!」

 アナさんは目をキラキラさせて、快活に返事をした。とても嬉しそうだ。

 ハハハ……いや、こういうのを見ると『僕と出かけるのが嬉しくて仕方がない』みたいに見えてしまうので色々と勘違いしそうで困る。

 勘違いしないでよね! と、新旧様々なツンデレ達も言っている。

 決して、勘違いしてはいけないのだ。

 恋愛というモノには『勘違い』が必要なのだから。

「大きな画面で映画を見るのは初めてなので、楽しみです! 私、主人公がサメと戦う映画が大好きで……」

 B級映画の微妙な線を突く、奇妙な好みではあったが、嬉しそうに話すアナさんを見ていると心が癒される。

 完全敗北してささくれ立った心が癒されている。

 そんなわけで、今回大負けに負けた僕達は、腹いせに映画を見ることになった。



 巨人とその妻の追撃を逃れ、王と精鋭五十人は、第四階層に到達した。

 既に四百五十人を失い、ダンジョン踏破は絶望的になりつつある。兵の誰もがそのことを察していたが、誰もが口元に薄い笑みを浮かべながらダンジョンを進んでいた。

 ただ一人……王だけはダンジョンの踏破を諦めていない。

 それだけを支えに、既に大半を失った軍勢はダンジョンを進んでいる。

「はっはっは! 我らも捨てたものではない! 三十五年かかったが、我らは第四階層に到達したのだ! 歴史に名を残す英雄でもここの地を踏んだことはあるまいよ!」

 全身傷だらけになりながら、それでも王は快活に笑っていた。

 王都では功名ばかりが先行しているが、この王がかの地に飛ばされたのは、己の無知によるものである。はっきり言えば無礼が行き過ぎて左遷されたのだ。

 そして、左遷された先で利用され尽くされた。

 かの地を治めていたのは、とても頭の良い姫だった。頭の悪い父親とぼんやりした母親に囲まれた彼女は、自分の領地を囲む脅威に対抗するために権謀策術を身に付け、ありとあらゆる手段を尽くして領地を守っていた。

 彼女の父親は後に『名君ではあったが手段は残虐非道』と評されることとなるが、それは全て彼女がやったことである。

 そんな中で、後に王となる若者はやって来た。馬鹿丸出しでやって来た。

『王都は良い所だぞ。なにせ貴女のように胸の薄い女が少ないからな!』

 初見の印象は最悪だった。その場で持っていた杖を尻に叩きつける程度には、最悪だったのだろう。

 しかし、この青年。無礼でよく笑う、活動的な馬鹿だった。

 書類仕事がつまらんという理由を使っては定期的にサボり、市政を見回っては女を口説き、騎士団の若い連中を誘っては勝手にモンスター退治や遠乗りに出かけてしまう。

 王都から左遷されるのも納得の馬鹿であった。

 だが……これが『脅威』に対しては有効に働いた。

 彼は馬鹿だが男であった。馬鹿な男は愛される。騎士団の士気は彼が来たことによって高まり、暇潰しと称して定期的に行われたモンスター退治によって練度も高い。姫が知らないような裏道や地形も把握しており、物価の上下や商人の質といった市政の細々とした部分も把握していた。

 彼から得た情報により、姫の国は救われた。幾度となく脅威から守られた。

 そして、功績が大きくなり過ぎたために、英雄として祭り上げられ、姫と婚姻を結ぶこととなった。二人の子供に恵まれ、なんだかんだと……まぁ、幸せなのだろう。

 しかし、王女となった姫は、それを少しばかり後悔している。

 書類仕事に謀殺されるようになった彼は、ほんの少しばかり表情が暗い。

 だからこそ……一年に一度の、この『わがまま』だけは見逃されている。

「見よ! あと一つ、あと一つで全てが思いのままだぞ! 女でも領地でも地位でも好きなように願うが良い!」

「王、娘さんを俺にください!」

「死んでもやるかぁ! テメー俺と同い年だろうが! 王の地位なら好き放題くれてやるけどさぁ、奥さんと娘は俺のもんだからね!?」

「娘さんは王のものではないな。俺の息子のものだ」

「確かに俺のもんじゃないけど嫁に行くまでは俺のもんみたいなもんだからな! テメーの息子には絶対にやらん!」

「あ、王の持ってる黒い馬でいいっす。あのでかいの」

「やらねーよ! 王都で買った名馬だぞ! っていうかお前ら、なんでいちいち俺からたかるんだよっ!? 願い事とか色々あるだろうが!」

「妻が少しだけ俺に優しくなってくれれば……他には特に」

「生々し過ぎるわ!」

「王女の母方の娘さんと見合いがしたいのですが……」

「む、難しいのではないかな? いや、ワシも結構努力はしてるのよ? でもね、なんていうかこう……あちらの娘さんは気難しい子が多くてだな?」

「じゃあ、王の娘でいいよ」

「やらねーっつってんだろうが! 聞けよ人の話! 妥協したみたいな感じでウチの娘を選ぶのはやめてくんない!? ただでさえ奥さんに似てモテて困ってんのにさぁ!」

「王の奥さんがモテたことは過去一度もないわよ~。あの子性格悪いもん」

「お、戦争か? ここで内紛か? 受けて立つぞコラ」

「王。そろそろその辺で……敵の反応です」

「うむ」

 あっという間に馬鹿から軍勢の統率者の顔に戻った王は、前方を見据える。

 第四階層は他の階層と趣が違った。他の階層は『階層』そのものへの損傷が少ないのだが、第四階層には様々な傷跡が刻まれている。

 壁を抉る爪跡。溶けて固まったであろう抉れた地面。壁に張り付いた人の影のような形の模様。四階層に到達してから、そのような惨状の一本道がしばらく続いている。

 長い一本道を抜けた先には、大きな空間が広がっていた。


「我はザッハーク。高貴かつ正当なる黒龍じゃ」


 ボロボロの遺跡。朽ち果てた廃墟。その中心に彼女はいた。

 鋭い牙と大きな爪。全身を覆う黒い鱗。尻から生えた尻尾。背中の翼。お伽噺よりも体長は小さくはあるが、それでも先の巨人より大きい。

 精兵たちに危機感が走る。これは挑んではいけない存在だと警鐘が鳴る。

 生命の危機に瀕しているのだと、全員が悟り動きが止まる……その前に、王の声が響き渡った。

「陣形整えぃ! 対竜兵装と魔法兵は前へ、竜の吐息に備えよ!」

『応!』

 兵の硬直が解け、訓練と同じように、これまでと同じように自然に体が動く。

 王は馬鹿である。しかし、馬鹿であるからこそ真っ先に恐怖を克服し、誰よりも先んじて行動をし続けてきた。

「全軍突撃! 龍を討ち取った者には望む物を与えよう!」

「娘さんを僕に下さい!」

「却下じゃあ!」

 その結果が兵の信頼であり国の繁栄である。行動で彼は人の心を動かしてきた。

 勝てるわけがない。そんなことは分かり切っている。

 しかし、勝てるわけがないものに挑むなんてことは、兵たちは何回も繰り返してきた。これまでに死んだ者たちも、誰一人怯むことなく戦い続けてきた。

 これまでも……これからもそうするだろう。

 黒龍は目を細める。

「うむうむ。さすがに士気が高い。さすがはこの第四階層に辿り着いた猛者じゃ。そうではくては困る。あの男に自慢できなくなってしまうからのぅ」

 こくこくと頷いてから、黒龍は口元を歪めた。


「では、死ぬがよい」


 黒龍の宣言から数秒後、一息のブレスで王と騎士団は壊滅した。

 協調も結束も絆も……まるで全てが無意味であるかのように、絶対者は侵入者をあっさりと廃滅させた。



「はぁーっはっはっはァ! そういうわけで、我が吐息によって敵の軍勢は壊滅! 我を褒め称え、称賛するが良いぞ、カイ……じゃなくて、下等生物よ!」

「はい、千円。これで好きな物食っていいから」

「……そういうのじゃなくて」

「ごめんね! やり過ぎたね! 敗北者のひがみだから笑い飛ばしてくれると思ったんだよ!」

「な……なぁんじゃ、びっくりさせよって! 敗者のひがみなら事前にちゃんと言っておくべきじゃろう! 本当にお前はどうしようもないのぅ! はっはっは!」

 どうしようもなくてもなんでもいいから、唐突な涙目はやめろ。頼むから。

 千円はきっちり回収し、財布の中に収めて、僕は息を吐いてザッハを見つめた。

「まぁ……そうだな。財布事情は少々厳しいけど、昼飯奢るくらいならいいさ」

「肉じゃな」

「私はおそばが良いと思います」

 間髪いれずに発言したのは、アナさんだった。

 さてさて、ここで少々込み入った状況を説明しよう。状況はとても……とてもとても切迫している。僕は今にも泣いてしまいそうなくらいに追いつめられている。

 僕らは今、『ワールド』の大型デパートに来ている。

 映画館はもちろん多数の店舗が並んでいる。お洒落な店が並びフードコートもあるが物価も高く、休日は滅茶苦茶混む。平日でもそこそこ混んでいる。

 まぁ、問題なのは店舗ではない。

 問題なのはこの……空気。居づらいどころではなく、今すぐこの場から逃げたくなるような剣呑な雰囲気だ。

「私はおそばが良いと思います」

 アナさんには珍しく……同じ言葉を二回繰り返し、自分の意見を強調した。

 では、状況を説明しよう。


 アナさんはザッハのことが大ッ嫌いなのである。


 目からハイライトが消えている。口元は笑っているが目が笑っていない。

 もちろん口では否定するが、態度では否定できていない。いつもは控え目で他人に合わせようとするのが常なのだがザッハが相手だと自分の意見を主張する。

「肉じゃろ」

「私はおそばが良いと思います」

 ザッハとアナさん、互いの額に青筋が浮かぶ。

 人間なら軋轢を生まないようにお互いに避けるのが常套手段なのだが、この二人はむしろ積極的にぶつかる。僕とアトラスの旦那が来るまでは第一階層と第二階層だったらしいのだが、お互いに譲らず掴み合いの喧嘩になったので一階層離したらしい。

『アナスタシアが素直になれる、数少ない相手かもしれんがな』

 師匠はそんな風に言っていたが、今ここにいる僕は胃が痛てーよチクショウ。

「あー……うん……なんていうかのぅ? 軽々突破された階層を我がフォローしてやった形になってるんじゃから、ここは我に譲るのが普通じゃろうと思うぞ?」

「うちのプルートが三百人倒したから楽ができたのでしょう? 従者の功績は私の功績でもありますので、ここは私に譲っていただくのが普通なのではないでしょうか?」

 恐ろしい会話である。お互いに己の実績を譲ろうとしない。完全に泥沼だ。

 この場でできることはなにもない。僕はただ座して死を待つのみである。

「……のぅ? 下等生物よ。お前も肉が良いじゃろ?」

「おそばがよろしいかと思いますが、カイネ様はどう思いますか?」

「よし、パスタとピザにしよう」

『ッ!?』

 全く予想外の返答だったのか、二人は息を呑んだ。

 さすがに、喧嘩する女性の間に割って入ってはいられないし、どちらかの肩を持つのは論外である。普段ならテキトーに気を配るのだが、僕にだって譲れないことはある。

 飯選びを勢力争いに使うんじゃねぇ。

 結局、二人から反論は出なかったので財布に優しくないが既製品よりはずっと美味しいパスタの店に入店することになった。

 ザッハはマルゲリータピザとチキンフライ。僕はカルボナーラ、アナさんはほうれん草のクリームパスタとミネストローネを注文した。

 僕だけ品数が少ないのは、この時点で僕の胃はかなり限界で水くらいしか喉を通らないほど緊張していたからだ。しかし、僕の事情にはお構いなしに料理は運ばれてくる。

 サクサクに揚がったチキンフライを齧り、ザッハはにこにこと笑った。

「うむうむ……なんじゃ、下等生物の餌の中ではそこそこ美味いではないか!」

「そこそこって言ってるわりには滅茶苦茶飯が進んでるじゃねーか、黒龍様よ」

「もぐふぐんぐん!」

「ちゃんと飲み込んでから喋ろうな」

「んぐっ……ぷはっ。下等生物よ、口元を拭うがよい」

「はいは……ッ!?」

 返事をしかけて、尋常ならざる敵意を感じた。

 視線だけで隣の席を見ると、アナさんは薄く笑っていた。もちろんその笑顔は『抑えきれなくなった敵意が表面化したもの』であり、決して笑顔ではない。

 ザッハをかまったから怒ったのか……あるいは、もしかしたらとは思うが、アナさんも口元を拭って欲しかったのかもしれない。

 心は広いし寛容なのだが、譲れない部分ではわりと子供っぽい人なのだ。

 と、アナさんは不意に敵意を消して小皿を取り、自分のパスタを小皿に盛りつけた。

「カイネ様。こちらのパスタも美味しいので、ご賞味ください」

「ありがとう。せっかくだし、少しずつ分けて食べようか」

 アナさんの真似をして、自分のぶんのパスタを小皿に寄り分け、アナさんに手渡す。

「ありがとうございます」

「あんまり詳しくは知らないけど、ここのパスタは美味しいんだよね。生パスタとかなんとか……結構高いんだけど、やっぱり美味しいから食べたくなるね」

「はい。私もこの店のパスタは大好きです。こちらのスープ……えっと『みねすとろーね』も、とても美味しいんですよ」

「へぇ、そうなんだ。スープは飲んだことなかったから知らなかったな」

「では、一口どうぞ」

 一口どうぞとさらっと言われた後に待っていたのは『はい、あーん♪』であった。手皿はマナーに反するとか、そんなチャチなことを言っていられる状態ではない。

「…………い、いただきマス」

 冷や汗が流れる。胃が悲鳴を上げる。こういう状況で鼻の下を伸ばしてデレデレできるようなチャラ男に今だけなりたい。いや、今と言わず、ずっとなりたい。

 ミネストローネはトマトを使った野菜のスープである。決まったレシピはない。イタリア地方の味噌汁みたいなもんで、各家庭によって味が違うのが特徴だ。

 そんな個性的なスープの味が全くしない。それほどに僕は緊張していた。

「お、美味しいね」

「ですね! 本当に『ワールド』のご飯は美味しいです。おそばも好きですけど、パスタもこの前食べたラーメンも大好きです」

「なんか麺類ばっかりになっちゃってるね。今度は餃子でも作って……ッ!?」

 横から灼熱じみた視線を感じる。

 目だけで横を見ると、ザッハの眉間に滅茶苦茶皺が寄っていた。不機嫌そうである。

 なんやねん。そんな女より私を構えよ。表情が如実にそう語っていた。

 え? うん……なに? なんなの、この状況? 僕はちょっとむしゃくしゃしたから映画を見に来ただけなのにどうしてこんなことに?

 なんて、とぼけてみても無駄だろう。理不尽なんてそんなもんだ。

 理不尽の前ではなにもかもが無意味だ。僕は悪くヌェと叫んでも僕が悪いことになる。ならば理不尽を甘んじて受け入れよう。流されるままに流されよう。

 何事も諦めが肝心である。

 とりあえず、今後の予定を考えるために映画館の前でもらった今日の上映予定とパンフレットを広げてみる。見たい映画は何本かあるが、ここはザッハとアナさんに合わせることにしよう。

「二人とも、見たい映画ある?」

「んー……今回は下等生物に任せよう。我が喜びそうな映画を選ぶがよい!」

「ザッハは毎回そう言って僕に選ばせるじゃねーか。アナさんはどう?」

「えっと、私はこれなんかが良いと思いますが……」

「タイトルの時点で辛気臭い雰囲気がするのぅ。これ、多分アレじゃろ。(つがい)の雄か雌のどっちかが死ぬやつじゃろ。そーゆーのは却下じゃ」

「ストーリーも見ずに辛気臭いとはなんですか!」

「というか……前々から思っておったが、なんかアナスタシアは辛気臭い」

「ダンジョンに戻りましょう。今回だけは本当に容赦勘弁なりません!」

「お、やるか? 従者に頼らんとなんにもできないような聖母様風情が、ダンジョンで最も強いとされる我に刃向かうつもりか?」

「ハッ……ダンジョン内だと三番目くらいなんですよねェ」

「鼻で笑ったな! 三番目じゃないもん! 最強じゃもん!」

「カイネ様。このようなお馬鹿は放っておいて、二人で映画を見ましょう。私はこの映画が見たいです」

「そ、それじゃあ我もこれが見たい! なんか世界とか救ってそうじゃし!」

「じゃあ、両方見ようか。僕はこのホラー映画が見たいから、今日は三本だね」

『えっ!?』

 二人に意外な顔をされた。

 見たい映画が二本あるのなら、両方とも見てしまえばいい。財布的時間的都合で普段なら選ばない選択肢を僕は選んでいた。

「ま、待て、カイネ。三本はいくらなんでも多過ぎるのではないか?」

「おいおい、ザッハ。焦り過ぎて僕のこと名前で呼んじゃってるぞ。大丈夫大丈夫。三本くらい見ても尋常じゃなく疲れる程度だし、自称最強のザッハなら余裕だろ」

「い……いや、我じゃなくてアナスタシアがな?」

「わ、私は大丈夫ですよ? 当然です。余裕ですとも」

「……そ、そうか。ふ……ふはは……当然、我も余裕に決まっておるわ」

 アナさんが珍しく見栄を張り、ザッハはその挑発に乗った。爆釣りだった。

 見栄を張り、ブレーキをせずに事故を起こす。

 師匠なら自分の見たい映画を妥協しただろうし、カンナさんなら映画そのものを諦めてウインドウショッピングに移行しただろうが、煽り耐性のない二人には無理だった。

 さて、それじゃあ腹をくくろう。

 深夜までには終わるはずだ。



「貴様はアホの総決算みたいな男じゃな……時間くらいちゃんと見ておかんか」

「はっはっは、面目ない。それよりさっきのホラー映画の話しようぜ」

「嫌じゃボケェ!」

 映画が終わって、僕らは駅前のベンチに腰掛けて途方に暮れていた。

 思い切り終電を逃してしまったので、師匠に連絡を入れて車に準ずる乗り物を手配してもらっている。ニーナさんに借りを作ることになるけど、それは仕方がない。

 アナさんは僕にもたれかかって完全に寝入っている。元々、夜は早く寝て朝早く起きる人なので、映画を観終わるまで起きていられたのが不思議なくらいだ。

 コンビニで買ったおにぎりを頬張って、ザッハは唇を尖らせた。

「大体じゃな……貴様、アナスタシアに対して妙に甘くないか?」

「そりゃ甘いよ。可愛いもん」

「我の方が可愛いじゃろ!」

「足を舐めさせてくれないこまっしゃくれた小娘って感じだし……」

「だから、その『足を舐める』という行為から離れんか。大体、アナスタシアに聞かれて本気にされたどうするんじゃ。足を差し出されて困るのはお前じゃぞ?」

「……ご忠告、痛み入ります」

「こういう時だけ敬語使うのはやめんか!」

 アナさんが足を舐めさせてくれるわけがないのだが、生き物というモノはどこでどう性癖が転ぶか分からない。傍観者でいたらいつの間にか主人公に祭り上げられていたり、メインヒロインになっていたり、そういうことだってあり得るのだ。

 アナさん、自覚はないけどサディストっぽいしな。

 僕がそんなことを思いながら欠伸をしていると、ザッハは不意に目を細めた。

「ふん……今日はつまらなかったな」

「そうだね。アナさんとザッハの映画は当たりだったけど、僕の映画は外れだった。大体ホラーもののくせに最後のオチが」

「やめんか。映画の話じゃないし、貴様が映画の話をすると延々話し続けるじゃろ」

「じゃあ、アナさんのこと?」

「なぜ、あやつは我に食ってかかるのじゃ? 今日は特に酷い。今までで最悪じゃ」

「ザッハが強いからだろうね」

「む?」

「弱いからひがむ。自分ができないことをやってしまうから憎む。ザッハにとっては鬱陶しいだけかもしれないけど、僕みてーな弱者には必要なことだからねぇ」

 自嘲気味に語る。僕にはなんとなくアナさんの気持ちが分かる。

 ダンジョンボスらしく君臨して、炎の吐息で軍勢を壊滅させる。

 そんなことは、僕やアナさんには不可能だ。小賢しく知恵を弄して誰かに頼って、それでも絶対にザッハには届かない。

 僕は諦めちゃってるけど、アナさんは悔しいのだろう。

 自覚しているかしていないか、それは僕には分からないけども。

 アナさんがザッハを嫌いな理由……多分それは、人間らしい嫉妬なのだと思う。

「まぁ、今日は僕の立ち回り方も悪かったな。ザッハとは別の機会に出かけるって手もあったんだけど……ザッハはかなり押しが強いから妥協しちゃったんだよな」

「さりげなく我のせいにしてるじゃろ?」

「そりゃ、多少はな。僕は誰かと出かける時はその人の要望を最大限くみ取りたいと思っている。対立して仲の悪い相手同士が相手じゃ、そーゆーこともままならないんでね」

「………………」

 ザッハはなにも言わず、目を細めて僕を見つめた。

 映画を見続けて疲れた表情ではあったが、不意に、なぜか口元を綻ばせた。

「なぁ、下等生物。貴様に一応聞いておくが……昼間、本当はなにが食いたかった?」

「……焼き肉」

「では、次からはそのように言うがよい。我が気を使うことなど稀なことではあるし、アナスタシアも貴様の要望なら否とは言うまいよ」

「………………」

「負けて悔しいのは普通のことじゃ。アナスタシアだけではない。当然、我もそうじゃし、お前もそうじゃろう? カイネ」

 心を見透かされて、くすぶっていたものを見られても、恥ずかしくはなかった。

 この黒龍は怠惰なくせに、闘争に対しては生真面目だ。とても真面目だ。人間関係もそれくらい真面目にしろよと言いたくなるくらいに……真剣だ。

 だからそう、今回のこのお出かけは。

 ザッハなりに、僕のことを慮ってくれた、気分転換だったのだろう。

 ザッハはごろんと寝転がり僕の膝に頭を乗せて、にやりと意地悪っぽく笑った。

「今日はつまらんかったが、下等生物が悔しがるという、とてもとても珍しいものが見れたし、良しとしてやろう。次はそばを食べるぞ。テンプラが乗ってるやつじゃ」

「……了解」

「時間まで寝る。テンプラそば以外の代案があったら、考えてやってもよいぞ? 今はそこそこ機嫌が良いからのぅ」

「今のところは肉だな。そばも捨て難いけど」

「考えておこう」

 口元を緩めて、ザッハは目を閉じた。

 黒龍の睡眠は速やかだった。一分もせずにすぅすぅと規則正しい寝息を立て始める。

 肩をアナさんに貸し、膝をザッハに貸し、僕はベンチにもたれかかって息を吐く。

「やっぱり、悔しいよな」

 諦めてはいる。妥協してもいる。笑って誤魔化せる。それは間違いない。

 けれど――胸の奥に、燻ぶるものがあるのだ。

 勝ちたい。負けたくない。死なないとはいえ命懸けでやっていることだ。成り行きとはいえ、命を賭けていることだからこそ、必死になる。

 けれど、僕もアナさんも負けた。勝ったのはザッハだけだ。それもまた悔しい。

 悔しさを抱えて、僕は息を大きく吸って、大きく吐いた。

 今までもこれからも、僕なりに頑張って来た。こうやって意を決しても歩みは決して早まることはないし、三歩進んだように見せて下がるだけかもしれない。

 それでも――――。


「……明日からちょっとだけ、頑張るか」


 惰性でも、嫌々でも、言い訳しながらでもいい。気休めでもなんでもいい。すぐにくじけてしまうかもしれない。屈してしまうかもしれない。僕はずっと誰よりも頑張れるほど強い人間ではないことは、僕が一番知っている。

 それでもいいから、ちょっとだけでいいから、今日より明日のために。

 頑張ることにした。





●登場人物紹介&裏設定(らくがき)


・カイネ=ムツ

 苦労性ではないダンジョン管理人。

 優勢な勢力を行ったり来たりするコウモリ野郎ではなく、対立する二つの勢力を見ると『両方とも壊滅させたくなる』タイプである。

 前回を含め彼がフロアボスをやっていられる理由は、この辺にある。

 このダンジョンのボスに必要な素養は『強さ』ではない。

 そんなものはエンドコンテンツ以外の、数多あるダンジョンでやっている。エンドコンテンツに必要なものは、常人が裸足で逃げ出すほどの残虐性であり、一部のマゾヒストなプレイヤーが脳汁出してガンガン挑めるような容赦のなさである。


・アナスタシア

 第二階層のボス。一時の蘇生を使用し数の暴力で圧倒する昨今に流行しているボス。

 ギャップ萌えという観点から見れば、彼女は今回かなりの割を食っている。

 いわゆる『ギャップ萌えのマイナス面』である。アナさんはメインヒロインではない(というかこの物語のメインヒロインは多分カイネだ)が、メインヒロイン級の人が他キャラに嫉妬とかするとこんな感じになる。

 クソ媚びたギャルゲーに出てきそうな女の子が子供を蹴り飛ばしたら誰でも引くだろうが、どんな真面目な人間だってそういうことになる可能性はいくらでもある。子供を蹴り飛ばすはやり過ぎだが『良い人が悪いことをする』となぜか普段より評価が下がる。

 人間の評価など、本当にテキトーなものである。

 あるいは『高い期待が裏切られたから』なのかもしれない。

 なお、彼女がザッハークを嫌いな理由は第一階層のボスの推察通り。彼の推察には肝心な部分が抜けているのだが、おおむね、大部分では合っている。

 自分にできないことを、平気な顔でやってしまうから……である。

 第一階層のボスはそんな彼女を見て『可愛らしい』と評するが、彼の女を見る目は節穴以上に真っ暗で趣味が悪い。決して真に受けてはいけない。

 なお、今回の対軍勢戦のMVP。第二階層での死亡者は五百人中の三百人である。


・ザッハーク

 第四階層のボス。覇者の世界『アビス』出身の黒龍。

 状況に応じて唐突にイケメンになる。ジャイアンかお前は。

 今回はザッハ回なので、アナさんが割を食った。ザッハが割を食うことになるのはアナさんがもう少し成長しないと駄目だと思うけども。

 ワールドでばかり飯を食っているのでファンタジー要素0だが、そのうち他の二世界についても出して行く予定。予定は未定。現実世界の汎用性は異常。

 だから応募要項に『現実を舞台にしたのは不可』とか書かれる。酷い話だ。

 偏見だけど、ファンタジーの世界は飯の味が薄そう。

 あと、下水設備とかしっかりしていないと都会とか普通に臭そう。

 最近じゃ、異世界に行って平気の平左で生活している主人公とか見るけど、よく腹を壊さなかったりしないなと心底感心する。リアルじゃ水の違いで容易く腹を壊すのに。

 まぁ、主人公って胃腸が誰よりも強くないと話にならない商売だし、その辺を解説し出すときりがないのでテキトーな所で切り上げて物語を描くのが小説ってもんなんだろうけど、適度に小ネタとして挟んでいくのも腕なんじゃないかと思う。

 なお、この物語の作者にそういった腕はない。

 描いている途中で飽きるという致命的な欠陥を抱えている。


・王様とその軍勢

 奥さんに頭の上がらない王様と精鋭。王様と愉快なお馬鹿達である。

『シャンバラ』側のダンジョンの入り口にある古城の王様。今回はザッハのブレスに灰まで残らず燃やされる羽目になった。

 フロアボスどもは知らないが、挑戦の際には奥様から多額のお金がキィに振り込まれており、五百人が挑んでも問題がないように準備がなされている。

 国の実質の支配者は奥様であり、王様が王都で一目置かれるようになり、王都に戻れなくなったのもこの奥様が原因。相当なやり手ではあるのだが、この奥様はガラスのハートを持つツンデレなので、王様がいないと容易く国が荒廃する。

 王様は馬鹿だが、主人公属性で精神的にチートなのである。

 ダンジョンに挑み始めた頃はともかく、この時点では王都に戻りたいとは思っていないが、既にライフワークと化している。ダンジョンに挑む度に奥様は内心でハラハラし、失敗して戻って来ると『全くもう、本当にあなたは私がいないと駄目なんだから!』といった感じで、やたら優しくなる。

 それが良いらしい。

 一年に一度命を賭ける。その修羅場を潜り抜けた王の軍勢は『シャンバラ』における負け知らずの軍である。彼が参戦した戦では決して負けることがない。

 十年後、史上七人目のダンジョン突破者となる。

そういうわけで、今回はアナさんが割を食う話。本文でも出したけど

マイナスのギャップってのは本当に割に合わないと思う。

次回はキィさんかカンナさんのお話。十二月はクッソ忙しいので更新

できるかどうか微妙だけど、もし更新があったら『現実逃避』だと

思って大草原を生やしてやってくださいwwww

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