今日の報告!
紫乃とアルフレードさんのひととき
30分ぐらいしたら、アザリーさんが呼びに来た。
「お食事の用意ができましたので、団長のお部屋におこしください」
「アルフレードさんはご一緒しても良いって?」
「もちろん」
アザリーさんとともに、アルフレードさんのプライベートルームに向かった。
「シノです。入っていいですか?」
「入れ」
アザリーさんは私が入るとすぐに
「ごゆっくりどうぞ」
と言って部屋を出ていった。
アルフレードさんのプライベートルームの中は入口から入って右側の扉は、アルフレードさんの執務室になってるの。左側の扉は衣装部屋とお風呂とトイレになってるの。正面を向いてすぐに大人が3~4人ぐらいゆったり座れる広さのロココ調のソファーが2つ向い合わせで置いてあり、ソファーの真ん中にはロココ調のテーブルが置かれているの。
部屋の奥にこれもロココ調のベッドがある。なんだか魔導師団の建物の家具って全部、ロココ調で統一してるんじゃないかと思うんだけど……。私の部屋のベッドも同じ家具なんだけど、このベッドが大人2~3人がゆったり寝れる広さだから寝狂いが激しい私でもベッドから落っこちない訳!
部屋の奥は部屋一面が窓になっていて、外に出たらバルコニーになってるんだけど、私はあまりバルコニーの先まで出たことがないんです。なぜなら高所恐怖症で遠くを見るぐらいなら良いのだけど、下を見ると冷や汗と足がガクガクブルブルしてしまうからです。なんせ椅子の上に乗って立つとか、それだけでもイヤッ!もう考えるだけで冷や汗とガクガクブルブルものです。あぁ、ヤダッ。もう考えるのはやめましょう!
さて、気を取りなおして食事の事を考えましょう!食事はアルフレードさんのプライベートルームや自分の部屋でも、食事のセッティングは毎日当番制で団員さんが変わってするみたい。食べた後の食器は廊下の端に出して置いたら、その日セッティングした団員さんが片付けることになってるんだって……。
「遅くなってすまない。お腹が空いてるんじゃないか?さっそく食べようか」
「はい!いただきます」
っと、言いながら私はアルフレードさんの向かいに座った。
今日の食事はパン(パンは色々な形をしたのがいくつか皿にのってあり、好きなだけ取って食べる形式です。)とゆで卵のハンバーグと、ひよこ豆のスパイス煮(これは紅茶で茹でたひよこ豆と、トマト、オリーブ油、クミンシード、にんにく等で煮たスパイシーな料理です。)とサラダにオニオンスープ等がテーブルの上に並べられていました。食べる分だけ取り分けて自分の皿にのせるので、私は日によって食べる量が違うので今日はもの凄く食べてたので、アルフレードさんは
「よっぽどお腹が空いていたんだな」
と微笑みながら言いました。私は食事中は料理のコメント以外会話はあまりせず一心不乱に食べる方なのでほとんど静かですね。
今日の食事も美味しかったです。『こんなに毎回美味しい食事がもらえるなんて幸せ♪』特にオニオンスープとゆで卵が好きなのでハンバーグに入ってたのがとても気に入りました。
さて、食事が二人とも終わったのでアルフレードさんと共に、廊下にあるワゴンに食器を載せて出したあと私達はソファーに並んで座り、私は今日体験したことをアルフレードさんに話しました。
ナミルさんの執務室でした会話や3階や2階に行ったけど誰も居なくて残念だったこと、元いた世界での診療所みたいな場所の話しや地下の研究施設の見学等私が話をしている間中、アルフレードさんはニコニコと微笑み私の頭を撫でながら話を聞いてくれました。その後はアルフレードさんがいつもこの国のお伽噺をしてくれる時間ですが、私はたまに話が終わるまでに寝てしまうことがあるのです。アルフレードさんは次の日に謝っても苦笑しながら軽く頭を振り『良い』と言ってくれます。アルフレードさん、ごめんなさい。
アルフレードさんのお話は今日から新しいお話で内容は元の世界でいう『ローレライ』に似たお話でした。綺麗な女の人が船乗りの恋人を待つ間、毎日岬の上でたたずみ海を見ながら恋人が誉めてくれた歌声で、愛しい恋人を想いながら愛の歌を歌い待っていた。だけど何年たっても愛しい恋人は帰ってこない。やがて女の人は岬で亡くなってしまう。
と、いったところまでしか残念ながら覚えてません。はい、そうです。またもや私はいつの間にやら眠りこけてしまいました。だんだんアルフレードさんの声が心地よくて子守唄のように聞こえるんです。で、お母さんに優しく頭を撫でてもらってる感触とふんわりと抱き締められてるようにあったかい感じがいつもしてしまうんです。しばらくするとふわりと宙を漂うような浮遊感がしたあと優しく頭をまた撫でられる感じが少しの間続くのですが、今日はそれに加えて唇に暖かい何かがかすめるような感じがしました。いったいこれはなんなのでしょうか?そうこうする内に私はまた深い眠りに引きずり込まれてしまいました。