たまには息抜きを!
アルフレードの視点です。
私は最近、拾ってきたシノと一緒に過ごす事が多くなってきた。昔から私は子供とかは好きではなく近寄るのも嫌だった。ギャーギャー、ビービーとすぐになき叫び、うるさくてかなわないからだ!
だが、何故かシノを観ているとかまいたくなる。こんな事は初めてである。
執務室で私が仕事をしている時、シノは普段執務室の大人が4人楽に座れるぐらいのソファーで、私が与えた本を読んだり字の練習をしたりして過ごしている。私は仕事の合間に字の練習を観て添削したり、一緒に本を読んだりとシノの相手をしている。なかなかシノは頭が良い様に思える。普通の子供より飲み込みが速いからだ。シノは1ヶ月以内で絵本をマスターし、片言だが日常生活を送れるぐらいになってきているからだ。次は新しく少し難しい本を与えようと思っている。それが理解し読み書きが出来るようなら、今まで範囲と人物指定の結界を張っていたが、建物内まで広げようか……。建物内も危険な場所もあり目が届く範囲でないと心配になり、やむ終えず結界を張っていたが、それももうそろそろ大丈夫だろう。
以前は息抜きと同時に建物内を廻り、部下の仕事ぶりを視たり研究室で私も実験等をしたりしていたが、シノが来てからはそういった息抜きが少し減った様に思える。かわりに部下が執務室へ報告しに来るのが増えたようだ。私がシノから離れようとすると、シノが私を今にも泣きだしてそしてすがるような、そんな瞳で私を見つめてくる。それを視ていると何とも言えないぐらい愛おしく庇護欲を掻き立てる。どうしてだか知らないが最近はそう感じるのだ。なので、どうしても私が部屋を出なければいけない用がある時は、シノの頭を優しく撫でながら
「すぐに戻って来るから、大人しく待っていろ」
と、声をかけて出るようにしている。
私が部屋に帰って来るとシノはぱっと笑顔になり
「おかえりなさい」
と、言って小走りで近寄ってくる。
「ちゃんと大人しく待っていたか?私が居ない間何をしていた?」
「字の練習をしていました」
見て下さい。と言い、紙を私の前に差し出した。最初はグニャグニャと下手だったがかなり上達してきたな。
「かなり上手く書けてるぞ」
と、頭を撫でてやるとかわいい笑顔を私に向けたりとこんな感じだ。
フ~~ッ、今日はやけに書類整理ばかりだな。と思いながらチラッとシノを盗み見た。何だか難しい顔をしていたと思ったら、急にニヘラッと笑ったりとついつい気になってしまい、ずっと見いってしまった。ふと、シノが持つ本を見ていたが私が与えた物と違うような気がする。
私は独り掛けソファーに座り
「シノ!」
っと、手招きしシノが近寄るとすぐさまヒョイッと抱き上げ膝の上に座らせ
「その本どうした?」
と問う。
「魔導師団のお兄さんに貰いました」
私が居ない間に誰かが渡したのか?誰だろうな?
「何か解らないところはあるか?」
「ここのところの文章の意味が解りません」
「あぁ、それは…………………。」
と、今日もシノを相手に息抜きをする私だった。