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シノとの夕食後のひとときを……。

アルフレードの視点

 今日もシノは私と共に夕食を食した。シノはいつもとても美味しそうに食事をする。こちらも観ていて飽きないし、楽しく美味しく感じる。今日のシノはとてもお腹が空いていたのか、いつもより多く食べてるように思える。シノはたまにパンを勢いよく食べ過ぎて喉に詰まりそうになっていることもある。今もそうだ……。私は思わず

 「大丈夫か?」

 と、声をかけた。

 トントンとシノは自分の胸を叩きながら

 「んっ………んん~~」

 あっ、ほら言ってるそばから…………。はぁ~、誰もおもえの分をとらないぞ!

 「落ち着いてスープでも飲め!」

 「うっ、死ぬかと思った………」

 「あたりまえだ!こんなことで死んでしまったらどうする?もう少し落ち着いてゆっくり食べろ!」

 「ごめんなさい」

 「まぁ、良い。なにごともなくて良かった。心配したぞ!」

 と、まぁいつもこんな感じで食事をする。ゆっくり食べてる日もあるのだが、たまに勢いが増すのはなぜか?子供というのはこんなものなのか?


 二人が食事を終えてからは、ソファーに並んで座りシノが今日建物の見学をしたことの話題を一生懸命話をしているのを聞きながら、私は時折シノの頭を撫でてやっていた。


 「今日はアザリーさんが一緒に建物の見学にまわってくれて、まず最初に向かったのはナミルさんの部屋なんだけど、そこでナミルさんとお話ししてお菓子も貰っちゃった!」

 「ファラフェルっていうお菓子なんだけど私がいた元の世界にも同じようなのがあってね♪『ドーナッツ』って言うんだけど味も形も同じで粉砂糖がまぶしてあって………」

 シノは食べ物の話になると勢いがよいな。身を乗り出すようにそんなに話さなくても私は逃げやしないのに……。

 「今度は私が一番大好きな食べ物で『かき氷』『アイスクリーム』の話になって……………」

 なるほど、『かき氷』に『アイスクリーム』か………。私でも作れそうだな。私が今度作ってシノに食べさせてやろう。まずは水を魔術で氷らせ…………。あとは氷蜜とやらがあるかどうか解らないから、ジャムでも良いだろうか………?

 「次に行ったのは3階~2階に行ったけど、ちょうど誰も居なくて…………」

 そうだったな。確かに今日は団体訓練の日だったな。なるほどシノは魔術に興味があるのか……。

 「私がいた元の世界にも一応魔術?魔法があるらしいんだよね。実際に使っている人をこっちみたいに見たことはないんだけど……。私、興味本意で『魔術書』?になるのかな?日本語版で呪文のところだけラテン語になっている本で、呪文のところの上にカタカナでふりがなが打ってあるんだけど、私はラテン語ができないからやっぱり発音がね………。」

 「ちゃんと発音ができてたら即、試してたけどできないから持ってるだけでいわゆる『宝の持ち腐れ』っていうやつ?初級編から3冊ぐらいあるのに勿体ないよね!はぁ~、私、絶対!元の世界に帰ったらラテン語ちゃんと勉強しようと思うの!」

 一部解らない部分もあったが、シノが住む元の世界には一応『魔法書』なる物があるみたいだな。もし手に入るのなら、研究してみるのも良いかも知れないな!

 「次に行ったところが1階で、そこって私がいてた元の世界と変わらない物が置いてあったな…………」

 どこの世界も遜色(そんしょく)変わらずってところか?

 「次に行ったところが地下なんだけど………」

 シノはマジックアイテムにも興味があるのか?やはり幼いとはいえ女なのか宝石や貴石などが好きなのか?今度何か見繕ってプレゼントしてやろう!喜ぶかもしれぬな。

 などとひとしきり会話が終わると、私はいつものようにシノにお伽噺とぎばなしをすることにした。シノは私が話をしている間中いつも私に寄りかかっているので肩を抱き寄せながら話をすることにした。

 今日は新しい話にしようと思うが、さて、何にしようか?男の子なら冒険物や戦い物が好きだろうが、女の子は何が好きだろう?ここはやはり恋物語が良いのか?これにしようかな。悲恋物だがシノはまだ幼いから、まぁ、良いか……。等と、考えながら話を初めることにした。


 「昔々、といってもそんなに昔ではないが、ある港町に美しい娘がいた。娘には船乗りの恋人がいた。」

 「船乗りの恋人がある日、隣の国に行くことが決まってしまった。ちょうどその頃、娘と船乗りの恋人が住む国と隣の国は戦争が起きていた。この戦争は10年以上も続いていたので娘は船乗りが隣の国に行くのを反対していた。」

 「だが、娘との結婚のためにどうしてもこの仕事を船乗りは引き受けたかった。娘の反対を押しきり船乗りは隣の国に旅立った。」

 「娘は船乗りが乗った船が見える岬に立ち、遠ざかる船を見えなくなるまで祈りを込めて見送っていた。」

 「次の日からは娘は岬に立ち、愛する船乗りが自分の歌声を褒めていたので恋の歌を歌いながら、来る日も来る日も歌い続けていた。」

 「何年も岬に立っていた娘はいつの間にかその岬で亡くなってしまった。」

 「ちょうどその頃船乗りはどうしていたかというと隣の国に住んでいた。」

 「んっ?……シノ?眠ってしまったのか?」

 ふとみるとシノは、気持ち良さそうに寝息をたてて眠っていた。私はシノを見て苦笑した。最近は私がお伽噺を語る途中、よくこうやって眠ってしまう。やはりこういうところは子供だな。シノの寝顔を見てると最近特に抱き締めたくなる。気付いたら抱き締めていたこともあり、最初は戸惑っていたが今はもう開き直っている。

 私はシノをいつものように優しく抱き締め頭を撫でていた。何十分もそうしていたが、もうそろそろシノの部屋のベッドに寝かせてやろうと抱きかかえ直し、そっとベッドに寝かせたあといつもしてるように頭を撫でた。だが、今日はなんとなくシノの唇に自らの唇を重ねていた。私はハッと我に帰り、軽く頭を振り口もとを片手でおおい隠しながら自問自答をしていた。

 「私は、今何をしていた?幼い子供に欲情など起こすとは……。」

 シノと住むようになってから、私はよく自問自答をするようになった。今日の私はどうかしている!今日は疲れているかもしれないな。もう部屋に戻って寝ることにしよう。私は静かにシノの部屋をあとにするのだった。

実際に昔に『魔法書』初級編など入手済み!ですが本文中にもあるように『呪文』部分はラテン語でカタカナでふりがなしてありますが、ちゃんと発音できないので真剣に試してません!

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