番外編 魔導師団 3人娘 ローラ・サリバン アザリー・マクブライト マリア・モートンの楽しいひととき
ローラ・サリバン、アザリー・マクブライト、マリア・モートンの魔導師団3人娘のシノちゃんに会う前の話です。
私、アザリー・マクブライトは開口一番に
「そう言えば私達、あまり今まで仲良く話すこともなかったわよね!」
「「そう言えばそうね」」
と、ローラ・サリバンとマリア・モートンは同時に答えていました。
「シノちゃんが来てからよね。彼女が来なかったら多分、挨拶ていどだと思うわ」
ローラ・サリバンが答えている。
「あの夜のことは一生忘れないわ!」
マリア・モートンが……。
「確かに」
アザリー・マクブライトが答え3人は当時のことをそれぞれ思い出していました。
◇◆◇◆◇◆◇◆
ローラ・サリバンの場合
私はローラ・サリバンです。魔導師団の医療部隊に所属してます。
今日はお休みで、朝から城下街に下りてショッピングを楽しんでいました。ウキウキしながら魔導師団の建物の前を横切り寮へと帰っている最中、寮とは魔導師団の団長と副団長の2人以外の全員の団員が生活する建物です。
ちなみに国軍と王直属の近衛兵団の人達は国軍の建物の横に寮があり、軍団長と副団長と近衛兵団の団長と副団長の4人以外は全員、その寮に住んでいます。
で、突然アルフレード団長の声が……。
「今すぐ団長室まで来い」
私はワタワタと周りを見回していました。だって私、いつも失敗したり、魔導師団の建物内部の備品をうっかり壊したりして、アルフレード団長の雷をいっつもくらっているから、今もまた何か失敗したのかと思っちゃいました。
でも、周りを見回しても誰もいないし空耳かと思ったけど、聞き間違いでも団長の執務室へ行かなくて叱られるぐらいなら、行った方がマシだと思い、急いで4階にある団長の執務室へと向かいました。
ちょっと死ぬかと思うほど一生懸命走ってしまい、息が上がってました。ノックしたあと
「ロッ……ローラ・……サッ……サリバンですぅ~。しっ失礼しまっすぅ~」
と、息もたえだえに声をかけたの。
「入れ」
と、アルフレード団長の声がかかり、私はガタガタ震えながら部屋の中に入ったの。
入ってすぐ団長から
「座れ」
と、大人が4人楽に座れるぐらいのソファーに促されたのね。
団長と2人っきりで入ってもなかなか団長からの話がなく、沈黙が流れていたの。私はガタガタ震えながら、いったいこれから何で怒られるのだろう?と思ってたんだけど、私は沈黙に堪えきれず思いきって
「あの~……」
といいかけたら
「もう少し待て」
えっ?どれだけ待つんですか?と、内心でしか突っ込めない私……。
しばらくすると………。
◇◆◇◆◇◆◇◆
アザリー・マクブライトの場合
私は魔導師団の攻撃部隊に所属している者です。
今日はアルフレード団長が、ガーバからの定期の視察から帰って来たので出迎えをしました。
アルフレード団長が小さな女の子を腕に抱いて建物内に入って来たとき、私は眼を見開いてアルフレード団長と女の子を交互に見てしまいました。だって、あのアルフレード団長がよっ!
子供嫌いのアルフレード団長が、小さな女の子を腕に抱いていたのがめちゃくちゃビックリだったんだもの、ものすごくマジマジと見てしまったかも知れませんね。
アルフレード団長はすぐに女の子をアルフレード団長のプライベートルームの隣室にある客室に連れて行っていました。
私の今日の仕事は終わったので、もうそろそろ帰り仕度でもしようかと思っていたところ、急にアルフレード団長の声が頭に響いて来ました。
「今すぐ団長室まで来い」
これは直接頭の中に語りかける術で、広範囲と単体とがありますが、周りを観てみても他の人に聞こえて無さそうなので、単体で術を使っているみたいですね。
では、さっそくアルフレード団長の執務室へと行きましょうか……。
私は3階から4階まで少し速めに歩きアルフレード団長の執務室前まで来ました。
「アザリー・マクブライトです。失礼します」
と、ノックをしたあと声をかけたら
「入れ」
と、アルフレード団長の声がすぐにかかり、私は扉を開け中に入りました。
そこにはローラ・サリバンが大人が4人楽に座れるぐらいのソファーに座っていました。
部屋の中程まで進むと
「座れ」
との指示が……。私はソファーに座りながら
「何かお話が?」
「マリア・モートンが来てから話す」
と、言ったまま沈黙が流れました。が、その沈黙も長く続かず扉にノックがありました。
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マリア・モートンの場合
私は魔導師団の支援部隊に所属しています。この魔導師団では交代で夜勤を各部隊から1名ずつ出して行います。
今晩は久しぶりの夜勤の日、今日は夕方からアルフレード団長が率いてたフルシュへの定期視察からの帰還で少し慌ただしい感じでした。なんでも、アルフレード団長が小さな女の子をガーバからの帰還の最中、砂漠で発見したらしく今、アルフレード団長が団長のプライベートルームの隣室の客室に連れていってるらしいです。女の子はいまだに意識がなく、しばらくアルフレード団長が様子をみるみたいだって……。
まぁ、今のところ私にとってどうでもいいかなって思う。冷たいかも知れないけど直接的に関係無いしね。どうなろうが知ったこっちゃないわ。そんな風に私が思いにふけていたところ、いきなり私の頭の中にアルフレード団長からの思念が届きました。
思念というのは、魔術で他人の頭の中に直接語りかけるという術で、2通りあって、語りかけられた本人以外は聞こえないという単体のものから、広範囲の無差別に語りかけるものまであるんだけど……。
今回は単体に向けての思念でした。
「今すぐ団長室まで来い」
ゲッ!アルフレード団長、さっきまで冷たいことを思ってたことが聞こえたのかしら?まさか!ヒィ~~ッ。それに早く行かないと、雷が落ちる~~。と、私は慌てて2階から4階まで必死にかけ上がって、アルフレード団長の執務室前で息をなんとかととのえて扉をノックしました。
「マリア・モートンです。失礼します」
「入れ」
と、アルフレード団長の声がかかり私は少し緊張しながら中に入りました。
そこにはローラ・サリバンとアザリー・マクブライトが、大人が4人楽に座れるぐらいのソファーに座っていました。
「座れ」
と、入ってすぐにアルフレード団長に声をかけられました。
◇◆◇◆◇◆◇◆
3人が揃うとアルフレード団長はすかさず
「ローラ・サリバン、マリア・モートン、アザリー・マクブライト。明日から朝から夕食前までの時間帯、3人でシノの面倒を観るように。どうするかは3人で考えてやれ。以上」
……………………。
「あの、すいません。シノって誰ですか?」
アザリー・マクブライトがアルフレード団長に言いました。
「あぁ、そうだったな。今日拾ってきた幼児で名前はシノ。言葉があまり通じないので3人で教えてやってくれ。他に質問がなければ下がれ」
と、言われ3人が3人ともに顔を見合わせて、誰ともなく腰を上げアルフレード団長の執務室を3人は後にしました。
執務室をあとにした3人はしばらく無言で歩いていたのだけど……。
ローラ・サリバンが
「これからどうしますぅ~」
マリア・モートンが
「そうねぇ………………。」
と、3人は会話を夜遅くまでするのでした。