表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『昔やっていたテーブルトークRPGの世界に転生し、精霊に好かれるところから始めます』  作者: ゆふぉん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/83

第88話 雷水神《ヴァル=ネレイオス》 ――神話層・精霊神との戦い

 世界樹が道をしるし、扉が開いた。


 入った瞬間、空が、割れた。


 否。

 割れたのではない。

 **水と雷が、同時に“降ってきた”**のだ。


 天井も、壁も、距離も意味を失う。

 空間そのものが、巨大な海となり、雷の檻となる。


 次の瞬間――

 大津波が、何の前触れもなく襲いかかった。


「――っ!」


 サラは反射的に弓を引くが、射線など存在しない。

 波は“前方”から来たのではない。

 世界全体が水へ変わったかのようだった。


『我が張る!』


 水の精霊王クラーケンが咆哮し、

 サラの前に巨大な防御膜を展開する。


 だが――


 押される。


 膜が、悲鳴を上げる。

 水圧が、存在そのものを潰しにかかる。


『――耐えきれぬ!』


 その瞬間。


『来い!!』


 風の精霊王イルクが、

 防御膜の外側に嵐を叩きつける。


『我もだ!』


 大地の精霊王ベヒモスが、

 足場そのものを隆起させ、水を受け止める。


 三体の精霊王。

 本来、同時に全力を出すことはない存在。


 だが、今は違う。


 それでも――足りない。


 雷が、落ちる。


 水の中を走る雷。

 逃げ場は、ない。


『ぐ……っ!!』


 イルクが弾かれ、

 ベヒモスの身体に亀裂が走る。


『サラ……!』


 クラーケンの声が、苦しげに歪む。


 そして――

 三体の精霊王が、同時に何倒れた、、


「……そんな……」


 サラの視界に、

 自分のステータス画面が浮かび上がる。


 《精霊女王:不完全》


 その文字が、胸を刺す。


(……私は、まだ……)


 弓術10。

 精霊術10。

 魔法10。

 セージ10。


 それでも――

 神の前では、足りない。


 その時。


「サラ、下がれ!!」


 ユウトが前に出た。


 彼の手にある剣は、

 もう精霊王の剣ではない。


 風雷神の剣。


 暴風神テンペストが、自らを捧げて形を変えた、

 神と戦うための神の剣。


 雷が、ユウトを狙う。


 だが剣が唸る。


 風と雷が、同時に走る。


 **雷水神《ヴァル=ネレイオス》**が、

 初めて“視線”を向けた。


『……ほう』


 声が、海鳴りのように響く。


『人の身で、神の剣を持つか』


 雷と剣が激突する。


 互角。


 だが――

 互角は、敗北を意味する。


 神は疲れない。

 人は、削れる。


 ユウトの呼吸が荒くなる。


(……このままじゃ……)


 その時、

 炎が、囁いた。


『サラ』


 炎の精霊王イフリート


『我は、破壊を司る』


『だが、破壊とは――再生への道だ』


 サラは、震える唇を噛み締める。


『お前のMPを、ほぼすべて使え』


『《ペイン・フレア》を放て』


「……そんなことしたら……」


『我が、止める』


 サラは、目を閉じた。


 そして、弓を構えた。


 MP、限界解放。


 魂が、焼かれる感覚。


「――ペイン・フレア!!」


 炎が、雷水神を貫いた。


 だが――


『ぐ……っ』


 イフリートが、崩れる。


 炎が、消える。


『……ここまでか』


 イフリートは、笑った。


『サラ……よく、やった』


 そして――

 消滅。


「……っ……!」


 サラの膝が崩れる。


(私の……せいで……)


 雷水神の最後の一撃が、放たれる。


 だが。


 炎が、再び生まれた。


 燃え尽きたはずの場所から、

 不死鳥――フェニクスが、羽ばたいた。


 高らかな鳴き声。


 炎が、循環する。


 倒れていた精霊王たちが、立ち上がる。


 サラのMPが、戻る。

 ユウトの体力が、回復する。


「……再生……」


 サラが、理解する。


 その瞬間。


 ユウトが、剣を構えた。


 雷水神の攻撃。


 ロクゾロ。


 奇跡的な回避。


「――今だ!!」


 四大精霊王の魔法が、

 同時に放たれる。


 風雷神の剣が、光を放つ。


 雷水神《ヴァル=ネレイオス》は、

 初めて崩れ――


 撃破された。


 嵐が、静まる。


 サラは、涙を拭いた。


 精霊女王は、不完全でも――

 確かに、前に進んだ。


 そしてユウトは、理解する。


 この戦いは、

 神を倒すためのものじゃない。


 神話を、終わらせるための戦いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ