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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第3話 夢の競演!? ギャル vs オカ女 with 空手バカ―公園の電話ボックス編―

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第3話―7 公園をお散歩

「なにか感じる?」まどかは横を行く省吾しょうごに囁くように問いかけた。


「いや、特には」省吾は普通の声量で応える。「夜風が涼しくて気持ちいいですね。緑が多いからかな?いい公園です」


 付け加えられた寸評は無視して、円はぐるりをゆっくりスマホで撮る。やはりなにもないようだ。公園墓地の整えられた通路は非常に歩きやすく、両脇に生い茂る緑からは爽やかな香りが漂ってくる。日頃出不精の円ですら、歩いていける距離にあれば日中に散歩でもしたいなあと思った。おそらく隣にいるこいつは、用がなければすぐにでも走り出したいところだろう。


「いい夜だねえ」弥幸みゆきは省吾の話が聞こえたのか、振り向きながらそう言った。「やっぱりみんなでこうやって探検するのは楽しいよねえ」


「ですです〜」もうすっかり調子を取り戻している凛子りんこの声。「夏は(ふたりで)いろんなところに行きましょうよぉ」


 円は少しばかり邪念を感じ取ったが、もちろんなにも言わない。未練がましくまだ撮影に集中しているフリをした。そうしていれば凛子に絡まれることはないだろうという計算だった。


 ところがこれについてはアテが外れた。凛子はそんな円を見て、声音は明るいまま注意した。


「円ちゃんさあ、それで私を映す時はちょっとだけ注意してね。後ろ姿とかは別にいいけど〜、コリン、顔はNGだから〜。映る時は事前に通告してくれないと〜」


「ああ、はい、気を付けます」円は相手の方は一切見ずに返事をする。(怖えぇ、絶対目笑ってないんだろうなあ)


 円の予想は当たっていた。凛子は刺すような視線で円を見ていた。


 そんな水面下の人間関係の緊張などどこ吹く風、弥幸は明るく言い放つ。


「この夏はさあ、みんなでいっぱい心霊スポット巡っちゃおうか。夏といえばオカルト!これはもう定められた真理だよねぇ」


「あっ、それさいこー」いろいろと言いたいことはあったが、それを包み隠して凛子は同意する。「泊まりがけの合宿とか〜いいじゃないですか〜」


「おつ、コリンちゃんいいね、それ〜。ちょっと遠出しちゃおっか」


 弥幸と凛子はおおいに盛り上がっているが、円はまったくもって乗れなかった。だいたいその ”みんな“ には自分も含まれているのだろうか?まだオカ研に入部したつもりはないのだが。


 そうこうしながら歩いていると、もう少しでひと回りというところまでやってきた。前方の小さな池に架かった短い橋を渡れば、その先はもうさっきの広場だ。


(結局ハズレか⋯⋯)円は肩を落とす。まあ仕方ないか、ギャルに変に騒がれても面倒だしな、と考えたその時、円はほんの少しの変化に気がついた。


 さっきから風が止んでいるのだ。梅雨明け間近のネットリとした空気が周囲に満ちていた。空を見上げると先程までちらほら見えていた星が厚い雲に隠れていた。雨が降る⋯⋯?いや、これは⋯⋯。


 円が警戒感を強めた時、橋を渡り終えた凛子の足が止まる。身震いするようにして、横でニコニコしている弥幸を見た。その表情は固く強張っている。近寄っていった円にもその理由がすぐに呑み込めた。道の先から音がする。


 ――ジリリリリ、ジリリリリ、ジリリリリ、ジリリリリ⋯⋯


 円は省吾を見た。省吾も円を見て、深く頷いた。そしてこれから向かうその先を、厳しい目でまっすぐ見据えるのだった。

 


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